特許第6540053号(P6540053)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国電力株式会社の特許一覧
特許6540053電力系統運用装置、電力系統運用方法及び電力系統運用システム
<>
  • 特許6540053-電力系統運用装置、電力系統運用方法及び電力系統運用システム 図000002
  • 特許6540053-電力系統運用装置、電力系統運用方法及び電力系統運用システム 図000003
  • 特許6540053-電力系統運用装置、電力系統運用方法及び電力系統運用システム 図000004
  • 特許6540053-電力系統運用装置、電力系統運用方法及び電力系統運用システム 図000005
  • 特許6540053-電力系統運用装置、電力系統運用方法及び電力系統運用システム 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6540053
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】電力系統運用装置、電力系統運用方法及び電力系統運用システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/12 20060101AFI20190628BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20190628BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   H02J3/12
   H02J3/38 110
   H02J13/00 301A
   H02J13/00 311R
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-16002(P2015-16002)
(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公開番号】特開2016-144229(P2016-144229A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2018年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】小笠原 悦生
【審査官】 坂本 聡生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−274812(JP,A)
【文献】 特開2012−249487(JP,A)
【文献】 特開2011−114910(JP,A)
【文献】 特開2010−166723(JP,A)
【文献】 特開平10−290528(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00−5/00
13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の系統が連系可能であり、各系統の配電線に該配電線の電圧が設定範囲を逸脱したことを検知する検知手段が複数個設置され、スマートメータと出力調整手段とを持つ第1種分散型電源またはスマートメータと力率調整手段及び出力調整手段とを持つ第2種分散型電源の何れかである分散型電源が一の系統と連系される、配電系統を運用する配電系統運用装置であって、
前記検知手段から検知情報を受信し、前記スマートメータに対して制御指示を通知する通信インタフェースと、
前記検知手段からの検知情報、当該配電系統の構成及び停電区間の位置に基づき調整対象の分散型電源群を抽出し、該抽出された分散型電源群から各分散型電源の発電形態に基づき調整対象の分散型電源を順次選択し、該選択された分散型電源が複数あるとき、該分散型電源の発電容量及び位置情報に基づき一の分散型電源を順次選択し、前記選択された一の分散型電源が力率調整可能のとき、前記力率調整手段によって前記配電線の電圧が設定範囲に収まるよう制御指示を出力し、前記選択された一の分散型電源が力率調整不可のとき、前記出力調整手段によって前記配電線の電圧が設定範囲に収まるよう制御指示を出力する制御手段と、
を備えることを特徴とする配電系統運用装置。
【請求項2】
前記検知手段から受信した検知情報、当該配電系統の構成及び停電区間の位置に基づき、常時連系されている系統とは異なる系統に連系される分散型電源群を、調整対象の分散型電源群として抽出することを特徴とする請求項1に記載の配電系統運用装置。
【請求項3】
前記分散型電源毎に、発電形態、発電容量、位置情報、該分散型電源が持つ力率調整手段によって調整可能な力率調整範囲と1回の力率調整幅、並びに、該分散型電源が持つ出力調整手段によって調整可能な出力調整範囲と1回の出力調整幅の各情報を保持するデータベースを備え、
前記制御手段は、前記データベースを参照して、抽出された分散型電源群から一の分散型電源を順次選択していき、1回の力率調整幅または1回の出力調整幅の単位で前記制御指示を出力することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の配電系統運用装置。
【請求項4】
複数の系統が連系可能であり、各系統の配電線に該配電線の電圧が設定範囲を逸脱したことを検知する検知手段が複数個設置され、スマートメータと出力調整手段とを持つ第1種分散型電源またはスマートメータと力率調整手段及び出力調整手段とを持つ第2種分散型電源の何れかである分散型電源が一の系統と連系される、配電系統を運用する配電系統運用方法であって、
