特許第6540082号(P6540082)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6540082単独運転発電所の制御システムおよび制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6540082
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】単独運転発電所の制御システムおよび制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/14 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
   H02J3/14
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-30834(P2015-30834)
(22)【出願日】2015年2月19日
(65)【公開番号】特開2016-152761(P2016-152761A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2018年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126561
【弁理士】
【氏名又は名称】原嶋 成時郎
(72)【発明者】
【氏名】幸徳 温人
【審査官】 田中 寛人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−114956(JP,A)
【文献】 特開2008−271625(JP,A)
【文献】 特開2008−048554(JP,A)
【文献】 特開昭61−088728(JP,A)
【文献】 特開2011−244510(JP,A)
【文献】 特開昭63−107421(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0025217(US,A1)
【文献】 特開2010−279160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発電機を備える単独運転系統において各種機器を制御する単独運転発電所の制御システムであって、
各配電線の負荷電力を計測して記憶する負荷電力計測手段と、
前記各配電線に配設された配電線用遮断器を制御する配電線用遮断器制御手段と、
前記各発電機を制御する発電機制御手段と、を備え、
いずれかの前記発電機が故障によって発電停止した場合に、前記配電線用遮断器制御手段は、前記負荷電力の総和が、前記故障した発電機を除く発電中の発電機の容量の総和以下になるように、かつ、負荷電力が大きい配電線の順に前記配電線用遮断器を遮断し、前記発電機制御手段は、待機中の発電機を起動して発電を開始させ、
その後、前記配電線用遮断器制御手段は、前記配電線用遮断器を遮断する直前に前記負荷電力計測手段で計測された負荷電力に基づいて、前記遮断した配電線用遮断器を投入した際の前記負荷電力の総和が、発電中の発電機の容量の総和以下になる範囲で、かつ、負荷電力が大きい配電線の順に判断して条件に合った前記遮断した配電線用遮断器から投入する、
ことを特徴とする単独運転発電所の制御システム。
【請求項2】
複数の発電機を備える単独運転系統において各種機器を制御する単独運転発電所の制御プログラムであって、コンピュータを、
計測された各配電線の負荷電力を記憶する記憶手段と、
前記各配電線に配設された配電線用遮断器を制御する配電線用遮断器制御手段と、
前記各発電機を制御する発電機制御手段、として機能させ、
いずれかの前記発電機が故障によって発電停止した場合に、前記配電線用遮断器制御手段は、前記負荷電力の総和が、前記故障した発電機を除く発電中の発電機の容量の総和以下になるように、かつ、負荷電力が大きい配電線の順に前記配電線用遮断器を遮断し、前記発電機制御手段は、待機中の発電機を起動して発電を開始させ、
