特許第6539670号(P6539670)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6539670
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】電力供給ユニット
(51)【国際特許分類】
   B65B 55/08 20060101AFI20190625BHJP
   A61L 2/08 20060101ALI20190625BHJP
   H05H 5/02 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   B65B55/08 B
   A61L2/08 108
   H05H5/02 A
【請求項の数】13
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-552964(P2016-552964)
(86)(22)【出願日】2015年1月21日
(65)【公表番号】特表2017-516717(P2017-516717A)
(43)【公表日】2017年6月22日
(86)【国際出願番号】EP2015051063
(87)【国際公開番号】WO2015124352
(87)【国際公開日】20150827
【審査請求日】2017年12月11日
(31)【優先権主張番号】1450202-5
(32)【優先日】2014年2月19日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イオーシフ・イズライリット
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−035899(JP,A)
【文献】 特開平09−084260(JP,A)
【文献】 特開2013−171947(JP,A)
【文献】 特表2009−528228(JP,A)
【文献】 特開昭63−310306(JP,A)
【文献】 国際公開第02/078408(WO,A1)
【文献】 特開平05−227619(JP,A)
【文献】 特開2003−185800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 53/00−55/24
A61L 2/00− 2/28
A61L 11/00−12/14
H05H 3/00−15/00
G21K 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
菌デバイス用の電力供給ユニットであって、
筐体(20)と、電気システム(40)と、熱吸収ユニット(60)と、を備え、
前記電気システム(40)が、前記筐体(20)内に配置され、前記筐体(20)に取り付けられる高電圧出力コネクタへと高出力電圧を提供するように適合され、
前記筐体(20)が、絶縁ガス(50)で満たされ、前記絶縁ガス(50)が、前記電気システム(40)を電気的に絶縁するように適合され
前記熱吸収ユニット(60)が熱伝導材料からなる少なくとも1つの板(62)を備え、
前記筐体(20)が、前記筐体(20)を、第1の室(24)と第2の室(25)とに分離する内壁(22)を備え、
前記熱吸収ユニット(60)の前記少なくとも1つの板(62)が前記内壁(22)に配置される、電力供給ユニット。
【請求項2】
前記筐体が、前記絶縁ガス(50)を加圧させることができるように実質的に封止される、請求項1に記載の電力供給ユニット。
【請求項3】
前記少なくとも1つの板が、アルミニウムまたは銅から作られる、請求項1または2に記載の電力供給ユニット。
【請求項4】
前記熱吸収ユニット(60)が少なくとも1つの熱交換要素(64)を備え、前記熱交換要素(64)が、前記少なくとも1つの板(62)に配置される、請求項3に記載の電力供給ユニット。
【請求項5】
前記電気システム(40)の部品が基板(66)に配置され、前記基板(66)が、前記少なくとも1つの板(62)において、前記熱吸収ユニット(60)に配置される、請求項4に記載の電力供給ユニット。
【請求項6】
前記絶縁ガス(50)は窒素からなり、前記第1の室(24)および前記第2の室(25)に前記窒素が満たされている、請求項1に記載の電力供給ユニット。
【請求項7】
前記熱吸収ユニット(60)が少なくとも1つの冷却通路(68)を備え、
前記冷却通路(68)が、前記少なくとも1つの熱交換要素(64)、基板(66)、および/または前記少なくとも1つの板(62)を冷却するように適合される、請求項4から6のいずれか一項に記載の電力供給ユニット。
【請求項8】
前記筐体(20)が、前記絶縁ガス(50)を前記筐体にわたって運ぶための手段(26)を備え、前記運ばれた絶縁ガス(50)が、冷却効果を前記電気システムに提供する、請求項1から7のいずれか一項に記載の電力供給ユニット。
【請求項9】
前記筐体(20)が、前記電気システム(40)の一部である少なくとも1つの熱源(70)を備え、
前記絶縁ガス(50)を運ぶための前記手段(2)が、前記少なくとも1つの熱源(70)から前記少なくとも1つの熱交換要素(64)へと少なくとも方向付けられる絶縁ガス(50)の流れを確立するように適合される、請求項4を引用する請求項8に記載の電力供給ユニット。
【請求項10】
前記絶縁ガス(50)の流れが、循環する絶縁ガスの流れ(52)である、請求項8から9のいずれか一項に記載の電力供給ユニット。
【請求項11】
前記電気システム(40)が電圧増倍器(80)を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の電力供給ユニット。
【請求項12】
前記電圧増倍器(80)が第1の領域(82)と、第2の領域(84)と、を少なくとも備え、前記第1の領域(82)には、前記第2の領域(84)に配置される要素より低い電圧で運転する要素が配置され、