前記検知手段から受信した検知情報、当該配電系統の構成及び停電区間の位置に基づき調整対象となる分散型電源群を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップで抽出された分散型電源群から各分散型電源の発電形態に基づき調整対象の分散型電源を順次選択する第1選択ステップと、
前記第1選択ステップで選択された分散型電源が複数あるとき、該分散型電源の発電容量及び位置情報に基づき一の分散型電源を順次選択する第2選択ステップと、
前記第1選択ステップまたは前記第2選択ステップで選択された一の分散型電源が力率調整可能のとき、前記力率調整手段によって前記配電線の電圧が設定範囲に収まるよう前記スマートメータに対して制御指示を出力する第1電圧調整ステップと、
前記第1選択ステップまたは前記第2選択ステップで選択された一の分散型電源が力率調整不可のとき、前記出力調整手段によって前記配電線の電圧が設定範囲に収まるよう前記スマートメータに対して制御指示を出力する第2電圧調整ステップと、
を備えることを特徴とする配電系統運用方法。
【請求項5】
複数の系統が連系可能な配電系統運用システムであって、
各系統の配電線に複数個設置され、該配電線の電圧が設定範囲を逸脱したことを検知する検知手段と、
一の系統と連系され、スマートメータと出力調整手段とを持つ第1種分散型電源またはスマートメータと力率調整手段及び出力調整手段とを持つ第2種分散型電源の何れかである分散型電源と、
前記検知手段から受信した検知情報、当該配電系統の構成及び停電区間の位置に基づき調整対象となる分散型電源群を抽出し、該抽出された分散型電源群から各分散型電源の発電形態に基づき調整対象の分散型電源を順次選択し、該選択された分散型電源が複数あるとき、該分散型電源の発電容量及び位置情報に基づき一の分散型電源を順次選択し、前記選択された一の分散型電源が力率調整可能のとき、前記力率調整手段によって前記配電線の電圧が設定範囲に収まるよう前記スマートメータに対して制御指示を出力し、前記選択された一の分散型電源が力率調整不可のとき、前記出力調整手段によって前記配電線の電圧が設定範囲に収まるよう前記スマートメータに対して制御指示を出力する制御手段と、
を備えることを特徴とする配電系統運用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、配電系統運用装置、配電系統運用方法及び配電系統運用システムに関し、特に、停電作業等で分散型電源が連系する系統が他の系統に切り替わった際の配電線の電圧変動に柔軟に対処し得る配電系統運用装置、配電系統運用方法及び配電系統運用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自然エネルギーをエネルギー源とする太陽光発電や風力発電など、様々な発電形態を持つ分散型電源が電力系統に多く導入されてきている。これに伴って配電系統運用面でも、配電系統の電気の品質、事故時の安全性および安定性などの種々の技術課題について検討がなされている。
【0003】
例えば、分散型電源が配電系統に多数連系する場合に、電力需給バランスが崩れることによる周波数変動や逆潮流による配電線電圧の上昇問題について、特許文献1では、系統情報に基づき指定地点における配電経路上の変電所の方向を判定し、SVRにおいて、判定された変電所の方向に基づき電圧調整方式を切り替える技術が開示されている。
【0004】
また、配電系統の電力品質を監視制御する観点では、特許文献2に、系統制御用電力量計で測定した電力品質データに基づき、異状が発生している場合には、原因を特定して分散型電源装置または需要家の負荷に備えられている系統制御用電力量計に警告通知する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014−204579号公報
【特許文献2】特開2005−261152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、現状では、分散型電源を所定の系統に連系する場合、適正電圧を維持するために、配電系統を運用する側で事前検討を行って、該所定系統への連系が可能と判断した場合にのみ連系を認めるようにしている。しかしながら、高圧配電線路の作業等で所定系統に停電区間が発生するようなケースでは、該所定系統に連系されている分散型電源は(事前検討を行っていない)別系統に連結されることになってしまい、別系統の配電線電圧が上昇するなどの影響を及ぼすおそれがあることから、分散型電源を所有する側に対して解列依頼を行っている。解列の場合、分散型電源で発生し得る電力の有効活用ができなくなり、また分散型電源を所有する側に経済的損失も生じる。
【0007】
そこでこの発明は、停電作業等で分散型電源が連系する系統が他の系統に切り替わった際の配電系統の電圧変動に柔軟に対処でき、分散型電源が解列となる頻度を抑制し得る配電系統運用装置、配電系統運用方法及び配電系統運用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、複数の系統が連系可能であり、各系統の配電線に該配電線の電圧が設定範囲を逸脱したことを検知する検知手段が複数個設置され、スマートメータと出力調整手段とを持つ第1種分散型電源またはスマートメータと力率調整手段及び出力調整手段とを持つ第2種分散型電源の何れかである分散型電源が一の系統と連系される、配電系統を運用する配電系統運用装置であって、前記検知手段から検知情報を受信し、前記スマートメータに対して制御指示を通知する通信インタフェースと、前記検知手段からの検知情報、当該配電系統の構成及び停電区間の位置に基づき調整対象の分散型電源群を抽出し、該抽出された分散型電源群から各分散型電源の発電形態に基づき調整対象の分散型電源を順次選択し、該選択された分散型電源が複数あるとき、該分散型電源の発電容量及び位置情報に基づき一の分散型電源を順次選択し、前記選択された一の分散型電源が力率調整可能のとき、前記力率調整手段によって前記配電線の電圧が設定範囲に収まるよう制御指示を出力し、前記選択された一の分散型電源が力率調整不可のとき、前記出力調整手段によって前記配電線の電圧が設定範囲に収まるよう制御指示を出力する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項1の発明によれば、検知手段から配電線の電圧が設定範囲を逸脱した旨の検知情報を受信したときには、当該配電系統の構成及び停電区間の位置に基づき調整対象の分散型電源群を抽出するので、調整対象の分散型電源群は必要最低限に限定されることになる。