(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記器具本体の上記ライティングダクトに沿った幅は、上記灯具の上記ライティングダクトに沿った幅と同じ、もしくは上記灯具の上記ライティングダクトに沿った幅より小さい、
請求項1の照明器具。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。
図1は、照明器具の一例であるスポットライト100の外観斜視図である。
図2は、スポットライト100の電源ケース2(器具本体)に対して灯具4を90°回動させた状態を示す正面図である。
【0012】
このスポットライト100は、灯具4を電源ケース2に対して同軸に配置した
図1に示す状態で、略円柱状の外観を有する。スポットライト100は、それぞれ円柱状の外観を有する電源ケース2と灯具4を有する。スポットライト100は、電源ケース2の下方にアーム3(連結部材)を介して灯具4を同軸に連結した構造を有し、灯具4を電源ケース2に対して回動可能としている。本実施形態では、電源ケース2の外径と灯具4の外径を同じ外径に設計した。
【0013】
また、スポットライト100は、電源ケース2の中心軸C1(
図2参照)に沿った一端(図示上端)を図示しないライティングダクトに着脱可能に取り付けるためのプラグ1(接続部材)を有する。プラグ1は、周知技術であるため、ここではその詳細な説明を省略する。プラグ1は、スポットライト100をライティングダクトに対して機械的および電気的に接続する。
【0014】
一般に、ライティングダクトは、部屋の天井に取り付けられる。或いは、稀に、ライティングダクトは、部屋の壁に取り付けられる。以下の説明では、ライティングダクトを部屋の天井に取り付けたものとする。つまり、ここでは、スポットライト100は、プラグ1をライティングダクトに取り付けた状態で、部屋の天井から下方に垂設されるものとする。この場合、スポットライト100の中心軸C(すなわち、電源ケース2の中心軸C1)が鉛直方向に沿うことになる。
【0015】
さらに、スポットライト100は、灯具4を電源ケース2に対して回動可能に連結したアーム3を有する。
図3は、アーム3を備えた電源ケース2を灯具4側から見た斜視図であり、
図4は、アーム3の拡大図である。
【0016】
アーム3の電源ケース2側の一端は、
図3に示すように、電源ケース2の中心軸C1と平行な軸C3を中心に灯具4を回動させることができるように、電源ケース2の底壁2aに取り付けられている。アーム3の灯具4側の他端は、電源ケース2の中心軸C1と直交する軸C4を中心に灯具4を回動させることができるように、灯具4の放熱フィン5に取り付けられている(
図1参照)。つまり、このアーム3は、電源ケース2に対して灯具4をあらゆる方向に自由に回動可能に連結する。
【0017】
以下、スポットライト100の各部の構造および機能についてより詳細に説明する。
【0018】
プラグ1は、ライティングダクトの図示しない溝に嵌め込まれて、電源ケース2の中心軸C1を中心に略90°回動され、電源ケース2をライティングダクトに取り付ける。プラグ1をライティングダクトから取り外す際には、電源ケース2を逆方向に回動させる。プラグ1は、電源ケース2(すなわち、スポットライト100)をライティングダクトに対して機械的に連結するとともに、電源ケース2内に配設された図示しない点灯回路をライティングダクトに電気的に接続する。プラグ1のケースは樹脂製である。
【0019】
電源ケース2は、中心軸C1に沿った一端にプラグ1を備えているとともに、中心軸C1に沿った他端に円板状の底壁2aを備えている。電源ケース2の内部には、上述した図示しない点灯回路の他に、外部機器との間で無線通信を行うための図示しない無線モジュールなどが設けられている。電源ケース2は、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属により形成されている。
【0020】
底壁2aは、アーム3の後述する円形の回動板31aを回動可能に受け入れる円形の貫通した遊嵌孔2bを備えている。遊嵌孔2bは、底壁2aの中心から偏心した位置に設けられている。つまり、アーム3は、
図3に示すように、電源ケース2の中心軸C1に対して偏心した位置に取り付けられる。見方を変えると、アーム3は、灯具4の中心軸C2に対しても偏心した位置に取り付けられる。
【0021】
灯具4は、図示しないLED光源を実装した基板、レンズ、配光部材などを内蔵している。灯具4の電源ケース2から離間した端部(図示下端)には、光源から発光されてレンズおよび配光部材を介して伝えられた照明光を射出するための図示しない発光窓が設けられている。灯具4の筐体は、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属により形成されている。
【0022】
また、灯具4は、複数枚の板状の放熱フィン5を備えている。複数の放熱フィン5は、灯具4の筐体と一体に設けられる。複数の放熱フィン5は、灯具4の発光窓と反対の電源ケース2側に設けられ、灯具4の中心軸C2に沿って互いに平行に延出している。そして、複数の放熱フィン5のうち、フィンの並び方向の両端以外の内側の放熱フィン5の1つにアーム3の他端が固定される。
【0023】
