特許第6539637号(P6539637)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッドの特許一覧

特許6539637有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路及びエミッション信号制御方法、並びに有機発光ディスプレイ装置
<>
  • 特許6539637-有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路及びエミッション信号制御方法、並びに有機発光ディスプレイ装置 図000002
  • 特許6539637-有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路及びエミッション信号制御方法、並びに有機発光ディスプレイ装置 図000003
  • 特許6539637-有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路及びエミッション信号制御方法、並びに有機発光ディスプレイ装置 図000004
  • 特許6539637-有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路及びエミッション信号制御方法、並びに有機発光ディスプレイ装置 図000005
  • 特許6539637-有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路及びエミッション信号制御方法、並びに有機発光ディスプレイ装置 図000006
  • 特許6539637-有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路及びエミッション信号制御方法、並びに有機発光ディスプレイ装置 図000007
  • 特許6539637-有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路及びエミッション信号制御方法、並びに有機発光ディスプレイ装置 図000008
  • 特許6539637-有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路及びエミッション信号制御方法、並びに有機発光ディスプレイ装置 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6539637
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路及びエミッション信号制御方法、並びに有機発光ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3266 20160101AFI20190625BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   G09G3/3266
   G09G3/20 622G
   G09G3/20 622E
   G09G3/20 670J
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-243975(P2016-243975)
(22)【出願日】2016年12月16日
(65)【公開番号】特開2017-120406(P2017-120406A)
(43)【公開日】2017年7月6日
【審査請求日】2016年12月16日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0189223
(32)【優先日】2015年12月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン−ス・キム
(72)【発明者】
【氏名】ウィテ・キム
(72)【発明者】
【氏名】キソブ・シン
(72)【発明者】
【氏名】ヨンミン・ジョン
【審査官】 橘 皇徳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−164606(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0038609(US,A1)
【文献】 特開2012−189752(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0188316(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0204009(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0364079(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20−3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドレーン電極が第1エミッション電源と連結され、ゲート電極がQBノードと連結され、セット信号に対応して第1エミッション電源電圧をエミッション信号として、ソース電極と連結された出力ノードに出力する第1トランジスター;
ソース電極が第2エミッション電源と連結され、ゲート電極がQノードと連結され、リセット信号に対応して第2エミッション電源電圧を前記エミッション信号として、ドレーン電極と連結された前記出力ノードに出力する第2トランジスター;
ソース電極が第2ゲート電源と連結され、ドレーン電極が前記QBノードと連結され、前記セット信号に対応して第2ゲート電源電圧を前記QBノードに伝達する第3トランジスター;
