特許第6540343号(P6540343)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6540343
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 15/06 20060101AFI20190628BHJP
   B60C 15/00 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   B60C15/06 B
   B60C15/00 B
   B60C15/00 K
   B60C15/06 C
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-154108(P2015-154108)
(22)【出願日】2015年8月4日
(65)【公開番号】特開2017-30620(P2017-30620A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2018年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107940
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 憲吾
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(74)【代理人】
【識別番号】100122806
【弁理士】
【氏名又は名称】室橋 克義
(74)【代理人】
【識別番号】100168192
【弁理士】
【氏名又は名称】笠川 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100174311
【弁理士】
【氏名又は名称】染矢 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100182523
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 由賀里
(74)【代理人】
【識別番号】100195590
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 博臣
(72)【発明者】
【氏名】宗澤 吾郎
【審査官】 増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−200905(JP,A)
【文献】 特開昭55−083606(JP,A)
【文献】 特開2015−098198(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0236521(US,A1)
【文献】 特開2015−067256(JP,A)
【文献】 特開2010−137853(JP,A)
【文献】 実開昭62−203701(JP,U)
【文献】 特開2005−280456(JP,A)
【文献】 特開2012−096656(JP,A)
【文献】 特開2007−045333(JP,A)
【文献】 特開2007−210363(JP,A)
【文献】 特開2002−160510(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/072322(WO,A1)
【文献】 特開2006−182294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 15/06
B60C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビードと、一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスとを備えており、
それぞれのビードが、コアと、このコアから半径方向外向きに延びる第一エイペックスと、軸方向においてこの第一エイペックスよりも外側に位置する第二エイペックスとを備えており、
上記カーカスがカーカスプライを備えており、
上記カーカスプライが上記コアの周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返されており、この折り返しによりこのカーカスプライには主部と折返し部とが形成されており、
上記折返し部が上記第一エイペックスと上記第二エイペックスとの間に位置しており、
上記第二エイペックスの形状が、半径方向外向きに先細りであり、かつ半径方向内向きに先細りであり、
上記第二エイペックスの半径方向外側端が、このタイヤの最大幅位置の近辺まで延びており、
上記第一エイペックスの先端の近辺において上記第二エイペックスの厚みが最大になっており、
このタイヤを周方向に垂直な面できった断面において、上記第二エイペックスの軸方向内側面の輪郭が、軸方向外向きに凸な円弧C1を含んでおり、
上記円弧C1が、上記内側面の輪郭の半径方向外側端から内向きに延びており、
上記第二エイペックスの軸方向外側面の輪郭が、軸方向外向きに凸な円弧C2と軸方向内向きに凸な円弧C3とを含んでおり、
上記円弧C2が上記外側面の輪郭の半径方向外側端から内向きに延びており、上記円弧C3がこの円弧C2の半径方向内側に位置しこの円弧C2と接しており、
ビードベースラインからこのタイヤの最大幅位置までの高さがHwとされたとき、
