特許第6539675号(P6539675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6539675タキサンを含む無定形固体分散体、それを含む錠剤、及びそれを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6539675
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】タキサンを含む無定形固体分散体、それを含む錠剤、及びそれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/337 20060101AFI20190625BHJP
   A61K 31/443 20060101ALI20190625BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20190625BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   A61K31/337
   A61K31/443
   A61P35/00
   A61K9/16
   A61K47/32
   A61K47/26
   A61K47/20
   A61K9/20
   A61K47/38
【請求項の数】32
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2016-559161(P2016-559161)
(86)(22)【出願日】2015年3月20日
(65)【公表番号】特表2017-509653(P2017-509653A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】KR2015002756
(87)【国際公開番号】WO2015152544
(87)【国際公開日】20151008
【審査請求日】2018年1月4日
(31)【優先権主張番号】PCT/KR2014/002734
(32)【優先日】2014年3月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516132149
【氏名又は名称】ハンミ ファーマシューティカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】スリニバサン、 シャンムガン
(72)【発明者】
【氏名】イム、 ホ テク
(72)【発明者】
【氏名】ユン、 ヨン ス
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ヨン イル
(72)【発明者】
【氏名】パク、 ジェ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ウー、 ジョン ソ
【審査官】 今村 明子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/020799(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/337
A61K 31/443
A61K 9/16
A61K 9/20
A61K 47/20
A61K 47/26
A61K 47/32
A61K 47/38
A61P 35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、
ポリビニルピロリドン、
ポリソルベート、及び
ラウリル硫酸ナトリウム
を含む無定形固体分散体。
【請求項2】
前記タキサンは、パクリタキセル、ドセタキセル、カバジタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、テセタキセル、及びその組み合わせ体からなる群から選択される任意の一つであることを特徴とする請求項1に記載の無定形固体分散体。
【請求項3】
前記タキサンパクリタキセルであることを特徴とする請求項1に記載の無定形固体分散体。
【請求項4】
前記ポリビニルピロリドンポリビニルピロリドンK−30であることを特徴とする請求項1に記載の無定形固体分散体。
【請求項5】
前記ポリビニルピロリドン及びタキサンの重量比:1〜9:1であることを特徴とする請求項1に記載の無定形固体分散体。
【請求項6】
前記ポリビニルピロリドン及びタキサンの重量比、2.5:1〜3.5:1であることを特徴とする請求項5に記載の無定形固体分散体。
【請求項7】
前記ポリソルベートポリソルベート80であることを特徴とする請求項1に記載の無定形固体分散体。
【請求項8】
前記ポリソルベート対前記ラウリル硫酸ナトリウムの重量比、1:5〜5:1であることを特徴とする請求項1に記載の無定形固体分散体。
【請求項9】
前記タキサン対前記ポリソルベート及び前記ラウリル硫酸ナトリウムの組み合わされた重量の重量比、1:1〜1:3であることを特徴とする請求項1に記載の無定形固体分散体。
【請求項10】
前記ポリソルベート及び前記ラウリル硫酸ナトリウムの組み合わされた重量対前記ポリビニルピロリドンの重量比、1:1〜1:5であることを特徴とする請求項1に記載の無定形固体分散体。
【請求項11】
前記ポリビニルピロリドンは、前記無定形固体分散体の総量に対して10重量%〜80重量%の量で存在することを特徴とする請求項1に記載の無定形固体分散体。
【請求項12】
前記ポリビニルピロリドンは、前記無定形固体分散体の総量に対して40重量%〜60重量%の量で存在することを特徴とする請求項11に記載の無定形固体分散体。
【請求項13】
前記ポリソルベート及び前記ラウリル硫酸ナトリウムの組み合わされた重量、前記無定形固体分散体の総量に対して10重量%〜50重量%であることを特徴とする請求項1に記載の無定形固体分散体。
【請求項14】
前記ポリソルベート及び前記ラウリル硫酸ナトリウムの組み合わされた重量、前記無定形固体分散体の総量に対して30重量%〜40重量%であることを特徴とする請求項13に記載の無定形固体分散体。
【請求項15】
前記ポリビニルピロリドン対前記タキサンの重量比、約3:1であり、前記タキサン対前記ポリソルベート及び前記ラウリル硫酸ナトリウムの組み合わされた重量の重量比、約1:2であることを特徴とする請求項1に記載の無定形固体分散体。
【請求項16】
請求項1〜請求項15のうちいずれか1項に記載の無定形固体分散体、顆粒内賦形剤及び顆粒外賦形剤を含む錠剤。
【請求項17】
前記無定形固体分散体は、前記錠剤の総重量に対して15重量%〜50重量%の量で存在することを特徴とする請求項16に記載の錠剤。
【請求項18】
前記無定形固体分散体は、前記錠剤の総重量に対して20重量%〜30重量%の量で存在することを特徴とする請求項17に記載の錠剤。
【請求項19】
前記顆粒内賦形剤及び顆粒外賦形剤は、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、界面活性剤、及びそれらの混合物からなる群からそれぞれ選択されることを特徴とする請求項16に記載の錠剤。
【請求項20】
前記顆粒内賦形剤は、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項16に記載の錠剤。
【請求項21】
前記顆粒外賦形剤は、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、及びそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項16に記載の錠剤。
【請求項22】
下記段階を含む請求項1〜請求項15のうちいずれか1項に記載の無定形固体分散体を製造する方法:
(a)タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、ポリビニルピロリドン、ポリソルベート、及びラウリル硫酸ナトリウムを溶媒に溶解させる段階、並びに
(b)前記(a)段階で得られた溶液を乾燥させる段階。
【請求項23】
前記(b)段階噴霧乾燥を含むことを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記タキサン有機溶媒に溶解されていることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリビニルピロリドン、前記ポリソルベート及び前記ラウリル硫酸ナトリウムは、水性有機溶媒に溶解されていることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記水性有機溶媒エタノール及び水の混合物を含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
下記段階を含む請求項16〜請求項21のうちいずれか1項に記載の錠剤を製造する方法:
(a)タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、ポリビニルピロリドン、ポリソルベート、及びラウリル硫酸ナトリウムを溶媒に溶解させる段階;
(b)前記(a)段階で得られた溶液を乾燥させて固体分散体を生産する段階;
(c)前記固体分散体を顆粒外賦形剤と共に混合する段階;並びに
(d)得られた混合物を圧縮させて錠剤を形成する段階。
【請求項28】
前記(b)段階噴霧乾燥を含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記噴霧乾燥流動層において行われることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記流動層顆粒内賦形剤を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ポリビニルピロリドン、前記ポリソルベート及び前記ラウリル硫酸ナトリウムは、水性有機溶媒に溶解されていることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記水性有機溶媒エタノール及び水の混合物を含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タキサン(taxane)、またはその医薬的に許容可能な塩;ポリビニルピロリドン;ポリソルベート及びラウリル硫酸ナトリウムを含む無定形固体分散体:それを含む錠剤:及び前記無定形固体分散体、及び前記錠剤を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タキサンは、イチイ(Taxus)属植物によって生産されるジテルペンであり、化学療法製剤として汎用されている。タキサンの例は、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(TaxotereまたはDocecad)、カバジタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、テセタキセルなどを含む。
【0003】
それらのうち、卵巣癌腫、乳癌、頭頚部癌、非小細胞肺癌、前立腺癌及びカポジ肉腫の進行形を含んだ多様な腫瘍を治療するために広く処方されてきたパクリタキセルが最も効果的な抗腫瘍剤のうち一つである。その強力な薬剤と係わる主な限界点のうち一つは、その極端な疎水性性質による低い水性溶解性である。
【0004】
パクリタキセルの水溶解度は、〜10μg/mLであるが、化学的構造内官能基の不在が、その溶解度を改善するためのいかなる塩形成の可能性をも排除させた。従って、パクリタキセルを溶解させるために、10年以上多様な試みをしてきたが、最も首尾よかったものは、静脈内投与のための、商業的に利用可能な剤形であるTaxol(登録商標)(Bristol-Myers Squibb)であり、それは、クレモフォール(Cremophor)EL(登録商標)及び無水エタノール(dehydrated ethanol)の50:50%v/v混合物中のパクリタキセル6mg/mLである。
【0005】
しかし、Taxol(登録商標)の臨床的適用は、クレモフォールEL(登録商標)によるヒスタミン誘導による、深刻であったり、はなはだしくは致命的であったりする過敏反応エピソード、及び無可塑剤容器やバック(bag)の使用を必要にし、医療スタッフには不都合と、患者には苦痛を引き起こすポリ塩化ビニル(PVC)注入セットからの、ジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が浸出して希釈した後の可能な沈澱を含んだ多くの問題に出合った。その上、Taxol(登録商標)剤形の激しい副作用を緩和させるために、患者は、たびたび自身に不都合な長い注入時間、または全体6〜24時間の注入持続期間の間、患者の増大入院費用を引き起こす予備投薬、及び/または延長された注入計画(infusion regiment)(24時間まで)を受ける必要がある。さらに、かような措置は、通常副作用を完全にはなくさない。
【0006】
従って、注入時間を短くすること、剤形の安定性を高めること、クレモフォールがないか、あるいはクレモフォール量を減らした非毒性剤形を作るような多くの剤形的試みがなされてきて、米国特許第6,569,459号(パクリタキセル・血漿タンパク質剤形の投与方法)、同第5,681,846号(パクリタキセルのための延長された安定性剤形)、同第6,919,370号(パクリタキセル、誘導体、及びその医薬的に許容可能な塩を含む医薬的剤形)、同第6,107,333号(安定した非毒性剤形中の非経口パクリタキセル)などに開示されている。
【0007】
しかし、一般的に、経口剤形は、他の投与方法、特に、静脈内投与に比べ、いくつかの長所によって望ましい。治療の柔軟性に加え、経口剤形は、低廉であって便利であり、順応度の比率がさらに高い。
【0008】
従って、製造しやすく、上昇した溶解性、及び生体利用率を有するパクリタキセルを含むタキサンの経口組成物への明白な要求がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を含む、溶解性を上昇させる無定形固体分散体を提供する。また、前記固体分散体の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上昇した溶解性、安定性及び/または生体利用率を有するタキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を含む無定形固体分散体に係わるものである。
【0011】
本発明は、またタキサンが無定形固体分散体である、望ましい溶解性、生体利用率及び/または安定性を有するタキサンを含む経口用剤形(例えば、錠剤)に係わるものである。
【0012】
本発明は、また前記無定形固体分散体を製造する方法に係わるものである。
【0013】
本発明は、また前記経口用剤形(例えば、錠剤)を製造する方法に係わるものである。
【0014】
本発明は、また必要とする個体に、本発明の固体分散体または経口用剤形の治療的有効量を投与する段階を含む、細胞増殖性疾患(例えば、癌)を治療する方法に係わるものである。
【0015】
本発明は、また細胞増殖性疾患(例えば、癌)を治療するための、本発明の固体分散体または経口用剤形の用途に係わるものである。
【0016】
本発明は、また細胞増殖性疾患(例えば、癌)を治療するための薬剤の製造において、本発明の固体分散体または経口用剤形の用途に係わるものである。
【0017】
本発明の一側面によれば、前記無定形固体分散体は、タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を含む。
【0018】
本発明の他の一側面によれば、前記経口用剤形(例えば、錠剤)は、無定形固体分散体、顆粒内(intragranular)賦形剤、及び顆粒外(extragranular)賦形剤を含む。
