(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6540206
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20190628BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
H04R1/02 108
H04M1/02 E
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-95178(P2015-95178)
(22)【出願日】2015年5月7日
(65)【公開番号】特開2016-213642(P2016-213642A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年2月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100207789
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100207572
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 雄人
(72)【発明者】
【氏名】坂 知樹
(72)【発明者】
【氏名】立川 忠則
【審査官】
堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−095108(JP,A)
【文献】
国際公開第2011/070665(WO,A1)
【文献】
特開2007−058584(JP,A)
【文献】
実開平05−009059(JP,U)
【文献】
特開2004−120598(JP,A)
【文献】
特開2014−060494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/02
H04M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が搭載されると共に、筐体内に内蔵され、前記筐体に固定される支持部材と、
マイク部と、厚さ方向に貫通する位置決め孔と、を備えると共に、前記筐体と前記支持部材との間に配置される基板と、
前記支持部材と一体に設けられ、前記基板を前記筐体の内周面に向かって押圧し、前記マイク部を前記内周面に接近させる押圧部と、
前記内周面から前記基板に向かって突出され、前記位置決め孔に嵌合するボスと、
を、備え、
前記筐体は、固定爪により前記基板を取り外し容易に保持する、
電子機器。
【請求項2】
前記押圧部は、前記支持部材と別個に形成された押圧部材が前記支持部材に固定されることで前記支持部材と一体に設けられた請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記押圧部は、前記支持部材と別個に形成され、前記支持部材にネジ止めされて固定されることで前記支持部材と一体に設けられた請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記押圧部は、前記支持部材に設けられた被係合部に係合する係合部を有し、前記係合部を前記被係合部に係合させた状態で前記支持部材に固定される請求項2又は3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記押圧部は、前記基板と前記支持部材との電気的導通を行う導通部を備える請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記筐体は、前記基板を収納する基板収納部を備える請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記押圧部は、前記支持部材とともに一体成形されることで前記支持部材と一体に設けられた請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記マイク部の周囲に遮音部材を備え、前記押圧部は、前記基板を押圧して前記遮音部材を圧縮する請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
電子部品が搭載されると共に、筐体内に内蔵され、前記筐体に固定される支持部材と、
マイク部を備えると共に、前記筐体と前記支持部材との間に配置される基板と、
