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(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
医薬的に許容される塩が、塩酸、硝酸、硫酸、炭素数1〜10のスルホン酸、置換若しくは非置換の炭素数1〜6のアルキルカルボン酸、及び置換若しくは非置換の炭素数4〜8のジカルボン酸のいずれか一つから選ばれる酸との塩である請求項1又は2記載の2型糖尿病治療剤。
【発明を実施するための形態】
【0030】
上記一般式(I)におけるR
1は、水素、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基のいずれか一つから選ばれる基である。
【0031】
前記R
1で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基を挙げることができる。
【0032】
前記R
1で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基としては、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ジブテニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、及び2-メチル−2−プロペニル基を挙げることができる。
【0033】
前記R
1で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ジブチニル基、及び1-メチル−2−プロピニル基を挙げることができる。
【0034】
前記直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、及び直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0035】
前記R
1としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは、水素、メチル基、エチル基、ビニル基、及びエチニル基であり、より好ましくは水素、メチル基、及びエチニル基であり、最も好ましくは水素である。
【0036】
上記一般式(I)におけるR
2は、水素、ハロゲン、水酸基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜10のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルキニル基、置換若しくは非置換の炭素数3〜10の脂環式基、置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリール基、置換又は非置換の炭素数1〜10のアルコキシ基、置換又は非置換の炭素数1〜11のアシル基、カルボキシル基、及びそのエステル誘導体又はアミド誘導体、置換又は非置換の炭素数1〜10のスルホニル基、並びに置換又は非置換の炭素数1〜10のスルフィド基のいずれか一つから選ばれる基である。
【0037】
前記R
2で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜10のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブタン−2−イル基、2,3-ジメチルブタン−2−イル基、3−ヘキシル基、2-エチルペンチル基、2-メチルペンタン−3−イル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等を挙げることができる。
【0038】
前記R
2で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルケニル基としては、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−2−プロペニル基、ペンテニル基、ペンタジエニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、ヘキサトリエニル基、ヘプテニル基、ヘプタジエニル基、ヘプタトリエニル基、オクテニル基、オクタジエニル基、オクタトリエニル基、オクタテトラエニル基、ノネニル基、ノナジエニル基、ノナトリエニル基、ノナテトラエニル基、デセニル基、デカジエニル基、デカトリエニル基、デカテトラエニル基、デカペンタエニル基等を挙げることができる。
【0039】
前記R
2で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ブタンジイニル基、1-メチル−2−プロピニル基、ペンチニル基、ペンタジイニル基、ヘキシニル基、ヘキサジイニル基、ヘキサトリイニル基、ヘプチニル基、ヘプタジイニル基、ヘプタトリイニル基、オクチニル基、オクタジイニル基、オクタトリイニル基、オクタテトライニル基、ノニニル基、ノナジイニル基、ノナトリイニル基、ノナテトライニル基、デシニル基、デカジイニル基、デカトリイニル基、デカテトライニル基、デカペンタイニル基等を挙げることができる。
【0040】
前記直鎖又は分枝の炭素数1〜10のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルケニル基、及び直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルキニル基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、カルボキシル基若しくはそのエステル誘導体、シアノ基、後述の脂環式基等を挙げることができる。
【0041】
前記R
2で表される、炭素数3〜10の脂環式基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロプロペニル基、シクロブチル基、シクロブテニル基、シクロブタジエニル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプチル基、シクロヘプテニル基、シクロヘプタジエニル基、シクロヘプタトリエニル基、ビシクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロオクテニル基、シクロオクタジエニル基、シクロオクタトリエニル基、ビシクロオクチル基、シクロノニル基、シクロノネル基、シクロノナジエニル基、ビシクロノニル基、シクロデシル基、シクロデセニルル基、シクロデカジエニル基、ビシクロデシル基、アダマンチル基等を挙げることができる。
【0042】
前記炭素数3〜10の脂環式基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基等を挙げることができる。また、前記炭素数3〜10の脂環式基はアリール基、含窒素芳香族基、複素環基と縮環したものでもよい。
【0043】
前記R
2で表される、炭素数6〜10のアリール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、これらアリール基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基等を挙げることができる。また前記炭素数6〜10のアリール基は脂環式基、含窒素芳香族基、複素環基と縮環したものでもよい。
【0044】
前記R
2で表される、炭素数1〜10のアルコキシ基は、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜10のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数3〜10の脂環式基、炭素数6〜10のアリール基等が酸素原子を介して結合した基を挙げることができる。前記、炭素数1〜10のアルコキシ基はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等で置換基されていてもよい。
【0045】
前記R
