(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処方データ判定手段は、更に、前記管理手段で管理される複数の処方データに、前記制御手段により制御される前記接合手段の温度が前記第1の温度となる第1の処方データと、前記制御手段により制御される前記接合手段の温度が前記第2の温度となる第2の処方データとを含むか否かを判定し、
前記制御手段は、前記処方データ判定手段により、前記管理手段で管理される複数の処方データに、前記制御手段により制御される前記接合手段の温度が前記第1の温度となる第1の処方データと、前記制御手段により制御される前記接合手段の温度が前記第2の温度となる第2の処方データとを含むと判定された場合に、当該第1の処方データに従った当該薬剤包装装置による前記散薬の包装を、当該第2の処方データに従った当該薬剤包装装置による前記散薬の包装よりも先に実行するように制御することを特徴とする請求項6に記載の薬剤包装装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を用いて、本発明の薬剤包装システムについて説明する。
まず
図1について説明する。
<
図1の説明>
【0016】
図1は、薬剤包装装置5と情報処理装置300からなる薬剤包装システムを示す図である。
【0017】
5は、散薬および錠剤を包装することのできる薬剤包装装置である。
【0018】
101は、Vマスであり、包装する総量の散薬を投入する部分である。
【0019】
102は、前扉であり、包装部(
図5)のカバーとなっている。左端を軸として開閉する。
【0020】
103は、錠剤マスであり、包装する錠剤を1包分の錠剤=1マスに対応させて投入する部分である。
【0021】
104は、操作パネルであり、分包の条件設定や分包の開始、停止等の操作を行う部分である。また、処方内容の入力や薬剤包装装置の操作を行う部分である。
【0022】
105は、上部カバーである。後方端を軸として、手前側が上方向へ開く構造となっている。Vマス101、錠剤マス103、操作パネル104は上部カバーに対して装備されているため、上部カバーを開くと、これらも併せて開く。
【0023】
300は、情報処理装置であり、薬剤包装装置5と通信インターフェースで接続している。処方内容の入力や薬剤包装装置の操作を行う部分である。
<
図2の説明>
【0024】
図2は、上部カバー105を開いた状態であり、薬剤包装装置5の内部構造を示す図である。
【0025】
201は錠剤シャッターであり、上部カバー105を閉じた状態では錠剤マス103の底面に位置している。錠剤シャッター201が左側へスライドすることによって、錠剤マス内の錠剤が錠剤スライド部202へ落下する構造となっている。
【0026】
202は錠剤スライド部である。錠剤スライド部202も錠剤マス103と同様にマス状になっており、錠剤マス103とそれぞれのマス位置が対応している。錠剤スライド部202は、錠剤マス103から落下した錠剤を左方向へスライド搬送する。錠剤スライド部202左端の下部には錠剤ホッパー203があり、錠剤スライド部202内の錠剤を順に錠剤ホッパーへ落下させることができる。
【0027】
203は、錠剤ホッパーであり、錠剤スライド部202から落下した錠剤を後述するメインホッパーへ導く部分である。
【0028】
204は、散薬分割マスである。左右方向にマスが連結しており、それぞれのマス間は薄い仕切壁になっている。各マスは散薬分割マスレールのR形状沿って移動できるよう、分離屈曲することができる。Vマス101が開くと、散薬分割マス204へ向けて散薬が落下し、散薬分割マス204によって散薬が均等に分割される。
【0029】
205は、散薬分割マスレールである。散薬分割マス204は、この散薬分割マスレール205に沿って左右に動作する。散薬分割マスレール205の左側では、レールがR形状で重力方向を向いており、散薬分割マスもこれに沿って下方向へ移動する。
<
図3の説明>
【0030】
図3は、上部カバー105を右上面から見た図であり、散薬301がVマス101内にセットされている状態を示している。
【0031】
301は散薬である。散薬はVマス内の仕切板302の左側にセットする。
【0032】
302は仕切板である。仕切板はVマスの左右方向に沿ってスライド可動する構造となっている。分包する散薬の包数に応じてユーザが左右へ移動させる。
<
図4の説明>
【0033】
図4は、散薬分割マス204を正面から見た図である。マスの底には、マス蓋401が位置しており、
