特許第6539731号(P6539731)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6539731鎖末端にシラノール官能基を有するPIが低いジエンエラストマー及びそれを含有する組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6539731
(24)【登録日】2019年6月14日
(45)【発行日】2019年7月3日
(54)【発明の名称】鎖末端にシラノール官能基を有するPIが低いジエンエラストマー及びそれを含有する組成物
(51)【国際特許分類】
   C08C 19/25 20060101AFI20190625BHJP
   C08F 8/42 20060101ALI20190625BHJP
   C08L 15/00 20060101ALI20190625BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20190625BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20190625BHJP
【FI】
   C08C19/25
   C08F8/42
   C08L15/00
   C08K3/00
   B60C1/00 A
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-519996(P2017-519996)
(86)(22)【出願日】2015年7月2日
(65)【公表番号】特表2017-521547(P2017-521547A)
(43)【公表日】2017年8月3日
(86)【国際出願番号】EP2015065123
(87)【国際公開番号】WO2016001372
(87)【国際公開日】20160107
【審査請求日】2018年5月18日
(31)【優先権主張番号】1456373
(32)【優先日】2014年7月3日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【弁理士】
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】ダイア シャルロット
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルティエ フロラン
(72)【発明者】
【氏名】ドラト マルガリータ
(72)【発明者】
【氏名】マレシャル ジャン−マルク
【審査官】 水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−507468(JP,A)
【文献】 特開2013−139504(JP,A)
【文献】 特表2014−502302(JP,A)
【文献】 特開平10−316800(JP,A)
【文献】 特開2002−036811(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C 19/00−19/44
C08F 6/00−246/00
C08K 3/00−13/08
C08L 1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性ジエンエラストマーであって:
a)変性ジエンエラストマーの全質量に対して少なくとも70質量%の量で含まれ、シラノール官能基により又はシラノール鎖末端を有するポリシロキサンブロックにより一方の鎖末端だけが官能化されており、かつ官能化前の多分散指数が1.6以下であるジエンエラストマー、
b)変性ジエンエラストマーの全質量に対して0より多く30質量%までの量で含まれ、星状分枝前の多分散指数が1.6以下である星状分枝されたジエンエラストマー、
を含み、
前記変性ジエンエラストマーのムーニー粘度が30〜80の範囲にある、前記変性ジエンエラストマー。
【請求項2】
シラノール末端を有するポリシロキサンブロックが、式:
[-(SiR1R2O)x-H]
(式中、
R1及びR2は、同一であっても又は異なってもよく、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルカリール基、アラルキル基又はビニル基を表し、
xは、1〜1500の範囲にある整数である)
に対応することを特徴とする、請求項1に記載のエラストマー。
【請求項3】
星状分枝ジエンエラストマーが、スズベース又はケイ素ベースの星状分枝エラストマーであることを特徴とする、請求項1に記載のエラストマー。
【請求項4】
ジエンエラストマーa)及びb)が、官能化及び星状分枝の前に、同じミクロ構造及び同じマクロ構造を有することを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の変性ジエンエラストマー。
【請求項5】
少なくとも1種の補強充填剤と請求項1〜のいずれか1項に記載の少なくとも1種の変性ジエンエラストマーを含むエラストマーマトリックスとをベースにする強化ゴム組成物。
【請求項6】
タイヤ用のゴムで作製された半完成品であって、請求項5に記載の架橋可能なもしくは架橋されたゴム組成物を含むことを特徴とする、前記半完成品。
【請求項7】
請求項に記載の半完成品を含むことを特徴とする、タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、少なくとも70質量%の、シラノール官能基又はシラノール末端を有するポリシロキサンブロックで鎖末端が官能化された特定のジエンエラストマー及び多くても30質量%の特定の星状分枝ジエンエラストマーを含む変性ジエンエラストマーであって、前記変性ジエンエラストマーのムーニー粘度が30〜80の範囲にある、前記変性ジエンエラストマーに関する。
燃料の節約及び環境を保護する必要性が優先事項となってきたので、例えば下地層、側壁又はトレッドなどのタイヤケーシングの構成に関与する様々な半完成製品の製造において使用することができるゴム組成物の形で加工ができるために、且つ転がり抵抗を低減させたタイヤを得るために、できるだけ低いヒステリシスを有する混合物を生産することが望ましい。
混合物のヒステリシスの低減は進行中の目的であるが、混合物の特に生の状態での加工に対する適性を保持しながら、同時にエラストマーの流れ抵抗を維持しながら達成されなければならない。
ヒステリシスの低下という目的を達成するために、すでに多くの解決策が試みられた。重合のためのジエンポリマー及びコポリマーの構造の官能化剤、カップリング剤又は星状分枝剤による変性を特筆することができるが、この目的は、こうして変性させたポリマーと、カーボンブラックであれ、無機補強充填剤であれ充填剤との間の良好な相互作用を得ることである。
【0002】
無機補強充填剤を含む混合物に関連して、シラノール基で官能化されたジエンコポリマーを使用することが提唱されている。
シラノール基で鎖末端が官能化されたジエンポリマーを使用することが記載されている仏国特許第2951178号及び欧州特許第778311号を挙げることができる。仏国特許第2951178号には、官能性ポリマーがスズベースの化合物を使用して星状分枝されたポリマーと組み合わせていると記載されている。さらに最近、特許出願国際公開第2009077837号には、シラノール基で一方の鎖末端が官能化され、アミン基でもう一方の鎖末端が官能化されたエラストマーが記載されている。これらのエラストマーは、星状分枝エラストマー、特にケイ素又はスズで星状分枝されたエラストマーと組み合わせることもできると記載されている。しかし、例示されている組合せによって、タイヤに適用されるには組成物の加工/組成物のヒステリシス/エラストマーの流れの妥協点が充分ではない強化ゴム組成物になる。