その後、前記配電線用遮断器制御手段は、前記配電線用遮断器を遮断する直前に前記記憶手段に記憶された負荷電力に基づいて、前記遮断した配電線用遮断器を投入した際の前記負荷電力の総和が、発電中の発電機の容量の総和以下になる範囲で、かつ、負荷電力が大きい配電線の順に判断して条件に合った前記遮断した配電線用遮断器から投入する、
ことを特徴とする単独運転発電所の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、単独運転発電所において発電機や遮断器を制御する、単独運転発電所の制御システムおよび制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、離島などでの内燃力発電装置による単独運転系統での電力制御システムにおいては、遠隔監視制御の担当箇所当直員が常時監視して手動制御を行っており、その中で次のよう制御などを行っている。第1に、負荷状況を見ながら当直員が発電機の起動または停止を判断して、発電機の運転台数の制御を行っている。第2に、発電機が軽故障(温度上昇等)した場合には、当直員が故障状況を確認して早急に待機発電機への運転切替を行っている。第3に、発電機が重故障(発電停止)した場合には、この発電機の発電機用遮断器(52G)がトリップして、残りの発電機が過負荷状態になって遮断し、全停電に移行する。第4に、全停電になった場合、全停電からの復旧操作を当直員が行わなければないないことなる。
【0003】
しかしながら、近年、停電に対する減少対策が強く要求されるようになっており、当直員の負担も大きくなっている。このため、1台の発電機の事故停止に起因する全停時に、健全な発電機を自動的かつ速やかに始動できるようにする、という常用発電機の自動運転システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムは、全停直前時の全負荷電力量を記憶する手段を設け、全停時に全負荷電力量に見合った発電機台数を自動的に立ち上げるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−103098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、複数の発電機を並用運転中に、1台の発電機の重故障によって発電機用遮断器が遮断した場合、需要と供給のバランスが崩れて全停電となる可能性が高い。そして、全停電になった場合には、復旧操作は困難を極め、当直員への負担が大きいばかりでなく、停電の継続による社会的影響が大きい。これに対して、特許文献1のシステムでは、全停電になった後に、健全な発電機を自動的かつ速やかに始動できるというものの、全停電自体を回避・抑制することはできず、当直員への負担や社会的影響を削減することはできない。
【0006】
そこでこの発明は、全停電を抑制して、さらに、適正な電力供給を可能にする、単独運転発電所の制御システムおよび制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、複数の発電機を備える単独運転系統において各種機器を制御する単独運転発電所の制御システムであって、各配電線の負荷電力を計測して記憶する負荷電力計測手段と、前記各配電線に配設された配電線用遮断器を制御する配電線用遮断器制御手段と、前記各発電機を制御する発電機制御手段と、を備え、いずれかの前記発電機が故障によって発電停止した場合に、前記配電線用遮断器制御手段は、前記負荷電力の総和が、前記故障した発電機を除く発電中の発電機の容量の総和以下になるように、かつ、負荷電力が大きい配電線の順に前記配電線用遮断器を遮断し、前記発電機制御手段は、待機中の発電機を起動して発電を開始させ、その後、前記配電線用遮断器制御手段は、前記配電線用遮断器を遮断する直前に前記負荷電力計測手段で計測された負荷電力に基づいて、前記遮断した配電線用遮断器を投入した際の前記負荷電力の総和が、発電中の発電機の容量の総和以下になる範囲で、かつ、負荷電力が大きい配電線の順に判断して条件に合った前記遮断した配電線用遮断器から投入する、ことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、いずれかの発電機が故障によって発電停止すると、負荷電力の総和が、発電中の発電機の容量の総和以下になるように、配電線用遮断器が遮断される。