【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 行為時の権利者であり、出願人であるミツエイ株式会社は、平成27年7月2日に、本発明のスパウト組立体(スパウトキャップ)が取り付けられた商品TOPVALU衣料用酸素系漂白剤濃縮タイプ詰替大容量をイオントップバリュ株式会社に販売した。
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
容器の注ぎ口を構成する合成樹脂で一体成型されたスパウトベースと、前記スパウトベースに螺合し、前記容器の初期開封を確認することができる合成樹脂で一体成型されたスパウトキャップとを備えるスパウト組立体であって、
前記スパウトキャップは、筒状のキャップ本体部と、所定の間隔を介して前記キャップ本体部の外周を包囲するように設けられたリング部と、前記キャップ本体部と前記リング部とを連結し、かつ前記キャップ本体部と前記リング部との相対的な回転により破断して、前記容器の前記初期開封を確認することができるように構成された複数の連結部とを備え、
前記複数の連結部は複数の対をなしており、それぞれの前記複数の対は、第1の連結部と、前記第1の連結部の幅よりも大きい幅を有する第2の連結部とを含み、
前記第1の連結部および前記第2の連結部は、前記スパウトキャップが一体成型された状態で、前記リング部の径方向に延在し、
前記スパウトベースは、その周方向に設けられた円盤状の肩部を有し、
前記リング部は、その上端から下端部にかけて切り欠かれ、前記複数の連結部の前記複数の対同士の間にそれぞれ設けられた切欠き部と、前記切欠き部にそれぞれ対応して設けられ、前記スパウトキャップと前記スパウトベースとが前記リング部を介して篏合するように、前記肩部と係合する突出部とを有していることを特徴とするスパウト組立体。
前記第1の連結部および前記第2の連結部は、それぞれの厚さが前記リング部から前記キャップ本体部へ向かって漸減している請求項1または2に記載のスパウト組立体。
容器の注ぎ口を構成する合成樹脂で一体成型されたスパウトベースに螺合し、前記容器の初期開封を確認することができる合成樹脂で一体成型されたスパウトキャップであって、
当該スパウトキャップは、筒状のキャップ本体部と、所定の間隔を介して前記キャップ本体部の外周を包囲するように設けられたリング部と、前記キャップ本体部と前記リング部とを連結し、かつ前記キャップ本体部と前記リング部との相対的な回転により破断して、前記容器の前記初期開封を確認することができるように構成された複数の連結部とを備え、
前記複数の連結部は複数の対をなしており、それぞれの前記複数の対は、第1の連結部と、前記第1の連結部の幅よりも大きい幅を有する第2の連結部とを含み、
前記第1の連結部および前記第2の連結部は、前記スパウトキャップが一体成型された状態で、前記リング部の径方向に延在し、
前記リング部は、その上端から下端部にかけて切り欠かれ、前記複数の連結部の前記複数の対同士の間にそれぞれ設けられた切欠き部と、前記切欠き部にそれぞれ対応して設けられ、前記スパウトキャップと前記スパウトベースとが前記リング部を介して篏合するように、前記スパウトベースの周方向に設けられた円盤状の肩部と係合する突出部とを有していることを特徴とするスパウトキャップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、容易に初期開封およびその確認をすることができ、かつ歩留まりの低下を抑制し安定的に製造することができるスパウト組立体およびスパウトキャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)〜(7)の本発明により達成される。
(1) 容器の注ぎ口を構成する合成樹脂で一体成型されたスパウトベースと、前記スパウトベースに螺合し、前記容器の初期開封を確認することができる合成樹脂で一体成型されたスパウトキャップとを備えるスパウト組立体であって、
前記スパウトキャップは、筒状のキャップ本体部と、所定の間隔を介して前記キャップ本体部の外周を包囲するように設けられたリング部と、前記キャップ本体部と前記リング部とを連結し、かつ前記キャップ本体部と前記リング部との相対的な回転により破断して、前記容器の前記初期開封を確認することができるように構成された複数の連結部とを備え、
前記複数の連結部は複数の対をなしており、それぞれの前記複数の対は、第1の連結部と、前記第1の連結部の幅よりも大きい幅を有する第2の連結部とを含むことを特徴とするスパウト組立体。
【0008】