2で表される、炭素数1〜11のアシル基は、水素、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜10のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数3〜10の脂環式基、炭素数6〜10のアリール基等がカルボニルを介して結合した基を挙げることができる。前記、炭素数1〜11アシル基はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等で置換基されていてもよい。
【0046】
前記R
2で表される、カルボキシル基のエステル誘導体としては、カルボキシル基の水素が、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜10のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数3〜10の脂環式基、炭素数6〜10のアリール基等と置換したものを挙げることができる。前記エステル誘導体は置換されていてもよく、置換基としては置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0047】
前記R
2で表される、カルボキシル基のアミド誘導体としては、カルボキシル基の水酸基が、1又は2の前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜10のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数3〜10の脂環式基、炭素数6〜10のアリール基と結合した窒素と置換したものを挙げることができる。前記アミド誘導体は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0048】
前記R
2で表される、炭素数1〜10のスルホニル基は、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜10のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数3〜10の脂環式基、炭素数6〜10のアリール基等がスルホニル基(−SO
2−)を介して結合した基を挙げることができる。前記、炭素数1〜10のスルホニル基はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等で置換基されていてもよい。
【0049】
前記R
2で表される、炭素数1〜10のスルフィド基は、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜10のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜10のアルキニル基、炭素数3〜10の脂環式基、炭素数6〜10のアリール基等が硫黄原子を介して結合した基を挙げることができる。前記、炭素数1〜10のスルフィド基はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等で置換基されていてもよい。
【0050】
前記R
2としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは水素、フッ素、塩素、臭素、水酸基、エチル基、ビニル基、エチニル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1,2-ジヒドロキシエチル基、1-メトキシカルボニルエチル基、1-エトキシカルボニルエチル基、シクロプロピルメチル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、ヒドロキシナフチル基、インダニル基、テトラヒドロナフチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、アクロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトニル基、イソクロトニル基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、イソプロパンスルホニル基、メチルスルフィド基、エチルスルフィド基、n−プロピルスルフィド基、イソプロピルスルフィド基、及びn−ブチルスルフィド基であり、より好ましくは水素、フッ素、塩素、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−デシル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1,2-ジヒドロキシエチル基、1-エトキシカルボニルエチル基、シクロプロピルメチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ヒドロキシナフチル基、インダニル基、テトラヒドロナフチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、アセチル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、メチルスルフィド基、エチルスルフィド基、及びn−プロピルスルフィド基であり、さらに好ましくは水素、フッ素、塩素、水酸基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、メタンスルホニル基、及びn−プロピルスルフィド基である。
【0051】
上記一般式(I)におけるR
3は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリール基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルコキシ基のいずれか一つから選ばれる基である。
【0052】
前記R
3で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基を挙げることができる。
【0053】
前記R
3で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基としては、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ジブテニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、及び2-メチル−2−プロペニル基を挙げることができる。
【0054】
前記R
3で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ジブチニル基、及び1-メチル−2−プロピニル基を挙げることができる。
【0055】
前記直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0056】
前記R
3で表される、炭素数6〜10のアリール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、これらアリール基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基等を挙げることができる。また前記炭素数6〜10のアリール基は脂環式基、含窒素芳香族基、複素環基と縮環したものでもよい。
【0057】
前記R
3で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルコキシ基は、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基等が酸素原子を介して結合した基を挙げることができる。これらアルコキシ基はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等で置換基されていてもよい。
【0058】
前記R
3としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは水素、フッ素、塩素、メチル基、エチル基、ビニル基、エチニル基、フェニル基、ナフチル基、メトキシ基、及びエトキシ基であり、より好ましくは水素、フッ素、エチル基、フェニル基、及びメトキシ基であり、さらに好ましくは水素、フッ素、及びメトキシ基である。