前記支持部材と一体に設けられ、前記基板を前記筐体の内周面に向かって押圧し、前記マイク部を前記内周面に接近させる押圧部と、
を、備え、
前記押圧部は、前記支持部材と別個に形成された押圧部材が前記支持部材に固定されることで前記支持部材と一体に設けられ、
前記押圧部は、前記支持部材に設けられた被係合部に係合する係合部を有し、前記係合部を前記被係合部に係合させた状態で前記支持部材に固定される、
電子機器。
【請求項10】
電子部品が搭載されると共に、筐体内に内蔵され、前記筐体に固定される支持部材と、
マイク部と、厚さ方向に貫通する位置決め孔と、を備えると共に、前記筐体と前記支持部材との間に配置される基板と、
前記支持部材と一体に設けられ、前記基板を前記筐体の内周面に向かって押圧し、前記マイク部を前記内周面に接近させる押圧部と、
前記内周面から前記基板に向かって突出され、前記位置決め孔に嵌合するボスと、を、備え、
前記押圧部は、前記支持部材とともに一体成形されることで前記支持部材と一体に設けられた、
電子機器。
【請求項11】
電子部品が搭載されると共に、筐体内に内蔵され、前記筐体に固定される支持部材と、
マイク部を備えると共に、前記筐体と前記支持部材との間に配置される基板と、
前記支持部材と一体に設けられ、前記基板を前記筐体の内周面に向かって押圧し、前記マイク部を前記内周面に接近させる押圧部と、
を、備え、
前記押圧部は、前記基板と前記支持部材との電気的導通を行う導通部を備え、
前記筐体は、固定爪により前記基板を取り外し容易に保持する、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、パーソナルコンピュータ(PC)や携帯電話機等の電子機器に、カメラやマイクを駆動する基板が搭載されることがある。このような基板の電子機器への装着に関し、例えば、駆動回路基板を基板保持部の基準面に当接させ、この当接状態を維持させるために、弾性部材によって駆動回路基板を基準面に押し当てる提案がある(例えば、特許文献1参照)。また、回路基板を筐体にアースしつつ固定する提案も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−124650号公報
【特許文献2】特開2000−36675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ネットワークを介したテレビ電話コミュニケーションを行うことができるPC等の電子機器には、マイクを実装した基板が装着される。ここで、電子機器が液晶パネルを装備している場合、基板は、例えば、液晶パネルの周囲を額縁状に囲い、筐体を形成するフロントモールドに専用の部材を用いて固定されることがある。このような専用の部材は、筐体の裏面側に設けられた爪部等によって筐体に直接固定されることによって基板を保持する。専用の部材が用いられることにより、マイクの周囲を覆う遮音部材が押圧され易くなり、マイクに侵入する雑音を遮断する遮音性が向上する。しかしながら、電子機器の組み立てにおいて、専用の部材によって基板を固定する工程は、工数の増加となる。特許文献1や特許文献2は、基板の固定に関する提案であるが、基板を筐体へ固定する際の工数の低減を提案するものとはなっていない。
【0005】
1つの側面では、本明細書開示の電子機器は、組み立て工数の低減を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書開示の電子機器は、電子部品が搭載されると共に、筐体内に内蔵され、前記筐体に固定される支持部材と、マイク部
と、厚さ方向に貫通する位置決め孔と、を備えると共に、前記筐体と前記支持部材との間に配置される基板と、前記支持部材と一体に設けられ、前記基板を前記筐体の内周面に向かって押圧し、前記マイク部を前記内周面に接近させる押圧部と、
前記内周面から前記基板に向かって突出され、前記位置決め孔に嵌合するボスと、を、備え、前記筐体は、固定爪により前記基板を取り外し容易に保持する。
【発明の効果】
【0007】
本明細書開示の電子機器は、組み立て工数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は第1実施形態の電子機器の斜視図である。
【
図2】
図2は第1実施形態の電子機器を後ろ側からみた分解斜視図である。
【
図3】
図3はフロントモールドにシャーシを取り付けた状態を示す説明図である。
【
図4】
