【実施例1】
【0033】
以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係るX線撮影システムの構成を示す概略図であり、
図2は、実施例1に係るX線撮影システムの構成を説明する機能ブロック図である。
【0034】
<全体構成の説明>
実施例1に係るX線撮影システム1は
図1に示すように、Cアーム型X線撮影装置11と回診用X線撮影装置101とによって構成される。回診用X線撮影装置101は本発明における第1のX線撮影装置に相当し、Cアーム型X線撮影装置11は本発明における第2のX線撮影装置に相当する。
【0035】
Cアーム型X線撮影装置11は、水平姿勢をとる被検体Mを載置させる天板13と、被検体Mに対してX線を照射するX線管15と、X線管5から照射されたX線を検出して電気信号に変換するX線検出器17とを備えている。X線管15とX線検出器17は撮像系を構成しており、天板13を挟んで対向配置されている。X線検出器17はX線を検出する検出面を備えており、検出面にはX線検出素子が二次元的に配列されている。X線検出器17の一例として、フラットパネル型検出器(FPD)が用いられる。
【0036】
X線管15とX線検出器17は、C型アーム19の一端と他端にそれぞれ設けられている。C型アーム19はアーム保持部材21に保持されており、符号RAで示されるC型アーム19の円弧経路に沿ってスライド移動するように構成される。アーム保持部材21は支柱23の側面部に配設されており、x方向(天板13の長手方向、および被検体Mの体軸方向)に平行な水平軸RBの軸周りに回転可能となるように構成される。アーム保持部材21に保持されているC型アーム19は、アーム保持部材21に従ってx方向の軸周りに回動する。
【0037】
なお、Cアーム型X線撮影装置11に用いられるX線検出器17はC型アーム19の移動に従って頻繁に位置を変更するので、術者などと干渉する可能性を考慮する必要がある。そのためCアーム型X線撮影装置11に用いられるX線検出器17は比較的サイズが小さく、一例として9〜10インチ四方である。実施例1において、X線検出器17として9インチ四方のFPDを用いることとする。
【0038】
支柱23は床面に配設された支持基台25に支持されており、y方向(天板3の短手方向)に水平移動が可能となるように構成される。支柱23に支持されているアーム支持部材21およびC型アーム19は、支柱23の水平移動に従ってy方向へ移動する。また支持基台25は図示しない車輪が設けられており、x方向およびy方向へ移動可能に構成される。コリメータ27はX線管15に設けられており、X線管15から照射されるX線を、例えばファン角θの扇状に制限する。
【0039】
Cアーム型X線撮影装置11はさらにモニタ台車29を備えている。モニタ台車29は車輪29aによって移動可能に構成されており、医療用モニタ31が設けられている。医療用モニタ31は支柱33を介してモニタ台車29と接続されており、支柱33に沿ってz方向(鉛直方向)に昇降移動可能となっている。また支柱33はz方向の軸回りに回転移動可能となっており、医療用モニタ31は支柱33の回転移動に従って、表示画面が向く方向を適宜変更できる。
【0040】
医療用モニタ31はX線画像を例とする医用画像を表示して術者の診断・検査に供するものである。コンソールパネル111と異なり、医療用モニタ31は医用画像表示用の高性能モニタである。そのため医療用モニタ31はGSDFを例とするDICOM規格に対応しており、コンソールパネル111よりも階調や解像度が比較的高い表示画面を備えている。医療用モニタ31は本発明における画像表示手段に相当する。
【0041】
回診用X線撮影装置101は台車103と、駆動車輪105と、補助輪107と、操作ハンドル109と、コンソールパネル111と、支柱113と、伸縮アーム115と、X線管117と、コリメータ119とを備えている。
【0042】
台車103の後方下部の左右には駆動車輪105が1つずつ設けられている。台車103は駆動車輪105の回転に従って前進・後退し、左右の駆動車輪105の回転速度差によって左右に旋回する。駆動車輪105は、台車103の内部に設けられた電動モータによって回転するように構成されている。
【0043】
補助輪107は台車103の前方下部の左右に1つずつ設けられており、台車103の旋回方向に従って左右に旋回する。操作ハンドル109には複数の圧力センサが設けられている。圧力センサは操作者が操作ハンドル109を握って台車103を操作する場合に、操作ハンドル109に加える圧力を検出し、駆動車輪105の回転方向および回転速度を制御させる。
【0044】
コンソールパネル111は一例として台車103の後方に設けられており、管電圧・管電流を例とするX線撮影条件を設定する操作器や、X線撮影用のスイッチなどを備えている。またコンソールパネル111は回診用X線撮影装置101において取得されたX線画像を表示するモニタ(回診用モニタ)としての機能も有している。コンソールパネル111の構成としては、一例としてタッチ入力式やキーボード入力式のパネルなどが挙げられる。
【0045】
