(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による容器蓋の好適な実施形態について
図1〜
図15を参照しながら説明する。
図1〜
図11は、本発明の第1実施形態を、
図12〜
図15は、本発明の第2実施形態を各々示すものであり、各図において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0018】
先ず、
図1〜
図11に示す第1実施形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1実施形態に係る容器蓋を備えた液状化粧料容器を示す外観図、
図2は、
図1の縦断面図、
図3は、容器蓋の縦断面図、
図4は、
図3のIV-IV矢視図、
図5〜
図7は、内キャップの各斜視図、
図8は、内キャップの断面斜視図、
図9は、内キャップの背面図、
図10は、
図9のX-X矢視図、
図11は、
図9のXI-XI矢視図であり、本実施形態の液状化粧料容器は、内部に収容した液状化粧料を使用者により適宜被塗布部に塗布することができるものである。液状化粧料は、ここでは、特に好適であるとして、揮発成分を含むアイライナー化粧料とされ、従って、液状化粧料容器は、アイライナー化粧料容器とされている。
【0020】
図1及び
図2に示すように、アイライナー化粧料容器100は、使用の際に使用者が把持するための把持筒1と、把持筒1の先端側に保持された容器本体2と、容器本体2の先端から突出し容器本体2内のアイライナー化粧料Lを塗布するための塗布体3と、容器本体2の先端側に着脱可能に装着され塗布体3を覆う容器蓋(キャップ)10と、を概略備える。
【0021】
把持筒1は、例えばABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンの共重合合成樹脂)等から形成され、有底円筒状に構成される。この把持筒1は、使用者が把持して塗布しやすいように軸線方向に長尺を成している。
【0022】
容器本体2は、例えばPP(ポリプロピレン)等から形成され、
図2に示すように、先端側が先細となるテーパー面2tを有する円筒状に構成される。容器本体2の内部には、アイライナー化粧料Lを収容するための収容部2aが形成されると共に、塗布体3を保持する塗布体ホルダ5、アイライナー化粧料Lを塗布体3に供給するための中継芯6、中継芯6を囲むように配置されたジャバラ部材7等が収容される。
【0023】
容器本体2の先端側の外周面には、円環状の鍔部2bが設けられる。また、容器本体2の外周面で鍔部2bより前の位置には、容器蓋10を装着するための凸部2eが、円環状に設けられる。容器本体2の後端の開口は、例えばPP等から成る尾栓8を容器本体2に装着することにより閉じられ、容器本体2内のジャバラ部材7より後側に拡径して形成された内部空間が、アイライナー化粧料Lが充填された収容部2aとされる。収容部2a内には、アイライナー化粧料Lと共に、当該アイライナー化粧料Lを撹拌すべく例えばSUS等より形成された球状の撹拌子9が収容される。
【0024】
そして、この容器本体2は、その後端側から把持筒1に挿入され、その鍔部2bが、把持筒1の先端面に突き当たった状態で、把持筒1に着脱可能又は着脱不能に装着される。
【0025】
中継芯6は、例えばアクリル樹脂等から形成され、軸線方向に延在する軸体状を呈している。この中継芯6は、その後端側の部分が収容部2a内に進入すると共に、その先端側の部分が塗布体3に進入することで、収容部2a内と塗布体3とを結んでいる。そして、中継芯6は、毛細管現象により収容部2a内のアイライナー化粧料Lを吸い上げ塗布体3へ供給するのを可能とする。
【0026】
ジャバラ部材7は、例えばPP等から形成され、略円筒状に構成される。このジャバラ部材7の筒孔内には、上記中継芯6が配置されており、その先端側の嵌合部7aに対して中継芯6が嵌合することで当該中継芯6を保持する。ジャバラ部材7は、その先端側から後端側に向かって、アイライナー化粧料Lを含むためのジャバラ(溝)を軸線方向に沿って備え、このジャバラによって、中継芯6を経由し塗布体3へ供給されるアイライナー化粧料Lの流量が最適となるようにコントロールする。