したがって、先行技術において記載されている組成物は必ずしも充分なヒステリシス、及びトレッドとして使用するのに許容できる加工を示すとは限らないということがわかる。
それ故、鎖末端においてシラノール官能化され且つエラストマーの流れ抵抗を同時に維持しながら生での加工/ヒステリシスの妥協点が改善されたゴム組成物を得ることを可能にするエラストマーを提供することが求められている。
【0003】
したがって、本発明の目的は、そのような組成物を提供することである。特に、1つの目的は、官能化されたエラストマーであって、それを含むゴム組成物の補強充填剤と充分に相互作用して、特にタイヤトレッドでの使用のため、そのヒステリシスを、許容できる生での加工及びエラストマーの良好な流れ抵抗を保持しながら最小限に抑制する官能化エラストマーを提供することである。
この目的は、驚くべきことに、本発明者らが調査研究中に、変性ジエンエラストマーであって、変性ジエンエラストマーの全質量に対して少なくとも70質量%の、シラノール官能基又はシラノール末端を有するポリシロキサンブロックで鎖末端が官能化され、官能化前の分子量分布が狭いジエンエラストマー、及び変性ジエンエラストマーの全質量に対して多くても30質量%の、星状分枝前の分子量分布が狭い星状分枝ジエンエラストマーを含み、前記変性ジエンエラストマーのムーニー粘度が30〜80の範囲にある、前記変性ジエンエラストマーは、それを含むゴム組成物に、エラストマーの流れ抵抗をそのまま保ちながら生での加工/ヒステリシスの妥協点の改善をもたらすことをまさに発見したという点で達成される。
【0004】
したがって、本発明の主題は、変性ジエンエラストマーであって:
a)変性ジエンエラストマーの全質量に対して少なくとも70質量%の、シラノール官能基又はシラノール鎖末端を有するポリシロキサンブロックで一方の鎖末端だけが官能化された官能化前の多分散指数が1.6以下であるジエンエラストマー、
b)変性ジエンエラストマーの全質量に対して0より多く30質量%までの、星状分枝前の多分散指数が1.6以下である星状分枝されたジエンエラストマーを含み、
前記変性ジエンエラストマーのムーニー粘度が30〜80の範囲にある、前記変性ジエンエラストマーである。
本発明の更なる主題は、少なくとも1種の補強充填剤及び少なくとも前記変性ジエンエラストマーを含むエラストマーマトリックスをベースにした強化ゴム組成物である。
本明細書において、別段の明示がない限り、示された百分率(%)はすべて質量%である。さらに、「aとbの間」という表現で表された値の区間はいずれも、aを超える値からbを下回る値にわたる範囲を表す(すなわち、限界値a及びbは含まれない)一方、「aからbまで」という表現で表された値の区間はいずれも、aからbまでの値にわたる範囲を意味する(すなわち、厳格な限界値a及びbを含む)。
「〜をベースにした」組成物という表現は、使用された様々な構成成分の混合物及び/又は反応生成物を含む組成物を意味すると解釈されるべきであり、これらの基本構成成分のいくつかは、少なくとも一部が組成物の製造の様々な相において、特にその架橋又は加硫時において相互に反応することができ、又は反応するよう意図されている。
【0005】
本明細書において、「変性ジエンエラストマー」という用語は、1個以上のヘテロ原子を含む基を含むジエンエラストマーという意味に解釈される。
この基は、鎖末端に位置することができる。その場合、ジエンエラストマーが鎖末端において官能化されるといわれる。一般に、リビングエラストマーと官能化剤、すなわち少なくとも単官能性分子の反応によって得られたエラストマーであり、その官能基はリビング鎖末端と反応することが当業者によって既知の任意のタイプの化学基である。
この基は、線状エラストマー主鎖に位置することができる。その場合、ジエンエラストマーは「鎖末端における」位置ではなく鎖の中央においてカップッリングされ、又は官能化されているといわれるが、基は正確にはエラストマー鎖の中央に位置していない。一般に、それはリビングエラストマーとカップリング剤、すなわち少なくとも二官能性分子との反応によって得られたエラストマーであり、官能基はリビング鎖末端と反応する当業者によって既知の任意のタイプの化学基である。
この基は中心であることができ、それにn個のエラストマー鎖(n>2)が結合されており、星状分枝構造を形成する。その場合、ジエンエラストマーは星状分枝されているといわれる。一般に、それはリビングエラストマーと星状分枝剤、すなわち多官能性分子との反応によって得られたエラストマーであり、官能基はリビング鎖末端と反応する当業者によって既知の任意のタイプの化学基である。
【0006】
「ジエンエラストマー」という用語は、知られているように、少なくとも一部(すなわち、ホモポリマー又はコポリマー)がジエンモノマー(共役又は非共役炭素-炭素二重結合を2個有するモノマー)に由来する(1種又は複数と解釈される)エラストマーを意味すると解釈されるべきである。さらに詳細には、「ジエンエラストマー」という用語は、4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーの重合によって得られた任意のホモポリマー、或いは1種若しくは複数の共役ジエン同士又は8〜20個の炭素原子を有する1種若しくは複数のビニル芳香族化合物との共重合によって得られた任意のコポリマーという意味に解釈される。コポリマーについて、後者は、ジエン単位20%〜99質量%及びビニル芳香族単位1%〜80質量%で構成される。
特に以下のものは、本発明による方法で使用することができる共役ジエンとして適している:1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジ(C1〜C5アルキル)-1,3-ブタジエン、例えば、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジエチル-1,3-ブタジエン、2-メチル-3-エチル-1,3-ブタジエン又は2-メチル-3-イソプロピル-1,3-ブタジエン、フェニル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン及び2,4-ヘキサジエンなど。
【0007】
特に以下のものは、ビニル芳香族化合物として適している:スチレン、オルト-、メタ-又はパラ-メチルスチレン、市販の「ビニルトルエン」混合物、パラ(tert-ブチル)スチレン、メトキシスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン及びビニルナフタレンなど。
ジエンエラストマーは、ポリブタジエン(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブタジエンコポリマー、特にブタジエンとビニル芳香族モノマーのコポリマー、イソプレンコポリマー及びこれらのエラストマーの混合物からなる高度不飽和ジエンエラストマーの群から選択されることが好ましい。そのようなコポリマーは、さらに詳細にはブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)及びイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)である。これらのコポリマーのうち、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)が特に好ましい。