支柱113は台車103の前方部に立設されており、z方向の軸回り(鉛直軸周り)に回転可能となるように構成されている。支柱113には伸縮アーム115が設けられている。伸縮アーム115は支柱113に沿って、z方向へスライド移動が可能となるように構成されている。また、伸縮アーム115は水平方向へ伸縮可能に構成される。
【0046】
伸縮アーム115の先端部には、X線管117が接続保持されている。X線管117は、伸縮アーム115の軸周りに回転可能となるように構成されている。そしてX線管117は、コンソールパネル111において設定されたX線撮影条件に従ってX線を照射させる。コリメータ119はX線管117の下部に設けられている。コリメータ119は2対の可動制限羽根を備えており、各々の可動制限羽根を開閉させることにより、X線管117から照射されるX線の照射野を調整する。
【0047】
回診用X線撮影装置101はさらに収納部121を備えている。収納部121はその一例として台車103の後部に設けられており、その内部にX線検出器123を収納できるように構成されている。X線検出器123のX線検出面には、図示しないX線検出素子が二次元マトリクス状に配列されている。X線検出素子の各々はX線管115から照射されて被検体Mを透過したX線を検出する。X線検出器123において、X線検出素子が検出したX線は電気信号に変換され、X線検出信号として出力される。X線検出素子は本発明におけるX線検出手段に相当する。
【0048】
X線検出器17と異なり、回診用X線撮影装置101に用いられるX線検出器123は術者などとの干渉を考慮する必要が小さい。そのためX線検出器123は比較的サイズが大きく、一例として14〜17インチ四方である。実施例1において、X線検出器123として17インチ四方の無線式FPDを用いることとする。
【0049】
次にCアーム型X線撮影装置11および回診用X線撮影装置101の構成をさらに詳細に説明する。
図2はCアーム型X線撮影装置11および回診用X線撮影装置101の構成を説明する機能ブロック図である。
【0050】
Cアーム型X線撮影装置11は
図1に示す各構成に加え、さらにX線照射制御部35と、アーム駆動制御部37と、画像生成部39と、画像情報受信部41と、入力部43と、記憶部45と、主制御部47とを備えている。X線照射制御部35はX線管15に高電圧を印加するように構成されている。X線照射制御部35が印加する高電圧出力に基づいて、X線管15が照射するX線量、およびX線を照射するタイミングを例とするX線撮影条件が制御される。
【0051】
アーム駆動制御部37はC型アーム19のスライド移動を制御する。符号RAで示す方向にC型アーム19がスライド移動することにより、X線管15およびX線検出器17は対向配置状態を維持したまま、各々の空間的位置が変化する。また、アーム駆動制御部37は、C型アーム19のスライド移動に加えて、アーム支持部材21の回転移動を統括制御する。X線管15およびX線検出器17はC型アーム19に設けられているので、アーム支持部材21の回転移動に従って、対向配置状態を維持したまま各々の空間的位置が変化する。
【0052】
画像生成部39はX線検出器17の後段に設けられており、X線検出器17から出力されるX線検出信号に基づいて被検体MのX線画像を生成する。X線画像は大画面の医療用モニタ31に表示される。また医用画像表示用のモニタである医療用モニタ31はDICOM規格の各々に対応しており、表示画面の階調や解像度は比較的高くなるように構成される。そのため医療用モニタ31はX線画像などの医用画像を好適に表示できる。画像生成部39は本発明における画像生成手段に相当する。
【0053】
画像情報受信部41は実施例1に係るCアーム型X線撮影装置11に特徴的な構成であり、後述する画像情報送信部131から送信されるX線画像の情報(データファイル)を、P2P方式による通信によって受信する。実施例1において、画像情報受信部41はP2P(Peer to Peer)方式を用いた通信(P2P通信)によってX線画像情報を受信する。
【0054】
実施例1において、画像情報受信部41はWi−Fi Direct(登録商標)に対応しており、Wi−Fi Directを用いたP2P通信によってX線画像の情報を受信する。また、画像情報受信部41は受信したX線画像を医療用モニタ31に送信して表示させる。画像情報受信部41は一例として
図1に示すように、医療用モニタ31が設けられているモニタ台車29に内蔵されている。画像情報受信部41は本発明における画像情報受信手段に相当する。
【0055】
入力部43は操作者の指示を入力するものであり、その一例としてモニタ台車29に設けられたキーボード入力式のパネルや、タッチ入力式のパネルなどが挙げられる。記憶部45は画像生成部39が生成するX線画像や、X線照射制御部19が設定するX線撮影条件などの情報を記憶する。主制御部47は中央演算処理装置(CPU)などによって構成されており、医療用モニタ31、X線照射制御部35、アーム駆動制御部37、画像生成部39、および記憶部45などの各構成を統括制御する。
【0056】
回診用X線撮影装置101は台車103の内部にCPU125が設けられており、CPUはX線照射制御部127と、画像生成部129と、画像情報送信部131と、記憶部133と、主制御部135とを備えている。X線照射制御部127はX線管105が照射するX線量、およびX線管105がX線を照射するタイミングなどのX線撮影条件を制御する。