(2) 前記第1の連結部および前記第2の連結部は、それぞれの前記幅が前記リング部から前記キャップ本体部へ向かって漸減している上記(1)に記載のスパウト組立体。
【0009】
(3) 前記第1の連結部および前記第2の連結部は、それぞれの厚さが前記リング部から前記キャップ本体部へ向かって漸減している上記(1)または(2)に記載のスパウト組立体。
【0010】
(4) 前記第1の連結部および前記第2の連結部は、前記リング部の径方向に延在している上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のスパウト組立体。
【0011】
(5) 前記リング部は、その下端部に設けられ、前記リング部から前記キャップ本体部に向かって突出する突出部を有している上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のスパウト組立体。
【0012】
(6) 前記スパウトベースはその周方向に設けられた円盤状の肩部を有し、
前記肩部は、その中心軸に平行な側面を有している上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のスパウト組立体。
【0013】
(7) 容器の注ぎ口を構成する合成樹脂で一体成型されたスパウトベースに螺合し、前記容器の初期開封を確認することができる合成樹脂で一体成型されたスパウトキャップであって、
当該スパウトキャップは、筒状のキャップ本体部と、所定の間隔を介して前記キャップ本体部の外周を包囲するように設けられたリング部と、前記キャップ本体部と前記リング部とを連結し、かつ前記キャップ本体部と前記リング部との相対的な回転により破断して、前記容器の前記初期開封を確認することができるように構成された複数の連結部とを備え、
前記複数の連結部は複数の対をなしており、それぞれの前記複数の対は、第1の連結部と、前記第1の連結部の幅よりも大きい幅を有する第2の連結部とを含むことを特徴とするスパウトキャップ。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容易に初期開封およびその確認をすることができ、かつ歩留まりの低下を抑制し安定的に製造することができるスパウト組立体およびスパウトキャップを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明のスパウト組立体およびスパウトキャップを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0017】
<第1実施形態>
図1は、本発明のスパウト組立体の第1実施形態を示す斜視図である。
図2は、
図1に示すスパウト組立体の正面図である。
図3は、本発明のスパウトキャップの平面図である。
図4は、
図3中のA−A線断面図である。
図5は、
図3中のB−B線断面図である。
図6は、本発明のスパウトキャップの底面拡大図である。
図7は、
図4に示すスパウトキャップおよび
図2に示すスパウトベースの部分拡大図である。
【0018】
なお、以下の説明では、
図1、
図2、
図4、
図5および
図7中の上側を「上」または「上方」といい、
図1、
図2、
図4、
図5および
図7中の下側を「下」または「下方」という。また、
図3中の紙面手前側および
図6中の紙面奥側を「上」または「上方」といい、
図3中の紙面奥側および
図6中の紙面手前側を「下」または「下方」という。
【0019】
図1に示すスパウト組立体100は、容器5の注ぎ口を構成しているスパウトベース4と、スパウトベース4に螺合し、容器5の初期開封を確認(目視)することができるスパウトキャップ1とで構成されている。
【0020】
スパウト組立体100の説明に先立って、容器5について説明する。容器5は、熱接着性を有するフィルム(例えば高密度ポリエチレン)をヒートシールすることにより袋状に形成されたパウチである。かかるパウチの幅はほぼ一定であり、その厚さは上方に向かって減少しており、その上端部において、スパウトベース4の下部をフィルムで挟み込んだ状態で、これらが熱融着されている。これにより、スパウトベース4が容器5の注ぎ口を構成している。
【0021】
スパウトベース4は、
図1に示すように、容器5に固定された状態で、容器5から露出しているベース本体部4Aと、容器5に覆われている容器連結部4Bとで構成されている。スパウトベース4には、その上端から下端までを貫く孔が形成されている。換言すると、ベース本体部4Aと容器連結部4Bとはほぼ同一の内径を有する孔を有している。かかる孔は、容器5の内容物(例えば液体)が通る管として機能する。以下、スパウトベース4の各部について説明する。ベース本体部4Aは、注口部41とオネジ部42と肩部43と胴体部44と鍔部45とを有している。