図3および
図4に示すように、アーム3は、電源ケース2側に取り付ける連結片31、および灯具4側に取り付ける固定ブロック32を有する。アーム3は、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属により形成されている。固定ブロック32は、軸C4を中心に連結片31に対して第1回動方向に回動可能に連結される。
【0024】
連結片31は、上述した回動板31a、円筒部分31b、および板状部分31cを一体に有する。円筒部分31bは、回動板31aの軸C3に沿った一端側に同軸且つ一体に設けられている。板状部分31cは、回動板31aの軸C3に沿った他端側に一体に設けられている。
図3に示す状態で、円筒部分31bは、電源ケース2の内部に配置される。
【0025】
板状部分31cは、回動板31aの中心軸C3から偏心して設けられている。このため、円筒部分31bの貫通孔31dの灯具4側の端部は、板状部分31cに干渉しない位置で開口している。この貫通孔31dには、電源ケース2内に配置した点灯回路と灯具4内に配置した光源基板をつなぐ図示しない配線が挿通配置される。
【0026】
板状部分31cの灯具4側の端部には、図示しない回動軸を挿通するための軸孔31eが設けられている。この軸孔31eは、板状部分31cを貫通して軸C4方向に延びている。つまり、この軸孔31eは、回動板31aの中心軸C3と直交する方向に板状部分31cを貫通している。
【0027】
固定ブロック32は、上述した連結片31の板状部分31cの軸C3側の面に重ねて配置される。つまり、固定ブロック32は、板状部分31cが回動板31aの中心軸C3に対して偏心した側と反対の面に重ねて配置される。
【0028】
固定ブロック32は、板状部分31cと重なる中央部分32aおよび中央部分32aを間に挟んだ両側にある2つの固定部分32b、32bを一体に有する。つまり、固定ブロック32は、連結片31の板状部分31cの長手方向と交差する方向にクロスして延びている。
【0029】
固定ブロック32の中央部分32aは、板状部分31cの軸孔31eに同軸に重なる軸孔32cを有する。また中央部分32aは、この軸孔32cに連通する凹所32dを有する。凹所32dは、板状部分31cから離間した側に設けられている。さらに、中央部分32aは、固定ブロック32を放熱フィン5の取付凹所5a(
図5参照)に対して位置決めするためのV字面32eを有する。
【0030】
中央部分32aを挟む2つの固定部分32b、32bは、中央部分32aに対して対称な構造を有する。各固定部分32bは、固定ブロック32を放熱フィン5の取付凹所5aに固定するためのネジ(図示せず)を挿通するためのネジ孔32f(
図5参照)をそれぞれ有する。各ネジ孔32fは、軸C3と平行な方向に延びている。
【0031】
図5は、アーム3の取付方法および取付位置について説明するため、電源ケース2および灯具4の一部を破断した概略図である。まず、アーム3の取付方法について説明する。
【0032】
アーム3の上端を電源ケース2に取り付ける場合、連結片31の円筒部分31bを底壁2aの遊嵌孔2bに通して回動板31aを遊嵌孔2bに嵌合する。この後、連結片31の円筒部分31bに抜け止めリング33を取り付ける。これにより、連結片31の底壁2aに対する脱落が防止される。遊嵌孔2bは回動板31aよりわずかに大きな径を有するため、回動板31aが遊嵌孔2bに対して回動可能となる。
【0033】
上記のように底壁2aの遊嵌孔2bに連結片31を取り付けた後、底壁2aを電源ケース2の他端に取り付ける。なお、連結片31の他端には、予め固定ブロック32を取り付けておく。この際、連結片31の板状部分31cの軸孔31eと固定ブロック32の軸孔32cを同軸に重ね、これら2つの重ねられた軸孔31e、32cに図示しない回動軸を挿通して取り付ける。回動軸は、連結片31に対して固定ブロック32を回動可能に接続する。
【0034】
そして、アーム3の他端を灯具4に取り付ける場合、連結片31の板状部分31cに対して回動可能に連結された固定ブロック32を放熱フィン5の取付凹所5aに嵌合する。このとき、固定ブロック32の中央部分32aの下面側に設けたV字面32eを取付凹所5aのV字溝5bに嵌合し、固定ブロック32を取付凹所5aに位置決めする。さらに、固定ブロック32の各固定部分32bに設けたネジ孔32fに図示しないネジを挿通し、取付凹所5aの底に設けたネジ孔5cに螺合する。
【0035】
次に、アームの取付位置について説明する。
本実施形態のように、円柱状の電源ケース2の下方に隙間Sを介して円柱状の灯具4を取り付けて、灯具4を電源ケース2に対して回動可能とする場合、仮に、アーム3をスポットライト100の中心軸C上に配置してしまうと、隙間Sを比較的大きくとる必要がある。具体的には、アーム3を中心軸C上に設けて灯具4を電源ケース2に対して90°回動させるためには、少なくとも、隙間Sの大きさをスポットライト100の半径より大きくする必要があり、外観が悪くなる。
【0036】
このため、本実施形態では、隙間Sを小さくして外観を良くするため、スポットライト100の中心軸Cから偏心した位置にアーム3を設けた。アーム3を隙間Sに配置することで、スポットライト100の外側からアーム3を見え難くすることができ、外観を良くすることができる。