また、抽出された分散型電源群から各分散型電源の発電形態に基づき調整対象の分散型電源を順次選択し、該選択された分散型電源が複数あるとき、該分散型電源の発電容量及び位置情報に基づき一の分散型電源を順次選択するので、より調整幅の大きな分散型電源を優先的に選択することにより、より短い時間で当該調整を終了させ得る可能性がある。さらに、分散型電源に力率調整機能があるときは優先的に力率調整を行うことによっても、より短い時間で当該調整を終了させ得る可能性が出てくる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の配電系統運用装置において、前記検知手段から受信した検知情報、当該配電系統の構成及び停電区間の位置に基づき、常時連系されている系統とは異なる系統に連系される分散型電源群を、調整対象の分散型電源群として抽出することを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明によれば、検知手段から配電線の電圧が設定範囲を逸脱した旨の検知情報を受信したときには、当該配電系統の構成及び停電区間の位置に基づき、常時連系されている系統とは異なる系統に連系される分散型電源群を、調整対象の分散型電源群として抽出するので、調整対象の分散型電源群は従来解列対象であった分散型電源群に限定されることになる。
【0012】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の配電系統運用装置において、前記分散型電源毎に、発電形態、発電容量、位置情報、該分散型電源が持つ力率調整手段によって調整可能な力率調整範囲と1回の力率調整幅、並びに、該分散型電源が持つ出力調整手段によって調整可能な出力調整範囲と1回の出力調整幅の各情報を保持するデータベースを備え、前記制御手段は、前記データベースを参照して、抽出された分散型電源群から一の分散型電源を順次選択していき、1回の力率調整幅または1回の出力調整幅の単位で前記制御指示を出力することを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明によれば、データベースに保持されている調整対象の分散型電源群の各種条件に応じた優先順位で、力率調整幅刻みまたは出力調整幅刻みで調整が行われる。
【0014】
請求項4の発明は、複数の系統が連系可能であり、各系統の配電線に該配電線の電圧が設定範囲を逸脱したことを検知する検知手段が複数個設置され、スマートメータと出力調整手段とを持つ第1種分散型電源またはスマートメータと力率調整手段及び出力調整手段とを持つ第2種分散型電源の何れかである分散型電源が一の系統と連系される、配電系統を運用する配電系統運用方法であって、前記検知手段から受信した検知情報、当該配電系統の構成及び停電区間の位置に基づき調整対象となる分散型電源群を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップで抽出された分散型電源群から各分散型電源の発電形態に基づき調整対象の分散型電源を順次選択する第1選択ステップと、前記第1選択ステップで選択された分散型電源が複数あるとき、該分散型電源の発電容量及び位置情報に基づき一の分散型電源を順次選択する第2選択ステップと、前記第1選択ステップまたは前記第2選択ステップで選択された一の分散型電源が力率調整可能のとき、前記力率調整手段によって前記配電線の電圧が設定範囲に収まるよう前記スマートメータに対して制御指示を出力する第1電圧調整ステップと、前記第1選択ステップまたは前記第2選択ステップで選択された一の分散型電源が力率調整不可のとき、前記出力調整手段によって前記配電線の電圧が設定範囲に収まるよう前記スマートメータに対して制御指示を出力する第2電圧調整ステップと、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、複数の系統が連系可能な配電系統運用システムであって、各系統の配電線に複数個設置され、該配電線の電圧が設定範囲を逸脱したことを検知する検知手段と、一の系統と連系され、スマートメータと出力調整手段とを持つ第1種分散型電源またはスマートメータと力率調整手段及び出力調整手段とを持つ第2種分散型電源の何れかである分散型電源と、前記検知手段から受信した検知情報、当該配電系統の構成及び停電区間の位置に基づき調整対象となる分散型電源群を抽出し、該抽出された分散型電源群から各分散型電源の発電形態に基づき調整対象の分散型電源を順次選択し、該選択された分散型電源が複数あるとき、該分散型電源の発電容量及び位置情報に基づき一の分散型電源を順次選択し、前記選択された一の分散型電源が力率調整可能のとき、前記力率調整手段によって前記配電線の電圧が設定範囲に収まるよう前記スマートメータに対して制御指示を出力し、前記選択された一の分散型電源が力率調整不可のとき、前記出力調整手段によって前記配電線の電圧が設定範囲に収まるよう前記スマートメータに対して制御指示を出力する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1、請求項4及び請求項5の発明によれば、当該配電系統の構成及び停電区間の位置に基づき調整対象の分散型電源群を抽出するので、調整対象の分散型電源群は必要最低限に限定され、関連性の少ない他の分散型電源への影響を極力抑えることができる。