特許第6539626号(P6539626)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立建機株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6539626-作業機械 図000002
  • 特許6539626-作業機械 図000003
  • 特許6539626-作業機械 図000004
  • 特許6539626-作業機械 図000005
  • 特許6539626-作業機械 図000006
  • 特許6539626-作業機械 図000007
  • 特許6539626-作業機械 図000008
  • 特許6539626-作業機械 図000009
  • 特許6539626-作業機械 図000010
  • 特許6539626-作業機械 図000011
  • 特許6539626-作業機械 図000012
  • 特許6539626-作業機械 図000013
  • 特許6539626-作業機械 図000014
  • 特許6539626-作業機械 図000015
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6539626
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20190625BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   E02F9/22 R
   E02F9/20 M
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-182200(P2016-182200)
(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公開番号】特開2018-44414(P2018-44414A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2018年7月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】特許業務法人開知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森川 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】井村 進也
(72)【発明者】
【氏名】西川 真司
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−532782(JP,A)
【文献】 特開平11−036376(JP,A)
【文献】 特開2005−016228(JP,A)
【文献】 特開平09−144070(JP,A)
【文献】 特開昭63−075223(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0167552(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20−9/22
E02F 3/42−3/43
E02F 3/84−3/85
B66C 23/00−23/94
F15B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部構造体、前記基部構造体の上部に旋回可能に設けられた旋回体、前記旋回体に取り付けられた作業機、前記旋回体を駆動する旋回モータ、前記旋回モータを駆動する圧油を吐出する可変容量型の油圧ポンプ、前記油圧ポンプの吐出流量を調整するレギュレータ、前記油圧ポンプから前記旋回モータに供給される圧油を制御する方向切換弁、操作に応じた操作信号を生成し前記方向切換弁を駆動する操作装置を備えた作業機械において、
前記操作装置の操作量である旋回操作量を検出する操作量センサと、
前記旋回体及び前記作業機の慣性モーメントの演算の基礎となる状態量を検出する複数の状態量センサと、
前記旋回操作量に応じて前記油圧ポンプの目標最大流量を演算する目標最大流量演算部と、
前記複数の状態量センサで検出された状態量に基づき前記慣性モーメントを演算する慣性モーメント演算部と、
前記慣性モーメント、前記旋回操作量、及び前記油圧ポンプに対する指令流量の増加率の三者について予め定めた関係に従い、前記慣性モーメント演算部で演算された慣性モーメント及び前記操作量センサで検出された旋回操作量に基づいて前記増加率を演算する流量増加率演算部と、
前記目標最大流量演算部で演算された目標最大流量を上限として、前記流量増加率演算部で演算した増加率に基づいて前記指令流量を演算する指令流量演算部と、
前記指令流量演算部で演算した指令流量に応じて前記レギュレータに指令信号を出力する出力部とを備えたことを特徴とする作業機械。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機械において、前記流量増加率演算部は、
前記旋回操作量の増加に伴って値が大きくなる既定の関係に従って、前記操作量センサで検出された旋回操作量に基づいて前記増加率の基準値を演算する基準増加率演算部と、
前記慣性モーメントの増加に伴って値が小さくなる既定の関係に従って、前記慣性モーメント演算部で演算された慣性モーメントに基づいて係数を演算する係数演算部と、
前記基準増加率演算部で演算された基準値に前記係数演算部で演算された係数を乗じて前記増加率を演算する乗算部とを備えていることを特徴とする作業機械。
【請求項3】
請求項1に記載の作業機械において、前記指令流量演算部は、
前記油圧ポンプのスタンバイ流量を初期値として、旋回操作開始から前記増加率を積算して目標流量を演算する目標流量演算部と、
前記目標流量演算部で演算された目標流量と前記目標最大流量演算部で演算された目標最大流量の小さい方の値を選択して前記指令流量として出力する最小値選択部とを備えていることを特徴とする作業機械。
【請求項4】
請求項1に記載の作業機械において、前記指令流量演算部は、
旋回操作の継続時間を演算する操作時間演算部と、
前記慣性モーメント演算部で演算された慣性モーメントに基づいて前記指令流量を増加させるタイミングを遅らせる遅延時間を演算する遅延時間演算部と、
前記油圧ポンプのスタンバイ流量を初期値として、前記旋回操作の継続時間が前記遅延時間に到達してから前記増加率を積算して目標流量を演算する目標流量演算部と、
前記目標流量演算部で演算された目標流量と前記目標最大流量演算部で演算された目標最大流量の小さい方の値を選択して前記指令流量として出力する最小値選択部とを備えていることを特徴とする作業機械。
【請求項5】
請求項1に記載の作業機械において、
前記流量増加率演算部は、第1増加率及びこれよりも値が大きい第2増加率を演算し、
前記指令流量演算部は、
前記油圧ポンプのスタンバイ流量を初期値として、旋回操作開始時から前記第1増加率を積算して第1流量を演算する第1流量演算部と、
旋回操作の継続時間を演算する操作時間演算部と、
前記慣性モーメント演算部で演算された慣性モーメントに基づいて前記指令流量を増加させるタイミングを遅らせる遅延時間を演算する遅延時間演算部と、
前記油圧ポンプのスタンバイ流量を初期値として、前記旋回操作の継続時間が前記遅延時間に到達してから前記第2増加率を積算して第2流量を演算する第2流量演算部と、