ソース電極が前記QBノードと連結され、ゲート電極が前記Qノードと連結され、ドレーン電極が第1ゲート電源と連結され、前記リセット信号に対応して第1ゲート電源電圧を前記QBノードに伝達する第4トランジスター;及び
前記QBノード及び前記第1トランジスターのドレーン電極の間で連結される第1キャパシターを含み、
前記出力ノードを介して前記エミッション信号が出力されない区間においては、前記第1エミッション電源電圧と異なる電圧の大きさに設定された前記第1ゲート電源電圧と前記第1エミッション電源電圧との電圧差分の大きさに応じた値を有する電圧が、前記第1トランジスターの前記ゲート電極に印加される
有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路。
【請求項2】
前記セット信号によって前記第3トランジスターがターンオンされれば、前記第1トランジスターがターンオンされて前記第1エミッション電源電圧が前記出力ノードに出力され、前記第2ゲート電源電圧が前記第1キャパシターに貯蔵されることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路。
【請求項3】
前記セット信号によって前記第3トランジスターがターンオフされれば、前記第1キャパシターに貯蔵された電圧によって前記第1トランジスターがターンオン状態を維持することを特徴とする、請求項2に記載の有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路。
【請求項4】
前記リセット信号によって前記第2トランジスターがターンオンされれば、前記第2エミッション電源電圧が前記出力ノードに出力され、前記第4トランジスターがターンオンされて前記第1ゲート電源によって前記第1トランジスターがターンオフ状態を維持することを特徴とする、請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路。
【請求項5】
ソース電極が第2ゲート電源と連結され、ドレーン電極が前記Qノードと連結されて、前記リセット信号に対応して前記第2ゲート電源電圧を前記Qノードに伝達する第5トランジスターをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路。
【請求項6】
前記第1エミッション電源電圧の大きさと前記第1ゲート電源電圧の大きさは相異なるように設定されることを特徴とする、請求項1に記載の有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路。
【請求項7】
セット信号を印加して第3トランジスター及び前記第3トランジスターとQBノードで連結される第1トランジスターをターンオンさせて出力ノードに第1エミッション電源電圧をエミッション信号として出力する段階;
前記第3トランジスターをターンオフさせた後、前記第1トランジスター及び前記QBノードの間に連結される第1キャパシターに貯蔵された電圧を利用して前記出力ノードに第1エミッション電源電圧を前記エミッション信号として出力する段階;及び
リセット信号を印加して第5トランジスター及び前記第5トランジスターとQノードで連結される第2トランジスターをターンオンさせて前記出力ノードに第2エミッション電源電圧を出力する段階を含み、
前記出力ノードを介して前記エミッション信号が出力されない区間においては、前記第1エミッション電源電圧と異なる電圧の大きさに設定された第1ゲート電源電圧と前記第1エミッション電源電圧との電圧差分の大きさに応じた値を有する電圧が、前記第1トランジスターのゲート電極に印加される
有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御方法。
【請求項8】
前記第3トランジスターがターンオンされれば、第2ゲート電源電圧が前記第1キャパシターに貯蔵されることを特徴とする、請求項7に記載の有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御方法。
【請求項9】
前記第5トランジスターがターンオンされれば、前記第5トランジスターと前記Qノードで連結される第4トランジスターがターンオンされ、前記第4トランジスターを通じて伝達される第1ゲート電源電圧によって前記第1トランジスターがターンオフ状態を維持することを特徴とする、請求項7に記載の有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御方法。
【請求項10】
前記第1エミッション電源電圧の大きさと前記第1ゲート電源電圧の大きさは相異なるように設定されることを特徴とする、請求項9に記載の有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御方法。
【請求項11】
複数の画素を含むパネル;
前記複数の画素それぞれにスキャン信号を供給するための複数のシフトレジスター;及び
前記複数のシフトレジスターと連結され、前記複数の画素それぞれにエミッション信号を供給するためのエミッション信号制御回路を含み、
前記エミッション信号制御回路は、
ドレーン電極が第1エミッション電源と連結され、ゲート電極がQBノードと連結されて、セット信号に対応して第1エミッション電源電圧をソース電極と連結された出力ノードに出力する第1トランジスター;
ソース電極が第2エミッション電源と連結され、ゲート電極がQノードと連結されて、リセット信号に対応して第2エミッション電源電圧をドレーン電極と連結された前記出力ノードに出力する第2トランジスター;
ソース電極が第2ゲート電源と連結され、ドレーン電極が前記QBノードと連結されて、前記セット信号に対応して第2ゲート電源電圧を前記QBノードに伝達する第3トランジスター;