図4は押圧部によりカメラ基板を押圧する様子を示す説明図である。
【
図5】
図5はフロントモールドに設けられた基板収納部を示す説明図である。
【
図6】
図6は基板収納部にカメラ基板を収納した状態を示す説明図である。
【
図7】
図7(A)〜(F)はカメラ基板の6面図である。
【
図8】
図8は押圧部材をシャーシに取り付けて一体化した状態を示す説明図である。
【
図11】
図11は押圧部材が取り付けられるシャーシのフランジ部を示す説明図である。
【
図12】
図12は押圧部材に導通部となるガスケットと導通テープを装着した状態を示す説明図である。
【
図13】
図13はシャーシとカメラ基板との位置関係を模式的に示す説明図である。
【
図14】
図14は押圧部が備える当接部がカメラ基板に当接し、カメラ基板を押圧する様子を模式的に示す説明図である。
【
図15】
図15(A)〜(C)はカメラ基板を取り外す様子を時系列的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては、説明の都合上、実際には存在する構成要素が省略されていたり、寸法が実際よりも誇張されて描かれていたりする場合がある。なお、以下の説明における前後方向、左右方向及び上下方向は、
図1にそれぞれ示す方向である。
【0010】
(第1実施形態)
まず、
図1乃至
図14を参照して、本実施形態の電子機器1の概略構成について説明する。
図1は第1実施形態の電子機器1の斜視図である。
図2は第1実施形態の電子機器1を後ろ側からみた分解斜視図である。
図3はフロントモールド2にシャーシ5を取り付けた状態を示す説明図である。
図4は押圧部50によりカメラ基板30を押圧する様子を示す説明図である。
図5はフロントモールド2に設けられた基板収納部7を示す説明図である。
図6は基板収納部7にカメラ基板30を収納した状態を示す説明図である。
図7(A)〜(F)はカメラ基板30の6面図である。
図8は押圧部材51をシャーシ5に取り付けて一体化した状態を示す説明図である。
図9は押圧部材51の斜視図である。
図10(A)〜(F)は押圧部材51の6面図である。
図11は押圧部材51が取り付けられるシャーシ5のフランジ部5aを示す説明図である。
図12は押圧部材51に導通部となるガスケット55と導通テープ56を装着した状態を示す説明図である。
図13はシャーシ5とカメラ基板30との位置関係を模式的に示す説明図である。
図14は押圧部50が備える当接部54がカメラ基板30に当接し、カメラ基板30を押圧する様子を模式的に示す説明図である。
【0011】
本実施形態の電子機器1は、いわゆるタブレット端末であるが、これに限定はされない。すなわち、後に詳述するカメラ基板30のように、マイク部33を備えた基板を備えた装置であれば、電子機器の一例とすることができる。電子機器1は、液晶パネル3の周囲を額縁状に囲うフロントモールド2とリアカバー4を備える。フロントモールド2とリアカバー4は、組み合わされることにより筐体を形成する。
図2を参照すると、フロントモールド2とリアカバー4との間、すなわち、筐体内には、シャーシ5が内蔵されている。シャーシ5は、支持部材の一例である。フロントモールド2及びリアカバー4は、いずれも樹脂製である。一方、本実施形態におけるシャーシ5は、板金により形成されている。シャーシ5には、マザーボードとなる基板6やその他の電子部品が搭載されている。その他の電子部品には、HDD(Hard Disk Drive)等が含まれる。電子機器1は、基板6とは別個に設けられたカメラ基板30を備える。カメラ基板30は、マイク部33を備えると共に、筐体と支持部材との間、具体的に、フロントモールド2とシャーシ5との間に配置される基板である。すなわち、前側から順にフロントモールド2の前面板部22、カメラ基板30、シャーシ5が配置されている。カメラ基板30については、後に詳述する。
【0012】
図1を参照すると、フロントモールド2には、撮影孔2a、マイク孔2b及びランプ孔2cが設けられている。具体的に、フロントモールド2の上縁側に位置する前面板部22に撮影孔2a、マイク孔2b及びランプ孔2cが設けられている。また、前面板部22には、撮影孔2a、マイク孔2b及びランプ孔2cが設けられた位置に合わせてカメラ基板30が収納される基板収納部7が形成されている。基板収納部7に収納されたカメラ基板30は、
図3や
