(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態に係る定着装置用加圧ユニット、定着装置、及び画像形成装置について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実質的に同一の機能を有する部材には、全図面を通して同じ符合を付与し、重複する説明は適宜省略する場合がある。
【0016】
<定着装置用加圧ユニット>
本実施形態に係る定着装置用加圧ユニットは、定着装置の無端ベルトの内周面と摺動する摺動面を有する摺動部材と、前記摺動部材の摺動面を前記無端ベルトの内周面に押圧する押圧部材と、前記押圧部材に対し、前記摺動部材とは反対側に配置され、前記摺動部材の摺動面が前記無端ベルトの内周面と摺動するときに生じる振動を抑制する振動抑制部材と、を備えている。
【0017】
本実施形態に係る定着装置用加圧ユニット(以下、「加圧ユニット」という場合がある。)を定着装置の無端ベルト(加圧ベルト又は加熱ベルト)に適用することで摺動部材と無端ベルトとの摺動による音の発生が抑制される。
摺動部材の摺動面が定着装置における無端ベルト(加圧ベルト又は加熱ベルト)の内周面と摺動すると、摩擦により振動して音が発生すると考えられる。
これに対し、本実施形態に係る本実施形態に係る加圧ユニットは、押圧部材に対し、摺動部材とは反対側に振動抑制部材が配置されているため、摺動部材と無端ベルトとの摺動による振動が抑制されることにより音の発生が抑制されると考えられる。
【0018】
図1は、本実施形態に係る加圧ユニットの構成の一例を概略的に示している。
図1に示す加圧ユニット10は、定着装置の無端ベルト(不図示)の内周面と摺動する摺動面2aを有するシート状の摺動部材2(以下、「摺動シート」という場合がある。)と、摺動シート2の摺動面2aを無端ベルトの内周面に押圧する押圧部材4と、押圧部材4に対し、摺動シート2とは反対側に配置され、摺動シート2の摺動面2aが無端ベルトの内周面と摺動するときに生じる振動を抑制するシート状の振動抑制部材6(以下、「振動抑制シート」という場合がある。)と、を備えている。
以下、各構成部材について説明する。
【0019】
〔摺動部材〕
摺動部材2を構成する材料としては、例えば樹脂材料が挙げられる。具体的には、例えば、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルエーテルエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
これらのうち、被摺動部材(無端ベルト)に対する摩擦係数を低く制御しやすい樹脂材料としては、例えばフッ素樹脂が挙げられる。
【0020】
フッ素樹脂の具体例としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、またはこれらの変性体等が挙げられる。摺動面における摩擦係数を低く抑える観点から、完全フッ素化されたPFA、PTFE、又はFEPを用いることが好ましい。
また、耐熱性を有し、かつ、機械的強度を有する樹脂材料としては、例えばポリイミド樹脂が挙げられる。
【0021】
摺動部材2は、単層で構成されてもよいが、2層以上で構成されていてもよい。具体的には、例えば、PTFEの単層で構成された摺動部材、PTFEの層とポリイミド樹脂の層とで構成され、PTFEの層が摺動面である2層構造の摺動部材等が挙げられる。
また、摺動部材2は、同種の材料を2層以上積層したものや、3層以上で構成されたものであってもよい。
【0022】
摺動部材2の厚みについては、摺動部材2の層構成や樹脂材料の種類等によって選択されるが、例えば20μm以上300μm以下が挙げられ、50μm以上250μm以下であってもよい。
【0023】
摺動部材2は、必要に応じて充填材等その他添加剤を含んでもよい。
充填材としては、例えば、導電性付与、耐久性、熱伝導性を向上させる目的で添加される充填材が挙げられる。