【0019】
本発明のさらに他の一側面によれば、前記無定形固体分散体を製造する方法は、次の段階を含む:
(a)タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を溶媒に溶解させて溶液を生産する段階、並びに
(b)前記(a)段階で得られた溶液を乾燥させる段階。
【0020】
一具体例において、前記(b)段階の乾燥させる段階は、噴霧乾燥によって遂行される。さらなる具体例において、前記噴霧乾燥は、流動層において行われる。さらなる具体例において、前記流動層は、顆粒内賦形剤を含む。
【0021】
本発明のさらに他の一側面によれば、前記経口用剤形(例えば、錠剤)を製造する方法は、次の段階を含む:
(a)タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を溶媒に溶解させて溶液を生産する段階;
(b)前記(a)段階で得られた溶液を乾燥させて固体分散体を生産する段階;
(c)前記固体分散体を顆粒外賦形剤と共に混合する段階;並びに
(d)(c)段階の前記混合物を圧縮させる段階。
【0022】
一具体例において、前記(b)段階の乾燥させる段階は、噴霧乾燥によって遂行される。さらなる具体例において、前記噴霧乾燥は、流動層において行われる。さらなる具体例において、前記流動層は、顆粒内賦形剤を含む。
【0023】
本発明の他の特徴及び具体例は、下記説明、及び特許請求の範囲から明確になるであろう。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、上昇した溶解性、安定性及び/または生体利用率を有するタキサンを含む無定形固体分散体及びその製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例1及び2の固体分散体の溶解度を示すグラフである。
図2】実施例3〜6の固体分散体の溶解度を示すグラフである。
図3】実施例7〜10の固体分散体の溶解度を示すグラフである。
図4】実施例11及び12−1の固体分散体、及び比較例1の液体剤形の溶解度を示すグラフである。
図5】実施例13及び14−1、並びに比較例2及び3の錠剤の崩壊を示すグラフである。
図6A】(A)パクリタキセルAPIのX線回折パターンを示す図面である。
図6B】(B)実施例13の錠剤のX線回折パターンを示す図面である。
図6C】(C)実施例14−1の錠剤のX線回折パターンを示す図面である。
図7】ビーグル犬(beagle dogs)における、実施例13及び14−1、並びに比較例3の錠剤の薬動学的プロファイルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を含む無定形固体分散体と、前記無定形固体分散体を製造する方法と、を提供する。また、本発明は、前記無定形固体分散体、顆粒内賦形剤、及び顆粒外賦形剤を含む経口型剤形、並びに前記経口型剤形を製造する方法を提供する。前記無定形固体分散体、それを含む錠剤、及び前記固体分散体及び経口用剤形を製造する方法について、以下で詳細に記述する。
【0027】
1.本発明による固体分散体
本発明においては、タキサンの生体内(in vivo)伝達に使用される固体分散体を提供する。1つの具体例において、前記固体分散体は、タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を含む。
【0028】
(1)タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩
本発明の固体分散体に採用可能なタキサンは、パクリタキセル(Taxol)、ドセタキセル(Taxotere)、カバジタキセル、ラロタキセル、オルタタキセル、テセタキセル、及びそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されるものではない。一具体例において、タキサンは、パクリタキセルまたはドセタキセルである。さらなる具体例において、タキサンは、パクリタキセルである。
【0029】
本発明の固体分散体での使用に適するタキサンの医薬的に許容可能な塩は、一般的に無毒性塩であり、塩基や酸が添加された塩、例えば、無機塩基を有する塩、例えば、アルカリ金属塩(例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩など)、アムモニウム塩;有機塩基を有する塩、例えば、有機アミン塩(例えば、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩など);無機酸添加塩(例えば、塩酸塩共、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩など);有機カルボン酸添加塩またはスルホン酸添加塩(例えば、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホネート、ベンゼンスルホネート、p−トルエンスルホネートなど);塩基性アミノ酸または酸性アミノ酸(例えば、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸など)を有する塩などを含んでもよい。
【0030】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を、25−35mg、28−32mgまたは29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)タキサンを含む。
【0031】
(2)医薬的に許容可能なポリマー
前記固体分散体内に、添加剤として採用可能な医薬的に許容可能なポリマーは、親水性担体ポリマーでもあるが、それは、セルロース基盤ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、ヒプロメロース)、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロースフタレート、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロース、カルボキシメチルセルロース、微結晶性(microcrystalline)セルロース、ケイ化(silicified)微結晶性セルロースなど)、澱粉基盤ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピル澱粉、(完全な予備ゼラチン化(pregelatinized)及び部分的なゼラチン化がなされる、とうもろこし、じゃがいも、米、小麦のような任意の源泉からの澱粉を含む)澱粉)、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリグリコール化グリセリド、ポリメタクリレート、ヒドロコロイド(例えば、カラギーナン、キトサン、アルギン酸、ヒアルロン酸、ペクチン酸など)を含むが、それらに限定されるものではない。
【0032】
一具体例において、前記ポリビニルピロリドンは、本発明の固体分散体内の代表的な医薬的に許容可能なポリマーとして採用されてもよい。前記ポリビニルピロリドンは、平均分子量2,000以上、望ましくは、20,000以上を有する水溶性ポリビニルピロリドンでもある。本発明に使用されるポリビニルピロリドンの例は、Kollidon 12 PF(BASF、M.W.2,000〜3,000)、PVP K−15(Ashland、M.W.6,000〜15,000)、Kollidon 25(M.W.28,000〜34,000)、Kollidon 25(M.W.44,000〜54,000)、PVP K−30(M.W.40,000〜80,000)、PVP K−60(M.W.240,000〜450,000)、Kollidon 90F(M.W.1,000,000〜1,500,000)、PVP K−90(M.W.900,000〜1,500,000)、PVP K−120(M.W.2,000,000〜3,000,000)などを含む。一具体例において、前記ポリビニルピロリドンは、コルリドン(Kollidon )25、Kollidon 25またはポリビニルピロリドンK−30(PVP K−30)、特に、商業的に入手可能なPVP K−30である。
【0033】
前記医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)及びタキサン(例えば、パクリタキセル)の重量比は、2:1〜9:1、2:1〜5:1、2:1〜4:1、2.5:1〜3.5:1、2.6:1〜3.4:1、2.7:1〜3.3:1、2.8:1〜3.2:1、または2.9:1〜3.1:1の範囲でもある。さらなる具体例において、前記重量比は、2.8:1〜3.2:1または2.9:1〜3.1:1である。さらなる具体例において、前記重量比は、約3:1である。
【0034】
前記医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)は、前記固体分散体の総量に対して、10重量%〜80重量%の量で使用されてもよい。さらなる具体例において、前記ポリビニルピロリドンは、前記固体分散体の総量に対して、40重量%〜60重量%の量で採用されてもよい。さらなる具体例において、前記ポリビニルピロリドンは、前記固体分散体の総量に対して、約50重量%(例えば、45重量%〜55重量%)の量で採用されてもよい。
【0035】
一具体例において、前記固体分散体は、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を60−180mg、70−150mg、80−120mgまたは85−100mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、約90mg(例えば、85−95mg)の医薬的に許容可能なポリマーを含む。
【0036】
(3)医薬的に許容可能な界面活性剤
前記固体分散体内の添加剤として採用可能な医薬的に許容可能な界面活性剤は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート80、ポリソルベート85、ポリソルベート60など)、ポリオキシル20ステアレート、ポリオキシル35ひまし油、ポロキサマー、ポリオキシエチレンソルビタンモノイソステアレート、ポリエチレングリコール40ソルビタンジイソステアレート、ポリオキシル40水素化ひまし油、ポロキサマー331、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシル40ひまし油、ポロキサマー188、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン1800、オレイン酸、デオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオリエート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオリエート、N−カルバモイルメトキシポリエチレングリコール2000−1,2−ジステアロール、ミリスチン酸、ステアレス(steareth)、ステアリン酸、ポリオキシル40ステアレート、ポリオキシル60ステアレート、スクロースステアレート、トコフェロール、ポリオキシルひまし油、トリグリセリド合成(synthetic)、トリミリスチン、トリステアリン、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、ラウリル硫酸、ビタミンE、卵黄(egg yolk)ホスファチド、ドキュセートナトリウム、ジミリストイルホスファチジルグルリセロール、ジミリストイルレシチン、カプリオール(Capryol)90(プロピレングリコールモノカプリレート)、カプリオールPGMC(プロピレングリコールモノカプリレート)、デオキシコレート、コレステロール、クレモフォールEL、アルギン酸プロピレングリコール、クロバル(croval)A−10(PEG 60アーモンドグリセリド)、ラブラフィル1944(オレオイルマクロゴ−ル−6グリセリド)、ラブラフィル2125(リノレオイルマクロゴ−ル−6グリセリド)、ラブラソール(カプリロカプロイルマクロゴ−ル−8グリセリド)、ラウログリコール90(プロピレングリコールモノラウレート)、ラウログリコールFCC(プロピレングリコールラウレート)、ステアリン酸カルシウム、レシチンセントロミクスE、レシチンセントロフェーズ152、レシチンセントロール3F21B、POE 26グリセリン、オレパルイソステアリック(PEG−6イソステアレート)、プルロルジイソステアリック(ポリグリセロール−3−ジイソステアレート)、プルロルオレイックCC、POE 20ソルビタントリオリエート、タガットTO(ポリオキシエチレングリセロールトリオリエート)またはソルトール(マクロゴ−ル−15ヒドロキシステアレート)、またはそれらの混合物を含むが、それらに限定されるものではない。
【0037】
一具体例において、前記医薬的に許容可能な界面活性剤は、ラブラソール、ポリソルベート20、ポリソルベート80、PEG−ビタミンE、ラウリル硫酸ナトリウムまたはクレモフォール、またはそれらの混合物である。さらなる具体例において、前記医薬的に許容可能な界面活性剤は、ポリソルベートまたはラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物である。さらなる具体例において、前記医薬的に許容可能な界面活性剤は、ポリソルベート80またはラウリル硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物である。さらなる具体例において、前記医薬的に許容可能な界面活性剤は、ポリソルベート、例えば、ポリソルベート80及びラウリル硫酸ナトリウムの混合物である。
【0038】
ポリソルベート対ラウリル硫酸ナトリウムの重量比は、5:1〜1:5、4:1〜1:4、3:1〜1:3、2.5:1〜1:2.5、2:1〜1:2、1.8:1〜1:1.8、1.5:1〜1:1.5、1.2:1〜1:1.2、または1.1:1〜1:1.1の範囲でもある。一具体例において、前記重量比は、1.5:1〜1:1.5、1.2:1〜1:1.2、または1.1:1〜1:1.1である。さらなる具体例において、前記重量比は、1.1:1〜1:1.1である。さらなる具体例において、前記重量比は、約1:1である。
【0039】
タキサン対医薬的に許容可能な界面活性剤の重量比は、1:1〜1:3、1:1.5〜1:2.5、1:1.8〜1:2.2、または1:1.9〜1:2.1の範囲でもある。さらなる具体例において、前記重量比は、1:1.8〜1:2.2または1:1.9〜1:2.1である。さらなる具体例において、前記重量比は、約1:2である。
【0040】
医薬的に許容可能な界面活性剤の重量(例えば、ポリソルベートとラウリル硫酸ナトリウムとが組み合わされた重量)は、固体分散体総量に対して、10%〜50%でもある。一具体例において、医薬的に許容可能な界面活性剤の重量(例えば、ポリソルベートとラウリル硫酸ナトリウムとが組み合わされた重量)は、固体分散体総量に対して、20%〜40%である。さらなる具体例において、医薬的に許容可能な界面活性剤の重量(例えば、ポリソルベートとラウリル硫酸ナトリウムとが組み合わされた重量)は、固体分散体総量に対して、30%〜40%である。さらなる具体例において、医薬的に許容可能な界面活性剤の重量(例えば、ポリソルベートとラウリル硫酸ナトリウムとが組み合わされた重量)は、固体分散体総量に対して、約33%(例えば、30%〜36%)である。
【0041】