ソース電極が前記QBノードと連結され、ゲート電極が前記Qノードと連結されて、ドレーン電極が第1ゲート電源と連結され、前記リセット信号に対応して第1ゲート電源電圧を前記QBノードに伝達する第4トランジスター;及び
前記QBノード及び前記第1トランジスターのドレーン電極の間に連結される第1キャパシターを含み、
前記出力ノードを介して前記エミッション信号が出力されない区間においては、前記第1エミッション電源電圧と異なる電圧の大きさに設定された前記第1ゲート電源電圧と前記第1エミッション電源電圧との電圧差分の大きさに応じた値を有する電圧が、前記第1トランジスターの前記ゲート電極に印加される
有機発光ディスプレイ装置。
【請求項12】
前記セット信号によって前記第3トランジスターがターンオンされれば、前記第1トランジスターがターンオンされて前記第1エミッション電源電圧が前記出力ノードに出力され、前記第2ゲート電源電圧が前記第1キャパシターに貯蔵されることを特徴とする、請求項11に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項13】
前記セット信号によって前記第3トランジスターがターンオフされれば、前記第1キャパシターに貯蔵された電圧によって前記第1トランジスターがターンオン状態を維持することを特徴とする、請求項12に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項14】
前記リセット信号によって前記第2トランジスターがターンオンされれば、前記第2エミッション電源電圧が前記出力ノードに出力され、前記第4トランジスターがターンオンされ、前記第1ゲート電源によって前記第1トランジスターがターンオフ状態を維持することを特徴とする、請求項11に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項15】
前記エミッション信号制御回路は、
ソース電極が第2ゲート電源と連結され、ドレーン電極が前記Qノードと連結されて、前記リセット信号に対応して前記第2ゲート電源電圧を前記Qノードに伝達する第5トランジスターをさらに含むことを特徴とする、請求項11に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【請求項16】
前記第1エミッション電源電圧の大きさと前記第1ゲート電源電圧の大きさは相異なるように設定されることを特徴とする、請求項11に記載の有機発光ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号(以下、エミッション信号をEM信号とも称す。EM:Emission)制御回路及びエミッション信号制御方法、並びに有機発光ディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、タブレットPC、ノートパソコンなどを含む多様な種類の電子製品には、平板ディスプレイ装置(FPD:Flat Panel Display Device)が用いられている。平板ディスプレイ装置には、液晶ディスプレイ装置(LCD:Liquid Crystal Display Device)、プラズマディスプレイ装置(PDP:Plasma Display Panel Device)、有機発光ディスプレイ装置(OLED:Organic Light Emitting Display Device)などがあり、最近は電気泳動ディスプレイ装置(EPD:Electrophoretic Display Device)も広く利用されている。
【0003】
この中で、有機発光ディスプレイ装置は、電子と正孔の再結合を利用して有機発光ダイオードを発光させて映像を表示する自発光装置であって、高速の応答速度と低い消費電力を持ち、自体発光素子を利用しているため優れた視野角を有している。よって、有機発光ディスプレイ装置は、次世代平板ディスプレイ装置として注目を浴びている。
【0004】
従来技術による有機発光ディスプレイ装置は、複数の画素がパネル上に配置される。そして、それぞれの画素は有機発光ダイオード(OLED)素子及び有機発光ダイオード素子に電流を印加するための複数のトランジスターを含む。このようなトランジスターには、スキャン信号、データ信号、そして有機発光ダイオード素子のターンオン及びターンオフ状態を制御するためのEM信号が印加される。
【0005】
図1は従来技術による有機発光ディスプレイ装置に含まれるシフトレジスター及びEM信号制御回路の構成図である。図1に図示されたように、有機発光ディスプレイ装置は、シフトレジスター(SR1、SR2)及びシフトレジスター(SR1、SR2)と連結されるEM信号制御回路(INV)を含む。
【0006】
図1に図示されたように、シフトレジスター(SR1、SR2、・・・)は、ゲート電源電圧(G1VGH、G1VGL、G2VGH、G2VGL)、ゲートスタート電圧(G1VST、G2VST)、クロック信号(G1CLK1ないしG1CLK4、G2CLK1ないしG2CLK4)を利用してスキャン信号(Scan1、Scan2)を生成する。そして、EM信号制御回路(INV)は、エミッション電源電圧(EVGH、EVGL)、クロック信号(G1CLK2)、スキャン信号(Scan1)を利用してEM信号(EM)を生成する。
【0007】
図2は従来技術によるEM信号制御回路の構成図で、図3図2のEM信号制御回路の動作による各信号の波形を示す。以下では、第1エミッション電源電圧(EVGH)及び第1ゲート電源電圧(GVGH)が14Vに設定され、第2エミッション電源電圧(EVGL)及び第2ゲート電源電圧(GVGL)が−6Vに設定されている場合を仮定して説明する。また、セット(SET)信号及びリセット(RESET)信号は、−6Vの低電位及び14Vの高電位を示すものと仮定する。