図4は左側の2つのマス蓋401が閉じた状態の図である。
【0034】
401は、マス蓋である。マス蓋401はヒンジ402を軸として開閉する構造となっている。マス蓋401は金属製であり、散薬分割マス204上方に位置するマグネット(不図示)の磁力により引き寄せられて閉じる構造となっている。
【0035】
前述のように、マス蓋401はマグネットの磁力により閉じた状態となっているが、散薬分割マス204が左方向へ移動すると、マグネットの磁力範囲を外れることによってマス蓋401が開き、散薬分割マス204内の散薬が後述するメインホッパーに落下する構造となっている。
<
図5の説明>
【0036】
図5は、薬剤包装装置5の包装部の内部構造を示す図である。包装部は、前扉102の内側に位置している。
【0037】
501は、分包紙である。分包紙は二つ折りとなっていて、ロール状に巻かれた状態から引き出して使用する。分包紙の内側には、ポリエチレン層がラミネート加工されている。薬剤包装装置5には右側を二つ折りの開く方向にして取り付ける。なお分包紙のことを薬包袋ともいう。
【0038】
502は、メインホッパーである。錠剤ホッパー203及び散薬分割マス204から落下した薬剤は、メインホッパー502を通過して分包紙501まで到達する。
【0039】
503は、シール部カバーである。シール部カバー503内には分包紙501を熱溶着する機構(後述するシールコテ)が位置しており、安全の為、シール部カバー503によって覆われている。
<
図6の説明>
【0040】
図6は、薬剤包装装置5の包装部の内部構造を示す図であり、
図5の状態からシール部カバー503が開いた状態を示している。
【0041】
601は、シールコテである。分包紙501を熱溶着するため、設定温度を保持するよう制御されている。シールコテ601上のT字の形成部分(図中の破線)は手前方向(薬剤包装装置5の正面方向)に凸状になっており、シールコテ601が手前へ移動することによって、分包紙501をT字状に熱溶着する。シールコテは、本発明における、第1の温度の熱を発し、発した熱を前記投入手段により前記散薬が投入される前記包装袋に加え、当該包装袋を接合する接合手段の一例である。
<
図7の説明>
【0042】
図7は、薬剤包装装置5の包装部の一部を右上から見た図であり、分包紙501を搬送ローラー701の先まで通した状態である。
【0043】
図7に示すように、メインホッパー502は分包紙の二つ折りの内側に差し込まれるため、メインホッパー502内を落下した薬剤は分包紙の内側底辺に到達する。
【0044】
701は、搬送ローラーである。両側の搬送ローラー701によって分包紙501を挟み込んでいる。搬送ローラー701を回転させて一定量の分包紙501を搬送した後、シールコテ601を手前方向へ移動させ、分包紙501とシールコテ601を接触させることにより、分包紙501を熱溶着し、包装することができる。
<
図8の説明>
【0045】
図8は、メインホッパー502から分包紙501に投入された散薬301が、分包紙501の溶着部分まで拡散した状態を示す図である。
【0046】
801は、分包紙の溶着部である。前述したように、シールコテ601を手前方向へ移動することにより、シールコテ601のT字凸部分が分包紙501に接触して、分包紙501が溶着される。しかし、
図8の散薬301−2に示すように、分包紙で1包に包装する散薬の量がある量を超えると、ホッパーから分包紙内へ散薬が投入された後に、散薬が分包紙内に拡散(堆積)し、分包紙を包装すべく溶着する溶着部分まで拡散する場合がある。
<
図9の説明>
【0047】
図9は、
図8に示したように、散薬301が、分包紙501のこれから溶着部となる部分まで拡散した状態で分包紙501が溶着され、分包紙の溶着部801へ散薬301−2が噛み込んだ状態を示す図である。
【0048】
図9で示すように、散薬301−2が分包紙501の溶着部分まで拡散した状態で分包紙501を溶着すると、溶着部801に散薬が噛み込んだ状態となってしまう。そうすると、散薬が噛み込んだ部分は、シールコテ601によって溶けたポリエチレンがうまく回りこまないため、溶着の強度が弱い部分となり、散薬が密封包装されていない可能性がある。
【0049】
そこで、ここからは分包紙501の溶着部分まで拡散した散薬301−2によって分包紙が溶着されない課題を解決すべく、分包紙で1包に包装する散薬の量によって、シールコテ601の温度を変える本発明の仕組みについて説明する。
【0050】
まず、
図10を用いて、薬剤包装システムのハードウェア構成の一例について説明する。