【0057】
画像生成部129はX線検出器123のX線検出素子から出力されるX線検出信号に基づいて、手術後のX線一般撮影における被検体MのX線画像を生成する。画像生成部129は台車内のCPU125に設けられる構成に限ることはなく、X線検出器123に設けられている構成であってもよい。画像生成部129は本発明における画像生成手段に相当する。
【0058】
画像情報送信部131は画像情報受信部41と同じく、実施例1に係る回診用X線撮影装置101に特徴的な構成である。画像情報送信部131は画像生成部129が生成するX線画像の情報を画像情報受信部41に対して直接送信する。画像情報送信部131から画像情報受信部41へのX線画像情報の送受信はP2P方式を用いた通信(P2P通信)によって行われる。実施例1において、画像情報送信部131はWi−Fi Direct(登録商標)を用いてX線画像の情報を受信する。画像情報送信部131は本発明における画像情報送信手段に相当する。
【0059】
記憶部133は画像生成部129が生成するX線画像や、X線照射制御部127が設定するX線撮影条件などの情報を記憶する。主制御部135はコンソールパネル111に入力される術者の指示の内容などに従って、X線照射制御部127、画像生成部129、画像情報送信部131、および記憶部133などの各構成を統括制御する。
【0060】
<動作の説明>
次に実施例1に係るX線撮影システム1の動作について説明する。
図3は実施例に係るX線撮影システムの動作を説明するフローチャートである。なお、ここではカテーテル術式による手術を実行した後にX線一般撮影を行う場合を例として説明する。
【0061】
ステップS1(Cアーム型X線撮影装置による手術)
まず
図4に示すように手術室Aの中で、Cアーム型X線撮影装置による手術を行う。すなわち天板13に被検体Mを載置させ、Cアーム型X線撮影装置11を用いてカテーテル術式による手術を行う。手術の際に、術者は入力部43を操作してC型アーム19を適宜変位させつつX線透視を行う。すなわちC型アーム19を移動させてX線管15の位置を適宜変位させつつ、X線管15からX線15aを被検体Mへ断続的に照射する。
【0062】
X線検出器17はX線15aを検出してX線検出信号を出力する。画像生成部39はX線検出器17が検出するX線検出信号に基づいて、X線透視によるX線画像(X線透視画像)を生成する。X線透視画像は主制御部47を介して医療用モニタ31に随時表示され、術者は医療用モニタ31に表示されるX線透視画像を確認しつつ術式を進行させる。
【0063】
ステップS2(回診用X線撮影装置の移動)
カテーテル術式による手術が完了した後、手術を施した部位の状態を検査すべく被検体Mに対してX線一般撮影を行う必要がある。しかしCアーム型X線撮影装置11に備えられているX線検出器17は9インチ四方の小さいサイズである。そのためよりサイズの大きいX線検出器を用いてX線一般撮影を行うべく、術者は回診用X線撮影装置101を使用する。
【0064】
この場合、術者は
図5(a)に示すように、Cアーム型X線撮影装置11を天板13から離れた位置へ移動させる。この際に、モニタ台車29は天板13の近傍に残しておくことが好ましい。そして回診用X線撮影装置101を手術室Aの中に入れ、天板13の近傍へ移動させる。なお回診用X線撮影装置101、Cアーム型X線撮影装置11、および天板13の位置関係は、
図5(a)に係る正面図に示す位置関係に限ることはない。すなわち
図5(b)に係る平面図に示されるように、回診用X線撮影装置101は天板13に載置される被検体Mの側方に移動させた状態でX線一般撮影を行ってもよい。術者Nは一般的に、
図5(b)に示すように天板13の側方に立った状態で各種操作を行う。
【0065】
そして術者は支柱113を鉛直軸回りに回転させ、X線管117を回診用X線撮影装置101の前方へ移動させる。支柱113を回転させた後、伸縮アーム115を鉛直方向に上昇させるとともに伸縮アーム115を水平方向に伸長させ、X線管117をX線一般撮影に適する位置へ調整する。X線管117の位置を調整した後、術者は台車103に設けられている収納部121からX線検出器123を取り出し、
図5(a)に示すように被検体Mの撮影部位と天板13との間にX線検出器123を設置する。
【0066】
ステップS3(回診用X線撮影装置によるX線一般撮影)
X線検出器123を設置した後、X線一般撮影を開始する。すなわち
図6に示すように、術者はコンソールパネル111を操作してX線管117からX線117aを被検体Mに対して照射させる。X線管117から被検体Mへ照射されたX線117aはX線検出器123によって検出され、X線検出信号に変換される。
【0067】
画像生成部129はX線検出器123が出力するX線検出信号に基づいて被検体MのX線画像を生成する。X線画像の画像情報Daは、画像生成部129からCPU125に設けられている画像情報送信部131へ送信される。またX線画像の画像情報Daは、CPU125の内部において、画像生成部129から主制御部135を介して記憶部133へ送信される。記憶部133は送信されたX線画像の画像情報Daを記憶する。
