(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記容器本体が前記操作部の動作により前記キャップとの係り合いを解除し得る係合部を有するものであり、この係合部に前記操作部に加わる操作力を前記キャップと容器本体との離間方向への押圧力に変換する動作変換面を有している請求項1又は2記載の塗布用容器。
前記キャップが、使用状態にある前記容器本体の係合部に当接したときに当該係合部を前記係合面へ向けて案内する案内面を有している請求項1、2、3又は4記載の塗布用容器。
前記液状物が糊又は接着剤であり、前記容器本体が前記液状物を吐出するための開口を有し、この開口に設けられた前記液状物を通過させ得る通過シートを介して吐出される請求項1、2、3、4、5又は6記載の塗布用容器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような不具合に着目したものであり、液状物を安定して収容しつつ、容易且つ速やかに使用し得る塗布用容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0008】
すなわち本発明に係る塗布用容器は、少なくとも一部を押圧し変形させることにより内包した当該液状物を塗布するために先端部から吐出させ得る容器本体と、この容器本体が前記先端部を外方に露出させた使用状態及び前記先端部を密閉する密閉状態を取り得るように前記容器本体に対し着脱可能に設けられるキャップとを具備してなる塗布用容器であって、前記キャップが、形状が変形不能に保持されたキャップ本体と、このキャップ本体の内方に位置付けられ前記容器本体の先端部を密閉する内筒と、キャップ本体に設けられ前記容器本体側に係り合う係合面と、前記キャップ本体に設けられ当該キャップ本体に対して姿勢変更することにより
前記容器本体の係合部を弾性変形させて前記容器本体との係り合いを解除し得る操作部とを有することを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、密閉状態から使用状態へとすべくキャップを容器本体から取り外す際に塗布用容器を触れることなく係り合いを解除することができるので、容器本体を誤って押圧してしまい不要に液状物を吐出させてしまうという可能性を有効に排除することができる。これにより、キャップへの操作後、速やかに液状物を先端部から吐出させて使用することが可能となる。すなわち本発明によれば、液状物を安定して収容しつつ、容易且つ速やかに使用し得る塗布用容器を提供することができる。
【0010】
加えて、密閉状態で容器本体を倒立状態とし得る構成とすれば、キャップへの操作後倒立状態にある容器本体の先端部から速やかに下方に溜まった液状物を吐出させることができる。これにより、液状物の粘性等により容器本体内を液状物が上下動するのに要する時間に関係無く、速やかに液状物を先端部から吐出させて使用することが可能となる。
【0011】
また、操作部の操作による速やかな上記係り合いの解除を実現するためには、容器本体を操作部の動作によりキャップとの係り合いを解除し得る係合部を有するものとし、この係合部に操作部に加わる操作力をキャップと容器本体との離間方向への押圧力に変換する動作変換面を設けておく事が望ましい。
【0012】
また、動作変換面の動作を正確に実現し得る構成として、容器本体に、離間方向への動作を案内すべくキャップに摺動する案内部を設けた構成を挙げることができる。
【0013】
また、使用状態から密閉状態へのキャップの装着を容易なものとするためには、キャップに、使用状態にある容器本体の係合部に当接したときに当該係合部を係合面へ向けて案内する案内面を設ける事が望ましい。
【0014】
液状物の不要な乾燥や漏れを有効に防ぎ得る密閉状態を実現する構成として、容器本体に、内筒に内側から嵌り得る気密部を設けた構成とすることが望ましい。
【0015】
そして上述した塗布用容器は、液状物が糊又は接着剤であり、容器本体が液状物を吐出するための開口を有し、この開口に設けられた液状物を通過させ得る通過シートを介して吐出される態様としたときに有効に利用することができる。
【0016】