一具体例において、前記タキサン、前記ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)及び前記ラウリル硫酸ナトリウムガンの重量比は、1:1:1〜1:1:3、1:2:1〜1:2:3、1:3:1〜1:3:3、1:1:1〜1:3:1、1:1:2〜1:3:2、または1:1:3〜1:3:3である。さらなる具体例において、前記重量比は、1:1:1〜1:1:2、1:1:1〜1:1:1.5、1:1:1〜1:1:1.2、または1:1:1〜1:1:1.1である。さらなる具体例において、前記重量比は、1:2:1〜1:2:2、1:2:1〜1:2:1.5、1:2:1〜1:2:1.2、または1:2:1〜1:2:1.1である。さらなる具体例において、前記重量比は、1:3:1〜1:3:2、1:3:1〜1:3:1.5、1:3:1〜1:3:1.2、または1:3:1〜1:3:1.1である。さらなる具体例において、前記重量比は、1:1:1〜1:2:1、1:1:1〜1:1.5:1、1:1:1〜1:1.2:1、または1:1:1〜1:1.1:1である。さらなる具体例において、前記重量比は、1:1:2〜1:2:2、1:1:2〜1:1.5:2、1:1:2〜1:1.2:2、または1:1:2〜1:1.1:2である。さらなる具体例において、前記重量比は、1:1:3〜1:2:3、1:1:3〜1:1.5:3、1:1:3〜1:1.2:3、または1:1:3〜1:1.1:3である。さらなる具体例において、前記重量比は、約1:1:1である。
【0042】
一具体例において、前記固体分散体は、医薬的に許容可能な界面活性剤を、30−90mg、45−75mg、50−70mgまたは55−65mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、約60mg(例えば、58−62mg)の医薬的に許容可能な界面活性剤を含む。
【0043】
一具体例において、前記固体分散体は、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を、0−60mg、15−45mg、20−40mgまたは25−35mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、約30mg(例えば、28−32mg)のポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を含む。
【0044】
一具体例において、前記固体分散体は、ラウリル硫酸ナトリウムを、0−60mg、15−45mg、20−40mgまたは25−35mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、約30mg(例えば、28−32mg)のラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0045】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を含むが、ここで医薬的に許容可能なポリマー対タキサンの重量比は、2:1〜9:1の範囲であり、タキサン対医薬的に許容可能な界面活性剤の重量比は、1:1〜1:3、1:1.5〜1:2.5、1:1.8〜1:2.2、または1:1.9〜1:2.1の範囲である。さらなる具体例において、医薬的に許容可能なポリマー対タキサンの重量比は、2:1〜5:1の範囲である。さらなる具体例において、医薬的に許容可能なポリマー対タキサンの重量比は、2:1〜4:1の範囲である。さらなる具体例において、医薬的に許容可能なポリマー対タキサンの重量比は、2.5:1〜3.5:1の範囲である。さらなる具体例において、医薬的に許容可能なポリマー対タキサンの重量比は、2.6:1〜3.4:1の範囲である。さらなる具体例において、医薬的に許容可能なポリマー対タキサンの重量比は、2.7:1〜3.3:1の範囲である。さらなる具体例において、医薬的に許容可能なポリマー対タキサンの重量比は、2.8:1〜3.2:1の範囲である。さらなる具体例において、医薬的に許容可能なポリマー対タキサンの重量比は、2.9:1〜3.1:1の範囲である。さらなる具体例において、医薬的に許容可能なポリマー対タキサンの重量比は、約3:1である。
【0046】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を含むが、ここで医薬的に許容可能なポリマー対タキサンの重量比は、2:1〜9:1、2:1〜5:1、2:1〜4:1、2.5:1〜3.5:1、2.6:1〜3.4:1、2.7:1〜3.3:1、2.8:1〜3.2:1、または2.9:1〜3.1:1の範囲であり、タキサン対医薬的に許容可能な界面活性剤の重量比は、1:1〜1:3である。さらなる具体例において、タキサン対医薬的に許容可能な界面活性剤の重量比は、1:1.5〜1:2.5である。さらなる具体例において、タキサン対医薬的に許容可能な界面活性剤の重量比は、1:1.8〜1:2.2である。さらなる具体例において、タキサン対医薬的に許容可能な界面活性剤の重量比は、1:1.9〜1:2.1である。さらなる具体例において、タキサン対医薬的に許容可能な界面活性剤の重量比は、約1:2である。
【0047】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を含むが、ここで医薬的に許容可能なポリマー対タキサンの重量比は、約3:1であり、タキサン対医薬的に許容可能な界面活性剤の重量比は、約1:2である。
【0048】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を60−180mgの量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を0−60mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを0−60mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。
【0049】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を70−150mgの量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を0−60mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを0−60mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。
【0050】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を80−120mgの量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を0−60mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを0−60mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。
【0051】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を85−100mgの量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を0−60mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを0−60mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。
【0052】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を約90mg(例えば、85−95mg)の量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を0−60mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを0−60mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。
【0053】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を60−180mgの量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を15−45mgの量で含み、そしてラウリル硫酸ナトリウムを0−60mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。
【0054】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を60−180mgの量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を20−40mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを0−60mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。
【0055】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を60−180mgの量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を25−35mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを0−60mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。
【0056】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を60−180mgの量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を約30mg(例えば、28−32mg)の量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを0−60mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。
【0057】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を60−180mgの量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を0−60mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを15−45mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。
【0058】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を60−180mgの量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を0−60mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを20−40mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。
【0059】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を60−180mgの量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を0−60mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを25−35mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。
【0060】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を60−180mgの量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を0−60mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを約30mg(例えば、28−32mg)の量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。
【0061】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を85−100mgの量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を25−35mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを25−35mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。
【0062】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を約90mg(例えば、85−95mg)の量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を約30mg(例えば、28−32mg)の量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを約30mg(例えば、28−32mg)の量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。
【0063】
一具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を25−35mgの量で含み、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を90mgの量で含み、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を30mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを30mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を28−32mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を29−31mgの量で含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、約30mg(例えば、29.5−30.5mg)のタキサンを含む。さらなる具体例において、前記固体分散体は、30mgのタキサンを含む。
【0064】
一具体例において、前記固体分散体は、150−210mg、160−200mgまたは170−190mgの総重量を有する。さらなる具体例において、前記固体分散体は、約180mg(例えば、175−185mg)の総重量を有する。
【0065】