前記第1の領域(82)は、前記少なくとも1つの熱交換要素(64)に向かってそれぞれ配向または方向付けされる、請求項4を引用する請求項11に記載の電力供給ユニット。
【請求項13】
装材料用を殺菌するための殺菌デバイスであって、
電子ビームエミッタ(10)と、請求項1から12のいずれか一項に記載の電力供給ユニットと、を備え、
前記電気システム(40)が、前記高電圧出力コネクタを介して前記電子ビームエミッタへと連結される、殺菌デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特には殺菌デバイス用といった電力供給ユニットに関し、特には包装材料用といった殺菌デバイスに関し、特には殺菌デバイス用といった電力供給ユニットを電気的に絶縁するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ビーム照射は、過酸化水素を伴う湿式化学が従来の技術的基盤であった殺菌の目的のための有望な代替として考えられてきた。電子ビーム照射は、例えば包装機械内で、湿式化学の否定的な結果を排除する、例えば包装材料などの十分な殺菌を提供する。しかしながら、先行技術からそれぞれ知られている殺菌デバイスまたは電子ビームエミッタは、概して重量があり、非常に大きく、使用するのが容易ではない。特に、それらは、包装業界の要件に従うようにはしばしば適合されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、電力供給ユニットを筐体に対して絶縁するための絶縁媒体として使用されるオイルは、漏れ出して、殺菌される必要のある材料を損傷または汚染する可能性があるため、食品業界の用途に関して、または、医学的/生物学的な分野において、問題を引き起こす可能性がある。また、オイルの使用は、構成要素の重量を増加させる。しかしながら、電子ビームエミッタと、例えば電力供給ユニットのような対応する構成要素とは、例えば移動可能な回転台といった移動可能な部品にしばしば配置されるため、好ましくは軽量であるべきである。
【0004】
電力供給ユニットは、電子ビームエミッタを運転するために必要である高電圧を発生する。しかしながら、この高電圧を発生することは、熱を生成する。そのため、電気システム全体を冷却するために、および、電力供給ユニット内部に、または、殺菌デバイスに、信頼性のある運転状態をそれぞれ提供するために、ここでも解決策が見出される必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、特には殺菌デバイス用といった電力供給ユニットと、特には包装材料用といった殺菌デバイスとを、電力供給ユニット内部の絶縁および冷却条件を向上して提供する。さらに、高い融通性と、取り扱いの容易性と、コスト効果とを提供する電力供給ユニットまたは殺菌デバイスのそれぞれと同じく、電力供給ユニットを電気的に絶縁するための方法が、特には殺菌デバイス用に、電力供給ユニット内部の良好な絶縁と冷却条件とを維持するために提供される。
【0006】
これは、請求項1による電力供給ユニットによって、請求項13による殺菌デバイスによって、および、請求項14による電力供給ユニットを電気的に絶縁するための方法によって得られる。本発明の好ましい実施形態の追加の利点および特徴は、従属請求項に定義されている。
【0007】
本発明によれば、特には殺菌デバイス用といった電力供給ユニットが筐体と、筐体内に位置付けられる電気システムとを備えており、筐体が絶縁ガスで満たされ、ガスが、電気システムを筐体から電気的に絶縁するために、または、筐体の電気システムの構成要素を互いから電気的に絶縁するために適合されることを特徴とする。絶縁ガスの使用は、電気システムおよび筐体の誘電強度、または、電気システムの部品の誘電強度を向上する。電力供給ユニットは、電子ビームエミッタに接続される、または、接続可能である。
【0008】
絶縁という用語は、2つの要素の間の導電性の分離のことを言う。絶縁体またはアイソレータは、その仕様内で用いられるとき、実質的に非導電性の要素または材料が、導電性の要素を互いから電気的に分離することができる。
【0009】
電力供給ユニットおよび電子ビームエミッタの組み合わせまたは一体品は、ここでは殺菌デバイスとして定義される。1つの電力供給ユニットに連結または連結可能である電子ビームエミッタの数に関しての制限はない。しかしながら、一般性を制限することなく、以下の特徴は、都合を良いものとするために、1つの電力供給ユニットと1つの電子ビームエミッタとを備える殺菌デバイスに言及する。
【0010】
1つまたは複数の実施形態によれば、電子ビームエミッタは、電子などの電荷担体を放射するための電子発生器を備える。電子発生器は、概して、密封された真空室で包囲されている。真空室には、電子出口窓が設けられている。さらに、電子発生器は、陰極筐体とフィラメントとを備える。使用中、電子ビームは、フィラメントを加熱することで発生される。電流がフィラメントを通じて供給されるとき、フィラメントの電気抵抗が、フィラメントを2,000℃程度の温度まで加熱させる。この加熱は、フィラメントに電子雲を発生させる。電子は、陰極筐体と出口窓との間の大きな電位差を用いて、電子出口窓に向かって加速される。その結果、電子は電子出口窓を通過し、例えば、殺菌される必要がある包装材料の一部といった、目標領域に向かって進み続ける。
【0011】
大きな電位差は、例えば、陰極筐体とフィラメントとを、大きな電位を提供する電力供給ユニットに連結することで、および、真空室を地表電位へと連結することで、作り出される。当然ながら、他の電位が同様に用いられてもよく、電位同士の間の差は、フィラメントによって放射される電子を加速する電圧を与える。他に述べられていない場合、電圧という用語は、発生源によって提供される電位と地表電位との間の差を意味するものである。
