(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6539717
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】一体型Uリンクを有する回路遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 73/38 20060101AFI20190625BHJP
H01H 73/36 20060101ALI20190625BHJP
H01H 73/18 20060101ALI20190625BHJP
H01H 9/44 20060101ALI20190625BHJP
H01H 73/02 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
H01H73/38 C
H01H73/36 E
H01H73/18 A
H01H9/44 A
H01H73/02 A
【請求項の数】25
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-247669(P2017-247669)
(22)【出願日】2017年12月25日
(65)【公開番号】特開2018-110116(P2018-110116A)
(43)【公開日】2018年7月12日
【審査請求日】2018年2月22日
(31)【優先権主張番号】15/395,767
(32)【優先日】2016年12月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508117743
【氏名又は名称】カーリング テクノロジーズ、 インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CARLING TECHNOLOGIES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100116263
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ファザーノ,マイケル
【審査官】
関 信之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第05196815(US,A)
【文献】
実開昭62−048743(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 73/38
H01H 9/44
H01H 73/02
H01H 73/18
H01H 73/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自身の部材が含有される筐体を有する回路安全装置であって、
電力源に接続可能な電源ライン端子と、
負荷に接続可能な負荷端子と、
第1板状部材に位置する固定接点と、
第1端部と第2端部を有する可動接点アームであって、前記可動接点アームが前記第1端部に位置する可動接点を有し、前記可動接点が前記可動接点アームの移動によって前記固定接点と物理的に接触したりしなかったりと移動可能に構成されている可動接点アームと、
前記可動接点アームの前記第2端部に結合されるキャッチ部材であって、前記可動接点アームと前記キャッチ部材が長軸を規定しているキャッチ部材と、
ピボットの周りを回転するように設けられ、かつ、連結用ピボット点を介して前記キャッチ部材に結合された延出部を含み、該延出部が長軸を有する構成のハンドルと、
を具備し、
前記接点同士が開位置にある時に、前記可動接点アームと前記キャッチ部材によって規定される前記長軸が、前記延出部によって規定される前記長軸に対して、角度をもって位置し、
前記接点同士が閉位置にある時に、前記可動接点アームと前記キャッチ部材によって規定される前記長軸が、前記延出部によって規定される前記長軸と、実質的に一直線か平行である
ことを特徴とする回路安全装置。
【請求項2】
前記接点同士が開位置にある時に、前記角度が30度より大きいことを特徴とする請求項1に記載の回路安全装置。
【請求項3】
前記接点同士が開位置にある時に、前記角度が45度より大きいことを特徴とする請求項2に記載の回路安全装置。