また、当該調整により配電線の電圧を設定範囲に収めることができた場合には、調整対象の分散型電源群を解列する必要が無くなるので、分散型電源群で発生し得る電力の有効活用が可能となり、また分散型電源群をそれぞれ所有する側の解列による経済的損失も無くなる。また、調整対象の分散型電源群の各種条件に応じた優先順位で調整を行うので、より短い時間で当該調整を終了させ得る可能性が出てくる。これらの結果として、停電作業等で分散型電源が連系する系統が他の系統に切り替わった際の配電系統の電圧変動に柔軟に対処でき、分散型電源が解列となる頻度を抑制し得る配電系統運用装置、配電系統運用方法及び配電系統運用システムを実現することが可能となる。
【0017】
請求項2の発明によれば、停電作業等で分散型電源が連系する系統が他の系統に切り替わった際に、調整対象の分散型電源群を従来解列対象であった分散型電源群に限定して、配電線の電圧が設定範囲に収まるよう調整するので、配電線の電圧が設定範囲を逸脱した要因ではない他の分散型電源への影響を極力抑えることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、データベースに保持されている調整対象の分散型電源群の各種条件に応じた優先順位で、力率調整幅刻みまたは出力調整幅刻みで調整が行われるので、調整対象の分散型電源群の間で順繰りに調整が進められることとなり、大幅調整による電圧の変動を抑制することができると共に、調整対象の分散型電源群のそれぞれの所有者間で生じ得る不公平感を無くすことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明の実施の形態に係る配電系統運用システムの概要を示す概略構成図である。
図2】この発明の実施の形態に係る配電系統運用システム及び配電系統運用装置の構成図である。
図3】配電系統運用装置のデータベースを示す説明図である。
図4】この発明の実施の形態に係る配電系統運用方法を説明するフローチャート(その1)である。
図5】この発明の実施の形態に係る配電系統運用方法を説明するフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0021】
図1は、この発明の実施の形態に係る配電系統運用システムの概要を例示する概略構成図である。この発明の実施の形態の配電系統運用システムは、第1系統Aと、第2系統Bと、第3系統Cと、配電自動化システム20と、を備え、第1系統A,第2系統B及び第3系統Cの各系統の配電線及び分散型電源が、配電自動化システム20によって監視制御される構成である。
【0022】
第1系統Aは、変電所30Aと、配電線と、該配電線に配置される開閉器SW1A,SW10A,SW20A,SW30A,SW50A,SW70A及びSW90Aとを備え、配電線の各連結点に分散型電源10F,10A,10B及び10Cが連系された構成である。
【0023】
また、第2系統Bは、変電所30Bと、配電線と、該配電線に配置される開閉器SW1B,SW20B,SW40B,SW50B,SW70B,SW90B及びSW120Bとを備え、配電線の連結点に分散型電源10Dが連系された構成である。さらに、第3系統Cは、変電所30Cと、配電線と、該配電線に配置される開閉器SW1C,SW50C及びSW100Cとを備え、配電線の連結点に分散型電源10Eが連系された構成である。
【0024】
図2はこの発明の実施の形態に係る配電系統運用システム及び配電系統運用装置(配電自動化システム20)の構成図であり、図1の配電系統運用システムにおける第1系統Aに関わる部分を詳細に示す。以下では、図1及び図2を参照して、第1系統A及び配電自動化システム20の各構成要素の機能並びに相互の関連について詳細に説明し、第2系統B及び第3系統Cについても言及する。
【0025】
図1及び図2において例示されている開閉器は、常閉型の線路用開閉器であって、該開閉器の設置により配電線路が区分され、また、該開閉器の開操作によって区間が切り離されることになる。図1中、○形状または●形状で表記される開閉器SW20A,SW30A,SW70B及びSW120Bは現地でのみ操作可能な開閉器であり、●形状は該開閉器が開状態であることを示している。
【0026】
また、第1系統Aの配電線に配置される開閉器の内、図2中、□形状で表記される開閉器SW1A,SW10A,SW50A,SW70A及びSW90Aは、該開閉器が持つ通信インタフェースを介して通信ネットワーク51に接続されている。なお、図示しないが、第2系統Bの開閉器SW1B,SW20B,SW40B,SW50B及びSW90B、並びに、第3系統Cの開閉器SW1C,SW50C及びSW100Cも通信ネットワーク51に接続されている。
【0027】
通信ネットワーク51は、配電自動化システム20が各系統の配電線を監視制御するために、配電自動化システム20と各系統の配電線に配置される一部の開閉器との間で一方向または双方向の通信を可能とするものである。ここで、通信ネットワーク51は、この双方向通信を可能とするものであれば良く、例えば、PLC(Power Line Communication)により通信を行うための電力線や、無線通信路、公衆電話回線網、イーサネット(登録商標)、通信ケーブル、或いは、インターネットなどの通信ネットワーク等で具現される。
【0028】