図4に示すように、シャーシ5と一体に設けられた押圧部50によって、筐体の内周面、具体的に、前面板部22の内周面に向かって押圧されている。これにより、カメラ基板30に設けられたマイク部33が前面板部22の内周面に接近する。
【0013】
図5を参照すると、基板収納部7は、フロントモールド2が備える前面板部22の内側に形成されている。基板収納部7は、前面板部22からリアカバー4側に向かって延設されている庇部8を備える。庇部8には、リアカバー4側の端縁であり、かつ、左右方向の一端部に、下方に向かって延びる第1固定爪8aが設けられている。また、庇部8には、第1固定爪8aが設けられた端部とは左右方向で反対側の端部にガイド部8bが設けられている。
【0014】
基板収納部7は、庇部8の下方に、庇部8と対向させて設けられた設置台部9を備える。設置台部9は、前面板部22からリアカバー4側に向かって延設されている。設置台部9には、ガイド部8bが設けられているのと同じ側に腕状部9aが設けられている。腕状部9aは、設置台部9の端部に左右方向に延びるように設けられている。腕状部9aはその素材及び形状から弾性を有しており、その先端部には、第2固定爪9a1を備えている。また、設置台部9には、腕状部9aとは反対側の端部にガイド部9bが設けられている。
【0015】
基板収納部7には、カメラ基板30を支持する第1支持部10と第2支持部11が設けられている。第1支持部10と第2支持部11は、それぞれ、前面板部22の内周面と設置台部9の上面の2面に沿わせて形成されている。すなわち、第1支持部10と第2支持部11は、前面板部22と設置台部9に支持されるように設けられている。第1支持部10には、支持面10aが形成されている。同様に、第2支持部には、支持面11aが形成されている。支持面10a及び支持面11aは、それぞれ、カメラ基板30の表面側を支持する。支持面10a及び支持面11aは、支持したカメラ基板30の上側が前側に向かって迫り出すように傾斜面となっている。また、基板収納部7には、カメラ基板30の位置決めをする位置決めボス12が設けられている。位置決めボス12は、リアカバー4側に向かって突設されている。このような基板収納部7に収納されるカメラ基板30は、
図6に示すようにガイド部8b、9b及び位置決めボス12によって位置決めされると共に、第1固定爪8aと第2固定爪9a1とによって仮固定の状態とされる。
【0016】
ここで、
図7(A)〜(F)を参照しつつ、カメラ基板30について説明する。
図7(A)〜(F)はカメラ基板30の6面図であり、
図7(A)は正面図、
図7(B)は平面図、
図7(C)は底面図、
図7(D)は右側面図、
図7(E)は左側面図、
図7(F)は背面図である。カメラ基板30は、前面30aから背面30bに貫通する位置決め孔31が設けられている。位置決め孔31には、フロントモールド2に形成された位置決めボス12が挿通される。カメラ基板30は、前面30a側にレンズ部32とマイク部33を備える。マイク部33の周囲には、遮音部材34が装着されている。遮音部材34は、マイク部33が集音する際の雑音を遮断する。遮音部材34は、スポンジ状の部材であり、カメラ基板30がフロントモールド2に設置されるときに、カメラ基板30が前面板部22に接近することで、前面板部22の内周面に押し付けられ、遮音性を向上させることができる。
【0017】
基板収納部7に収納されたカメラ基板30は、
図8に示すようにシャーシ5と一体に設けられた押圧部50によって前面板部22の内周面へ押し付けられる。本実施形態では、押圧部50は、シャーシ5と別個に形成された押圧部材51をシャーシ5に固定することでシャーシ5と一体に設けられている。具体的に、シャーシ5と別個に形成された押圧部材51を、ネジ止めによりシャーシ5に固定する。
【0018】
ここで、
図9、
図10(A)〜(F)を参照しつつ、押圧部材51について説明する。なお、
図10(A)〜(F)は押圧部材51の6面図であり、
図10(A)は正面図、
図10(B)は平面図、
図10(C)は底面図、
図10(D)は右側面図、
図10(E)は左側面図、
図10(F)は背面図である。押圧部材51は、樹脂製である。具体的に、押圧部材51は、ABS樹脂によって成形されている。ただし、押圧部材51は、カメラ基板30を押圧できるものであれば、その素材について限定されることはない。押圧部材51は、台座部52を備える。台座部52は、その下面側がシャーシ5への接地面52aとなっている。台座部52には、ネジ孔52bが設けられている。台座部52には、係合部の一例である鉤状の係合片52cが設けられている。係合片52cは、接地面52aから下方へ向かって突設されている。押圧部材51は、台座部52に連設された立壁部53を備える。立壁部53の上縁部には、庇状に延設された補強部53aが設けられている。