前記第1流量と前記第2流量の大きい方の値を選択し目標流量として出力する最大値選択部と、
前記最大値選択部から出力された目標流量と前記目標最大流量演算部で演算された目標最大流量の小さい方の値を選択して前記指令流量として出力する最小値選択部とを備えていることを特徴とする作業機械。
【請求項6】
請求項1に記載の作業機械において、
前記作業機は、ブーム、前記ブームに連結されたアーム、前記ブームを駆動するブームシリンダ、及び前記アームを駆動するアームシリンダを備えており、
前記複数の状態量センサは、前記旋回体と前記ブームのなす角度を検出するブーム角度センサ、前記ブームと前記アームのなす角度を検出するアーム角度センサ、前記ブームシリンダの負荷圧を検出する少なくとも1つの圧力センサを含み、
前記慣性モーメント演算部は、前記ブーム角度センサ及び前記アーム角度センサの値から求めた前記作業機の姿勢と、前記圧力センサの値から求めた積荷の重量とに基づいて前記慣性モーメントを演算することを特徴とする作業機械。
【請求項7】
請求項1に記載の作業機械において、
前記作業機は、ブーム、前記ブームに連結されたアーム、前記ブームを駆動するブームシリンダ、及び前記アームを駆動するアームシリンダを備えており、
前記複数の状態量センサは、前記ブームシリンダの伸長量を検出するブームストロークセンサ、前記アームシリンダの伸長量を検出するアームストロークセンサ、前記ブームシリンダの前後差圧を検出する少なくとも1つの圧力センサを含み、
前記慣性モーメント演算部は、前記ブームストロークセンサ及び前記アームストロークセンサの値から求めた前記作業機の姿勢と、前記圧力センサの値から求めた積荷の重量とに基づいて前記慣性モーメントを演算することを特徴とする作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の作業機械に関し、特に旋回動作についてポンプ流量制御(容量制御)を行う作業機械に係る。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の作業機械においては、走行体等の基部構造体に対して旋回体が旋回するように構成されたものがある。旋回体には、作業機や原動機、油圧ポンプ、各種タンク類、熱交換器類、電気機器類、運転室等の各種設備が搭載される。また、掘削した大量の土砂等の積荷の重量が作業機に掛かる。そのため作業機及びその積荷を含めた旋回体の慣性モーメントは大きく、例えば旋回初動時には油圧ポンプの吐出圧が上昇し、リリーフ弁を介して一部の圧油が作動油タンクに排出されることによる流量損失が発生することがある。それに対し、旋回動作に関してポンプの吐出流量を制御するに当たって、旋回体の慣性モーメントに応じて吐出流量の増加率を制限することで、リリーフ弁を介する作動油の排出流量を低減する技術が開示されている(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2013−532782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では吐出流量の増加率が慣性モーメントのみに依存して制限され、同一慣性モーメントの条件下では操作量によらず増加率が一定になる場合がある。具体的には、同文献では慣性モーメントが所定値より大きければ吐出流量の増加率が下がり、所定値よりも小さければ増加率が上がるようにしている。そのため、例えば旋回体の慣性モーメントが小さい場合、ゆっくりと慎重に旋回させるべく小さくレバー操作をしても、吐出流量が操作量によらず慣性モーメントで決まり、操作者の意図に反して旋回角加速度が大きくなることがある。
【0005】
本発明は、慣性モーメント及び操作量に応じて旋回動作用のポンプ吐出流量の増加率を制御することで、旋回動作に関してエネルギー効率と操作性を両立させることができる作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、基部構造体、前記基部構造体の上部に旋回可能に設けられた旋回体、前記旋回体に取り付けられた作業機、前記旋回体を駆動する旋回モータ、前記旋回モータを駆動する圧油を吐出する可変容量型の油圧ポンプ、前記油圧ポンプの吐出流量を調整するレギュレータ、前記油圧ポンプから前記旋回モータに供給される圧油を制御する方向切換弁、操作に応じた操作信号を生成し前記方向切換弁を駆動する操作装置を備えた作業機械において、前記操作装置の操作量である旋回操作量を検出する操作量センサと、前記旋回体及び前記作業機の慣性モーメントの演算の基礎となる状態量を検出する複数の状態量センサと、前記旋回操作量に応じて前記油圧ポンプの目標最大流量を演算する目標最大流量演算部と、前記複数の状態量センサで検出された状態量に基づき前記慣性モーメントを演算する慣性モーメント演算部と、前記慣性モーメント、前記旋回操作量、及び油圧ポンプに対する指令流量の増加率の三者について予め定めた関係に従い、前記慣性モーメント演算部で演算された慣性モーメント及び前記操作量センサで検出された旋回操作量に基づいて前記増加率を演算する流量増加率演算部と、前記目標最大流量演算部で演算された目標最大流量を上限として、前記流量増加率演算部で演算した増加率に基づいて指令流量を演算する指令流量演算部と、前記指令流量演算部で演算した指令流量に応じて前記レギュレータに指令信号を出力する出力部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、慣性モーメント及び操作量に応じて旋回動作用のポンプ吐出流量の増加率を制御することで、旋回動作に関してエネルギー効率と操作性を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明に係る作業機械の一例である油圧ショベルの外観構成を表す斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る作業機械に備えられた油圧システムの要部を表す回路図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る作業機械に備えられたポンプコントローラの模式図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る作業機械に備えられた基準増加率演算部に読み込まれる制御テーブルの一例を表す図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る作業機械に備えられた係数演算部に読み込まれる制御テーブルの一例を表す図である。
図6】本発明の第1実施形態に係る作業機械に備えられたポンプコントローラによるポンプ吐出流量の制御手順を表すフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態に係る作業機械に備えられたポンプコントローラの模式図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る作業機械に備えられたポンプコントローラによるポンプ吐出流量の制御手順を表すフローチャートである。
図9】本発明の第3実施形態に係る作業機械に備えられたポンプコントローラの模式図である。
図10】本発明の第3実施形態に係る作業機械に備えられた基準増加率演算部に読み込まれる制御テーブルの一例を表す図である。