【0027】
そして、ジャバラ部材7は、その円筒状の後端部7cが、容器本体2の内周面の凹部2cに嵌合することにより、容器本体2に装着される。この状態で、容器本体2内のジャバラ部材7の後端部7cと尾栓8との間に上記収容部2aが形成されており、この収容部2a内にアイライナー化粧料Lが収容されている。
【0028】
塗布体3は、ここでは、ブラシとされ、例えばPBT等から形成されたフィラメント(毛)を束ねたものである。塗布体3の後端部は、中央に貫通孔を有する円板状の塗布体保持部3aに固着され、この塗布体保持部3aは、ジャバラ部材7の先端面と塗布体ホルダ5の後端面との間に挟まれるようにして軸線方向に移動不能とされている(詳しくは後述)。そして、この状態で、塗布体保持部3aの中央の貫通孔を中継芯6が挿通し塗布体3内に進入した状態となっている。
【0029】
塗布体ホルダ5は、例えばPP等から形成され、略円筒状で先端が先細とされた形状を呈し、その筒孔を塗布体3が通過している。この塗布体ホルダ5は、その先端部を除く部分が、容器本体2の先端部内に進入し、その後端部の鍔部5aが、容器本体2の先端部の内側に張り出す張り出し部2dの後側に位置し対面している。
【0030】
そして、塗布体ホルダ5は、ジャバラ部材7が容器本体2に対して当該容器本体2の後側から挿入されて装着されることにより、塗布体保持部3aを介してその鍔部5aが軸線方向先端側に押圧され、容器本体2の張り出し部2dに当接することにより、軸線方向に移動不能に装着される。従って、塗布体保持部3aは、ジャバラ部材7の先端面と塗布体ホルダ5の後端面との間に挟持され軸線方向に移動不能とされる。この塗布体ホルダ5は、その先細の先端部によって塗布体3を周囲から押えるようにして束ねることにより、塗布体(ブラシ)3の先端を尖鋭な形状に整える。
【0031】
容器蓋10は、塗布体3を保護すると共に、結露を積極的に捕捉するためのものであり(詳しくは後述)、
図2〜
図4に示すように、外形を構成する外キャップ11と、この外キャップ11に収容される内キャップ(蓋体)12と、を備える。
【0032】
外キャップ11は、例えばPP等から形成され、内キャップ12を収容する収容筒として機能するものであり、有底円筒状に構成される。この外キャップ11の開放端側(以下キャップにおいて開放端側を後端側とし、反対側を先端側とする)の内周面には、容器本体2の凸部2eに軸線方向に係合するための凸部11eが、周方向に沿って複数箇所(ここでは4等配の位置)に設けられる。また、外キャップ11の内周面で、凸部11eよりさらに先端側の位置には、容器蓋10を容器本体2から取り外したときに、外キャップ11の後端側へ向かって移動する内キャップ12を突き当てそれ以上の移動を阻止するための凸部11fが、内側へ突出するように設けられる。この凸部11fは、
図4に示すように、周方向に沿って複数箇所(ここでは4等配の位置)に設けられる。
【0033】
内キャップ12は、例えばPP等から形成され、
図5〜
図8に示すように、段付有底円筒状に構成される。この内キャップ12は、容器を閉止するためのものであり、
図5及び
図6に示すように、先端側(図示左側)から、小径部12x、中径部12y、大径部12zをこの順に備える。
【0034】
小径部12xは、短尺の有底円筒状に構成され、中径部12yは、円筒状の小径部12xに拡径して続く長尺の円筒状に構成される。小径部12xの外周面には、軸線方向に延び平板状を成す凸部12bが、放熱を積極的に促進させるものとして、内キャップ12の軸心を向くように周方向に沿って多数並設される。この小径部12xの凸部12bの径方向外側の端面は、中径部12yの外周面とほぼ面一とされ、凸部12bの後端側の端面は、中径部12yの先端面に連設される。
【0035】
中径部12yの外周面には、軸線方向に長尺に延び平板状を成す凸部12cが、放熱を積極的に促進させるものとして、内キャップ12の軸心を向くように周方向に沿って多数並設される。この中径部12yの凸部12cは、小径部12xの凸部12bが中径部12yの先端側の端面に連接する位置から立ち上がるように設けられており、側面視において、小径部12xの凸部12bに一列を成して続くように設けられている。