つまり、発電中の発電機の総容量に見合うように負荷が切り分けられる(制限される。)。さらに、待機中(未発電中)の発電機による発電が開始され、配電線用遮断器を遮断する直前の各配電線の負荷電力に基づいて、遮断した配電線用遮断器を投入した場合の負荷電力の総和が、発電中の発電機の容量の総和以下になる範囲で、遮断した配電線用遮断器が投入される。つまり、発電中の発電機の総容量に見合うだけ、遮断した配電線用遮断器が投入されて電力供給(負荷)が回復される。
【0010】
請求項2の発明は、複数の発電機を備える単独運転系統において各種機器を制御する単独運転発電所の制御プログラムであって、コンピュータを、計測された各配電線の負荷電力を記憶する記憶手段と、前記各配電線に配設された配電線用遮断器を制御する配電線用遮断器制御手段と、前記各発電機を制御する発電機制御手段、として機能させ、いずれかの前記発電機が故障によって発電停止した場合に、前記配電線用遮断器制御手段は、前記負荷電力の総和が、前記故障した発電機を除く発電中の発電機の容量の総和以下になるように、かつ、負荷電力が大きい配電線の順に前記配電線用遮断器を遮断し、前記発電機制御手段は、待機中の発電機を起動して発電を開始させ、その後、前記配電線用遮断器制御手段は、前記配電線用遮断器を遮断する直前に前記記憶手段に記憶された負荷電力に基づいて、前記遮断した配電線用遮断器を投入した際の前記負荷電力の総和が、発電中の発電機の容量の総和以下になる範囲で、かつ、負荷電力が大きい配電線の順に判断して条件に合った前記遮断した配電線用遮断器から投入する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1および請求項2の発明によれば、いずれかの発電機が発電停止すると、発電中の発電機の総容量に見合うように負荷が切り分けられるため、需要と供給のバランスが適正に維持される。このため、発電中の残りの発電機が過負荷状態になることによる全停電を、防止・抑制することが可能となる。また、待機中の発電機による発電が開始され、発電中の発電機の総容量に見合うだけ、遮断した配電線用遮断器が投入されて電力供給が回復されるため、適正な電力供給を維持することが可能となる。
【0013】
このような結果、全停電への波及を回避することができ、全停電からの復旧時間を短縮できるとともに、当直員の復旧操作を軽減することができ、さらには、誤判断による誤操作を防止・抑制することができる。同様に、発電機の自動起動や配電線への自動送電を行えることで、現状把握時間および停電復旧時間を短縮できるとともに、当直員の復旧操作を軽減することができ、さらには、誤判断による誤操作を防止・抑制することができる。このようにして、電力供給の安定性、信頼性を向上させることができるものである。
【0014】
しかも、負荷電力が大きい配電線の順に配電線用遮断器が遮断されるため、全停電をより防止・抑制して、より多くの需要家・負荷に電力供給を継続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の実施の形態に係る単独運転発電所の制御システムが適用された、電力系統を示す図である。
図2図1の制御システムによる制御フローを示す第1のフローチャートである。
図3図2の続きを示す第2のフローチャートである。
図4図2図3の続きを示す第3のフローチャートである。
図5図3図4の続きを示す第4のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。
【0017】
図1は、この発明の実施の形態に係る単独運転発電所の制御システム1が適用された、電力系統を示す図である。この制御システム1は、複数の発電機G1〜Gnを備える単独運転系統において各種機器を制御する制御システムであり、主として、負荷電力計測器(負荷電力計測手段)2と、配電線用遮断器制御装置(配電線用遮断器制御手段)3と、発電機制御装置(発電機制御手段)4と、発電機用遮断器制御装置5と、を備える。