充填材の具体例としては、例えば、金属酸化物粒子、ケイ酸塩鉱物、カーボンブラック、窒素化合物等が挙げられる。この中でも、導電性を付与する目的で添加される充填材としては、例えば、ケッチェンブラック、黒鉛、アセチレンブラックが挙げられる。また、熱伝導性を付与する目的で添加される充填材としては、例えば、黒鉛、銅、銀、窒化アルミ、窒化硼素、アルミナが挙げられる。充填材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
充填材の平均粒径としては、例えば0.01μm以上20μmの範囲が挙げられる。
充填材の含有量としては、例えば、摺動部材を構成する樹脂材料100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下の範囲が挙げられる。
【0024】
〔押圧部材〕
押圧部材4は、定着ベルト(加熱ベルト又は加圧ベルト)の幅方向において、記録媒体が通過する領域よりも広い領域にわたって配置され、この押圧部材4の長手方向の略全長に亘って摺動部材2の摺動面2aを定着ベルトの内周面に押圧し、さらに定着ベルトを定着ロール(加圧ロール又は加熱ロール)に押圧するように構成されている。
なお、押圧部材4の定着ロールと対向する側の面は、定着ベルトと定着ロールとにより記録媒体が挟み込まれる挟込領域N(ニップ部)が広く形成されるように、定着ロールの外周面に沿って湾曲した形状となっている。
【0025】
押圧部材4は、例えば、金属、耐熱樹脂、耐熱ゴム等により構成される部材である。
押圧部材4を構成する材料として、具体的には、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性材料や、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルサルフォン(PES)や液晶ポリマー(LCP)等の耐熱性樹脂等が挙げられる。
【0026】
押圧部材4は、空隙(気泡)を有することが好ましい。押圧部材4が空隙を有することで、摺動部材と無端ベルトとの摺動により生じる音が押圧部材によって吸収され、音をより低減させることができる。
押圧部材4における空隙は、独立気泡構造でもよいし、連続気泡構造でもよい。
【0027】
押圧部材4における空隙率(押圧部材に占める空隙全体の体積の割合)が小さすぎると吸音効果が十分発揮されず、空隙率が大き過ぎると無端ベルトに対する荷重の均一性が低下する可能性がある。そのため、押圧部材4の空隙率は、10%以上50%以下が好ましく、30%以上50%以下がより好ましい。
【0028】
空隙を有する押圧部材を製造する方法は特に限定されないが、例えば、耐熱樹脂のポリフェ二レンスルファイト、LCP(液晶ポリマー)などにガラスビーズなど空隙を形成できるフィラーを配合した材料を用いて射出成形することにより製造することができる。
【0029】
〔振動抑制部材〕
振動抑制部材6は、押圧部材4に対し、摺動部材2とは反対側(以下、裏面側という場合がある。)に配置され、摺動部材2の摺動面2aが無端ベルトの内周面と摺動するときに生じる振動を抑制するものであればよい。
【0030】
振動抑制部材6は、振動を効果的に抑制する観点から押圧部材4の裏面側全体に配置されていることが好ましいが、押圧部材4の裏面側の一部に配置されていてもよい。
また、振動抑制部材6による制振効果が得られれば、振動抑制部材6と押圧部材4との間に他の部材(例えば、断熱部材)が配置されていてもよい。
【0031】
振動抑制部材6は、振動を効果的に抑制する観点から、弾性材料により構成されていることが好ましく、JISA硬度が50度以下の弾性材料により構成されていることがより好ましい。
なお、振動抑制部材6を構成する弾性材料のJISA硬度が低過ぎると、Nipの安定性不足となる可能性があるため、振動抑制部材6を構成する弾性材料のJISA硬度は10度以上であることが好ましい。
【0032】
JISA硬度は、JIS K 6253(1997)に準拠して、高分子計測機器(株)製 デュロメータ タイプA硬度計:ASKER A型で計測することができる。
【0033】
振動抑制部材6は、厚みが大きいほど高い制振効果が得られ易いが、振動抑制部材6が厚過ぎると、本実施形態に係る加圧ユニット全体の厚みが増して支持部材による安定性が低下し、無端ベルトに対する荷重の均一性が低下する可能性がある。そのため、振動抑制部材の厚みは0.1mm以上2mm以下が好ましい。
