特許第6540002号(P6540002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6540002
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】塗布用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/42 20060101AFI20190628BHJP
   B05C 17/00 20060101ALI20190628BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20190628BHJP
   B43M 11/00 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   B65D47/42
   B05C17/00
   B65D83/00 J
   B43M11/00 B
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-245667(P2014-245667)
(22)【出願日】2014年12月4日
(65)【公開番号】特開2016-108007(P2016-108007A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年11月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】椿 裕尊
(72)【発明者】
【氏名】嶋 秀人
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−123305(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0301765(US,A1)
【文献】 実公昭34−017767(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44−35/54
B65D 39/00−55/16
B43M 1/00−99/00
B65D 83/00
B65D 83/08−83/76
B05C 7/00−21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
糊又は接着剤である液状物を貯留するボトルと、このボトルの先端側に取り付けられ前記液状物を塗布し得るノズルとを有する塗布用容器であって、
前記ノズルが、前記液状物を通過させるための開口と、この開口からさらに先端側へ突出して前記液状物を全体から吐出し得る形状が保持された先端部とを有するものであり、
この先端部が、平面視周囲よりも突出した少なくとも一の角部を有しており、
前記先端部が、前記開口よりも先端側に突出した位置で前記液状物を通過させ得る通過シートと、この通過シートの裏面側から当接する形状が保持された裏当板とを有しており、
前記裏当板が弾性片を有しており、前記弾性片の先端に前記開口よりも平面視迫り出して突出端が位置付けられた迫り出し縁が形成され、
前記迫り出し縁により前記角部を構成させていることを特徴とする塗布用容器。
【請求項2】
前記角部が、側面視周囲よりも突出した形状をなす請求項1記載の塗布用容器。
【請求項3】
前記先端部が、側面視周囲よりも突出した稜線を有している請求項2記載の塗布用容器。
【請求項4】
前記先端部の外法寸法を前記開口の内法寸法よりも大きく設定することにより前記先端部の少なくとも一部が前記開口から平面視迫り出している請求項1、2又は3記載の塗布用容器。
【請求項5】
前記先端部が、平面視多角形状をなすものである請求項1、2、3又は4記載の塗布用容器。
【請求項6】
前記裏当板が、縁部を切り欠いて設けたスリットと、このスリットの近傍に設けられ弾性変形可能に形成された前記弾性片とを有している請求項1、2、3、4又は5記載の塗布用容器。
【請求項7】