【0036】
周方向に隣り合う凸部12c,12cの2個を1セットの組として、この組の凸部12c,12cの後端側の端部同士は、円弧状に突設されたブロック状の連結部12fで連結される。一方、連結部12fで互いに連結されていない周方向に隣り合う凸部12c,12c同士の間の部分には、軸線方向に延びる空間が形成される。すなわち、この実施形態では、周方向に沿って、連結部12f、空間、連結部12f、空間が交互に並ぶ構成となっている。
【0037】
そして、小径部12xの凸部12bと、中径部12yの凸部12cにより、放熱部12aが構成されている。
【0038】
大径部12zは、後端側(
図5及び
図6の右側)に向かうに従いラッパ状に徐々に拡径する形状を呈する。大径部12zの内周面には、
図8、
図10及び
図11に示すように、後側が拡径する段差部12tが円環状に設けられる。この段差部12tは、
図2に示すように、容器蓋10が容器本体2に装着されると、後述の圧縮コイルバネ14により容器本体2側(図示右側)へ付勢されて容器本体2のテーパー面2tに気密に密着するためのものである。
【0039】
また、内キャップ12にあっては、
図7〜
図11に示すように、小径部12x及び中径部12yに亘って、その内部に、複数の平板(ここでは6枚)がほぼ等間隔に並設される。中央の2枚の平板12g,12gは、その先端側(
図8の左側)の端部の中央に、小径部12xに進入する凸部を有しており、この凸部が、小径部12xの先端部(凹部;有底円筒状の底部のこと)の内面に連設され、凸部以外の部分は、その先端側の端部が、中径部12yの先端部に連設されると共に、その両端部が、中径部12yの内周面に連設される。中央の2枚の平板12g,12gより外側の平板12h,12hは、その先端側の端部が、中径部12yの先端部に連設されると共に、その両側部が、中径部の内周面に連設される。これらの平板12h,12hよりさらに外側の平板12i,12iは、その先端側の端部が、中径部12yの先端部に連設されると共に、その両側部が、中径部12yの内周面に連設され、さらに、平板12iの外側の側面が、中径部12yの内周面に連設される。
【0040】
これらの平板12g〜12iは、その後端面の中央部が先端側に向かって切り欠かれた形状を呈し、容器蓋10を容器本体2に装着したときに、塗布体(ブラシ)3に接近し得る形状となっている。
【0041】
具体的には、平板12g〜12iは、その後端面の中央部を、先細となるような傾斜面で切り欠いた(略台形状に切り欠いた)形状を呈し、中央の平板12gは、小径部12x近くまで大きく切り欠かれた形状を呈し、中央の平板12gより外側の平板12hは、中径部12yの軸線方向中程まで切り欠かれた形状を呈し、この平板12hよりさらに外側の平板12iは、最も小さく切り欠かれた形状を呈す。また、
図10及び
図11に示すように、平板並設方向視において、中央の平板12gの傾斜面より、平板12hの傾斜面の方が内側に位置し、この平板12hの傾斜面より、平板12iの傾斜面の方がさらに内側に位置する構成となっている。
【0042】
そして、
図7〜
図9に示すように、各平板12g〜12i同士の間に凹部12dがそれぞれ形成され、これら並設された凹部12dにより、結露を始めとした液体を積極的に捕捉するための液体捕捉部12kが構成される。
【0043】
なお、凹部12dの幅は、金型成形時に成形型であるコアピンを後方へ抜くための抜き勾配により、後端側から先端側へ向かって徐々に狭くなっている。
【0044】
また、本実施形態の容器蓋10にあっては、
図2及び
図3に示すように、内キャップ12の凸部12cの先端面と外キャップ11の先端部の内面との間に、圧縮コイルバネ14が配置される。この圧縮コイルバネ14は、内キャップ12を外キャップ11の後端側へ付勢するものである。
【0045】
そして、内キャップ12及び外キャップ11を備えた容器蓋10が、
図2に示すように、容器本体2の先端側に装着された状態にあっては、外キャップ11の4箇所の凸部11eが、容器本体2の円環状の凸部2eの軸線方向後側に位置して当該凸部2eと対面し、嵌着した状態となっている。
【0046】