【0012】
電力供給ユニットが提供する電圧は、通常、約80〜115kVの範囲にある。しかしながら、約75〜150kVの範囲における電圧も、本発明の1つまたは複数の実施形態に応じて発生される。このような電子ビームエミッタは、包装材料、食品、生物学的または医学的な装置の殺菌のために使用され得る。
【0013】
包装材料の内容物に関しての制限はない。内容物は、液体または固体であり得る。殺菌デバイスまたは電子ビームエミッタのそれぞれのそれ自体の使用に関しての制限もない。したがって、電子ビームエミッタまたは殺菌デバイスのそれぞれは、内部および/または外部の殺菌について使用され得る。
【0014】
一実施形態によれば、殺菌デバイスまたは電力供給ユニットは、それぞれ、例えばボール紙および/またはプラスチックから作られた包装内容物の内部および/または外部の殺菌のために使用される。電力供給ユニットと電子ビームエミッタとの間の電気連結が、電力供給ユニットの高電圧出力コネクタによって、一実施形態において提供される。このようなコネクタは、特定の絶縁を提供し、非常に大きい電圧に耐えることができる材料も設計も備える。別の実施形態では、電力供給ユニットと電子ビームエミッタとは連結され、電力供給ユニットは、密封されており、絶縁ガスが勢いよく流される。高電圧で作用するあらゆる電線と筐体との間には、例えば約30mmといった十分な空間が選択され、エミッタとすべての連結線との間に障壁が設置される。このような環境では、電力供給ユニットとエミッタとの間の連結は、高電圧の運転のための特別な要件を考慮することなく、通常のコネクタを用いて作られ得る。
【0015】
有利には、高電圧出力コネクタが、密閉の連結を提供するために適合される。連結は、例えばネジおよび/またはボルトを用いて(適切な開口との組み合わせで)、構造および/または力の嵌め合いの連結であり得る。高電圧出力コネクタは、電力供給ユニットの筐体の内部で、電気システムに、または、電気システムの少なくとも1つの部品にそれぞれ連結を提供する。一般的に言って、電気システムは、殺菌過程に必要とされる高電圧を発生するように適合される。
【0016】
しかしながら、高電位または高電圧が発生される場合、電気絶縁が問題である。特には、コロナが回避される必要がある。コロナ放電は、電気的にエネルギーの与えられる導体の周囲のガスなどの媒体のイオン化によってもたらされる電気放電である。コロナ放電は、電子が高電圧の電極から容易にイオン化する中立流体へと流れ、その結果電極の周りにプラズマの領域を作り出す過程である。発生されたイオンは、最終的に、より低い電位の近隣の領域へと電荷を通す。放電は、導体の周りの強度(電界の電位勾配)が、導電性の領域を形成するだけの高さであるが、物体の近隣への電気絶縁破壊またはアーク放電を引き起こすほど高くない場合に起こる。しかしながら、ここでの文脈では、電気アークまたはアーク放電は、殺菌デバイスおよびその構成要素を損傷する可能性があるため、回避される必要がある。また、特には、殺菌デバイスによる人員の作業が保護される必要がある。
【0017】
本発明は、いくつかの態様のうちでも、電力供給ユニットまたはその部品の誘電強度を向上するために、筐体において絶縁ガスを用いることを提案する。一実施形態では、窒素が絶縁ガスとして用いられる。窒素は、電気放電を防止または素早く急冷するために適合される誘電ガスである。窒素は、空気より、その電子同士の間により短い平均自由行程を有している。平均自由行程は、移動する素粒子の方向、エネルギー、または他の素粒子の特性を変化させる連続した衝突の間に、移動する素粒子が進む平均距離である。他の実施形態では、二酸化炭素が絶縁ガスとして使用される。どちらのガスも、化学的に比較的不活性であり、電子構成要素の腐食を引き起こさない。したがって、絶縁特性は、例えば、酸素が含まれている空気といったものよりはるかに良い。
【0018】
例えば、絶縁オイルの使用に反して、窒素などの絶縁ガスの使用の大きな利点は、ガスが漏れ出す、殺菌される必要がある材料に落ちる可能性がないことである。殺菌される必要がある材料は、絶縁の媒体/ガスによって損傷または汚染される可能性がない。これは、特に食品包装業界に関して、非常に大きな利点である。
【0019】
別の大きな利点は、オイルなどの液体の絶縁材料の密度に反して、絶縁ガスの密度がより小さいことである。絶縁ガスを用いることで、加圧されていてもいなくても、約20%の範囲で重量を低減できる。すでに言及したように、殺菌デバイスは、概して、回転台などの移動する部品に配置されている。これらの回転台は非常に速く移動し、例えば、昇降、加速、停止などがされる必要がある。したがって、殺菌デバイスの重量はできるだけ低減されるべきである。この重量低減は、窒素または二酸化炭素などの絶縁ガスの使用によって、有利に実現され得る。
【0020】
しかしながら、窒素などの絶縁ガスの電子同士の間の前述した平均自由行程は、例えばオイルの平均自由行程よりなおも大きい。高電圧の電力供給ユニットの特定の状況、構造、および設計に依存して、電力供給ユニットの誘電強度を向上するためにさらなる要素を実施することが、適切であり得る。
【0021】
以下において、1つまたは複数の実施形態によって実現され得る追加の態様が、列記されている。
a)電気システムまたは電気システムの部品は、それぞれ、筐体の内部に配置される特定の基板に概して設置される。1つまたは複数の実施形態によれば、これらの基板に使用される材料はFR4を備え得る。実施形態によれば、基板材料の積層と平行な最大許容電界は、おおよそ2kV/mmである。