ビードベースラインから上記円弧C2と上記円弧C3との接点までの高さHtと上記高さHwの半分の高さとの差(Ht−Hw/2)が−10mm以上10mm以下であり、
上記円弧C1の曲率半径R1が上記円弧C2の曲率半径R2より大きく、この曲率半径R2が上記円弧C3の曲率半径R3より大きい空気入りタイヤ。
【請求項2】
上記曲率半径R2の上記曲率半径R1に対する比(R2/R1)が0.6以上0.9以下である請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
上記曲率半径R3の上記曲率半径R2に対する比(R3/R2)が0.5以上0.8以下である請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
一対のサイドウォールと、それぞれのサイドウォールの半径方向内側に位置する一対のクリンチをさらに備えており、
このタイヤの上記サイドウォールと上記クリンチで構成される部分がサイド部とされ、
上記最大幅位置より半径方向内側において、上記サイド部の外側面上の位置であってこのサイド部の厚みが最大となる位置がPrとされ、
上記位置Prから引いた上記第二エイペックスの外側面の法線に沿って計測した上記第二エイペックスの厚みがF1とされ、上記第二エイペックスの最大厚みがF2とされ、上記第二エイペックスの外側面上でビードベースラインからの半径方向高さが上記高さHwの半分(Hw/2)である位置における上記第二エイペックスの厚みがF3とされたとき、
上記厚みF1の上記厚みF2に対する比(F1/F2)が0.4以上0.6以下であり、
上記厚みF3の上記厚みF2に対する比(F3/F2)が0.4以上0.6以下である請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
ビードベースラインから上記第二エイペックスの半径方向外側端までの高さH2と上記高さHwとの差(H2−Hw)が−10mm以上10mm以下である請求項1から4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、一対のビードを備えている。それぞれのビードは、コアとエイペックスとを備えている。エイペックスは、コアから半径方向外向きに延びている。エイペックスは、高硬度な架橋ゴムからなる。
【0003】
タイヤにおいて、ビードの部分はリムに嵌め合わされる。走行状態においては、このビードの部分に大きな荷重が掛かる。タイヤの良好な耐久性の実現のためには、ビードの部分の剛性が重要となる。ビードの部分の剛性は、操縦安定性や乗り心地にも影響を及ぼす。タイヤの耐久性、操縦安定性及び乗り心地を向上させるためには、ビードの部分の構成は重要である。
【0004】
ビードの部分の構成に関し、さまざまな検討がなされている。ビードに、従来のエイペックスに比べて小さな長さを有するエイペックス(第一エイペックスとも称される)を採用したタイヤの例が、特開2012−025280公報及び特表2013−545671公報で開示されている。これらのタイヤでは、さらにカーカスの折返し部の軸方向外側に、別のエイペックス(第二エイペックスとも称される)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−025280公報
【特許文献2】特表2013−545671公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
タイヤには、さらなる耐久性、操縦安定性及び乗り心地の向上が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、良好な耐久性、操縦安定性及び乗り心地が達成された空気入りタイヤの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る空気入りタイヤは、一対のビードと、一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスとを備えている。それぞれのビードは、コアと、このコアから半径方向外向きに延びる第一エイペックスと、軸方向においてこの第一エイペックスよりも外側に位置する第二エイペックスとを備えている。上記カーカスはカーカスプライを備えている。上記カーカスプライは上記コアの周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返されており、この折り返しによりこのカーカスプライには主部と折返し部とが形成されている。上記折返し部は上記第一エイペックスと上記第二エイペックスとの間に位置している。上記第二エイペックスの形状は、半径方向外向きに先細りであり、かつ半径方向内向きに先細りである。上記第二エイペックスの半径方向外側端は、このタイヤの最大幅位置の近辺まで延びている。上記第一エイペックスの先端の近辺において上記第二エイペックスの厚みは最大になっている。このタイヤを周方向に垂直な面できった断面において、上記第二エイペックスの軸方向内側面の輪郭は、軸方向外向きに凸な円弧C1を含んでいる。上記円弧C1は、上記内側面の輪郭の半径方向外側端から内向きに延びている。上記第二エイペックスの軸方向外側面の輪郭は、軸方向外向きに凸な円弧C2と軸方向内向きに凸な円弧C3とを含んでいる。上記円弧C2は上記外側面の輪郭の半径方向外側端から内向きに延びており、上記円弧C3はこの円弧C2の半径方向内側に位置しこの円弧C2と接している。ビードベースラインからこのタイヤの最大幅位置までの高さがHwとされたとき、ビードベースラインから上記円弧C2と上記円弧C3との接点までの高さHtと上記高さHwの半分の高さとの差(Ht−Hw/2)は−10mm以上10mm以下である。上記円弧C1の曲率半径R1は上記円弧C2の曲率半径R2より大きく、この曲率半径R2は上記円弧C3の曲率半径R3より大きい。