加えて本発明に好適に適用し得る接着剤の粘度は500cps〜30000cpsが望ましく、さらに望ましい粘度としては1000cps〜10000cpsであるものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、液状物を安定して収容しつつ、容易且つ速やかに使用し得る塗布用容器を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
本実施形態に係る塗布用容器は、液状物である糊gを貯留するボトル10と、このボトル10のうち外方に露出した少なくとも一部を押圧し変形させることにより内包した糊gを塗布するためにこのボトル10の先端側に取り付けられ糊gを塗布し得る先端部Xを有するノズル2とを有する容器本体1と、この容器本体1が先端部Xを外方に露出させた使用状態(Q)及び先端部Xを密閉する密閉状態(P)を取り得るように容器本体1に対し着脱可能に設けられるものであり密閉状態(P)で底面を接地させることにより容器本体1を先端部Xを下方に位置付けた倒立姿勢とし得るキャップ3とを具備してなるものである。
【0021】
本実施形態では、塗布用容器の内容物である液状物として、主に紙類同士を止着することにより封筒の封緘や紙類を用いた工作を好適に行い得る、いわゆる「水糊」と呼ばれる糊gを使用している。この糊gは、粘度が500cps〜30000cpsであるか、より具体的には1000cps〜10000cpsに設定されることにより、塗布後の液だれが有効に抑えられるという特性と、ボトル10内での移動に際し、粘度に起因して若干の時間を要してしまうという特性とを併せ持つ。
【0022】
ここで、本実施形態に係る塗布用容器は、キャップ3が、形状が変形不能に保持されたキャップ本体たる外筒31と、このキャップ3本体の内方に位置付けられ容器本体1の先端部Xを密閉する内筒34と、外筒31に設けられ容器本体1側に係り合う係合面たる爪受け面32aと、キャップ3本体に設けられ当該キャップ3本体に対して姿勢変更することにより容器本体1との係り合いを解除し得る操作部たる操作板33とを有することを特徴とする。
【0023】
以下、本実施形態に係る塗布用容器の具体的な構成について詳述する。
【0024】
塗布用容器は、上述した通り、糊gを貯留した容器本体1と、容器本体1の先端部Xを密閉するためキャップ3とを有している。
【0025】
容器本体1は、ボトル10と、ノズル2とを有している。ボトル10は、例えば弾性変形可能であり、且つ内部の糊gの残量が外方から視認し得るよう透明又は半透明の樹脂素材により一体成形されている。このボトル10は、下端をノズル2にねじ込むための雄ねじ面10aと、横方向から使用者が掴みやすいように設けられた凹み10bと、上端を部分球状に膨出させた頂面10cとを有している。この頂面10cの形状により、容器本体1はノズル2を上側にして自立することが出来ない構成となっている。また勿論、ボトル10の外側には別途糊gの残量を視認し易くするための目盛りや、他の必要事項等が印刷されたフィルムを被覆しても良く、またボトル10において例えば雄ねじ面10aの部位の樹脂素材の厚みを大きくすることにより他の部位よりも変形し難く構成する等、詳細な仕様は既存の種々のものと適用し得る。以下、キャップ3及びノズル本体20の構成について説明していく。
【0026】
キャップ3は、
図3〜
図5に示すように、樹脂の一体成形によって形成された外形が概略円筒形状をものであり、底面39を接地させた状態で各構成要素が上方及び側方に露出する形状をなす。またキャップ3は、ノズル本体20を平面方向で互いに180°異なる2つ向きの何れであってもノズル本体20と係り合う密閉状態(P)を構成し得る。このキャップ3は、当該キャップ3の外形を形成するキャップ本体たる外筒31と、外筒31において対向する2箇所に形成された開口である係合窓32と、この係合窓32内に突出するように外筒31に一体に弾性変形可能に形成された操作板33と、ノズル2の先端部Xを密閉した状態で収容するための内筒34と、キャップ3装着するときにノズル2を案内するための案内面たる案内スロープ35と、係合窓32と内筒34との間に形成された爪収容穴36とを有している。
【0027】
キャップ本体たる外筒31は、底面39へ漸次径を広げながら接続することで載置時の安定性と持ち易さの向上を併せて実現したフランジ31aと、操作板33及び係合窓32を設けた位置から平面視90°異ならせた位置を凹ませて設けた凹み面31bと、脱着時にノズル本体20に摺接する内壁面31cとを有している。