b)基板に配置される構成要素についての最大許容電界は、(導体半径の)おおよそ6〜8kV/mmである。
c)前述の値は、例えば高分子化合物といった、大きい誘電強度を有する電気構成要素の導電性の面を被覆することで、3〜4倍で増加され得る。基板絶縁については、誘電高分子化合物が使用されてもよい。例には、運転中にこのような電力供給の高い温度にも耐えることができるエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン、ポリプロピレン、液体有機ケイ素ゴムがあり得る。特にはコロナ防止のために、少量の導電性添加物を含む高分子化合物が使用されるべきである。添加物には、チタン酸バリウム、炭素、マイクロフィラーを伴うナノコンポジットなどの熱安定化添加物または導電性添加物があり得る。
【0022】
本発明の一態様によれば、絶縁ガスは加圧される。例えば、絶縁ガスは、周囲圧力より高い分圧を有し得る。これは、誘電ガスの絶縁特性を向上する。圧力は、約1.5〜5barの範囲内にあり得る(常に絶対圧力が意味されている)。実施形態では、圧力は、約3.5〜4.0barであり、そのため、筐体の外部の通常の圧力を少なくとも2.5bar上回る。加圧された窒素は、良好で信頼できる絶縁を提供する。2.5barにおいて、絶縁破壊電圧は、3mm半径試験電子について、8kV/mmを上回っている。
【0023】
別の態様によれば、具体的には窒素であり、特に具体的には加圧された窒素である絶縁ガスは、脱湿されもする。筐体内部の低い湿度は、絶縁破壊電圧をさらにより高め、表面漏れおよびコロナを低減する。酸素内容物を低減することは、オゾンの発生の危険性を十分に低減し、電気システムの耐用年数を拡大する。0.1〜1%の汚染物を含む窒素が、1つまたは複数の実施形態によるこの用途には適している。(絶縁)オイルの仕様と比較して、約20%の範囲の重量低減が達成され得る。
【0024】
都合の良いことには、電力供給ユニットは熱吸収ユニットを備え、熱吸収ユニットは少なくとも1つの板によって形成される。板は、例えばアルミニウムまたは銅といった金属から作られ得る。概して、良好な熱の伝導を提供する材料が、好ましいとされるはずである。本発明の一態様によれば、電気システムの部品は、少なくとも1つの板に直接的に搭載される、または、少なくとも1つの板と少なくとも(熱伝導)接触している。したがって、電気システムの部品によって発生される熱は、熱吸収ユニットによって、または、少なくとも1つの板によって、吸収および伝達され得る。
【0025】
しかしながら、熱吸収ユニットは、特には絶縁ガスからの熱である筐体内部からの熱を吸収するように適合されてもいる。そのため、都合の良いことには、熱吸収体は、少なくとも1つの熱交換要素を備え、熱交換要素は、少なくとも1つの板に有利に配置される。少なくとも1つの熱交換要素は、好ましくは、大きな表面を備えた構成要素である。表面は、別の言い方をすれば、大きな熱伝導面である。その結果、少なくとも1つの熱交換要素は、特には絶縁ガスからの熱である筐体の内部からの熱を吸収でき、少なくとも1つの熱交換要素は、好ましくは熱吸収ユニットまたは少なくとも1つの板と接触しているため、吸収した熱を熱吸収ユニットへと伝達する。
【0026】
1つまたは複数の実施形態によれば、少なくとも電気システムの部品は基板に配置され、基板は少なくとも1つの板に配置される。基板は、例えばFR4から作られ得る。本発明の一態様によれば、基板は電力変換基板であり、高電位または出力を高電圧コネクタに提供するように適合される。電気システムの部品は、電力変換基板に配置され得る。電力変換基板は導体などを備えてもよい。概して、(電力変換)基板も熱を生成する。しかしながら、少なくとも1つの板と好ましくは接触しているため、(電力変換)基板の熱は板へと伝達され得る。板と(電力変換)基板とは、直接的な接触を有する必要がない。それらは、例えば、構造および/または力の嵌め合いの連結によって、少なくとも近くで隣り合って配置されることは、十分であり得る。しかしながら、直接的な接触が可能でもあり、熱伝達を高める。
【0027】
1つまたは複数の実施形態によれば、筐体は内壁を備え、内壁は筐体を第1の室と少なくとも1つの第2の室とに分離し、少なくとも1つの板は内壁に有利に配置される。電気システムの一部の部品は第1の室に配置され、電気システムの他の部品は第2の室に配置される。本発明の一態様によれば、いずれの室も絶縁ガスで満たされる。2つの室は互いと連結され得る。そのため、絶縁ガスは、例えば、第1の室から第2の室へと、およびその逆に、流れることができる。別の実施形態では、2つの室は分離される。これは、異なる絶縁条件が2つの室で実現される場合、有利であり得る。例えば、絶縁ガスの異なる圧力または異なる湿度レベルが各々の室で提供され得る。
【0028】
また、一方の室は、高い電位または電圧を処理する、取り扱う、または発生するために適合させることができ、他方の室は、より低い電圧を取り扱うために適合させることができる。概して、筐体自体は外壁によって形成され、壁の材料(内壁および/または外壁)は、例えばアルミニウム、鉄といった金属を含むことができるが、プラスチック、繊維強化材料など、またはそれらの組み合わせを含むこともできる。1つまたは複数の実施形態によれば、筐体は、溶接されたステンレス鋼から作られ、筐体の最上端は、都合の良いことには、移動可能に取り付けられ、適切なOリングで封止される。代替または追加で、液体ガスケットが用いられてもよい。有利には、窒素などの絶縁ガスは、加圧されているとしても、漏れることができない。筐体の取り外し可能な最上端、または、一般的に取り付け可能な部品は、容易な保守を可能にする。1つまたは複数の実施形態によれば、電力供給ユニットは、電力供給ユニットの運転の間に起こり得る例えば絶縁ガスの漏れまたは他の問題を指示するように適合される診断システムを備えてもよい。