【0009】
好ましくは、上記曲率半径R2の上記曲率半径R1に対する比(R2/R1)は0.6以上0.9以下である。
【0010】
好ましくは、上記曲率半径R3の上記曲率半径R2に対する比(R3/R2)は0.5以上0.8以下である。
【0011】
好ましくは、このタイヤは、一対のサイドウォールと、それぞれのサイドウォールの半径方向内側に位置する一対のクリンチをさらに備えている。このタイヤの上記サイドウォールと上記クリンチで構成される部分がサイド部とされ、上記最大幅位置より半径方向内側において、上記サイド部の外側面上の位置であってこのサイド部の厚みが最大となる位置がPrとされ、上記位置Prから引いた上記第二エイペックスの外側面の法線に沿って計測した上記第二エイペックスの厚みがF1とされ、上記第二エイペックスの最大厚みがF2とされ、上記第二エイペックスの外側面上でビードベースラインからの半径方向高さが上記高さHwの半分(Hw/2)である位置における上記第二エイペックスの厚みがF3とされたとき、上記厚みF1の上記厚みF2に対する比(F1/F2)は0.4以上0.6以下である。上記厚みF3の上記厚みF2に対する比(F3/F2)は0.4以上0.6以下である。
【0012】
好ましくは、ビードベースラインから上記第二エイペックスの半径方向外側端までの高さH2と上記高さHwとの差(H2−Hw)は−10mm以上10mm以下である。
【発明の効果】
【0013】
発明者らは、ビードの構成について詳細に検討を行った。その結果、エイペックスの厚みや高さだけでなく、エイペックスの輪郭の形状が耐久性に影響を及ぼすことが判明した。特に第二エイペックスの輪郭の形状を適正に整えることにより、良好な耐久性が実現できることを見出した。
【0014】
本発明に係る空気入りタイヤでは、第二エイペックスの輪郭を構成する円弧の曲率半径及びこれらの円弧の接点は、適正に整えられている。この輪郭を有する第二エイペックスでは、荷重が負荷されたときに歪みの集中が抑えられている。この第二エイペックスでは高い耐久性が実現されている。この輪郭を有する第二エイペックスは、しなやかに撓みうる。この第二エイペックスは、操縦安定性及び乗り心地の向上に寄与する。さらにこの第二エイペックスでは、第一エイペックスの先端近辺で厚みが最大となる。この第二エイペックスの横バネ定数は大きい。これは、操縦安定性の向上に寄与する。このタイヤでは、良好な耐久性、乗り心地及び操縦安定性が実現されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。
図2図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。
図3図3は、図2に示されたタイヤ及びその構成部材の輪郭が示された図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0017】
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。図1において、実線BBLはビードベースラインである。ビードベースラインBBLは、タイヤ2が装着されるリム(図示されず)のリム径(JATMA参照)を規定する線である。このビードベースラインBBLは、軸方向に延びる。
【0018】
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のクリンチ8、一対のビード10、カーカス12、ベルト14、バンド16、一対のエッジバンド18、インナーライナー20及び一対のチェーファー22を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
【0019】
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面24を形成する。トレッド4には、溝26が刻まれている。この溝26により、トレッドパターンが形成されている。トレッド4は、ベース層28とキャップ層30とを有している。キャップ層30は、ベース層28の半径方向外側に位置している。キャップ層30は、ベース層28に積層されている。ベース層28は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層28の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。キャップ層30は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
【0020】
それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6の半径方向内側端は、クリンチ8と接合されている。このサイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール6は、カーカス12の損傷を防止する。