図11】本発明の第3実施形態に係る作業機械に備えられた係数演算部に読み込まれる制御テーブルの一例を表す図である。
図12】本発明の第3実施形態に係る作業機械に備えられたポンプコントローラによるポンプ吐出流量の制御手順を表すフローチャートである。
図13】旋回時のポンプ吐出圧の時間変化を示した図である。
図14】本発明の変形例に係る作業機械に備えられた油圧システムの要部を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
<第1実施形態>
(1−1)作業機械
図1は本発明の各実施形態に係る作業機械の一例である油圧ショベルの外観構成を表す斜視図である。以下の説明において断り書きのない場合は運転席の前方(同図中では左方向)を機体の前方とする。但し、油圧ショベルの例示は本発明の適用対象を限定するものではなく、基部構造体に対して旋回する旋回体を有する作業機械であれば、クレーン等の他種の作業機械にも本発明は適用され得る。
【0011】
図示した油圧ショベルは、走行体1、走行体1上に設けた旋回体2、及び旋回体2に取り付けた作業機(フロント作業機)3を備えている。走行体1は作業機械の基部構造体であり、左右の履帯4により走行するクローラ式の走行体である。但し、固定式の作業機械の場合には、地面に固定したポスト等を走行体に代わる基部構造体として備える場合がある。旋回体2は旋回輪6を介して走行体1の上部に設けられ、左側前部に運転室7を備えている。運転室7内には、オペレータが座る座席(不図示)、及びオペレータが操作する操作装置(図2の操作装置34,35等)が配置されている。作業機3は、旋回体2の前部に回動可能に取り付けたブーム11、ブーム11の先端に回動可能に連結したアーム12、及びアーム12の先端に回動可能に連結したバケット13を備えている。
【0012】
油圧ショベルはまた、左右の走行モータ15、旋回モータ16、ブームシリンダ17、アームシリンダ18及びバケットシリンダ19を油圧アクチュエータとして備えている。左右の走行モータ15は、走行体1の左右の履帯4をそれぞれ駆動する。旋回モータ16は旋回輪6を駆動して走行体1に対して旋回体2を旋回駆動させる。ブームシリンダ17はブーム11を上下に駆動する。アームシリンダ18はアーム12をダンプ側(開く側)及びクラウド側(掻き込む側)に駆動する。バケットシリンダ19はバケット13をダンプ側及びクラウド側に駆動する。
【0013】
(1−2)油圧システム
図2は本発明の第1実施形態に係る作業機械に備えられた油圧システムの要部を表す回路図である。同図に示したように、図1に示した作業機械には、エンジン21、油圧ポンプ22,23、レギュレータ24,25、パイロットポンプ27、タンク28、方向切換弁31,32、シャトル弁33、操作装置34,35等が備わっている。また、作業機械は、操作量センサ41,42、角度センサ43,44、圧力センサ45,46及びポンプコントローラ47を備えている。
【0014】
(1−2.1)エンジン
エンジン21は原動機であってディーゼルエンジン等の内燃機関であり、出力軸が油圧ポンプ22,23及びパイロットポンプ27と同軸に連結されていて、油圧ポンプ22,23及びパイロットポンプ27を駆動する。エンジン21の回転数はエンジンコントローラダイヤル(不図示)によって設定され、エンジン制御装置(不図示)によって制御される。なお、本実施形態では原動機としてエンジン21を用いた場合を例示しているが、電動モータ、又は電動モータ及び内燃機関を原動機として用いる場合もある。
【0015】
(1−2.2)ポンプ
油圧ポンプ22,23は可変容量型であり、タンク28に貯留された作動油を吸い込んで旋回モータ16やブームシリンダ17を含む前述した油圧アクチュエータを駆動する圧油として吐出する。特に図示していないが、油圧ポンプ22,23の吐出管路にはリリーフ弁が設けられており、これらリリーフ弁によって吐出管路の最大圧が規定されている。パイロットポンプ27は固定容量型で、油圧パイロット式の操作装置34,35等で生成される操作信号(油圧信号)の元圧を出力する。本実施形態ではパイロットポンプ27はエンジン21で駆動されるものとするが、別途設けたモータ(不図示)等で駆動される構成とする場合もある。
【0016】
なお、本実施形態では油圧ポンプ22が複数の油圧アクチュエータのうち旋回モータ16のみに圧油を供給する回路構成を例示しているが、油圧ポンプ22が吐出する圧油が他の油圧アクチュエータにも供給され得る構成であっても良い。但しその場合、旋回操作がされたとき、旋回モータ16には特定の油圧ポンプから圧油が供給され、旋回モータ16に圧油を供給している間、その特定の油圧ポンプから他の油圧アクチュエータには圧油が供給されない油圧回路とする。これは、例えば油圧ポンプ22,23の吐出管路と各油圧アクチュエータのアクチュエータ管路との接続関係を制御するコントロールバルブ(不図示)を設け、旋回操作信号に基づいてコントロールバルブを制御することで実現できる。
【0017】
(1−2.3)レギュレータ
レギュレータ24,25は、それぞれ油圧ポンプ22,23の吐出流量を調整する装置であり、油圧ポンプ22,23の可変容量機構に連結されたサーボピストン(不図示)や電磁弁48を備えている。電磁弁48は比例電磁弁であり、ポンプコントローラ47の指令信号で駆動され、旋回用の操作装置34の操作信号を減圧して生成した流量指令信号をサーボピストン又はこれを制御する制御弁(不図示)に出力し、油圧ポンプ22の吐出流量を制御する。なお、電磁弁48が出力する流量指令信号の元圧は操作装置34の操作信号に限らず、例えばパイロットポンプ27の吐出圧であっても良い。
【0018】
(1−2.4)方向切換弁
方向切換弁31,32は、油圧ポンプ22,23から旋回モータ16やブームシリンダ17等の油圧アクチュエータに供給される圧油の方向及び流量を制御する制御弁であり、それぞれ油圧ポンプ22,23の吐出管路上に設けられている。図2では旋回モータ16及びブームシリンダ17に対応する方向切換弁31,32のみを図示しているが、アームシリンダ18等の他の油圧アクチュエータに対応する方向切換弁も存在する。本実施形態の方向切換弁31,32はセンタバイパスを有しており、中央の中立位置では油圧ポンプ22,23が吐出する圧油は全てタンク28に戻る。例えば図2で方向切換弁31,32のスプールが右側に移動すると、油圧ポンプ22,23が吐出される圧油のうちアクチュエータ管路16a,17aに供給される圧油の割合が増加し、旋回モータ16は一方向に回転し、ブームシリンダ17は伸長する。反対に左側にスプールが移動すると、アクチュエータ管路16b,17bに供給される圧油の割合が増加し、旋回モータ16は他方向に回転し、ブームシリンダ17は収縮する。
【0019】
(1−2.5)操作装置
操作装置34,35は旋回モータ16、ブームシリンダ17の動作を指示する操作信号を生成する装置であり、本実施形態では油圧パイロット式のレバー操作装置を用いている。操作装置34,35は操作レバーで減圧弁を操作する構成である。図2では旋回用の操作装置34とブーム用の操作装置35のみを図示しているが、アームシリンダ18等の他の油圧アクチュエータの動作をそれぞれ指示する操作装置も別途存在する。旋回用の操作装置34を例に挙げて説明すると、操作レバーを一方側に傾斜操作すると操作量に応じてパイロットポンプ27の吐出圧が減圧され、これにより生成された操作信号が信号ライン34aに出力される。反対に操作レバーを他方側に傾斜操作すると、操作量に応じた圧力の操作信号が信号ライン34bに出力される。操作装置34から出力された操作信号は、信号ライン34a又は34bを介して方向切換弁31の対応するパイロット受圧部に入力され、これにより方向切換弁31が駆動されて旋回モータ16が操作に応じて動作する。