<
図10の説明>
【0051】
図10は、薬剤包装システムのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。ここでは、情報処理装置300のCPU30と、薬剤包装装置5のCPU51がそれぞれ連携して、薬剤包装装置5が制御する各装置(各ユニット)の各種動作を制御している一例を示している。しかし1つのCPUが、薬剤包装システムの全ての各装置を制御する構成でも構わない。
【0052】
まず情報処理装置300のハードウェア構成について説明する。情報処理装置300のCPU30は、システムバスに接続される各デバイスやコントローラを統括的に制御することができる。また、ROM31あるいは外部メモリ36には、CPU30の制御プログラムであるBIOS(Basic Input / Output System)やオペレーティングシステムプログラム(以下、OS)や、各サーバ或いは各PCの実行する機能を実現するために必要な後述する各種プログラム等が記憶されている。RAM33は、CPU30の主メモリ、ワークエリア等として機能する。CPU30は、処理の実行に際して必要なプログラム等をRAM33にロードして、プログラムを実行することで各種動作を実現するものである。
【0053】
また、CPU30は、キーボードや不図示のマウス等の入力端末209からの入力を制御する。ビデオコントローラ(VC)は、ディスプレイ34等の表示器への表示を制御することもでき、さらに、ブートプログラム、ブラウザソフトウエア、各種のアプリケーション、フォントデータ、ユーザファイル、編集ファイル、各種データ等を記憶するハードディスク(HD)やフロッピーディスク(登録商標 FD)或いはPCMCIAカードスロットにアダプタを介して接続されるコンパクトフラッシュメモリ等の外部メモリ36へのアクセスを制御することもできる。
【0054】
またI/F32は、ネットワークを介して外部機器と接続・通信するものであり、本実施形態においては薬剤包装装置5のI/F50と通信可能に接続されている。
【0055】
次に、薬剤包装装置5のハードウェア構成について説明する。薬剤包装装置5のCPU51は、バスに接続されている各デバイスを統括的に制御することができる。ROM52にはCPU51の制御ブログラムや各種制御プログラムが記憶されている。RAM53は、CPU51が動作するためのシステムワークメモリとして機能する。CPU51は、操作パネル104に対して表示制御したり、ユーザから情報の入力を受け付けることができる。
【0056】
さらにCPU51は、薬剤包装装置5のVマス101から投入された散薬を1包に包装する際に動作させる散薬分割マス204を制御したり、ユーザから錠剤マス103に投入された錠剤を包装する際に動作させる錠剤スライド部202を制御したりすることができる。外部メモリ57は、後述する
図12の処方データや、
図13の薬品データベースを記憶する。
【0057】
薬剤包装装置5のCPU51は、本発明における、包装袋1包に包装する散薬の量が所定の量以上である場合に、接合手段の温度を、第1の温度から当該第1の温度より高い温度である第2の温度に切り替えるように制御する制御手段の一例である。
【0058】
次に、
図11を用いて、薬剤包装装置5のCPU51によるシールコテ601の温度制御について説明する。
図11の各処理は、薬剤包装装置5のメモリに記憶されたプログラムを薬剤包装装置5のCPU51が実行することにより実現される。
<
図11の説明>
【0059】
図11は、本発明における薬剤包装装置5のCPU51によるシールコテ601の温度制御の処理を示すフローチャートである。
【0060】
ステップS1101において、薬剤包装装置5は、これから包装する薬品(本発明における薬剤と同義)の指定を受け付ける画面(処方入力画面)を薬剤包装装置5の操作パネル104に表示し、薬品の指定を受け付ける。具体的には、薬品名や、合計包装数(例えば、1日3回を7日分で合計21包という情報)と、服用のタイミング(例えば朝食後等)、各服用のタイミングで飲むべき薬品の量の入力を受け付ける。
【0061】
ステップS1101で、これから包装する薬品の指定を受け付けた結果得られるデータ(処方データ)は、例えば、後述する
図12である。
【0062】
ステップS1102において、薬剤包装装置5は、処方データに含まれる薬品すべてに対して、薬品データベース(後述する
図13)を参照し、薬品の種類を特定する。より具体的には、
図12の処方データに含まれる薬品の薬品No1202と