【0018】
ここで、各発電機G1〜Gnには、発電機用遮断器52G1〜52Gnが配設され、各配電線L1〜Lnには、配電線用遮断器52F1〜52Fnが配設され、また、各発電機G1〜Gnと各配電線L1〜Lnとは、母線L0を介して接続されている。なお、「n」は、任意の数を示すものである。
【0019】
負荷電力計測器2は、配電線L1〜Lnの負荷電力を計測して記憶する機器であり、各配電線L1〜Lnに配設されている。この実施の形態では、定期的(5秒ごと)に供給負荷電力を計測、記憶するようになっている。
【0020】
配電線用遮断器制御装置3は、各配電線L1〜Lnに配設された配電線用遮断器52F1〜52Fnを制御する装置、発電機制御装置4は、各発電機G1〜Gnを制御する装置、発電機用遮断器制御装置5は、各発電機G1〜Gnの発電機用遮断器52G1〜52Gnを制御する装置であり、
いずれかの発電機G1〜Gnが重故障によって発電停止した場合(発電機用遮断器52G1〜52Gnがトリップした場合)に、配電線用遮断器制御装置3は、負荷電力の総和が、故障した発電機G1〜Gnを除く発電中の発電機G1〜Gnの容量の総和以下になるように、配電線用遮断器52F1〜52Fnを遮断し、発電機制御装置4は、待機中(予備)の発電機G1〜Gnを起動して発電を開始させ、
その後、配電線用遮断器制御装置3は、配電線用遮断器52F1〜52Fnを遮断する直前に負荷電力計測器2で計測、記憶された負荷電力に基づいて、遮断した配電線用遮断器52F1〜52Fnを投入した際の負荷電力の総和が、発電中の発電機G1〜Gnの容量の総和以下になる範囲で、遮断した配電線用遮断器52F1〜52Fnを投入する、
ものである。
【0021】
すなわち、いずれかの発電機G1〜Gnが故障によって発電停止した場合、まず、負荷切り分け処理として、配電線用遮断器制御装置3によって、配電線L1〜Lnへの負荷電力の総和(合計)が、故障した発電機G1〜Gnを除く発電中(待機中を除く)の発電機G1〜Gnの容量の総和以下になるように、配電線用遮断器52F1〜52Fnを遮断する。この際、この実施の形態では、負荷電力が大きい配電線L1〜Lnの順に配電線用遮断器52F1〜52Fnを遮断する。また、配電線L1〜Lnへの負荷電力の総和は、直前・直近に各負荷電力計測器2で計測、記憶された負荷電力に基づいて算出する。
【0022】
と同時に、発電機起動処理として、発電機制御装置4によって、待機中の健全な発電機G1〜Gnを起動して発電を開始させる。つまり、この実施の形態では、故障した発電機G1〜Gn以外のすべての発電機G1〜Gnによる発電を開始する。ここで、発電機G1〜Gnが発電停止したことは、別のシステム・装置によって検出され、その検出結果が本制御システム1に送信・伝送されるようになっている。
【0023】
次に、遮断器投入処理として、配電線用遮断器制御装置3によって、負荷切り分け処理で配電線用遮断器52F1〜52Fnを遮断する直前に各負荷電力計測器2で計測、記憶された負荷電力に基づいて、遮断した配電線用遮断器52F1〜52Fnを投入しても負荷電力の総和が、発電中の発電機G1〜Gnの容量の総和以下になる範囲内で、遮断した配電線用遮断器52F1〜52Fnを投入する。つまり、発電機起動処理によって発電中の発電機G1〜Gnの容量の総和が増加したため、負荷切り分け処理前の負荷電力に基づいて、遮断器再投入後の負荷電力の総和が、発電中の発電機G1〜Gnの容量(発電量)の総和以下になる範囲内で、遮断した配電線用遮断器52F1〜52Fnを再投入するものである。
【0024】
具体的には、図2に示すように、2台以上の発電機G1〜Gnが発電中・運転中の通常時において、各負荷電力計測器2によって各配電線L1〜Lnの負荷電力を5秒ごとに計測、記憶し(ステップS1)、いずれかの発電機G1〜Gnが重故障して発電停止すると(ステップS2)、次のような負荷切り分け処理等(重故障処理)を実行する(ステップS3)。この際、負荷切り分けの機能動作等(動作状況)をディスプレイに逐次表示する(ステップS4)とともに、各配電線用遮断器52F1〜52Fnの再閉路リレーをロックする(ステップS5)。ここで、配電線L1、L2〜Lnの順に負荷電力が大きく、また、2台以上の発電機G1〜Gnが発電中で、1台以上の健全な発電機G1〜Gnが待機中であるものとして、以下に説明する。