【0029】
本発明の他の態様によれば、絶縁ガスは、窒素、二酸化炭素、SF、または他のハロゲンなど、高い誘電強度を持った誘電ガスである。
【0030】
都合の良いことには、熱吸収ユニットは少なくとも1つの冷却通路を備え、冷却通路は、少なくとも1つの熱交換要素、基板、および/または少なくとも1つの板を冷却するように適合される。本発明の一態様によれば、少なくとも1つの冷却通路が、少なくとも1つの板と一体にされる。別の言い方をすれば、板は、1つまたは複数の冷却通路を有してもよい。熱伝達を向上するために、都合の良いことには、ガスまたは水などの冷却媒体が冷却通路を通って流れる。そのため、冷却通路は入口と出口とを有する。しかしながら、冷却通路は、例えば板として、別の構成要素と一体にされる必要はない。冷却通路は、筐体内に位置付けられる別にされた構成要素であってもよい。
【0031】
本発明の別の態様によれば、筐体は、特にはファンである、絶縁ガスを運ぶための手段を備え、運ばれた絶縁ガスは冷却効果を提供する。この手段の1つの利点は、絶縁ガスの流れが作り出され得ることである。絶縁ガスと、特には絶縁ガスの流れとは、都合の良いことには、冷却特性を提供する。別の言い方をすれば、絶縁ガスは、電気システムから、または、電気システムの部品から、熱をそれぞれ吸収できる。したがって、好ましくは、冷却効果が絶縁ガスによって提供される。言うまでもないが、例えば電気システムの一部を取り囲む絶縁ガスは、それ自体が加熱する。そのため、筐体がガスを運ぶための手段を備えることは、大きな利点である。したがって、加熱された絶縁ガスが、例えば、ファンによって電気システムの高温部分から吹き飛ばされることが、確実に行われ得る。逆に、特にはファンであるガスを運ぶための手段を用いることで、まだ加熱していない絶縁ガスが、熱を生成する電気システムの一部を取り囲むことが、確実に行われ得る。これを行うことで、熱を生成する電気システムの一部を取り囲む絶縁ガスがなおも熱を吸収できることが確保され得る。
【0032】
本発明の別の態様によれば、筐体は少なくとも1つの熱源を備え、絶縁ガスを運ぶための手段は、少なくとも1つの熱源から少なくとも1つの熱交換要素へと方向付けられる絶縁ガスの流れを確立するように適合される。熱源は、先にすでに記載しているような、熱を生成する電気システムのこういった部品である。先に記載した絶縁ガスの流れが、自身が吸収した熱を少なくとも1つの熱交換要素へと伝達できることは、その流れの利点である。熱を少なくとも1つの熱交換要素へと伝えることで、絶縁ガスの流れはそれ自体において冷却される。1つまたは複数の実施形態によれば、(熱交換要素における)冷却された絶縁ガスの温度低下は約20〜25℃の範囲内にある。その結果、電力供給ユニットは、周囲条件において60℃以上までで、確実に運転され得る。言うまでもないが、特にはファンであるガスを運ぶための手段は、冷却されている絶縁ガスを少なくとも1つの熱交換要素(後方)から少なくとも1つの熱源へと持っていくように適合されてもいる。
【0033】
本発明の別の態様によれば、冷却されている絶縁ガスの流れは、最初に、最も大きい熱を生成する電気システムのこういった部品へと案内される。別の言い方をすれば、絶縁ガスの流れは、最初に、「最大の」熱源へと案内される。概して、このような熱源は、電気システムの高電圧部品を含み得る。実施形態では、筐体は、ガスの流れをこのような熱源へと案内するための案内要素を収容する。案内要素には、邪魔板、案内板、または偏向体などがあり得る。案内要素は、熱伝達を可能とするように、筐体と熱的に接触しているべきである。
【0034】
本発明によれば、この「案内」の間、冷却されている絶縁ガスの流れができるだけ少ししか加熱しないことを確保させられる必要がある。一実施形態では、絶縁ガスの流れは、例えば、(筐体の内部で)外壁に沿って案内される。言うまでもないが、特にはファンであるガスを運ぶための手段が複数設けられてもよい。その結果、複数の絶縁ガスの流れが筐体の内部に確立されてもよい。前述の特徴および利点は、概して筐体に当てはまり、設けられる場合、筐体の異なる室にも当てはまる。
【0035】
都合の良いことには、絶縁ガスの流れは、循環する絶縁ガスの流れである。筐体または室のうちの1つに関して、循環する絶縁ガスの流れは、次のように確立され得る。1つまたは複数の実施形態によれば、筐体は、第1および第2の室(設けられる場合)と共に、長手方向軸に沿って延びる。したがって、筐体は最上端および最下端を有し、最下端は、前述の高電圧出力コネクタを備え得る。循環する絶縁ガスの流れは、例えば、筐体の最上端の近くにファンを設けることで確立され得る。本発明の一態様によれば、ファンは、基本的に、筐体の中間に位置付けられ、ファンによって確立されるガスの流れが最下端から最上端へと移動する。少なくとも1つの熱交換要素はファンの上方に位置付けられる。その結果、ガスの流れが少なくとも1つの熱交換要素に当たり、少なくとも1つの熱交換要素において、好ましくは筐体の外壁に沿って、筐体の最上端から最下端へと移動する複数(少なくとも、例えば2つ)の外部の絶縁ガスの流れに分離する。しかしながら、ファンによって作り出される絶縁ガスの流れが長手方向軸に沿って移動しない場合、先に記載したような循環する絶縁ガスの流れが確立されてもよい。
【0036】