【0020】
(1−2.6)シャトル弁
シャトル弁5は、旋回用の操作装置の信号ライン34a,34b上(厳密には信号ライン34a,34bから分岐した信号ライン)に設けられた例えば高圧選択弁であり、信号ライン11b,11cの高い方の圧力(操作信号)を選択して電磁弁48に出力する。従って、操作装置34の操作レバーがいずれかの方向に操作されれば、そのレバー操作により生成される操作信号がシャトル弁5を介して流量指令信号の元圧として電磁弁48に出力される。
【0021】
(1−2.7)センサ
操作量センサ41,42は、旋回用の操作装置34の操作量(旋回操作量)を検出する検出器であり、本実施形態では圧力センサを用いている。操作量センサ41,42によって、それぞれ操作装置34の信号ライン34a,34bの圧力(旋回操作量Ps)が検出される。なお、操作量センサ41,42には、圧力センサの他に操作レバーの角度を検出する角度センサ等、他の方式のセンサを用いることもできる。
【0022】
角度センサ43,44及び圧力センサ45,46は、旋回体2、作業機3及び作業機3の積荷からなる回転体(旋回体2及びこれと共に走行体1に対して旋回する要素)の慣性モーメントの演算の基礎となる状態量を検出する複数の状態量センサである。慣性モーメントは回転体の姿勢と重量で変化する。作業機3の姿勢を演算するための情報を検出するのが角度センサ43,44、回転体の重量(バケット13に掬い込まれた土砂等の積荷重量を含む)を演算するための情報を検出するのが圧力センサ45,46である。具体的には、角度センサ43は旋回体2とブーム11のなす角度θ1を検出する角度センサ、角度センサ44はブーム11とアーム12のなす角度θ2を検出する角度センサである。圧力センサ45,46はブームシリンダ17の負荷圧を検出する圧力センサであり、圧力センサ45はブームシリンダ17のボトム圧P1、圧力センサ46はブームシリンダ17のロッド圧P2を検出する。本実施形態では2つの圧力センサ45,46を用いてブームシリンダ17の前後差圧を検出する構成としているが、代わりに差圧計を用いても良い。また、単一の圧力センサを用いてブーム11の重量が掛かる方の油室又はアクチュエータ管路(本実施形態ではボトム側油室又はこれに接続するアクチュエータ管路)の圧力を検出する構成としても良い。
【0023】
操作量センサ41,42、角度センサ43,44及び圧力センサ45,46の検出信号は、ポンプコントローラ47に出力される。
【0024】
(1−2.8)ポンプコントローラ
図3は本実施形態に係るポンプコントローラの模式図である。ポンプコントローラ47は、操作量センサ41,42、角度センサ43,44及び圧力センサ45,46の検出信号を入力し、これらに基づいてレギュレータ24(電磁弁48)に指令信号Sfを出力し油圧ポンプ22の吐出流量を制御する制御装置である。ポンプコントローラ47は、作業機械全体の動作を制御する機体コントローラ(不図示)に包含される。
【0025】
ポンプコントローラ47は、入力部51、記憶部52、目標最大流量演算部53、慣性モーメント演算部54、流量増加率演算部55、指令流量演算部56及び出力部57を備えている。
【0026】
・入力部
入力部32は、操作量センサ41又は42の検出信号である旋回操作量Ps、角度センサ43,44の検出信号である角度θ1,θ2、及び圧力センサ45,46の検出信号である圧力P1,P2を入力する処理部である。
【0027】
・記憶部
記憶部52は、電磁弁48に対する指令信号Sfを演算し出力するために必要な制御テーブル等の情報、プログラム、演算結果等を記憶している。
【0028】
・目標最大流量演算部
目標最大流量演算部53は、操作量センサ41又は42で検出された旋回操作量Psに応じて旋回モータ16の目標最大流量Qmaxを演算する処理部である。旋回操作量Psと目標最大流量Qmaxの間には、例えば旋回操作量Psの増加に伴って目標最大流量Qmaxが単調に増加するような関係が予め設定されており、この関係を規定した制御テーブルが記憶部52に記憶されている。目標最大流量演算部53は、記憶部52から該当する制御テーブルを読み込み、制御テーブルに従って旋回操作量Psに応じた目標最大流量Qmaxを演算し、指令流量演算部56に出力する。目標最大流量Qmaxは、旋回操作量Psに応じて油圧ポンプ22に出力させ得る吐出流量の最大値であり、本実施形態では目標最大流量Qmaxを上限として所定の増加率でポンプ吐出流量が増加してゆく。
【0029】
・慣性モーメント演算部
慣性モーメント演算部54は、角度センサ43,44及び圧力センサ45,46で検出された状態量(角度θ1,θ2、圧力P1,P2)に基づき慣性モーメントNを演算する処理部である。この慣性モーメント演算部54は、角度センサ43,44で検出された角度θ1,θ2から作業機3の姿勢を演算し、圧力センサ45,46で検出された圧力P1,P2からバケット13の積荷の重量(又は回転体の重量)を求める。そして、これら作業機3の姿勢とバケット13の積荷を含めた回転体の重量とに基づいて、慣性モーメント演算部54によって回転体の慣性モーメントNが演算される。
【0030】
・流量増加率演算部
流量増加率演算部55は、慣性モーメント演算部54で演算された慣性モーメントN及び操作量センサ41又は42で検出された旋回操作量Psに基づいて油圧ポンプ22の指令流量(油圧ポンプ22に対する指令流量)の増加率dQを演算する。増加率dQは、油圧ポンプ22の目標流量Q’(t)の単位時間当たりの増加量である。本実施形態の場合、後述するように所定のサイクルタイム(例えば0.1s)で所定の処理を繰り返し実行して油圧ポンプ22に対する指令流量Q(t)を更新してゆくので、dQはサイクルタイム当たりの増加量と言える。指令流量Q(t)は、処理サイクル(後述)毎にポンプコントローラ47が指令する油圧ポンプ22の吐出流量(指令値)であり、旋回操作量Psが変わらなくても目標最大流量Qmaxを超えない範囲でサイクルタイム毎に増加する。また、慣性モーメントN、旋回操作量Ps及び増加率dQの三者の関係は予め定めてあり、その関係を規定した制御テーブルが記憶部52に記憶されている。流量増加率演算部55では、記憶部52から該当する制御テーブルが読み込まれ、制御テーブルに従って慣性モーメントN及び旋回操作量Psに基づいて増加率dQが演算される。
【0031】
目標流量の増加率dQを演算するための一構成例を説明する。本実施形態においては、流量増加率演算部55は、基準増加率演算部61、係数演算部62及び乗算部63を備えている。
【0032】
基準増加率演算部61は、既定の関係(図4参照)を定めた制御テーブルに従って、操作量センサ41又は42で検出された旋回操作量Psに基づいて増加率dQの基準値yを演算する処理部である。図4では旋回操作量Psの増加に伴って増加率dQの基準値yが大きくなる関係を例示しており、旋回操作量Psが0から大きくなるにつれて基準値yも0から単調に増加するようにしてある。図4では基準値yを曲線で定義しているが、折れ線を含む直線で定義することもできる。