本発明の固体分散体は、多様な有利な特性を有している。一具体例において、本発明の固体分散体は、改善された保存安定性(例えば、60℃)を有する。一具体例において、本発明の固体分散体は、60℃での4週保存後、1%、0.7%、0.6%または0.5%未満の不純物を含む。一具体例において、本発明の固体分散体は、60℃での4週保存後、0.2%未満のバカチンIII(baccatin III)を含む。一具体例において、本発明の固体分散体は、60℃での4週保存後、0.05%、0.02%または0.01%未満の10−デアセチルパクリタキセルを含む。一具体例において、本発明の固体分散体は、60℃での4週保存後、0.2%、0.15%または0.1%未満の2−デベンゾニルドセタキセル−2−ペンテノエートを含む。一具体例において、本発明の固体分散体は、60℃での4週保存後、0.005%、0.002%または0.001%未満の2−デベンゾニルパクリタキセル−2−ペンテノエートを含む。一具体例において、本発明の固体分散体は、60℃での4週保存後、0.005%、0.002%または0.001%未満の10−デアセチル−7−エピパクリタキセルを含む。一具体例において、本発明の固体分散体は、60℃での4週保存後、0.4%未満の7−エピパクリタキセルを含む。
【0066】
(4)固体分散体を製造する方法
無定形タキサン固体分散体を製造するための本発明の方法は、タキサンを十分な量の有機溶媒に溶解させる段階、並びに得られた溶液を、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を含む溶液と混合し、噴霧溶液を製造する段階を含む。前記溶媒は、その後、蒸発させてなくし、マトリックス内に、分散/溶解された前記薬剤が残る。前記固体マトリックスは、タキサンの溶解が最大化され、タキサンの生体利用率が改善されるように、微細に分散された(finely dispersed)(分子的分散)タキサンを有する。
【0067】
一具体例において、前記方法は、次の段階を含む:
(a)タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を溶媒に溶解させる段階;並びに
(b)前記(a)段階で得られた溶液を乾燥させる段階。
【0068】
一具体例において、前記(a)段階は、タキサンを、十分な量の有機溶媒に溶解させる段階と、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を溶媒に溶解させる段階と、前記2つの溶液を混合する段階と、を含む。
【0069】
一具体例において、前記(b)段階は、噴霧乾燥させる段階を含む。さらなる具体例において、前記(b)段階は、流動層(fluid bed)と組み合わせて噴霧乾燥させる段階を含む。
【0070】
一具体例において、前記方法は、前記固体分散体を乾燥させる段階をさらに含む。
【0071】
具体的には、本発明の前記噴霧乾燥技術による無定形タキサン固体分散体の製造方法は、次の段階を含む:
1.タキサン、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を含む噴霧溶液を製造する段階;
2.ノズルを介して、1)段階の溶液を噴霧させることにより、固体分散体を形成させて固体分散体を得る段階;並びに
3.それによって製造された固体分散体を収集する段階、及び必要によって乾燥させる段階。
【0072】
前記発明的方法の前記段階について、以下でそれぞれ詳細に説明する。
【0073】
段階1:タキサン、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を含む噴霧溶液を製造する段階
段階1)において、固体分散体を生産するための噴霧溶液は、溶液A:タキサンを含む有機溶媒溶液、及び溶液B:医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を含む水性有機溶媒を混合することによって製造される。
【0074】
本発明によれば、タキサンを溶液Aに溶解させるための溶媒は、アルコール、ハロアルカン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO、テトラヒドロフラン、またはそれらの混合物を含むが、それらに限定されるものではない。望ましくは、前記アルコールは、C−Cアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロパノールである。さらに望ましくは、前記アルコールは、エタノールである。望ましくは、前記ハロアルカンは、1個、2個、3個または4個のハロゲンに置換されたC−Cアルカン(例えば、メタン、エタンまたはプロパン)である。さらに望ましくは、前記ハロアルカンは、1個、2個、3個または4個の塩素に置換されたC−Cアルカン(例えば、メタン、エタンまたはプロパン)である。さらに望ましくは、前記ハロアルカンは、ジクロロメタン、クロロホルムまたは四塩化炭素である。
【0075】
さらに、前記医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を溶液Bに溶解させるための水性有機溶媒として使用される前記有機溶媒は、アルコール、ハロアルカン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、DMSO、テトラヒドロフラン、またはそれらの混合物を含むが、それらに限定されるものではない。一具体例において、前記溶液Bでの前記有機溶媒は、溶液Aでの前記有機溶媒と同一である。他の具体例において、前記溶液Bでの前記有機溶媒は、溶液Aでの前記有機溶媒と異なる。望ましくは、溶液Bでの前記有機溶媒は、アルコールである。望ましくは、前記アルコールは、C−Cアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールまたはイソプロパノールである。さらに望ましくは、前記アルコールは、エタノールである。従って、溶液Bでの前記水性有機溶媒は、エタノール/水、メタノール/水またはイソプロパノール/水、望ましくは、エタノール/水を含むが、それらに限定されるものではない。前記1つの溶媒系は、相互容易に混合され、それらの混合物は、均一な溶液(homogenous solution)を形成する。
【0076】
前記有機溶媒と水との重量比(wt/wt ratio)は、20:1〜1:20、10:1〜1:10、9:1〜1:9、8:1〜1:8、7:1〜1:7、6:1〜1:6、5:1〜1:5、4:1〜1:4、3:1〜1:3、2:1〜1:2、1.5:1〜1:1.5、1.3:1〜1:1.3、1.2/1〜1:1.2、または1.1:1〜1:1.1である。一具体例において、前記重量比は、5:1〜1:5、4:1〜1:4、3:1〜1:3、2:1〜1:2、1.5:1〜1:1.5、1.3:1〜1:1.3、1.2/1〜1:1.2、または1.1:1〜1:1.1である。さらなる具体例において、前記重量比は、2:1〜1:2、1.5:1〜1:1.5、1.3:1〜1:1.3、1.2/1〜1:1.2、または1.1:1〜1:1.1である。さらなる具体例において、前記重量比は、1.3:1〜1:1.3、1.2/1〜1:1.2、または1.1:1〜1:1.1である。さらなる具体例において、前記重量比は、1.1:1〜1:1.1である。さらなる具体例において、前記重量比は、1:05:1〜1:1.05である。さらなる具体例において、前記重量比は、約1:1である。
【0077】
溶液Aでの前記有機溶媒と、溶液Bでの前記水性有機溶媒との重量比(wt/wt ratio)は、9:1〜1:9、8:2〜2:8、7:3〜3:7、または6:4〜4:6である。一具体例において、前記重量比は、8:2〜2:8、7:3〜3:7、または6:4〜4:6である。さらなる具体例において、前記重量比は、7:3〜3:7または6:4〜4:6である。さらなる具体例において、前記重量比は、約4:6である。
【0078】
溶液Aと溶液Bは、溶液Aを溶液Bに添加することによって、あるいは溶液Bを溶液Aに添加することによって混合することができる。一具体例において、溶液Aは、溶液Bに徐々に添加される。他の具体例において、溶液Bは、溶液Aに徐々に添加される。
【0079】
段階2:1)段階で得られた溶液を噴霧させることにより、固体分散体を形成させる段階
本段階で、前記溶媒は、噴霧乾燥技術による蒸発によって除去されてもよい。用語「噴霧・乾燥(spray-drying)」は、一般的であって広範囲に、液体混合物を小液滴(droplet)に崩し(噴霧)(atomization)、前記液滴からの溶媒蒸発のための強い駆動力がある噴霧・乾燥装置内で、前記混合物から溶媒を迅速に除去することを含む工程を指すのに使用される。典型的な噴霧乾燥工程において、注入液体は、ポンプでポンピングされ、噴霧化(atomized)が可能である限り、溶液、スラリー、エマルジョン、ゲルまたはペーストでもある。
【0080】
一具体例において、本発明による前記工程は、一般的に、一般的な噴霧乾燥技術によって遂行される。噴霧・乾燥工程及び噴霧・乾燥器具は、ペリー化学工学者ハンドブック(Perry’s Chemical Engineers’ Handbook)、20−54ページ〜20−57ページ(第6版1984)に一般的に記載されている。噴霧・乾燥工程及び該器具について、さらに詳細な事項は、マーシャル(Marshall)著「噴霧(微粒子化)及び噴霧乾燥(Atomization and Spray-Drying)」、50 Chem.Eng.Prog.Monogr.Series 2(1954)と、マスターズ、噴霧乾燥ハンドブック(Masters,Spray Drying Handbook)(第4版、1985)に概観されている。溶媒除去または蒸発のための駆動力は、前記液滴を乾燥させる温度で、噴霧乾燥器具内溶媒の部分圧を、前記溶媒の蒸気圧より実質的に低く維持することによって一般的に提供される。
【0081】
本発明の他の具体例において、固体分散体を生産する工程は、流動層技術と噴霧・乾燥技術との組み合わせである。
【0082】
前記流動層技術において、前記活性成分を含む粉末は、上方に動く気流中に、一般的に懸濁されると同時に調節され、定義された量の液体が、前記粉末ストリーム(powder stream)内に注入され、前記粉末の湿った状態(moistened state)または「凝集(agglomeration)」を生成する。その後、弱い熱を使用して、前記凝集された粉末を乾燥させる。かような凝集後、前記粉末は、出発粉末から変更された物理的性質を有する。
【0083】
一具体例において、前記流動層及び噴霧乾燥技術を組み合わせることにより、難水溶解性(poorly water-soluble)、または実質的に水不溶性化合物の固体分散粒子が、化合物(例えば、タキサン)の非水性溶液を、担体賦形剤の、加熱された流動層内に微細に噴霧することによって生産される。得られた産物は、担体賦形剤の相対的に大きい顆粒型粒子と無定形化合物(例えば、タキサン)との自由流動混合物から構成された固体分散体である。
【0084】
一具体例において、該工程は、a)担体賦形剤を流動層乾燥器内に導入する段階と、b)前記段階1)で製造された溶液を、賦形剤の前記流動層上に噴霧させる段階と、を含む。一具体例において、前記担体賦形剤は、前記流動層内に導入されるとき、乾燥粉末の形態である。一具体例において、前記流動層は、約20℃〜約80℃、望ましくは、約25℃〜約50℃、特に、約27℃〜約45℃に維持される。
【0085】
前記流動層乾燥器は、噴霧乾燥工程の間、医薬的な賦形剤を含んでもよい。それにより、前記流動層乾燥器内の医薬的賦形剤上に、固体分散体を乾燥させて形成することができる。本発明による前記医薬的賦形剤は、充填剤、崩壊剤、界面活性剤、吸着剤及び潤滑剤を含むが、それらに限定されるものではない。
【0086】
本発明によって使用可能な充填剤は、ラクトース(無水物)、ラクトース一水和物、噴霧・乾燥されたラクトース、圧縮可能な糖、デキストロース、デキストレート、(完全な予備ゼラチン化、及び部分的なゼラチン化がなされる、とうもろこし、じゃがいも、米、小麦のような任意の源泉からの澱粉を含む)澱粉;セルロース;リン酸カルシウム、三塩基性カルシウム及び硫酸カルシウムのような無機塩;マンニトール、ソルビトール及びキシリトールのようなポリオールを含むが、それらに限定されるものではない。
【0087】
一具体例において、微結晶性セルロース(microcrystalline cellulose)が、タキサン、またはその塩を含む前記固体分散液が前記流動層内に噴霧されるとき、前記流動層乾燥器の流動層内で使用される。
【0088】
一具体例において、流動層内の固体分散体対充填剤の重量比は、1:1〜1:10でもある。さらなる具体例において、前記重量比は、1:1〜1:5でもある。
【0089】
本発明によって使用可能な崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウム澱粉グリコレート、(完全な予備ゼラチン化、及び部分的なゼラチン化がなされる、とうもろこし、じゃがいも、米、小麦のような任意の源泉からの澱粉を含む)澱粉、クロスポビドン、アルギン酸カルシウム及びアルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸塩、アルギン酸並びにケイ酸マグネシウムアルミニウムを含むが、それらに限定されるものではない。
【0090】
一具体例において、クロスカルメロースナトリウムが、タキサンまたはその塩を含む前記固体分散液が、前記流動層内に噴霧されるとき、前記流動層乾燥器の流動層内で使用されてもよい。
【0091】
一具体例において、流動層内の前記固体分散体対前記崩壊剤の重量比は、1:1〜1:10でもある。さらなる具体例において、前記重量比は、1:1〜1:5でもある。さらなる具体例において、前記重量比は、1:1〜1:2、1:1.5〜1:1.8、または1:1.7〜1:1.8でもある。さらなる具体例において、前記重量比は、1:1.7〜1:1.8でもある。
【0092】
一具体例において、前記流動層内の前記崩壊剤の量は、250−350mg、280−330mgまたは290−320mgでもある。さらなる具体例において、前記流動層内の崩壊剤の量は、約310mg(例えば、300−320mg)でもある。
【0093】
一具体例において、微結晶性セルロース及びクロスカルメロースナトリウムの組み合わせが、タキサンまたはその塩を含む前記固体分散体溶液が、前記流動層に噴霧されるとき、前記流動層乾燥器の前記流動層内で使用される。
【0094】
一具体例において、前記固体階内の充填剤対崩壊剤の重量比は、1:1〜1:10でもある。さらなる具体例において、前記重量比は、1:2〜1:5でもある。
【0095】
本発明によって採用することができる界面活性剤は、ポリソルベート、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、胆汁酸塩(bile salts)、ナトリウムデオキシコレート、ラウリル硫酸ナトリウム、トコフェロール、ポリオキシルひまし油、レシチン、ラウリル硫酸、ビタミンE、卵黄ホスファチド、ドキュセートナトリウム、カプリオール(Capryol)90(プロピレングリコールモノカプリレート)、カプリオールPGMC(プロピレングリコールモノカプリレート)、デオキシコレート及びコレステロールを含むが、それらに限定されるものではない。一具体例において、前記界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラブラソール、ポリソルベート20、ポリソルベート80、PEG−ビタミンE、またはそれらの混合物である。さらなる具体例において、前記界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0096】
一具体例において、前記流動層内の前記固体分散体対前記界面活性剤の重量比は、20:1〜1:10でもある。さらなる具体例において、前記重量比は、20:1〜1:5でもある。さらなる具体例において、前記重量比は、20:1〜1:1でもある。さらなる具体例において、前記重量比は、20:1〜5:1でもある。さらなる具体例において、前記重量比は、15:1〜5:1でもある。さらなる具体例において、前記重量比は、15:1〜10:1でもある。さらなる具体例において、前記重量比は、15:1〜12:1でもある。さらなる具体例において、前記重量比は、約12:1(例えば、13:1〜11:1)でもある。