前記スリットが、前記弾性片を挟むように設けられ、前記液状物を通過させ得る形状をなす請求項6記載の塗布用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状物を塗布するための容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粘性を有した液状又はゲル状をなす糊や接着剤といった液状物を塗布するための塗布用容器が提案されている。これらの塗布用容器の中で、糊や接着剤を塗布する作業を容易なものとするため、糊や接着剤を収容しているボトルの先端から糊や接着剤が徐々に吐出されるよう、ボトルの先端に繊維状のシートを配し、このシートから糊や接着剤が徐々に漏れ出すようにすることで、糊や接着剤が不要に吐出されずに所要量だけ吐出されるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、事務用途や家庭での糊や接着剤の使用において、糊付け又は接着する位置や範囲を精密に設定することで、当該位置をより正確なものとしたり、使用後の使用箇所の見栄えを良くしたりしたいという要望が挙がっている現状がある。
【0004】
しかしながら上述したような液状の糊や接着剤に対しては、ボトルの先端におけるシートが所定形状をなす開口内に平面状に露出しているので、糊付けする対象面には一度に露出したシートの全面を密着させなければならない。またシートが開口から先端側へ緩やかに膨出しているものもあるが、糊や接着剤を対象面に確実に塗布するためにはシートを対象面に押圧しなければならず、結果としてシートの寸法よりも小さい領域を塗布することが困難である。
【0005】
一方、対象面の所要の領域に精密に糊を塗布する事に着目すれば、固形状をなす糊の先端部分を利用して塗布することも考えられる。しかし固形状の糊の場合、塗布を継続すれば糊の形状自体がすり減ることにより変形してしまうため、持続的に精密な塗布を継続することは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−227818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような点に着目したものであり、所要の領域に継続して正確に糊又は接着剤の塗布を行い得る塗布用容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る塗布用容器は、糊又は接着剤である液状物を貯留するボトルと、このボトルの先端側に取り付けられ前記液状物を塗布し得るノズルとを有する塗布用容器であって、前記ノズルが、前記液状物を通過させるための開口と、この開口からさらに先端側へ突出して前記液状物を全体から吐出し得る形状が保持された先端部とを有するものであり、この先端部が、平面視周囲よりも突出した少なくとも一の角部を有しており、前記先端部が、前記開口よりも先端側に突出した位置で前記液状物を通過させ得る通過シートと、この通過シートの裏面側から当接する形状が保持された裏当板とを有しており、前記裏当板が弾性片を有しており、前記弾性片の先端に前記開口よりも平面視迫り出して突出端が位置付けられた迫り出し縁が形成され、前記迫り出し縁により前記角部を構成させていることを特徴とする。
【0009】
ここで当該「角部」とは、必ずしも鋭利な形状を有するものにかぎられずにアールが形成されたものであってもよく、液状物を平面によって塗布する場合に比べて、突出することで小さい範囲への塗布が行い得る程度に周囲よりも突出した形状を有するものであればよい。また「形状が保持された」とは、必ずしも形状が全く異ならない態様に限られる事はなく、例えば表面が塗布時の押圧やそれに伴う液状物の吐出によって若干の弾性変形を伴うようなものであっても良い。
【0010】
このようなものであれば、先端部に設けられた角部を利用することで、液状物を塗布する面積を使用者の意図により小さくすることで、液状物を塗布する領域を使用者の意図に応じて精密に設定が可能となる。特に本発明によれば角部を積極的に利用することで、液状物を塗布したい対象物の形状に角が存在していても当該角の形状に沿って糊又は接着剤である液状物を、塗布を行う対象面へ精密且つ正確な塗布を行うことが可能となる。これにより、対象物の形状に拘わらず、縁部まで塗り残しなく塗布をすることができ、塗布後に対象物が剥がれ難いように正確な塗布が実現される。また先端部の形状が保持されたことにより、継続した使用によっても形状が保たれるため、使用者は塗布する領域を継続して精密に設定することができる。すなわち本発明によれば、所要の領域に継続して正確に糊又は接着剤の塗布を行い得る塗布用容器を提供することが可能となる。