この実施の形態では、通信ネットワーク51として、通信ケーブルを伝送路としたCTC方式による通信ネットワークを想定している。このCTC方式による通信ネットワークでは、通信方式としてFSK(周波数変移変調)方式を用いており、制御機能としては開閉器の入/切/ロック監視制御の他に計測、遠隔設定等を行うことが可能である。つまり、配電線での電圧電流計測機能や試充電制御を行うシステムの監視制御を可能として、今後に想定される監視制御項目の増大および多機能化に適切に対処可能としたものである。
【0029】
このような通信ネットワーク51に接続されている開閉器の内、第1系統Aの開閉器SW10A,SW50A及びSW90A、第2系統Bの開閉器SW20B,SW40B及びSW90B、並びに、第3系統Cの開閉器SW50Cは、配電線の電圧が設定範囲を逸脱したことを検知する検知手段を備えたCTC計測機能付開閉器である。すなわち、このCTC計測機能付開閉器は、電圧電流計測機能を有すると共に、配電自動化システム20により設定された所定の設定範囲を配電線の電圧が逸脱したか否かを検出でき、配電自動化システム20に対してその旨を通知することができる。
【0030】
また、これらCTC計測機能付開閉器以外の開閉器、即ち、第1系統Aの開閉器SW1A,SW10A及びSW70A、第2系統Bの開閉器SW1B及びSW50B、並びに、第3系統Cの開閉器SW1C及びSW100Cは、配電自動化システム20による開閉遠隔操作のみを可能とするもので、CTC計測機能を持っていない。
【0031】
次に、第1系統A,第2系統Bまたは第3系統Cに連系される分散型電源について説明する。
【0032】
分散型電源の発電形態には、エネルギー源として自然エネルギーを用いる太陽光発電、風力発電及び小水力発電、燃料投入型でエネルギー源としてガス、石油、水素等を用いるディーゼルエンジン、ガスエンジン、ガスタービン、マイクロガスタービン及び燃料電池発電、或いは、エネルギー源として未利用エネルギーを用いる廃棄物発電など、種々のものがある。
【0033】
この発明の適用は、分散型電源の発電形態として特に限定はなく、何れの発電形態であっても良い。この実施の形態では、例示として、分散型電源10A及び10Cの発電形態を太陽光発電とし、分散型電源10Bの発電形態を小水力発電とし、分散型電源10Dの発電形態を風力発電とする。
【0034】
図2において、分散型電源10Aは、発電装置11Aと、力率調整部16A及び出力調整部15Aを持つ電力変換装置(パワーコンディショナー)12Aと、スマートメータ13Aと、を備える。また分散型電源10Bは、発電装置11Bと、力率調整部16B及び出力調整部15Bを持つ電力変換装置12Bと、スマートメータ13Bと、を備える。さらに分散型電源10Cは、発電装置11Cと、出力調整部15Cを持つ電力変換装置(パワーコンディショナー)12Cと、スマートメータ13Cと、を備える。
【0035】
このように、分散型電源は、力率調整機能の有無によって、出力調整機能のみを持つ第1種分散型電源(分散型電源10C)と、力率調整機能及び出力調整機能とを持つ第2種分散型電源(分散型電源10A及び10B)に分けることができる。一般に、発電形態が太陽光発電の場合、インバータによる系統連系形態が採られるが、電力変換装置において自励式インバータ制御を行う場合には力率調整機能を有し、他励式インバータ制御を行う場合には力率調整機能を持たないことになる。また、発電形態が小水力発電の場合、交流発電機による系統連系形態が採られるが、電力変換装置の交流発電機が同期発電機の場合には力率調整機能を有し、交流発電機が誘導発電機の場合には力率調整機能を持たないことになる。
【0036】
分散型電源10A,10B及び10Cがそれぞれ備えるスマートメータ13A,13B及び13Cは、電力量計の機能を有し、電力量(電圧及び電流)並びに力率を測定可能である。
【0037】
図1における全ての分散型電源がスマートメータを備えており、全てのスマートメータが通信ネットワーク52に接続されている。ここで、通信ネットワーク52は、配電自動化システム20が各分散型電源を監視制御するために、配電自動化システム20と各分散型電源が備えるスマートメータとの間で双方向の通信を可能とするものである。通信ネットワーク52は、この双方向通信を可能とするものであれば良く、例えば、PLCにより通信を行うための電力線や、無線通信路、公衆電話回線網、イーサネット(登録商標)、通信ケーブル、或いは、インターネットなどの通信ネットワーク等で具現される。
【0038】
配電自動化システム20は、分散型電源の状態を監視するために、通信ネットワーク52を介して状態情報取得要求を各スマートメータに発信し、該スマートメータによる測定データ等を収集して、各分散型電源の状態を把握する。
【0039】
また、後述するように、分散型電源10Aまたは10Bの力率調整を行う際には、配電自動化システム20から分散型電源10Aまたは10B(スマートメータ13Aまたは13B)に対して、力率調整幅が設定された力率調整要求が送信される。このとき、 スマートメータ13Aまたは13Bは、力率調整要求を内部指令に置きかえて力率調整部16Aまたは16Bに出力し、力率調整部16Aまたは16Bによる力率調整(力率調整幅が正値のときには調整幅分だけ力率を上げる調整、力率調整幅が負値のときには調整幅分だけ力率を下げる調整)を実施する。
【0040】
他方で、分散型電源10A,10Bまたは10Cの出力調整を行う際には、配電自動化システム20から分散型電源10A,10Bまたは10C(スマートメータ13A,13Bまたは13C)に対して、出力調整幅が設定された出力調整要求が送信される。このとき、 スマートメータ13A,13Bまたは13Cは、出力調整要求を内部指令に置きかえて出力調整部15A,15Bまたは15Cに出力し、出力調整部15A,15Bまたは15Cによる出力調整(出力調整幅が正値のときには調整幅分だけ出力を上げる調整、出力調整幅が負値のときには調整幅分だけ出力を下げる調整)を実施する。