【0097】
一具体例において、前記流動層内の前記界面活性剤の量は、1−100mg、2−80mg、3−50mg、4−40mg、5−30mg、6−20mgまたは8−15mgでもある。さらなる具体例において、前記流動層内の前記界面活性剤の量は、約14mg(例えば、13−15mg)でもある。
【0098】
段階3:噴霧乾燥された固体分散体の収集
いったん前記噴霧が終われば、注入及び噴霧(atomization)が止まり、得られた固体分散体を収集し、必要であるならば、オーブンで40〜60℃、望ましくは、40〜50℃でさらに乾燥させる。
【0099】
本発明の固体分散体の熱化学的特性を、示差走査熱量計(DSC:differential scanning calorimeter)で分析した結果、タキサン粉末は、220℃近辺で強い吸熱性ピークを示す一方、本発明のタキサン固体分散体は、いかなる吸熱性ピークも示さない。従って、本発明の前記収集されたタキサン粉末剤形は、変更された分子配列(無定形または非晶質)を有する固体分散体ということが確認された。得られた固体分散体は、高い生体利用率を示す医薬的組成物に剤形される。
【0100】
2.本発明による医薬的剤形
本発明の経口剤形は、望ましくは、カプセル剤、錠剤、ピル剤(pill)、分散体、溶液または懸濁液の形態である。本発明の剤形のための治療学的であって有効な経口投与量は、医療実務家の判断によって、標準臨床技術によって決定される。例えば、医学参照書籍及び医薬文献で提供される情報に加え、最適の投与量確認の一助とするために、周知のインビトロ(生体外)(in vitro)またはインビボ(生体内)(in vivo)分析法を使用することができる。
【0101】
一具体例において、本発明は、本発明の前記無定形固体分散体、顆粒内賦形剤及び顆粒外賦形剤を含む錠剤を提供する。
【0102】
本発明の前記固体分散体を含む前記錠剤は、前記無定形固体分散体、顆粒内賦形剤及び顆粒外賦形剤を混合し、次に得られた混合物を圧縮させて錠剤を形成することによって製造される。前記錠剤で、前記無定形固体分散体は、錠剤総重量に対して、15〜50重量%の量で採用されてもよい。一具体例において、前記無定形固体分散体は、錠剤総重量に対して、20〜30重量%の量で採用される。さらなる具体例において、前記無定形固体分散体は、総錠剤重量に対して、約25重量%(例えば、24−28重量%)の量で採用される。
【0103】
前記固体分散体に加え、本発明の前記錠剤は、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、界面活性剤、またはそれらの組み合わせをさらに含んでもよい。一具体例において、前記顆粒外賦形剤は、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、界面活性剤、またはそれらの組み合わせを含む。一具体例において、前記顆粒外賦形剤は、充填剤、潤滑剤、またはそれらの組み合わせを含む。一具体例において、前記顆粒内賦形剤は、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、界面活性剤、またはそれらの組み合わせを含む。一具体例において、前記顆粒内賦形剤は、崩壊剤、界面活性剤、またはそれらの組み合わせを含む。
【0104】
本発明によって使用可能な充填剤は、ラクトース(無水物)、ラクトース一水和物、噴霧・乾燥されたラクトース;圧縮可能な糖、デキストロース、デキストレート、(完全な予備ゼラチン化、及び部分的なゼラチン化がなされる、とうもろこし、じゃがいも、米、小麦のような任意の源泉からの澱粉を含む)澱粉;セルロース;リン酸カルシウム、三塩基性カルシウム及び硫酸カルシウムのような無機塩;マンニトール、ソルビトール及びキシリトールのようなポリオールを含むが、それらに限定されるものではない。一具体例において、前記充填剤は、微結晶性セルロースである。一具体例において、前記顆粒外賦形剤は、微結晶性セルロースを含む。
【0105】
一具体例において、前記充填剤は、錠剤の総重量に対して、10重量%〜40重量%の量でもある。さらなる具体例において、前記充填剤は、15重量%〜35重量%の量でもある。さらなる具体例において、前記充填剤は、20重量%〜30重量%の量でもある。さらなる具体例において、前記充填剤は、約28重量%(例えば、26重量%−30重量%)の量でもある。
【0106】
一具体例において、前記充填剤は、70−300mgの量でもある。さらなる具体例において、前記充填剤は、100−250mgの量でもある。さらなる具体例において、前記充填剤は、150−230mgの量でもある。さらなる具体例において、前記充填剤は、約210mg(例えば、200−220mg)の量でもある。
【0107】
本発明によって使用可能な潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、水素化植物性オイル、ミネラルオイル、ポリエチレングリコール、タルク、ベヘン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、ロイシン及びマグネシウムラウリル硫酸を含むが、それらに限定されるものではない。一具体例において、前記潤滑剤は、フマル酸ステアリルナトリウムである。一具体例において、前記顆粒外賦形剤は、フマル酸ステアリルナトリウムを含んでもよい。
【0108】
一具体例において、前記潤滑剤は、錠剤総重量に対して、0.5重量%〜2重量%でもある。さらなる具体例において、前記潤滑剤は、0.75重量%〜1重量%でもある。さらなる具体例において、前記潤滑剤は、約0.8重量%(例えば、0.72%−0.88%または0.77%−0.84%)でもある。
【0109】
一具体例において、潤滑剤は、3−15mgでもある。さらなる具体例において、前記潤滑剤は、5−7mgでもある。さらなる具体例において、前記潤滑剤は、約6mg(例えば、5.5−6.5mg)でもある。
【0110】
本発明によって使用可能な崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム、ナトリウム澱粉グリコレート、(完全な予備ゼラチン化、及び部分的なゼラチン化がなされる、とうもろこし、じゃがいも、米、小麦のような任意の源泉からの澱粉を含む)澱粉、クロスポビドン、アルギン酸カルシウム及びアルギン酸ナトリウムのようなアルギン酸塩、アルギン酸、及びケイ酸マグネシウムアルミニウムを含むが、それらに限定されるものではない。一具体例において、前記崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。一具体例において、前記顆粒外賦形剤は、クロスカルメロースナトリウムを含んでもよい。
【0111】
一具体例において、前記崩壊剤は、錠剤総重量に対して、30重量%〜60重量%の量でもある。さらなる具体例において、前記崩壊剤は、35重量%〜50重量%の量でもある。さらなる具体例において、前記崩壊剤は、約40重量%(例えば、38重量%−44重量%)の量でもある。
【0112】
一具体例において、前記崩壊剤は、250−350mgの量でもある。さらなる具体例において、前記崩壊剤は、280−330mgの量でもある。さらなる具体例において、前記崩壊剤は、290−320mgの量でもある。さらなる具体例において、前記崩壊剤は、約310mg(例えば、300−320mg)の量でもある。
【0113】
本発明で添加剤として採用することができる界面活性剤は、ポリソルベート、ポロキサマー、ラウリル硫酸ナトリウム、トコフェロール、レシチン、ラウリル硫酸、ビタミンE、卵黄ホスファチド、ドキュセートナトリウム、カプリオール、ラブラフィル、ラブラソール、ラウログリコール、ソルトール(マクロゴ−ル−15ヒドロキシステアレート)、及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されるものではない。一具体例において、界面活性剤は、ポリソルベート、ラウリル硫酸ナトリウム、ラブラソール及びレシチンを含む。さらなる具体例において、前記界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムを含む。一具体例において、前記顆粒内賦形剤は、ラウリル硫酸ナトリウムを含む。
【0114】
一具体例において、前記界面活性剤は、1%〜3%の量でもある。さらなる具体例において、前記界面活性剤は、1.5%〜2.5%の量でもある。さらなる具体例において、前記界面活性剤は、約1.8%(例えば、1.7%〜1.9重量%)の量でもある。
【0115】
一具体例において、前記界面活性剤は、4−40mgの量でもある。さらなる具体例において、前記界面活性剤は、5−30mgの量でもある。さらなる具体例において、前記界面活性剤は、6−20mgの量でもある。さらなる具体例において、前記界面活性剤は、8−15mgの量でもある。さらなる具体例において、前記界面活性剤は、約14mg(例えば、13−15mg)の量でもある。
【0116】
本発明の方法において、前記顆粒内賦形剤は、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物から構成された群から選択され、前記顆粒外賦形剤は、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、及びそれらの混合物から構成された群から選択される。本発明の方法において、前記顆粒内賦形剤は、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びそれらの混合物から構成された群から選択され、前記顆粒外賦形剤は、微結晶性セルロース、フマル酸ステアリルナトリウム、及びそれらの混合物から構成された群からも選択される。
【0117】
一具体例において、前記顆粒外賦形剤は、微結晶性セルロース及びフマル酸ステアリルナトリウムを含む。さらなる具体例において、前記顆粒外賦形剤は、錠剤総重量に対して、微結晶性セルロースを10重量%〜40重量%の量で含み、フマル酸ステアリルナトリウムを0.5重量%〜2重量%の量で含む。さらなる具体例において、前記顆粒外賦形剤は、錠剤総重量に対して、微結晶性セルロースを15重量%〜35重量%の量で含み、フマル酸ステアリルナトリウムを0.75重量%〜1重量%の量で含む。さらなる具体例において、前記顆粒外賦形剤は、錠剤総重量に対して、微結晶性セルロースを約25重量%の量で含み、フマル酸ステアリルナトリウムを約0.8重量%の量で含む。
【0118】
一具体例において、前記無定形固体分散体は、錠剤総重量に対して、15重量%〜50重量%の量である。さらなる具体例において、前記無定形固体分散体は、錠剤総重量に対して、18重量%〜40重量%の量である。さらなる具体例において、前記無定形固体分散体は、錠剤総重量に対して、約25重量%(例えば、23重量%〜27重量%)の量である。
【0119】
一具体例において、錠剤内の前記無定形固体分散体は、150−210mg、160−200mgまたは170−190mgの総重量を有する。さらなる具体例において、前記無定形固体分散体は、約180mg(例えば、175−185mg)の総重量を有する。
【0120】
一具体例において、前記顆粒外賦形剤は、微結晶性セルロース及びフマル酸ステアリルナトリウムを含む。さらなる具体例において、前記顆粒外賦形剤は、微結晶性セルロースを70−300mgの量で含み、フマル酸ステアリルナトリウムを3−15mgの量で含む。さらなる具体例において、前記顆粒外賦形剤は、微結晶性セルロースを100−250mgの量で含み、フマル酸ステアリルナトリウムを5−7mgの量で含む。さらなる具体例において、前記顆粒外賦形剤は、微結晶性セルロースを150−230mgの量で含み、フマル酸ステアリルナトリウムを5−7mgの量で含む。さらなる具体例において、前記顆粒外賦形剤は、微結晶性セルロースを約210mgの量で含み、フマル酸ステアリルナトリウムを約6mgの量で含む。
【0121】
一具体例において、前記顆粒内賦形剤は、クロスカルメロースナトリウム及びラウリル硫酸ナトリウムを含む。さらなる具体例において、前記顆粒内賦形剤は、錠剤総重量に対して、クロスカルメロースナトリウムを30重量%〜60重量%の量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを1重量%〜3重量%の量で含む。さらなる具体例において、前記顆粒内賦形剤は、錠剤総重量に対して、クロスカルメロースナトリウムを35重量%〜50重量%の量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを1.5重量%〜2.5重量%の量で含む。さらなる具体例において、前記顆粒内賦形剤は、錠剤総重量に対して、クロスカルメロースナトリウムを約40重量%の量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを1.8重量%の量で含む。
【0122】
一具体例において、前記顆粒内賦形剤は、クロスカルメロースナトリウム及びラウリル硫酸ナトリウムを含む。さらなる具体例において、前記顆粒内賦形剤は、クロスカルメロースナトリウムを250−350mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを4−40mgの量で含む。さらなる具体例において、前記顆粒内賦形剤は、クロスカルメロースナトリウムを280−330mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを5−30mgの量で含む。さらなる具体例において、前記顆粒内賦形剤は、クロスカルメロースナトリウムを290−320mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを6−20mgの量で含む。さらなる具体例において、前記顆粒内賦形剤は、クロスカルメロースナトリウムを約310mgの量で含み、ラウリル硫酸ナトリウムを約14mgの量で含む。
【0123】
一具体例において、本発明の前記錠剤は、弱酸をさらに含んでもよい。前記錠剤に添加剤として採用することができる弱酸は、クエン酸、アスコルビン酸、酢酸及び乳酸を含むが、それらに限定されるものではない。一具体例において、前記弱酸は、クエン酸またはアスコルビン酸、またはそれらの混合物である。一具体例において、前記弱酸は、クエン酸及びアスコルビン酸の混合物である。さらなる具体例において、前記クエン酸及びアスコルビン酸の比は、0:1〜1:0である。さらなる具体例において、前記比は、約1:1である。
【0124】
一具体例において、本発明の前記経口剤形は、糖基盤コーティング剤、水溶性フィルムコーティング剤、腸溶(enteric)コーティング剤、及び遅延された放出コーティング剤、またはそれらの任意組み合わせを含むコーティング組成物のようなコーティング剤をさらに含んでもよい。一具体例において、前記コーティング剤は、当業界に知られた任意のコーティング剤でもある。コーティング剤の例としては、サッカロース(saccharose)単独、または任意の製剤、例えば、タルク、カルシウムカーボネート、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン及びプルラン、またはそれらの任意の組み合わせ;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース及びナトリウムカルボキシメチルセルロースのようなセルロース誘導体;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレートコポリマー及びポリビニルピロリドンのような合成ポリマー;プルランのような多糖類;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート;カルボキシメチルエチルセルロース;酢酸フタル酸セルロース;メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD及びメタクリル酸コポリマーSのようなアクリル酸誘導体;セルラックのような天然物質;二酸化チタン;ポリビニルアルコール(例えば、Opadry(登録商標));ポリエチレングリコール;タルク;レシチン;及び/またはそれらの組み合わせと共に使用されるものを含むが、それらに限定されるものではない