【0033】
係数演算部62は、既定の関係(図5参照)を定めた制御テーブルに従って、慣性モーメント演算部54で演算された慣性モーメントNに基づいて係数αを演算する処理部である。図5では慣性モーメントNの増加に伴って係数αの値が小さくなる関係を例示しており、係数αは最小の慣性モーメントNminの時が最大(=1)で、慣性モーメントNが大きくなるにつれて単調に減少するようにしてある。図5では係数αを曲線で定義しているが、折れ線を含む直線で定義することもできる。なお、最小の慣性モーメントNminは、空荷状態(バケット13に土砂等が全く入っていない状態)で作業機3が抱え込み姿勢(作業機3の旋回半径が最小となる姿勢)の場合の値である。
【0034】
乗算部63は、基準増加率演算部61で演算された基準値yに係数演算部62で演算された係数αを乗じて増加率dQを演算する処理部である。つまり、流量増加率演算部55では、旋回操作量Psに応じた基準値yに慣性モーメントNに応じた係数αを乗じて目標流量Q’(t)の増加率dQが演算される。演算される増加率dQは、旋回操作量Psが大きい程大きくなる一方で、慣性モーメントNが大きい程小さくなる。
【0035】
・指令流量演算部
指令流量演算部56は、目標最大流量演算部53で演算された目標最大流量Qmaxを上限(目標)として、流量増加率演算部55で演算した増加率dQに基づいて指令流量Q(t)を演算する処理部である。指令流量演算部56は、目標流量演算部64及び最小値選択部65の2つの処理部を含む。
【0036】
目標流量演算部64は、油圧ポンプ22のスタンバイ流量(待機流量)を初期値として、旋回操作開始から旋回操作の継続時間分の増加率dQを積算して目標流量Q’(t)を演算する。つまり、目標流量Q’(t)は、旋回操作開始時の吐出流量(スタンバイ流量)に、毎処理サイクルで演算される増加率dQがサイクルタイム毎に加算されて増加してゆく。スタンバイ流量とは、無操作時の油圧ポンプ22の吐出流量であり、レギュレータ24によってポンプ容量が最小(又は設定容量)に調整された状態の吐出流量である。
【0037】
最小値選択部65は、目標流量演算部64で演算された目標流量Q’(t)と目標最大流量演算部53で演算された目標最大流量Qmaxの小さい方の値を選択して指令流量Q(t)として出力する。指令流量Q(t)は、操作装置34の操作量が一定の条件では、目標最大流量Qmaxに到達するまではサイクルタイム毎に増加率dQずつ増加してゆき(Q(t)=Q’(t))、目標最大流量Qmaxに到達した後は一定となる(Q(t)=Qmax)。
【0038】
・出力部
出力部57は、指令流量演算部56で演算した指令流量Q(t)に応じて指令信号Sf(電流信号)を生成し、レギュレータ24(電磁弁48)に指令信号Sfを出力する。これにより電磁弁48のソレノイドが指令信号Sfで励磁され、レギュレータ24が作動して油圧ポンプ22の吐出流量が指令流量Q(t)に制御される。
【0039】
(1−3)動作
図6は本実施形態に係るポンプコントローラによるポンプ吐出流量の制御手順を表すフローチャートである。図6に示した一連の処理は、旋回操作量Psが入力されている間、ポンプコントローラ47によって所定のサイクルタイム(例えば0.1s)で繰り返し実行される。
【0040】
・START,ステップS101
操作装置34の操作レバーが操作されて旋回操作量Psが入力部51に入力されると、これがトリガとなってポンプコントローラ47により図6に示した処理が開始される。まず、ステップ101で、ポンプコントローラ47は、操作量センサ41又は42で検出された旋回操作量Ps、角度センサ43,44で検出された角度θ1,θ2、及び圧力センサ45,46で検出された圧力P1,P2を入力部51を介して入力する。更には、一つ前の処理サイクルの指令流量Q(t−1)を記憶部52から入力部51を介して読み込む。t=1の場合(最初の処理サイクル)のQ(t−1)は油圧ポンプ22のスタンバイ流量とする。
【0041】
・ステップS102,S103
続くステップS102では、ポンプコントローラ47は目標最大流量演算部53により、記憶部52から読み込んだ制御テーブルに従って旋回操作量Psに応じた目標最大流量Qmaxを決定する。また、ポンプコントローラ47は慣性モーメント演算部54により、角度θ1,θ2及び圧力P1,P2から回転体の慣性モーメントNを演算する。ステップS102,S103の処理は順序が逆であっても良いし、並行して実行されても良い。
【0042】
・ステップS104
続くステップ104では、ポンプコントローラ47は流量増加率演算部55により、旋回操作量Ps及び慣性モーメントNの値から指令流量の増加率dQを演算する。この場合、まずステップS101で入力した旋回操作量Psの値から指令流量増加率の基準値yが基準増加率演算部61で演算される(y=f(Ps)、図4参照)。また、ステップS103で求めた慣性モーメントNの値から指令流量増加率の係数αが係数演算部62で演算される(α=g(N)、図5参照)。そして、基準増加率演算部61で演算された基準値yに係数演算部62で演算された係数αを乗じることで、乗算部63により指令流量の増加率dQが演算される(dQ=α×y)。
【0043】
・ステップS105−S108
ステップS105に手順を移すと、ポンプコントローラ47は目標流量演算部64により、ステップS101で読み込んだ前サイクルの指令流量Q(t−1)にステップS104で演算した増加率dQを加算することで、目標流量Q’(t)を演算する。続くステップ106−S108で、ポンプコントローラ47は最小値選択部65により、ステップS102で演算した目標最大流量QmaxとステップS105で演算した目標流量Q’(t)を比較して、値の小さい方を選択して指令流量Q(t)として出力する。従って、本実施形態では、目標最大流量Qmaxを超えない範囲で目標流量Q’(t)が指令流量Q(t)となり、目標流量Q’(t)が目標最大流量Qmaxに到達して以降は目標最大流量Qmaxが指令流量Q(t)となる。
【0044】
・ステップS109−END
続くステップS109では、ポンプコントローラ47は出力部57により、指令流量演算部56で演算された指令流量Q(t)に応じて指令信号Sfを生成し、電磁弁48に指令信号Sfを出力する。これにより指令流量Q(t)が吐出されるように油圧ポンプ22の吐出流量が制御される。最後にステップS110で、ポンプコントローラ47は、ステップS107又はS108で演算した指令流量Q(t)を次のサイクルのステップS101で読み込む指令流量Q(t−1)として記憶部52に記憶させ、図6の一連の処理(1サイクル分)を終える。ステップS109,S110の処理は順序が逆になっても良いし、並行して実行されても良い。
【0045】
旋回操作量Psが入力されている間、以上の一連の処理が繰り返し実行されることで、旋回操作量Ps及び慣性モーメントNに応じた増加率dQで油圧ポンプ22から旋回モータ16に供給される圧油の流量が目標最大流量Qmaxを上限として増加してゆく。
【0046】
(1−4)効果
・エネルギー効率と操作性の両立
回転体の慣性モーメントNが大きいほど目標流量の増加率dQが小さくなるので、例えば回転体の慣性モーメントが大きい場合における旋回初動時等、旋回モータ16の要求流量に対する油圧ポンプ22の吐出流量の過度な上昇を抑制できる。従って、油圧ポンプ22の吐出管路の圧力の上昇を抑え、リリーフ弁を介する圧油の排出を抑えることができるので、流量損失の抑制によりエネルギー効率(燃費)を向上させることができる。