【0019】
立壁部53には、二つのブリッジ状の当接部54が設けられている。当接部54は、基板収納部7に収納されたカメラ基板30を押圧するための弾性を有する。当接部54によりカメラ基板30を押圧することにより、カメラ基板30に設けられたマイク部33の周囲に設置された遮音部材が前面板部22に押し付けられる。これにより、マイク部33の遮音効果が向上する。当接部54は、カメラ基板30を適切な力で押圧することができれば、その形状、数は、本実施形態のものに限定されない。本実施形態の当接部54は、矩形のブリッジ状であるが、例えば、アーチ状としてもよい。当接部54には、当接突起54aが設けられている。この当接突起54aが実際にカメラ基板30の背面30bに当接する。当接突起54aを設けることで、当接部54をカメラ基板30に適切に当接させることができる。
【0020】
このような押圧部材51をシャーシ5に固定することで、シャーシ5と一体に設けられた押圧部50が形成される。ここで、
図11を参照して、押圧部材51が固定されるシャーシ5のフランジ部5aについて説明する。フランジ部5aは、シャーシ5の上縁部に形成されており、その上面側が、押圧部材51との接地面5a1となっている。従って、この接地面5a1と押圧部材51の台座部52が備える接地面52aとが対向し、接した状態で押圧部材51がフランジ部5a上に搭載され、固定される。フランジ部5aには、ネジ孔5a2と係合穴5a3が設けられている。ネジ孔5a2は、台座部52に設けられたネジ孔52bとともに、ネジ60によるネジ止めに使用される。係合穴5a3は、被係合部の一例であり、台座部52に設けられた係合片52cが係合される。係合穴5a3は、楕円形状を有しており、係合片52cをスライドさせることで、係合穴5a3と係合片52cとを係合状態とすることができ、また、係合状態を解除することができる。
【0021】
このようなフランジ部5aに押圧部材51が固定されることで、シャーシ5と一体に押圧部50が設けられる。このとき、押圧部材51は、まず、係合片52cを係合穴5a3に係合させ、さらに、
図8に示すようにネジ孔52b、ネジ孔5a2にネジ60を螺合する。このように押圧部材51を固定することで、シャーシ5が恰も上方に延長された状態となる。これにより、シャーシ5をフロントモールド2へ固定することで、押圧部50が液晶パネル3の上側に配置されたカメラ基板30を押圧することができるようになる。
【0022】
このように、本実施形態では、予めシャーシ5に押圧部材51を固定して押圧部50を形成しておくことにより、電子機器1にカメラ基板30を設置する際の工程数を低減することができる。仮に、押圧部がシャーシ5と別体のままであるとすると、カメラ基板30の取り付け時にフロントモールド2に押圧部を取り付ける工程が必要となるところ、本実施形態では、シャーシ5をフロントモールド2に取り付けるだけでよい。
【0023】
シャーシ5へ押圧部材51を固定する作業は、予め行っておくことができる作業である。このため、組立現場には、予め押圧部材51を装着した状態のシャーシ5を納入するようにすることができる。シャーシ5に予め押圧部材51が固定され、押圧部50が形成されていれば、組立現場における工程数が低減されることになる。なお、本実施形態の電子機器1は、
図3に示すように、フロントモールド2の前面板部22に設けられたネジ止めボス22a及びネジ23を用いてネジ止めされることによりシャーシ5がフロントモールド2に固定されている。
【0024】
本実施形態によれば、シャーシ5と一体に押圧部50を設けておくことにより、組立現場における工程数を低減することができる。本実施形態の電子機器1は、さらに、
図12に示すように、ガスケット55と導通テープ56を含む導通部が形成された押圧部材51が用いられている。ガスケット55は、導電性を有する素材によってブロック状に形成されている。ガスケット55は、カメラ基板30と接触することができるように当接部54と並列させて設けられている。導通テープ56はガスケット55に接触するとともに、台座部52の接地面52aまで延ばされている。この結果、