【0022】
注口部41は、筒状をなし、スパウトベース4の上端部を構成している。注口部41の外径および内径(以下、単に「直径」ということもある)はほぼ一定であり、容器5の注ぎ口として機能している。かかる注口部41の外周に、オネジ部42が設けられている。
【0023】
オネジ部42は、注口部41に螺旋状に設けられた凸条であり、後述するスパウトキャップ1が備えるメネジ部14に対応した形状をなしている。これにより、スパウトキャップ1がスパウトベース4に着脱自在に螺合することができる。オネジ部42の下方に肩部43が設けられている。
【0024】
肩部43は、その中心部に孔を有する円盤状をなし、かかる孔に注口部41が挿通するように、注口部41の周方向に沿って設けられている。すなわち、肩部43の孔の直径と注口部41の外径とは一致している。なお、肩部43は、後述するリング部2が係合する係合部として機能する。
【0025】
また、
図7に示すように、肩部43は、肩上面431および肩下面434が平坦面で構成され、肩上面431の周縁から外側に向かって肩部43の厚さが漸減している。換言すると、肩部43は、漸減部432を有している。さらに、
図7に示すように、肩部43の肩側面433は、漸減部432の外周端に連設され、その肩上面431および肩下面434に対して直角(ほぼ直角)になっている。言換すると、肩部43の肩側面433は、肩部43の中心軸に平行(ほぼ平行)に、すなわちその中心軸に沿って、設けられている。
【0026】
肩部43の厚さ(肩上面431から肩下面434までの厚さ)は、スパウトキャップ1の大きさ(直径)にもよるが、スパウトキャップ1の直径が15mm〜25mm程度である場合、1.0mm以上2.0mm以下であることが好ましく、1.2mm以上1.5mm以下であることがより好ましい。これにより、適度な強度を備え、かつ後述するリング部2と容易かつ確実に係合可能な肩部43を備えるスパウトベース4を提供することができる。肩部43の下方に胴体部44が設けられている。
【0027】
胴体部44は、筒状をなし、注口部41の直径よりも大きく、肩部43自体の直径よりも小さい直径を有している。これにより、胴体部44は、肩部43を支持しつつ、肩部43においてリング部2が係合する部分を確保している。胴体部44の下方に鍔部45が設けられている。
【0028】
鍔部45は、平面視で横長八角形の平板状をなし、ベース本体部4Aの下端部を構成している。この鍔部45の下方に容器連結部4Bが設けられており、
図1に示すように、鍔部45の下面が容器5(パウチ)の上端に当接した状態で、容器連結部4Bが容器5に固定(熱融着)されている。したがって、スパウトベース4は、容器5から露出するベース本体部4A(注口部41とオネジ部42と肩部43と胴体部44と鍔部45)と、容器5から露出しない容器連結部4B(スパウトベース4の下部)とで構成されている。
【0029】
容器連結部4Bは、その中央部が注口部41の外径と同程度の厚さを有する一方、その縁部が薄い平板状をなしている。すなわち、容器連結部4Bの厚さは、左右(
図2を正面に見たときの左右)に向かって漸減している。これにより、スパウトベース4の注ぎ口(管)としての機能を確保しつつ、パウチを形成するフィルムを容器連結部4Bに容易に熱融着することができる。また、容器連結部4Bの表面(
図2中の紙面手前側の表面)と、それと反対側の裏面とには、それぞれ3本の凸条が左右方向に沿って形成されている。これにより、容器連結部4Bの表面積が増大するため、パウチを形成するフィルムを容器連結部4Bにより確実に熱融着することができる。なお、この熱融着は、スパウト組立体100を完成させた後にすればよい。
【0030】
このようなスパウトベース4は、合成樹脂で一体成型されている。したがって、スパウトベース4は、スパウトベース4の上端から下端までを貫く筒状の管と、かかる管の外周に、オネジ部42と肩部43と胴体部44と鍔部45と容器連結部4Bとが上から順に設けられるように、合成樹脂で一体成型されていると言うこともできる。
【0031】
スパウトベース4を成型するための合成樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。これらの中でも、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリエチレンが特に好ましい。これにより、適度な硬さ(柔軟性)を有するスパウトベース4を提供することができる。