【請求項4】
前記可動接点アームと前記キャッチ部材が互いに強固に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の回路安全装置。
【請求項5】
前記可動接点が前記固定接点に対して物理的接触になる時に、前記第1板状部材が、前記可動接点アームによって前記第1板状部材に加えられた閉鎖力に起因して偏位するように、前記第1板状部材が偏位可能であることを特徴とする請求項1に記載の回路安全装置。
【請求項6】
さらに、前記接点同士間で発生するアーク放電を受取るアーク放電受取り面を有するアークランナーを具備することを特徴とする請求項1に記載の回路安全装置。
【請求項7】
前記アークランナーがU字形状として構成されることを特徴とする請求項6に記載の回路安全装置。
【請求項8】
可動接点が開位置の時に、前記アーク放電受取り面が、実質的に、前記可動接点が位置する面を有する平面内に存在することを特徴とする請求項6に記載の回路安全装置。
【請求項9】
さらに、アーク放電発生によって生じる破片およびガスを排出するために、前記筐体に位置し、前記接点同士に隣接して配置された排出部を具備することを特徴とする請求項6に記載の回路安全装置。
【請求項10】
前記第1板状部材が前記固定接点から前記排出部に向かって延長され、前記アーク放電受取り面が前記可動接点から前記排出部に向かって延長され、前記第1板状部材と前記アーク放電受取り面が、前記接点同士間に発生するアーク放電を受取るために、お互いに協力して動作することを特徴とする請求項9に記載の回路安全装置。
【請求項11】
前記第1板状部材と前記アーク放電受取り面間の距離が、前記接点同士に最も近い場所で最も短くて、前記排出部に向かって増大することを特徴とする請求項10に記載の回路安全装置。
【請求項12】
さらに、前記アーク放電を消去するために、前記排出部に隣接して位置する少なくとも一つのアーク放電板を具備することを特徴とする請求項9に記載の回路安全装置。
【請求項13】
前記アーク放電板が複数のアーク放電板を具備し、前記排出部が、各アーク放電板の断面面積に少なくとも対応し、前記複数のアーク放電板の各々の端部と整列されているアーク放電板用開口を含むことを特徴とする請求項12に記載の回路安全装置。
【請求項14】
前記排出部が、前記筐体にて前記各アーク放電板用開口間に、単一で連続の開口付き排出部として形成されることを特徴とする請求項13に記載の回路安全装置。
【請求項15】
前記筐体の前記各アーク放電板用開口間の前記連続の開口が、前記各アーク放電板用開口よりも幅狭であることを特徴とする請求項14に記載の回路安全装置。
【請求項16】
前記可動接点アームは半径方向の移動経路をたどり、前記複数のアーク放電板が前記可動接点の前記半径方向の移動経路に沿って配置されていることを特徴とする請求項13に記載の回路安全装置。
【請求項17】
さらに、前記アーク放電が前記第1板状部材および前記アークランナーに向かうよう促すために、前記固定接点に隣接して配置された永久磁石を具備することを特徴とする請求項9に記載の回路安全装置。
【請求項18】
さらに、前記可動接点アームの前記第1端部に接続された可動接点ピボットと、その内部に前記可動接点ピボットが位置するチャンネル部材と、
を具備し、
前記開位置と閉位置間での前記可動接点アームの移動が、前記可動接点ピボットを前記チャンネル部材の一方の端部から前記チャンネル部材の反対側の端部へ摺動させることを特徴とする請求項1に記載の回路安全装置。
【請求項19】
前記チャンネル部材が、その内部を前記可動接点ピボットが摺動する湾曲した通路部を具備することを特徴とする請求項18に記載の回路安全装置。
【請求項20】
さらに、前記可動接点アームを前記開位置に向かって付勢する付勢部材を具備することを特徴とする請求項18に記載の回路安全装置。
【請求項21】
前記付勢部材が、前記チャンネル部材の一方の端部に向かって前記可動接点ピボットを付勢するために、前記可動接点ピボットと係合することを特徴とする請求項20に記載の回路安全装置。
【請求項22】
さらに、前記電源ライン端子と前記負荷端子に直列に接続された電流計測装置を具備することを特徴とする請求項1に記載の回路安全装置。
【請求項23】