【0008】
ジエンエラストマーは、使用する重合条件次第である任意のミクロ構造を有し得る。エラストマーは、ブロック、統計、逐次、ミクロ逐次などのエラストマーであり得、分散又は溶液で調製され得る。これらのエラストマーの微細構造がアニオン重合の問題である場合には、ランダム化剤の有無及び使用するランダム化剤の量によって決定され得る。
「多分散指数」という用語は、本発明の意味の範囲内で、質量平均分子量/数平均分子量比という意味に解釈される。質量平均分子量と数平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーによって測定される。
1つの好ましい実施態様によれば、本発明の変性ジエンエラストマーは、変性ジエンエラストマーの全質量に対して少なくとも80質量%の官能化ジエンエラストマーa)を含む。
他の好ましい実施態様によれば、本発明の変性ジエンエラストマーは、変性ジエンエラストマーの全質量に対して多くても20質量%の星状分枝ジエンエラストマーb)を含む。
1つの特に好ましい実施態様によれば、本発明の変性ジエンエラストマーは、変性ジエンエラストマーの全質量に対して少なくとも80質量%の官能化ジエンエラストマーa)及び変性ジエンエラストマーの全質量に対して多くても20質量%の星状分枝ジエンエラストマーb)を含む。
【0009】
鎖末端において官能化されたジエンエラストマーa)のシラノール末端を有するポリシロキサンブロックは、下記一般式を有し得る:
[-(SiR1R2O)x-H]
(式中、
− R1及びR2は、同一であっても又は異なってもよく、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルカリール基、アラルキル基又はビニル基を表し、
− xは、1〜1500、好ましくは1〜50の範囲にある整数であり、より好ましくは、xは1である)。
好ましくは、R1及びR2は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を表す。
より好ましくは、R1及びR2は、各々、メチル基を表す。
本発明によれば、鎖末端においてシラノール官能基又はシラノール末端を有するポリシロキサンブロックを有する官能化されたジエンエラストマーは、単官能性である。言い換えれば、ジエンエラストマーは、一方の鎖末端においてだけ官能化されている。もう一方の鎖末端は、官能化されてなく、官能基を有しない。
【0010】
星状分枝ジエンエラストマーb)は、スズベースもしくはケイ素ベースの星状分枝ジエンエラストマーであることが好ましい。
星分枝ジエンエラストマーb)は、好ましくは4つの分枝を含む星状分枝ジエンエラストマーであることが好ましい。
鎖末端においてシラノール官能基又はシラノール末端有するポリシロキサンブロックを有する官能化されたジエンエラストマーa)及び星状分枝ジエンエラストマーb)は、官能化及び星状分枝の前に同じミクロ構造又は異なるミクロ構造を有することができる。
好ましくは、官能化ジエンエラストマーa)及び星状分枝ジエンエラストマーb)は、官能化及び星状分枝の前に同じミクロ構造を有する。
より好ましくは、官能化ジエンエラストマーa)及び星状分枝ジエンエラストマーb)は、官能化及び星状分枝の前に、同じミクロ構造及び同じマクロ構造を有する。
本発明の変性ジエンエラストマーは、後述される方法によって得ることができる。
変性ジエンエラストマーの調製方法の第1のステップは、重合開始剤の存在下に少なくとも1種の共役ジエンモノマーをアニオン重合することである。
重合開始剤として、任意の公知の単官能性アニオン開始剤を使用してもよい。しかしながら、リチウムのようなアルカリ金属を含む開始剤を使用することが好ましい。
【0011】
炭素-リチウム結合を含むものが有機リチウム開始剤として特に適している。ヘテロ原子を含んでいない炭化水素有機リチウム開始剤を使用することが好ましい。代表的な化合物は、エチルリチウム、n-ブチルリチウム(n-BuLi)、イソブチルリチウムなどの脂肪族有機リチウム化合物である。
重合は、不活性炭化水素溶媒の存在下で実施されることが好ましく、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサン又はメチルシクロヘキサンのような脂肪族又は脂環式炭化水素、又はベンゼン、トルエン又はキシレンのような芳香族炭化水素とすることができる。
重合は、連続して又は回分式で実施することができる。重合は、一般に20℃と120℃の間の温度、好ましくはおよそ30℃〜110℃で実施される。もちろん、重合の終わりに、リビング鎖末端の反応性を変えるための金属交換剤を添加することも可能である。
引き続き、重合から生じるリビングジエンエラストマーは、本発明の変性ジエンエラストマーを調製するために官能化される。
【0012】
本発明の変性ジエンエラストマーの調製の第1の代替形態によれば、鎖末端においてシラノール官能基又はシラノール鎖末端を有するポリシロキサンブロックで官能化されたジエンエラストマー及び星状分枝ジエンエラストマーは、適切な割合で混合される。
鎖末端においてシラノール官能基又はシラノール末端を有するポリシロキサンブロックで官能化されたジエンエラストマーは、有利には、特許出願欧州特許出願公開第0778311号に記載されている手順に従って得ることができ、この出願の明細書は参照として援用されている。
星状分枝ジエンエラストマーは、リビング鎖末端と星状分枝剤、すなわち任意の多官能分子との反応によるそれ自体が公知である方法で得ることができ、その官能基はリビング鎖末端と反応することが当業者によって既知の任意のタイプの化学基である。好ましくは、星状分枝剤は、官能性が2を超えるスズもしくはケイ素をベースとし、式SnRX3、SnHX3、SnX4、SiRX3、SiHX3、SiX4、SiR(OR)3、Si(OR)4(ここで、Rは1〜20個の炭素原子を有するアルキル基、アラルキル基又はビニル基であり、Xはハロゲンである)によって表すことができる作用剤である。
【0013】
2種のエラストマーの混合は、重合溶媒と同様であり得る、不活性溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン又はシクロヘキサンのような脂肪族又は脂環式炭化水素、又はベンゼン、トルエン又はキシレンのような芳香族炭化水素中で実施され得る。その場合、混合は、20℃と120℃の間、好ましくはおよそ30℃〜110℃実施される。
本発明の変性ジエンエラストマーの調製の第2の実施形態によれば、重合工程から生じるリビングジエンエラストマーは、星状分枝剤の反応及び、ポリマー鎖末端において、シラノール官能基又はシラノール末端を有するポリシロキサンブロックを導入することのできる官能化剤に供される。
ポリマー鎖末端において、シラノール官能基又はシラノール末端を有するポリシロキサンブロックを導入することのできる官能化剤として、SiO-末端を有するエラストマーを得るための環状ポリシロキサンタイプの作用剤を挙げることができるが、これは前記シクロポリシロキサンの重合を可能にしない媒体中にある。
環状ポリシロキサンとして、式:
【0014】
【化1】
【0015】
(式中、
−R1及びR2は、同一でも又は異なってもよく、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルカリール基、アラルキル基又はビニル基を表し、