【0068】
ステップS4(X線画像の送受信)
回診用X線撮影装置101によるX線一般撮影が行われた後、X線画像の送受信を行う。すなわち回診用X線撮影装置101に設けられている画像情報送信部131は、Cアーム型X線撮影装置11に設けられている画像情報受信部41へX線画像の画像情報を送信する。
【0069】
本発明の特徴として、画像情報送信部131から画像情報受信部41への送受信はP2P方式によって行われる。すなわちX線一般撮影によって得られたX線画像(一般撮影画像)はWi−Fi Directの機能によって、画像情報送信部131から画像情報受信部41へ直接送信される。
【0070】
図7に示すように、画像情報送信部131は台車103に内蔵されているCPU125に設けられており、画像情報受信部41はモニタ台車29の内部に設けられている。そのため回診用X線撮影装置101において生成されたX線画像の情報Daは、CPU125内の画像情報送信部131とモニタ台車29内の画像情報受信部41を介して、Cアーム型X線撮影装置11へ送信される。
【0071】
実施例1に係る構成ではサーバを介することなく、異なるX線撮影装置(実施例1では回診用X線撮影装置101およびCアーム型X線撮影装置11)の間でX線画像の情報DaをP2P方式によって直接送受信する。このような構成では受信したX線画像の情報Daを特定する際にサーバ内のデータ群を検索する必要がない。そのため画像情報受信部41は目的となるX線画像の情報Daを速やかに特定して受信できる。
【0072】
ステップS5(X線画像の表示)
画像情報受信部41は受信したX線画像の情報を、主制御部47を介して医療用モニタ31へ送信する。医療用モニタ31は
図7に示すように、送信されたX線画像Pを表示する。台車103の構造上、回診用X線撮影装置101に設けられているコンソールパネル111は画面サイズが小さい。またコンソールパネル111は一般的に医用画像専用の表示装置ではないので、DICOM規格の各々に対応しておらず、また表示画面における階調や解像度が低い。
【0073】
一方、Cアーム型X線撮影装置11を構成する医療用モニタ31は一般的に、医用画像専用の高性能な表示装置が用いられる。すなわち医療用モニタ31の表示画面はGSDFなどのDICOM規格に対応しており、階調や解像度が高い。従って、医療用モニタ31に表示されるX線画像はX線像の視認性に優れているので、術者は医療用モニタ31を参照することによって、手術後の検査をより精密に行うことができる。
【0074】
また医療用モニタ31は表示画面のサイズが広く、支柱33を介して昇降移動や回転移動を可能とする。そのため術者Nは
図5(b)に示すような、天板13の側方に相当する現在位置から移動することなく、医療用モニタ31に映るX線画像を好適に観察できる。従って、X線一般撮影に要する時間を短縮できるとともに、術者の負担を軽減できる。医療用モニタ31に表示されるX線画像を参照して手術後の検査を行うことにより、X線撮影システム1を用いた動作の工程は全て終了する。
【0075】
<実施例1の構成による効果>
このように実施例1に係るX線撮影システム1はX線画像の情報をP2P通信によって送信する回診用X線撮影装置101と、X線画像の情報をP2P通信によって受信するCアーム型X線撮影装置11とから構成される。そして実施例1のX線撮影システム1では回診用X線撮影装置でX線一般撮影を行ってX線画像を生成した後、P2P通信によって回診用X線撮影装置からCアーム型X線撮影装置へX線画像データを送信する。そしてP2P通信によって送信したX線画像をCアーム型X線撮影装置のモニタで表示し、手術後の検査に供する。
【0076】
回診用X線撮影装置は比較的サイズの広いX線検出器を有するので、より撮影範囲の広いX線画像を生成できる。一方、Cアーム型X線撮影装置は比較的高性能の画像表示モニタを有するので、より精度の高い検査を可能とするX線画像を表示できる。このように実施例1では異なるX線撮影装置の間で、P2P通信によってX線画像データを送受信する。
【0077】
そのため、回診用X線撮影装置101で広範囲のX線画像を取得できる、という一方のX線撮影装置の利点と、Cアーム型X線撮影装置11で診断能の高いX線画像を表示できる、という他方のX線撮影装置の利点とをいずれも享受できる。また異なるX線撮影装置の間におけるX線画像データの送受信はP2P通信によって行われるので、X線画像データの送受信に要する時間を短縮できる。その結果、術者や被検体の負担を軽減しつつ、術後のX線一般撮影における検査の精度を大きく向上できる。
【0078】
ここで実施例1に係る構成による効果について、さらに詳細に説明する。Cアーム型X線撮影装置を用いて手術を行った後に、同じ手術室へ移動させた回診用X線撮影装置を用いて検査用のX線一般撮影を行う場合、X線一般撮影によって得られたX線画像を表示する従来の方法としては次の3つが挙げられる。
【0079】
一つ目は回診用X線撮影装置の台車に設けられるコンソールパネル(回診用モニタ)に表示する方法、二つ目は回診用X線撮影装置に有線または無線で接続されている、ノートPCを例とする端末の画面に表示する方法である。そして三つ目は