さらに、前記ハンドルの頂部の上に伸びたハンドルガードを具備することを特徴とする請求項1に記載の回路安全装置。
【請求項24】
自身の部材が含有される筐体を有する回路安全装置であって、
電力源に接続可能な電源ライン端子と、
負荷に接続可能な負荷端子と、
第1板状部材に位置する固定接点と、
第1端部と第2端部を有する可動接点アームであって、前記可動接点アームが前記第1端部に位置する可動接点を有し、前記可動接点が前記可動接点アームの移動によって前記固定接点と物理的に接触したりしなかったりと移動可能に構成されている可動接点アームと、
前記可動接点アームの前記第2端部に強固に取り付けられるキャッチ部材であって、前記可動接点アームと前記キャッチ部材が長軸を規定しているキャッチ部材と、
ピボットの周りを回転するように設けられ、かつ、連結用ピボット点を介して前記キャッチ部材に結合された延出部を含み、該延出部が長軸を有する構成のハンドルと、
前記可動接点アームの前記第1端部に接続される可動接点ピボットと、
その内部に前記可動接点ピボットが位置する湾曲した通路部を備えるチャンネル部材と、
を具備し、
開位置と閉位置間の前記可動接点アームの移動は前記可動接点ピボットを前記チャンネル部材の一方の端部から前記チャンネル部材の反対側の端部へ摺動させ、
前記接点同士が開位置にある時に、前記可動接点アームと前記キャッチ部材によって規定される前記長軸が、前記延出部によって規定される前記長軸に対して、角度をもって位置し、
前記接点同士が閉位置にある時に、前記可動接点アームと前記キャッチ部材によって規定される前記長軸が、前記延出部によって規定される前記長軸と、実質的に一直線か平行である
ことを特徴とする回路安全装置。
【請求項25】
前記可動接点が、前記固定接点に物理的に接触する時に、前記第1板状部材が前記可動接点アームにより前記第1板状部材に加えられた閉鎖力に起因して偏位するように、前記第1板状部材が偏位可能であることを特徴とする請求項24に記載の回路安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路遮断器の分野に関する。より具体的には、本発明は、Uリンクの逃避機構を有する可動接点アームを組み込んだ回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路安全装置は、電気回路を遮断するのに使用できて、電流の流れを遮る電気部品である。回路安全装置の基本的な例は、接点同士が接触してそれら間に電気が流れ得ることを意味する閉状態か、または、接点同士が分離されてそれら間に電気が流れ得ないことを意味する開状態のいずれかである2つの状態の一つにある2つの電気接点で一般的に構成されるスイッチである。スイッチは、コンピュータのキーボード・ボタンのようにシステムへの制御信号を提供するために、または、ライトスイッチのように回路の電力電流を制御するために、人間によって直接操作されるだろう。
【0003】
回路安全装置の別の例は、回路遮断器である。回路遮断器は、例えば、電気配線を通じて送られる電流を制限する電気パネルにて使用されるだろう。回路遮断器は、過負荷または短絡回路によって生じる損害から電気回路を保護するように設計される。もし電気配線内で電力サージのような障害状態が発生するならば、前記遮断器が始動するであろう。このことは、「オン」位置であった遮断器を「オフ」位置へと反転させて、この遮断器から通じている電力を切断するであろう。回路遮断器が始動されると、それは、過負荷の回路で火災が始まるのを防ぐだろうし、電気を引き出している装置の破壊を防ぐこともできる。
【0004】
標準的な回路遮断器は、電力会社からの電力線や遮断器が保護されることを意図している回路に接続される他の端子のような、電源に接続される端子を有する。慣習的に、これらの端子は、それぞれ「電源ライン」と「負荷」と称される。この電源ラインは、時々、回路遮断器への入力と称され得るだろう。時々出力と称される前記負荷は、回路遮断器から給電され、この回路遮断器から給電される電気部品へと接続される。
【0005】
回路遮断器は、個々の装置または数多くの装置を保護するために、使用されるだろう。例えば、単一の空調装置のような個々の被保護装置が、回路遮断器に直接接続されるだろう。回路遮断器は、また、例えば電源コンセントで終端される電力線を介して複数の部材に接続することによって、複数の装置を保護するために使用されるだろう。