図13の薬品データベースの薬品No1301が一致する薬品の錠形1303を参照し、散薬であるか、錠剤であるかを特定する。さらに散薬であれば散剤であるか、顆粒であるか、細粒であるかも特定する。
【0063】
ステップS1103において、薬剤包装装置5は、シールコテ601のシール温度設定処理を行う。ステップS1503の処理の詳細は
図15で説明する。なお、
図11のステップS1102、ステップS1103の処理は、処方データごとに実行される。
【0064】
ステップS1104において、薬剤包装装置5は、ステップS1101で、これから包装する薬品の指定をユーザから受け付けた結果得られる処方データであって、ステップS1103により、シールコテ601の温度が決定されていない処方データがあるか否かを判定する。
【0065】
ステップS1104により、シールコテ601の温度が決定されていない処方データがあると判定されれば、薬剤包装装置5は、ステップS1102に処理を戻し、ステップS1104により、シールコテ601の温度が決定されていない処方データがないと判定されれば、ステップS1105に処理を進める。
【0066】
ステップS1105において、薬剤包装装置5は、シールコテ601の温度が決定された処方データの処理順(処方データに従って薬剤を包装する順番)を決定する。
【0067】
具体的には、ステップS1103により決定されたシールコテ601の温度が同じ温度である処方データが複数あるか否かを判定し、ステップS1103により決定されたシールコテ601の温度が同じ温度である処方データが複数ある場合には、ステップS1103により決定されたシールコテ601の温度が同じ温度である処方データを連続して分包するように制御する。
【0068】
これにより、例えば、シールコテ601の温度が第1の温度である処方データが1つあり、シールコテ601の温度が第2の温度である処方データがある場合に、薬剤包装装置が、シールコテ601の温度を第1の温度から第2の温度に切り替える(または、その逆)回数が1回で済むようになり、温度の切り替えに要する時間を短縮することができ、そうすると、薬剤の包装時間も短縮することが可能となる。
【0069】
次に、ステップS1105において、薬剤包装装置5は、ステップS1103により決定されたシールコテ601の温度が異なる温度である処方データがあるか否かを判定し、ステップS1103により決定されたシールコテ601の温度が異なる温度である処方データがある場合には、ステップS1103により決定されたシールコテ601の温度が第1温度である処方データに従って薬剤を分包した後に、ステップS1103により決定されたシールコテ601の温度が第2温度である処方データに従って薬剤を分包するように制御する。
【0070】
なぜなら、シールコテ601の温度を、第1の温度から、第1の温度より高温である第2の温度にあげるほうが、第2の温度から第1の温度に下げるよりも時間がかからないため、第2の温度から第1の温度に下げるよりも温度の切り替えに要する時間を短縮することができ、そうすると、薬剤の包装時間も短縮することが可能となる。
【0071】
薬剤包装装置5は、ステップS1105において、シールコテ601の温度が決定された処方データの処理順(処方データに従って薬剤を包装する順番)を決定し、その後ユーザから操作パネル104を介して包装動作の開始指示を受け付けると、薬剤包装装置5は包装動作を開始する。
【0072】
ステップS1106において、ステップS1101で入力を受け付けた処方データに錠剤が含まれていれば、錠剤シャッター201や錠剤スライド部202等の動作を行って錠剤をメインホッパー502に落下させる。
【0073】
ステップS1107において、ステップS1101で入力を受け付けた処方データに散薬が含まれていれば、散薬分割マス204を左へ1包分移動させる動作によって、散薬をメインホッパー502へ落下させる。
【0074】
ステップS1108において、薬剤包装装置5は、搬送ローラー701による分包紙の一定量搬送とシールコテ601の手前移動によって分包紙を溶着、メインホッパー502内にある薬剤を包装する動作を行う。
【0075】
ステップS1109において、薬剤包装装置5は、処方データ分の包装が終了したかを確認している。終了すれば一連の分包動作を完了とし、終了していなければステップS1107へ戻る。以上で
図11の処理の説明を終了する。
【0076】