【0034】
本実施形態に係る振動抑制部材6は、市販品を用いてもよい。例えば、(株)エクシールコーポレーション製のハイパーゲルシートなどが挙げられる。
【0035】
<定着装置>
本実施形態に係る定着装置は、第1回転体と、前記第1回転体の外面に接して配置される第2回転体と、前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方を昇温させる昇温手段と、前記本実施形態に係る定着装置用加圧ユニットと、を備え、前記第1回転体及び前記第2回転体の少なくとも一方が無端ベルトであり、前記定着装置用加圧ユニットの摺動部材の摺動面が前記無端ベルトの内周面と摺動する構成を有する。
【0036】
本実施形態に係る定着装置としては、種々の構成があるが、第1実施形態として、加熱ベルトと、加圧ロールと、を備えた定着装置を、第2実施形態として、加熱ロールと、加圧ベルトと、を備えた定着装置をそれぞれ具体的に説明する。
【0037】
〔第1実施形態に係る定着装置〕
図2は、第1実施形態に係る定着装置80の構成の一例を示す概略図である。
【0038】
図2に示す定着装置80は、加圧ロール88(第1回転体の一例)と、加熱ベルト84(第2回転体の一例)と、加圧ユニットと、電磁誘導装置90(昇温手段の一例)とを備えた、電磁誘導発熱方式の定着装置である。加圧ユニットは、摺動シート2(摺動部材の一例)と、押圧パッド4(押圧部材の一例)と、振動抑制シート6(振動抑制部材の一例)とから構成されている。
【0039】
加圧ロール88と加熱ベルト84は互いに外周面が接触するように配置され、加圧ロール88と加熱ベルト84とが接触する領域に記録媒体が挟み込まれる挟込領域N(ニップ部)が形成されている。
【0040】
加圧ロール88は、例えば、基材層88A、弾性層88B、及び離型層88Cを有する。
【0041】
加熱ベルト84は、内周側から順に、例えば、基材層、電磁誘導によって発熱する発熱層、弾性層、及び離型層が積層されて、無端状に構成されている。
【0042】
加熱ベルト84の内側には、加圧ロール88と対向する位置に加圧ユニット(摺動シート2、押圧パッド4、振動抑制シート6)が配置されている。
【0043】
摺動シート2は、シート状に構成され、加熱ベルト84と押圧パッド4との間に、その摺動面が被摺動部材である加熱ベルト84の内周面と接するように配置されている。
【0044】
加圧ユニット(摺動シート2、押圧パッド4、振動抑制シート6)は、支持部材86によって支持されており、加熱ベルト84が巻き掛けられ、加熱ベルト84を加圧ロール88へ押圧する。
例えば押圧パッド4の上流には、加熱ベルト84の内周面に潤滑剤(オイル)を供給する手段である潤滑剤供給装置(不図示)が取り付けられていてもよい。
【0045】
電磁誘導装置90は、加熱ベルト84を挟んで加圧ロール88と対向する位置に配置され、加熱ベルト84の発熱層を電磁誘導によって発熱させる。
電磁誘導装置90は、電磁誘導コイル(励磁コイル)91を内蔵する。電磁誘導装置90は、電磁誘導コイル91に交流電流を印加し磁場を発生させ、この磁場を励磁回路で変化させ、加熱ベルト84の発熱層に渦電流を発生させる。この渦電流が発熱層の電気抵抗によって熱(ジュール熱)に変換され、加熱ベルト84の表面が発熱して昇温する。
【0046】
未定着トナー像Tを用紙K(記録媒体)に定着させる際、加熱ベルト84は、駆動装置(不図示)により矢印Cの方向に回転し、この回転に従動して加圧ロール88は、加熱ベルト84の回転方向と反対の方向に回転する。
【0047】
未定着トナー像Tを有する用紙K(記録媒体)は、定着装置80の挟込領域Nに搬送される。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上のトナー像は挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
【0048】
〔第2実施形態に係る定着装置〕
図3は、第2実施形態に係る定着装置60の構成の一例を示す概略図である。
【0049】