【0025】
負荷切り分け処理においては、図3に示すように、まず、故障した発電機G1〜Gnを除く発電中の発電機G1〜Gnの定格容量(定格発電量)の総和が、直前(5秒前)の配電線L1〜Lnの負荷電力の総和よりも小さいか否かを判断する(ステップS6)。その結果、小さくない場合、つまり、発電中の発電機G1〜Gnによってすべての配電線L1〜Lnへの電力供給を賄える場合には、後述するステップS30に進む。一方、ステップS6で小さいと判断した場合には、配電線用遮断器制御装置3によって第1の配電線用遮断器52F1に遮断指令を送信し、これを受けて第1の配電線用遮断器52F1が遮断する(ステップS7)。
【0026】
続いて、故障した発電機G1〜Gnを除く発電中の発電機G1〜Gnの定格容量の総和が、第1の配電線L1を除く配電線L2〜Lnの負荷電力の総和よりも小さいか否か、換言すると、ステップS6における負荷電力の総和から直前(5秒前)の第1の配電線L1の負荷電力を差し引いた負荷電力よりも小さいか否か、を判断する(ステップS8)。その結果、小さくない場合、つまり、発電中の発電機G1〜Gnによって配電線L2〜Lnへの電力供給を賄える場合には、負荷切り分け処理を終了する。一方、ステップS8で小さいと判断した場合には、配電線用遮断器制御装置3によって第2の配電線用遮断器52F2に遮断指令を送信して遮断する(ステップS9)。
【0027】
このようにして、発電中の発電機G1〜Gnによって配電線L1〜Lnへの電力供給を賄えるまで、換言すると、配電線L1〜Lnへの負荷電力の総和が、発電中の発電機G1〜Gnの総定格容量以下になるまで、負荷電力が大きい配電線L1〜Lnの順に配電線用遮断器52F1〜52Fnを順次に遮断する。
【0028】
従って、発電中の発電機G1〜Gnの定格容量の総和が、配電線L1〜L(n−1)を除く配電線Lnの負荷電力の総和よりも小さいか否かを判断し(ステップS10)、小さいと判断した場合には、配電線用遮断器制御装置3によって第nの配電線用遮断器52Fnに遮断指令を送信して遮断する(ステップS11)ものである。
【0029】
このような負荷切り分け処理と並行して、発電機起動処理を実行する。すなわち、図4に示すように、発電機制御装置4によって、待機中の健全な発電機(既に発電中の発電機や重故障の発電機を除く)G1〜Gnを起動して発電を開始させる(ステップS12)とともに、発電機用遮断器制御装置5によって、これらの発電機G1〜Gnの発電機用遮断器52G1〜52Gnを投入する(ステップS13)。続いて、所定時間のタイマーをセットし(ステップS14)、タイマー満了後に、次のような遮断器投入処理を実行する。ここで、タイマーの時間は、ステップS12、S13での発電機G1〜Gnが発電開始して電力供給できる時間(例えば、20秒)に設定されており、任意に変更可能にしてもよい。
【0030】
遮断器投入処理においては、まず、負荷切り分け処理によって第1の配電線用遮断器52F1が遮断していない場合(ステップS15で「No」の場合)には、ステップS30に進む。一方、第1の配電線用遮断器52F1が遮断している場合(ステップS15で「Yes」の場合)には、発電中の発電機G1〜Gnの定格容量の総和が、遮断される直前(5秒前)の第1の配電線L1の負荷電力と現在供給中の(遮断していない)配電線L1〜Lnの負荷電力とを加算した総負荷電力以上であるか、つまり、待機中の発電機G1〜Gnが起動したことで第1の配電線L1への電力供給を賄えるか否か、を判断する(ステップS16)。ここで、確実に電力供給できることを判断するために、総定格容量が総負荷電力の1.1倍よりも大きいか否かを判断する。
【0031】