【0032】
このようなスパウトベース4に、スパウトキャップ1が着脱自在に螺合して、容器5を封止する。
図1に示すように、スパウトキャップ1は、キャップ本体部10と、リング部2と、複数の連結部3とで構成されている。なお、スパウト組立体100を構成するスパウトキャップ1が、本発明のスパウトキャップを示す好適な実施形態でもある。
【0033】
キャップ本体部10は、
図3ないし
図5に示すように、筒状(有天筒状)をなし、頂部11と、頂部11から垂下して設けられるスカート部12と、底部13と、メネジ部14と、第1封止部15と、第2封止部16と、回り止め部17とを有している。以下、キャップ本体部10の各部について説明する。
【0034】
頂部11は、
図3ないし
図5に示すように、平面視で円形であり、すり鉢状をなしている。換言すると、頂部11は、平坦面である天縁部111を有する椀状をなし、天縁部111から頂部11の中心に向かって湾曲した形状を有している。この天縁部111を取り囲むように(環囲するように)、かつ鉛直下方に突出してスカート部12が設けられている。
【0035】
スカート部12の周壁には、上下方向(鉛直方向)に沿って複数の溝が形成されている。かかる複数の溝は、スカート部12の周壁下部122よりも周壁上部121で深くなっており、周壁上部121と周壁下部122の境界付近では、周壁下部122から周壁上部121に向かって溝の深さが漸増(周壁の厚さが漸減)している。したがって、スパウトキャップ1の正面視および平面視等で、スカート部12の周壁の厚さが漸減している部分(周壁漸減部123)を目視することができる(
図2および
図3参照)。また、
図4および
図5に示すように、スカート部12の内周面にはメネジ部14が設けられ、頂部11の内面には第1封止部15と第2封止部16とが設けられている。
【0036】
メネジ部14は、前述したスパウトベース4のオネジ部42の形状に対応する形状を有している。すなわち、メネジ部14は、オネジ部42の凸条が嵌挿する溝を有している。これにより、スパウトキャップ1がスパウトベース4に着脱自在に螺合することができる。なお、
図4、
図5および
図7において、紙面奥側に見るメネジ部14の溝は省略した。また、第1封止部15は、リング状をなし、注口部41の内径にほぼ一致する外径を有している。また、第2封止部16も、リング状をなし、第1封止部15と所定の距離を介して設けられている。すなわち、第2封止部16は、第1封止部15の直径よりも大きい直径を有している。なお、第2封止部16の直径は、注口部41の内径より大きく、その直径より小さい。スパウトキャップ1がこのような第1封止部15および第2封止部16を有することにより、スパウトキャップ1がスパウトベース4に完全に螺合した際、第1封止部15の外周面が注口部41の内周面に当接するとともに、第2封止部16の下面が注口部41の上面に当接し、これにより、容器5が密封される。
【0037】
また、スカート部12の下端には、底部13が設けられている。底部13は、
図3および
図7に示すように、リング状をなし、スカート部12および頂部11に対して同心的に配置されている。底部13の内径はスカート部12の内径とほぼ同一であり、底部13の外径はスカート部12の外径よりもやや大きい。すなわち、底部13はスカート部12の下面を覆っている。この底部13の下面には、
図6に示すように、回り止め部17が設けられている。なお、説明を簡潔にするために、
図6において第1封止部15および第2封止部16は省略されている。
【0038】
回り止め部17は、スパウトキャップ1の成型後に、スパウトキャップ1を金型に固定する機能を有している。すなわち、スパウトキャップ1の成型後に、メネジ部14を成形した金型部品(ネジコア)を回転させてスパウトキャップ1から取り外す際、回り止め部17でスパウトキャップ1を金型本体に固定させる。これにより、ネジコアのみを、回転させてスパウトキャップ1から引き抜くことができる。回り止め部17は、底面171およびそれから立設する4つの側面が形成されるように、底部13を切り欠くことにより設けられている。底面171は平坦面であり、4つの側面のうちの3つの側面は、底面171から鉛直に立設し、残り1つの側面は、鉛直方向に対して所定の角度で傾斜して底面171から立設している。このような回り止め部17の数は特に限定されないが、偶数であるのが好ましく、後述する第2の連結部32と同数であることがより好ましい。本実施形態では回り止め部17は4つ設けられている。