【0006】
回路遮断器は、ヒューズの代用として使用できる。しかしながら、ひとたび動作しそれから交換しなければならないヒューズとは違って、回路遮断器は、通常の動作を再開するために、(手動または自動のいずれかで)リセットできる。ヒューズは、回路遮断器とほとんど同じ回路保護任務を果たす。しかしながら、回路遮断器は、いくつかの状況では、ヒューズよりも使用するのがより安全だろうし、修理がより簡単だろう。
【0007】
例えば、ヒューズが切れ、例として建物の一区画への電力を遮断する状況においては、どのヒューズが遮断回路を制御するのかが明らかでないだろう。この場合、どのヒューズが燃えたかまたは消費されたかを決定するために、配電盤内の全てのヒューズが点検される必要があるだろう。このヒューズは、それから、ヒューズボックスから除去される必要があるだろうし、新しいヒューズが設置される必要がある。
【0008】
この点において、回路遮断器は、ヒューズよりもはるかに単純に使用できる。回路遮断器が始動し、例として建物の一区画への電力を遮断する状況においては、配電盤を見てどの遮断器が「オフ」位置へと始動したかに注目することで、どの回路遮断器が被遮断回路を制御しているかは容易に明らかであろう。この遮断器は、それから、「オン」位置へ単純に反転できて、電力が再び復帰するであろう。
【0009】
一般的に、典型的な回路安全装置は、筐体の内部に配置された2つの接点を有する。第1の接点は固定しており、電源ラインまたは負荷のいずれかに接続されるだろう。第2の接点は、回路遮断器が「オフ」または始動位置にある時に、第1と第2接点間に隙間が存在するように、第1の接点に対して移動可能である。
【0010】
通電された接点同士は回路遮断器が始動される時に分離して、可動接点が閉位置から開位置に移動しながら、隙間が接点同士間で広がることを引き起こすため、接点同士を分離することで動作する回路安全装置については、一つの課題が発生する。
【0011】
接点同士が、閉位置から分離し始めるか、または、開位置から完全閉鎖に近づくにつれて、接点同士が閉じるか開く間の短い期間に、接点同士間には非常に狭い隙間が存在する。もし、接点同士間の電圧が十分に高ければ、電気アーク放電がこの隙間を横切って発生されるだろう。回路断続器をスイッチするまたは始動する間のアーク放電の生成は、回路安全装置の動作に悪影響を及ぼし得る望ましくない副作用を引き起こす可能性があり、それが、安全上の問題を生む可能性がある。
【0012】
これらの効果は、回路安全装置の動作に影響を与える可能性がある。一つの可能な影響は、アーク放電が、回路安全装置内のその他の物体に、および/または、周囲の物体に短絡して、損傷や潜在的な火災または感電の危険性を引き起こすことである。特に、アーク放電は、接点同士を開閉する連結部の一部を具備している逃避機構を損傷する可能性がある。
【0013】
アーク放電の別の影響は、アーク放電が接点同士をエネルギー損傷して、いくつかの材料を微粒子状物質として大気中に放出させることである。接点同士から溶け出した破片は、回路安全装置の機構内へ移動でき、または、入り込むことができ、その機構を破壊するか、または、その動作寿命を短縮する。
【0014】
アーク放電の他の影響は、周囲のガス分子を作り出すオゾン、一酸化炭素、その他の化合物を生成することができるアーク放電の著しく高い温度(摂氏数万度)に由来している。アーク放電は、また、周囲のガスをイオン化することができ、代替の導電通路を作り出す可能性がある。
【0015】
様々な技術が、アーク放電に伴う危険を軽減する企てにて使用されてきた。例えば、アーク放電をアーク放電消去装置へ向かわせるように試みることが知られている。しかしながら、回路安全装置の移動部品の構造や構成や配置は、アーク放電によって引き起こされる損傷に対して、逃避機構を特に脆弱なままにしてきた。
【0016】