図9(a)に示すように、手術室Aの内部にある回診用X線撮影装置から、手術室Aの外部にある病院内のサーバにX線画像のデータファイルDaを送信し、さらに手術室に設置されている医用画像表示モニタへサーバからX線画像のデータファイルDaを送信してする方法である。
【0080】
しかしこれらの従来方法はいずれも、手術後のX線一般撮影による検査を精密に行うことが困難であるという問題や、X線一般撮影による検査の所要時間が長期化するなどといった問題が懸念される。すなわち一般的に回診用X線撮影装置では、移動操作性の低下を回避すべく台車の大きさに制限がかかる。従って、回診用X線撮影装置に設けられているコンソールパネルの表示画面を大きくすることは困難である。
【0081】
そのため術者Nは
図8(a)に示すように、X線画像Pを確認するたびに天板13の近傍に相当する点線で示す位置から、台車103の後方に相当する実線で示す位置へ移動して小画面のコンソールパネル111を覗き込む必要がある。その結果、X線画像Pの検査が煩雑となるので術者Nの負担が大きくなる。
【0082】
また一般的に、回診用X線撮影装置は移動が困難な患者に対して、患者のいる病室などへ移動してX線撮影を行うための装置である。そのため一般的な回診用X線撮影装置では、X線撮影後にその場でX線画像を表示して検査するのではなく、病室から操作室などに戻ってからX線画像データをPACSなどのサーバへ転送して検査に供する。従って、階調や解像度が比較的低く、また医用画像を好適に表示するために必要なDICOMなどの規格に対応していないディスプレイが、コンソールパネルの表示画面として用いられることが多い。そのためコンソールパネルにX線画像を表示させる第1の従来方法を用いる場合、表示されるX線画像の視認性や診断能が低いので、手術後の検査を精密に行うことが困難となる。
【0083】
このような検査を精密に行うことが困難であるという問題は、ノートPCを例とする端末の画面に表示させる第2の従来方法においても懸念される。すなわち一般的にノートPCのディスプレイは比較的小さく、また医用画像を表示する用途を想定して製造されていない。そのためノートPCの表示画面もコンソールパネルの表示画面と同様、サイズが小さく階調や解像度が低い。また一般的にGSDFなどのDICOM規格に対応していない。
【0084】
従って、第2の従来方法によってX線画像を表示する場合であっても、X線画像の視認性や診断能が低いので、精密な手術後検査が困難になるという問題が懸念される。また術者NがX線画像を確認するためには、術者N自身がノートPCの近傍へ移動して表示画面を覗き込む、または助手など他の人間にノートPCを持参させた状態で表示画面を覗き込む必要があるので一般撮影画像の検査が煩雑となる。
【0085】
第1および第2の従来方法に対して、第3の従来方法では手術室Aに設置される医用画像表示用モニタFにX線画像を表示するので、X線画像の診断能の向上は期待される。しかし第3の従来方法では、X線一般撮影による検査の所要時間が長期化するなどといった新たな問題が懸念される。
【0086】
すなわちサーバSを介してX線画像の情報を転送する第3の従来方法では、
図9に示すように手術室AにおいてCアーム型X線撮影装置Bを用いて手術を行った後、回診用X線撮影装置Kを用いてX線一般撮影を行う。この場合、まず生成されたX線画像の情報はデータファイルDaとして回診用X線撮影装置KのコンピュータC(CPU)に格納される(
図9、符号R1参照)。次にケーブルCaを接続子Fに接続し、回診用X線撮影装置Kで取得したデータファイルDaを、ネットワークNeを介して手術室Aの外にあるサーバSへ送信する(
図9、符号R2参照)。
【0087】
そしてサーバSから医用画像表示モニタMoへデータファイルDaを送信させるために、受信側の端末すなわち医用画像表示モニタMoにおいて、サーバS内のデータ群から目的となるデータファイルDaを検索・選択する(
図9、符号R3参照)。最後に選択されたデータファイルDaはサーバSから医用画像表示モニタMoへ送信され、医用画像表示モニタMoは受信したデータファイルDaに基づいて、被検体MのX線画像を表示する(
図9、符号R4参照)。
【0088】
このような第3の従来方法は手術室にネットワークNeを接続する環境と、ネットワークNeを介してサーバSに接続されている医用画像表示モニタMoとが配備されている必要がある。しかし一般的な手術室Aにはネットワーク環境が整備されていないので、第3の従来方法は使用できないことが多い。またネットワーク環境が整備されている場合であっても、ケーブルCaを接続子Fに接続する工程や、データファイルDaをサーバSへ送信する工程は、術者にとって煩わしいという問題が懸念される。
【0089】
さらにサーバSには目的となるX線画像のデータファイルDa以外にも、病院内の各所から様々なデータが蓄積されている。そのため術者は医用画像表示モニタFにおいて、サーバSの内部に蓄積された膨大なデータ群から、目的となるX線画像のデータファイルを検索・選択する必要がある。従って、第3の従来方法では術者が目的のX線画像情報を検索・選択する操作に長い時間を要するとともに、術者の負担が増大する。また、サーバに蓄積された情報群から目的の情報を検索・選択する際に人的なミスが発生することによって、X線画像情報の転送に要する時間がさらに長期化する問題も懸念される。