また、先端部が、開口よりも先端側に突出した位置で液状物を通過させ得る通過シートと、この通過シートの裏面側から当接する形状が保持された裏当板とを有しているので、液状物の安定した吐出と先端部の形状の安定した維持とを両立させ得る。「形状が保持された」とは、必ずしも形状が全く異ならない態様に限られる事はなく、例えば表面が塗布時の押圧やそれに伴う液状物の吐出によって若干の弾性変形を伴うようなものであっても良い。
【0011】
そして精密な塗布を容易に行い得る角部の具体的な構成として、当該角部が、側面視周囲よりも突出した形状をなす構成を挙げることができる。
【0012】
そして、先端部側面視周囲よりも突出した稜線を有しているものであれば、掛かる稜線を利用して塗布する液状物の太さ、換言すれば巾寸法を使用者の意図により設定し易いものとなる。
【0013】
また、使用者が精密な塗布を行い易くするための構成として、先端部の外法寸法を開口の内法寸法よりも大きく設定することにより先端部の少なくとも一部が開口から平面視迫り出している構成を挙げることができる。
【0014】
使用者にとって違和感無く使用し得る先端部の形状の一例として、先端部が、平面視多角形状をなすものを挙げることができる。
【0016】
使用者にとって使い易いように先端部を形成することと、製造時の先端部の組み付けをより行い易いようにすることを両立させるために構成として、前記裏当板が縁部を切り欠いて設けたスリットと、このスリットの近傍に設けられ弾性変形可能に形成された弾性片とを有している構成を挙げることができる。斯かる構成により、組み付け時には弾性片が弾性変形を伴って開口を容易に通過できる。
【0017】
また、裏当板の組み付けをより簡便なものとしつつ視認性に優れ且つ塗布面積を大きくした平面視大きな先端部が形成でき、且つ開口から液状物をくま無く吐出させ得る構成として、スリットが、弾性片を挟むように設けられ当該弾性片の先端に開口よりも平面視迫り出して突出端が位置付けられた迫り出し縁が形成されるとともに、液状物を通過させ得る形状をなす構成を挙げることができる。特にこの弾性片及び迫り出し縁を利用して上記角部を構成すれば、当該角部を平面視鋭角に形成することができ、その結果、塗布対象面に角が有る場合であってもくま無く正確な塗布が実現し得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、糊又は接着剤の塗布を所要の領域に継続して正確に行い得る塗布用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る外観図。
図2】同正面図。
図3】同他の外観図。
図4】同実施形態に係るキャップの平面図。
図5】同キャップの中央側断面図。
図6】同実施形態に係るノズルの正面から見た外観図。
図7】同ノズルの側面から見た外観図。
図8】同ノズルの底面図。
図9】同ノズルを分解して示す構成説明図。
図10】同ノズルを構成する裏当体を示す構成説明図。
図11】同実施形態の要部を示す中央側断面図。
図12図11に係る動作説明図。
図13】同上。
図14図8のA−A線断面に係る動作説明図。
図15】同上。
図16図8のB−B線断面に係る作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
本実施形態に係る塗布用容器は、液状物である糊gを貯留するボトル10と、このボトル10のうち外方に露出した少なくとも一部を押圧し変形させることにより内包した糊gを塗布するためにこのボトル10の先端側に取り付けられ糊gを塗布し得る先端部Xを有するノズル2とを有する容器本体1と、この容器本体1が先端部Xを外方に露出させた使用状態(Q)及び先端部Xを密閉する密閉状態(P)を取り得るように容器本体1に対し着脱可能に設けられるものであり密閉状態(P)で底面を接地させることにより容器本体1を先端部Xを下方に位置付けた倒立姿勢とし得るキャップ3とを具備してなるものである。
【0022】
本実施形態では、塗布用容器の内容物である液状物として、主に紙類同士を止着することにより封筒の封緘や紙類を用いた工作を好適に行い得る、いわゆる「水糊」と呼ばれる糊gを使用している。この糊gは、粘度が500cps〜30000cpsであるか、より具体的には1000cps〜10000cpsに設定されることにより、塗布後の液だれが有効に抑えられるという特性と、ボトル10内での移動に際し、粘度に起因して若干の時間を要してしまうという特性とを併せ持つ。