【0021】
それぞれのクリンチ8は、サイドウォール6の半径方向略内側に位置している。クリンチ8は、サイドウォール6の端から半径方向略内向きに延びている。クリンチ8は、軸方向において、ビード10及びカーカス12よりも外側に位置している。クリンチ8は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。クリンチ8は、リムのフランジと当接する。
【0022】
この発明では、サイドウォール6とクリンチ8で構成される部分は、このタイヤ2のサイド部と称される。この実施形態では、サイド部は、外面が軸方向外側にテーパー状に突出した突出部32を備えている。サイド部が突出部32を備えなくてもよい。
【0023】
それぞれのビード10は、クリンチ8よりも軸方向内側に位置している。ビード10は、コア34と、第一エイペックス36と、第二エイペックス38とを備えている。コア34はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。第一エイペックス36は、コア34から半径方向外向きに延びている。第一エイペックス36は、半径方向外向きに先細りである。第二エイペックス38は、軸方向において第一エイペックス36よりも外側に位置している。第二エイペックス38は、軸方向においてクリンチ8とカーカス12との間に位置している。このタイヤ2では、第二エイペックス38の外側端40は半径方向において第一エイペックス36の先端42よりも外側に位置している。
【0024】
カーカス12は、カーカスプライ44からなる。カーカスプライ44は、一方のビード10と他方のビード10との間に架け渡されている。カーカスプライ44は、トレッド4及びサイドウォール6の内側に沿っている。カーカスプライ44は、コア34の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ44には、主部46と折返し部48とが形成されている。折返し部48は、第一エイペックス36と第二エイペックス38との間に位置している。
【0025】
カーカスプライ44は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス12はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス12が、2枚以上のカーカスプライ44から形成されてもよい。
【0026】
ベルト14は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト14は、カーカス12と積層されている。ベルト14は、カーカス12を補強する。ベルト14は、内側層14a及び外側層14bからなる。図示されていないが、内側層14a及び外側層14bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上35°以下である。内側層14aのコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層14bのコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト14が、3以上の層を備えてもよい。
【0027】
バンド16は、ベルト14の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド16の幅はベルト14の幅よりも大きい。図示されていないが、このバンド16は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド16は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト14が拘束されるので、ベルト14のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
【0028】
それぞれのエッジバンド18は、バンド16の半径方向外側であって、かつバンド16の端の近傍に位置している。図示されていないが、このエッジバンド18は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このエッジバンド18は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト14の端が拘束されるので、ベルト14のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
【0029】
インナーライナー20は、カーカス12の内側に位置している。インナーライナー20は、カーカス12の内面に接合されている。インナーライナー20は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー20の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー20は、タイヤ2の内圧を保持する。
【0030】