このように容器蓋10が容器本体2に装着された状態にあっては、内キャップ12の円環状の段差部12tは、圧縮コイルバネ14により付勢されて容器本体2のテーパー面2tに密着し(圧接し)、内キャップ12と容器本体2との間の気密が確保された状態となっており、アイライナー化粧料Lの揮発が抑制されている。
【0047】
また、この状態で、連結部12fで互いに連結されていない周方向に隣り合う凸部12c,12c同士の間の部分(
図5及び
図6参照)と、外キャップ11の内周面との間には、後端が開放され軸線方向に延びる空間が、流路13として形成される(
図4参照)。
【0048】
このようなアイライナー化粧料容器100を使用に供すべく、容器蓋10を容器本体2から取り外すと、
図3に示すように、圧縮コイルバネ14の付勢力により、内キャップ12が外キャップ11の後端側へ移動し、内キャップ12の連結部12fの後端面の一部の外周縁12p(
図4参照)が外キャップ11の凸部11fに突き当たることにより、それ以上の移動が阻止される。そして、
図2に示す容器本体2にあっては、常時、収容部2a内のアイライナー化粧料Lが、中継芯6の毛細管現象により塗布体3へ供給された状態にある。従って、使用者は、容器蓋10が取り外された状態で把持筒1を把持しながら、塗布体3により所望のアイラインを描くことができる。
【0049】
そして、塗布が終わったら、使用者は、容器本体2に対して容器蓋10を装着すべく、容器蓋10を容器本体2の先端側に外挿していく。この容器蓋10の容器本体2の先端側に対する外挿により、内キャップ12の円環状の段差部12tが、容器本体2の先端側のテーパー面2tに当接して密着し、さらなる外挿により、圧縮コイルバネ14が圧縮されながら、外キャップ11が容器本体2側へ移動していく。そして、外キャップ11の4箇所の凸部11eが、容器本体2の円環状の凸部2eを軸線方向後側へ乗り越えると、
図1及び
図2に示すように、容器蓋10(外キャップ11)が容器本体2に着脱可能に装着される。
【0050】
このように容器蓋10が容器本体2に装着されたアイライナー化粧料容器100にあって、例えば外部環境の温度が低下した際には、以下の作用・効果を奏する。すなわち、
図5及び
図6に示すように、内キャップ12の外面に設けた凸部12b,12cにより表面積が大きくされた放熱部12aによって、内キャップ12の外面が積極的に放熱されて冷却が促進される。このため、内キャップ12で覆われている容器の外面、ここでは、容器本体2の先端側の外面や、塗布体ホルダ5の容器本体2から突出している部分の外面(
図2参照)に結露が生じる前に、内キャップ12の内面に結露が生じることになる。結露した滴は、
図7〜
図9に示す内キャップ12の内面に設けた液体捕捉部12kの凹部12dに表面張力により捕捉される。
【0051】
このように、本実施形態のアイライナー化粧料容器100によれば、容器外面に対し滴が付着することを防止でき、美観を損ねず、使用者の手を汚すこともない。
【0052】
また、内キャップ12は、有底筒状を成し、その内周面に液体捕捉部12kを有すると共に、その外周面に放熱部12aを有する構成のため、外周面という広い領域に設けられた放熱部12aにより、放熱・冷却が一層促進され、内周面という広い領域に設けられた液体捕捉部12kにより、結露した滴が一層確実に捕捉される。その結果、容器外面に対し滴が付着することを一層防止できる。
【0053】
また、液体捕捉部12kの凹部12dの幅が、後端側から先端側に向かって徐々に狭くなっているため、凹部12dに捕捉される滴は、毛細管現象によって、凹部12dの細い先端側に容易に集められ確実に保持される。その結果、容器外面に対し滴が付着することを一層防止できる。
【0054】
また、有底筒状の内キャップ12を、放熱部12aの凸部12b,12cと共に収容する外キャップ11を有する構成のため、内キャップ12の外面の凸部12b,12cが邪魔にならず、使用者は容器蓋10(外キャップ11)を支障なく容易に把持することができる。
【0055】
また、放熱部12aの構成が、軸線方向に延び、周方向に沿って複数並設された凸部12b,12cを有するため、好適に放熱できると共に、金型(外型)による成形が容易となっている。