【0023】
ここで、本実施形態に係る塗布用容器は、ノズル2が、液状物たる糊gを通過させるための開口21aと、この開口21aからさらに先端側へ突出して糊gを全体から吐出し得る形状が保持された先端部Xとを有するものであり、この先端部Xが、周囲よりも点状又は線状に突出した後述する角部を有していることを特徴とする。
【0024】
以下、本実施形態に係る塗布用容器の具体的な構成について詳述する。
【0025】
塗布用容器は、上述した通り、糊gを貯留した容器本体1と、容器本体1の先端部Xを密閉するためキャップ3とを有している。
【0026】
容器本体1は、ボトル10と、ノズル2とを有している。ボトル10は、例えば弾性変形可能であり、且つ内部の糊gの残量が外方から視認し得るよう透明又は半透明の樹脂素材により一体成形されている。このボトル10は、下端をノズル2にねじ込むための雄ねじ面10aと、横方向から使用者が掴みやすいように設けられた凹み10bと、上端を部分球状に膨出させた頂面10cとを有している。この頂面10cの形状により、容器本体1はノズル2を上側にして自立することが出来ない構成となっている。また勿論、ボトル10の外側には別途糊gの残量を視認し易くするための目盛りや、他の必要事項等が印刷されたフィルムを被覆しても良く、またボトル10において例えば雄ねじ面10aの部位の樹脂素材の厚みを大きくすることにより他の部位よりも変形し難く構成する等、詳細な仕様は既存の種々のものと適用し得る。以下、キャップ3及びノズル本体20の構成について説明していく。
【0027】
キャップ3は、図3図5に示すように、樹脂の一体成形によって形成された外形が概略円筒形状をものであり、底面39を接地させた状態で各構成要素が上方及び側方に露出する形状をなす。またキャップ3は、ノズル本体20を平面方向で互いに180°異なる2つ向きの何れであってもノズル本体20と係り合う密閉状態(P)を構成し得る。このキャップ3は、当該キャップ3の外形を形成するキャップ本体たる外筒31と、外筒31において対向する2箇所に形成された開口である係合窓32と、この係合窓32内に突出するように外筒31に一体に弾性変形可能に形成された操作板33と、ノズル2の先端部Xを密閉した状態で収容するための内筒34と、キャップ3装着するときにノズル2を案内するための案内面たる案内スロープ35と、係合窓32と内筒34との間に形成された爪収容穴36とを有している。
【0028】
キャップ本体たる外筒31は、底面39へ漸次径を広げながら接続することで載置時の安定性と持ち易さの向上を併せて実現したフランジ31aと、操作板33及び係合窓32を設けた位置から平面視90°異ならせた位置を凹ませて設けた凹み面31bと、脱着時にノズル本体20に摺接する内壁面31cとを有している。
【0029】
係合窓32は、外筒31における両側2箇所を切り欠いて設けたものであり、ノズル本体20側の係合爪22に係り合うべく下向きに面した爪受け面32aを上端に有している。
【0030】
操作板33は、係合窓32の内側を埋めるように板状に成形したものである。この操作板33は、樹脂素材を薄く構成することにより弾性変形し得る弾性板33cと、弾性板33cの先端側において手指により外方から押圧し易いよう適宜凹ませた操作面33aと、操作面33aの裏面側でノズル本体20を押圧するための押圧面33bとを有している。
【0031】
内筒34は、外筒31よりも内側において平面視の外形を円形状としつつ、底面側を先端部Xの形状に応じた四角形状としたものである。この内筒34は、平面視外側へ向けて立設し内筒34自体の強度を保つための補強リブ34aと、内筒34の内側の上面においてノズル本体20の回転を許容するとともにノズル本体20に接して先端部Xを密閉する円周面34bと、円周面34bの下方において先端部Xの形状に応じるように形成された四角面34c及び四角底面34eと、円周面34bと四角面34cとを滑らかに連続させるように形成した連続面34dと、先端部Xの周囲を気密状態とすべく円周面34bから内方にリング状に突出させて設けたリング状リブ34fとを有している。また上記補強リブ34aは上記内筒34自体の補強のみならず、外方から操作板33を当接させることより当該操作板33の動作終端を決めるためにも機能する。これにより操作板33の特に弾性板33cの過度の弾性変形及びその繰り返しによる樹脂素材の不要な疲労を回避することができる。