【0059】
上記一般式(I)におけるR
4は、水素、置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリール基、及び置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリールオキシ基のいずれか一つから選ばれる基のいずれか一つから選ばれる基であるか、R
5及び結合した炭素と一緒にカルボニル基となる基である。
【0060】
前記R
4で表される、炭素数6〜10のアリール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、これらアリール基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、並びにハロゲン、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等で置換されていても良い直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基等を挙げることができる。また前記炭素数6〜10のアリール基は脂環式基、含窒素芳香族基、複素環基と縮環したものでもよい。
【0061】
前記R
4で表される、炭素数6〜10のアリールオキシ基としては、前記置換又は非置換の炭素数6〜10のアリール基が酸素原子を介して結合した基を挙げることができる。
【0062】
前記R
4としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは水素、フェニル基、メチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、及びトリフルオロメチルフェノキシ基であり、より好ましくは水素、メチルフェノキシ基、及びトリフルオロメチルフェノキシ基、さらに好ましくは水素及びトリフルオロメチルフェノキシ基である。
また、前記R
4は、R
5及び結合した炭素と一緒にカルボニル基となってもよい。
【0063】
上記一般式(I)におけるR
5は、水素、又はR
4及び結合した炭素と一緒にカルボニル基となる基である。
【0064】
上記一般式(I)におけるR
6は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基、置換若しくは非置換の炭素数3〜6の脂環式基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニルオキシカルボニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニルオキシカルボニル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリール基、及びカルボキシル基、そのエステル誘導体又はアミド誘導体、並びにシアノ基、アミノ基のいずれか一つから選ばれる基のいずれか一つから選ばれる基である。
【0065】
前記R
6で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブタン−2−イル基、2,3-ジメチルブタン−2−イル基、3−ヘキシル基、2-エチルペンチル基、2-メチルペンタン−3−イル基等を挙げることができる。
【0066】
前記R
6で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基としては、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−2−プロペニル基、ペンテニル基、ペンタジエニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、ヘキサトリエニル基等を挙げることができる。
【0067】
前記R
6で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ブタンジイニル基、1-メチル−2−プロピニル基、ペンチニル基、ペンタジイニル基、ヘキシニル基、ヘキサジイニル基、ヘキサトリイニル基等を挙げることができる。
【0068】
前記直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、及び直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、カルボキシル基若しくはそのエステル誘導体、シアノ基、脂環式基、含窒素複素環基等を挙げることができる。
【0069】
前記R
6で表される、炭素数3〜6の脂環式基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロプロペニル基、シクロブチル基、シクロブテニル基、シクロブタジエニル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基等を挙げることができる。これら脂環式基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、前記直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基等を挙げることができる。また、前記脂環式基はアリール基、含窒素芳香族基、複素環基と縮環したものでもよい。
【0070】
前記R
6で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキルオキシカルボニル基としては、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピロキシカルボニル基、イソプロピロキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基を挙げることができる。
【0071】
前記R
6で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニルオキシカルボニル基としては、具体的には、ビニルオキシカルボニル基、1−プロペニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、イソプロぺニルオキシカルボニル基、1−ブテニルオキシカルボニル基、2−ブテニルオキシカルボニル基、3−ブテニルオキシカルボニル基、1,3−ジブテニルオキシカルボニル基、1-エチルビニルオキシカルボニル基、1-メチル−1−プロペニルオキシカルボニル基、2-メチル−1−プロペニルオキシカルボニル基、及び2-メチル−2−プロペニルオキシカルボニル基を挙げることができる。
【0072】
前記R
6で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニルオキシカルボニル基としては、具体的には、エチニルオキシカルボニル基、1−プロピニルオキシカルボニル基、2−プロピニルオキシカルボニル基、1−ブチニルオキシカルボニル基、2−ブチニルオキシカルボニル基、3−ブチニルオキシカルボニル基、1,3−ブタンジイニルオキシカルボニル基、及び1-メチル−2−プロピニルオキシカルボニル基を挙げることができる。
【0073】
前記直鎖又は分枝のアルキルオキシカルボニル基、直鎖又は分枝のアルケニルオキシカルボニル基、及び直鎖又は分枝のアルキニルオキシカルボニル基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、シアノ基等を挙げることができる。
【0074】
前記R
6で表される、炭素数6〜10のアリール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、これらアリール基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基等を挙げることができる。また前記アリール基は脂環式基、含窒素芳香族基、複素環基と縮環したものでもよい。
【0075】
前記R