図3に示す定着装置60は、加熱ロール61(第1回転体の一例)と、加圧ベルト62(第2回転体の一例)と、加圧ユニットと、ハロゲンランプ66(昇温手段の一例)と、を備える。加圧ユニットは、摺動シート2(摺動部材の一例)、押圧パッド4a,4b(押圧部材の一例)と、振動抑制シート6(振動抑制部材の一例)とにより構成されている。
【0050】
加熱ロール61と加圧ベルト62は互いに外周面が接触するように配置され、加熱ロール61と加圧ベルト62とが接触した領域には、記録媒体が挟み込まれる挟込領域N(ニップ部)が形成される。
【0051】
加熱ロール61は、その内部にハロゲンランプ66(昇温手段の一例)を備える。昇温手段である加熱源は、ハロゲンランプに限られず、発熱する他の発熱部材でもよい。
加熱ロール61の外周面には、感温素子69が接触して配置されている。感温素子69による温度計測値に基づいて、ハロゲンランプ66の点灯が制御され、加熱ロール61の表面温度が設定した温度(例えば150℃)に維持される。
加熱ロール61は、例えば金属製のコア(円筒状芯金)611の周囲に耐熱性弾性体層612及び離型層613をこの順に積層して構成される。
【0052】
加圧ベルト62は、無端状に構成されており、その内部に配置された加圧ユニット(摺動シート2、押圧パッド4a,4b、振動抑制シート6)とベルト走行ガイド63とによって回転自在に支持されている。
【0053】
押圧パッドは、挟込領域Nの入口側に前挟込部材4aを備え、挟込領域Nの出口側に剥離挟込部材4bを備える。
前挟込部材4aは、加熱ロール61の外周形状に沿う凹形状に構成されて、挟込領域Nの長さ(摺動方向の距離)を確保する。
剥離挟込部材4bは、加熱ロール61の外周面に対し突出する形状に構成されて、挟込領域Nの出口領域において加熱ロール61に局所的な歪みを生じさせ、定着後の記録媒体の加熱ロール61からの剥離を容易にする。
【0054】
摺動シート2は、加圧ベルト62と押圧パッド4a,4bとの間に、その摺動面が被摺動部材である加圧ベルト62の内周面と接するように配置されている。摺動シート2は、加圧ベルト62の内周面と押圧パッド4a,4bとの摺動抵抗を小さくするために、前挟込部材4a及び剥離挟込部材4bを覆うように配置される。
【0055】
支持部材65は、加圧ユニット(摺動シート2、押圧パッド4a,4b、振動抑制シート6)を支持する。支持部材65は、例えば金属製である。
支持部材65には、ベルト走行ガイド63が取り付けられている。ベルト走行ガイド63に沿って加圧ベルト62が回転する。
ベルト走行ガイド63には、加圧ベルト62の内周面に潤滑剤(オイル)を供給する手段である潤滑剤供給装置67が取り付けられていてもよい。
【0056】
挟込領域Nの下流側には、記録媒体の剥離の補助手段として、剥離部材70が備えられる。剥離部材70は、剥離爪71と、剥離爪71を保持する保持部材72と、を備える。剥離爪71は、加熱ロール61の回転方向と対向する向き(カウンタ方向)に加熱ロール61と近接する状態で配置されている。
【0057】
加熱ロール61は、駆動装置(不図示)により矢印Cの方向に回転し、この回転に従動して加圧ベルト62は、加熱ロール61の回転方向と反対の方向に回転する。
【0058】
未定着トナー像を有する用紙K(記録媒体)は、定着入口ガイド56によって導かれて、挟込領域Nに搬送される。そして、用紙Kが挟込領域Nを通過する際に、用紙K上のトナー像は挟込領域Nに作用する圧力と熱とによって定着される。
【0059】
<画像形成装置>
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、前記像保持体の表面を帯電させる帯電装置と、帯電された前記像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、前記潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記トナー像を記録媒体に定着する本実施形態に係る定着装置と、を備える。
【0060】
以下に、本実施形態に係る画像形成装置について、一例である電子写真方式の画像形成装置を挙げて説明する。本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真方式の画像形成装置に限られず、電子写真方式以外の公知の画像形成装置(例えば、用紙搬送用の無端ベルトを備えたインクジェット記録装置など)であってよい。