【0090】
一方で実施例1に係るX線撮影システム1は、2つのX線撮影装置の間でX線画像のデータファイルを送受信する構成を有している。すなわち一方のX線撮影装置である回診用X線撮影装置101において取得されたX線画像のデータファイルは、他方のX線撮影装置であるCアーム型X線撮影装置11へ送信される。
【0091】
X線撮影システム1において、異なるX線撮影装置間におけるデータファイルの送受信は、サーバを介しないP2P方式の通信によって行われる。すなわち回診用X線撮影装置101には画像情報送信部131が設けられており、Cアーム型X線撮影装置11には画像情報受信部41が設けられている。そして画像情報送信部131はP2P通信によってX線画像情報を送信し、画像情報受信部41はP2P通信によってX線画像情報を受信する構成を備えている。
【0092】
第3の従来方法では
図9に示すように回診用X線撮影装置Kにおいて生成された画像データDaは、手術室Aの外にあるサーバSを介して医用画像表示モニタMoへ送信・表示される。一方で実施例1に係る構成ではX線画像のデータファイルDaはサーバを介することなく、画像情報送信部131から画像情報受信部41へ直接転送される(
図2、
図7)。
【0093】
サーバにはX線画像のデータファイル以外にも様々なデータファイルが蓄積される。一方、X線撮影システムを構成するX線撮影装置のCPUには、X線画像と無関係のデータファイルが蓄積されることは少ない。そのため実施例1では受信側のX線撮影装置であるCアーム型X線撮影装置11において、データファイルDaを特定するために検索する対象となるデータファイル群は、構成するデータの数がサーバと比べて非常に少ない。
【0094】
従って、受信側のX線撮影装置において、膨大なデータファイル群から目的のX線画像のデータファイルを検索・選択する工程を省略できるので、画像情報受信部41は送信されたX線画像のデータファイルを容易かつ速やかに特定して受信できる。その結果、実施例1に係るX線撮影システムではX線撮影装置の間でX線画像情報を転送するために要する時間をより短縮できるとともに、受信すべきX線画像のデータファイルを間違えて選択することを確実に回避できる。
【0095】
さらに実施例1に係るX線撮影システムでは回診用X線撮影装置101からCアーム型X線撮影装置11へX線画像情報を転送する構成を有しているので、手術後に行われるX線一般撮影による検査をより好適に実行できる。すなわち回診用X線撮影装置101において取得されたX線画像のデータファイルはP2P通信によって画像情報送信部131から、Cアーム型X線撮影装置11に設けられている画像情報受信部41へ送信され、医療用モニタ31に表示される。
【0096】
Cアーム型X線撮影装置11に設けられている医療用モニタ31は医用画像表示用のモニタであるので、一般的にGSDFなどのDICOM規格に対応しており、表示画面は広く階調や解像度が高い。そのため術者Nは
図8(b)に示すように、天板13に載置される被検体Mの近傍に居ながら大画面の医療用モニタ31に表示されるX線画像を観察できるので、X線画像の検査における術者の負担を軽減できる。また階調や解像度が高い医療用モニタ31に表示されるX線画像は視認性や診断能に優れているので、術者は手術後の検査をより精密に行うことができる。
【0097】
このように実施例1に係るX線撮影システムでは、第1のX線撮影装置において取得したX線画像を、P2P通信によって第2のX線撮影装置へ直接送信して表示できる構成を備えている。この場合、第1のX線撮影装置における表示装置の性能が低い場合であっても、高性能の表示装置を有する第2のX線撮影装置へX線画像情報を速やかに送信し、診断能の高いX線画像を表示させることができる。従って、手術後にX線一般撮影による検査を行うような状況において、検査の所要時間を大きく短縮できるとともに検査の精度をより向上させることが可能となる。
【0098】
さらに実施例1に係るX線撮影システムにおいて、画像情報送信部131および画像情報受信部41の各々は、Wi−Fi Direct(登録商標)に対応している。Wi−Fi Directはルータやアクセスポイントを別途設置することなくP2P通信を可能とする方式である。すなわちWi−Fi Directに対応している画像情報送信部131および画像情報受信部41を備えることにより、X線撮影システム1を構成するCアーム型X線撮影装置11と回診用X線撮影装置101とは、いずれも既にP2P通信が可能となっている。
【0099】
そのため実施例1に係るX線撮影システムを用いてP2P通信によるX線画像情報の転送を行う場合、手術室にルータやアクセスポイントを設置するための工事を事前に行う必要がない。従って、Wi−Fi DirectによってX線画像情報を転送する実施例1では、一般撮影画像の検査を精度良く行うために、事前に要するコストおよび時間をいずれも大きく低減できる。
【実施例2】
【0100】
次に、図面を参照してこの発明の実施例2を説明する。