なお、ステップS1101〜ステップS1105までの処理は、情報処理装置300のCPU30が行い、ステップS1103で決定したシールコテ601の温度と、処方データの情報と、当該処方データの処理順とを情報処理装置300から薬剤包装装置5に送信し、ステップS1106以降の処理を薬剤包装装置5のCPU51が行うようにしても良い。
【0077】
また、本実施例では、ステップS1101で分包する薬品の選択をユーザから受け付けるとしたが、他の実施例として、薬剤包装装置5により包装する薬品が指定されたデータを外部装置(例えば、患者を診断する医師のPC等)から取得しても良い。
【0078】
各実施例において、処方データとは、ステップS1101において、薬剤包装装置5の操作パネル104に表示される処方入力画面を介してユーザにより入力される内容(薬品名、合計包装数、服用のタイミング等)や、薬剤包装装置5が外部装置から取得する包装する薬品が指定されたデータのことをいう。
【0079】
次に
図12を用いて、
図11のステップS1101で薬剤包装装置5の操作パネル104に表示される処方入力画面を介してユーザからこれから包装する薬品の情報の入力を受け付けることによって作成される処方データについて説明する。
<
図12の説明>
【0080】
図12は、
図5のステップS1201で薬剤包装装置5の操作パネル104に表示される処方入力画面を介してユーザからこれから包装する薬品の情報の入力を受け付けることによって作成される処方データを説明する図であり、この処方データは薬剤包装装置5の外部メモリ211で記憶する。
【0081】
1201は、処方名が記録される。1202は、薬品No.である。登録されている薬品を1つ1つ管理するための番号である。値は重複しない。値は1以上の値を設定する。
【0082】
1203は、薬品の薬品名(販売名)である。1204(「朝食後」、「昼食後」、「夕食後」の列)は、患者が薬剤を飲むべきタイミングと、患者が1回に飲まなければならない薬剤の個数(散薬の場合は、グラム数)が記載される。1205は、処方の合計数を示す。
【0083】
次に
図13を用いて、薬剤包装装置5の外部メモリ211で記憶する薬品データベースについて説明する。なお、
図13の薬品データベースは外部装置のメモリに記憶されて、外部装置から薬剤包装装置5が取得するようにしても良い。
<
図13の説明>
【0084】
薬剤包装装置5の外部メモリ211で記憶している薬品データベース内容を示す図である。薬剤マスタのデータベースファイル内の1行ごとに薬剤データが記述されている。1つの薬剤と対応づけて一意に対応する各種関連情報を持つことができ、各薬剤に対して各種関連情報設定を登録することができる。
【0085】
1301は薬品No.である。登録されている薬品を1つ1つ管理するための番号である。値は重複しない。値は1以上の値を設定する。1302は、薬品の薬品名(販売名)である。1303は、薬品の剤形である。
【0086】
散薬の剤形には、散剤(粉末状の薬)、細粒、顆粒、錠剤等の種別がある。散剤には舞い上がりやすいという性質がある。
【0087】
以上で
図13の説明を終了する。次に、
図14を用いて、本発明の各実施形態において、シールコテの温度を決定するための判断基準となるシールコテの温度を記憶する温度テーブルについて説明する。
<
図14の説明>
【0088】
図14(a)、
図14(b)は、薬剤包装装置5の外部メモリ211で記憶する、本発明の各実施形態において、シールコテの温度を決定するための判断基準となるシールコテ601の温度を記憶する温度テーブルである。
【0089】
なお、
図14のどちらのデータテーブルを使用するかは、ユーザが情報処理装置300を介して予め設定しておけばよい。また、必ずしも
図14の両方のデータテーブルを薬剤包装装置5の外部メモリに記憶しておく必要はない。
【0090】
図14(a)は、後述する
図15のステップS1505、ステップS1502で、薬剤包装装置5がシールコテ601の温度を決定するために用いられる。
図14(b)は、後述する
図16のステップS1604、ステップS1605で、薬剤包装装置5がシールコテ601の温度を決定するために用いられる。
【0091】
図14(a)と、
図14(b)との違いは、
図14(b)は、分包紙1包の分包量に加え、分包紙の種類も考慮してシールコテ601のシール温度を決定している点である。
【0092】
特許文献1(特開2004−224444号公報)にも記載のとおり、分包紙の種類によっては、他の分包紙とシールコテ601の温度を同じにするとシールしにくい分包紙があるため、分包紙1包の分包量に加えて分包紙の種類を加味してシールコテ601の温度を決定することで、そのようなシールしにくい分包紙についても適切にシールすることが可能となる。