その結果、総定格容量が総負荷電力の1.1倍よりも大きくない場合には、ステップS20に進む。一方、1.1倍よりも大きく、かつ、ステップS7で第1の配電線用遮断器52F1が遮断されている場合(アンド回路R1通過の場合)には、配電線用遮断器制御装置3によって、第1の配電線用遮断器52F1の再閉路リレーのロックを解除して(ステップS17)、第1の配電線用遮断器52F1を投入する(ステップS18)。続いて、所定時間のタイマーをセットし(ステップS19)、タイマー満了後に、ステップS20に進む。ここで、タイマーの時間は、第1の配電線用遮断器52F1の投入後に電力供給が安定する時間(例えば、65秒)に設定されており、任意に変更可能にしてもよい。ここで、図4図5における符号R2は、オア回路を示す。
【0032】
次に、負荷切り分け処理によって第2の配電線用遮断器52F2が遮断していない場合(ステップS20で「No」の場合)には、ステップS30に進む。一方、第2の配電線用遮断器52F2が遮断している場合(ステップS20で「Yes」の場合)には、図5に示すように、発電中の発電機G1〜Gnの総定格容量が、遮断される直前(5秒前)の第2の配電線L2の負荷電力と現在供給中の(遮断していない)配電線L1〜Lnの負荷電力とを加算した総負荷電力以上であるか、つまり、待機中の発電機G1〜Gnが起動したことで第2の配電線L2への電力供給を賄えるか否か、を判断する(ステップS21)。ここで、ステップS18で第1の配電線用遮断器52F1が投入されている場合には、第1の配電線L1も現在供給中の配電線L1〜Lnに含まれる。また、ステップS16と同様に、総定格容量が総負荷電力の1.1倍よりも大きいか否かを判断する。
【0033】
その結果、総定格容量が総負荷電力の1.1倍よりも大きくない場合には、ステップS25に進む。一方、1.1倍よりも大きく、かつ、ステップS9で第2の配電線用遮断器52F2が遮断されている場合(アンド回路R1通過の場合)には、配電線用遮断器制御装置3によって、第2の配電線用遮断器52F2の再閉路リレーのロックを解除して(ステップS22)、第2の配電線用遮断器52F2を投入する(ステップS23)。続いて、所定時間のタイマーをセットし(ステップS24)、タイマー満了後に、ステップS25に進む。
【0034】
このようにして、配電線L1〜Lnの総負荷電力が発電中の発電機G1〜Gnの総定格容量以下の範囲内で、遮断した配電線用遮断器52F1〜52Fnを順次に再投入する。従って、第nの配電線用遮断器52Fnが遮断している場合(ステップS25で「Yes」の場合)、発電中の発電機G1〜Gnの総定格容量が、遮断される直前(5秒前)の第nの配電線Lnの負荷電力と現在供給中の(遮断していない)配電線L1〜Lnの負荷電力とを加算した総負荷電力以上であるか、つまり、待機中の発電機G1〜Gnが起動したことで第nの配電線Lnへの電力供給を賄えるか否か、を判断する(ステップS26)。
【0035】
その結果、総定格容量が総負荷電力の1.1倍よりも大きくない場合には、ステップS30に進む。一方、1.1倍よりも大きく、かつ、ステップS11で第nの配電線用遮断器52Fnが遮断されている場合(アンド回路R1通過の場合)には、配電線用遮断器制御装置3によって、第nの配電線用遮断器52Fnの再閉路リレーのロックを解除して(ステップS27)、第nの配電線用遮断器52Fnを投入する(ステップS28)。続いて、所定時間のタイマーをセットし(ステップS29)、タイマー満了後に、ステップS30に進む。
【0036】
このように、配電線L1〜Lnの総負荷電力が発電中の発電機G1〜Gnの総定格容量以下の範囲内で、投入可能な配電線用遮断器52F1〜52Fnを投入するため、一部の配電線用遮断器52F1〜52Fnは投入されるが、他の配電線用遮断器52F1〜52Fnは投入されない状態が発生し得る。例えば、負荷電力が最も大きい第1の配電線L1の配電線用遮断器52F1は投入されないが、第2の配電線用遮断器52F2は投入される、という状態が発生する場合がある。
【0037】
そして、ステップS30において、すべての配電線用遮断器52F1〜52Fnの再閉路リレーのロックを解除し、負荷切り分け処理等(重故障処理)を完了して(ステップS31)、負荷切り分けの機能等が完了した旨をディスプレイに表示する(ステップS32)ものである。