それぞれのチェーファー22は、ビード10の近傍に位置している。図から明らかなように、チェーファー22はビード10の周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返されている。チェーファー22の一端は、カーカス12よりも軸方向外側に位置している。このチェーファー22の一端は、軸方向において、折返し部48とクリンチ8との間に位置している。チェーファー22の他端は、カーカス12よりも軸方向内側に位置している。このチェーファー22の他端は、半径方向において第一エイペックス36の先端42よりも内側に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー22がリムと当接する。この当接により、ビード10の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー22は布とこの布に含浸したゴムとからなる。
【0031】
図2には、図1に示されたタイヤ2の一部が示されている。この図2には、このタイヤ2のビード10の部分が示されている。図3には、図2のタイヤの部分について、タイヤ及びその構成部材(ビード、クリンチ等)の輪郭が示されている。図2及び図3において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。
【0032】
本発明では、タイヤ2の外面の輪郭はプロファイルと称される。外面に溝や突起が設けられている場合は、この溝や突起がないと仮定して得られる仮想外面を用いて、このプロファイルは表される。
【0033】
図2において、符号Pwはこのタイヤ2のプロファイル上の位置である。このタイヤ2のプロファイルは、この位置Pwにおいて、軸方向幅が最大を示す。言い換えれば、この位置Pwはこのタイヤ2の最大幅位置である。
【0034】
図で示されるとおり、第二エイペックス38は、半径方向外向きに先細りである。半径方向において、第二エイペックス38の外側端40は、最大幅位置Pwの近辺まで延びている。第二エイペックス38は、半径方向内向きに先細りである。半径方向において、第二エイペックス38の内側端は、コア34の外側端の近辺まで延びている。
【0035】
図2において、直線Mは第二エイペックス38の軸方向外側面の法線である。法線Mは、第二エイペックス38の内側面上の位置Paを通る。両矢印F2は、第二エイペックス38の最大厚みである。詳細には、外側面の法線に沿って計測した外側面と内側面との距離の最大値である。位置Paにおいて、第二エイペックス38は、最大厚みF2となる。両矢印Haは、ビードベースラインBBLから位置Paまでの半径方向高さである。両矢印H1は、ビードベースラインBBLから第一エイペックス36の先端42までの半径方向高さである。図で示されるとおり、位置Paは第一エイペックス36の先端42の近辺に位置している。すなわち、このタイヤ2では、第一エイペックス36の先端42の近辺において第二エイペックス38の厚みが最大になっている。ここで位置Paが第一エイペックス36の先端42の近辺に位置しているとは、上記高さHaの高さH1に対する比(Ha/H1)が、0.9以上1.1以下であることを意味する。
【0036】
図3に示されるように、第二エイペックス38の軸方向内側面の輪郭は、軸方向外向きに凸な円弧C1及び軸方向内向きに凸な円弧C4を含んでいる。円弧C1は、内側面の輪郭の半径方向外側端から内側に向けて延びている。円弧C4は、内側面の輪郭の半径方向内側端の近辺から外側に向けて延びている。円弧C4は、第一エイペックス36の近辺に位置している。
【0037】
図3に示されるように、第二エイペックス38の軸方向外側面の輪郭は、軸方向外向きに凸な円弧C2及び内向きに凸な円弧C3を含んでいる。円弧C2は、外側面の輪郭の半径方向外側端から内側に向けて延びている。円弧C3は、円弧C2の半径方向内側に位置している。円弧C3は、円弧C2と接している。図において、点Ptは、円弧C3と円弧C2との接点である。
【0038】
図2において、両矢印Htは、ビードベースラインBBLから接点Ptまでの半径方向高さである。両矢印Hwは、ビードベースラインBBLから最大幅位置Pwまでの半径方向高さである。このタイヤ2では、高さHtは、高さHwのほぼ半分の高さである。詳細には、高さHtと高さHwの1/2との差(Ht−Hw/2)は、−10mm以上10mm以下である。
【0039】
このタイヤ2では、円弧C1の曲率半径R1は、円弧C2の曲率半径R2より大きい。円比C2の曲率半径R2は、上記円弧C3の曲率半径R3より大きい。円弧C3の曲率半径R3は、上記円弧C4の曲率半径R4より大きい。
【0040】
以下、本発明の作用効果が説明される。
【0041】
本発明に係る空気入りタイヤ2では、第二エイペックス38の軸方向内側面の輪郭は、この輪郭の半径方向外側端から内向きに延びる軸方向外向きに凸な円弧C1を含んでいる。第二エイペックス38の軸方向外側面の輪郭は、この輪郭の半径方向外側端から内向きに延びる軸方向外向きに凸な円弧C2と、この円弧C2の半径方向内側に位置しこの円弧C2と接する軸方向内向きに凸な円弧C3とを含んでいる。ビードベースラインBBLからこのタイヤ2の最大幅位置までの高さがHwとされたとき、ビードベースラインBBLから上記円弧C2と円弧C3との接点までの高さHtと上記高さHwの半分の高さとの差(Ht−Hw/2)は−10mm以上10mm以下である。上記円弧C1の曲率半径R1は上記円弧C2の曲率半径R2より大きく、この曲率半径R2は上記円弧C3の曲率半径R3より大きい。この輪郭を有する第二エイペックス38では、荷重が負荷されたときに歪みの集中が抑えられている。この第二エイペックス38では高い耐久性が実現されている。この輪郭を有する第二エイペックス38は、しなやかに撓みうる。この第二エイペックス38は、操縦安定性及び乗り心地の向上に寄与する。さらにこの第二エイペックス38では、第一エイペックス36の先端42近辺で厚みが最大となる。この第二エイペックス38の横バネ定数は大きい。これは、操縦安定性の向上に寄与する。このタイヤ2では、良好な耐久性、乗り心地及び操縦安定性が実現されている。