同様に、回路安全装置のための周知の構成は、これまでは、回路安全装置の外部のハンドルやキャッチ部材やハンドルに結合された逃避機構、さらに、キャッチ部材と逃避機構に実質的に垂直に位置した可動接点アームを備えていた。この構成は接点同士の開閉に効果的である一方で、この構成では、生成される任意のアーク放電の近傍に可動接点アームが設置されている。同様に、この設計は、可動部品点数の増加を要求して、製造をさらに高価にさせ、組立てにさらなる時間を要しており、また、装置の重量を増加させており、このことは、いくつかの応用装置において極めて重大となりうる。
【0017】
したがって、これらの制限を克服する回路安全装置用代替構造を提供することが望まれる。
【発明の開示】
【0018】
その結果、本発明の目的は、アーク放電消去装置から可動接点アームまでの距離を最小にする回路安全装置を提供することである。
【0019】
さらに、可動接点アームが連結用組立部の一体物であるように、逃避機構を有する可動接点アームを組み込む回路安全装置を提供することが望まれる。
【0020】
またさらに、可動接点アームが排出部とは反対側の場所に位置してアークランナーから離れて位置するように、接点同士の開閉における移動の経路を可能にする回路安全装置を提供することが望まれる。
【0021】
また、単一の連続排出開口であって、アーム板状部材のそれぞれが各アーク放電板の断面面積に対応する開口を受け入れるように構成されている、筐体内の排出開口を提供することが望まれる。
【0022】
これらおよびその他の目的は、その上に可動接点が配置され、可動接点アームが連結部組立品自体の一部であるように構成される、可動接点アームを含む回路安全装置を設けることにより達成される。一態様では、可動接点アームは、その一方の端部で凹所内をスライド式に移動するピボットに接続され、その反対側の端部でハンドルに結合されるキャッチ部材に接続される。この態様では、キャッチ部材および可動接点アーム(Uリンクとして形成される)は連結用組立部を形成する。開位置では、Uリンクおよびキャッチ部材はハンドル組立部に対して角度をもって位置する。閉位置では、Uリンクおよびキャッチ部材は実質的にハンドル組立部と一列に配置される。
【0023】
一態様では、Uリンクは、開閉の間、半径方向経路をたどる。同様に、回路安全装置の構造は、Uリンクが1組の接点の上方に配置され、一方、排出部がUリンクとは反対側でその1組の接点の下方に配置される構造である。アーク放電板(または、1組のアーク放電板)が、さらに、その1組の接点の下方に配置されるだろう。またさらに、アークランナーがその1組の接点の下方に配置されるだろう。このように、接点同士が開いて、接点同士間にアークが発生する際に、アーク放電がアークランナーおよびアーク放電板に向かって下方に引っ張られ、その結果、Uリンクから離れる。アーク放電が連結用組立部の一体部分であるUリンクを損傷させるということもあり得るし、装置の致命的な故障を引き起こすということもあり得るので、アーク放電がUリンクから離れることは非常に望ましい。アーク放電消去装置の反対側でのUリンクの位置決めは、連結用組立部を保護するように機能する。
【0024】
伝統的な回路安全装置は、回路安全装置の外部のハンドル、一端がハンドルに結合されたキャッチ部材と逃避機構、および、キャッチ部材と逃避機構に実質的に垂直に位置して他端部に取り付けられる可動接点アームと、を備える。ハンドルの回転は、接点同士を開閉するために軸の周りを回転する可動接点アームの一端で、キャッチ部材と逃避機構を押したり引いたりさせる。今現在の態様では、可動接点アームは、筐体内で垂直に(水平とは対照的に)位置され、キャッチ部材に強固に取り付けられる。この構成は、ハンドルの回転がキャッチ部材を必然的に回転および垂直方向に変位させるので、これまでは可能とは考えられなかった。この構成は、垂直移動が接点アームの回転移動に変換されるとの理由によって、キャッチ部材と逃避機構を可動接点アームの端部に取り付ける際に受け入れ可能であった。しかしながら、現在の態様では、可動接点アームに固定されている可動接点が、その後、回転的および垂直方向の両方で移動して接点同士の位置ずれを引き起こすとの理由によって、この配置は可能ではなかった。この課題は、曲線をなぞる垂直変位の反復経路と同様に2つの回転軸を設けることにより、予想外に解決された。接点同士を閉じる際の複雑な移動経路の後に、可動接点を固定接点に整列させることに挑戦した。このことは、可動接点アームの第2端部が周りを回転するピンが内部にある一方で、同時に、そのピンが湾曲した通路部に沿うチャンネル部材内を摺動しているチャンネル部材の使用によって達成された。