6で表される、カルボキシル基のエステル誘導体としては、カルボキシル基の水素が、炭素数3〜6の脂環式基、炭素数6〜10のアリール基等と置換したものを挙げることができる。これら、エステル誘導体は置換されていてもよく、置換基としては置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0076】
前記R
6で表される、カルボキシル基のアミド誘導体としては、カルボキシル基の水酸基が、1又は2の前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数3〜6の脂環式基と結合した窒素と置換したものを挙げることができる。これら、アミド誘導体は置換されていてもよく、置換基としては置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0077】
前記R
6で表される、アミノ基としては、アミノ基、並びにアミノ基上の1又は2の水素が、1又は2の前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基で置換されたものを挙げることができる。これら、置換アミノ基はさらに置換されていてもよく、置換基としては置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0078】
前記R
6としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル基、エチル基、ビニル基、エチニル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ヒドロキシメチル基、カルボキシルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、ピペリジノメチル基、メチルピペリジノメチル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェニル基、トリル基、ヒドロキシフェニル基、ナフチル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、及びジエチルアミノ基であり、より好ましくは水素、フッ素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、ヒドロキシメチル基、カルボキシルメチル基、シクロペンチルメチル基、ピペリジノメチル基、メチルピペリジノメチル基、メトキシカルボニル基、シアノ基、アミノ基、及びジメチルアミノ基であり、さらに好ましくは水素、フッ素、メチル基、及びアミノ基である。
【0079】
上記一般式(I)におけるR
7は水素、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基のいずれか一つから選ばれる基である。
【0080】
前記R
7で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基を挙げることができる。
【0081】
前記R
7で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基としては、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ジブテニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、及び2-メチル−2−プロペニル基を挙げることができる。
【0082】
前記R
7で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ジブチニル基、及び1-メチル−2−プロピニル基を挙げることができる。
【0083】
前記直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、及び直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0084】
前記R
7としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは、水素、メチル基、エチル基、ビニル基、及びエチニル基であり、より好ましくは水素、メチル基、及びエチニル基であり、最も好ましくは水素である。
【0085】
上記一般式(I)におけるR
8は、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基、置換若しくは非置換の炭素数3〜6の脂環式基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニルオキシカルボニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニルオキシカルボニル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリール基、及びカルボキシル基、そのエステル誘導体又はアミド誘導体、並びにシアノ基、アミノ基のいずれか一つから選ばれる基のいずれか一つから選ばれる基であるか、R
5及び結合した炭素と一緒にカルボニル基となる基である。
【0086】
前記R
8で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブタン−2−イル基、2,3-ジメチルブタン−2−イル基、3−ヘキシル基、2-エチルペンチル基、2-メチルペンタン−3−イル基等を挙げることができる。
【0087】
前記R
8で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基としては、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−2−プロペニル基、ペンテニル基、ペンタジエニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、ヘキサトリエニル基等を挙げることができる。
【0088】
前記R
8で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ブタンジイニル基、1-メチル−2−プロピニル基、ペンチニル基、ペンタジイニル基、ヘキシニル基、ヘキサジイニル基、ヘキサトリイニル基等を挙げることができる。
【0089】
前記直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、及び直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、カルボキシル基若しくはそのエステル誘導体、シアノ基、脂環式基、含窒素複素環基等を挙げることができる。
【0090】
前記R
8で表される、炭素数3〜6の脂環式基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロプロペニル基、シクロブチル基、シクロブテニル基、シクロブタジエニル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基等を挙げることができる。これら脂環式基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、前記直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基等を挙げることができる。また、前記脂環式基はアリール基、含窒素芳香族基、複素環基と縮環したものでもよい。
【0091】
前記R
8で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキルオキシカルボニル基としては、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピロキシカルボニル基、イソプロピロキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、及びtert−ブトキシカルボニル基を挙げることができる。
【0092】
前記R