【0125】
一具体例において、前記コーティング剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール及びレシチン、またはそれらの組み合わせから選択される。更なる具体例において、前記コーティング剤は、Opadry(登録商標)である。
【0126】
一具体例において、前記コーティング剤は、1%〜5%の量でもある。さらなる具体例において、前記コーティング剤は、錠剤総重量に対して、1.5重量%〜3.5重量%の量でもある。さらなる具体例において、前記コーティング剤は、約2.8重量%(例えば、2.6重量%〜3.0重量%)の量でもある。
【0127】
一具体例において、前記コーティング剤は、10−50mgの量でもある。さらなる具体例において、前記コーティング剤は、15−40mgの量でもある。さらなる具体例において、前記コーティング剤は、18−30mgの量でもある。さらなる具体例において、前記コーティング剤は、18−25mgの量でもある。さらなる具体例において、前記コーティング剤は、約21mg(例えば、19−23mg)の量でもある。
【0128】
一具体例において、本発明の前記錠剤は、本明細書に開示されたような固体タキサン分散体、本明細書に開示されたような顆粒内賦形剤、及び本明細書に開示されたような顆粒外賦形剤を含む。
【0129】
一具体例において、本発明の前記錠剤は、(1)タキサン(例えば、パクリタキセルまたはドセタキセル)を含む固体タキサン分散体を約30mgの量、医薬的に許容可能なポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)を約90mgの量、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート80)を約30mgの量、及びラウリル硫酸ナトリウムを約30mgの量、(2)クロスカルメロースナトリウムを約310mgの量、及びラウリル硫酸ナトリウムを約14mgの量で含む顆粒内賦形剤、並びに(3)微結晶性セルロースを約210mgの量、及びフマル酸ステアリルナトリウムを約6mgの量で含む顆粒外賦形剤を含む。
【0130】
一具体例において、本発明のタキサンの前記無定形固体分散体を含む錠剤は、次の段階を含む方法によっても製造される:
(a)タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を溶媒に溶解させて溶液を生産し、その後、前記溶液から前記溶媒を除外して固体分散体を生産する段階;
(b)段階(a)の前記固体分散体、顆粒内賦形剤及び顆粒外賦形剤を共に混合する段階;並びに
(c)段階(b)の前記混合物を圧縮させて錠剤を形成する段階。
【0131】
一具体例において、段階(a)は、タキサンを十分な量の有機溶媒中に溶解させる段階と、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を溶媒に溶解させる段階と、前記2つの溶液を混合する段階と、を含む。
【0132】
一具体例において、段階(a)は、噴霧乾燥させる段階を含む。さらなる具体例において、段階(a)は、流動層と組み合わされた噴霧乾燥させる段階を含む。さらなる具体例において、前記流動層は、前記顆粒内賦形剤を含む。
【0133】
一具体例において、本発明のタキサンの前記無定形固体分散体を含む錠剤は、次の段階を含む方法によっても製造される:
(a)タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を溶媒に溶解させて溶液を生産し、その後、前記溶液から前記溶媒を除外して固体分散体を生産する段階;
(b)段階(a)の前記固体分散体と、顆粒内賦形剤とを共に混合する段階;
(c)段階(b)の前記混合物と顆粒外賦形剤とを混合する段階;並びに
(d)段階(c)の前記混合物を圧縮させて錠剤を形成する段階。
【0134】
一具体例において、段階(a)は、タキサンを十分な量の有機溶媒に溶解させる段階と、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を溶媒に溶解させる段階と、前記2つの溶液を混合する段階と、を含む。
【0135】
一具体例において、前記固体分散体は、流動層において、前記顆粒内賦形剤と混合する。一具体例において、前記顆粒内賦形剤は、前記固体分散体と混合する前に、前記流動層に添加される。一具体例において、前記顆粒内賦形剤は、段階(a)の前記噴霧溶液が流動層内に噴霧されるとき、前記流動層に添加される。
【0136】
一具体例において、本発明のタキサンの前記無定形固体分散体を含む錠剤は、次の段階を含む方法によっても製造される:
【0137】
(a)タキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を溶媒に溶解させて溶液を生産し、その後、例えば、流動層が顆粒内賦形剤を含む流動層噴霧乾燥技術を利用する蒸発によって、前記溶液から前記溶媒を除外し、前記固体分散体を生産する段階;
(b)前記固体分散体と顆粒外賦形剤とを共に混合する段階;並びに
(c)得られた混合物を圧縮させて錠剤を形成させる段階。
【0138】
本発明の実施に特に有用な固体経口投与形態の一例である錠剤は、IR錠剤、CR錠剤、SR錠剤、コーティングされたIR錠剤、マトリックス錠剤、コーティングされたマトリックス錠剤、多重層錠剤、コーティングされた多重層錠剤、多重層マトリックス錠剤、及びコーティングされた多重層マトリックス錠剤からなる群から選択されたものを含む。
【0139】
望ましい固体経口投与形態は、即時放出投与形態(immediate release dosage form)であるが、胃腔(stomach cavity)内でらすぐに崩壊され、腸細胞による上昇した吸収のために、胃の領域(gastric region)で薬剤と賦形剤とを放出する。望ましい錠剤投与形態は、フィルムコーティングされた錠剤投与形態である。
【0140】
本発明の前記錠剤は、コーティング剤でフィルムコーティングされる。前記コーティング剤の例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロースなどである。前記コーティング剤は、例えば、酸化チタンのような不透明化剤(opaquing agent)またはポリエチレングリコールのような可塑剤を含んでもよい。
【0141】
3.本発明による投与方法
以下を含むタキサンを、必要とする個体に投与する方法が提供される:固体分散体として製造されたタキサンまたはその医薬的に許容可能な塩、医薬的に許容可能なポリマー、及び医薬的に許容可能な界面活性剤を含む医薬的経口固体投与剤形を提供する段階、並びに、治療的に有効量の前記医薬的剤形を必要とする個体に投与する段階。
【0142】
前記方法は、細胞増殖性疾患、例えば、ヒト卵巣癌、乳癌、悪性リンパ腫、肺癌、黒色腫(melanoma)及びカポジ肉腫を含むが、それらに限定されない癌を有した患者に経口でタキサンを投与するために使用される。
【0143】
本明細書に使用されたような用語「細胞増殖性異常(cell proliferative disorder)」は、細胞の制御されていない成長または非正常的成長、あるいはその両者が癌であったり癌ではなかったりする、所望しない状態、あるいは疾患の発生に至らせる状態を指す。本発明の例示的な細胞増殖性異常は、細胞分裂が調節解除された多様な状態を含む。例示的な細胞増殖性異常は、新生物(neoplasms)、良性腫瘍、悪性腫瘍、前癌性状態、非侵潤腫瘍(in situ tumors)、カプセルに内包(被膜化)された腫瘍(encapsulated tumors)、転移性腫瘍、液体腫瘍、固体腫瘍、免疫学的腫瘍、血液学的腫瘍、癌(cancer)、癌腫(carcinomas)、白血病(leukemias)、リンパ腫(lymphomas)、肉腫(sarcomas)、及び迅速分裂細胞を含むが、それらに限定されるものではない。本明細書に使用されたような用語「迅速に分裂する細胞(rapidly dividing cell)」は、同じ組織内の隣接細胞(neighboring cells)または隣接する細胞(juxtaposed cell)のうち、予測されたり観察されたりするところを超過するか、あるいはさらに速い速度で分裂する任意の細胞として定義される。細胞増殖性異常は、前癌または前癌性状態を含む。細胞増殖性異常は、癌を含む。望ましくは、本明細書に提供された前記方法は、癌の症状を治療したり軽減させたりするのに使用される。用語「癌(cancer)」は、血液学的腫瘍(hematologic tumors)及び/または悪性腫瘍(malignancies)だけではなく、固体腫瘍も含む。「前癌細胞(precancer cell)」または「前癌性細胞(precancerous cell)」は、前癌または前癌性状態である細胞増殖性異常を示す細胞である。「癌細胞(cancer cell)」または「癌性細胞(cancerous cell)」は、癌である細胞増殖性異常を示す細胞である。測定のための任意の再現可能な手段が、癌細胞または前癌性細胞の確認に使用される。癌細胞または前癌性細胞は、組織試料(例えば、生検試料)に対する組織学的なタイピングまたは等級化(grading)によって確認される。癌細胞または前癌性細胞は、適切な分子マーカーを使用して確認される。
【0144】
例示的な非癌性状態または異常は、リウマチ関節炎;炎症;自家免疫疾患;リンパ球増殖性状態;末端肥大症;リウマチ性脊椎炎;骨関節炎;通風、その他関節炎性状態;敗血症;敗血性ショック;内毒素ショック;グラム陰性敗血症;毒性ショック症候群;喘息;成人性呼吸困難症侯群;慢性閉鎖性肺疾患;慢性肺炎症;炎症性腸疾患;クローン病;乾癬;湿疹;潰瘍性大腸炎;膵腸線維症;肝線維症;急性及び慢性の腎臓疾患;過敏性大腸症侯群;ピレシス(発熱)(pyresis);再狭窄症;脳マラリア;脳卒中及び虚血性損傷;神経外傷;アルツハイマー病;ハンチントン病;パーキンソン病;慢性及び急性の痛症;アレルギー鼻炎;アレルギー結膜炎;慢性心不全;急性冠状動脈症侯群;悪液質;マラリア;癩病;リーシュマニア症;ライム病;ライター症侯群;急性滑液膜炎;筋肉変性、滑液包炎;腱炎;腱膜炎;ヘルニア型、破裂型または脱出型の椎間円板症候群;骨化石症(osteopetrosis);血栓症;珪肺症(silicosis);肺サルコーシス(sarcosis);骨多孔症のような骨吸収疾患;移植片対宿主反応;多発性硬化症;狼瘡;線維筋肉痛;AIDS及び帯状疱疹(Herpes Zoster)、単純疱疹(Herpes Simplex)IまたはII、インフルエンザウイルス及びサイトメガロウイルスのような他のウイルス性疾患;及び糖尿病を含むが、それらに限定されるものではない。
【0145】
例示的な癌は、副腎皮質癌腫(adrenocorti calcarcinoma)、AIDS関連癌、AIDS関連リンパ腫、肛門癌、直腸肛門癌(anorectal cancer)、肛門管癌(cancer of the anal canal)、盲腸癌(appendix cancer)、小児小脳星状細胞腫(childhood cerebellar astrocytoma)、小児脳星状細胞腫(childhood cerebral strocytoma)、基底細胞癌(basal cell carcinoma)、皮膚癌(非黒色腫(non-melanoma))、胆管系癌(biliary cancer)、肝外胆管癌(extrahepatic bile duct cancer)、肝内胆管癌(intrahepatic bile duct cancer)、膀胱癌(bladder cancer)、膀胱癌(uringary bladder cancer)、骨及び関節の癌、骨肉腫(osteosarcoma)及び悪性線維性組織球腫(malignant fibrous histiocytoma)、脳癌、脳腫瘍、脳幹膠腫(brain stem glioma)、小脳神経膠腫(cerebellar astrocytoma)、脳星阿膠細胞腫(cerebral astrocytoma)/悪性脳膠腫(malignant glioma)、脳室膜細胞腫(ependymoma)、髄母細胞腫(medulloblastoma)、天幕上原始外胚葉腫瘍(supratentorial primitive neuroectodeimal tumors)、視覚通路及び視床下部の神経膠腫(visual pathway and hypothalamic glioma)、乳癌、気管支腺腫/類癌腫(bronchial adenomas/carcinoids)、類癌腫(carcinoid tumor)、胃腸管癌、神経系癌、神経系リンパ腫、中枢神経系癌、中枢神経系リンパ腫、子宮頚部癌、小児期癌、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄増殖性疾患(chronic myeloproliferative disorders)、結腸癌、結腸直腸癌、皮膚T−細胞リンパ腫(cutaneous T-cell lymphoma)、リンパ新生物(lymphoid neoplasm)、菌状息肉腫(mycosis fungoides)、セザリー症侯群、子宮内膜癌、食道癌、頭蓋外生殖細胞腫瘍(extracranial germ cell tumor)、睾丸外生殖細胞腫(extragonadal germ cell tumor)、肝外胆道癌、目の癌、眼球内黒色腫、網膜芽細胞腫(retinoblastoma)、胆嚢癌、胃(胃腸)癌(gastric(stomach) cancer)、胃腸管類癌腫、胃腸管間室腫瘍(GIST:gastrointestinal stromal tumor)、生殖細胞腫瘍、卵巣生殖細胞腫瘍、妊娠性絨毛上皮腫瘍神経膠腫(gestational trophoblastic tumor glioma)、頭部及び頚部癌、肝細胞(肝臓)癌(hepatocellular(liver) cancer)、ホジキンリンパ腫、下咽喉癌、眼球内黒色腫、眼球癌、島細胞腫瘍(内分泌膵腸)、カポジ肉腫、腎臓癌(kidney cancer)、腎臓癌(renal cancer)、腎臓癌(kidney cancer)、喉頭癌、急性リンパ球性白血病(acute lymphoblastic leukemia)、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、毛細胞白血病、唇口腔癌、肝臓癌、肺癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、AIDS関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫(primary central nervous system lymphoma)、ワルデンストレームマクログロブリン血症(Waldenstrom