【0025】
使用される複数のアーク放電板がある別の態様では、その複数のアーク放電板は、Uリンクの半径方向の移動経路に沿って設置されるだろう。
【0026】
また、磁石が、固定接点に隣接して設置されて、その磁石により生成される磁界が、発生する任意のアーク放電を下方向に、かつ、アーク放電消去装置に向かわせるように設置されるだろうことが考えられる。
【0027】
さらに別の態様では、「固定」接点は、Uリンクが接点同士を閉じるように移動する時に、「固定」接点が取り付けられた「固定」板状部材の偏位によって、その固定接点がUリンクの移動経路に沿ってわずかに移動するように、偏位可能の板状部材上に取り付けられる。
【0028】
またさらに別の態様では、Uリンクが開位置にある時に、可動接点と実質的に同じ平面内に位置するアーク放電受取り面を有するU字形状の装置として、アークランナーが設けられる。またさらに、Uリンクは、ばねによって付勢されるかもしれません。一実施の形態では、ばねがUリンクを開位置へ付勢する。
【0029】
回路安全装置筐体の下部に設けられた排出部は、各アーク放電板の断面面積に少なくとも対応する開口と各開口間に連続空間を有する単一の連続排出部として設けられていることが、さらに理解されるであろう。端子同士間の改良された排出は、事実上、スチールまたはその他のそのような材料で形成される排出部の近傍の壁部の必要性や、絶縁材料の必要性や、接地されるべき壁部の必要性を排除している。
【0030】
この出願では次の用語と定義が適用されるべきものとする。
【0031】
すなわち、用語「第1」と「第2」は、一つの素子、セット、データ、対象、または、物をもう一つのものから区別するために使用され、相対的な位置や時間的な配置を指定するためには使用されない。
【0032】
ここにて使用される用語「結合され」、「〜に結合され」、「〜と結合され」や、「接続され」、「〜に接続され」、「〜と接続され」は、それぞれ、以下に記載の(a)(b)(c)のいずれか一つ以上を構成している、2つ以上の装置や器具やファイルやプログラムやアプリやメディアや部材やネットワークやシステムやサブシステム、および/または、手段の間またはそれら間の関係を意味している。すなわち、
(a)接続:直接か、または、一つ以上の他の装置や器具やファイルやプログラムやアプリやメディアや部材やネットワークやシステムやサブシステムや手段を介した接続。
(b)通信関係:直接か、または、一つ以上の他の装置や器具やファイルやプログラムやアプリやメディアや部材やネットワークやシステムやサブシステムや手段を介した通信関係。
(c)機能関係:いずれか一つ以上の装置や器具やファイルやプログラムやアプリやメディアやネットワークやシステムやサブシステムや手段の動作がその全体または一部においていずれか一つ以上の他の動作に依存する機能関係。
【0033】
一実施形態では、自身の部材が含有される筐体を有する回路安全装置であって、前記回路安全装置は、電力源に接続可能な電源ライン端子と、負荷に接続可能な負荷端子と、第1板状部材に位置する固定接点と、第1端部および第2端部を有する可動接点アームを具備し、前記可動接点アームが前記第1端部に位置する可動接点を有する。前記可動接点は、前記可動接点アームの移動によって前記固定接点と物理的に接触したりしなかったりと移動可能に構成される。前記回路安全装置は、さらに、前記可動接点アームの前記第2端部に結合されるキャッチ部材であって、前記可動接点アームと前記キャッチ部材が長軸を有しているキャッチ部材と、ピボットの周りを回転するように設けられ、かつ、連結用ピボット点を介して前記キャッチ部材に結合された延出部を含み該延出部が長軸を有する構成のハンドルを具備している。前記回路安全装置は、前記接点同士が開位置にある時に、前記可動接点アームと前記キャッチ部材の長軸が前記延出部の長軸に対して角度をもって位置するように、設けられている。前記回路安全装置は、さらに、前記接点同士が閉位置にある時に、前記可動接点アームと前記キャッチ部材の長軸が前記延出部の長軸と実質的に一直線かまたは平行であるように設けられている。