8で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニルオキシカルボニル基としては、具体的には、ビニルオキシカルボニル基、1−プロペニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、イソプロぺニルオキシカルボニル基、1−ブテニルオキシカルボニル基、2−ブテニルオキシカルボニル基、3−ブテニルオキシカルボニル基、1,3−ジブテニルオキシカルボニル基、1-エチルビニルオキシカルボニル基、1-メチル−1−プロペニルオキシカルボニル基、2-メチル−1−プロペニルオキシカルボニル基、及び2-メチル−2−プロペニルオキシカルボニル基を挙げることができる。
【0093】
前記R
8で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニルオキシカルボニル基としては、具体的には、エチニルオキシカルボニル基、1−プロピニルオキシカルボニル基、2−プロピニルオキシカルボニル基、1−ブチニルオキシカルボニル基、2−ブチニルオキシカルボニル基、3−ブチニルオキシカルボニル基、1,3−ブタンジイニルオキシカルボニル基、及び1-メチル−2−プロピニルオキシカルボニル基を挙げることができる。
【0094】
前記直鎖又は分枝のアルキルオキシカルボニル基、直鎖又は分枝のアルケニルオキシカルボニル基、及び直鎖又は分枝のアルキニルオキシカルボニル基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、シアノ基等を挙げることができる。
【0095】
前記R
8で表される、炭素数6〜10のアリール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、これらアリール基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基が酸素原子を介して置換したアルコキシ基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基が硫黄原子を介して置換したスルフィド基等を挙げることができる。また前記アリール基は脂環式基、含窒素芳香族基、複素環基と縮環したものでもよい。
【0096】
前記R
8で表される、カルボキシル基のエステル誘導体としては、カルボキシル基の水素が、炭素数3〜6の脂環式基、炭素数6〜10のアリール基等と置換したものを挙げることができる。これら、エステル誘導体は置換されていてもよく、置換基としては置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0097】
前記R
8で表される、カルボキシル基のアミド誘導体としては、カルボキシル基の水酸基が、1又は2の前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数3〜6の脂環式基、炭素数6〜10のアリール基等と結合した窒素と置換したものを挙げることができる。これら、アミド誘導体は置換されていてもよく、置換基としては置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0098】
前記R
8で表される、アミノ基としては、アミノ基、並びにアミノ基上の1又は2の水素が、1又は2の前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、及び直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基で置換されたものを挙げることができる。これら、置換アミノ基はさらに置換されていてもよく、置換基としては置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0099】
前記R
8としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル基、エチル基、ビニル基、エチニル基、ヒドロキシメチル基、カルボキシルメチル基、シクロペンチルメチル基、シクロヘキシルメチル基、ピペリジノメチル基、メチルピペリジノメチル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、メチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、ナフチル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、及びジエチルアミノ基であり、より好ましくは水素、フッ素、メチル基、エチル基、カルボキシルメチル基、メトキシカルボニル基、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、メチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、ナフチル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、及びジメチルアミノ基であり、さらに好ましくは水素、フッ素、フェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、クロロフェニル基、メチルチオフェニル基、及びカルボキシル基である。
また、前記R
8は、R
9及び結合した炭素と一緒にカルボニル基となってもよい。
【0100】
上記一般式(I)におけるR
9は、水素、又はR
8及び結合した炭素と一緒にカルボニル基となる基である。
【0101】
上記一般式(I)におけるR
10は、水素、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基、置換若しくは非置換の炭素数3〜6の脂環式基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキルオキシカルボニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニルオキシカルボニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニルオキシカルボニル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリール基、カルボキシル基、及びそのエステル誘導体又はアミド誘導体、並びにシアノ基、アミノ基のいずれか一つから選ばれる基であるか、R
11及び結合した窒素原子と一緒に置換若しくは非置換の含窒素複素環となる基である。
【0102】
前記R
10で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブタン−2−イル基、2,3-ジメチルブタン−2−イル基、3−ヘキシル基、2-エチルペンチル基、2-メチルペンタン−3−イル基等を挙げることができる。
【0103】
前記R
10で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基としては、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−2−プロペニル基、ペンテニル基、ペンタジエニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、ヘキサトリエニル基等を挙げることができる。
【0104】
前記R
10で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ブタンジイニル基、1-メチル−2−プロピニル基、ペンチニル基、ペンタジイニル基、ヘキシニル基、ヘキサジイニル基、ヘキサトリイニル基等を挙げることができる。
【0105】
前記直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、及び直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、後述の置換又は非置換の炭素数5〜10のアリール基、カルボキシル基若しくはそのエステル誘導体、シアノ基、脂環式基、含窒素複素環基等を挙げることができる。