macroglobulinemia)、髄母細胞腫、黒色腫、眼球(目)黒色腫、メルケル細胞癌、悪性中皮腫(mesothelioma malignant)、中皮腫、転移性扁平上皮首癌、口腔癌、舌癌、多発性内分泌腺腫瘍症侯群(multiple endocrine neoplasia syndrome)、菌状息肉腫(mycosis fungoides)、骨髄形成障害症侯群(myelodysplastic syndrome)、骨髄形成障害/骨髄増殖性疾患、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、多発性骨髄腫、慢性骨髄増殖性疾患、咽喉癌、神経芽細胞腫(neuroblastoma)、口腔癌(oral cancer)、口腔癌(oralcavity cancer)、咽喉癌、卵巣癌、卵巣上皮細胞癌、卵巣低悪性可能性腫瘍(ovarian low malignant potential tumor)、膵腸癌、島細胞膵腸癌、副鼻腔及び鼻腔の癌、副甲状腺癌(parathyroid cancer)、陰茎癌、咽喉癌、褐色細胞腫(pheochromocytoma)、松果体母細胞腫(pineoblastoma)及び天幕上原始神経外胚葉腫瘍(supratentorial primitive neuroectodermal tumors)、脳下垂体腫瘍、形質細胞腫瘍(plasma cell neoplasm)/多発性骨髄腫、胸膜肺臓母細胞腫(pleuropulmonary blastoma)、前立腺癌、直腸癌、腎盂及び尿管の移行細胞癌、網膜母細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫腫瘍のユーイングファミリー(ewing family of sarcoma tumors)、カポジ肉腫、軟部組織肉腫、子宮癌、子宮肉腫、皮膚癌(非黒色腫)、皮膚癌(黒色腫)、メルケル細胞皮膚癌腫、小腸癌、軟組織肉腫、扁平細胞癌、胃腸(上)癌(stomach(gastric) cancer)、天幕上原始神経外胚葉腫瘍、睾丸癌、咽喉癌(throat cancer)、胸腺腫(thymoma)、胸腺腫及び胸腺癌(thymoma and thymic carcinoma)、甲状腺癌(thyroid cancer)、腎臓の腎盂、尿管、及び他の泌尿器官の移行細胞癌(transitional cell cancer of the renal pelvis and ureter and other urinary organs)、妊娠性絨毛癌、尿道癌、子宮内膜癌、子宮肉腫、子宮コルプス癌(uterine corpus cancer)、膣癌、外陰部癌、及びウィルムス腫瘍(Wilm’s tumor)を含むが、それらに限定されるものではない。
【0146】
タキサンは、単独、またはタキサンと相乗的に作用することができるその他治療剤と組み合わせて投与される。
【0147】
さらなる具体例において、本発明は、タキサンを含む前記無定形固体分散体、及びさらなる治療剤を含む錠剤を経口的に投与する方法を含む。さらなる具体例において、本発明は、タキサンを含む前記無定形固体分散体、さらなる治療剤及びp−糖蛋白質(glycoprotein)阻害剤を含む錠剤を、必要とする患者に経口的に投与する方法を含む。
【0148】
「個体(subject)」は、哺乳類、例えば、ヒト、伴侶動物(例えば、犬、猫、鳥など)、農場動物(例えば、牛、羊、豚、馬、家擒(fowl)など)及び実験動物(例えば、ラット、マウス、ギニアピッグ、鳥など)を含む。一具体例において、前記個体は、ヒトである。一具体例において、前記個体は、ヒト小児(例えば、約30kg〜約70kg)である。一具体例において、前記ヒト小児は、カサイ手続き(Kasai procedure)を有していたが、ここで、カサイ手続きは、それらが胆管なしに生まれたり、誕生時に完全に塞がった胆管を有して生まれたとき、それらに機能的胆管を効果的に提供する。
【0149】
本明細書で使用されたような用語「約(およそ)(about)」または「大体(approximately)」などは、言及する値がある程度変わるということを意味する。例えば、前記値は、10%、5%、2%または1%ほど変わる。一具体例において、前記値は、5%、2%または1%ほど変わる。例えば、「約5(about 5)」は、4.5及び5.5の間、4.75及び5.25の間、または4.9及び5.1の間、または4.95及び5.05の間の任意の値を含むことを意味する。
【0150】
本明細書に使用されたように、語句「医薬的に許容可能(pharmaceutically acceptable)」は、健全な医学的判断の範囲内において、合理的な利得/危険の比率と比例する過度な毒性、刺激(irritation)、アレルギー反応、またはその他問題や併合症(complication)なしに、ヒト及び動物の組織に接触して使用するのに適する化合物、物質、組成物、担体、及び/または投与形態を意味する。
【0151】
「治療(treating)」は、状態、疾患、異常などを改善させる軽減、減少、調節または除去するような任意の効果を含む。疾患状態の「治療する(treating)」または「治療(treatment)」は、以下を含む:疾患状態の阻害、すなわち、疾患状態、またはその臨床的症状の発生を抑制すること、あるいは疾患状態の軽減、すなわち、疾患状態、またはその臨床的症状の一時的または永久的な退行(regression)を引き起こすこと。
【0152】
本明細書に使用されたような用語「有効量(effective amount)」は、適切な用量(dose)投与によって、急性または慢性の治療効果を生成するオベチコール酸(obeticholic acid)(例えば、FXR活性化リガンド)の量を意味する。前記効果は、疾患/状態の症状、徴候及び基底病理現象(例えば、肝臓、腎臓または腸の線維症)、及びいかなる検出可能な程度までもの関連合併症の予防、矯正、阻害または逆転(reversal)を含む。
【0153】
「治療的有効量(therapeutically effective amount)」は、疾患を治療するために哺乳類に投与されたとき、前記疾患のためのかような治療に効果を出すに十分なオベチコール酸の量を意味する。前記「治療的有効量」は、オベチコール酸、疾患及びその深刻性、並びに治療される哺乳類の年齢、体重などによって変わる。
【0154】
前記治療的有効量は、細胞培養アッセイ、または動物モデル、一般的に、ラット、マウス、兎、犬または豚において初めに推定される。前記動物モデルは、適切な濃度範囲及び投与経路を決定するためにも使用される。かような情報は、その後、ヒトにおいて有用な用量(dose)と投与経路とを決定するために使用される。治療的/予防的効能及び毒性は、細胞培養または実験動物での標準医薬過程、例えば、ED50(集団の50%において、治療的に効果的な用量)及びLD50(集団の50%に致死的用量)によって決定される。毒性効果及び治療的効果の用量比は、治療指数(therapeutic index)であり、比LD50/ED50として表現される。大きい治療指数を示す医薬組成物が望ましい。投与量は、採用する投与形態、患者の敏感度、及び投与経路によって、その範囲内で変わる。
【0155】
本明細書に引用される全ての刊行物と特許文書は、かような刊行物と特許文書とがそれぞれ具体的であって個別的に、本明細書に援用によって統合されるように指示されているように、本明細書に援用によって統合される。刊行物と特許文書との引用が、どちらが関連先行文献であるかという認定として意図したものではなく、その内容や日付に対する認定を構成するものではない。発明がすでに文言説明(writen description)によって記載されているとしても、当業界の当業者は、前記発明が多様な具体例で実施され、前述の説明と下記実施例とが例示のための目的であり、特許請求の範囲の制限になるものではなかいということを認識するであろう。
【0156】
本明細書において、特別に文脈上指示されたものではないならば、単数形は、複数形も含む。異なって定義されたものではないならば、本明細書で使用する全ての技術的及び科学的な用語は、その発明が属した業界の当業者が一般的に理解するところと同一である意味を有する。矛盾する場合、本明細書が調節するであろう。
【0157】
本明細書に使用された全ての百分率と比率は、異なって指示されたところがない限り、重量によるものである。
【実施例】
【0158】
前記開示は、次の実施例によって、さらに例示されるが、該実施例が、本明細書に記載された具体的な手続きにおいて、その範囲や思想で、かような開示を限定するものであると解釈されてはならない。前記実施例は、一具体例を例示するために提供されるものであり、前記開示の範囲を限定させることを意図したものではないと理解しなければならない。本開示の精神及び/または特許請求の範囲から外れずに、当業界の当業者に提案することができる多様なその他の具体例、変形物及び均等物に一助となるということがさらに分かるであろう。
【0159】
実施例1及び2:異なるタイプのポリマーを有した固体分散体の製造
表1に示された実施例1及び2の固体分散体を、従来の噴霧乾燥器を利用して、従来の噴霧乾燥で製造した。2つの異なるポリマー、HPMC及びPVPを使用して、パクリタキセル固体分散体を製造した。
【0160】
Buchiミニ噴霧乾燥器(Buchi mini spray dryer)上で噴霧乾燥が行われた。注入物質(feed material)は、以下の噴霧乾燥条件で、ノズルを介して噴霧化(atomized)された:注入口温図65℃、排出口温図45℃、噴霧圧力(atomization pressure)0.5バー(bar)及び80%吸気(aspiration)速度で、噴霧流速(atomization flow rate)10%。全ての溶液は、10%総固体で、3:2(w:w)エタノール:水内で製造された。噴霧乾燥された試料を、その後、真空オーブンで50℃で2時間以上乾燥させた。
【0161】
【表1】
【0162】
実施例3〜6:異なるタイプの界面活性剤を有する固体分散体の製造
表2に示された実施例3〜6の固体分散体を、前記従来の噴霧乾燥法を使用して製造した。多様なタイプの界面活性剤を使用して、パクリタキセル固体分散体を製造した。
【0163】
【表2】
【0164】
実施例7〜10:異なる量のポリマーを有する固体分散体の製造
表3に示された実施例7〜10の固体分散体を、前記従来の噴霧乾燥法を使用して、製造した。多様な量のポリマーを使用して、前記パクリタキセル固体分散体を製造した。
【0165】
【表3】
【0166】
実施例11:噴霧乾燥技術による固体分散体の製造
表4に示された実施例11の固体分散体を、実施例1で言及した従来の噴霧乾燥法を利用して製造した。最終固体分散体は、粉末混合物210mg当たり30mgのパクリタキセル相当量を含んでいた。
【0167】
【表4】
【0168】
実施例12:流動層技術による固体分散体の製造
<実施例12−1>パクリタキセル含有固体分散体の製造
表5に示された実施例12−1の固体分散体を、流動層噴霧乾燥技術を利用して製造した。噴霧溶液は、パクリタキセル、PVP−K30、ポリソルベート80及びラウリル硫酸ナトリウムを、エタノール/水溶媒系に溶解させて製造した。前記溶液は、流動層システム(fluid bed system)において、表5に示されたような賦形剤混合物434g内に噴霧された。前記噴霧速度は、1つのトップガンを使用して、15〜25mL/分であった。静的注入口圧力(static inlet pressure)は、2.5−5バー(250−500kPa)であった。注入口温度は、65〜70℃であり、産物温度は30〜40℃であった。得られたパクリタキセル粉末混合物は、自由に流れ、最終混合物644mg当たり30mgのパクリタキセルを含んでいた。
【0169】
【表5】
【0170】
<実施例12−2〜12−4>異なるタイプのタキサンを含む固体分散体の製造
表6に示されたように、パクリタキセル以外のタキサンを含む実施例12−2〜12−4の固体分散体を、流動層噴霧乾燥技術を利用して製造した。噴霧溶液は、ドセタキセル(カバジタキセルまたはテセタキセル)、PVP−K30、ポリソルベート80及びラウリル硫酸ナトリウムを、エタノール/水溶媒系に溶解させて製造した。前記溶液は、流動層システムにおいて、表6に示されたような賦形剤混合物434g内に噴霧された。前記噴霧速度は、1つのトップガンを使用して、15〜25mL/分であった。静的注入口圧力は、2.5−5バー(250−500kPa)であった。注入口温度は、65〜70℃であり、産物温度は30〜40℃であった。得られたパクリタキセル粉末混合物は、自由に流れ、最終混合物644mg当たり30mgのパクリタキセルを含んでいた。
【0171】
【表6】
【0172】
比較例1:パクリタキセル含有液体剤形の製造
表7に示された成分を利用して、パクリタキセル含有液体剤形を製造した。具体的には、活性成分として、パクリタキセルは、磁石撹拌棒を利用して、界面活性剤としてのツイン80に完全に溶解された。
【0173】
【表7】
【0174】
実施例13:実施例11の固体分散体含有錠剤の製造
表8に示されたように、実施例11の固体分散体を利用して錠剤を製造した。
【0175】
いったん噴霧乾燥が終わった後、実施例11の固体分散体を顆粒内賦形剤と混合し、潤滑剤の一部を粒子混合物に加え、2kp未満の硬度でのスラッギング過程の間錠剤を生産した。該スラッグは、その後、#20シーブを通過させた。その後、潤滑剤及び顆粒外賦形剤の残量を該スラッグに加えて十分に混合し、錠剤機械で最終錠剤を作った。製造された錠剤は、厚さ約6.90mm、直径約15.83mm及び硬度約2〜5kpの細長い(oblong)形態であった。
【0176】
【表8】
【0177】
実施例14:実施例12の固体分散体含有錠剤の製造
<実施例14−1>実施例12−1の固体分散体含有錠剤の製造
表9に示されたように、実施例12−1の固体分散体を利用して錠剤を製造した。
【0178】
いったん流動層工程が終わった後、潤滑剤の一部を粒子混合物に加え、2kp未満の硬度でのスラッギング過程の間錠剤を生産した。該スラッグは、その後、#20シーブを通過させた。その後、潤滑剤の残量を該スラッグに加えて十分に混合し、錠剤機械で最終錠剤を作った。製造された錠剤は、厚さ約6.90mm、直径約15.83mm及び硬度約2〜5kpの細長い形態であった。
【0179】
【表9】
【0180】
<実施例14−2〜14−4>実施例12−2〜12−4の固体分散体含有錠剤の製造
表10に示されたように、実施例12−2〜12−4の固体分散体を利用して錠剤を製造した。
【0181】
いったん流動層工程が終わった後、潤滑剤の一部を粒子混合物に加え、2kp未満の硬度でのスラッギング過程の間錠剤を生産した。該スラッグは、その後、#20シーブを通過させた。その後、潤滑剤の残量を該スラッグに加えて十分に混合し、錠剤機械で最終錠剤を作った。製造された錠剤は、厚さ約6.90mm、直径約15.83mm及び硬度約2〜5kpの細長い形態であった。
【0182】
【表10】
【0183】
比較例2:パクリタキセルでもっての流動層噴霧乾燥技術によるパクリタキセルの固体分散体含有錠剤の製造:SLSだけとの1:9のポリマー比
表11に示されたように、実施例12−1で言及された流動層噴霧乾燥技術を利用して、比較例2の錠剤を製造した。噴霧溶液は、パクリタキセル、ラウリル硫酸ナトリウム及びPVP−K30を、エタノール/水溶媒系に溶解させて製造した。前記溶液は、流動層システムにおいて、表11に示されたように、賦形剤混合物(微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム及びラウリル硫酸ナトリウム)300g内に噴霧された。前記噴霧速度は、1つのトップガンを使用して、15〜25mL/分であった。静的注入口圧力は、2.5−5バー(250−500kPa)であった。注入口温度は、65〜70℃であり、産物温度は30〜40℃であった。得られた粒子は、賦形剤表面にコーティングされた無定形パクリタキセルを含み、自由に流れるものであった。得られた粒子は、自由に流れ、30mgのパクリタキセル相当量を含んでいた。