【0037】
なお、本実施形態では、アーム3の板状部分31cを回動板31aに対して偏心して設け、且つ円筒部分31bの開口側で固定ブロック32を板状部分31cに重ねている。このため、円筒部分31bの貫通孔31dを通る図示しない配線が固定ブロック32の凹所32d内を通り、配線をスポットライト100の外側から見え難くすることができる。
【0038】
理想的には、アーム3をスポットライト100の外周面の近くに配置することで、隙間Sを殆どゼロにすることができる。しかし、本実施形態のように、灯具4の放熱フィン5にアーム3を取り付けるためには、灯具4の外周面から中心軸Cに向けて内側に離間した位置にアーム3の回動軸C4を設ける必要がある。つまり、上記のように回動軸C4の両側で2本のネジを用いて固定ブロック32を放熱フィン5に固定する構成で、十分な機械強度を確保するためには、回動軸C4を灯具4の外周面から内側に所定距離だけ離間した位置にレイアウトする必要がある。
【0039】
十分な機械強度を確保できる、灯具4の外周面から回動軸C4までの距離をD1とした場合、回動軸C4から固定ブロック32の外周面側の上端角部32gまでの距離D2はD1より大きくなる。灯具4を回動させる場合、固定ブロック32の上端角部32gが電源ケース2に対して最も干渉し易いことから、この距離D2が、回動軸C4から電源ケース2の下端(底壁2a)までの距離D3より少なくとも小さければ良いことになる。つまり、D1<D2<D3の関係が成り立つ最少の隙間Sに設定することで、スポットライト100の外観を良くすることができ、意匠性を高めることができる。
【0040】
以上のように、本実施形態によると、プラグ1および電源ケース2の中心軸C1と灯具4の中心軸C2を一直線に重ねた
図1の状態で、プラグ1の中心、電源ケース2の中心、および灯具4の中心がスポットライト100の中心軸C上に配置される。例えば、この状態で複数台のスポットライト100をライティングダクトに沿って近接して取り付けた場合、隣り合うスポットライト100の外周面同士が接触する距離まで灯具同士を近付けることができる。
【0041】
これに対し、例えば、ライティングダクトに沿った灯具の幅より電源ケースの幅が大きな従来の器具を互いに近接して取り付けようとした場合、電源ケース同士を接触させても、灯具同士の間に隙間が開いてそれ以上近接配置することができない。
【0042】
また、上述した実施形態では、電源ケース2の外径と灯具4の外径を同じに設計した場合について説明したが、電源ケース2の外径は灯具4の外径より小さくても良い。この場合、2台の隣接するスポットライト100の電源ケース2同士を接触させた状態で、それぞれの灯具4を互いに反対方向に回動させれば良く、灯具4同士の干渉を避けることができる。
【0043】
さらに、上述した実施形態では、電源ケース2および灯具4を円柱状に構成したが、電源ケース2および/或いは灯具4の外形は、円柱状に限らない。電源ケース2の中心と灯具4の中心を中心軸C上に一直線に配置したとき、電源ケース2の幅が灯具4の幅と同等或いはそれより小さければ良い。例えば、電源ケース2および灯具4の断面形状は、楕円形、長円形、正方形、長方形、ひし形、台形、星形など、いかなる形状であっても良い。
【0044】
また、本実施形態によると、スポットライト100をライティングダクトから取り外した状態で、或いはスポットライト100の出荷時において、電源ケース2と灯具4を
図1に示す状態にして複数台のスポットライト100を並べて図示しないケースなどに収容することができる。このため、本実施形態によると、スポットライト100を保管する収納スペースを小さくでき、スポットライト100の保管管理にかかる費用を少なくできる。
【0045】
また、本実施形態によると、電源ケース2と灯具4との間の隙間Sに、アーム3を偏心させて配置したため、狭い隙間Sにアーム3を配置することができ、アーム3や配線が外側から見難く、スポットライト100の外観を良くすることができ、意匠性を高めることができる。
【0046】
上述した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以下、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]
光源を含む灯具と;
上記光源に給電する点灯回路を含む器具本体と;
上記器具本体をライティングダクトに着脱可能に取り付けるとともに上記点灯回路を上記ライティングダクトに電気的に接続する接続部材と;
上記接続部材と反対側の上記器具本体の端部に隙間を介して上記灯具を連結し、上記灯具を上記器具本体に対して回動可能に支持した連結部材と;を有し、
上記接続部材、器具本体、および灯具は、上記接続部材の中心、上記器具本体の中心、および上記灯具の中心を一直線に配置可能な構造を有する、
照明器具。
[2]
上記連結部材は、上記隙間に配置される、
[1]の照明器具。
[3]
上記連結部材は、上記接続部材の中心、上記器具本体の中心、および上記灯具の中心を通る軸に対して偏心して設けられている、
[2]の照明器具。
[4]
上記器具本体の上記ライティングダクトに沿った幅は、上記灯具の上記ライティングダクトに沿った幅と同じ、もしくは上記灯具の上記ライティングダクトに沿った幅より小さい、
[1]の照明器具。