【0061】
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。画像形成装置100は、既述の第2実施形態の定着装置60を備える。画像形成装置100は、定着装置60に替えて、既述の第1実施形態に係る定着装置80を備えてもよい。
【0062】
画像形成装置100は、一般にタンデム型と呼ばれる中間転写方式の画像形成装置である。画像形成装置100は、電子写真方式により各色のトナー像が形成される画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kと、各色のトナー像を中間転写ベルト15に順次転写(一次転写)する一次転写部10と、中間転写ベルト15上に転写された重畳トナー像を記録媒体である用紙Kに一括転写(二次転写)する二次転写部20と、二次転写された画像を用紙K上に定着させる定着装置60と、各装置(各部)の動作を制御する制御部40と、を備える。
【0063】
画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは、中間転写ベルト15の上流側から、1Y(イエロー用ユニット)、1M(マゼンタ用ユニット)、1C(シアン用ユニット)、1K(ブラック用ユニット)の順に、略直線状に配置されている。
画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kはそれぞれ、感光体11(像保持体の一例)を備える。感光体11は、矢印Aの方向に回転する。
【0064】
感光体11の周囲には、帯電器12(帯電装置の一例)と、レーザー露光器13(潜像形成装置の一例)と、現像器14(現像装置の一例)と、一次転写ロール16と、感光体クリーナ17とが、感光体11の回転方向に沿って順次配設されている。
【0065】
帯電器12は、感光体11の表面を帯電させる。
レーザー露光器13は、露光ビームBmを発して、感光体11上に静電潜像を形成する。
現像器14は、各色のトナーを収容しており、感光体11上の静電潜像をトナーにより可視像化する。
一次転写ロール16は、感光体11上に形成されたトナー像を、一次転写部10において、中間転写ベルト15に転写する。
感光体クリーナ17は、感光体11上の残留トナーを除去する。
【0066】
中間転写ベルト15は、ポリイミド又はポリアミド等の樹脂にカーボンブラック等の帯電防止剤を添加した材料からなるベルトである。中間転写ベルト15は、体積抵抗率が例えば10
6Ωcm以上10
14Ωcm以下であり、厚さが例えば0.1mmである。
【0067】
中間転写ベルト15は、駆動ロール31、支持ロール32、張力付与ロール33、背面ロール25、及びクリーニング背面ロール34によって支持され、駆動ロール31の回転に従って矢印Bの方向に循環駆動(回転)される。
駆動ロール31は、定速性に優れたモータ(不図示)により駆動されて中間転写ベルト15を回転させる。
支持ロール32は、4個の感光体11の配列方向に沿って略直線状に延びる中間転写ベルト15を、駆動ロール31と共に支持する。
張力付与ロール33は、中間転写ベルト15に一定の張力を与えると共に、中間転写ベルト15の蛇行を抑制する補正ロールとして機能する。
背面ロール25は、二次転写部20に設けられ、クリーニング背面ロール34は、中間転写ベルト15上の残留トナーを掻き取るクリーニング部に設けられる。
【0068】
一次転写ロール16は、中間転写ベルト15を挟んで感光体11に圧接配置されて、一次転写部10を形成する。
一次転写ロール16には、トナーの帯電極性(マイナス極性とする。以下同じ。)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加される。これにより、各感光体11上のトナー像が中間転写ベルト15に順次、静電吸引され、中間転写ベルト15上に重畳されたトナー像が形成される。
一次転写ロール16は、シャフト(例えば鉄、SUS等の金属の円柱棒)と、シャフトの周囲に固着した弾性層(例えば、カーボンブラック等の導電剤を配合したブレンドゴムのスポンジ層)とで構成された円筒ロールである。一次転写ロール16は、体積抵抗率が例えば10