【0032】
案内スロープ35は、図4に示すように、ノズル本体20を正確に密閉状態(P)とし得る位置に案内し、位置付けるために、同図の図示で上下対照形状に形成されたものである。この案内スロープ35は、使用状態(Q)にある容器本体1の係合部たる係合爪22に当接したときに係合爪22を爪受け面32aへ向けて案内すべくノズル本体20側の平面方向の向きを案内するための案内面たる回転案内面35aとこれら回転案内面35a間に介在し、ノズル本体20を案内する方向を決定づけるための境界面35bとを有している。回転案内面35aは外筒31の凹み面31bを設けた位置の内側にそれぞれ対をなして左右対称に設けたものである。この案内スロープ35は、境界面35bにおいてはなだらかに湾曲した形状をなして上方へ突出し、それぞれ爪受け面32aに近くなるにつれて漸次高さ寸法が低くなるように断面視山形に設定してある。これにより、ノズル本体20の係合爪22がそれぞれ案内スロープ35に接したとき、ノズル本体20はキャップ3に対して相対的に回転しながら密閉状態(P)まで案内される。
【0033】
爪収容穴36は、係合窓32の内側に形成された係合爪22を内筒34の外側で収容するためのものである。この爪収容穴36は、上述した案内スロープ35に連続する爪収容面36aを対面するように形成している。そして密閉状態(P)では、この爪収容面36aに挟み込まれるように係合爪22が収容される。
【0034】
ノズル2は、図6図16に示すように、ボトル10の先端側にねじ止めされ、ボトル10内の糊gを塗布するためのものである。このノズル2は、ボトル10にねじ止めされるノズル本体20と、ノズル本体20の先端から露出するメッシュ5と、メッシュ5を裏側から押圧しメッシュ5が先端側に露出する形状を形作る裏当体4とを有している。
【0035】
ノズル本体20は、雌ねじ部20aでボトル10に直接接続して取り付けられるとともに、平面視中央で先端側へ突出する角筒体21と、角筒体21の両側から対をなして突出する係合部たる係合爪22と、係合爪22が退避した箇所に立設されキャップ3側に接し得る離間案内リブ23と、キャップ3の内筒34に嵌り込むことで密閉状態(P)としたとき先端部Xを気密に保つための気密部24とを有している。
【0036】
角筒体21は、先端へ向けて概略直方体状に突出するように形成されたものであり、先端縁にてメッシュ5を露出させて糊gを吐出するために設けた開口21aと、内部に裏当体4に密着させるための内面21bと、開口21a近傍における4箇所で内法寸法を小さく設定すべく内方へ突出させることで、、メッシュ5及び裏当体4を強く係り合わせるための挟持リブ21cとを有している。
【0037】
係合爪22は、容器本体1が操作部たる操作板33の動作によりキャップ3との係り合いを解除し得る係合部に相当するものである。この係合爪22は、キャップ3の爪受け面32aに当接して密閉状態(P)を構成し得る引掛面22aと、操作板33の押圧面33bに押圧され先端へ向かってキャップ3から遠ざかるよう傾斜した向きに面するテーパ面22bと、引っ掛け面の基端側を退避させ離間案内リブ23を位置付けた退避縁22cとを有している。そして上記テーパ面22bは、操作板33に加わる操作力をキャップ3と容器本体1との離間方向への押圧力に変換する動作変換面として機能する。
【0038】
離間案内リブ23は、密閉状態(P)で常に外筒31の内壁面31cに当接する離間案内面23aを有することで、キャップ3の装着時のノズル2自体のがたつきを防止するとともに、キャップ3を取り外す際の容器本体1の動作方向を上下方向に案内するためのものである。すなわち離間案内リブ23が、容器本体1がキャップ3からの離間方向への動作を案内すべくキャップ3に摺動する案内部に相当する。
【0039】
気密部24は、角筒体21の基端から円柱状に突出することで、密閉状態(P)で内筒34の円周面34bの、特に当該円周面34bに設けたリング状リブ34fに内側から嵌りつつ押圧することにより、当該気密部24よりも先端側を気密状態に保つためのものである。
【0040】