図10は実施例2に係るX線撮影システムの構成を説明する機能ブロック図である。実施例2に係るX線撮影システム1Aは実施例1に係るX線撮影システム1と同様に、回診用X線撮影装置101AとCアーム型X線撮影装置11によって構成される。
【0101】
但し、実施例1に係る回診用X線撮影装置101において、X線画像送信部131は台車103に内蔵されているCPU125に設けられている。一方で実施例2に係る回診用X線撮影装置101Aは、X線画像送信部131がX線検出器123Aに設けられている点において実施例1と相違する。
【0102】
回診用X線撮影装置101Aは実施例1に係る回診用X線撮影装置101と同様に、台車103と、駆動車輪105と、補助輪107と、操作ハンドル109と、コンソールパネル111と、支柱113と、伸縮アーム115と、X線管117と、コリメータ119と、収納部121とを備えている。収納部121にはX線検出器123Aが収納されている。台車103にはCPU125Aが設けられており、CPU125AはX線照射制御部127と、記憶部133と、主制御部135とを備えている。
【0103】
X線検出器123AはX線検出部124と、画像生成部129と、画像情報送信部131とを備えている。X線検出部124はX線管117から照射されたX線を検出して電気信号であるX線検出信号に変換する。X線検出部124の一例としては実施例1と同様に、X線検出器123AのX線検出面において二次元マトリクス状に配列されたX線検出素子である。画像生成部129はX線検出部124の後段に設けられており、X線検出部124が出力するX線検出信号に基づいてX線画像を生成する。X線検出部124は本発明におけるX線検出手段に相当する。
【0104】
画像情報送信部131はP2Pを用いた通信方式によって、画像生成部129が生成するX線画像の情報を画像情報受信部41に対して送信する。実施例2では実施例1と同様に、画像情報送信部131はWi−Fi Direct(登録商標)を用いてX線画像の情報を受信する。
【0105】
実施例2に係るX線撮影システム1Aの動作は、実施例1に係るX線撮影システム1の動作と大部分において共通する。但し画像情報送信部131が設けられている構成が異なるため、ステップS3およびステップS4の一部について両者は相違する。以下、実施例2に係る動作が実施例1に係る動作と相違する部分について説明する。
【0106】
実施例1において画像情報送信部131はCPU125に設けられている。そのため実施例1ではX線一般撮影の際に、X線画像のデータDaはX線検出器123からCPU125へ転送される(ステップS3)。そしてCPU125に設けられている画像情報送信部131から、モニタ台車29に設けられている画像情報受信部41へ送信される(ステップS4)。すなわち実施例1ではX線画像のデータDaを回診用X線撮影装置101からCアーム型X線撮影装置11へ送信する際に、X線画像のデータDaは一旦CPU125を経由する必要がある。
【0107】
一方、X線実施例2において画像情報送信部131はX線検出器123Aに設けられている。そのためステップS3において生成されたX線画像のデータDaは、ステップS4においてX線検出器123Aから画像情報受信部41へP2P方式を用いた通信によって送信される。
【0108】
すなわち実施例2に係るステップS3において、X線検出器123AのX線検出面に設けられているX線検出部124は、X線管117から照射されるX線117aを検出してX線検出信号を出力する。画像生成部129はX線検出信号に基づいて被検体MのX線画像Daを生成し、同じX線検出器123Aに設けられている画像情報送信部131へ送信する。画像生成部129は画像情報送信部131への送信と並行して、X線画像のデータDaを記憶部133へ送信してもよい。
【0109】
そして実施例2に係るステップS4において、画像情報送信部131はP2P方式を用いた通信によって、X線画像のデータDaを画像情報受信部41へ送信する。実施例2では実施例1と異なり、X線画像のデータファイルDaはCPU125を介することなく、X線検出器123Aから画像情報受信部41へ直接送信される。そのため実施例2では、回診用X線撮影装置101からCアーム型X線撮影装置11へデータDaは送信するために要する時間をより低減できる。
【0110】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0111】
(1)上述した各実施例では、画像情報送信部131と画像情報受信部41とのP2P通信はWi−Fi Direct(登録商標)によって行われる。しかし、異なるX線撮影装置の間において、サーバを介することなくX線画像の情報を送受信できる構成であれば、画像情報送信部131と画像情報受信部41との通信方式はこれに限られない。すなわち、アドホック方式(Ad hoc mode)によるP2P通信であってもよい。
【0112】
またP2P方式による通信の構成は、ルータやアクセスポイントを介する構成であってもよい。このようなルータなどを介するP2P通信の例としては、Wi−Fi(登録商標)などが挙げられる。さらに通信形態は無線式に限ることはなく、LANケーブルによってCアーム型X線撮影装置11と回診用X線撮影装置101とを接続し、有線式のP2P通信によってX線画像情報を直接送受信する構成であってもよい。