−mは、3〜8の数値を有する整数を表す)
に対応するものを挙げることができる。
好ましいポリシロキサン化合物として、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、トリメチルトリエチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、更にその混合物を挙げることができる。
好ましい星状分枝剤として、四塩化スズ又はテトラクロロシランを挙げてもよい。
【0016】
したがって、例えば、重合工程から生じるリビングジエンエラストマーの官能化は、リビングジエンエラストマーの多くても30質量%を星状分枝するために、第一に、適切な量の星状分枝剤の存在下に20〜120℃の範囲にある温度で実施することができる。次に、第二に、第1の工程後に得られたジエンエラストマーの残りのリビング鎖を、ポリマー鎖末端において、シラノール官能基又はシラノールを有するポリシロキサンブロックを導入することのできる官能化剤の添加及びこの作用剤との反応によって官能化する。次に、本発明の変性ジエンエラストマーを得るように、残りのリビング鎖の非活性化及びSiO-鎖末端とプロトン供与体化合物との反応によってジエンエラストマー官能化反応を停止させる。
本発明に従う変性ジエンエラストマーは良好な流れ抵抗を有し、それによって、このゴムの貯蔵及び運搬の間、より良好な挙動を誘導する。
本発明の変性ジエンエラストマーは、有利には、タイヤ用途では、生加工/ヒステリシス妥協点を改善する、シリカのような少なくとも1種の無機充填剤で補強したゴム組成物中に使用することができる。このゴム組成物もまた、本発明の主題である。
前述したように、本発明の別の主題は、少なくとも1種の補強充填剤と上述のような少なくとも1種の変性ジエンエラストマーを含むエラストマーマトリックスとをベースにした強化ゴム組成物である。ゴム組成物は、これらの本発明による変性ジエンエラストマーの1種又は複数を含むことができると解釈されるべきである。
【0017】
本発明による強化ゴム組成物は、架橋された状態又は架橋されていない、言い換えれば架橋可能な状態で提供することができる。
様々な代替形態によれば、本発明による変性ジエンエラストマーは、星状分枝され、カップリングされ、それとも官能化されていようがいまいが組成物中単独で又は少なくとも1種の他の通常のジエンエラストマーとのブレンドとして使用することができる。好ましくは、本発明で使用されるこの他のジエンエラストマーは、ポリブタジエン(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー及びこれらのエラストマーの混合物からなる高度不飽和ジエンエラストマー群から選択される。そのようなコポリマーは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)及びイソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)からなる群から選択されることがより好ましい。ジエンエラストマーを除くいずれかの合成エラストマーとのブレンド、さらにはエラストマーを除くいずれかのポリマー、例えば熱可塑性ポリマーとのブレンドを想定することも可能である。
ブレンドに使用する通常のエラストマーが天然ゴム及び/又は1種以上のジエンポリマー、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン又はブタジエン/スチレン又はブタジエン/スチレン/イソプレンコポリマーである場合には、変性又は未変性のこの又はこれらのエラストマーは、本発明による変性ジエンエラストマー100部当たり1〜70質量部で存在することができる。
【0018】
本発明による組成物の特性における改善は、この組成物中で本発明の変性ジエンエラストマーと異なるエラストマーの割合が低くなるにつれて大きくなることに留意されたい。
したがって、好ましくは、エラストマーマトリックスは、主に本発明による変性ジエンエラストマーを質量で含む。
より好ましくは、エラストマーマトリックスは、単に本発明による変性ジエンエラストマーのみから構成される。
本発明のゴム組成物は、上述のような少なくとも1種のエラストマーマトリックスの他に、少なくとも1種の補強充填剤を含む。
タイヤトレッドの製造に使用することができるゴム組成物を補強する能力で知られている任意のタイプの補強充填剤を使用してもよく、例えばカーボンブラック、シリカなどの無機補強充填剤をカップリング剤と公知のように組み合わせて、又はこれらの2つのタイプの充填剤の混合物を使用してもよい。
個別に又は混合物の形で使用されるすべてのカーボンブラック、特にタイヤのトレッドで通常使用されるHAF、ISAF又はSAFタイプのブラック(「タイヤグレード」のブラック)が、カーボンブラックとして適している。後者のうち、さらに詳細には例えばN115、N134、N234、N326、N330、N339、N347又はN375ブラックなどの100、200又は300シリーズの補強用カーボンブラック(ASTMグレード)が挙げられる。カーボンブラックは、例えばイソプレンエラストマーにマスターバッチの形ですでに組み込まれていることがある(例えば、特許出願国際公開第97/36724号又は国際公開第99/16600号を参照のこと)。
【0019】
本特許出願では「無機補強充填剤」は定義により、その色及びその起源(天然又は合成)がどうであれ、それ自体単独で、中間カップリング剤を除く手段を用いることなく、タイヤの製造向けのゴム組成物を補強することができる任意の無機又は鉱物充填剤と解釈されるべきである。一般的に、そのような充填剤は、公知のようにヒドロキシル(-OH)基がその表面に存在していることを特徴とする。
シリカ質タイプの鉱物充填剤、特にシリカ(SiO2)、又はアルミナタイプの鉱物充填剤、特にアルミナ(Al2O3)が特に無機補強充填剤として適している。使用されるシリカは、当業者に公知である任意の補強用シリカ、特にBET比表面積及びCTAB比表面積が共に450m2/g未満、好ましくは30〜400m2/g、特に60と300m2/gの間を示す任意の沈降シリカ又はヒュームドシリカとすることができる。アルミナタイプの鉱物充填剤、特にアルミナ(Al2O3)又は水酸化アルミニウム(オキシド)、あるいは例えば米国特許第6610261号及び米国特許第6747087号に記載されている補強用酸化チタンも挙げられる。また、補強充填剤として適しているのは、別の性質の補強充填剤、特にカーボンブラックである。ただし、これらの補強充填剤がシリカ質層で覆われている、又はこれらの表面に官能性部位、特にヒドロキシル部位を含み、充填剤とエラストマーの間の結合を確立するためにカップリング剤の使用を必要とすることを条件とする。例として、例えばタイヤ用のカーボンブラック、例えば特許文献国際公開第96/37547号及び国際公開第99/28380号に記載されているものを挙げることができる。
【0020】
無機補強充填剤が提供される物理的状態は、無機補強充填剤が粉末の形であれ、ミクロビーズの形であれ、顆粒の形であれ、ビーズの形であれ、又は他の任意の適切な高密度化された形であれ、重要でない。勿論、「無機補強充填剤」という用語も、様々な補強充填剤、特に上述のような高分散性シリカ質充填剤の混合物という意味に解釈される。