【0042】
上記曲率半径R2の上記曲率半径R1に対する比(R2/R1)は、0.6以上が好ましく、0.9以下が好ましい。これにより、この第二エイペックス38では、荷重が負荷されたときに歪みの集中が抑えられている。この第二エイペックス38では高い耐久性が実現されている。さらにこの第二エイペックス38の剛性は適正に整えられている。この第二エイペックス38は、しなやかに撓みうる。この第二エイペックス38は、操縦安定性及び乗り心地の向上に寄与する。この第二エイペックス38を備えるタイヤ2では、良好な操縦安定性及び乗り心地が実現されている。
【0043】
上記曲率半径R2の上記曲率半径R1に対する比(R3/R2)は、0.5以上が好ましく、0.8以下が好ましい。これにより、この第二エイペックス38では、荷重が負荷されたときに歪みの集中が抑えられている。この第二エイペックス38では高い耐久性が実現されている。さらにこの第二エイペックス38の剛性は適正に整えられている。この第二エイペックス38は、しなやかに撓みうる。この第二エイペックス38は、操縦安定性及び乗り心地の向上に寄与する。この第二エイペックス38を備えるタイヤ2では、良好な操縦安定性及び乗り心地が実現されている。
【0044】
前述のとおり、このタイヤ2では第一エイペックス36の近辺で、第二エイペックス38は最大厚みF2を有する。第一エイペックス36の先端42近辺で第二エイペックス38の厚みを大きくすることは、タイヤ2の横バネ定数に効果的に寄与する。このタイヤ2は操縦安定性に優れる。
【0045】
最大厚みF2の好ましい値は、タイヤ2のロードインデックスによって異なる。ロードインデックスは、JATMA規格で定められる使用条件下でタイヤ2に負荷しうる最大の質量を表す記号である。ロードインデックスが93未満のタイヤ2については、最大厚みF2は1.5mm以上が好ましく、2.5mm以下が好ましい。最大厚みF2を1.5mm以上とすることで、この第二エイペックス38は荷重に耐えうる十分な剛性を備える。このタイヤ2は耐久性に優れる。さらにこの第二エイペックス38は、横バネ定数に効果的に寄与する。このタイヤ2では、良好な操縦安定性が実現されている。最大厚みF2を2.5mm以下とすることで、この第二エイペックス38のタイヤ質量への影響が抑えられている。この第二エイペックス38の転がり抵抗への影響が抑えられている。同様にして、ロードインデックスが93以上100未満のタイヤ2については、最大厚みF2は3.5mm以上が好ましく、4.5mm以下が好ましい。ロードインデックスが100以上のタイヤ2については、最大厚みF2は5.5mm以上が好ましく、6.5mm以下が好ましい。
【0046】
図2において、符号Prは、サイド部の外側面上の位置である。位置Prは、最大幅位置Pwより半径方向内側において、サイド部の厚みが最大となる位置である。ここでサイド部の厚みは、サイド部の内側面の法線に沿って計測した、サイド部の内側面と外側面との距離である。この実施形態では、位置Prはクリンチ8の外側面上に位置している。位置Prが、サイドウォール6の外側面上に位置していてもよい。
【0047】
両矢印F1は、位置Prにおける第二エイペックス38の厚みである。詳細には、厚みF1は、位置Prから第二エイペックス38の外側面に引いた法線に沿って計測した、第二エイペックス38の外側面と内側面との距離である。
【0048】
このタイヤ2では、厚みF1の第二エイペックス38の最大厚みF2に対する比(F1/F2)は、0.4以上が好ましい。比(F1/F2)を0.4以上とすることで、この第二エイペックス38は、横バネ定数に効果的に寄与する。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。さらにこの第二エイペックス38は、荷重に耐えうる十分な剛性を有する。このタイヤ2は耐久性に優れる。比(F1/F2)は0.6以下が好ましい。比(F1/F2)を0.6以下とすることで、この第二エイペックス38のタイヤ質量への影響が抑えられている。この第二エイペックス38の転がり抵抗への影響が抑えられている。
【0049】
図2において、符号Phは、第二エイペックス38の外側面上の位置である。ビードベースラインBBLから位置Phまでの半径方向高さは、高さHwの半分(Hw/2)である。両矢印F3は、位置Phにおける第二エイペックス38の厚みである。詳細には、厚みF3は、位置Phにおける法線に沿って計測した、第二エイペックス38の外側面と内側面との距離である。
【0050】