【0041】
次に、第1系統A,第2系統B及び第3系統Cの各系統の配電線及び分散型電源を監視制御して配電系統を運用する配電自動化システム20について説明する。なお、配電自動化システム20は特許請求の範囲にいう配電系統運用装置または配電系統運用システムにおける制御手段に該当する。
【0042】
図2において、配電自動化システム20は、通信インタフェース23、制御部21及びデータベース22を備えている。図2には詳細な構成を図示しないが、配電自動化システム20の基本的構成は一般的な情報処理システムと同等であり、CPU、記憶手段、外部記憶手段、入力手段及び出力手段を備え、制御部21はCPUで構成され、データベース22は外部記憶手段内に構成される。
【0043】
また、この実施の形態の配電系統運用装置(配電自動化システム20)による配電系統運用を実施するために必要となる操作卓は、上記入力手段、或いは、通信ネットワーク52に接続可能な携帯情報端末の何れであっても良い。
【0044】
通信インタフェース23は、通信ネットワーク51及び52とそれぞれ接続され、開閉器、スマートメータ、電圧調整器(図示せず)等との間で通信を行うためのインタフェースである。通信インタフェース23の構成は、通信ネットワーク51及び52の構成に応じて、PLC通信を行うためのアダプタ、イーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、或いは、無線通信路に接続するための無線通信機などで具現される。
【0045】
制御部21は、第1系統A,第2系統B及び第3系統Cの各系統の配電線及び分散型電源を監視制御するが、この実施の形態に特有の機能として、以下の5つの機能を有する。
(1)CTC計測機能付開閉器から受信した(配電線の電圧が設定範囲を逸脱した旨の)検知情報、当該配電系統の構成及び停電区間に基づき、常時連系されている系統とは異なる系統に連系される分散型電源群を、調整対象の分散型電源群として抽出する機能(抽出ステップ)。
(2)該抽出された分散型電源群から各分散型電源の発電形態に基づき調整対象の分散型電源を選択する機能(第1選択ステップ)。
(3)該選択された分散型電源が複数あるとき、該分散型電源の発電容量及び位置情報に基づき1つの分散型電源を選択する機能(第2選択ステップ)。
(4)前記選択された1つの分散型電源が力率調整可能のとき、該分散型電源の力率調整部によって配電線の電圧が設定範囲に収まるよう該分散型電源が備えるスマートメータに対して制御指示を出力する機能(力率調整ステップ)。
(5)前記選択された1つの分散型電源が力率調整不可のとき、該分散型電源の出力調整部によって配電線の電圧が設定範囲に収まるよう該分散型電源が備えるスマートメータに対して制御指示を出力する機能(出力調整ステップ)。
【0046】
なお、(1)から(5)の機能(ステップ)は、記憶手段に保持され、CPU(制御部21)上で実行されるプログラムとして具現される。
【0047】
また図3に、配電系統運用装置の制御部21が上記(1)抽出機能、(2)第1選択機能、(3)第2選択機能、(4)力率調整機能、及び(5)出力調整機能を実施する際に参照するデータベース22の構成を例示する。図3において、データベース22は、分散型電源毎に、「発電形態情報」、「発電容量[kW]」、「位置情報」、「力率調整の可否」、「力率調整の範囲」、「力率調整の1回の調整幅」、「出力調整の範囲」、「出力調整の1回の調整幅」の各データ項目について、情報を保持する。
【0048】
ここで、「力率調整の可否」、「力率調整の範囲」、「力率調整の1回の調整幅」、「出力調整の範囲」、「出力調整の1回の調整幅」の各データ項目については、配電系統を運用する側と、分散型電源を所有する側との間で、配電線の電圧が設定範囲を逸脱したときの取り扱いについて、予め取り決めが行われており、該取り決め内容に基づき具体的数値が設定される。なお、分散型電源の発電形態が自然エネルギーを用いるものである場合は、天候、季節、時間帯などの要因による出力変動が大きいことから、これら設定値を気象条件や時間的条件(季節、月または時間帯など)に応じて変化させるようにしても良い。
【0049】
次に、この発明の実施の形態に係る配電系統運用方法、即ち配電自動化システム20の制御部21により実施される配電系統運用の手順について図4及び図5を参照して説明する。ここで、図4及び図5は、この発明の実施の形態に係る配電系統運用方法を説明するフローチャートである。
【0050】
以下の説明では、図1及び図2に例示した配電系統において、停電作業により開閉器SW20Aから開閉器SW30Aまでの区間が停電区間となるケースを具体例とする。
【0051】
この停電作業を行う前に、図4のステップS1では、停電作業計画に基づく停電区間と、該停電区間が発生する系統の構成に基づき、常時連系されている該系統とは異なる系統に連系される分散型電源群を抽出しておく。具体例では、停電区間(開閉器SW20A〜開閉器SW30A)の発生により、分散型電源10A,10B及び10Cは、変電所30Aを含む第1系統Aへの連系から変電所30Bを含む第2系統Bへの連系に切り替わることになる。すなわち、ステップS1で抽出される分散型電源群は、分散型電源10A,10B及び10Cとなる。
【0052】
次に、この停電作業が開始され、開閉器SW20A及び開閉器SW30Aが開状態に切り換わると、第2系統B側では、当該系統に連系される分散型電源が1度に3つも増えることになり、分散型電源10A,10B及び10Cの連結点近傍を中心に、配電線の電圧が上昇してくる。
【0053】