【0008】
先ず、図3の区間(t1)では、−6Vのスキャン信号(Scan1)がセット信号として図2のQBノードに印加される。図3の区間(t1)のようにセット信号が印加されれば、QBノードには−6Vの電圧が形成されてトランジスター(T11)がターンオンされるし、第1エミッション電源電圧(EVGH)が出力端子(NOUT)を通じてEM信号(EM)として出力される。また、トランジスター(T13)がターンオンされることにより、Qノードには第2ゲート電源電圧(GVGH)、すなわち14Vの電圧が形成されるので、トランジスター(T12)はターンオフされる。これにより、図3に図示されたように、区間(t1)では−6Vのセット信号と反対の符号を有する14Vの第1エミッション電源電圧(EVGH)がEM信号(EM)として出力される。
【0009】
次に、区間(t2)では−6Vのクロック信号(CLK2)がリセット信号としてトランジスター(14)のゲート電極に印加され、QBノードには14Vのセット信号が印加される。これにより、トランジスター(T14)がターンオンされ、Qノードには−6Vの電圧が形成される。これにより、トランジスター(T12)がターンオンされて−6Vの第2エミッション電源電圧(EVGL)がEM信号(EM)として出力される。このとき、Qノードの電圧(−6V)は、キャパシター(C)に保管される。したがって、区間(t2)以後は、リセット信号が周期的に印加されてもキャパシター(C)に貯蔵された−6Vの電圧によってEM信号(EM)は−6Vを維持する。
【0010】
一方、従来技術による有機発光ディスプレイ装置は、低照度の環境において消費電力及び画質を改善するための目的として、外部照度によってパネルの輝度を調節する機能を揃えている。このような輝度調節は、パネルに印加されるデータ電圧を利用して実現されることもでき、前述したように生成されるEM信号を利用して実現されることもできる。すなわち、図3の区間(t1)のようにEM信号(EM)がターンオンされる時間を調節することによって、各画素のターンオフ時間を調節することができる。このような駆動方法をEMデューティー(duty)駆動と言う。
【0011】
図4は従来技術によるEM信号制御回路のEMデューティー駆動による各信号の波形を示す。
【0012】
図2及び図4を参照すれば、先ず、区間(t1)では前述したように、−6Vのセット信号がQBノードに印加される。これにより、トランジスター(T11)がターンオンされ、14Vの第1エミッション電源電圧(EVGH)が出力ノード(NOUT)を通じてEM信号(EM)として出力される。
【0013】
次に、区間(t2)では一定時間有機発光ダイオード素子をターンオフ状態で維持するために、EM信号(EM)の電圧の大きさを14Vに維持させる。このために、セット信号及びリセット信号がいずれも14Vの大きさで図2のEM信号制御回路に印加される。
【0014】
しかし、セット信号及びリセット信号をいずれも14Vに維持させる場合、図2のトランジスター(T11)及びトランジスター(T12)がいずれもターンオフされるので、出力端子(NOUT)はフローティング(floating)状態となる。これにより、区間(t2)では出力端子(NOUT)を通じて出力されるEM信号(EM)の正常な出力を保障できないという問題がある。
【0015】
一方、区間(t3)では−6Vのリセット信号がトランジスター(T14)に印加され、トランジスター(T12)がターンオンされる。これにより、EM信号(EM)の電圧の大きさは−6Vになる。区間(t3)の後はセット信号が14Vに維持され、EM信号(EM)の電圧の大きさもリセット信号の印加とは無関係に−6Vに維持されなければならない。
【0016】
しかし、有機発光ディスプレイ装置の製造過程において、トランジスターの工程条件、または有機発光ディスプレイ装置の駆動時における外部温度の変化、トランジスターの劣化などによってトランジスター(T11)のしきい値電圧が変化する場合が生じる。これにより、図2でQBノードに印加されるセット信号の電圧の大きさ(14V)にもかかわらず、トランジスター(T11)のしきい値電圧変化によって図4の区間(t4)または区間(t6)のようにEM信号(EM)の電圧の大きさが上昇する問題がある。
【0017】
結局、図4の区間(t2)で発生する出力ノード(NOUT)のフローティング状態、及び区間(t4)または区間(T6)で発生するEM信号(EM)の電圧上昇を防止するための新しい構造のEM信号制御回路が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は、EM信号制御回路のEMデューティー動作時、出力ノードと連結されるトランジスターがターンオフされることによって発生するフローティング状態を防止するための有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路及びエミッション信号制御方法、並びに有機発光ディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明はEM信号制御回路のEMデューティー動作時、出力ノードと連結されるトランジスターのしきい値電圧変化によってEM信号の電圧の大きさが変化する現象を防止するための有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路及びエミッション信号制御方法、並びに有機発光ディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【0020】