【0106】
前記R
10で表される、炭素数3〜6の脂環式基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロプロペニル基、シクロブチル基、シクロブテニル基、シクロブタジエニル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基等を挙げることができる。これら脂環式基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、前記直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基等を挙げることができる。また、前記脂環式基はアリール基、含窒素芳香族基、複素環基と縮環したものでもよい。
【0107】
前記R
10で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキルオキシカルボニル基としては、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピロキシカルボニル基、イソプロピロキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0108】
前記R
10で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニルオキシカルボニル基としては、具体的には、ビニルオキシカルボニル基、1−プロペニルオキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、イソプロぺニルオキシカルボニル基、1−ブテニルオキシカルボニル基、2−ブテニルオキシカルボニル基、3−ブテニルオキシカルボニル基、1,3−ジブテニルオキシカルボニル基、1-エチルビニルオキシカルボニル基、1-メチル−1−プロペニルオキシカルボニル基、2-メチル−1−プロペニルオキシカルボニル基、2-メチル−2−プロペニルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0109】
前記R
10で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニルオキシカルボニル基としては、具体的には、エチニルオキシカルボニル基、1−プロピニルオキシカルボニル基、2−プロピニルオキシカルボニル基、1−ブチニルオキシカルボニル基、2−ブチニルオキシカルボニル基、3−ブチニルオキシカルボニル基、1,3−ブタンジイニルオキシカルボニル基、1-メチル−2−プロピニルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0110】
前記直鎖又は分枝のアルキルオキシカルボニル基、直鎖又は分枝のアルケニルオキシカルボニル基、及び直鎖又は分枝のアルキニルオキシカルボニル基はこれらが結合した窒素原子と共に炭酸アミド構造を形成する。前記炭酸アミド構造は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、シアノ基等を挙げることができる。
【0111】
前記R
10で表される、炭素数5〜10のアリール基としては、具体的には、フェニル基、ピリジル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、ナフチル基等が挙げられ、これらアリール基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基が酸素原子を介して置換したアルコキシ基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキルオキシカルボニル基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基が硫黄原子を介して置換したスルフィド基等を挙げることができる。また前記アリール基は脂環式基、複素環基と縮環したものでもよい。
【0112】
前記R
10で表される、カルボキシル基のエステル誘導体としては、炭素数3〜6の脂環式基、炭素数5〜10のアリール基等と置換したものを挙げることができる。これら、エステル誘導体は結合した窒素原子と共に炭酸アミド構造を形成する。前記炭酸アミド構造は置換されていてもよく、置換基としては置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0113】
前記R
10で表される、カルボキシル基のアミド誘導体としては、カルボキシル基の水酸基が、1又は2の前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基、炭素数3〜6の脂環式基、炭素数5〜10のアリール基等と結合した窒素と置換したものを挙げることができる。これら、アミド誘導体は結合した窒素原子と共にウレア構造を形成する。前記ウレア構造は置換されていてもよく、置換基としては置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0114】
前記R
10で表される、アミノ基としては、アミノ基、並びにアミノ基上の1又は2の水素が、1又は2の前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基で置換されたものを挙げることができる。これら、置換アミノ基はさらに置換されていてもよく、置換基としては置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0115】
前記R
10としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、フェニルメチル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジフルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジブロモフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、n-プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、フルオロフェニルメチル基、クロロフェニルメチル基、ブロモフェニルメチル基、メトキシフェニルメチル基、エトキシフェニルメチル基、n-プロピルフェニルメチル基、イソプロピルフェニルメチル基、メトキシカルボニルフェニル基、ジメトキシカルボニルメチル基、ピリジル基、ピリジルメチル基、チオフェニル基、チオフェンメチル基、フラン基、フラニルメチル基、ピロール基、ピロロメチル基、カルボキシルメチル基、カルボキシルエチル基、カルボキシルプロピル基、シアノ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、及びジエチルアミノ基であり、より好ましくは、水素、メチル基、エチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、フェニルメチル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニルメチル基、クロロフェニルメチル基、ブロモフェニルメチル基、メトキシフェニルメチル基、エトキシフェニルメチル基、メトキシカルボニルフェニル基、ジメトキシカルボニルメチル基、ピリジル基、ピリジルメチル基、チオフェニル基、チオフェンメチル基、シアノ基、及びジエチルアミノ基であり、さらに好ましくは、水素、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、フェニルメチル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、フルオロフェニルメチル基、メトキシフェニルメチル基、ジメトキシカルボニルメチル基、ピリジルメチル基、チオフェンメチル基、及びカルボキシルメチル基である。
また、前記R
10は、R
11及び結合した窒素原子と一緒に置換若しくは非置換の含窒素複素環となってもよい。