具体例として、停電区間(開閉器SW20A〜開閉器SW30A)の発生により、元第1系統Aの開閉器SW50A及びSW90A、並びに、第2系統Bの開閉器SW90Bにおいて、予め配電自動化システム20の制御部21によって設定されている配電線電圧の設定範囲を配電線の電圧が逸脱したことにする。この場合、開閉器SW50A,SW90A及びSW90Bから配電自動化システム20に対して、配電線の電圧が設定範囲を逸脱した旨の通知(検知情報)が発信されることになる。
【0054】
停電作業が開始されると同時に、制御部21側では、CTC計測機能付開閉器からの検知情報受信待ちの状態(電圧が設定範囲を逸脱した旨の通知を受信したか否かの判断;ステップS2が検知情報を受信するまで続く状態)となる。なお、検知情報受信待ちの状態が所定時間続く場合は、停電区間の発生によっても配電線の電圧が設定範囲に収まっているので、電圧調整の必要はなく、これ以降の処理は行わずに終了する。
【0055】
ステップS2で、少なくとも1つのCTC計測機能付開閉器から検知情報を受信した場合には、ステップS3に進んで、制御部21は、全系統の各開閉器からの配電線情報を収集し、該配電線情報に基づき、配電線の電圧が設定範囲を逸脱している開閉器の分布を把握する。そして、電圧設定範囲を逸脱している開閉器の分布に基づき、ステップS1で抽出された分散型電源群の中から調整対象とすべき分散型電源群を抽出する(ステップS4)。
【0056】
具体例では、電圧設定範囲を逸脱している開閉器の分布に基づき抽出されるのは分散型電源10A,10B,10C及び10Dであるが、ステップS1で抽出された分散型電源群は分散型電源10A,10B及び10Cであることから、分散型電源10Dは除外され、ステップS4で抽出される分散型電源群は分散型電源10A,10B及び10Cとなる。このように、この実施の形態では、停電作業等で分散型電源が連系する系統が他の系統に切り替わった際に、調整対象の分散型電源群を従来解列対象であった分散型電源群に限定して、配電線の電圧が設定範囲に収まるよう調整するので、配電線の電圧が設定範囲を逸脱した要因ではない他の分散型電源への影響を極力抑えることができる。
【0057】
なお、抽出ステップの変形として、ステップS1を削除し、ステップS4において「ステップS1で抽出された分散型電源群の中から」という条件を削除しても良い。すなわち、抽出ステップでは、検知手段からの検知情報、当該配電系統の構成及び停電区間の位置に基づき調整対象の分散型電源群を抽出することになり、抽出される調整対象の分散型電源群は必要最低限に限定され、関連性の少ない他の分散型電源への影響を極力抑えることができる。この場合、具体例では、分散型電源10A,10B,10C及び10Dが調整対象の分散型電源群として抽出される。
【0058】
次に、ステップS4で抽出された分散型電源群から、発電形態と調整回数カウンタの値とに基づき、調整対象の分散型電源を選択する(ステップS5)。
【0059】
ここで、調整回数カウンタは、ステップS4で抽出された各分散型電源に対して用意されるものであり、初期値0で、力率調整部及び出力調整部による調整が行われる毎に(後述するステップS16で)インクリメントされる。また、この調整回数カウンタの初期設定時(ステップS4処理後の時点)に、制御部21は、抽出された各分散型電源のスマートメータに対して状態情報取得要求を発信し、その時点での測定データ(電力量及び力率)を収集する。そして、データベース22を参照して、「力率調整の範囲」、「力率調整の1回の調整幅」、「出力調整の範囲」、「出力調整の1回の調整幅」と、その時点での測定データ(電力量及び力率)とに基づき、該分散型電源で高々行われる力率調整及び出力調整それぞれの最大調整回数を算出し、調整回数カウンタと関連づけて記憶手段等に保持しておく。なお、分散型電源に力率調整機能がない場合は、力率調整の最大調整回数には0が設定される。
【0060】
つまり、ステップS5の処理が最初に行われる際には、データベース22の「発電形態」に基づき、抽出された各分散型電源に対して調整を行う優先順位が割り振られて、優先順位の高い分散型電源から選択されると共に、調整回数カウンタの初期設定と、最大調整回数の算出設定が行われる。
【0061】
なお、ステップS5での発電形態に基づく優先順位は、例えば、自然エネルギーを用いる発電形態は天候、季節、時間帯など多種の要因による出力変動が大きいことから「自然エネルギーを用いる発電よりも他の燃料投入型や未利用エネルギーを用いる発電を優先」し、「自然エネルギーを用いる発電の範疇では、出力安定性の観点で太陽光発電や風力発電よりも小水力発電を優先」するといったルールに基づき割り振られるものである。したがって、抽出された分散型電源群に同種の発電形態のものが複数ある場合などでは、同一優先順位の分散型電源が複数存在することになる。
【0062】
そのため、ステップS6で、調整対象は1つか否かが判断され、複数ある場合にはステップS7に進んで、同一優先順位のものに対して、発電容量と位置情報とに基づく優先順位の割り振りが行われて、1つの分散型電源が選択されることになる。このステップS7の優先順位の割り振りにより、抽出された分散型電源群の各分散型電源にそれぞれ異なる優先順位が割り振られることになり、これ以降はこの優先順位に基づき各分散型電源での調整が順繰りに行われていくことになる。
【0063】
ここで、配電線の電圧は変電所や発電所のインピーダンス(抵抗)に影響を受け、発電容量が大きくても変電所や発電所に近い場合には配電線の電圧上昇は少なく、また、変電所や発電所から遠い場合には発電容量が小さくても配電線の電圧に影響が出ることがある、といった事情から、ステップS7では、先ず該分散型電源の位置情報に基づき変電所や発電所からより遠いものを優先的に選択し、位置関係に大差がない場合に、発電容量がより大きいものを優先的に選択する。
【0064】