【0113】
このような一連の変形例では、いずれもP2P方式の通信を行う。そのためX線画像のデータは、サーバを介することなく回診用X線撮影装置101からCアーム型X線撮影装置11へ直接送信される。従って、受信側のCアーム型X線撮影装置11において、サーバに蓄積された膨大なデータから表示対象となるX線画像のデータを特定・選択する必要がない。その結果、回診用X線撮影装置101において生成されたX線一般画像をCアーム型X線撮影装置11に設けられた高性能の医療用モニタ31に表示するために要する時間を大幅に短縮できる。
【0114】
なお、アドホック方式によるP2P通信はWi−Fi DirectによるP2P通信と同様、ルータやアクセスポイントを別途設置する必要がない。そのためルータやアクセスポイントを設定するために手術室を事前に改装することなく、異なるX線撮影装置間のデータ通信をより迅速に行う事が可能となる。従って、異なるX線撮影装置間のデータ通信を高速化するために要する、コストおよび時間の各々を大きく低減できる。
【0115】
(2)上述した各実施例において、X線撮影システムは撮影範囲の広いX線画像を生成できる回診用X線撮影装置と、より高性能の画像表示モニタを有するCアーム型X線撮影装置とから構成される。しかし本発明に係るX線撮影システムは、複数のX線撮影装置の間でX線画像の情報をP2P通信する構成であれば、構成するX線撮影装置は回診用X線撮影装置およびCアーム型X線撮影装置に限られない。X線撮影システムとして構成可能なX線撮影装置の一例としてはX線CT装置やトモシンセシスなど種々のX線撮影装置が挙げられる。
【0116】
上述した各実施例ではより広い撮影範囲のX線画像の生成に適した回診用X線撮影装置からP2P通信によって、診断能の高いX線画像の表示に適したCアーム型X線撮影装置へとX線画像データを送信する。そのため各実施例に係るX線撮影システムでは、より広い撮影範囲のX線画像をより高精度の状態で表示できる。一方で変形例の一例として、より広いX線検出器を有する第1のX線撮影装置と、より性能の高い画像処理装置を有する第2のX線撮影装置とからなるX線撮影システムが挙げられる。
【0117】
このような変形例(2)に係るX線撮影システムでは、X線画像の生成に適する第1のX線撮影装置においてX線画像を生成した後、X線画像の画像処理に適する第2のX線撮影装置へ、X線画像のデータをP2P通信で送信する。そしてX線画像のデータを送信した後、第2のX線撮影装置においてX線画像の画像処理を行う。その結果、画像生成の段階における第1のX線撮影装置の利点と、画像処理の段階における第2のX線撮影装置の利点とを両方享受できる。すなわち、第1のX線撮影装置においてより好適な条件でX線画像を生成しつつ、第2のX線撮影装置においてより好適な条件でX線画像の画像処理を行うことができるので、X線画像の診断能を大きく向上できる。
【0118】
このように各実施例および各変形例に係るX線撮影システムでは、性能の異なるX線撮影装置の各々についてそれぞれの利点をいずれも享受できるので、X線画像を用いてより好適な診断を行うことができる。またP2P通信によってサーバを介することなくX線画像データを送受信するので、サーバに蓄積した膨大なデータから目的のX線画像データを検索・選択するという煩わしい作業を省略できる。その結果、X線撮影に要する時間を短縮し、術者や被検体の負担を軽減できる。
【0119】
(3)上述した各実施例では、回診用X線撮影装置101とCアーム型X線撮影装置11との2つのX線撮影装置からなるX線撮影システムを例にとって説明したが、X線撮影システムを構成するX線撮影装置の数は3以上であってもよい。一例として、X線画像の生成に適する第1のX線撮影装置と、X線画像の画像処理に適する第2のX線撮影装置と、X線画像の表示に適する第3のX線撮影装置とからなるX線撮影システムが挙げられる。
【0120】
このような変形例(3)に係るX線撮影システムでは、第1のX線撮影装置で生成したX線画像を第2のX線撮影装置へP2P方式で送信し、第2のX線撮影装置で画像処理を行う。X線画像の画像処理を行った後、第2のX線撮影装置から第3のX線撮影装置へX線画像情報をP2P方式で送信し、第3のX線撮影装置でX線画像を表示する。
【0121】
このようにX線撮影の各工程において、それぞれ適したX線撮影装置へX線画像の情報を送信して各工程に係る処理を行う。その結果、スペックの異なるX線撮影装置の各利点を全て享受した、より好適なX線撮影を行うことができる。またP2P方式によってX線画像のデータを送受信するので、X線画像の送受信に要する時間や工程を短縮できる。その結果、術者や被検体の負担を低減しつつ、より好適なX線撮影を実行することが可能となる。
【0122】
(4)上述した各実施例では一般撮影画像、すなわち手術後に行うX線一般撮影によって取得されるX線画像を、P2P通信によって異なるX線撮影装置の間で送受信する場合を例にとって説明したが、送受信の対象となる画像はこれに限られない。すなわちX線撮影によって得られるX線撮影画像の他、X線透視によって得られるX線透視画像など、様々なX線画像を複数のX線撮影装置の間で送受信する場合について、本発明の構成は適用できる。