【0034】
本発明のその他の目的およびその特有の特徴と利点が、以下の図面および付随する詳細な記述の考察からより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明による回路安全装置の一態様の説明図である。
【
図3】
図1による閉位置にある接点同士の図である。
【
図4】連結部とハンドルの、開閉両位置における、角度関係の線図である。
【
図5】
図1による開位置にある接点同士の図およびアークランナーに伝達されるアーク放電形成の図である。
【
図6】
図1による排出部を説明している筐体の下部図である。
【
図7】
図1によるアーク放電板の代替の位置決め図である。
【
図8】
図1による固定接点およびアークランナーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
さて、図面を参照すると、全図を通して、同一の参照番号が対応する構造を指定している。
【0037】
図1は、固定接点と可動接点を有する例示的な回路安全装置100の部材を説明しており、ここでは、可動接点アームが、本発明の態様による連結用組立部の一部として一体的に形成されている。
【0038】
回路安全装置100は、装置の動作部材を含有する筐体102を備える。回路安全装置は、さらに、固定接点104と可動接点106を含む1組の接点を備える。可動接点106は可動接点アーム108上に位置される。
【0039】
可動接点アーム108は、キャッチ部材110に結合され、次に、延出部112含むハンドル114に結合される。可動接点106は、ハンドル114の手動の作動により、固定接点104に対して開位置と閉位置間を移動するように構成される。
【0040】
図1を参照すると、その間に電流が流れない開位置の接点104、106が示されており、これに対して、
図3には、閉位置の接点104、106が示されている。
【0041】
ハンドル組立部のためのハンドル114と延出部112は、一体として、ハンドル軸116の周りに、しかりと回転される。同様に、キャッチ部材110と可動接点アーム108は、互いに強固に取り付けられ、一体として、移動する。ハンドル組立部は、ピボット118にて、キャッチ部材110に接続される。
【0042】
可動接点アーム108は、さらに、チャンネル部材122と係合する可動接点ピボット120を含む。可動接点ピボット120は、チャンネル部材122内を摺動する。
図1では、可動接点ピボット120は、チャンネル部材122の一方の端部に位置するが、可動接点アーム108は、接点同士を閉じようとする期間に、可動接点ピボット120を中心に回転し、可動接点ピボット120は、チャンネル部材122内を摺動して、
図3にて説明されるように、チャンネルの反対側の端部へ摺動する。
【0043】
図1には、また、付勢部材124が説明されており、それは、本態様ではばねを備えており、チャンネル部材122の一方の端部に向かって可動接点ピボット120を付勢するために設けられている。
図1で提供された例では、付勢装置124は、開位置にある接点同士を付勢するように機能する。
【0044】
図1には、また、「電源ライン」端子126が示されており、それは、パネルボードまたはロードセンターでのバスバーのような電力源に接続されるように設計される。固定接点104は、第1板状部材128上に取り付けられて、電源ライン端子126に電気的に接続される。
【0045】
可動接点アーム108上に取り付けられた可動接点106は、可動接点106を電流計測装置132に電気的に接続する接続部130を含む。電流計測装置132は、同様に、「負荷」端子136に電気的に接続される接続部材134に接続される。
【0046】
動作時は、電力が電源ライン端子126を介して回路安全装置100に入力されて、電流計測装置132を通過する。もし電流が閾値を超えれば、電流計測装置132は、接点同士を通じての電流の流れが止まるように、回路を開く((始動機構133によって、相互に対して、接点同士を開く)ことにより、回路安全装置100を「始動する」ために機能するであろう。電流が、電流計測装置132により設定された閾値を超えない場合には、電力は負荷端子136を通過することが容認されて、次には、接続された回路、および/または、機器に電力を提供する。