【0047】
また、慣性モーメントNのみに依存せず、旋回操作量Psによっても目標流量の増加率dQが変化する。具体的には、旋回操作量Psが大きいほど増加率dQが大きくなる。仮に慣性モーメントNのみで増加率dQを決定すると、例えば旋回体の慣性モーメントが小さい場合にゆっくり慎重に旋回作業を行うべく小さくレバー操作をしたとき、操作量によらず吐出流量が増加してゆくため操作者の意図に反して旋回角加速度が大きくなる。それに対し、本実施形態では旋回操作量Psが小さければ応じて基準値yも減少するので、慣性モーメントNによって係数αは増減するものの旋回操作量Psに応じて増加量dQは減少する。このように吐出流量の増加率dQが旋回操作量Psに応じるので、良好な操作性の確保することができる。
【0048】
以上、本実施形態によれば、慣性モーメントN及び旋回操作量Psに応じて旋回動作用のポンプ吐出流量の増加率dQを制御することで、旋回動作に関してエネルギー効率と操作性を両立させることができる。
【0049】
・エネルギー効率の更なる向上
前述した通り方向切換弁31等はセンタバイパス通路を備えたオープンセンタ方式のものである。この種の方向切換弁を用いた場合、クローズドセンタ方式の方向切換弁を用いた場合とは異なる操作性が得られる利点がある。旋回モータに対してオープンセンタ方式の方向切換弁を用いた場合、旋回操作量に対する旋回角加速度はセンタバイパス通路の開口面積で決まる。ただ、センタバイパス通路を通る流量は損失となる。この流量損失を低減させるためにセンタバイパス通路を狭めると、同じ旋回操作量でも旋回モータに供給される流量の増加により旋回角加速度が上昇し、旋回速度の上昇が旋回操作量に対して大きくなって旋回操作について柔軟性が低下する場合がある。
【0050】
本実施形態によれば慣性モーメントNと旋回操作量Psに応じて吐出流量の増加率dQが電子計算によって適切に決定される。これにより、方向切換弁31のセンタバイパス通路を狭めても、旋回操作量Psに対する吐出流量、ひいては旋回角加速度の過度な上昇を抑えることができる。従って、柔軟な旋回操作性を確保しつつ、センタバイパス通路を狭めることによるエネルギー効率の向上の効果を享受することができる。
【0051】
<第2実施形態>
(2−1)構成
図7は本発明の第2実施形態に係るポンプコントローラの模式図である。図7において第1実施形態と同様の要素には既出図面と同符号を付してある。本実施形態のポンプコントローラ47Aの指令流量演算部56Aは、第1実施形態のポンプコントローラ47の指令流量演算部56と相違している。本実施形態の第1実施形態との構成的相違点はこの点のみであるため、他の構成については説明を省略し、指令流量演算部56Aについて以下に説明する。
【0052】
・指令流量演算部
本実施形態における指令流量演算部56Aは、操作時間演算部66、遅延時間演算部67、目標流量演算部68及び最小値選択部65を備えている。
【0053】
操作時間演算部66は、旋回操作の継続時間tを演算する処理部である。操作時間演算部66は例えばタイマやカウンタであり、一定以上の大きさの旋回操作量Psの値が入力されてからカウントを開始し、継続的に一定以上の大きさの旋回操作量Psの値が入力されている間、時間計測を継続する。
【0054】
遅延時間演算部67は、慣性モーメント演算部54で演算された慣性モーメントNに基づいて指令流量Q(t)(目標流量Q’(t))を増加させるタイミングを遅らせる遅延時間t0を演算する処理部である。本実施形態では、慣性モーメントNと遅延時間t0との関係を規定した制御テーブルが記憶部52に記憶されている。記憶部52から該当する制御テーブルが遅延時間演算部67に読み込まれ、制御テーブルに従って慣性モーメントNに応じた遅延時間t0が演算される。
【0055】
目標流量演算部68は、油圧ポンプ22のスタンバイ流量を初期値として、操作時間演算部66で演算された旋回操作の継続時間tが遅延時間演算部67で演算された遅延時間t0に到達してから、指令流量の増加率dQを積算して目標流量Q’(t)を演算する。遅延時間t0に到達するまで増加率dQを積算しない(遅延時間t0経過前に演算された増加率dQは無視される)点を除き、目標流量演算部68は第1実施形態の目標流量演算部64と同様の機能を果たす。
【0056】
最小値選択部65の機能は第1実施形態と実質同様であり、目標流量演算部68で演算された目標流量Q’(t)と目標最大流量演算部53で演算された目標最大流量Qmaxの小さい方の値を選択して指令流量Q(t)として出力する。
【0057】
(2−2)動作
図8は本実施形態に係るポンプコントローラによるポンプ吐出流量の制御手順を表すフローチャートである。第1実施形態と同じく、図8に示した一連の処理は、旋回操作量Psが入力されている間、ポンプコントローラ47Aによって所定のサイクルタイム(例えば0.1s)で繰り返し実行される。
【0058】
・START−ステップS208
START、ステップS201の処理については、図6で説明したSTART及びステップS101の処理と同様である。続いてポンプコントローラ47Aは操作時間演算部66により、旋回操作量Psが予め設定した閾値P0より大きいかどうかを判断し(ステップS202)、旋回操作の継続時間tを演算する。操作時間演算部66は、旋回操作量Psが閾値P0より大きければ旋回操作の継続時間tにサイクルタイム(Δt)を加算し(ステップS203)、旋回操作量Psが閾値P0以下であればその時点の継続時間tを維持する(ステップS204)。閾値P0は意図的な旋回操作であることを判定するための値である。継続時間tの初期値は0である。続くステップS205−S207の処理は、図6で説明したステップS102−S104の処理と同様である。
【0059】
・ステップS208−END
続いてポンプコントローラ47Aは、遅延時間演算部67により、記憶部52から読み込んだ制御テーブルに従って慣性モーメントNに応じた遅延時間t0を決定する(ステップS208)。ポンプコントローラ47Aは、目標流量演算部68によって旋回操作の継続時間tと遅延時間とを比較し、旋回操作を始めてから遅延時間t0が経過したかどうかを判定する(ステップS209)。目標流量演算部68は、旋回操作開始後遅延時間t0が経過していれば(t≧t0)、ステップS207で演算した増加率dQを前サイクルの指令流量Q(t−1)に加算して目標流量Q’(t)を増加させて出力する(ステップS210)。反対に、旋回操作開始後遅延時間t0の経過前であれば(t<t0)、目標流量演算部68は、ステップS207で演算した増加率dQを加算することなく、前サイクルの指令流量Q(t−1)をそのまま目標流量Q’(t)として出力する(ステップS211)。以降のステップS212−ENDの処理は、図6で説明したステップS106以降の処理と同様である。
【0060】
旋回操作量Psが入力されている間、以上の処理が繰り返し実行されることで、遅延時間t0の経過後、旋回操作量Ps等に応じた増加率dQで目標最大流量Qmaxを上限として油圧ポンプ22の吐出流量が増加してゆく。
【0061】
(2−3)効果
本実施形態においても旋回操作量Psと慣性モーメントNに応じて決まる増加率dQで油圧ポンプ22の吐出流量が増加してゆくので、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0062】