本発明の目的は、以上で言及した目的に制限されなく、言及されていない本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解されることができ、本発明の実施形態によって、より明らかに理解できるはずである。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示した手段、及びその組み合わせによって実現されることを容易に分かることができる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述したように、従来技術によるEM信号制御回路は、EMデューティー駆動時に出力ノードと連結されるトランジスターがいずれもターンオフされる区間において出力ノードがフローティング状態になり、正常なEM信号の出力を保障しにくいという問題がある。
【0022】
このような問題を解決し、EM信号の信頼性を改善するために、本発明の有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路は出力ノードと連結されるトランジスターのゲート電極とセット信号の間の連結を分離し、出力ノードと連結されるトランジスターのターンオフ状態を安定的に維持するための追加的素子(トランジスター及びキャパシター)を含む。
【0023】
また、前述したように、従来技術によるEM信号制御回路は、製造工程や駆動過程で表れるトランジスターのしきい値電圧の変化によって、EM信号が意図せずに変わってしまう問題もある。
【0024】
このような問題を解決するために、本発明では第1エミッション電源の電圧の大きさと第1ゲート電源の電圧の大きさを相異なるように設定する。これにより、出力ノードと連結されるトランジスターのしきい値電圧が変化するようになっても、トランジスターのターンオフ状態がより安定的に維持されて、EM信号の信頼性が改善される。
【0025】
このような目的を達成するための本発明は、有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御回路において、ドレーン電極が第1エミッション電源と連結され、ゲート電極がQBノードと連結され、セット信号に対応して第1エミッション電源電圧をソース電極と連結された出力ノードに出力する第1トランジスター、ソース電極が第2エミッション電源と連結されゲート電極がQノードと連結され、リセット信号に対応して第2エミッション電源電圧をドレーン電極と連結された前記出力ノードに出力する第2トランジスター、ソース電極が第2ゲート電源と連結されドレーン電極が前記QBノードと連結され、前記セット信号に対応して第2ゲート電源電圧を前記QBノードに伝達する第3トランジスター、ソース電極が前記QBノードと連結されゲート電極が前記Qノードと連結され、ドレーン電極が第1ゲート電源と連結されて、前記リセット信号に対応して第1ゲート電源電圧を前記QBノードに伝達する第4トランジスター、及び前記QBノード及び前記第1トランジスターのドレーン電極の間に連結される第1キャパシターを含むことを特徴とする。
【0026】
また、本発明は有機発光ディスプレイ装置のエミッション信号制御方法において、セット信号を印加して第3トランジスター及び前記第3トランジスターとQBノードで連結される第1トランジスターをターンオンさせて出力ノードに第1エミッション電源電圧を出力する段階、前記第3トランジスターをターンオフさせた後、前記第1トランジスター及び前記QBノードの間で連結される第1キャパシターに貯蔵された電圧を利用して前記出力ノードに第1エミッション電源電圧を出力する段階、及びリセット信号を印加して第5トランジスター及び前記第5トランジスターとQノードで連結される第2トランジスターをターンオンさせて前記出力ノードに第2エミッション電源電圧を出力する段階を含むことを特徴とする。
【0027】
また、本発明は有機発光ディスプレイ装置において、複数の画素を含むパネル、前記複数の画素それぞれにスキャン信号を供給するための複数のシフトレジスター;及び前記複数のシフトレジスターと連結されて前記複数の画素それぞれにEM信号を供給するためのEM信号制御回路を含み、前記EM信号制御回路はドレーン電極が第1エミッション電源と連結され、ゲート電極がQBノードと連結されて、セット信号に対応して第1エミッション電源電圧をソース電極と連結された出力ノードに出力する第1トランジスター、ソース電極が第2エミッション電源と連結され、ゲート電極がQノードと連結されて、リセット信号に対応して第2エミッション電源電圧をドレーン電極と連結された前記出力ノードに出力する第2トランジスター、ソース電極が第2ゲート電源と連結され、ドレーン電極が前記QBノードと連結されて、前記セット信号に対応して第2ゲート電源電圧を前記QBノードに伝達する第3トランジスター、ソース電極が前記QBノードと連結され、ゲート電極が前記Qノードと連結され、ドレーン電極が第1ゲート電源と連結されて、前記リセット信号に対応して第1ゲート電源電圧を前記QBノードに伝達する第4トランジスター、及び前記QBノード及び前記第1トランジスターのドレーン電極の間で連結される第1キャパシターを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
前述のような本発明によれば、EM信号制御回路のEMデューティー動作時、出力ノードと連結されるトランジスターがターンオフされることによって発生するフローティング状態を防止することができる長所がある。
【0029】
また、本発明はEM信号制御回路のEMデューティー動作時、出力ノードと連結されるトランジスターのしきい値電圧の変化によってEM信号の電圧の大きさが変化する現象を防止することができる長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】従来の技術による有機発光ディスプレイ装置に含まれるシフトレジスター及びEM信号制御回路の構成図である。