【0039】
このようなキャップ本体部10の外周を包囲するように、所定の間隔33を介してリング部2が設けられている。また、キャップ本体部10とリング部2とは複数の連結部3を介して連結されている。以下、順に説明する。
【0040】
リング部2は、
図3ないし
図5に示すように、環状の帯体であり、キャップ本体部10の直径よりも大きい直径を有している。また、リング部2は、キャップ本体部10に対して同心的に設けられ、所定の間隔33を介してキャップ本体部10を環囲している。このようなリング部2の下端部には、4つの突出部22が等間隔に設けられている。換言すると、リング部2の上端から下端部にかけて切り欠かれた複数の切欠き部21(本実施形態では4つ)が等間隔に設けられ、各切欠き部21の下端に、複数の突出部22がそれぞれ設けられている。なお、本実施形態では、突出部22は4つ設けられているが、これに限定されない。ただし、突出部22の数は偶数であることが好ましく、2以上6以下であることがより好ましい。
【0041】
突出部22は、リング部2の内周面23に対して直角(ほぼ直角)に設けられる突出上面221と、リング部2の下端部から突出上面221にかけて湾曲している湾曲面222とで構成されている(
図7参照)。このように、突出部22は、突出上面221と湾曲面222とで構成されることにより、リング部2からキャップ本体部10に向かって突出している。この突出部22をスパウトベース4の肩部43に強制的に係合させることにより、リング部2がスパウトベース4に係止(嵌合)する。すなわち、突出部22は、リング部2をスパウトベース4に係止するための係止用端部として機能する。このリング部2は、複数の連結部3を介して、キャップ本体部10に連結している。
【0042】
複数の連結部3は、複数の対30(本実施形態では4つの対30)から構成されている。複数の対30は、キャップ本体部10とリング部2との間の所定の間隔33において、スパウトキャップ1(リング部2)の周方向に互いに離間し、かつスパウトキャップ1(リング部2)の径方向に延在するように設けられている。なお、本実施形態では、複数の対30は、互いに等間隔に設けられ、
図3に示すように、突出部22同士の間(中間)に設けられている。このような複数の対30は、それぞれ、第1の連結部31と、第1の連結部31の幅よりも大きい幅を有する第2の連結部32とで構成されている。
【0043】
この第1の連結部31の上面(第1連結上面311)および第2の連結部32の上面(第2連結上面321)は、それぞれ、リング部2の環上面24と同一平面上に位置し、平坦面を構成している(
図5参照)。換言すると、第1連結上面311および第2連結上面321は、それぞれ、リング部2の環上面24と面一をなしている。さらに、第1連結上面311および第2連結上面321は、リング部2の内面(内周面23)に対して、直角(ほぼ直角)になるように設けられている。一方、この第1の連結部31の下面(第1連結下面312(図示せず))および第2の連結部32の下面(第2連結下面322)は、それぞれ第1連結上面311および第2連結上面321に対して傾斜している。
【0044】
このような第1の連結部31および第2の連結部32は、
図6に示すように、それぞれの幅(キャップ本体部10の中心軸方向から見たときの幅)が、リング部2からキャップ本体部10に向かって漸減している。また、第1の連結部31および第2の連結部32は、
図5に示すように、それぞれの厚さ(キャップ本体部10の中心軸方向の厚さ)が、リング部2からキャップ本体部10に向かって漸減している。なお、第1の連結部31の厚さは、図示していないが、第2の連結部32と同様に漸減している。これにより、複数の連結部3が破断した際(初期開封の際)、複数の連結部3はキャップ本体部10側ではなくリング部2側に残る。すなわち、複数の連結部3は、後述するように、容器5が未開封であることを確認するための破断部(複数の破断部)として機能する。
【0045】
以上に説明したスパウトキャップ1は、射出成型機を使用して一体成型される。すなわち、上金型と下金型とにより形成されたキャビティ内に合成樹脂(熱可塑性樹脂)が射出される。射出された樹脂がキャビティ内を流れていくことによりスパウトキャップ1が一体成型される。
【0046】
スパウトキャップ1を成型する合成樹脂としては、前述したスパウトベース4を成型するための合成樹脂と同様の合成樹脂を用いることができる。その中でも、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリエチレンが特に好ましい。