【0038】
以上のように、この単独運転発電所の制御システム1によれば、いずれかの発電機G1〜Gnが発電停止すると、まず、発電中の発電機G1〜Gnの総容量に見合うように、配電線用遮断器52F1〜52Fnが遮断されて負荷が切り分けられるため、需要と供給のバランスが適正に維持される。このため、発電中の残りの発電機G1〜Gnが過負荷状態になることによる全停電を、防止・抑制することが可能となる。また、待機中の発電機G1〜Gnによる発電が開始され、増加した発電中の発電機G1〜Gnの総容量に見合うだけ、遮断した配電線用遮断器52F1〜52Fnが投入されて電力供給が回復されるため、適正な電力供給を維持することが可能となる。しかも、負荷電力が大きい配電線L1〜Lnの順に配電線用遮断器52F1〜52Fnが遮断されるため、全停電をより防止・抑制して、より多くの需要家・負荷に電力供給を継続することが可能となる。
【0039】
このような結果、全停電への波及を回避することができ、全停電からの復旧時間を短縮できるとともに、当直員の復旧操作を軽減することができ、さらには、誤判断による誤操作を防止・抑制することができる。同様に、発電機G1〜Gnの自動起動や配電線L1〜Lnへの自動送電を行えることで、現状把握時間および停電復旧時間を短縮できるとともに、当直員の復旧操作を軽減することができ、さらには、誤判断による誤操作を防止・抑制することができる。このようにして、電力供給の安定性、信頼性を向上させることができるものである。
【0040】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、負荷切り分け処理において、負荷電力が大きい配電線L1〜Lnの順に配電線用遮断器52F1〜52Fnを順次に遮断しているが、発電中の発電機G1〜Gnの各定格容量と、配電線L1〜Lnの各負荷電力とに基づいて、遮断器遮断後の総負荷電力が、発電中の発電機G1〜Gnの総定格容量に最も近くなるように(最大限に電力を供給できるように)、配電線用遮断器52F1〜52Fnを選択して遮断してもよい。
【0041】
また、次のような単独運転発電所の制御プログラムを、単独運転発電所の制御コンピュータなどにインストールすることで、本制御システム1と同等の効果を得るようにしてもよい。
【0042】
すなわち、複数の発電機G1〜Gnを備える単独運転系統において各種機器を制御する単独運転発電所の制御プログラムであって、コンピュータを、
計測された各配電線L1〜Lnの負荷電力を記憶する記憶手段と、
各配電線L1〜Lnに配設された配電線用遮断器52F1〜52Fnを制御する配電線用遮断器制御手段(配電線用遮断器制御装置3)と、
各発電機G1〜Gnを制御する発電機制御手段(発電機制御装置4)、として機能させ、
いずれかの発電機G1〜Gnが故障によって発電停止した場合に、配電線用遮断器制御手段は、負荷電力の総和が、故障した発電機G1〜Gnを除く発電中の発電機G1〜Gnの容量の総和以下になるように、配電線用遮断器52F1〜52Fnを遮断し、発電機制御手段は、待機中の発電機G1〜Gnを起動して発電を開始させ、
その後、配電線用遮断器制御手段は、配電線用遮断器52F1〜52Fnを遮断する直前に記憶手段に記憶された負荷電力に基づいて、遮断した配電線用遮断器52F1〜52Fnを投入した際の負荷電力の総和が、発電中の発電機G1〜Gnの容量の総和以下になる範囲で、遮断した配電線用遮断器52F1〜52Fnを投入する、ものである。
【0043】
ここで、記憶手段は、例えば、各負荷電力計測器2で計測された各配電線L1〜Lnの負荷電力を、各負荷電力計測器2などから受信して記憶する。
【符号の説明】
【0044】
1 単独運転発電所の制御システム
2 負荷電力計測器(負荷電力計測手段)
3 配電線用遮断器制御装置(配電線用遮断器制御手段)
4 発電機制御装置(発電機制御手段)
5 発電機用遮断器制御装置
G1〜Gn 発電機
L1〜Ln 配電線
52G1〜52Gn 発電機用遮断器
52F1〜52Fn 配電線用遮断器
図1
図2
図3
図4
図5