【0028】
係合窓32は、外筒31における両側2箇所を切り欠いて設けたものであり、ノズル本体20側の係合爪22に係り合うべく下向きに面した爪受け面32aを上端に有している。
【0029】
操作板33は、係合窓32の内側を埋めるように板状に成形したものである。この操作板33は、樹脂素材を薄く構成することにより弾性変形し得る弾性板33cと、弾性板33cの先端側において手指により外方から押圧し易いよう適宜凹ませた操作面33aと、操作面33aの裏面側でノズル本体20を押圧するための押圧面33bとを有している。
【0030】
内筒34は、外筒31よりも内側において平面視の外形を円形状としつつ、底面側を先端部Xの形状に応じた四角形状としたものである。この内筒34は、平面視外側へ向けて立設し内筒34自体の強度を保つための補強リブ34aと、内筒34の内側の上面においてノズル本体20の回転を許容するとともにノズル本体20に接して先端部Xを密閉する円周面34bと、円周面34bの下方において先端部Xの形状に応じるように形成された四角面34c及び四角底面34eと、円周面34bと四角面34cとを滑らかに連続させるように形成した連続面34dと、先端部Xの周囲を気密状態とすべく円周面34bから内方にリング状に突出させて設けたリング状リブ34fとを有している。また上記補強リブ34aは上記内筒34自体の補強のみならず、外方から操作板33を当接させることより当該操作板33の動作終端を決めるためにも機能する。これにより操作板33の特に弾性板33cの過度の弾性変形及びその繰り返しによる樹脂素材の不要な疲労を回避することができる。
【0031】
案内スロープ35は、
図4に示すように、ノズル本体20を正確に密閉状態(P)とし得る位置に案内し、位置付けるために、同図の図示で上下対照形状に形成されたものである。この案内スロープ35は、使用状態(Q)にある容器本体1の係合部たる係合爪22に当接したときに係合爪22を爪受け面32aへ向けて案内すべくノズル本体20側の平面方向の向きを案内するための案内面たる回転案内面35aとこれら回転案内面35a間に介在し、ノズル本体20を案内する方向を決定づけるための境界面35bとを有している。回転案内面35aは外筒31の凹み面31bを設けた位置の内側にそれぞれ対をなして左右対称に設けたものである。この案内スロープ35は、境界面35bにおいてはなだらかに湾曲した形状をなして上方へ突出し、それぞれ爪受け面32aに近くなるにつれて漸次高さ寸法が低くなるように断面視山形に設定してある。これにより、ノズル本体20の係合爪22がそれぞれ案内スロープ35に接したとき、ノズル本体20はキャップ3に対して相対的に回転しながら密閉状態(P)まで案内される。
【0032】
爪収容穴36は、係合窓32の内側に形成された係合爪22を内筒34の外側で収容するためのものである。この爪収容穴36は、上述した案内スロープ35に連続する爪収容面36aを対面するように形成している。そして密閉状態(P)では、この爪収容面36aに挟み込まれるように係合爪22が収容される。
【0033】
ノズル2は、
図6〜
図16に示すように、ボトル10の先端側にねじ止めされ、ボトル10内の糊gを塗布するためのものである。このノズル2は、ボトル10にねじ止めされるノズル本体20と、ノズル本体20の先端から露出するメッシュ5と、メッシュ5を裏側から押圧しメッシュ5が先端側に露出する形状を形作る裏当体4とを有している。
【0034】
ノズル本体20は、雌ねじ部20aでボトル10に直接接続して取り付けられるとともに、平面視中央で先端側へ突出する角筒体21と、角筒体21の両側から対をなして突出する係合部たる係合爪22と、係合爪22が退避した箇所に立設されキャップ3側に接し得る離間案内リブ23と、キャップ3の内筒34に嵌り込むことで密閉状態(P)としたとき先端部Xを気密に保つための気密部24とを有している。
【0035】
角筒体21は、先端へ向けて概略直方体状に突出するように形成されたものであり、先端縁にてメッシュ5を露出させて糊gを吐出するために設けた開口21aと、内部に裏当体4に密着させるための内面21bと、開口21a近傍における4箇所で内法寸法を小さく設定すべく内方へ突出させることで、、メッシュ5及び裏当体4を強く係り合わせるための挟持リブ21cとを有している。
【0036】