【0047】
これにより、適度な硬さ(柔軟性)を有するスパウトキャップ1を提供することができる。その結果、スパウトキャップ1とスパウトベース4との係合が容易なスパウト組立体100を提供することができる。次に、スパウト組立体100の作用・効果について説明する。
【0048】
スパウト組立体100は、スパウトキャップ1とスパウトベース4とが強制的に嵌合することで形成される。具体的に、スパウトキャップ1をスパウトベース4に螺合させていくと、リング部2に設けられた突出部22の湾曲面222と、スパウトベース4に設けられた肩部43の漸減部432とが当接する。この状態から、スパウトキャップ1をスパウトベース4に螺合していくのみでは、突出部22と漸減部432とが滑合するとともに複数の連結部3に応力がかかり、複数の連結部3が破断してしまう可能性がある。
【0049】
このため、例えば金型の一部を用いて、リング部2の環上面24をスパウトベース4に向かって押し込みながら、スパウトキャップ1をスパウトベース4に螺合させていく。これにより、複数の連結部3に発生する応力を軽減しながら、突出部22の湾曲面222と、肩部43の漸減部432および肩側面433とが滑合し、その後、リング部2の内周面23と肩部43の肩側面433とが当接するとともに、突出部22の突出上面221と肩部43の肩下面434とが当接する。その結果、複数の連結部3を破断させることなく、スパウトキャップ1をスパウトベース4に強制的に嵌合させることができる。
【0050】
これらが嵌合したとき、肩部43の肩側面433がリング部2の内周面23に対して平行(ほぼ平行)となっている。すなわち、肩側面433が肩部43の中心軸に平行(ほぼ平行)に設けられている。これにより、突出部22(リング部2)を肩部43(スパウトベース4)に容易に嵌合させることができ、かつリング部2がスパウトベース4から離脱し難くなっている。
【0051】
このような効果をより顕著に発揮させる観点から、突出部22の厚さ(キャップ本体部10の中心軸方向の厚さ)は、肩部43の厚さにもよるが、肩部43の厚さが前述した範囲内である場合、0.6mm以上1.2mm以下であることが好ましく、0.8mm以上1.0mm以下であることがより好ましい。また、突出部22の厚さをXとし、肩部43の厚さをYとしたとき、X/Yが、0.5以上1.2となることが好ましく、0.6以上1.0以下であることがより好ましく、0.8以上0.9以下であることが特に好ましい。
【0052】
上述したように、スパウトキャップ1をスパウトベース4に嵌合させることにより、容器5が未開封の状態であることを確認することができる。すなわち、リング部2が肩部43に嵌合した状態で、複数の連結部3がキャップ本体部10とリング部2とを連結しているため、容器5が未開封であることを確認することができる。
【0053】
具体的に、複数の連結部3は、容器5が未開封の状態では、キャップ本体部10とリング部2とを連結しているが、キャップ本体部10とリング部2(スパウトベース4)とを相対的に回転(スパウトキャップ1のスパウトベース4への装着時とは反対に回転)させて容器5を開封する際には、キャップ本体部10とリング部2との連結が解除され(複数の連結部3が破断して)、複数の連結部3は、キャップ本体部10から切り離される。これにより、容器5が初期開封されたことを確認することができ、いわゆるピルファープルーフ機能が働く。
【0054】
このように、複数の連結部3は、容器5の初期開封を確認するための機能を有しているが、容器5の初期開封を容易に行うことができるように細いことが好ましい。しかしながら、複数の連結部3が細くなりすぎると、スパウトキャップ1の製造過程で複数の連結部3が破断して歩留まりが悪化したり、流通過程で複数の連結部3が破断してスパウトキャップ1が取り付けられた製品が不良品となるおそれがある。
【0055】
また、スパウトキャップ1を成型するために金型に樹脂を流す際、複数の連結部3が細すぎると、複数の連結部3に対応する金型の部分で樹脂が流れ難くなり、スパウトキャップ1の成型が不可能になるおそれがある。すなわち、複数の連結部3が細すぎると、複数の連結部3に対応するキャビティ内で樹脂が流れ難くなる。その結果、スパウトキャップ1の成型が不可能になるおそれがある。なお、複数の連結部3が水平方向に設けられているため(リング部2の環上面24と面一をなしているため)、所定の間隔33をつくるための割り子は必要ない。
【0056】