7.5Ωcm以上10
8.5Ωcm以下である。
【0069】
二次転写ロール22は、中間転写ベルト15を挟んで背面ロール25に圧接配置されて、二次転写部20を形成する。
二次転写ロール22は、背面ロール25との間に二次転写バイアスを形成し、二次転写部20に搬送される用紙K(記録媒体)上にトナー像を二次転写する。
二次転写ロール22は、シャフト(例えば鉄、SUS等の金属の円柱棒)と、シャフトの周囲に固着した弾性層(例えば、カーボンブラック等の導電剤を配合したブレンドゴムのスポンジ層)とで構成された円筒ロールである。二次転写ロール22は、体積抵抗率が例えば10
7.5Ωcm以上10
8.5Ωcm以下である。
【0070】
背面ロール25は、中間転写ベルト15の裏面側に配置されて二次転写ロール22の対向電極を構成し、二次転写ロール22との間に転写電界を形成する。
背面ロール25は、例えば、ゴム基材をカーボンを分散したブレンドゴムのチューブで被覆して構成される。背面ロール25は、表面抵抗率が例えば10
7Ω/□以上10
10Ω/□以下であり、硬度が例えば70°(アスカーC:高分子計器社製、以下同じ。)である。
背面ロール25には、金属製の給電ロール26が接触配置されている。給電ロール26は、トナーの帯電極性(マイナス極性)と同極性の電圧(二次転写バイアス)を印加し、二次転写ロール22と背面ロール25との間に転写電界を形成させる。
【0071】
中間転写ベルト15の二次転写部20の下流側には、中間転写ベルトクリーナ35が、中間転写ベルト15に対し接離自在に設けられている。中間転写ベルトクリーナ35は、二次転写後の中間転写ベルト15上の残留トナーや紙粉を除去する。
【0072】
画像形成ユニット1Yの上流側には、基準センサ(ホームポジションセンサ)42が配設されている。基準センサ42は、各画像形成ユニットにおける画像形成タイミングをとるための基準となる基準信号を発生する。基準センサ42は、中間転写ベルト15の裏側に設けられたマークを認識して基準信号を発生し、この基準信号を認識した制御部40からの指示により、画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kは画像形成を開始する。
画像形成ユニット1Kの下流側には、画質調整を行うための画像濃度センサ43が配設されている。
【0073】
画像形成装置100は、用紙Kを搬送する搬送手段として、用紙収容部50と、給紙ロール51と、搬送ロール52と、搬送ガイド53と、搬送ベルト55と、定着入口ガイド56とを備える。
用紙収容部50は、画像形成前の用紙Kを収容する。
給紙ロール51は、用紙収容部50に収容されていた用紙Kを取り出す。
搬送ロール52は、給紙ロール51により取り出された用紙Kを搬送する。
搬送ガイド53は、搬送ロール52により搬送された用紙Kを二次転写部20へ送り込む。
搬送ベルト55は、二次転写部20で画像が転写された用紙Kを定着装置60へ搬送する。
定着入口ガイド56は、用紙Kを定着装置60に導く。
【0074】
次に、画像形成装置100による画像形成方法について説明する。
画像形成装置100では、画像読取装置(不図示)やコンピュータ(不図示)等から出力された画像データが画像処理装置(不図示)により画像処理され、画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kによって作像作業が実行される。
【0075】
画像処理装置では、入力された反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消しや色編集、移動編集等の画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、Y、M、C、Kの4色の色材階調データに変換され、レーザー露光器13に出力される。
【0076】
レーザー露光器13は、入力された色材階調データに応じて、露光ビームBmを画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの各感光体11に照射する。