図2】従来の技術によるEM信号制御回路の構成図である。
図3図2のEM信号制御回路の動作による各信号の波形を示す。
図4】従来の技術によるEM信号制御回路のEMデューティー駆動による各信号の波形を示す。
図5】本発明による有機発光ディスプレイ装置の構成図である。
図6】本発明によるEM信号制御回路の構成図である。
図7図6のEM信号制御回路の動作による各信号の波形を示す。
図8】本発明の他の実施形態によるEM信号制御回路の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
前述した目的、特徴及び長所は、添付の図面を参照して詳述され、これにより、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が本発明の技術的思想を容易に実施することができる。本発明を説明するにあたり、本発明に係る公知技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にすることができると判断される場合は、詳細な説明を省略する。以下、添付された図面を参照して本発明による好ましい実施形態を詳しく説明する。図面において同一な参照符号は、同一または類似の構成要素を示すものとして使われる。
【0032】
図5は本発明による有機発光ディスプレイ装置の構成図である。
【0033】
図5を参照すれば、本発明による有機発光ディスプレイ装置は、タイミングコントローラー114、ゲートドライバー104、データドライバー106、パネル102を含む。
【0034】
タイミングコントローラー114は、有機発光ディスプレイ装置の内部または外部に存在するシステム112からデジタルビデオデータ(RGB)、垂直/水平同期信号(Vsync、Hsync)、クロック信号(CLK)が入力される。タイミングコントローラー114は、入力された垂直/水平同期信号(Vsync、Hsync)、クロック信号(CLK)を利用して、ゲートドライバー104とデータドライバー106の駆動を制御するためのゲート制御信号(GCS)及びデータ制御信号(DCS)をそれぞれ出力する。また、タイミングコントローラー114はデジタルビデオデータ(RGB)をパネル102の解像度に合うように、再整列してデータドライバー106に供給する。
【0035】
ゲートドライバー104は、ゲート制御信号(GCS)に応答してパネル102の各ゲートライン(GL1ないしGLn)にスキャン信号を供給する。ゲートドライバー104は、タイミングコントローラー114から入力されるゲート制御信号(GCS)に応答してゲートライン(GL1ないしGLn)にスキャン信号を供給する。
【0036】
データドライバー106は、タイミングコントローラー114から入力されるデータ制御信号(DCS)に応答して映像信号(RGB)を階調値に対応するアナログの画素信号(データ信号またはデータ電圧)に変換し、このように変換された画素信号がパネル102上のデータライン(DL1ないしDLm)に供給される。
【0037】
パネル102は複数のゲートライン(GL)とデータライン(DL)の交差地点に形成される複数の画素(P)を含む。各画素(P)はゲートライン(GL)によって駆動されるスイチングトランジスター、スイチングトランジスターを通じて印加される映像信号によってターンオンされる駆動トランジスター、EM信号によって駆動されるエミッショントランジスター、及び有機発光ダイオードを含む。データラインを通じて供給された映像信号は、ゲートラインを通じて印加されたスキャン信号によってターンオンされるスイチングトランジスターを通じて駆動トランジスターに印加される。そして、EM信号によってエミッショントランジスターがターンオンされれば、駆動トランジスターを通じて流入された電流によって有機発光ダイオードが発光する。
【0038】
図5を参照すればゲートドライバー104はスキャン信号を生成するための複数のシフトレジスター(SR1ないしSRn)を含む。また、パネル102には各画素(P)にEM信号を伝達するEM信号制御部(204)が配置される。EM信号制御部(204)は複数のEM信号制御回路(INV1ないしINVn)を含む。EM信号制御回路(INV1ないしINVn)はシフトレジスター(SR1ないしSRn)と連結され、シフトレジスター(SR1ないしSRn)から出力される信号を利用してEM信号を生成する。
【0039】
また、図5には図示されていないが、有機発光ディスプレイ装置はタイミングコントローラー114、ゲートドライバー104、データドライバー106、パネル102の駆動に必要な電源を供給するための電源供給部(未図示)を含むことができる。
【0040】
以下では、本発明によるEM信号制御回路(INV1ないしINVn)の構成及び動作過程について詳しく説明する。
【0041】
図6は本発明によるEM信号制御回路の構成図である。
【0042】
図6を参照すれば、本発明によるEM信号制御回路は、第1トランジスター(T1)ないし第6トランジスター(T6)、第1キャパシター(C1)、第2キャパシター(C2)を含む。
【0043】
第1トランジスター(T1)は、セット信号(SET)に対応して第1エミッション電源(EVGH)の電圧をソース電極と連結された出力ノード(Nout)に出力する。第1トランジスター(T1)のドレーン電極は第1エミッション電源(EVGH)と連結されるし、ゲート電極はQBノードと連結される。
【0044】
第2トランジスター(T2)は、リセット信号(RESET)に対応して第2エミッション電源(EVGL)の電圧をドレーン電極と連結された出力ノード(Nout)に出力する。第2トランジスター(T2)のソース電極は第2エミッション電源(EVGL)と連結されるし、ゲート電極はQノードと連結される。