本発明の他の態様によれば、電気システムは電圧増倍器を備える。具体的には、少なくとも1つの電圧増倍器で、特には2つ以上の電圧増倍器が、設けられる。これらは、別々もしくは一体とされた回路、または、それらの組み合わせを含み得る。概して、電気システムは、パワー電子構成要素と、高電圧構成要素と、制御システム構成要素とを備える。1つまたは複数の実施形態によれば、パワー電子構成要素は、少なくとも1つの板において直接的に配置される。高電圧構成要素の冷却について、電圧増倍器は高電圧構成要素の1つの部品の例であり、絶縁ガスの流れが用いられる。高電圧構成要素についての適切な冷却条件を提供するために、少なくとも1つの熱交換要素は、約200W(水から窒素へ)の熱伝達の性能を有する。制御システム構成要素の冷却について、同じく、熱交換要素との組み合わせでの絶縁ガスの流れが、都合の良いことには用いられる。熱交換要素は、約60W(水から窒素へ)の性能を有し得る。両方の熱交換要素は、1つまたは複数の水冷却される板と好ましくは接触している。好ましくは、高電圧構成要素が第1の室内に配置され、制御システム構成要素とパワー電子構成要素とが第2の室に配置される。したがって、室の各々が、好ましくは、それ自体の熱交換要素とファンとを有する。
【0037】
電圧増倍器は、より低い電圧の領域と、より高い電圧の領域とを備える。概して、電圧増倍器は、A/C(交流電流)電力を、より低い電圧からより高いD/C電圧へと変換する電気回路である。すでに言及しているように、電圧増倍器は、それぞれ、約75〜150kVまでの範囲で電圧を発生する。したがって、より低い電圧の領域は70〜90kVまでの範囲内にあり、より高い電圧の領域の電圧は、約80〜150kVの範囲内にある。本発明の一態様によれば、より低い電圧の領域は、前記少なくとも1つの熱交換要素に向かって配向または方向付けがそれぞれされる。前述の絶縁ガスの流れとの組み合わせで、絶縁ガスの流れが少なくとも1つの熱源から少なくとも1つの熱交換要素へと方向付けられることが確保され得る。
【0038】
ここでの文脈において、より高い電圧の領域は熱源である。この部分は、筐体の最下部または第1の室へとそれぞれ有利に方向付けられる。絶縁ガスの流れは、(電圧増倍器の)より高い電圧の領域との最初の接触の間、できるだけ冷えているべきである。筐体または第1の室の各々の長手方向軸に関して、より低い電圧の領域は、筐体の最上端に向かって方向付けまたは配向されてもよく、より高い電圧の領域は、筐体の最下端に向かって方向付けまたは配向されてもよい。その結果、電圧増倍器は、それぞれ、先に記載したように、(循環する)絶縁ガスの流れによって理想的に冷却され得る。
【0039】
本発明によれば、特には包装材料用といった殺菌デバイスが電力供給ユニットと電子ビームエミッタとを備え、電力供給ユニットが筐体と電気システムとを備え、電気システムが前記筐体内に位置付けられ、電気システムが、電子ビームエミッタに電気的に供給するために適合され、筐体が、特には窒素である絶縁ガスで満たされ、絶縁ガスが、電気システムを電気的に絶縁するように適合されることを特徴とする。
【0040】
本発明によれば、電力供給ユニットを、または、特には殺菌デバイス用といった電力供給ユニットの部品を、特には窒素である絶縁ガスで電気的に絶縁するための方法が、筐体と電気システムとを備え、絶縁ガスは、電気システムを電気的に絶縁するように適合され、電気システムは、筐体内に位置付けられ、
− 筐体の内部の空気圧を低減するステップと、
− 筐体を、特には窒素である絶縁ガスで満たすステップと
を含む。
【0041】
1つまたは複数の実施形態によれば、筐体または室の内部の空気圧は、それぞれ、例えば適切な真空ポンプを用いて、開始圧力(概して約1bar)から約0.002barまたは0.001barへと最小化されるべきである。1つまたは複数の実施形態によれば、真空ポンプは、特には充填ポートといった、筐体の適切なポートに連結される。このステップの後、筐体または室は、それぞれ、窒素などの絶縁ガスで、通常の大気圧を約2.5または3barで上回る圧力まで満たされてもよい。少なくとも、真空ポンプは連結解除でき、充填ポートは密封されるべきである。
【0042】
本発明による電力供給ユニットは、本発明による殺菌デバイスの特徴および利点と、本発明による電力供給ユニットを電気的に絶縁するための方法の特徴および利点とを含み得、逆の場合も同様である。
【0043】
本発明の追加の態様および特徴は、添付の図面を参照して、本発明の好ましい実施形態の以下の記載に示されている。それぞれの実施形態の1つ1つの特徴または特性は、本発明の範囲内で組み合わされるように明示的に許容されている。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1a】電力供給ユニットの第1の好ましい実施形態の概略的な断面の側面図である。
図1b図1aの好ましい実施形態の上面図である。
図1c図1bで指示した断面A−Aの図である。
図2a】2つの断面A−AおよびB−Bを指示する、図1aによる好ましい実施形態の側面図である。
図2b図2aで指示した断面A−Aの図である。
図2c図2aで指示した断面B−Bの図である。
図3a】2つの断面A−AおよびB−Bを指示する、図1aによる好ましい実施形態の側面図である。
図3b図3aで指示した断面A−Aの図である。
図3c図3aで指示した断面B−Bの図である。
図4】電力供給ユニットのさらなる好ましい実施形態の概略的な断面の側面図である。
図5】2つの板に配置される基板の長手方向軸に沿う上面図である。
図6】1つまたは複数の実施形態による第1および第2の室における電気システムの配置の図である。
図7図6に示した実施形態による電気システムの部品の配置を示す図である(図1cも参照)。
図8図6に示した実施形態による第2の室における電気システムの部品の好ましい配置を示す図である(図2bの断面A−Aも参照)。
図9図6に示した実施形態による第2の室における電気システムの部品の好ましい配置を示す図である(図2cの断面B−Bも参照)。
図10a】2つの断面A−AおよびB−Bを指示する、図1aの実施形態の側面図である。
図10b図10aで指示した断面A−Aの図である。