係合爪22は、容器本体1が操作部たる操作板33の動作によりキャップ3との係り合いを解除し得る係合部に相当するものである。この係合爪22は、キャップ3の爪受け面32aに当接して密閉状態(P)を構成し得る引掛面22aと、操作板33の押圧面33bに押圧され先端へ向かってキャップ3から遠ざかるよう傾斜した向きに面するテーパ面22bと、引っ掛け面の基端側を退避させ離間案内リブ23を位置付けた退避縁22cとを有している。そして上記テーパ面22bは、操作板33に加わる操作力をキャップ3と容器本体1との離間方向への押圧力に変換する動作変換面として機能する。
【0037】
離間案内リブ23は、密閉状態(P)で常に外筒31の内壁面31cに当接する離間案内面23aを有することで、キャップ3の装着時のノズル2自体のがたつきを防止するとともに、キャップ3を取り外す際の容器本体1の動作方向を上下方向に案内するためのものである。すなわち離間案内リブ23が、容器本体1がキャップ3からの離間方向への動作を案内すべくキャップ3に摺動する案内部に相当する。
【0038】
気密部24は、角筒体21の基端から円柱状に突出することで、密閉状態(P)で内筒34の円周面34bの、特に当該円周面34bに設けたリング状リブ34fに内側から嵌りつつ押圧することにより、当該気密部24よりも先端側を気密状態に保つためのものである。
【0039】
裏当体4は、ノズル本体20の内面21b側から嵌め込む事によってメッシュ5を挟み込み、固定するためのものである。この裏当体4は、基端側において円盤状をなし、ねじ止めされるボトル10の先端縁に押圧されてなる基端面板41と、角筒体21の内面21bに摺接しながら取り付けられる摺接管42と、角筒体21の開口21aから更に先端側に突出する突出管43と、この突出管43から外方に拡開し、メッシュ5を裏面側から押圧して先端部Xを形成する裏当板6とを有している。
【0040】
基端面板41は、摺接管42の基端縁から平面視円形状に形成されており、その縁部が、ボトル10とノズル本体20との間に挟み込まれることによって、ノズル本体20に対し内面21b側から密着し得るものである。
【0041】
摺接管42は、角筒体21の基端側におけるおよそ半分程度の領域で角筒体21の内面21bに密着する密着面44と、この密着面44から先端側における角筒体21の先端よりの位置で密着面44よりも若干寸法退避することによりメッシュ5の縁部を収容するための隙間を形成する布収容面45と、角筒体21のオーバーハング部から開口21aに亘る位置をメッシュ5を挟んだ状態で押圧すべく外方に突出させた第一止着リブ46及び第二止着リブ47とを有している。
【0042】
突出管43は、角筒体21の挟持リブ21cの内法寸法と略等しい径に設けられることにより、開口21aとの間でメッシュ5を挟み込みつつ開口21aよりも先端側へ突出する形状をなす。メッシュ5を組み付けた状態において、当該突出管43の外側とメッシュ5との間の先端側では、僅かながらの空間が形成され、当該空間にも使用時には若干量の糊gが貯留されるようになっている。
【0043】
裏当板6は、裏当体4の先端において平面視矩形すなわち四角形状、具体的には平面視正方形状に面する概略平面板状のものであり、開口21a並びに突出管43よりも平面視大きい寸法であり且つ一部が開口21aの内法寸法よりも大きな外法寸法を有するように設定してある。これにより、裏当板6が開口21aよりも平面視で突出する箇所が、使用者からの視認性も良く、且つ、精密な糊gの塗布を行い得る。この裏当板6は、摺接管42から突出管43を通過した糊gを外方へ吐出させるために設けた複数の孔である吐出口61と、平面視四角形状の四隅を構成するそれぞれの隅部分を挟むように対をなして形成された合計8本のスリット62と、このスリット62近傍に弾性変形可能に設けられ突出端を開口21aよりも平面視迫り出して位置付けた迫り出し縁65とした弾性片63と、平面視の四辺においてメッシュ5を側面視屈曲させた状態で突出させることにより裏当てる稜線64とを有している。また本実施形態ではスリット62を、弾性片63を挟むように当該弾性片63毎に対をなして設けて当該弾性片63の弾性変形が起こり易くするとともに、このスリット62の一部から液状物たる糊gを通過させ得る形状をなす。具体的に説明すると本実施形態ではスリット62の一部が裏当体4の内面4aに連通することによって、突出管43を通った糊gは吐出口61のみならず、スリット62を介しても吐出されるようにしている。