【0045】
第3トランジスター(T3)は、セット信号(SET)に対応して第2ゲート電源(GVGL)の電圧をQBノードに伝達する。第3トランジスター(T3)のソース電極は第2ゲート電源(GVGL)と連結され、ドレーン電極はQBノードと連結される。
【0046】
第4トランジスター(T4)は、リセット信号(RESET)に対応して第1ゲート電源(GVGH)の電圧をQBノードに伝達する。第4トランジスター(T4)のソース電極はQBノードと連結され、ゲート電極はQノードと連結されて、ドレーン電極は第1ゲート電源(GVGH)と連結される。
【0047】
また、QBノード及び第1トランジスター(T1)のドレーン電極の間には第1キャパシター(C1)が連結される。そして、Qノードと出力ノード(Nout)の間には第2キャパシター(C2)が連結される。
【0048】
第5トランジスター(T5)は、リセット信号(RESET)に対応して第2ゲート電源(GVGL)の電圧をQノードに伝達する。第5トランジスター(T5)のソース電極は第2ゲート電源(GVGL)と連結され、ドレーン電極はQノードと連結される。
【0049】
第6トランジスター(T6)は、セット信号(SET)に対応してターンオンされ、第1ゲート電源(GVGH)の電圧をQノードに伝達する。これにより、第1トランジスター(T1)を通じて第1エミッション電源(EVGH)電圧が出力ノード(Nout)に出力される間、第2トランジスター(T2)がターンオフされる。
【0050】
以下では、図6及び図7を参照して本発明によるEM信号制御回路によるEM信号生成過程及びEMデューティー動作過程を詳しく説明する。以下の実施形態では、第1エミッション電源(EVGH)電圧は14V、第2エミッション電源(EVGL)電圧は−6V、第1ゲート電源(GVGH)電圧は16V、第2ゲート電源(GVGL)電圧は−6Vにそれぞれ設定された場合を仮定して説明する。また、セット(SET)信号及びリセット(RESET)信号は、−6Vの低電位及び16Vの高電位を示すものと仮定する。しかし、第1エミッション電源(EVGH)電圧、第2エミッション電源(EVGL)電圧、第1ゲート電源(GVGH)電圧、第2ゲート電源(GVGL)電圧、セット信号、リセット信号の大きさが必ずこのように設定されなければならないのではなく、各電圧の大きさは実施形態によって異に設定されることができる。
【0051】
図7図6のEM信号制御回路の動作による各信号の波形を示す。
【0052】
先ず、区間(t1)では第3トランジスター(T3)のゲート電極に−6Vのセット信号(SET)が印加される。これにより、第3トランジスター(T3)がターンオンされ、-6Vの第2ゲート電源(GVGL)電圧がQBノードに伝達される。
【0053】
QBノードに−6Vの電圧が伝達されれば、第1トランジスター(T1)及び第6トランジスター(T6)がそれぞれターンオンされる。第1トランジスター(T1)がターンオンされれば、第1トランジスター(T1)を通じて14Vの第1エミッション電源(EVGH)電圧が出力ノード(Nout)に出力される。これにより、区間(t1)では、図7のように14VのEM信号がEM信号制御回路を通じて出力される。このとき、QBノードに伝達された−6Vの電圧は第1キャパシター(C1)に貯蔵される。
【0054】
また、第6トランジスター(T6)がターンオンされれば、16Vの第1ゲート電源(GVGH)電圧がQノードに伝達される。これにより、区間(t1)で第2トランジスター(T2)はターンオフ状態を維持する。
【0055】
次に、区間(t2)では第3トランジスター(T3)のゲート電極に16Vのセット信号(SET)が印加される。これにより、第3トランジスター(T3)はターンオフされる。図4を通じて説明された従来技術によると、このように第3トランジスター(T3)がターンオフされる場合、第1トランジスター(T1)及び第2トランジスター(T2)がいずれもターンオフ状態になるため、出力端子(NOUT)はフローティング(floating)状態になる。これにより、区間(t2)では出力端子(NOUT)を通じて出力されるEM信号(EM)の正常な出力を保障できないという問題がある。
【0056】
しかし、本発明では、区間(t2)で第3トランジスター(T3)がターンオフされても、第1キャパシター(C1)に貯蔵された−6Vの電圧によって第1トランジスター(T1)が引き続きターンオン状態を維持する。これにより、出力ノード(Nout)を通じて続いて14Vの第1エミッション電源(EVGH)電圧が出力される。したがって、本発明によるEM信号制御回路によれば、区間(t2)のように、セット信号(SET)及びリセット信号(RESET)がいずれも16Vに入力される区間においても、出力ノードを通じた正常なEM信号(EM)の出力が保障される。
【0057】
一方、EMデューティー動作が終了される時点、つまり、区間(t2)の終了時点はタイミングコントローラー114によって決まることができる。このような区間(t2)の終了時点によって、EMデューティー駆動の持続時間(duty)が決まることができる。
【0058】
次に、区間(t3)では−6Vのリセット信号(RESET)が第5トランジスター(T5)のゲート電極に印加される。これにより、第5トランジスター(T5)がターンオンされ、第5トランジスター(T5)を通じて−6Vの第2ゲート電源(GVGL)電圧がQノードに伝達される。
【0059】
Qノードに−6Vの電圧が伝達されることによって第2トランジスター(T2)がターンオンされ、第2トランジスター(T2)を通じて−6Vの第2エミッション電源(EVGL)電圧が出力ノード(Nout)を通じて出力される。これにより、区間(t3)でEM信号(EM)は図7のように−6Vに変わる。このとき、Qノードの−6V電圧は第2キャパシター(C2)に貯蔵される。