好ましくは、全補強充填剤(カーボンブラック及び/又はシリカなど他の補強充填剤)の量は30と200phrの間、より好ましくは30と150phrの間、さらにより好ましくは70と130phrの間であり、最適量は、標的とされた特定の用途に応じて公知のように異なる。
本発明の代替形態によれば、補強充填剤は主にカーボンブラック以外であり、すなわち補強充填剤の全質量の50質量%を超える、カーボンブラックを除く1種又は複数の充填剤、特にシリカなどの無機補強充填剤を含む。実際、まさにそのような充填剤のみから構成されている。
この代替形態によれば、カーボンブラックも存在する場合、20phr未満、より好ましくは10phr未満(例えば、0.5と20phrの間、特に1〜10phr)の含有量で使用することができる。
【0021】
本発明の別の代替形態によれば、主にカーボンブラックを含み、シリカ又は別の無機充填剤を含んでもよい補強充填剤が使用される。
補強充填剤が充填剤とエラストマーの間の結合を確立するためにカップリング剤の使用を必要とする充填剤を含む場合、本発明によるゴム組成物は、さらに通常、この結合を効果的に形成することができる作用剤を含む。シリカが組成物中に補強充填剤として存在している場合、カップリング剤としてオルガノシラン、特にアルコキシシランポリスルフィド又はメルカプトシランを使用してよく、あるいは少なくとも二官能価のポリオルガノシロキサンも使用してよい。
本発明による組成物において、カップリング剤の含有量は20phr未満であることが有利であり、カップリング剤を可能な限り少ししか使用しないことが一般的に望ましいと解釈される。その含有量は0.5と0.5phrの間が好ましい。カップリング剤の存在は、無機補強充填剤の存在に依存する。その含有量は当業者によってこの充填剤の含有量に応じて容易に調整される。これは、典型的には、カーボンブラックを除く無機補強充填剤の量に対して0.5質量%〜15質量%程度である。
【0022】
本発明によるゴム組成物は、カップリング剤以外に、カップリング活性化剤、充填剤の被覆剤、又はより一般的にゴムマトリックスにおける充填剤の分散の改善及び組成物の粘度の低下のおかげで公知のように生の状態で加工される能力を改善することができる加工助剤も含むことができ、これらの作用剤は、例えばアルキルアルコキシシランなどの加水分解性シラン、ポリオール、ポリエーテル、第一級、第二級もしくは第三級アミン、又はヒドロキシル化ポリオルガノシロキサンもしくは加水分解性ポリオルガノシロキサンである。
本発明によるゴム組成物は、上述のカーボンブラック又は他の無機補強充填剤の全部又は一部分に代えて用いることができる有機補強充填剤も含むことができる。有機補強充填剤の例としては、特許出願国際公開第2006/069792号、国際公開第2006/069793号、国際公開第2008/003434号及び国際公開第2008/003435号に記載されているものなどの官能化ポリビニル有機充填剤を挙げることができる。
【0023】
本発明によるゴム組成物は、例えば顔料、非補強充填剤、耐オゾン性ワックス、化学的オゾン亀裂防止剤又は酸化防止剤などの保護剤、疲労防止剤、可塑化剤、補強用もしくは可塑化用樹脂、例えば特許出願国際公開第02/10269号に記載されたものなどのメチレン受容体(例えば、フェノールノボラック樹脂)又はメチレン供与体(例えば、HMT又はH3M)、イオウ又はイオウ供与体及び/又は過酸化物及び/又はビスマレイミドをベースにした架橋系、加硫促進剤又は加硫活性化剤など、タイヤの製造向けのエラストマー組成物で一般的に使用される通常の添加剤の全部又は一部分も含むことができる。
組成物は、適切なミキサー中、当業者に周知である連続する2つの調製期、すなわち110℃と190℃の間、好ましくは130℃と180℃の間の最高温度までの高温で熱機械加工する又は捏和する第1期(「非生産的」期)と、その後に続いて典型的には110℃未満、例えば40℃と100℃の間のより低い温度に至るまで機械加工し、その仕上げ期において架橋系を組み込む第2期(「生産的」期)を使用して製造される。
本発明による組成物の調製方法は一般に、
(i)130℃と180℃の間の最高温度で、架橋系を除いて、本発明による変性ジエンエラストマー及び補強充填剤を含む組成物の構成要素を熱機械加工する第1ステップの実施、次いで
(ii)前記第1ステップの前記最高温度より低い温度で機械加工し、その間に前記架橋系を組み込む第2ステップの実施を含む。
【0024】
本方法は、上記の段階(i)及び(ii)の実施より前に、上述の方法に従って変性ジエンエラストマーの調製段階を含むこともできる。
本発明の別の主題は、架橋可能なもしくは架橋された本発明によるゴム組成物を含む又はそのような組成物から構成されたタイヤ用のゴムで作製された半完成品である。
こうして得られた最終組成物は、引き続いて、例えばタイヤ向けの半完成ゴム製品として使用することができるゴム型出しエレメントを形成するために、例えばシートもしくはスラブの形にカレンダー加工することができ、又は押出することもできる。
本発明による強化ゴム組成物を特徴付けるエラストマーの流れ抵抗を同時に維持しながらヒステリシス/生での加工の妥協点における改善によって、そのような組成物はタイヤの任意の半完成製品、極めて具体的にはトレッドを構成することができ、特にその転がり抵抗を低減することに留意されたい。
したがって、本発明の最後の主題は、本発明による半完成品、特にトレッドを含むタイヤである。
本発明の上記特性、さらには他の特性は、制限なしに例として記載された本発明のいくつかの実施例について以下の説明を読むとよく理解される。
【0025】
実施例
使用する測定及び試験
サイズ排除クロマトグラフィー
SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)技法により、多孔質ゲルを充填したカラムに通して、溶液状態の高分子をそれらのサイズに応じて分離することが可能になる。高分子をそれらの流体力学的容積に応じて分離するが、最も嵩高いものが最初に溶離される。
絶対的な方法ではないが、SECにより、ポリマーのモル質量の分布を理解することが可能になる。様々な数平均モル質量(Mn)及び質量平均モル質量(Mw)は市販の標準品から決定することができ、多分散指数(PI=Mw/Mn)は「ムーア」較正により算出することができる。
分析する前に、ポリマー試料を特に処理することはない。ポリマー試料を溶離溶媒に約1g.L-1の濃度で溶解するだけである。次いで、溶液を注入前に、0.45μmの空隙を有するフィルターで濾過する。
使用する装置はWaters Allianceクロマトグラフラインである。溶離溶媒は、テトラヒドロフラン又はテトラヒドロフラン+1容量%のジイソプロピルアミン+1容量%のトリエチルアミンであり、流速は1ml.分-1であり、システムの温度は35℃であり、分析時間は30分である。商品名Styragel HT6EというWatersカラム2本セットを使用する。ポリマー試料溶液の注入容量は100μlである。検出器はWaters 2410示差屈折計であり、クロマトグラフデータを利用するためのソフトウェアはWaters Empowerシステムである。
算出した平均モル質量は、以下のミクロ構造を有するSBRについて作成された較正曲線に比例する。スチレンタイプの単位25質量%(ポリマーの質量に対して)、1,2-タイプの単位23質量%(ブタジエン部分に対して)及び1,4-transタイプの単位50質量%(ブタジエン部分に対して)。
【0026】
高分解能サイズ排除クロマトグラフィー
高分解能SEC技法を使用して、ポリマー試料に存在している鎖の様々な集団の質量百分率を決定する。