また、エンジン21の稼働中は操作装置34が操作されていない状態でも油圧ポンプ22は一定流量(スタンバイ流量)を吐出しており、これが油圧回路の漏れ流量の担保や吐出流量制御の応答性の確保に寄与している。しかし、旋回操作の開始に伴って旋回モータ16の要求流量に合わせて油圧ポンプ22の吐出流量を徐々に上げてゆきたいところ、当初から油圧ポンプ22からスタンバイ流量が吐出されている。そのため、旋回操作開始時には旋回モータ16の要求流量に対して油圧ポンプ22の吐出流量が大きくなる傾向にあり、旋回操作開始直後から油圧ポンプ22の吐出流量を増加させてゆくとその差が拡大し、操作に対して旋回角加速度が大きくなる可能性がある。そこで、本実施形態では旋回操作開始から遅延時間t0だけ待って油圧ポンプ22の吐出流量を増加させることで、旋回モータ16の要求流量と油圧ポンプ22の吐出流量との差を抑制し、旋回角加速度制御の妥当性を向上させることができる。
【0063】
<第3実施形態>
(3−1)構成
図9は本発明の第3実施形態に係るポンプコントローラの模式図である。図9において第1又は第2実施形態と同様の要素には既出図面と同符号を付してある。本実施形態は、ポンプコントローラ47Bの流量増加率演算部55B及び指令流量演算部56Bが、第1実施形態のポンプコントローラ47の流量増加率演算部55及び指令流量演算部56と相違している。本実施形態の第1実施形態との構成的相違点はこの点のみであるため、他の構成については説明を省略し、流量増加率演算部55B及び指令流量演算部56Bについて以下に説明する。
【0064】
・流量増加率演算部
本実施形態における流量増加率演算部55Bは、第1増加率dQ1と第2増加率dQ2の2つの増加率を演算する点で、第1実施形態の流量増加率演算部55と異なる。慣性モーメントN及び旋回操作量Psに対する第1増加率dQ1及び第2増加率dQ2の関係は、第1増加率dQ1が第2増加率dQ2よりも値が小さくなるように予め定めてあり、その関係を規定した制御テーブルが記憶部52に記憶されている。例えば、流量増加率演算部55Bは、基準増加率演算部61B、係数演算部62B及び乗算部63Bを備えている。
【0065】
基準増加率演算部61Bは、既定の関係(図10参照)を定めた制御テーブルに従って、操作量センサ41又は42で検出された旋回操作量Psに基づいて第1増加率dQ1の基準値y1及び第2増加率dQ2の基準値y2を演算する処理部である。図10には旋回操作量Psが0から増加するにつれて基準値y1,y2とも0から増加する関係を例示しているが、同じ旋回操作量Psについてはy1<y2となるように設定されている。基準値y2は例えば図4に示した基準値yに等しくすることができる。図10では基準値y1,y2を曲線で定義しているが、折れ線を含む直線で定義することもできる。
【0066】
係数演算部62Bは、既定の関係(図11参照)を定めた制御テーブルに従って、慣性モーメント演算部54で演算された慣性モーメントNに基づいて第1係数α1及び第2係数α2を演算する処理部である。図11には慣性モーメントNの増加に伴って係数α1,α2とも値が小さくなる関係を例示している。本実施形態では最小の慣性モーメントNminの時の係数α1,α2を最大(=1)として、慣性モーメントNが大きくなるにつれて係数α1,α2が単調に減少するように設定されている。但し、同じ慣性モーメントNについてはα1<α2となるように設定されている。図11では係数α1,α2を曲線で定義しているが、折れ線を含む直線で定義することもできる。
【0067】
乗算部63は、基準値y1に係数α1を乗じて第1増加率dQ1を演算し、基準値y2に係数α2を乗じて第2増加率dQ2を演算する処理部である。第1増加率dQ1は第2増加率dQ21よりも小さく演算される。なお、y1<y2、α1<α2の条件は必ずしも双方が必要なわけではない。例えばy1<y2、α1=α2というように基準値のみに差が生じる条件とすることも考えられるし、y1=y2、α1<α2というように係数のみに差が生じる条件とすることもできる。
【0068】
・指令流量演算部
指令流量演算部56Bは、目標最大流量演算部53で演算された目標最大流量Qmaxを目標(上限)として、流量増加率演算部55Bで演算した第1増加率dQ1又は第2増加率dQ2で指令流量Q(t)を増加させる処理部である。指令流量演算部56は、第1流量演算部64B、操作時間演算部66、遅延時間演算部67、第2流量演算部68B、最大値選択部69及び最小値選択部65を含んでいる。このうち操作時間演算部66及び遅延時間演算部67については第2実施形態で説明したものと同様である。
【0069】
第1流量演算部64Bは、油圧ポンプ22のスタンバイ流量を初期値として、旋回操作開始時から第1増加率dQ1を積算して第1流量Q1(t)を演算する処理部である。積算する増加率が第1増加率dQ1であることを除き、第1流量演算部64Bの機能は第1実施形態の目標流量演算部64と同様である。
【0070】
第2流量演算部68Bは、油圧ポンプ22のスタンバイ流量を初期値として、旋回操作の継続時間tが遅延時間t0に到達してから第2増加率dQ2を積算して第2流量Q2(t)を演算する処理部である。積算する増加率が第2増加率dQ2であることを除き、第2流量演算部68Bの機能は第2実施形態の目標流量演算部68と同様である。
【0071】
最大値選択部69は、第1流量Q1(t)と第2流量Q2(t)の大きい方の値を選択し目標流量Q’(t)として出力する処理部である。第2流量Q2(t)は遅延時間t0が到来するまで初期値のままなので、旋回操作開始後暫くは第2流量Q2(t)よりも第1流量Q1(t)の方が大きい。しかし、第1増加率dQ1が第2増加率dQ2よりも小さいので、旋回操作が継続されれば、その後第1流量Q1(t)よりも第2流量Q2(t)が大きくなる。従って、旋回操作開始後暫くは第1流量Q1(t)が、その後は第2流量Q2(t)が目標流量Q’(t)として出力される。
【0072】
最小値選択部65の機能は第1及び第2実施形態と同様であり、最大値選択部69から出力された目標流量Q’(t)と目標最大流量演算部53で演算された目標最大流量Qmaxの小さい方の値を選択して指令流量Q(t)として出力する。
【0073】
(3−2)動作
図12は本実施形態に係るポンプコントローラによるポンプ吐出流量の制御手順を表すフローチャートである。第1及び第2実施形態と同様、図12に示した一連の処理は、旋回操作量Psが入力されている間、ポンプコントローラ47Bによって所定のサイクルタイム(例えば0.1s)で繰り返し実行される。
【0074】
・START−S307
START−ステップS306の処理については、図8で説明したSTART−ステップS206の処理と同様である。但し、ステップS301では、前サイクルの指令流量Q(t−1)ではなく、前サイクルの第1流量Q1(t−1)及び第2流量Q2(t−1)が読み込まれる。ステップS307に手順を移すと、ポンプコントローラ47Bは流量増加率演算部55Bにより、前述した通り第1増加率dQ1及び第2増加率dQ2を演算する。
【0075】
・ステップS308
続くステップS308では、ポンプコントローラ47Bは第1流量演算部64Bにより、ステップS301で読み込んだ前サイクルの第1流量Q1(t−1)にステップS307で演算した第1増加率dQ1を加算することで、第1流量Q1(t)を演算する。図6のステップS105と同じ要領の処理である。