画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの各感光体11は、帯電器12によって表面が帯電された後、レーザー露光器13によって表面が走査露光され、静電潜像が形成される。各感光体11上に形成された静電潜像は、各画像形成ユニットによって各色のトナー像として現像される。
【0077】
画像形成ユニット1Y、1M、1C、1Kの各感光体11上に形成されたトナー像は、各感光体11と中間転写ベルト15とが接触する一次転写部10において、中間転写ベルト15上に転写される。一次転写部10では、一次転写ロール16により中間転写ベルト15にトナーの帯電極性(マイナス極性)と逆極性の電圧(一次転写バイアス)が印加され、トナー像が中間転写ベルト15上に順次重ねて転写される。
【0078】
中間転写ベルト15上に一次転写されたトナー像は、中間転写ベルト15が移動することによって、二次転写部20に搬送される。
トナー像が二次転写部20に到達するタイミングに合わせ、用紙収容部50に収容されていた用紙Kが、給紙ロール51、搬送ロール52及び搬送ガイド53によって搬送され、二次転写部20に供給され、中間転写ベルト15と二次転写ロール22との間に挟み込まれる。
そして、転写電界が形成されている二次転写部20において、中間転写ベルト15上のトナー像が、用紙K上に静電転写(二次転写)される。
【0079】
トナー像が静電転写された用紙Kは、二次転写ロール22によって中間転写ベルト15から剥離され、搬送ベルト55によって定着装置60まで搬送される。
定着装置60に搬送された用紙Kは、定着装置60によって加熱・加圧され、未定着トナー像が定着する。
【実施例】
【0080】
以下、実施例を挙げて本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態は以下に示す実施例に限定されるものではない。
【0081】
(摺動シートA1の作製)
架橋PTFEシート(日立金属社製:エクセロンXF−1B、厚さ:0.3mm)を使い、単層の摺動シートA1を得た。
【0082】
(押圧パッドB1の作製)
耐熱樹脂PPS(旭硝子製RG40JA、GF40%入)材料を使用し、射出成型にて作製した。
(押圧パッドB2の作製)
耐熱樹脂PPS(旭硝子製RG40JA、GF40%入)にガラスビーズを体積あたり20%配合した材料を使用し、射出成型にて作製した。
【0083】
(振動抑制シートC1の作製)
JISA硬度が50度を超える耐熱性弾性体の液状シリコンゴム材料を金型に注入し、120℃10分焼成の後、脱型する。その後、200℃4時間の2次加硫することで作製した。
【0084】
(振動抑制シートC2の作製)
JISA硬度が50度以下の耐熱性弾性体の液状シリコンゴム材料を金型に注入し、120℃10分焼成の後、脱型する。その後、200℃4時間の2次加硫することで作製した。
【0085】
<実施例1>
摺動シートA1、押圧パッドB1、及び振動抑制シートC1を積層して加圧ユニットP1を得た。
【0086】
<実施例2>
摺動シートA1、押圧パッドB2、及び振動抑制シートC1を積層して加圧ユニットP2を得た。
【0087】
<実施例3>
摺動シートA1、押圧パッドB1、及び振動抑制シートC2を積層して加圧ユニットP3を得た。
【0088】
<比較例1>
(加圧ユニットの作製)
摺動シートA1及び押圧パッドB1を積層して加圧ユニットP4を得た。
【0089】
[定着装置における音の評価]
富士ゼロックス社製A4カラープリンター DocuPrint C2275の定着装置において、各例で作製した加圧ユニットの摺動シートが定着ベルトの内周面と摺動するように組み込み、J紙(富士ゼロックス社製カラーコピー用紙)A3を通紙して定着装置における音の大きさを耳で評価した。
実施例1の加圧ユニットP1を用いた場合の音の大きさに対し、下記基準により評価した。
【0090】
S1:実施例1の加圧ユニットを用いた場合よりも明らかに音が小さい。
S2:実施例1の加圧ユニットを用いた場合の音と同程度である。
S3:実施例1の加圧ユニットを用いた場合よりも明らかに音が大きい。
【0091】
各例で作製した加圧ユニットの構成及び評価結果を表1に示す。
【0092】
【表1】