分析する前に、ポリマー試料を特に処理することはない。ポリマー試料を溶離溶媒に約1g.L-1の濃度で溶解するだけである。次いで、溶液を注入前に、0.45μmの空隙を有するフィルターで濾過する。
使用する装置はWaters Alliance 2695クロマトグラフラインである。溶離溶媒はテトラヒドロフランであり、流速0.2ml.分-1であり、システムの温度は35℃である。連続した同一のカラム3本セットを使用する(Shodex、長さ300mm、直径8mm)。カラムのセットの理論段数は22000より高い。ポリマー試料溶液の注入容量は50μlである。検出器はWaters 2414示差屈折計であり、クロマトグラフデータを利用するためのソフトウェアはWaters Empowerシステムである。
算出したモル質量は、以下のミクロ構造を有するSBRについて作成された較正曲線に比例する。スチレンタイプの単位25質量%(ポリマーの質量に対して)、1,2-タイプの単位23質量%(ブタジエン部分に対して)及びtrans-1,4-タイプの単位50質量%(ブタジエン部分に対して)。
【0027】
ムーニー粘度
ポリマー及びゴム組成物について、ムーニー粘度ML(1+4)100℃をASTM D-1646規格に従って測定する。
ASTM D-1646規格に記載されているような振動式コンシストメーターを使用する。ムーニー可塑度測定は以下の原理に従って実施される。生の状態(すなわち、硬化前)の組成物を、100℃に加熱された円柱状チャンバー中で成形する。1分間予熱した後、回転子は供試体内で2回転/分で回転し、4分間回転した後、この運動を維持するための使用トルクを測定する。ムーニー可塑度ML(1+4)を「ムーニー単位」(MU、1MU=0.83N.m)で表す。
組成物のムーニー粘度とエラストマーのムーニー粘度間の差により、生の加工性又は加工を測定することが可能になる。この差が小さいほど、生の加工が良好になる。
【0028】
示差熱測定
エラストマーのガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計を使用して決定される。
【0029】
近赤外(NIR)分光法
エラストマーのミクロ構造は近赤外(NIR)分光技法によって特徴付けられる。
近赤外分光法(NIR)を使用して、エラストマー中のスチレンの質量含有量を定量し、さらにそのミクロ構造も決定する(1,2-、trans-1,4-及びcis-1,4-ブタジエン単位の相対分布)。方法の原理は、多成分系について定式化されたランベルト・ベールの法則に基づく。方法は間接法であるので、13C NMRで決定された組成を有する標準エラストマーを使用して実施された多変量較正を必要とする[Vilmin, F., Dussap, C. & Coste, N., Applied Spectroscopy, 2006, 60, 619-29]。次いで、スチレン含有量及びミクロ構造を、厚さ約730μmのエラストマーフィルムのNIRスペクトルから算出する。スペクトルは、ペルティエ効果によって冷却されたInGaAs検出器を装備したBrueker Tensor 37フーリエ変換近赤外分光計を使用して、伝送モード、4000と6200cm-1の間、分解能2cm-1で取得する。
【0030】
固有粘度
エラストマーの25℃における固有粘度は、以下の原理に従って0.1g.dl-1エラストマーのトルエン溶液で決定される。
固有粘度は、毛細管中のポリマー溶液の流動時間t及びトルエンの流動時間t0を測定することによって決定される。
トルエンの流動時間及び0.1g.dL-1ポリマー溶液の流動時間は、25±0.1℃で自動温度調節された浴槽内に置かれたUbbelohde管(毛細管の直径0.46mm、容量18〜22ml)で測定される。
【0031】
固有粘度は以下の関係式によって得られる。
【数1】
式中、
C:ポリマーのトルエン溶液の濃度、単位g.dl-1
t:ポリマーのトルエン溶液の流動時間、単位秒
t0:トルエンの流動時間、単位秒、
ηinh:固有粘度、単位dl.g-1で表される
【0032】
低温流れ(CF(1+6)100℃)
それは、所定の時間(6時間)及び固定条件(T=100℃)で目盛り付きダイを通って押出されるエラストマーの質量を測定するものである。ダイは、直径6.35mm及び厚さ0.5mmを有し、直径52mmのくぼんだ円筒皿の底の中央に位置する。
前もってペレット(厚さ2cm及び直径52mm)に形成された40±4gのエラストマーをこの装置に入れる。1kg(±5g)の重さがある目盛付きピストンをエラストマーペレットの上に置く。引き続いて、アセンブリを100℃±0.5℃の炉内に入れる。
条件が炉内で最初の間安定しないので、t=1時間で押出された生成物を切り離し、次に捨てる。
引き続いて、測定を6時間±5分続け、その間、生成物を炉内に放置する。6時間の終わりに、押出された生成物の試料を切り離し、次に計量する。測定の結果は、計量したエラストマーの質量である。この結果が小さいほど、低温流れに対するエラストマーの抵抗が大きい。
【0033】
核磁気共鳴(NMR)
1H NMRにより、ケイ素(SiCH3)に由来するメチル基の定量がほぼδ=0ppmに位置する対応シグナルを積分することによって可能になる。試料を二硫化炭素(CS2)に溶解する。ロックシグナルのために、重水素化シクロヘキサン(C6D12)100μlを添加する。NMR分析は、5mm BBIz「ブロードバンド」プローブを装備したBrueker 500MHz分光計で実施する。定量1H NMR実験については、シークエンスで30°パルス及び繰り返し時間2秒を用いる。
【0034】
動力学的特性
動力学的特性、特にtanδmaxは、ASTM D 5992-96規格に従って粘度分析器(Metravib VA4000)で測定される。ASTM D 1349-99規格に従って、標準温度条件(40℃)下に10Hzの周波数で単純交互正弦せん断応力にかけた加硫組成物の試料(厚さ2mm及び断面積79mm2の円筒状供試体)の応答を記録する。歪み振幅掃引は、0.1%〜50%ピーク間(アウトワードサイクル)、次いで50%〜0.1%ピーク間(戻りサイクル)で行われる。より詳しく利用される結果は、損失係数tanδである。戻りサイクルでは、観測され、tanδmaxと表されるtanδの最大値を示す。この値は、材料のヒステリシスの代表であり、本件では転がり抵抗の代表である。tanδmaxの値が小さくなるほど、転がり抵抗が低くなる。実施例において、動力学的特性の結果は、ベース100で示される。ベース100で表されるこの数が大きくなるほど、ヒステリシスが低くなる。
【0035】
ポリマーの調製
ポリマーAの調製:本発明によるSBR 鎖末端にてシラノール官能基
約2バールの窒素圧下で維持された、46kgのメチルシクロヘキサンが入っている90リットルの反応器に、2kgのスチレン及び4.7kgのブタジエンを注入し、さらに0.1mol.l-1テトラヒドロフルフリルエーテルのメチルシクロヘキサン溶液260mlも注入する。重合させる溶液中のプロトン性不純物をn-ブチルリチウムの添加により中和した後、0.05mol.L-1メチルシクロヘキサン中n-ブチルリチウム(n-BuLi)770mlを添加する。重合は50℃で実施される。
80分後、モノマーの転換度は88%に達する。この含有量は、200mmHgの減圧下に140℃で乾燥させた抽出物を秤量することによって決まる。次いで、対照試料を反応器から取り出し、次にリチウムに対してメタノールの過剰で停止させる。25℃においてトルエン中0.1g.l-1で測定される固有粘度(「初期」粘度)は、1.26dl.g-1である。数平均モル質量MnはSEC技法で決定して、139000g.mol-1であり、多分散指数PIは1.04である。