【0056】
ここで、容器蓋10が容器本体2から取り外されている
図3に示す状態では、内キャップ12の後端外周面と外キャップ11の内周面との間は封止されておらず隙間が存在する状態のため、
図4に示す流路13は、その後端が開放され外部雰囲気と連通し、一方、容器蓋10が容器本体2に装着されている
図2に示す状態にあっても、内キャップ12の後端外周面と外キャップ11の内周面との間は封止されておらず隙間が存在し、且つ、外キャップ11の後端部の内周面と容器本体2の外周面との間も封止されておらず隙間が存在する状態のため、
図4に示す流路13は、その後端が開放され外部雰囲気と連通している。すなわち、流路13は、常時、外部雰囲気と連通しているため、外部雰囲気の空気(大気)が、流路13を通して軸線方向に沿って先端側まで流れることとなり、放熱部12aによる放熱が一層促進される。このため、容器外面に対し滴が付着することを一層防止できる。
【0057】
なお、本実施形態では、
図5及び
図6に示すように、周方向に隣り合う凸部12c,12cを1セットの組として、この組の凸部12c,12cの後端同士を連結部12fで連結し、当該連結部12fで連結された凸部12c,12c同士の間の部分の後端を後方と連通しない構成となっているが、連結部12fを設けずに、周方向に隣り合う全ての凸部12c,12c同士の間の部分の後端を後方と連通し、全ての隣り合う凸部12c,12c同士の間の部分と、外キャップ11の内周面との間に流路13を形成し、放熱部12aによる放熱を一層促進させて、容器外面に対し滴が付着することを一層防止することも可能である。
【0058】
図12は、本発明の第2実施形態に係る容器蓋を示す縦断面図、
図13及び
図14は、内キャップの各斜視図、
図15は、内キャップの断面斜視図である。
【0059】
この第2実施形態の容器蓋20が第1実施形態の容器蓋10と違う点は、第1実施形態の内キャップ12を内キャップ22に代えた点であり、具体的には、第1実施形態の軸線方向に延びる凸部12b,12cを備えた放熱部12aを、周方向に円弧状に延びる凸部22cを備えた放熱部22aに代えた点である。
【0060】
以下、内キャップ22について詳説する。
【0061】
内キャップ22は、
図12〜
図15に示すように、先端側から、小径部22x、中径部22y、大径部22zをこの順に備える。
【0062】
小径部22xは、短尺の有底円筒状に構成され、その後端には、軸線方向視円弧状を成し径方向に延びるように突設されるバネ受け22mが、周方向に沿って一対対向して設けられる。このバネ受け22mは、圧縮コイルバネ14を軸線方向に受けるためのものである。このバネ受け22mの先端面には、軸線方向視円弧状を成して軸線方向に延びるバネガイド22nがそれぞれ設けられる。このバネガイド22nは、圧縮コイルバネ14に囲繞されるようにして当該圧縮コイルバネ14を径方向にガイドするためのものである。そして、これらのバネ受け22m及びバネガイド22nは、放熱部も兼用する。
【0063】
中径部22yは、円筒状の小径部22xにテーパー状に拡径して続く筒部である。この中径部22yの外周面には、軸線方向視円弧状を成し径方向に延びるように突設される凸部22cが、放熱を積極的に促進させるものとして、周方向に沿って一対対向して設けられる。この凸部22cは、軸線方向に沿って多数並設され、これら凸部22cの径方向の突出長は、先端側から後端側に向かって徐々に短くされており、軸線方向視においてほぼ同一高さとなっている。また、周方向に並ぶ凸部22c,22c同士の間の隙間の位置は、軸線方向に沿って一列に並ぶようになっている。そして、軸線方向に沿って並設された凸部22cにより、放熱部22aが構成されている。
【0064】
また、中径部22yの後端部には、軸線方向視円弧状を成し径方向に延びるように突設される凸部22fが、前述した第1実施形態の連結部12fと同様な機能を発揮するものとして設けられる。この凸部22fは、放熱部も兼用する。そして、周方向に並ぶ凸部22f,22f同士の間の隙間の位置、周方向に並ぶ凸部22c,22c同士の間の隙間の位置、バネ受け22m,22m同士の間の隙間の位置、バネガイド22n,22n同士の間の隙間の位置は、軸線方向に沿って一列に並び、この隙間が軸線方向に延びる空間を形成する(