図10c図10aで指示した断面B−Bの図である。
図11図4による電力供給ユニットの好ましい実施形態の電気システムの部品の好ましい配置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1aは、電力供給ユニットの第1の実施形態の概略的な断面を側面図で示している。電力供給ユニットは、外壁23と内壁22とを伴う筐体20を備えている。内壁22は、筐体20を第1の室24と第2の室25とに分離している。両方の室24、25は、具体的には窒素である絶縁ガス50で満たされている。窒素は加圧されている。圧力は、都合の良いことには、1013mbarの通常の圧力を1〜2bar上回ることを意味する、約2〜3bar内にある。筐体20は、室24および25と共に、軸Aに沿って延びている。筐体20の最下端において、電力供給ユニットは高電圧出力コネクタ85を備えている。第1の室24内では、より低い電圧の領域82(例えば、70〜90kVまで)と、より高い電圧の領域84(例えば、80〜150kVまで)とを備える電圧増倍器80が位置付けられている。より低い電圧の領域82は、増倍器80のより高い電圧の領域84に配置されている要素と比較して、より低い電圧で運転する、別々または一体のいずれかとされた要素を備えている。
【0046】
より低い電圧の領域82は筐体20の最上端に向かって配向されており、電圧増倍器80のより高い電圧の領域84は、筐体20の最下端、または第1の室24にそれぞれ向かって、配向または方向付けがそれぞれされている。第1の室24も第2の室25も、絶縁ガス50を運ぶための手段26を備えている。
【0047】
絶縁ガス50を運ぶための手段26またはファン26のそれぞれの上方には、板62が配置されている。板62は、水平な板62に配置されている少なくとも3つの熱交換要素64も備える熱吸収ユニット60の一部である。第1の室24における熱交換要素64の性能値(窒素から水へ)は約200Wの範囲内にあり、第2の室25における熱交換要素64の性能値(窒素から水へ)は、好ましくは、約60Wの範囲内にある。有利には、熱吸収ユニット60は、約20℃の絶縁ガス50の温度低下を提供する。さらなる鉛直の板62が内壁22に配置されている。さらなる鉛直の板62が内壁22に配置されている。板62は、特には電気システム40の熱を吸収および伝達するために、例えば水で満たされている冷却通路68を備えている。冷却通路68は、例えば冷却媒体供給システムへと連結されるように適合されている適切な冷却通路入口/出口68’を備えている。電気システム40の異なる部品が、例えば、図6図7図8、および図9に描写されている。
【0048】
図1bは、図1aによる電力供給ユニットの実施形態の軸Aに沿っての上面図を示している。点線は、筐体20を第1の室24と第2の室25とに分ける内壁22を指示している。断面A−Aは図1cに説明されている。
【0049】
図1cは、図1bに指示されている断面A−Aを示している。第1の室24は、筐体20の外壁23に配置されている板62を備えている。板62は、2つの冷却通路68を備えている。熱交換要素64は、板62にそれぞれ配置または取り付けられる。熱交換要素64の下方には、ファン26が位置付けられている。ファン26は、具体的には、図1cが示しているような循環する絶縁ガスの流れ52といった、絶縁ガスの流れ52を発生する。2つの電圧増倍器80が長手方向軸Aに沿って延びている。それらは、支持構造69に配置されている。循環する絶縁ガスの流れ52は、筐体20の最上部から筐体20の最下部へと外壁23に沿って移動し、循環する絶縁ガスの流れ52は、筐体20の最下端から筐体20の最上端へと移動し、電圧倍増器80を通過する。有利には、第1の室24全体が絶縁ガス50で満たされる。
【0050】
図2aは図1aの実施形態を示しており、次の図で説明されている2つの断面A−AおよびB−Bを指示している。
【0051】
図2bは、図2aで指示した断面A−Aを示している。第2の室25は絶縁ガス50で満たされている。2つの鉛直の板62は軸Aに沿って延びている。筐体20の最上端に配置されているさらなる水平の板62は、冷却通路68を介して、前述の板62と連結されている。2つの鉛直の板62は、筐体20の最下端において、冷却通路68によって連結されてもいる。熱交換要素64は、板62のうちの1つに配置されている。熱交換要素64の上方には、ファン26が位置付けられている。電気システム40の異なる部品が、例えば、図8に描写されている。
【0052】
図2cは、図2aで指示した断面B−Bを示している。特には、図2bに示されていた電気システム40の部品は、2つの鉛直の板62が視認可能となるように、もはやここにはない。具体的には、冷却通路68の配置を見ることができる。ファン26は、例えば図2cにおいて矢印によって指示されているような絶縁ガスの流れ55を発生する。
【0053】
図3aは、2つの断面A−AおよびB−Bを指示する、図1aによる電力供給ユニットの実施形態を示している。
【0054】
図3bは、図3aで指示した断面A−Aを示している。第1の室24および第2の室25は、上面図で示されている。したがって、ファン26は上面図で示されている。第1の室24および第2の室25は、内壁22によって分離されている。内壁22には、熱吸収ユニット60の一部である板62が配置されている。熱吸収ユニット60は冷却通路68を備えている。小さな矢印は、冷却通路68の内部で流れる水などの冷却媒体の可能な流れの方向を指示している。
【0055】
図3cは、図3aで指示した断面B−Bを示している。図は、基板66が板62に配置されているのを示している。基板66は、例えば、電力変換基板である。基板66は、板62と直接的に接触していてもよい。しかしながら、基板66は、板62に直接的に取り付けられる必要はない。板62には、冷却通路68が設けられている。