次いで、0.004mol.l-1四塩化スズのメチルシクロヘキサン溶液481mlを添加する(SnCl4/Li = 0.050)。40℃で1分後、0.021mol.l-1ヘキサメチルシクロトリシロキサンの溶液825mlを添加する(0.45当量/Li)。引き続いて、エラストマー100部当たり0.4部(phr)の2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール)及び0.2phrのN-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミンを添加することにより溶液を酸化防止処理する。
【0036】
こうして処理されたポリマーをスチームストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで開放型ミルで100℃にて乾燥する。
測定した「最終」固有粘度は、1.45dl.g-1である。前記「最終」粘度対前記「初期」粘度の比として定義される粘度の上昇は、この場合1.15である。
このポリマーAのムーニー粘度は、57である。
数平均モル質量MnはSEC技法で決定して、150500g.mol-1であり、多分散指数PIは1.20である。
鎖末端においてシラノール基で官能化され、星状分枝された化学種の質量百分率は、HR SEC技法で決定して、それぞれ80%及び20%である。
このコポリマーのミクロ構造はNIR法によって決まる。1,2-単位の含有量はブタジエン単位に対して58.5%である。スチレンの質量含有量は25.8%である。
このコポリマーのガラス転移温度は-25℃である。
ポリマーAとして1H NMRで決定された(CH3)2Si官能基の含有量は、3.3mmol.kg-1である。
ポリマーの低温流れCF(1+6)100℃は、2.1である。
【0037】
ポリマーBの調製:SBR 鎖末端にてシラノール官能基−本発明による実施例2
メチルシクロヘキサン、ブタジエン、スチレン及びテトラヒドロフルフリルエチルエーテルを、下記の割合:ブタジエン質量流量=3.049kg.h-1、スチレン質量流量=1.219kg.h-1、モノマーの全質量濃度=10質量%、テトラヒドロフルフリルエチルエーテル質量流量=162g/hに従って、当業者によると完全に撹拌されるとみなされる3個の14リットルの連続して配置された反応器に連続して導入する。
ライン入口に存在する異なる構成成分によって導入されるプロトン性不純物を中和するために、n-ブチルリチウム(n-BuLi)を充分な量で導入する。モノマー100g当たりn-BuLi546μmolを第1の反応器の入口に導入する。
最終の反応器における平均滞留時間が45分であるように、種々の流量を算出する。3個の連続した反応器は、それぞれ次の温度:35℃、44℃及び70℃に維持する。
重合反応器の出口で、ポリマー溶液の試料を採取する。引き続いて、ポリマーを0.4phrの2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール)及び0.2phrのN-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミンの添加による酸化防止処理に供する。
こうして処理されたポリマーをスチームストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで開放型ミルで100℃にて乾燥する。測定した「初期」固有粘度は、1.65dl.g-1である。数平均モル質量MnはSEC技法で決定して、135 000g.mol-1であり、多分散指数PIは1.38である。
【0038】
第3の重合反応器の出口で、四塩化スズモノマー100g当たりメチルシクロヘキサン溶液29μmolを、リビングポリマーの溶液に添加し(SnCl4/Li = 0.07)、次いでヘキサメチルシクロトリシロキサンモノマー(1.7当量/Li)100g当たりメチルシクロヘキサン溶液202μmolを添加する。
引き続いて、ポリマーを、0.4phrの2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール)及び0.2phrのN-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミンの添加による抗酸化防止処理に供する。
こうして処理されたポリマーをスチームストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで開放型ミルで100℃にて乾燥する。
測定した「最終」固有粘度は、2.02dl.g-1である。前記「最終」粘度対前記「初期」粘度の比として定義される粘度の上昇は、この場合1.22である。
このポリマーBのムーニー粘度は、59である。
数平均モル質量MnはSEC技法で決定して、157000g.mol-1であり、多分散指数PIは1.53である。
このコポリマーのミクロ構造はNIR法によって決まる。1,2-単位の含有量はブタジエン単位に対して57.9%である。スチレンの質量含有量は25.5%である。
このコポリマーのガラス転移温度は-25℃である。
ポリマーBとして1H NMRで決定された(CH3)2Si官能基の含有量は、4.1mmol.kg-1である。
ポリマーの低温流れCF(1+6)100℃は、2.4である。
【0039】
ポリマーCの調製:SBR 鎖末端にてシラノール官能基−対照
メチルシクロヘキサン、ブタジエン、スチレン及びテトラヒドロフルフリルエチルエーテルを、下記の割合:ブタジエン質量流量=1.49kg.h-1、スチレン質量流量=0.511kg.h-1、モノマーの質量濃度=12.5質量%、350ppmのテトラヒドロフルフリルエチルエーテルに従って、当業者によると完全に撹拌されるとみなされる32.5リットルの撹拌連続反応器に連続して導入する。モノマー100g当たりn-BuLi645μmolを反応器の入口に導入する。
反応器における平均滞留時間が40分であるように異なる流量を算出する。温度を80℃に維持する。
第3の重合反応器の出口で、ポリマー溶液の試料を採取する。引き続いて、ポリマーを0.4phrの2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール)及び0.2phrのN-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミンの添加による酸化防止処理に供する。こうして処理されたポリマーをスチームストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで開放型ミルで100℃にて乾燥する。測定した「初期」固有粘度は、1.86dl.g-1である。数平均モル質量、Mn、はSEC技法で決定して、121 000g.mol-1であり、多分散指数PIは1.90である(これは本発明による官能化ジエンエラストマーa)の定義に従っていない)。
【0040】
重合反応器の出口で、四塩化スズモノマー100g当たりメチルシクロヘキサン中の溶液19μmolをリビングポリマーの溶液に添加し(SnCl4/Li = 0.029)、次いでヘキサメチルシクロトリシロキサンモノマー(1.7当量/Li)100g当たりメチルシクロヘキサン中の溶液245μmolを添加する。