【0093】
では、ここから
図14(a)、
図14(b)の温度テーブルの各項目の意味について説明する。
【0094】
薬剤の種類1401、薬剤の種類1405は、薬剤の種類を表し、具体的には、錠剤や、散薬等を表す。なお、散薬の場合には、散薬の中でも散剤、細粒、顆粒等を表す。
【0095】
1包の分包量1402、1包の分包量1406は、シールコテ601の温度を第1の温度から第2の温度に切り替える基準となる分包紙で1包に包装する散薬の量を示す。
【0096】
1包の分包量1402、1包の分包量1406は散薬の種類によって異なるが、これは、顆粒は密度が低い傾向にあるため、2.5gを超えると分包紙の接着部分に噛み込みが発生するリスクが高くなり、細粒は密度が高い傾向にあるため、3.5gを超えると分包紙の接着部分に噛み込みが発生するリスクが高くなり、散剤は微粉末で軽量であり、分包紙内で薄く広がりやすいため、2.0gを超えると分包紙の接着部分に噛み込みが発生するリスクが高くなるという各散薬の特性によって決められている。
【0097】
なお、1包の分包量1402、1包の分包量1406は、分包紙の搬送方向における分包紙の1包の幅を80mmとした場合を想定して決定されているため、分包紙の搬送方向における分包紙の1包の幅が80mmより短い場合には、1包の分包量1402、1包の分包量1406は、
図14に定義した量よりも少なくなるし、分包紙の搬送方向における分包紙の1包の幅を80mmより長い場合には、1包の分包量1402、1包の分包量1406は、
図14に定義した量よりも多くなる。
【0098】
また、本実施例では、1包の分包量1402を「≧〜g(〜g以上)」や「<〜g(〜g未満)」という定義をしたが、1包の分包量1402を「>〜g(〜gより上)」や「≦〜g(〜g以下)」と定義しても良いことは言うまでもない。
【0099】
分包紙の種類1404は、薬剤包装装置にセットされる分包紙の種類(グラシン・セロポリ・PET等)を示す。
【0100】
シール温度1403、シール温度1407は、
図15のステップS1505、ステップS1506、
図16のステップS1604、ステップS1605で、薬剤包装装置5が決定するシールコテ601の温度を表す。
【0101】
なお、本実施例においては、薬剤の種類1401が錠剤となっている行のシール温度1403が、本実施例におけるシールコテ601の標準温度と同じ温度である。
【0102】
図14のデータテーブルの見方としては、例えば、
図14(b)の上から2段目のデータを例にすると、薬剤包装装置5にセットされている分包紙の種類1404がグラシンの場合で、かつ、処方データに含まれる薬剤の種類1405が顆粒の場合で、かつ、1包に包装する顆粒の量が2.5g未満である場合にシールコテ601の温度を180℃に設定するという見方をする。
【0103】
なお、本発明では、
図14の各データテーブルにおいて薬剤の種類ごとに設定される2つの温度のうち、低いほうの温度を第1の温度と呼び、高いほうの温度を第2の温度と呼ぶ(例えば、
図14(a)では、150℃が第1の温度となり、180℃が第2の温度となる)。
【0104】
なお、本実施例では、顆粒・細粒・散剤それぞれについて、1包の分包量1402を設定しているが、他の実施例として、顆粒・細粒・散剤を区別することなく、散薬の場合に1包の分包量1402を設定しても良い。より具体的には、散薬の場合に、1包に包装する散薬の量が1.9g以上であれば、シール温度1403を180℃にし、1包に包装する散薬の量が1.9g未満であれば、シール温度1403を150℃にするという設定をしても良い。その場合には、1包の分包量1402を
図14(a)散剤の場合の1包の分包量1402よりも低くすることが好ましい。
【0105】
このように顆粒・細粒・散剤それぞれについて、1包の分包量1402を定義するか、顆粒・細粒・散剤を区別することなく、散薬の場合に1包の分包量1402を定義するかにより、1包の分包量1402は適宜変更される。次に、
図15を用いて
図11のステップS1103の処理の詳細について説明する。
<
図15の説明>
【0106】
図15は、本発明における薬剤包装装置5のCPU51による
図11のステップS1103の処理の詳細を示すフローチャートである。
【0107】
ステップS1501において、薬剤包装装置5は、ステップS1102の結果、処方データに含まれる薬品に散薬があったか否かを判定する。処方データに含まれる薬品に散薬があれば、薬剤包装装置5は、ステップS1503に処理を移行させ、処方データに含まれる薬品に散薬がなければ、薬剤包装装置5は、ステップS1502に処理を移行させる。