裏当体4は、ノズル本体20の内面21b側から嵌め込む事によってメッシュ5を挟み込み、固定するためのものである。この裏当体4は、基端側において円盤状をなし、ねじ止めされるボトル10の先端縁に押圧されてなる基端面板41と、角筒体21の内面21bに摺接しながら取り付けられる摺接管42と、角筒体21の開口21aから更に先端側に突出する突出管43と、この突出管43から外方に拡開し、メッシュ5を裏面側から押圧して先端部Xを形成する裏当板6とを有している。
【0041】
基端面板41は、摺接管42の基端縁から平面視円形状に形成されており、その縁部が、ボトル10とノズル本体20との間に挟み込まれることによって、ノズル本体20に対し内面21b側から密着し得るものである。
【0042】
摺接管42は、角筒体21の基端側におけるおよそ半分程度の領域で角筒体21の内面21bに密着する密着面44と、この密着面44から先端側における角筒体21の先端よりの位置で密着面44よりも若干寸法退避することによりメッシュ5の縁部を収容するための隙間を形成する布収容面45と、角筒体21のオーバーハング部から開口21aに亘る位置をメッシュ5を挟んだ状態で押圧すべく外方に突出させた第一止着リブ46及び第二止着リブ47とを有している。
【0043】
突出管43は、角筒体21の挟持リブ21cの内法寸法と略等しい径に設けられることにより、開口21aとの間でメッシュ5を挟み込みつつ開口21aよりも先端側へ突出する形状をなす。メッシュ5を組み付けた状態において、当該突出管43の外側とメッシュ5との間の先端側では、僅かながらの空間が形成され、当該空間にも使用時には若干量の糊gが貯留されるようになっている。
【0044】
裏当板6は、裏当体4の先端において平面視矩形すなわち四角形状、具体的には平面視正方形状に面する概略平面板状のものであり、開口21a並びに突出管43よりも平面視大きい寸法であり且つ一部が開口21aの内法寸法よりも大きな外法寸法を有するように設定してある。これにより、裏当板6が開口21aよりも平面視で突出する箇所が、使用者からの視認性も良く、且つ、精密な糊gの塗布を行い得る。この裏当板6は、摺接管42から突出管43を通過した糊gを外方へ吐出させるために設けた複数の孔である吐出口61と、平面視四角形状の四隅を構成するそれぞれの隅部分を挟むように対をなして形成された合計8本のスリット62と、このスリット62近傍に弾性変形可能に設けられ突出端を開口21aよりも平面視迫り出して位置付けた迫り出し縁65とした弾性片63と、平面視の四辺においてメッシュ5を側面視屈曲させた状態で突出させることにより裏当てる稜線64とを有している。また本実施形態ではスリット62を、弾性片63を挟むように当該弾性片63毎に対をなして設けて当該弾性片63の弾性変形が起こり易くするとともに、このスリット62の一部から液状物たる糊gを通過させ得る形状をなす。具体的に説明すると本実施形態ではスリット62の一部が裏当体4の内面4aに連通することによって、突出管43を通った糊gは吐出口61のみならず、スリット62を介しても吐出されるようにしている。
【0045】
しかして本実施形態では、容器本体1のノズル本体20が液状物を吐出するための開口21aを有し、この開口21aに設けられた液状物たる糊gを通過させ得る通過シートたるメッシュ5を介して吐出されるように構成している。そして、ノズル本体20、メッシュ5及び裏当体4が協働することにより、開口21aからさらに先端側へ突出して液状物たる糊gを全体から吐出し得る形状が保持された先端部Xを構成している。すなわち、裏当板6が開口21aの内法寸法よりも大きく設定されていることにより、ノズル本体20、メッシュ5及び裏当体4が協働することにより少なくとも一部が開口21aから平面視迫り出している先端部Xが形成されている。また先端部Xは、平面視多角形状をなす側面視平面状の裏当板6の形状に伴い、当該形状をなす塗布面5aを形成している。そして本実施形態では、裏当板6の迫り出し縁65が、メッシュ5とともに周囲よりも平面視点状又は線状に突出した、本発明に係る角部を構成している。
【0046】
ここで、本実施形態に係る塗布用容器は図11図13に示すように、例えば机上面に底面39を載置した密閉状態(P)から、容器本体1にほとんど触れることなくキャップ3側を操作するのみで使用状態(Q)とすることができる。これにより、斯かる操作の際に容器本体1を不要に押圧して糊gを不要に吐出させてしまうことがない。