このタイヤ2では、厚みF3の第二エイペックス38の最大厚みF2に対する比(F3/F2)は、0.4以上が好ましい。比(F3/F2)を0.4以上とすることで、この第二エイペックス38は、横バネ定数に効果的に寄与する。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。さらに、この第二エイペックス38は、荷重に耐えうる十分な剛性を有する。このタイヤ2は耐久性に優れる。比(F3/F2)は0.6以下が好ましい。比(F3/F2)を0.6以下とすることで、この第二エイペックス38のタイヤ質量への影響が抑えられている。この第二エイペックス38の転がり抵抗への影響が抑えられている。
【0051】
厚みF1と厚みF2とは同等であるのが好ましい。詳細には、F1のF2に対する比(F1/F2)が0.9以上1.1以下が好ましい。
【0052】
図2において、両矢印H2は、ビードベースラインBBLから第二エイペックス38の半径方向外側端までの高さである。高さH2と上記高さHwとの差(H2−Hw)は、−10mm以上が好ましい。差(H2−Hw)を−10mm以上とすることで、この第二エイペックス38はビード10の部分の面内捻剛性に効果的に寄与する。このタイヤ2は耐久性に優れる。この観点から差(H2−Hw)は−8mm以上がより好ましい。差(H2−Hw)は10mm以下が好ましい。差(H2−Hw)を10mm以下とすることで、第二エイペックス38の縦バネ定数への影響が抑えられる。このタイヤ2では、良好な乗り心地が維持されている。さらにこの第二エイペックス38の、タイヤ質量への影響が抑えられている。この第二エイペックス38の転がり抵抗への影響が抑えられている。これらの観点から、差(H2−Hw)は8mm以下がより好ましい。
【0053】
高さH2は、50mm以上が好ましい。高さH2を50mm以上とすることで、この第二エイペックス38はビード10の部分の面内捻剛性に寄与する。このタイヤ2は耐久性に優れる。高さH2は75mm以下が好ましい。高さH2を75mm以下とすることで、第二エイペックス38の縦バネ定数への影響が抑えられる。このタイヤ2では、良好な乗り心地が維持されている。さらにこの第二エイペックス38の、タイヤ質量への影響が抑えられている。この第二エイペックス38の転がり抵抗への影響が抑えられている。
【0054】
図3に示されるとおり、第二エイペックス38の半径方向外側部分では、第二エイペックス38は、カーカスプライ44の主部46と接している。前述のとおり、この部分では、第二エイペックス38の軸方向内側面は、円弧C1から構成されている。すなわち、主部46の外側面の輪郭は、円弧C1と同じ曲率半径を有し、この部分で円弧C1と重なる円弧C5を含んでいる。主部46の外側面の輪郭を構成する円弧C5は、最大幅位置Pwの近辺から、内側に向けて延びている。
【0055】
主部46の外側面の輪郭を構成する円弧C5は、第一エイペックス36の先端42近辺まで延びているのが好ましい。換言すれば、主部46の外側面の輪郭は、最大幅位置Pwの近辺から第一エイペックス36の先端42の近辺まで、単一の円弧C5で構成されているのが好ましい。この輪郭は、タイヤ2のサイドウォール6の部分において、特異な剛性を有する部分の形成を抑える。このタイヤ2では、サイドウォール6の部分全体が適正に撓む。このタイヤ2では、サイドウォール6の部分が全体として効果的に剛性に寄与する。このような撓みは、タイヤ2の操縦安定性に寄与する。
【0056】
このタイヤ2では、カーカスプライ44の折返し部48とクリンチ8との間に第二エイペックス38が位置している。このタイヤ2では、折返し部48は従来タイヤにおける折返し部48よりも軸方向内側に配置される。この配置は、折返し部48への歪みの集中を抑えうる。ルースの発生が抑えられるので、このタイヤ2は耐久性に優れる。
【0057】
第一エイペックス36の複素弾性率E1は60MPa以上が好ましい。この弾性率E1が60MPa以上に設定されることにより、第一エイペックス36がタイヤ2の支持に寄与する。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。第一エイペックス36の複素弾性率E1は70MPa以下が好ましい。この弾性率E1が70MPa以下に設定されることにより、第一エイペックス36による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2では、乗り心地が適切に維持される。
【0058】
第二エイペックス38の複素弾性率E2は60MPa以上が好ましい。この弾性率E2が60MPa以上に設定されることにより、第二エイペックス38が面内捻り剛性に寄与する。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。第二エイペックス38の複素弾性率E2は70MPa以下が好ましい。この弾性率E2が70MPa以下に設定されることにより、第二エイペックス38による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2では、乗り心地が適切に維持される。
【0059】
本発明では、第一エイペックス36の複素弾性率E1及び第二エイペックス38の複素弾性率E2は「JIS K 6394」の規定に準拠して測定される。測定条件は、以下の通りである。
粘弾性スペクトロメーター:岩本製作所の「VESF−3」
初期歪み:10%
動歪み:±1%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:70℃
【0060】