引き続いて、ポリマーを、0.4phrの2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール)及び0.2phrのN-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミンの添加による抗酸化防止処理に供する。
こうして処理されたポリマーをスチームストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで開放型ミルで100℃にて乾燥する。
測定した「最終」固有粘度は、1.98dl.g-1である。前記「最終」粘度対前記「初期」粘度の比として定義される粘度の上昇は、この場合1.06である。
このポリマーBのムーニー粘度は、57である。
数平均モル質量MnはSEC技法で決定して、130000g.mol-1であり、多分散指数PIは1.9である。
このコポリマーのミクロ構造はNIR法によって決まる。1,2-単位の含有量はブタジエン単位に対して58.3%である。スチレンの質量含有量は25.1%である。
このコポリマーのガラス転移温度は-24℃である。
ポリマーCとして1H NMRで決定された(CH3)2Si官能基の含有量は、5.3mmol.kg-1である。
ポリマーの低温流れCF(1+6)100℃は、1.9である。
【0041】
ポリマーDの調製:SBR 鎖末端にてシラノール官能性−対照
約2バールの窒素圧下で維持された、46kgのメチルシクロヘキサンが入っている90リットルの反応器に、2kgのスチレン及び4.7kgのブタジエンを注入し、さらに0.1mol.l-1テトラヒドロフルフリルエーテルのメチルシクロヘキサン溶液260mlも注入する。重合させる溶液中のプロトン性不純物をn-ブチルリチウムの添加により中和した後、0.05mol.L-1メチルシクロヘキサン中n-ブチルリチウム(n-BuLi)500mlを添加する。重合は40℃で実施される。
80分後、モノマーの転換度は88%に達する。この含有量は、200mmHgの減圧下に140℃で乾燥させた抽出物を秤量することによって決まる。次いで、対照試料を反応器から取り出し、次にリチウムに対してメタノールの過剰で停止させる。25℃においてトルエン中0.1g.l-1で測定される固有粘度(「初期」粘度)は、1.86dl.g-1である。数平均モル質量MnはSEC技法で決定して、205000g.mol-1であり、多分散指数PIは1.05である。
次いで、0.004mol.l-1四塩化スズのメチルシクロヘキサン溶液311mlを添加する(SnCl4/Li = 0.050)。40℃で1分後、0.021mol.l-1ヘキサメチルシクロトリシロキサンの溶液474mlを添加する(0.4当量/Li)。引き続いて、エラストマー100部当たり0.4部(phr)の2,2'-メチレンビス(4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール)及び0.2phrのN-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミンを添加することにより溶液を酸化防止処理する。
【0042】
こうして処理されたポリマーをスチームストリッピング操作によりその溶液から分離し、次いで開放型ミルで100℃にて乾燥する。
測定した「最終」固有粘度は、2.15dl.g-1である。前記「最終」粘度対前記「初期」粘度の比として定義される粘度の上昇は、この場合1.16である。
このポリマーDのムーニー粘度は、100である(これは本発明の定義に従っていない)。
数平均モル質量MnはSEC技法で決定して、222 200g.mol-1であり、多分散指数PIは1.20である。
鎖末端においてシラノール基で官能化され且つ星状分枝された化学種の質量百分率は、HR SEC技法で決定して、それぞれ80%及び20%である。
このコポリマーのミクロ構造はNIR法によって決まる。1,2-単位の含有量はブタジエン単位に対して58.5%である。スチレンの質量含有量は25.8%である。
このコポリマーのガラス転移温度は-25℃である。
ポリマーAとして1H NMRで決定された(CH3)2Si官能基の含有量は、3.1mmol.kg-1である。
ポリマーの低温流れCF(1+6)100℃は、2.1である。
【0043】
ゴム組成物の比較例
下記の表1に記載の3種の組成物を比較する。組成物1は、本発明に従う。組成物2及び3は、本発明に従わない比較組成物である。
配合物は、エラストマー100質量部当たりの質量パーセント(phr)で表されている。
【0044】
表1


(1)Neodymeによって触媒される重合によって得られたシス-1,4-ポリブタジエン;ムーニーエラストマー=44。
(2)Rhodiaからの「Zeosil 1165MP」シリカ。
(3)ShellからのCatenex(登録商標)SBR。
(4)ポリリモネン。
(5)Degussaからの「Si69」。
(6)N-(1,3-ジメチルブチル)-N'-フェニル-p-フェニレンジアミン。
(7)Repsolからの抗オゾン。
(8)N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド。
【0045】
次の手順を、以下に続く試験に使用する。
組成物はそれぞれ、第1のステップにおいて熱機械加工することにより、次いで第2の仕上げステップにおいて機械加工することにより製造される。
エラストマー、シリカの2/3、カップリング剤、ジフェニルグアニジン及びカーボンブラックを、「Banbury」タイプの容量400cm3の実験室用インターナルミキサーに導入する。ミキサーは72%満たされ、初期温度は90℃である。
熱機械加工は、ブレードによって実施される。その平均速度は50回転/分であり、温度は90℃である。
1分後、最後の1/3のシリカ、酸化防止剤、ステアリン酸、耐オゾン性ワックス、MES油及び樹脂を、やはり熱機械加工下に導入する。
2分後、酸化亜鉛を導入する。ブレードの速度は50回転/分である。
最大落下温度約160℃まで、熱機械加工をさらに2分間行う。
こうして得られた混合物を回収し、冷却し、次いで外部ミキサー(ホモフィニッシャー)中で、イオウとスルフェンアミドを30℃で添加し、合わせた混合物を3〜4分間さらに混合する(機械加工の第2ステップ)。
こうして得られた組成物を、引き続いてそれらの物理的又は機械的特性の測定のためスラブ(厚さ2〜3mm)もしくは薄いゴムのシートの形にカレンダー加工し、又は所望の寸法に裁断及び/もしくは組み立てた後、例えばタイヤ、特にトレッド用の半完成製品として直接使用することができる型出しエレメントの形にカレンダー加工する。
架橋は、150℃で40分間実施する。
結果を表2に示す。
【0046】
表2
ゴムの結果(Tanδmax 40℃、ML(1+4)100℃組成物、低温流れ):


* 高すぎるので数値が測定できない。
【0047】
表2に示される結果は、対照組成物2(星状分枝が多く、官能化前の多分散指数が高いポリマーC)及び対照組成物4(ムーニー粘度が高いポリマーD)と比較して本発明による組成物1及び2が改良されたもしくは等価なヒステリシスを示している。
本発明による組成物1及び2の加工性は、対照組成物3及び4より良好である。
最後に、組成物1及び2の流れ抵抗は、対照組成物3及び4に匹敵する。
したがって、表2に示される結果は、エラストマーの流れ抵抗を同時に維持しながら、本発明によるポリマーを含有する組成物のヒステリシス/生の加工の妥協点の改善を証明している。