図13に示すように、ガスケット55がカメラ基板30と接触することで、ガスケット55と導通テープ56を通じ、カメラ基板30とシャーシ5との電気的導通が確保される。なお、導通テープ56は、ネジ孔52bの近傍を通過させることで、ネジ締め作用により、シャーシ5への密着度が高まる。このように、本実施形態では、押圧部材51にガスケット55及び導通テープ56を装備することで、カメラ基板30の導通を確保することができる。カメラ基板30の導通確保は、カメラ基板30の静電気対策となる。
【0025】
本実施形態では、
図14に示すように、シャーシ5と一体となった当接部54によってカメラ基板30が押圧されることで、遮音部材34が前面板部22に押し付けられて圧縮され、遮音性が向上する。なお、本実施形態では、マイク部33とともにレンズ部32を備えたカメラ基板30を対象としているが、基板がカメラを備えていない場合にも適用することができる。
【0026】
つぎに、
図15(A)〜(C)を参照しつつ、一旦電子機器1に装着されたカメラ基板30の脱着について説明する。
図15(A)に示すようにネジ60を緩めることで、
図15(B)に示すようにフランジ部5aから押圧部材51を取り去ることができる。これにより、基板収納部7に収納されたカメラ基板30にアクセスすることができるようになる。なお、
図15(B)では、押圧部材51を完全に取り去った状態を示しているが、係合片52cが係合穴5a3に係合した状態としておくことができる。係合片52cを係合穴5a3に係合させておくと、係合片52cを回転軸として押圧部材51を回転させることができる。押圧部材51が回転すれば、カメラ基板30にアクセスすることができる。また、係合穴5a3への係合片52cの係合を維持することで、押圧部材51の紛失防止にもなる。
図15(B)のように押圧部材51を取り外した後は、基板収納部7からカメラ基板30と取り出すことができる。押圧部材51による押圧状態が解除された後は、カメラ基板30は、仮固定された状態となる。すなわち、第1固定爪8aと第2固定爪9a1とによって保持された状態なる。仮固定された状態のカメラ基板30は、容易に取り出すことができる。仮に、カメラ基板30が爪部によって本固定の状態にされているとすると、カメラ基板30の取り外しが困難であり、場合によっては、爪部を破損してしまう恐れもある。本実施形態では、第1固定爪8aと第2固定爪9a1に過剰な力を加えることなく、カメラ基板30を取り外すことができる。
【0027】
このように、本実施形態の電子機器1では、カメラ基板30を交換したり、修理したりしなければならないときに、電子機器1に装着された状態のカメラ基板30を容易に取り外すことができる。なお、再度、カメラ基板30を電子機器1に取り付けるときは、基板収納部7にカメラ基板30を収納し、当接部54をカメラ基板30に当接させた状態で押圧部材51をシャーシ5のフランジ部5aにネジ止めすればよい。
【0028】
本実施形態の電子機器によれば、まず、電子機器1の組立現場における組み立て工数の低減を図ることができる。また、カメラ基板30の電気的導通を図ることができる。さらに、一旦装着したカメラ基板30を容易に取り外すことができる。
【0029】
(第2実施形態)
つぎに、
図16を参照しつつ、第2実施形態について説明する。第2実施形態における押圧部151は、第1実施形態とは異なり、支持部材であるシャーシ150とともに一体成形されることでシャーシ150と一体に設けられている。具体的に、板金により成形されるシャーシ150のフランジ部150aとともに押圧部151を形成する。例えば、板金をプレス加工することによってシャーシ150のフランジ部150aと一体成形された押圧部151が形成される。なお、押圧部151は、第1実施例における樹脂製の押圧部50と比較して、素材の違いによる多少の形状の変更は伴うものの、基本的な形状は共通している。ただし、押圧部151を板金により成形することにより、第1実施形態とは異なり、格別の導通部を設けることなくカメラ基板30とシャーシ150との電気的導通を図ることができる。
【0030】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 電子機器
2 フロントモールド
2b マイク孔
22 前面板部
3 液晶パネル
4 リアカバー
5、150 シャーシ
5a、150a フランジ部
6 基板
30 カメラ基板
33 マイク部
34 遮音部材
50、151 押圧部
51 押圧部材
55 ガスケット
56 導通テープ
60 ネジ