【0108】
ステップS1502において、薬剤包装装置5は、シールコテ601の温度を第一の温度(具体的には150℃)に設定する。
【0109】
第一の温度は、使用する分包紙に最も適した温度であり、第一の温度よりも低すぎるとうまく溶着されずに包装不良となる。また、シールコテ601の温度を第一の温度より高温にすると、溶着部に気泡ができたり、分包紙にシワが発生したりする可能性があるため、処方データに散薬を含まない場合や、処方データに散薬を含むが、分包紙1包に分包する散薬の量が所定の量を超えない場合には、シールコテ601の温度を第一の温度より高温にしないことが望ましい。
【0110】
ただ、処方データに散薬を含み、かつ分包紙1包に分包する散薬の量が所定の量以上である場合には、シールコテ601の温度を第一の温度より高温にすることで、溶解した分包紙(ポリエチレン等)がより流動しやすくなり、散薬が分包紙の溶着部に噛み込んでいたとしても密封包装できるようになる。
【0111】
ステップS1503において、薬剤包装装置5は、ステップS1102で薬品の種類を特定した結果を基に、
図14(a)の温度テーブルを参照し、当該特定された薬品の種類に応じた1包の分包量1402を特定する。
【0112】
ステップS1504において、薬剤包装装置5は、ステップS1101でユーザにより入力された処方データに含まれるステップS1102で種類を特定した薬品の、分包紙で1包に包装する量(具体的には
図12の1204の各薬の服用タイミングにおける散薬の量)が、ステップS1503で特定した1包の分包量1402以上であるか否かを判定する。
【0113】
分包紙で1包に包装する量が、1つでもステップS1503で特定した1包の分包量1402以上であると判定される場合には、薬剤包装装置5は、ステップS1505に処理を移行し、分包紙で1包に包装する量(具体的には
図12の1204の各薬の服用タイミングにおける散薬の量)が、いずれもステップS1503で特定した1包の分包量1402未満であると判定される場合には、薬剤包装装置5は、ステップS1502に処理を移行する。
【0114】
ステップS1505において、薬剤包装装置5は、
図14(a)の温度テーブルを参照し、ステップS1101でユーザにより入力された処方データに含まれるステップS1102で特定した薬品の種類に応じた第2の温度(具体的には、各薬剤の種類1401の上段のシール温度1403)にシールコテ601の温度を設定する。
【0115】
なお、本実施例では、ステップS1501で処方データに含まれる薬品に散薬があると判定された場合に、ステップS1503の処理を実行するとしたが、他の実施例として、ステップS1502により、処方データに含まれる薬品に散薬があると判定されると、ステップS1503の処理を実行することなく、ステップS1504の処理を実行しても良い。
【0116】
その場合には、
図14の温度テーブルに、
図14(a)と異なり、薬剤の種類1401が散薬の場合の1包の分包量1402と、シール温度1403が記憶されることになる。
【0117】
ステップS1502、ステップS1505は、本発明における包装袋1包に包装する前記散薬の量が所定の量以上である場合に、前記接合手段の温度を、前記第1の温度から当該第1の温度より高い温度である第2の温度に切り替えるように制御する制御手段の一例である。
【0118】
なお、ステップS1502および、ステップS1505で、シールコテ601の温度を決定した時点で、シールコテ601を決定した温度まで温める。これにより、ユーザから包装動作開始指示を受け付けてからシールコテ601の温度を決定した温度まで温めるよりも、包装動作を開始するまでの時間を短縮できる。以上で
図15の説明を終了する。
【0119】
次に、
図16を用いて
図11のステップS1103の処理の詳細について、
図15の他の実施形態について説明する。
<
図16の説明>
【0120】
図16は、本発明における薬剤包装装置5のCPU51による
図11のステップS1103の処理の詳細を示すフローチャートであり、
図16と異なり、1包の分包量1406以外に分包紙の種類1404を考慮して、シールコテ601の温度を切り替える。
【0121】