【0076】
・ステップS309−S312
続いて、ポンプコントローラ47Bは、遅延時間t0を決定し(ステップS309)、旋回操作を始めてから遅延時間t0が経過したかどうかを判定する(ステップS310)。旋回操作開始後遅延時間t0が経過していれば(t≧t0)、ステップS307で演算した第2増加率dQ2を前サイクルの第2流量Q2(t−1)に加算して第2流量Q2(t)を増加させて出力する(ステップS311)。反対に、旋回操作開始後遅延時間t0の経過前であれば(t<t0)、第2増加率dQ2を加算することなく、前サイクルの第2流量Q2(t−1)をそのまま第2流量Q2(t)として出力する(ステップS312)。ステップS309−S312の処理は、図8のステップS208−S211と同じ要領の処理である。
【0077】
・ステップS313−S315
続くステップS313では、ポンプコントローラ47Bは最大値選択部69により、ステップS308で演算した第1流量Q1(t)とステップS311又はS312で演算した第2流量Q2(t)を比較する。そして、値の大きい方が選択されて目標流量Q’(t)として出力される(ステップS314,S315)。
【0078】
・ステップS316−END
続いてポンプコントローラ47Bは、最小値選択部65により、ステップS305で演算した目標最大流量QmaxとステップS314又はS315で演算した目標流量Q’(t)を比較する(ステップS316)。これにより、最小値選択部65では、値の小さい方が選択されて指令流量Q(t)として出力される(ステップS317,S318)。従って、本実施形態では、目標最大流量Qmaxを超えない範囲で目標流量Q’(t)が指令流量Q(t)となる。ステップ319以降の処理は、図8で説明したステップS215以降の処理と同様である。但し、ステップS320では、ステップS308で演算した第1流量Q1(t)が次のサイクルで読み込まれるQ1(t−1)として、ステップS311又はS312で演算した第2流量Q2(t)がQ2(t−1)として記憶部52に記憶される。
【0079】
旋回操作量Psが入力されている間、以上の処理が繰り返し実行されることで、旋回操作量Ps及び慣性モーメントNに応じて油圧ポンプ22の吐出流量が目標最大流量Qmaxを上限として増加してゆく。
【0080】
(3−3)効果
本実施形態においても旋回操作量Psと慣性モーメントNに応じて決まる増加率dQ1又はdQ2で指令流量Q(t)が増加してゆくので、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0081】
図13は旋回時のポンプ吐出圧の時間変化を示した図である。旋回モータへの圧油の供給を開始すると、一般に図13に示したようにポンプ吐出圧はピーク値まで立ち上がり、その後ある定常値に収束する。このとき、ポンプ吐出流量の増加率を制御する場合、状況によっては目標流量Q’(t)が単調に増加せず、振動的に増加することがある。この場合、増加率を制御しない場合に相対して吐出流量の上昇が遅いため旋回角速度の立ち上がりに遅れが発生し得る。第2実施形態では過度な旋回加速度の上昇を抑えるために吐出流量を増加させるタイミングを遅らせたが、スタンバイ流量のままではポンプ吐出圧が不足することがあり、条件によっては旋回操作に対して旋回角加速度の上昇が遅れることも考えられる。本実施形態では、本来的な目標流量である第2流量Q2(t)は遅延時間t0が到来するまで増加しないが、その間、第1流量Q1(t)が先行して低い増加率で増加する。そのため、指令流量Q(t)は遅延時間t0の経過前でも低い増加率で増加し、これによってポンプ吐出圧を担保できるだけの流量が油圧ポンプ22から吐出され、旋回モータ16の旋回角速度の上昇の遅れを抑制できる。
【0082】
<変形例>
・状態量センサのバリエーション
図14は本発明の変形例に係る作業機械に備えられた油圧システムの要部を表す回路図である。図17において第1−第3実施形態と同様の要素には既出図面と同符号を付してある。作業機3の姿勢演算の基礎情報を取得する状態量センサとして、以上の各実施形態では角度センサ43,44を例示した。しかし、作業機3の姿勢演算の基礎情報を取得する状態量センサは、角度センサ43,44には限られない。図14に示したように、例えばブームシリンダ17の伸長量を検出するブームストロークセンサ71、アームシリンダ18の伸長量を検出するアームストロークセンサ72を角度センサ43,44の代わりに用いることができる。本変形例のその他の点については、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態と同様である。ブームシリンダ17及びアームシリンダ18のストローク量によっても作業機3の姿勢演算をすることができ、第1実施形態、第2実施形態又は第3実施形態と同様の処理を実行することができる。
【0083】
・その他
油圧パイロット式の操作装置34を用いた場合を例に挙げて説明したが、操作装置34として電気レバーを用いることもできる。この場合、操作量センサはポテンショメータを用いることができる。方向切換弁31に入力する油圧信号については、パイロットポンプ27の吐出圧を元圧として比例電磁弁で減圧して生成する構成とすれば良い。つまり、電気レバーの操作信号又はこれに応じてコントローラから出力される指令信号で比例電磁弁を駆動し、方向切換弁31を駆動する構成である。このような構成にも本発明は適用可能である。
【0084】
また、方向切換弁31等はセンタバイパス通路を備えたものでなくても、選択ローズ方式のものを用いても良い。この場合にも本発明は適用可能である。
【0085】
また、エンジン1(内燃機関)を原動機として油圧ポンプ22等を駆動する構成を例示したが、原動機として電動モータを採用した作業機械にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0086】
1…走行体(基部構造体)、2…旋回体、3…作業機、11…ブーム、12…アーム、16…旋回モータ、17…ブームシリンダ、18…アームシリンダ、22,23…油圧ポンプ、24,25…レギュレータ、31,32…方向切換弁、34,35…操作装置、41,42…操作量センサ、43…角度センサ(ブーム角度センサ、状態量センサ)、44…角度センサ(アーム角度センサ、状態量センサ)、45,46…圧力センサ(状態量センサ)、53…目標最大流量演算部、54…慣性モーメント演算部、55,55B…流量増加率演算部、56,56A,56B…指令流量演算部、57…出力部、61,61B…基準増加率演算部、62,62B…係数演算部、63,63B…乗算部、64…目標流量演算部、64B…第1流量演算部、65…最小値選択部、66…操作時間演算部、67…遅延時間演算部、68…目標流量演算部、68B…第2流量演算部、69…最大値選択部、71…ブームストロークセンサ(状態量センサ)、72、アームストロークセンサ(状態量センサ)、dQ…増加率、P1,P2…圧力、Ps…旋回操作量、Qreq…要求流量、Q(t)…指令流量、Q’(t)…積算流量、Sf…指令信号、t…旋回操作の継続時間、t0…遅延時間、y…基準値、α…係数、θ1,θ2…角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14