図14参照)。この空間は、後述の流路13を構成する。
【0065】
大径部22zは、第1実施形態の大径部12zと同様な形状であり、後端側に向かうに従いラッパ状に徐々に拡径する形状を呈し、その内周面には、
図12及び
図15に示すように、後側が拡径する円環状の段差部22tが、容器本体2のテーパー面2tに気密に密着するためのものとして設けられる。
【0066】
また、内キャップ22にあっては、
図12及び
図15に示すように、小径部22x及び中径部22yに亘って、その内部に、内方に向かって突出すると共に軸線方向に延びる凸部22gが周方向に沿って複数並設される。この凸部22gは、容器蓋20を容器本体2に装着したときに、塗布体(ブラシ)3に接近し得る形状となっている。
【0067】
具体的には、凸部22gは、小径部22xの先端部から軸線方向に延び、小径部22xを越えた辺りまでは同一突出長となっている。この凸部22gは、中径部22yにおいては、後端側に向かうに従い、徐々に突出長が短くされると共にその幅が徐々に広くされている。
【0068】
そして、各凸部22g,22g同士の間に凹部22dがそれぞれ形成される。これらの凹部22dの幅は、後端側から先端側へ向かって徐々に狭くなっている。従って、このような後端側から先端側へ向かって徐々に狭くなる抜き勾配により、金型成形時に成形型であるコアピンを後方へ容易に抜くことができる。そして、これら周方向に並設された凹部22dにより、結露を始めとした液体を積極的に捕捉するための液体捕捉部22kが構成されている。
【0069】
なお、外キャップ11は第1実施形態と同様であり、この外キャップ11及び内キャップ22を備えた容器蓋20の適用対象のアイライナー化粧料容器も第1実施形態と同様である。
【0070】
このように構成された容器蓋20にあっても、第1実施形態の容器蓋10とほぼ同様な作用・効果を奏する。
【0071】
すなわち、本実施形態によれば、
図13及び
図14に示すように、内キャップ22の外面に設けた凸部22cにより表面積が大きくされた放熱部22aによって、内キャップ22の外面が積極的に放熱されて冷却が促進されるため、内キャップ22で覆われている容器の外面(容器本体2の先端側の外面や塗布体ホルダ5の容器本体2から突出している部分の外面;
図2参照)に結露が生じる前に、内キャップ22の内面に結露が生じることになり、結露した滴は、
図12及び
図15に示す内キャップ22の内面に設けた液体捕捉部22kの凹部22dに表面張力により捕捉される。従って、容器外面に対し滴が付着することを防止でき、美観を損ねず、使用者の手を汚すこともない。
【0072】
また、内キャップ22は、有底筒状を成し、その内周面に液体捕捉部22kを有すると共に、その外周面に放熱部22aを有する構成のため、外周面という広い領域に設けられた放熱部22aにより、放熱・冷却が一層促進され、内周面という広い領域に設けられた液体捕捉部22kにより、結露した滴が一層確実に捕捉される。その結果、容器外面に対し滴が付着することを一層防止できる。
【0073】
また、液体捕捉部22kの凹部22dの幅が、後端側から先端側に向かって狭くなっているため、凹部22dに捕捉される滴は、毛細管現象によって、凹部22dの細い先端側に容易に集められ確実に保持される。その結果、容器外面に対し滴が付着することを一層防止できる。
【0074】
また、容器蓋20は、有底筒状の内キャップ22を、放熱部22aの凸部22c,22cと共に収容する第1実施形態と同様な外キャップ11を有する構成のため、内キャップ22の外面の凸部22c,22cが邪魔にならず、使用者は容器蓋20(外キャップ11)を支障なく容易に把持することができる。
【0075】
また、内キャップ22の円弧状の凸部22cは、周方向に沿って複数(ここでは一対)設けられ、外キャップ11の内周面と、内キャップ22の外周面で周方向における円弧状の凸部22c,22c同士の間の部分との間には、軸線方向に延びる空間が流路13(第1実施形態の