【0044】
しかして本実施形態では、容器本体1のノズル本体20が液状物を吐出するための開口21aを有し、この開口21aに設けられた液状物たる糊gを通過させ得る通過シートたるメッシュ5を介して吐出されるように構成している。そして、ノズル本体20、メッシュ5及び裏当体4が協働することにより、開口21aからさらに先端側へ突出して液状物たる糊gを全体から吐出し得る形状が保持された先端部Xを構成している。すなわち、裏当板6が開口21aの内法寸法よりも大きく設定されていることにより、ノズル本体20、メッシュ5及び裏当体4が協働することにより少なくとも一部が開口21aから平面視迫り出している先端部Xが形成されている。また先端部Xは、平面視多角形状をなす側面視平面状の裏当板6の形状に伴い、当該形状をなす塗布面5aを形成している。そして本実施形態では、裏当板6の迫り出し縁65が、メッシュ5とともに周囲よりも平面視突出した角部を構成している。
【0045】
ここで、本実施形態に係る塗布用容器は
図11〜
図13に示すように、例えば机上面に底面39を載置した密閉状態(P)から、容器本体1にほとんど触れることなくキャップ3側を操作するのみで使用状態(Q)とすることができる。これにより、斯かる操作の際に容器本体1を不要に押圧して糊gを不要に吐出させてしまうことがない。
【0046】
まず、机上面に載置した状態にある
図11の状態から
図12に示すように操作板33の操作面33aを外方から、例えば手指により押圧すると、操作板33の押圧面33bが係合爪22の動作変換面たるテーパ面22bを押圧する。このとき、係合爪22は弾性変形によって引掛面22aと爪受けとの係り合いを解除しつつ、テーパ面22bが傾斜していることから容器本体1は操作面33aの押圧により上方へ付勢される。ここで、離間案内リブ23がキャップ3本体たる外筒31の内壁面31cにつねに摺接することにより、容器本体1は操作板33に押圧されることで上方へ案内され、なんら触れられることなく使用状態(Q)となる。
【0047】
そして使用状態(Q)にある容器本体1を例えば机上面等の平面上に載置されたキャップ3により先端部Xを封止すべく密閉状態(P)とするときは、先端部Xをキャップ3の内筒34に差し込むようにすれば良い。そうすれば対をなす係合爪22はそのまま爪収容穴36へ収容されれば自ずと係合爪22及び係合窓32間の係り合いが実現される。また係合爪22が爪収容穴36に収容され得ない向きで容器本体1を差し入れた場合であっても係合爪22は案内スロープ35によりスムーズに爪収容穴36へ案内される。
【0048】
また、使用状態(Q)とした容器本体1は上述の通り、開口21aからさらに先端側へ突出して液状物たる糊gを全体から吐出し得る形状が保持された先端部Xを構成している。ここで、この先端部Xは、上述した裏当板6の構成から、開口21a並びに突出管43よりも平面視大きい寸法であり且つ一部が開口21aの内法寸法よりも大きな外法寸法を有するように設定してある。ここで
図14及び
図15に示すように、当該先端部Xを組み立てる際には裏当板6が角筒体21を通過し得ない外形を有するところ、本実施形態では裏当板6にスリット62を設けることで迫り出し縁65を有する弾性片63を、組み付け時に弾性変形させることにより、先端部Xの組付けを可能としている。
【0049】
すなわち
図14に示すように、先端部Xを組み付ける際にはメッシュ5を挟んだ状態でノズル本体20mにおける角筒体21の内面21bを通過させることとなる。そして
図15に示すように、ノズル本体20の挟持リブ21cを裏当板6が通過する際には弾性片63が開口部21aに当接し挟持リブ21cの間の角部分を通過するときに弾性変形する事により迫り出し縁65が一時的に退避する。これにより、裏当板6は挟持リブ21cを容易に通過することができ、
図3、
図6〜
図8、
図11〜
図13及び
図16に示すように、開口21aから平面視迫り出した形状をなす先端部Xが、ノズル本体20、メッシュ5及び裏当体4が協働することにより形成される。
【0050】
そして