【0047】
図1では、キャッチ部材110と可動接点アーム108は、互いにしっかりと固定されて、長軸140を規定しており、その一方で、延出部112は、また、長軸142を規定しており(これら双方は
図4にてより良く説明されており)、開位置が示されて、角度「θ」144を形成しているのが見受けられ、角度「θ」は、一態様では、30度より大きく、他の態様では45度より大きい角度「θ」144を形成することがわかる。
【0048】
あるいは、
図4が、長軸140’と長軸142’を示しており、これらは、
図3に説明されるような閉位置の接点同士に対応している。この例では、長軸140’と長軸142’とは実質的に同軸か、または、少なくとも実質的に平行である。
【0049】
図4の下部には、偏位距離146が、互いに向かい合う2つの矢印によって説明されている。偏位距離146は、可動接点アーム108によって及ぼされる閉鎖力のもとで第1板状部材128が与えるときの、第1板状部材128上に取り付けられた固定接点104の偏位を表している。一態様では、第1板状部材128が、電源ライン端子126に一方の端部が接続されて、設けられ、複数の平面で面を有するように(
図1参照)か、またあるいは、一つの平面で一つの面を有する板状部材として(
図3参照)、または、
図8の斜視図に示されるようにして、形成される。
【0050】
図2は、
図1の断面線A−Aに沿った断面図である。
【0051】
また、
図1にて、アーク放電受取り面152を含むU字形状の装置(
図1、
図8参照)として形成された、アークランナー150が説明される。同様に、第1板状部材128は、固定接点104から下方(
図1参照)に延長され、接点間に生じるアーク放電160を受取るように機能し、
図5にてよく図示されている、面154を含んでいる。
図5に見られるように、アーク放電160は、接点104と接点106間に形成され、アーク放電受取り面152と面154に向かって通過され、接点同士から離れて移動する。別の実施形態が
図9で説明されている。代替の態様が、本発明から逸脱することなく、使用できることが見て取れる。
【0052】
また、
図1には、接点から離れてアーク放電160を引き込むのを補助するために設けられた、複数アーク放電板156が示されている。一態様において、複数アーク放電板156は、可動接点106の移動経路に対応する半径方向経路に配置される。
【0053】
その上、排出部162が、筐体102の下側に配置される。排出部162は、筐体102の下側が示される
図6にて、よく図示されている。見て取れるように、排出部162は、複数アーク放電板156の位置決めに基づいて配置された、多数の開口164により形成される。一態様では、各開口164のサイズは、少なくとも、各アーク放電板156の断面面積と同じくらいの大きさである。さらに、複数開口164のそれぞれが、一つの開口166を介して、隣接の開口164に接続されることで、排出部162が、実際的には、単一の排出開口であることが、いくつかの態様において、見て取れる。開口166は、一般的に、開口164よりも幅狭のサイズであることが見て取れる。
【0054】
図7は、さらに別の実施形態を説明しており、この図では、筐体102が、半径方向経路に沿うアーク放電板156の位置決めに対応して内部に配置された複数開口164を有する丸型壁部を備える。アーク放電板が丸型壁部の内側に配置された凹部168内に配置および保持されていることが見て取れる。
【0055】
本発明の特徴を再検討すると、可動接点アーム108がハンドルに接続する連結用組立部の一部を形成するようにした、可動接点アーム108の垂直位置(
図1参照)への新規の配置が、発生されて下方に引き込まれるであろう任意のアーク放電から離して、可動接点アームを設置していることが見て取れる。その上、この態様は、回路安全装置の部品点数を少なくして、コストを下げ、重量で装置をより軽くなし、組み立てをより容易にするように機能する。
【0056】
本発明が、部品や機能等の特別な配置に関して記述されてきたが、これらのことは、すべての可能な構成または機能を排除することを意図するものではなく、実際には、多くの他の修正や変更が、当業者により究明され得るであろう。