これに対して、本実施形態のスパウトキャップ1は、初期開封を容易にするために望ましい幅を有する第1の連結部31と、第1の連結部31の幅よりも大きい幅、すなわち、上述した樹脂の流れが円滑になる幅を有する第2の連結部32とで構成される対(組)30を4つ(複数)有している。このように幅の異なる第1の連結部31と第2の連結部32とを組み合わせることにより、第1の連結部31と第2の連結部32とが相互に補完し合う。
【0057】
これにより、容易な初期開封およびその確認と、歩留まりの改善とを両立することができる。また、流通過程で複数の連結部3が破断することを防止することができるため、スパウトキャップ1が取り付けられた製品が不良品となることを抑制または防止することができる。また、スパウトキャップ1の成型時に樹脂が滞るという問題も解消される。
【0058】
また、
図6に示すように、第2の連結部32は、スパウトキャップ1の周方向において、回り止め部17に対応して設けられている。すなわち、第2の連結部32と回り止め部17とは、スパウトキャップ1の径方向から見たとき、重なっている。これにより、スパウトキャップ1の成型後にスパウトキャップ1からメネジ部14を成形した金型部品(ネジコア)を回転させて取り外す際、回り止め部17を起点として発生する応力を、主として第2の連結部32で受け止めることができる。そのため、複数の連結部3が成型時に破断することを抑制することができる。その結果、スパウトキャップ1の歩留まりを大きく改善することができる。
【0059】
上述した効果をより顕著に発揮させる観点から、第1の連結部31の最小の幅に対する第2の連結部32の最小の幅の比率は、1.2以上2.5以下であることが好ましく、1.5以上1.8以下であることがより好ましい。また、第1の連結部31および第2の連結部32の長さ、すなわち所定の間隔33の距離は、スパウトキャップ1の大きさ(直径)にもよるが、スパウトキャップ1の直径が15mm〜25mm程度である場合、0.5mm以上1.2mm以下であることが好ましく、0.8mm以上1.0mm以下であることがより好ましい。
【0060】
<第2実施形態>
次に、本発明のスパウトキャップの第2実施形態について説明する。
図8は、本発明のスパウトキャップの第2実施形態を示す平面図である。なお、
図8中の紙面手前側を「上」または「上方」といい、
図8中の紙面奥側を「下」または「下方」という。以下、第2実施形態のスパウトキャップ1Aについて、前記第1実施形態のスパウトキャップ1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0061】
図8に示すスパウトキャップ1Aは、第1実施形態の複数の対30の構成と異なる構成の複数の対30Aが設けられていること以外は、
図1に示すスパウトキャップ1と同様である。すなわち、複数の対30Aは、それぞれ、第1の連結部31と、2つの第2の連結部32とで構成され、キャップ本体部10とリング部2との間の所定の間隔33に設けられている。このように、本明細書において、対という用語は、2つそろって一組をなすものを意味するとともに、2つ以上を取り合わせたひとまとまりのものを意味する用語としても使用している。
【0062】
このような複数の対30Aを有するスパウトキャップ1A、およびこれを備えるスパウト組立体であっても、第1実施形態のスパウトキャップ1およびスパウト組立体100と同様の効果を発揮することができる。
【0063】
以上、本発明のスパウト組立体およびスパウトキャップを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、スパウト組立体およびスパウトキャップを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。例えば、容器としては、ペットボトルや瓶、紙容器等であってもよく、容器の形状や種類に応じてスパウトベースの形状や取付位置を変更してもよい。また、任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0064】
各実施形態では、複数の対30、30Aが4つの場合について説明したが、これに限定されない。複数の対30、30Aの数は、2以上であれば、特に限定されない。また、各実施形態では、複数の対30、30Aが等間隔に設けられているが、不規則に設けられていてもよい。また、突出部はリング部の下端部から突出しているが、下部周辺から突出していてもよい。また、複数の連結部は、それぞれの幅および厚さが漸減しているが、それぞれの幅または厚さの一方のみが漸減していてもよい。なお、本明細書において、直角、平行という用語は、ほぼ直角、ほぼ平行という意味も含む用語として使用している。