【0047】
まず、机上面に載置した状態にある図11の状態から図12に示すように操作板33の操作面33aを外方から、例えば手指により押圧すると、操作板33の押圧面33bが係合爪22の動作変換面たるテーパ面22bを押圧する。このとき、係合爪22は弾性変形によって引掛面22aと爪受けとの係り合いを解除しつつ、テーパ面22bが傾斜していることから容器本体1は操作面33aの押圧により上方へ付勢される。ここで、離間案内リブ23がキャップ3本体たる外筒31の内壁面31cにつねに摺接することにより、容器本体1は操作板33に押圧されることで上方へ案内され、なんら触れられることなく使用状態(Q)となる。
【0048】
そして使用状態(Q)にある容器本体1を例えば机上面等の平面上に載置されたキャップ3により先端部Xを封止すべく密閉状態(P)とするときは、先端部Xをキャップ3の内筒34に差し込むようにすれば良い。そうすれば対をなす係合爪22はそのまま爪収容穴36へ収容されれば自ずと係合爪22及び係合窓32間の係り合いが実現される。また係合爪22が爪収容穴36に収容され得ない向きで容器本体1を差し入れた場合であっても係合爪22は案内スロープ35によりスムーズに爪収容穴36へ案内される。
【0049】
また、使用状態(Q)とした容器本体1は上述の通り、開口21aからさらに先端側へ突出して液状物たる糊gを全体から吐出し得る形状が保持された先端部Xを構成している。ここで、この先端部Xは、上述した裏当板6の構成から、開口21a並びに突出管43よりも平面視大きい寸法であり且つ一部が開口21aの内法寸法よりも大きな外法寸法を有するように設定してある。ここで図14及び図15に示すように、当該先端部Xを組み立てる際には裏当板6が角筒体21を通過し得ない外形を有するところ、本実施形態では裏当板6にスリット62を設けることで迫り出し縁65を有する弾性片63を、組み付け時に弾性変形させることにより、先端部Xの組付けを可能としている。
【0050】
すなわち図14に示すように、先端部Xを組み付ける際にはメッシュ5を挟んだ状態でノズル本体20mにおける角筒体21の内面21bを通過させることとなる。そして図15に示すように、ノズル本体20の挟持リブ21cを裏当板6が通過する際には弾性片63が開口部21aに当接し挟持リブ21cの間の角部分を通過するときに弾性変形する事により迫り出し縁65が一時的に退避する。これにより、裏当板6は挟持リブ21cを容易に通過することができ、図3図6図8図11図13及び図16に示すように、開口21aから平面視迫り出した形状をなす先端部Xが、ノズル本体20、メッシュ5及び裏当体4が協働することにより形成される。
【0051】
そして図16に示すように、先端部Xに設けたスリット62は裏当体4の内面4aに連通している。これにより糊gは吐出口61のみならずスリット62を介しても吐出される。その結果、迫り出し縁65、すなわち、平面視四角形状の頂点付近からも有効に糊gを塗布し得るようになっている。また同図に示すように、吐出口61やスリット62から吐出される糊gはメッシュ5を介してスリット62内やメッシュ5及び突出管43の間に一時的に貯留される。これにより、先端部Xの角部である迫り出し縁65、稜線64からは、これら貯留された糊gが優先的に塗布されるので、使用者は迫り出し縁65、稜線64を用いた精密な塗布を、吐出口61から吐出される糊gによる塗布同様、快適に行い得る。
【0052】
以上のように構成することにより、本実施形態に係る塗布用容器は、ノズル2の開口21aからさらに先端側へ突出して液状物を全体から吐出し得る形状が保持された先端部Xを有するものであり、この先端部Xが、周囲よりも平面視点状又は線状に突出した角部たる迫り出し縁65を利用することで、糊gを塗布する面積を使用者の意図により小さくするも可能となる。これにより糊gを塗布する領域を使用者の意図に応じて精密に設定することが可能となる。また先端部Xが形状が変形不能に保持されたことにより、継続した使用によっても形状が保たれるため、使用者は塗布する領域を継続して精密に設定することができる。すなわち本発明によれば、所要の領域に継続して正確に糊gの塗布を行い得る塗布用容器を実現している。
【0053】