ステップS1601において、薬剤包装装置5は、分包紙の紙管に付いているRF−IDを読み取ることにより、薬剤包装装置5にセットされている分包紙の種類を特定する。なお、他の実施例として、ユーザが情報処理装置300を操作して、分包紙の種類を入力し、薬剤包装装置5は、ユーザによって入力された分包紙の種類の情報に従って、薬剤包装装置5にセットされている分包紙を特定しても良い。
【0122】
ステップS1602において、薬剤包装装置5は、ステップS1102の結果、処方データに含まれる薬品に散薬があったか否かを判定する。処方データに含まれる薬品に散薬があれば、薬剤包装装置5は、ステップS1603に処理を移行させ、処方データに含まれる薬品に散薬がなければ、薬剤包装装置5は、ステップS1604に処理を移行させる。
【0123】
ステップS1603において、薬剤包装装置5は、ステップS1102で薬品の種類を特定した結果とステップS1602で特定した分包紙の種類の情報を基に、
図14(b)の温度テーブルを参照し、当該特定された分包紙の種類と分包紙の種類1404が同じで、かつ、当該特定された薬品の種類と薬剤の種類1405が同じである1包の分包量1603を特定する(ステップS1603により「≧〜g(〜g以上)」と「<〜g(〜g未満)」という2つの1包の分包量1603が特定される)。
【0124】
ステップS1604において、薬剤包装装置5は、
図14(b)の温度テーブルを参照し、シールコテ601の温度を特定する(ステップS1605)。
【0125】
より具体的には、ステップS1603からステップS1604に移行した場合には、ステップS1101でユーザにより入力された処方データに含まれるステップS1102で種類を特定した薬品の、分包紙で1包に包装する量が、ステップS1603で特定した1包の分包量1603のどちらに該当するかを特定し、該当する方のシール温度1407にシールコテ601の温度を設定する。
【0126】
また、ステップS1602からステップS1604に移行した場合には、第一の温度(各分包紙の種類1401における薬剤の種類1405が錠剤の場合のシール温度1407と同一の温度)にシールコテ601の温度を設定する。以上で
図16の説明を終了する。
【0128】
以上、本発明によると、包装袋1包に包装する散薬の量によって包装袋の接合不良が発生する可能性を低減することが可能となる。
【0129】
上述した本発明の実施形態を構成する各手段及び各ステップは、コンピュータのRAMやROM等に記憶されたプログラムが動作することによって実現できる。装置が読み取り実行可能なこのプログラム及び前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明に含まれる。
【0130】
また、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記録媒体等としての実施形態も可能であり、具体的には、一又は複数の機器からなる装置に適用してもよい。
【0131】
なお、本発明は、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、システム又は装置に直接、又は遠隔から供給する。そして、そのシステム又は装置のコンピュータが前記供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される場合を含む。
【0132】
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、前記コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明は、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も含まれる。その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等の形態であってもよい。
【0133】
また、コンピュータが、読み出したプログラムを実行することによって、前述した実施形態の機能が実現される。更に、そのプログラムの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS等が、実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現され得る。
【0134】
更に、その他の方法として、まず記録媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。そして、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によっても前述した実施形態の機能が実現される。