【0184】
いったん流動層工程が終わった後、潤滑剤の一部を粒子混合物に加え、2kp未満の硬度でのスラッギング過程の間錠剤を生産した。該スラッグは、その後、#20シーブを通過させた。その後、潤滑剤の残量を該スラッグに加えて十分に混合し、錠剤機械で最終錠剤を作った。製造された錠剤は、厚さ約6.90mm、直径約15.83mm及び硬度約2〜5kpの細長い形態であった。
【0185】
【表11】
【0186】
比較例3:パクリタキセルの在来錠剤の製造
表12に示された成分を利用して、パクリタキセル含有在来の錠剤を製造した。
【0187】
まず、パクリタキセルを、PVP−K30、顆粒内賦形剤としてのラウリル硫酸ナトリウム、及びポリソルベート80(ツイン80)と混合して湿潤粒子化させ、粒子(顆粒)(granule)を形成した。前記粒子(顆粒)を乾燥させた後、顆粒外賦形剤として、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びフマル酸ステアリルナトリウムを混合し、錠剤機械で最終錠剤を作った。製造された錠剤は、厚さ約6.90mm、直径約15.83mm及び硬度約2〜5kpの細長い形態であった。
【0188】
【表12】
【0189】
試験例1:実施例1及び2の固体分散体に対する溶解度研究
パドル速度50rpmであり、37±0.5℃で、溶解媒質としてpH1.2バッファ300mLであり、USPXXIII、溶解装置(dissolution apparatus)IIを利用して、実施例1及び2の固体分散体の溶解度を調査した。パクリタキセルの固体分散体(パクリタキセルとして90mg)を溶解試験機(Labfine社製、韓国)に導入した。規定の時間間隔で、5mLずつを収集して濾過し、HPLC法によって、パクリタキセルの含量を分析した。新鮮な溶解媒質の均等な体積(5mL)を交替させ、サンプリングによる損失を補償し、研究の間続けてシンク条件を維持した。媒質内のパクリタキセルの理論的濃度は、300PPM(300mL媒質内に90mgパクリタキセル)である。結果を図1に示す。
【0190】
図1から分かるように、PVPポリマー含有実施例2の固体分散体の溶解度は、実施例1の固体分散体より良好である。また、PVP含有実施例2の固体分散体の溶解度は、さらに高く、さらに迅速であったが、それは、さらなる開発のために選択された。
【0191】
試験例2:実施例3〜6の固体分散体に対する溶解度研究
試験例1で論議したところと同一条件を利用して、実施例3〜6の固体分散体の溶解度を調査した。SLSに加え、パクリタキセルの溶解度に対する多様なタイプの界面活性剤の効果を図2に示す。
【0192】
図2から分かるように、界面活性剤として、ツイン80及びSLSを含む実施例4の固体分散体は、試験される分散体のうち最も高い溶解度を示した。ラブラソール及びSLSのみを含む実施例5の固体分散体は、溶解媒質内において、パクリタキセルの貧弱な溶解度を示した。さらなる界面活性剤なしに、SLSのみを含む実施例6の固体分散体は、30mgパクリタキセル用量で試験される分散体のうち最も貧弱な溶解度を示した。クレモフォールELを含む実施例3の固体分散体は、2番目に最も高い溶解度を示した。しかし、クレモフォールが毒性があり、本た発明の目的のうち一つが、クレモフォールがない剤形を提供することであるが、界面活性剤ツイン80を、固体分散体製造時に使用することが非常に適切であると信じられる。
【0193】
試験例3:実施例7〜10の固体分散体に対する溶解度研究
試験例1で論議したところと同一条件を利用して、実施例7〜10の固体分散体の溶解度を調査した。パクリタキセルの溶解度に対するポリマー量の効果が、本研究で調査された。固体分散体を製造するために、30〜270mg範囲のPVP−K30ポリマー含量を使用した。結果を図3に示す。使用されたパクリタキセル対PVP−K30の重量比は、1:9(30:270)、1:6(30:180)、1:3(30:90)及び1:1(30:30)であった。
【0194】
それぞれポリマーを、270mg、180mg及び90mg含み、それぞれ1:9、1:6及び1:3の比に相当する実施例7,8及び9の間に大差がなかった。しかし、ポリマー壌夷90mg以上であるとき、パクリタキセルは、90分でさらに早く沈澱した一方、溶解度は、ポリマー90mgで安定していた(比1:3)。ポリマーの低い含量(30mg)を含む実施例10の固体分散体は、パクリタキセルの貧弱な溶解度を示したが、それは、該範囲の量で、ポリマーの貧弱な担体効果を提示しているのである。
【0195】
さらに、ポリマー量の増加は、水和時間の延長による圧縮された錠剤の崩壊時間及び溶出時間を延長させ、遅延された効果(sustained effects)につながるということは、公知の科学的事実である。かような要因を考慮し、ポリマーを最小量使用することを勧め、1:3の比は、沈澱の予防、短縮された崩壊時間、及び迅速な溶解の次元で優れていると考えられる。
【0196】
試験例4:実施例11及び12−1、比較例1の固体分散体に対する溶解度研究
パドル速度50rpmであり、37±0.5℃で、溶解媒質としてpH1.2バッファ300mLであり、USPXXIII、溶解装置IIを利用して、実施例11及び12−1の固体分散体の溶解度を調査した。比較のために、比較例1の液体剤形(パクリタキセル90mgに相当)も溶解媒質に直接加えた。
【0197】
パクリタキセルの固体分散体(パクリタキセル90mg)を、溶解試験機(Labfine社製、韓国)に導入した。規定の時間間隔で、5mLずつを収集して濾過し、HPLC法によってパクリタキセルの含量を分析した。新鮮な溶解媒質の均等な体積(5mL)を交替させ、サンプリングによる損失を補償し、研究の間続けてシンク条件を維持した。媒質内のパクリタキセルの理論的濃度は、300PPM(300mL媒質内に90mgパクリタキセル)である。
【0198】
実施例11及び12−1の固体分散体、並びに比較例1の液体剤形の溶解度を図4に示す。流動層技術によって製造された実施例12−1の固体分散体の溶解度は、試験された試料のうち最も迅速な溶解を示した。比較例1の液体剤形は、固体分散体に比べ、貧弱な溶解度及び迅速な再結晶化を示した。図4によれば、従来、または流動層技術によって製造された無定形固体分散体が、液体剤形よりもすぐれており、かような組成物及び製造方法が、パクリタキセルの上昇した溶解度のために卓越した方法であると考慮されるということを理解することができた。
【0199】
試験例5:実施例13及び14−1、並びに比較例2の錠剤に対する溶解度研究
試験例1で論議したところと同一条件を利用して、実施例13及び14−1、並びに比較例2及び3の錠剤の溶解度を調査した。実施例13及び14−1、並びに比較例2及び3(パクリタキセル90mgに相当)のパクリタキセル含有各剤形の3種錠剤を溶解試験機(Labfine社製、韓国)に導入した。全ての剤形の溶解度プロファイルを図5に示す。
【0200】
試験された試料のうち、流動層噴霧乾燥技術によって製造された実施例14−1の錠剤が最も迅速であって高い溶解度を示した。溶解速度は、20分内に起こる非常に迅速であって最も高い溶解(dissolution)/溶解度(solubility)であった。親水性ポリマー及び界面活性剤を含む固体分散体による無定形パクリタキセルの迅速な溶解及び製造方法による錠剤の迅速な崩壊のためである。
【0201】
従来の噴霧乾燥技術に製造された実施例13の錠剤は、実施例14−1に比べ、比較的遅くて低い溶解(dissolution)及び溶解度(solubility)のプロファイルと、約40分での完全な溶解が起きたということを示した。流動層噴霧乾燥技術によって製造され、最も高いポリマー含量を有した比較例2の錠剤は、共に試験された他の剤形に比べ、最も低い崩壊及び溶解を示した。無定形にもかかわらず、遅い放出と低い溶解度は、迅速な水和及び放出を防止する最も高いポリマー含量に起因したものでもある。従来の錠剤技術によって製造された比較例3の錠剤は、実施例13及び14−1の錠剤に比べ、遅い放出及び低い溶解度を示したが、その溶解度は、比較例2に匹敵するのである。かような試験結果から、比較例3の結晶性パクリタキセル、及び比較例2の高いポリマー含量のいずれも、期待される溶解度を算出することができないということを理解することができる。
【0202】
試験例6:実施例13及び14−1、並びに比較例2及び3の錠剤の崩壊試験
従来の噴霧乾燥技術によって製造された実施例13の錠剤、前記流動層噴霧乾燥技術によって製造された実施例14−1の錠剤、最も高いポリマー比及びSLSだけの比較例2の錠剤、及び比較例3の在来の錠剤に対して、米国薬典(USP:United States Pharmacopoeia)によって崩壊試験を行った。各錠剤の崩壊時間を表13に示す。
【0203】
実施例14−1の錠剤は、実施例13に比べ、さらに短い崩壊時間を示した。最も高いポリマー比及びSLSだけの比較例2の崩壊時間が最も長かった。実施例14−1の迅速な崩壊は、流動層工程技術に起因したものであり、それは、容易に湿潤し、非常に迅速に崩壊を行わせる非常な多孔性表面を有する低い密度粒子(顆粒)を提供するものである。
【0204】
【表13】
【0205】
試験例7:実施例13及び14−1、並びにパクリタキセルAPIの錠剤に対する固体状態の特性解明
従来の噴霧乾燥技術によって製造された実施例13の噴霧乾燥された錠剤、流動層噴霧乾燥工程によって製造された実施例14−1の噴霧乾燥された錠剤、及びパクリタキセルAPIに対して、スキャン速度6゜/分であり、CuX線40kV及び100mAの条件下で、M18XHF−SRA(Macsciences Co.,Ltd.,日本)を利用して、XRDで評価した。
【0206】
パクリタキセルAPI(active pharmaceutical ingredient)、並びに実施例13及び14−1の錠剤のX線回折パターン結果をそれぞれ図6A図6B及び図6Cに示した。図6Aに示されているように、活性成分、パクリタキセルは、2θ(°)4.147,5.224,5.600,6.138,8。987,9.711,10.123,11.195,12.454,13.690,13.967,15.682,16.481,17.144,18.051,18.7.91,19.541,20.191,21.248,22.022,22.822,23.558,25.227,26.339,27.119,28.689,29.985,31.963,32.855及び34.17.8でピークを有した。しかし、図6B及び図6Cから分かるように、実施例13及び14−1の錠剤は、いかなるピークも示していないが、それは、噴霧乾燥工程が、結晶性活性成分を無定形形態に転換させ、無定形固体分散体組成物を生み出したからである。
【0207】
試験例8:ビーグル犬での、実施例13及び14−1、並びに比較例3の錠剤の生体内(in vivo)PKパラメーター及び生体利用率の比較
生体内犬の生体利用率、及び薬動学的研究を行い、実施例13及び14−1、並びに比較例3の錠剤の生体利用率の上昇を調査した。
【0208】
投与に先立ち、犬(約10〜15kg重量のビーグル犬)を一晩断食させ、水は任意に与えた。犬を、実施例13及び14−1、並びに比較例3の3群で分け、それぞれの犬に対して、パクリタキセル剤形の投与前約30分に、Pgp阻害剤30mgを経口投与した。
【0209】
30分後、それぞれの犬に、パクリタキセル60mgに相当する錠剤を投与した。投与後、水約150mLを投与した。血液試料を、投与前、及び薬物投与後の0.25,0.5,1.0,1.5,2,3,4,6,8,10,12及び24時間、それぞれの動物から得た。血漿を遠心分離で分離し、分析時まで冷凍(−40℃)した。血漿内パクリタキセルの濃度は、血漿試料の液・液抽出後、低波長UV検出と逆相HPLCとによって決定された。曲線下のパクリタキセル領域は、研究の時間コースに対して台形法(trapezoidal method)で計算する。報告された値は,表14でそれぞれの群の犬に係わる平均である。
【0210】
【表14】
【0211】
図7は、ビーグル犬における、実施例13及び14−1、並びに比較例3の錠剤の薬動学的プロファイルを示している。全てのデータは、標準偏差と共に、6の平均でリスト化されている。図7及び表14は、実施例14−1の錠剤が最も高いCmaxの最も高い生体利用率を示している。一方、従来の方法によって製造された比較例3は、最も低い生体利用率を示している。
【0212】
実施例13及び14−1の錠剤について、Tmaxは短く、t1/2は長かった。試験された錠剤のAUCは、従来の方法によって製造された比較例3に比べ、実施例13及び14−1の錠剤についてさらに高かった。それにより、実施例13及び14−1の固体分散体に対する個人変異は、比較例3に比べて相対的に低かった。
【0213】
低下されたTmaxと結合された増大されたCmax及びAUCは、上昇したパクリタキセルの吸収につながる生体内での溶解度を上昇させ、沈澱を防止する水溶性ポリマー、及び無定形薬物のマトリックスのためでもある。
【0214】
犬において、パクリタキセル固体分散体を含む錠剤を投与すれば、溶解度と生体利用率とが上昇するということが明確に示される。
【0215】
試験例9:加速された条件で実施例14−1錠剤の安定性
以下のプロトコルによる加速された条件によって、実施例14−1の錠剤を保存した。各活性成分の分解産物量を測定し、複合体剤形の安定性を比較した。結果を表16に示す。
【0216】
加速された保存条件
−保存条件:40℃、7.5%RHでHDPE瓶内に収容
−試験期間:初期の1ヵ月及び3ヵ月
−分析目標:パクリタキセル及び関連化合物
パクリタキセル及びその関連化合物の分析条件
カラム:液体クロマトグラフィー(例えば、Symmetry C18、3um粒子サイズ)用オクタデシルシリルシリカゲルで充填されたステンレスカラム(内部径約4.6mm及び長さ15cm)
移動相:A:アセトニトリル:水(7:3);B:アセトニトリル
検出器:UV吸収検出器(227nmで吸収)
流速:1.2mL/min
注入体積:10μL
カラム温度:35℃
濃度勾配システム:
【0217】
【表15】
【0218】
【表16】
【0219】
該結果によれば、実施例14−1の錠剤固体投与剤形の安定性は、加速された条件で、3ヵ月に至るまで卓越している。既知及び未知の不純物全部がUSPと言及された特定限界内にあった。
【0220】
従って、従来の噴霧乾燥法または流動層噴霧乾燥法によって製造されたパクリタキセル固体分散体及び医薬的賦形剤を含む錠剤を製造する本発明の方法は、その他方法より利点となる点があり、パクリタキセル経口投与のために、特に、経口固体投与剤形として活用することができる。パクリタキセル固体分散体を含む錠剤を製造する本発明の方法は、高度に安定しており、溶解性であり、高度にインビボ(生体内)生体利用可能であるということが立証された。
【0221】
たとえ本発明が、多様な具体例、及び本発明の側面が記載される詳細な説明によって記載されているとしても、当業界の当業者であるならば、その発明の全範囲が、ここで提示された実施例に限定されるものではないということが分かるであろう。従って、本発明の実質的な範囲は、特許請求の範囲及びその均等物によって規定されるのである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7