図4参照)として形成され、流路13は、第1実施形態で説明したのと同様に、その後端が開放され外部雰囲気と連通する構成のため、外部雰囲気の空気が流路13を通して軸線方向に沿って先端側まで流れると共に、軸線方向に沿って多数並設された円弧状の凸部22c,22c同士の間に流れる結果、放熱部22aによる放熱が一層促進される。このため、容器外面に対し滴が付着することを一層防止できる。
【0076】
なお、この実施形態においては、特に好ましいとして、放熱部22aを円弧状の凸部22cとし、当該凸部22cを周方向に沿って複数並設することで、外部雰囲気の空気を軸線方向に流通させるための第1実施形態と同様な流路13(
図4参照)を複数形成するようにしているが、放熱部22aは、円環状の凸部とすることもできる。また、円環状の凸部の1箇所を切除し、軸線方向視が略C字状を成すように周方向に延びる凸部を放熱部としても良い。このような構成であっても、外キャップ11の内周面と、内キャップ22の外周面で略C字状の凸部の周方向末端同士の間の部分との間には、上記と同様な軸線方向に延びる空間が流路として形成されるため、外部雰囲気の空気が流路を通して軸線方向に流れ、放熱部による放熱を一層促進できる。
【0077】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、特に好適であるとして、放熱部12a,22aを構成する凸部12b,12c,22cを有底筒状の内キャップ12,22の外周面に設けると共に、液体捕捉部12k,22kを構成する凹部12d,22dを内キャップ12,22の内周面に設けるようにしているが、放熱部12a,22aや液体捕捉部12k,22kを、有底筒状の先端部に設けるようにしても良い。
【0078】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、液体捕捉部12k,22kとして複数の凹部12d,22dを設け、放熱部12a、22aとして複数の凸部12b,12c,22cを設けているが、液体捕捉部12k,22kを構成する凹部12d,22d、放熱部12a,22aを構成する凸部12b,12c,22cは、例えば螺旋状の1本の凹部や凸部とすることもできる。
【0079】
また、上記実施形態のアイライナー化粧料容器100に、アイライナー化粧料Lを先端側に押し出す例えば加圧ピストンのような押出機構を設け、この押出機構を、アイライナー化粧料Lを先端側へ移動させる補助として用いるようにしても良い。また、使用者の押圧力によりアイライナー化粧料Lを押し出すことができるチューブやソフトボトル等のスクイーズタイプのアイライナー化粧料容器に対しても適用することも可能である。
【0080】
また、上記実施形態においては、特に好ましいとして、液状化粧料をアイライナー化粧料Lとし、容器をアイライナー化粧料容器100としているが、液体を例えばアイブロウやヘアマスカラ等の他の液状化粧料とし、容器を他の液状化粧料容器としても良く、さらには、液状化粧料を筆記用具等のインキや糊や液状の医薬品に代え、容器を液体容器とすることも可能であり、要は、揮発成分を含む液体を収容した液体容器に対して適用するのが好適である。また、液体に限られず、例えば水等の揮発成分を含む例えばジェル等を備える容器に対しても適用でき、要は、揮発成分を含む内容物を備えた容器に対して適用するのが好適である。この場合、内容物は押し出されたり、繰り出されなくて、固定されていても良い。さらにまた、上記実施形態においては、収容筒である外キャップ11、蓋体である内キャップ12(22)を有底筒状としているが、例えば、蓋体を平板状の内蓋とし、この平板状の内蓋を、フラットな外面を有する外蓋で外側から覆う構成とすることもできる。この場合には、平板状の内蓋の内面に液体捕捉部を構成する凹部を、外面に放熱部を構成する凸部をそれぞれ設け、この内蓋の放熱部を、フラットな外面を有する外蓋で覆えば良い。この場合、外蓋はなくても良い。
【0081】
因みに、内容物である液状化粧料を始めとした液体の粘度が低い場合、容器内の液体が容器の吐出口から不用意に漏出する虞があるが、このように漏出した液体は、蓋体の液体捕捉部の凹部に表面張力により積極的に捕捉される。従って、容器外面に対し液体(滴)が付着することを防止でき、その結果、美観を損ねず、使用者の手を汚すこともない。