また、使用者が精密な塗布を行い易くするための構成として、先端部Xの外法寸法を開口21aの内法寸法よりも大きく設定することにより先端部Xの少なくとも一部が開口21aから平面視迫り出している迫り出し縁65を設けている。
【0054】
そして、先端部Xが、稜線64を構成しているので、斯かる稜線64を利用して塗布する液状物の太さ、換言すれば巾寸法を使用者の意図により設定し易いものとなっている。
【0055】
加えて使用者にとって違和感無く使用し得る先端部Xの形状の一例として本実施形態では、先端部Xの平面視形状が多角形状をなすようにしている。
【0056】
糊gの安定した吐出と先端部Xの形状の安定した維持とを両立させ得る構成として本実施形態では、先端部Xが、開口21aよりも先端側に突出した位置で糊gを通過させ得る通過シートたるメッシュと、このメッシュの裏面側から当接する形状が変形不能に保持された裏当板6とを有している構成を適用している。
【0057】
使用者にとって使いやすいように先端部Xを形成することと、製造時の先端部Xの組み付けをより行い易いようにすることとを両立させるために構成として本実施形態では、裏当板6が縁部を切り欠いて設けたスリット62と、このスリット62近傍に位置付けられ弾性変形可能に設けられた弾性片63と、この弾性片63の先端において開口21aよりも平面視迫り出して位置付けられた迫り出し縁65とを有している構成を適用している。これにより、組み付け時には弾性片63が弾性変形を伴って開口21a、内面21b及び挟持リブ21c間を容易に通過でき、通過後は開口21aよりも平面視迫り出した迫り出し縁65が形成され、当該迫り出し縁65を利用した快適な糊gの塗布が実現される。
【0058】
また、迫り出し縁65があっても裏当板6の組み付けを簡便としつつ開口21aから迫り出した迫り出し縁65まで液状物をくま無く吐出させ得る構成として、スリット62が弾性片63に対し、一つの弾性片63を挟むように対をなして設けられ、且つスリット62の一部から糊gを通過させ得る形状をなす構成を挙げることができる。具体的には、スリットの基端が裏当体4の内面4aに連通するように形成されることで、スリットの先端まで糊gを行き渡らせることが可能となる。特に本実施形態では弾性片63及び迫り出し縁65を利用して上記迫り出し縁65を角部とすることにより、塗布対象面に角が有る場合であってもくま無く正確な塗布が可能となっている。また上記迫り出し縁65を形成することにより先端部Xを平面視大きく形成し当該先端部Xが視認性向上に優れたものとなっている。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0060】
例えば、上記実施形態では先端部が平面視正方形をなす態様を開示したが、勿論、長方形、三角形や六角形といった他の多角形状をなす態様としたものであってもよい。また先端部の形状を角錐形状や稜線を先端に突出させた形状としたものであってもよい。また上記実施形態ではスリットが裏当体の内面と連通することでスリットからも糊が吐出し得る構成としたが、スリットから糊が吐出されない場合であっても通過シートたるメッシュを介して移動した糊が一時的にスリット内に蓄積されることで、スリットを設けた位置からも糊を安定して塗布し得る。また上記実施形態では平面視正方形状をなす先端部を形成したことに応じるように、ボトルの凹み(10b)をさらに大きくしてボトルの平面視形状をも四角形とし、先端部が平面視正方形状であることを使用者に想起させ易く構成しても良い。加えてボトルの頂面(10c)は上記実施形態では部分球状に膨出させた形状としたが勿論、平面状に形成しても良い。そして、ボトルやキャップの具体的な態様は上記実施形態のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
【0061】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は液状物を塗布するための塗布用容器として利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
2…ノズル
21a…開口
5…透過シート(メッシュ)
6…裏当板
61…吐出口
62…スリット
63…弾性片
64…稜線
65…角部(迫り出し縁)
g…液状物(糊)
X…先端部
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