図2において、両矢印L1は第一エイペックス36の長さである。この長さL1は、第一エイペックス36の底面の軸方向中心から第一エイペックス36の先端42までの長さで表される。
【0061】
長さL1は5mm以上が好ましい。この長さL1が5mm以上に設定されることにより、第一エイペックス36が横バネ定数に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。長さL1は15mm以下が好ましい。この長さL1が15mm以下に設定されることにより、適正な輪郭を有するカーカス12が得られる。このカーカス12は、タイヤ2の耐久性及び操縦安定性に寄与する。
【0062】
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。このタイヤ2が乗用車用である場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
【実施例】
【0063】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0064】
[実施例1]
図1に示された構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤを得た。このタイヤのサイズは、「215/60R16 95H」とされた。第一エイペックス、第二エイペックスは、同じゴム組成物を架橋することによって成形された。このタイヤの最大幅高さHwは64.5mmである。厚みF2は4mm、比(F1/F2)は0.5、比(F3/F2)は0.5とされた。このタイヤでは、カーカスプライの主部の輪郭は、最大幅位置から第一エイペックスの先端の位置まで、円弧C1と同一の曲率半径を有する円弧で構成されている。
【0065】
[比較例1]
このタイヤでは、第二エイペックスが設けられていない。このタイヤの第一エイペックスの長さL1は下記の表1の通りとされた。さらにこのタイヤは、カーカスは2枚のカーカスプライで構成されている。これらの他は実施例1と同様にして、比較例1のタイヤを得た。比較例1は従来タイヤである。
【0066】
[比較例2−3]
曲率半径R1、R2及びR3を表1の通りとした他は実施例1と同様にして、比較例2−3のタイヤを得た。
【0067】
[実施例2−3及び比較例4−6]
曲率半径R1、R2及びR3及び差(Ht−Hw/2)を表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−3及び比較例4−6のタイヤを得た。
【0068】
[実施例4−7]
第二エイペックスの高さH2を変更して、差(H2−Hw)を表3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2及び比較例4−7のタイヤを得た。
【0069】
[操縦安定性及び乗り心地]
タイヤを8.0JJのリムに組み込み、このタイヤに内圧が230kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを、乗用車に装着した。ドライバーに、この乗用車をテストコースで運転させて、操縦安定性及び乗り心地を評価させた。操縦安定性に関する評価では、N(ニュートラル)付近及びレーンチェンジにおける安定性が確認された。この結果が、指数として下記の表1−3に示されている。数値が大きいほど好ましい。
【0070】
[耐久性]
タイヤを正規リムに組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を230kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着し、8.15kNの縦荷重をタイヤに負荷した。このタイヤを、100km/hの速度で、半径が1.7mであるドラムの上を走行させた。タイヤに損傷が確認されるまでの走行距離を、測定した。この結果が、比較例1を基準とした指数として、下記の表1−3に示されている。数値が大きいほど、好ましい。
【0071】
[転がり抵抗]
転がり抵抗試験機を用い、下記の測定条件で転がり抵抗を測定した。
使用リム:8.0JJ
内圧:230kPa
荷重:8.15kN
速度:80km/h
この結果が、比較例1を基準とした指数値で下記の表1−3に示されている。数値が小さいほど好ましい。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】
表1−3に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上説明された空気入りタイヤは、様々な車輌にも適用されうる。
【符号の説明】
【0077】
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
6・・・サイドウォール
8・・・クリンチ
10・・・ビード
12・・・カーカス
14・・・ベルト
14a・・・内側層
14b・・・外側層
16・・・バンド
18・・・エッジバンド
20・・・インナーライナー
22・・・チェーファー
24・・・トレッド面
26・・・溝
28・・・ベース層
30・・・キャップ層
32・・・突出部
34・・・コア
36・・・第一エイペックス
38・・・第二エイペックス
40・・・第二エイペックスの外側端
42・・・第一エイペックスの先端
44・・・カーカスプライ
46・・・主部
48・・・折返し部
図1
図2
図3