【0056】
図4は、筐体20を備えた電力供給ユニットの別の実施形態の概略的な断面を示している。この実施形態は、図1aに示したものと広くは同様である。しかしながら、電圧増倍器80の構造は異なる。それでもなお、電圧増倍器80は、同じ方法で、より低い電圧の領域82と、(図1aに示した実施形態と同様に)熱源70を描写するより高い電圧の領域84とを備えている。熱吸収ユニット60は、図1aからすでに分かっているような要素を備えているが、板62と冷却通路68とは異なるように配置されている。その結果、冷却通路入口/出口68’は筐体20の最下端に配置されている。図1aに示している実施形態とのさらなる違いは、第1の室24におけるファン26の配置である。その結果、第1の室24における熱交換要素64は、内壁22において、それぞれ搭載または配置されている。第2の室25における電気システム40の配置は、図1aに示したものに対応している。
【0057】
図5は、2つの板62における、具体的には電力変換基板である基板66の配置を示している。2つの板62は、冷却通路68によって連結されている。さらに、2つの板62は内壁22に配置されている。基板66と板62との間の構造および/または力の嵌め合いの連結が、例えばクリップとして形成されている、適切な連結要素63によって実現されている。
【0058】
図6は、図1aに示しているような実施形態の電気システム40をさらに詳細に説明している。第1の室24は、高電圧変圧器410を備えている。電圧増倍器80と高電圧出力コネクタ85との間には、スパーク電流リミッタ408が配置されている。さらに、第1の室24は、高電圧測定分配器412と、フィラメント変圧器および整流器411とを備えている。第2の室25は、複数の入力電解コンデンサ405を備えている。また、複数のPFC(力率補正)およびソフト始動半導体構成要素404の他に、複数の高電圧変換器構成要素413が、第2の室25に配置されている。また、フィラメント変換器のための電力供給部401と、PFC誘導子414と、整流器403とが設けられている。
【0059】
図7は、図1cからすでに知られている断面を示している。2つの電圧増倍器80は、筐体20または外壁23とそれぞれ接触している構造69に配置されている。2つの電圧増倍器80は、相互連結基板409を介して連結されている。この図では、2つのスパーク電流リミッタ408が視認可能である。
【0060】
図8は、図2bからすでに知られている断面を示している。PFC誘導子414と、配管フィルタ415と、制御基板416のための電力供給部402と、入力電解コンデンサ405とは、基板66に配置されている。整流器403と、PFCおよびソフト始動半導体構成要素404と、フィラメント変換器構成要素407とは、板62に直接的に搭載されている。
【0061】
図9は、図2cからすでに知られている断面を示している。整流器403と、PFCおよびソフト始動半導体構成要素404と、変換器半導体構成要素406と、フィラメント変換器構成要素407とが板62に直接的に配置されているのが、見ることができる。これらの構成要素はパワー電子構成要素である。図8に示している残りの構成要素は、制御システム構成要素である。ファンによって導入されるガスの流れは、熱を変換器構成要素から上方部分に向かって移動させる。同時に、ガスは、構成要素における放電を防止し、変換器構成要素の小さな配置を可能にする構成要素の周りでコロナを低減する。
【0062】
図10aは、図3aからすでに知られているような2つの断面を指示している図1aの実施形態のすでに知られている断面を示している。
【0063】
図10bは、上面図における制御基板416のための電力供給部402と、入力電解コンデンサ405とを示している。
【0064】
図10cは、上面図におけるフィラメント変換器のための電力供給部401を示している。
【0065】
図11は、図4からすでに知られている電力供給ユニットのさらなる実施形態を示しており、第1の室24の電気システム40をより詳細に説明している。具体的には、フィラメント変換器および整流器411と、高電圧測定分配器412との配置が、図6に示したものと異なっている。電圧増倍器80の異なる設計は、相互連結基板409の異なる配置または設計ももたらす。また、スパーク電流リミッタ408が、例えば、図6に示したようなものと異なって設計されている。
【符号の説明】
【0066】
10 電子ビームエミッタ
20 筐体
22 内壁
23 外壁
24 第1の室
25 第2の室
26 ガスを運ぶための手段、ファン
40 電気システム
401 フィラメント変換器のための電力供給部
402 制御基板のための電力供給部
403 整流器
404 PFC(力率補正)およびソフト始動半導体構成要素
405 入力電解コンデンサ
406 変換器半導体構成要素
407 フィラメント変換器構成要素
408 スパーク電流リミッタ
409 相互連結基板
410 HV(高電圧)変圧器
411 フィラメント変換器および整流器
412 HV(高電圧)測定分配器
413 HV(高電圧)変換器構成要素
414 PFC誘導子
415 配管フィルタ
416 制御基板
50 ガス、窒素
52 絶縁ガスの流れ
60 熱吸収ユニット
62 板
63 連結要素
64 熱交換要素
66 (電力変換基板)基板
68 冷却通路
68’ 冷却通路入口/出口
69 支持構造
70 熱源
80 電圧増倍器
82 より低い電圧の領域
84 より高い電圧の領域
85 高電圧出力コネクタ
A (長手方向)軸
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10a
図10b
図10c
図11