具体例では、ステップS5で割り振られる分散型電源の優先順位関係は「10B>10A=10C」となり、ステップS7では変電所30Bに対してより遠い距離にある分散型電源10Aが選択されて、分散型電源の優先順位関係は「10B>10A>10C」となる。
【0065】
次に、図5のステップS11に進み、制御部21は、ステップS7で選択された分散型電源について、データベース22の「力率調整の可否」を参照して力率調整を行うか否かを判断する。なお、該分散型電源で力率調整が可能である場合には、同時に、調整回数カウンタの値が力率調整の最大調整回数に達しているか否かについても判断され、力率調整の最大調整回数に達しているときには、力率調整を行わないものと判断する。
【0066】
ステップS11で力率調整を行うと判断された場合には、ステップS12に進んで、データベース22の「力率調整の1回の調整幅」を参照し、該調整幅を設定した力率調整要求を調整対象の分散型電源(スマートメータ)に対して送信する。なお、配電線の電圧が設定範囲の上限を超えている場合には負値の調整幅が設定され、配電線の電圧が設定範囲の下限を下回っている場合には正値の調整幅が設定される。
【0067】
また、ステップS11で力率調整を行わないと判断された場合には、ステップS13に進んで、データベース22の「出力調整の1回の調整幅」を参照し、該調整幅を設定した出力調整要求を調整対象の分散型電源(スマートメータ)に対して送信する。なお、配電線の電圧が設定範囲の上限を超えている場合には負値の調整幅が設定され、配電線の電圧が設定範囲の下限を下回っている場合には正値の調整幅が設定される。
【0068】
そして、制御部21は、全系統の各開閉器からの配電線情報を収集し、配電線の電圧が設定範囲を逸脱している開閉器があるか否かを判断する。全ての開閉器で配電線の電圧が設定範囲に収まっている場合には当該調整処理を終了し、1つでも配電線の電圧が設定範囲を逸脱している開閉器がある場合には、ステップS16に進んで、調整回数カウンタをインクリメントして更新する。
【0069】
次に、ステップS17では、調整回数カウンタに基づく終了判定を行う。調整対象の全ての分散型電源について、それぞれの調整回数カウンタの値が、力率調整の最大調整回数と出力調整の最大調整回数の和に達しているか否かを確認し、1つでも調整回数カウンタの値が最大調整回数の和に達していない分散型電源がある場合には、図4のステップS4に戻り、第1選択ステップ以降の処理が繰り返されることになる。
【0070】
また、全ての調整対象の分散型電源について調整回数カウンタの値が最大調整回数の和に達している場合には、分散型電源で可能な全ての調整が終了したと判断して、ステップS21に進む。
【0071】
ステップS21では、調整可能な電圧調整器が有るか否かを判断し、電圧調整器が有る場合にはステップS22に進んで、該電圧調整器による電圧調整を実施する。調整可能な電圧調整器が無いと判断した場合にはステップS25に進む。
【0072】
ステップS22で、電圧調整器による電圧調整を実施した場合は、制御部21は、全系統の各開閉器からの配電線情報を収集し、配電線の電圧が設定範囲を逸脱している開閉器があるか否かを判断する。全ての開閉器で配電線の電圧が設定範囲に収まっている場合には当該調整処理を終了し、1つでも配電線の電圧が設定範囲を逸脱している開閉器がある場合には、ステップS25に進む。
【0073】
ステップS25では、制御部21は、抽出ステップ(ステップS1またはS4)で選択された分散型電源10A,10B及び10Cに対して解列要求を送信する。
【0074】
このように、分散型電源の力率調整部及び出力調整部による電圧調整、並びに電圧調整器による電圧調整によって配電線の電圧が設定範囲に収めることができなかった場合には、分散型電源は解列されることになるが、逆に、調整により配電線の電圧を設定範囲に収めることができた場合には、調整対象の分散型電源群を解列する必要が無くなるので、分散型電源群で発生し得る電力の有効活用が可能となり、また分散型電源群をそれぞれ所有する側の解列による経済的損失も無くなる。結果として、この実施の形態によれば、停電作業等で分散型電源が連系する系統が他の系統に切り替わった際の配電系統の電圧変動に柔軟に対処でき、分散型電源が解列となる頻度を抑制し得る配電系統運用装置、配電系統運用方法及び配電系統運用システムを実現することが可能となる。
【0075】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上述した実施の形態では、配電自動化システム20と計測機能付開閉器との間を通信ネットワーク51で接続し、配電自動化システム20とスマートメータとの間を通信ネットワーク52で接続する構成としたが、これらを1つの通信ネットワークにまとめて構成することも可能である。
【0076】
また、ステップS25において、調整対象の全ての分散型電源10A,10B及び10Cを同時に解列することとしたが、出力容量の大きい順(または小さい順に)、或いは事前に取り決められた順に、1つずつ解列するようにして、1つ解列する毎にステップS5〜S25の処理を繰り返し実行するようにしても良い。これにより、分散型電源が解列となる頻度をさらに抑制することが可能となる。
【符号の説明】
【0077】
10A〜10F 分散型電源
11A,11B,11C 発電装置
12A,12B,12C 電力変換装置
13A,13B,13C スマートメータ
15A,15B,15C 出力調整部
16A,16B 力率調整部
20 配電自動化システム
21 制御部
22 データベース
23 通信インタフェース
51,52 通信ネットワーク
SW10A,SW50A,SW90A,SW20B,SW40B,SW90B,SW50C CTC計測機能付開閉器
図1
図2
図3
図4
図5