【0060】
一方、Qノードに−6Vの電圧が伝達されることによって第4トランジスター(T4)がターンオンされ、第4トランジスター(T4)を通じて16Vの第1ゲート電源(GVGH)電圧がQBノードに伝達される。これにより、区間(t3)で第1トランジスター(T1)はターンオフ状態を維持する。
【0061】
次に、区間(t4)では16Vのリセット信号(RESET)が第5トランジスター(T5)のゲート電極に印加される。これにより、第5トランジスター(T5)がターンオフされるが、第2キャパシター(C2)に貯蔵された−6Vの電圧によって第2トランジスター(T2)はターンオン状態を維持する。これにより、EM信号(EM)の電圧の大きさは続いて−6Vを維持する。
【0062】
しかし、前述のように、区間(t4)でEM信号(EM)の電圧の大きさが続いて−6Vを維持しなければならないにもかかわらず、EM信号(EM)の電圧の大きさの上昇する現象が発生する。これは、有機発光ディスプレイ装置の製造過程において、トランジスターの工程条件、または有機発光ディスプレイ装置の駆動時の外部温度変化、トランジスターの劣化などによって第1トランジスター(T1)のしきい値電圧が変わることができるためである。すなわち、第1トランジスター(T1)のしきい値電圧が変化することで、QBノードに第1ゲート電源(GVGH)電圧が印加されるにもかかわらず、区間(t4)でEM信号(EM)の電圧の大きさが上昇する現象が発生する。
【0063】
本発明では、このように区間(t4)でEM信号(EM)の電圧の大きさが一定に維持されずに上昇する現象を防止するため、第1ゲート電源(GVGH)の電圧の大きさを第1エミッション電源(EVGH)の電圧の大きさと相異なるように設定する。例えば、図7の実施形態では、第1ゲート電源(GVGH)の電圧の大きさが16Vに設定され、第1エミッション電源(EVGH)の電圧の大きさが14Vに設定される。このように、第1ゲート電源(GVGH)の電圧の大きさと第1エミッション電源(EVGH)の電圧の大きさが相異なるように設定されれば、二つの電源の電圧差分の大きさ(-2V)を有する電圧が第1トランジスター(T1)のゲート電極に印加される。これにより、第1トランジスター(T1)のしきい値電圧が変化しても、第1トランジスター(T1)は区間(t4)でターンオフ状態を安定的に維持することができ、EM信号(EM)の電圧も一定に維持されることができる。
【0064】
本発明において、第1ゲート電源(GVGH)の電圧の大きさと第1エミッション電源(EVGH)の電圧の大きさの差は、第1トランジスター(T1)のしきい値電圧変化によって異に設定されることができる。つまり、第1トランジスター(T1)のしきい値電圧変化が大きく起きると予想されれば、それに応じて第1ゲート電源(GVGH)の電圧の大きさと第1エミッション電源(EVGH)の電圧の大きさの差もより大きく設定されることができる。
【0065】
結局、前記のような動作に応じて、区間(t3)及び区間(t3)でEM信号(EM)は−6Vと安定的に維持される。また、区間(t5)及び区間(t6)でもそれぞれ区間(t3)及び区間(t3)と同一な動作が行われ、EM信号(EM)は−6Vと安定的に維持される。
【0066】
図8は本発明の他の実施形態によるEM信号制御回路の構成図である。
【0067】
図6に図示された本発明によるEM信号制御回路に含まれる第1トランジスター(T1)ないし第6トランジスター(T6)は、いずれもPMOSトランジスターで構成される。一方、図8に図示された本発明の他の実施形態によるEM信号制御回路の第1トランジスター(T1)ないし第6トランジスター(T6)は、いずれもNMOSトランジスターで構成される。このような点を除けば、図8のEM信号制御回路動作及びそれによるEM信号の波形は図6の回路と同一である。
【0068】
但し、図8のEM信号制御回路において、第1エミッション電源(EVGL)電圧、第2エミッション電源(EVGH)電圧、第1ゲート電源(GVGL)電圧、第2ゲート電源(GVGH)電圧の大きさは、図6の回路と反対に設定される。例えば、図8の回路で第1エミッション電源(EVGL)電圧は−6V、第2エミッション電源(EVGH)電圧は14V、第1ゲート電源(GVGL)電圧は−8V、第2ゲート電源(GVGH)電圧は14Vとそれぞれ設定されることができる。このときも、図7の区間(t4)または区間(t6)でEM信号の電圧の大きさが上昇する現象を防止するために、第1ゲート電源(GVGL)の電圧の大きさは第1エミッション電源(EVGL)の電圧の大きさと相異なるように設定されることができる。
【0069】
前述したような本発明によれば、EM信号制御回路のEMデューティー動作時の出力ノードと連結されるトランジスターがターンオフされることによって発生するフローティング状態を防止することができる長所がある。
【0070】
また、本発明はEM信号制御回路のEMデューティー動作時、出力ノードと連結されるトランジスターのしきい値電圧変化によってEM信号の電圧の大きさが変化する現象を防止することができる長所がある。
【0071】
前述した本発明は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって、本発明の技術的思想を脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能なので、前述した実施形態及び添付された図面によって限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8