図16に示すように、先端部Xに設けたスリット62は裏当体4の内面4aに連通している。これにより糊gは吐出口61のみならずスリット62を介しても吐出される。その結果、迫り出し縁65、すなわち、平面視四角形状の頂点付近からも有効に糊gを塗布し得るようになっている。また同図に示すように、吐出口61やスリット62から吐出される糊gはメッシュ5を介してスリット62内やメッシュ5及び突出管43の間に一時的に貯留される。これにより、先端部Xの角部である迫り出し縁65、稜線64からは、これら貯留された糊gが優先的に塗布されるので、使用者は迫り出し縁65、稜線64を用いた精密な塗布を、吐出口61から吐出される糊gによる塗布同様、快適に行い得る。
【0051】
以上のような構成とすることにより、本実施形態に係る塗布用容器は、操作部タル操作板33をキャップ3側に設けることによって、密閉状態(P)から使用状態(Q)へとすべくキャップ3を容器本体1から取り外す際に塗布用容器を触れることなく係り合いを解除することができるので、容器本体1を誤って押圧してしまい不要に液状物を吐出させてしまうという可能性を有効に排除せしめている。これにより、糊gの粘性等により容器本体1内を液状物が上下動するのに要する時間に関係無く、キャップ3への操作後、速やかに糊gを先端部Xから吐出させて使用することが可能となる。すなわち本発明によれば、容物を安定して収容しつつ、容易且つ速やかに使用し得る塗布用容器を実現している。
【0052】
特に本実施形態では、密閉状態(P)で容器本体1を倒立状態とし得る構成としているので、キャップ3への操作後倒立状態にある容器本体1の先端部Xから速やかに下方に溜まった糊gを吐出させることができる。これにより、糊gの粘性等により容器本体1内を液状物が上下動するのに要する時間に関係無く、速やかに糊gを先端部Xから吐出させて使用することが可能となっている。
【0053】
また本実施形態では、操作板33の操作による速やかな上記係り合いの解除を実現するため、容器本体1を操作板33の動作によりキャップ3との係り合いを解除し得る係合部たる係合爪22を有するものとし、この係合爪22に操作板33に加わる操作力をキャップ3と容器本体1との離間方向への押圧力に変換する動作変換面たるテーパ面22bを設けている。
【0054】
また、テーパ面22bの動作を正確に実現し得る構成として本実施形態では、容器本体1に、離間方向への動作を案内すべくキャップ3に摺動する案内部たる離間案内リブ23を設けている。
【0055】
また、使用状態(Q)から密閉状態(P)へのキャップ3の装着を容易なものとするために本実施形態では、キャップ3に、使用状態(Q)にある容器本体1の係合部に当接したときに当該係合部を係合面たる爪受け面32aへ向けて案内する案内面たる案内スロープ35を設けている。
【0056】
糊gの不要な乾燥や漏れを有効に防ぎ得る密閉状態(P)を実現する構成として本実施形態では、容器本体1に、内筒34に内側から嵌り得る気密部24を設けた構成としている。
【0057】
そして上述した本実施形態に係る塗布用容器は、液状物を糊g又は接着剤としている場合、容器本体1が液状物を吐出するための開口21aを有し、この開口21aに設けられた糊g等を通過させ得る通過シートたるメッシュ5を介して吐出される態様としたときに有効に利用することができる。
【0058】
そして、本実施形態では液状物としての糊gの粘度を500cps〜30000cpsであるか、より具体的には1000cps〜10000cpsとしておく事で、容易且つ安定した塗布が実現されている。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では、使用者の押圧動作によって操作し得る態様を開示したが、勿論、キャップ本体とは別体に構成された部材をスライド移動や、回転動作等による操作によってキャップと容器本体との係り合いを解除し得るようにしたものであってもよい。また上記実施形態では平面視正方形状をなす先端部を形成したことに応じるように、ボトルの凹み(10b)をさらに大きくしてボトルの平面視形状をも四角形とし、先端部が平面視正方形状であることを使用者に想起させ易く構成しても良い。加えてボトルの頂面(10c)は上記実施形態では部分球状に膨出させた形状としたが勿論、平面状に形成しても良い。また容器本体やノズルの先端部の具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0061】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。