【0116】
上記一般式(I)におけるR
11は、水素、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基、及び置換若しくは非置換の炭素数3〜6の脂環式基のいずれか一つから選ばれる基のいずれか一つから選ばれる基であるか、R
10及び結合した窒素原子と一緒に置換若しくは非置換の含窒素複素環となる基である。
【0117】
前記R
11で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基、1-メチルヘプチル基、2-メチルヘプチル基、3-メチルヘプチル基、4-メチルヘプチル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブチル基、3,3-ジメチルブタン−2−イル基、2,3-ジメチルブタン−2−イル基、3−ヘキシル基、2-エチルペンチル基、2-メチルペンタン−3−イル基等を挙げることができる。
【0118】
前記R
11で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基としては、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−2−プロペニル基、ペンテニル基、ペンタジエニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、ヘキサトリエニル基等を挙げることができる。
【0119】
前記R
11で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ブタンジイニル基、1-メチル−2−プロピニル基、ペンチニル基、ペンタジイニル基、ヘキシニル基、ヘキサジイニル基、ヘキサトリイニル基等を挙げることができる。
【0120】
前記直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、及び直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、カルボキシル基若しくはそのエステル誘導体、シアノ基、脂環式基、含窒素複素環基等を挙げることができる。
【0121】
前記R
11で表される、炭素数3〜6の脂環式基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロプロペニル基、シクロブチル基、シクロブテニル基、シクロブタジエニル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基等を挙げることができる。これら脂環式基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、前記直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基等を挙げることができる。また、前記脂環式基はアリール基、含窒素芳香族基、複素環基と縮環したものでもよい。
【0122】
前記R
11としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基であり、より好ましくは、水素、メチル基、エチル基、ビニル基、アリル基、エチニル基、1−プロピニル基、シクロペンチル基であり、さらに好ましくは水素、メチル基、エチル基である。
また、前記R
10は、R
11及び結合した窒素原子と一緒に置換若しくは非置換の含窒素複素環となってもよい。
【0123】
前記R
10及びR
11が結合した窒素原子と一緒に構成する含窒素複素環としては、具体的には、ピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピペリジン、ヘキサヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン、ピペラジン、ヘキサヒドロトリアジン、オキサジナン、モルホリン、チアジナン、チオモルホリン、インドール、イソインドール、ピロロピリジン、プリン等を挙げることができる。これら含窒素複素環は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、前記直鎖若しくは分枝の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖若しくは分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、直鎖若しくは分枝の炭素数2〜6のアルキニル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリール基、カルボキシル基、及びそのエステル誘導体若しくはアミド誘導体、又はシアノ基、アミノ基等を挙げることができる。また、前記含窒素複素環はさらに含窒素複素環で置換されていてもよい。
【0124】
前記R
10及びR
11が結合した窒素原子と一緒に構成する含窒素複素環としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくはピロリジン、イミダゾリジン、ピロール、イミダゾール、ピペリジン、4位に置換基を有するピペリジン、ピペラジン、4位に置換基を有するピペラジン、及びモルホリンであり、より好ましくはピロリジン、イミダゾール、ピペリジン、4位が置換又は非置換の炭素数1〜6のアルキル基で置換されたピペリジン、4位が前記含窒素複素環で置換されたピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、4−アシルピペラジン、4位が置換又は非置換の炭素数1〜6のアルキル基で置換されたピペラジン、4位が置換又は非置換のフェニル基で置換されたピペラジン、及びモルホリンであり、さらに好ましくは、ピロリジン、ピペリジン、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、4−(ピペリジン−1−イル)ピペリジン、4−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]ピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、4−アセチルピペラジン、4−ベンゾイルピペラジン、4−メチルピペラジン、4−エチルピペラジン、4−n−プロピルピペラジン、4−イソプロピルピペラジン、4−(2−メトキシエチル)ピペラジン、4−ジフェニルメチルピペラジン、4−ジ(4−フルオロフェニル)ピペラジン、4−フェニルピペラジン、4−(2−フルオロフェニル)ピペラジン、及びモルホリンである。
【0125】
上記一般式(I)で表される化合物は、前述条件を満たす化合物であればいかなる化合物であっても構わないが、具体的には以下の化合物(I−1)〜(I−61)を挙げることができる。
【0127】
また、上記一般式(I)で表される化合物は、以下の式(IV)表される化合物であっても良い。
【0129】
上記一般式(IV)におけるR
41は、水素、ハロゲン、水酸基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルコキシ基のいずれか一つから選ばれる基である。
【0130】
前記R
41で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基を挙げることができる。
【0131】
前記R
41で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基としては、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ジブテニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、及び2-メチル−2−プロペニル基を挙げることができる。
【0132】
前記R
41で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ジブチニル基、及び1-メチル−2−プロピニル基を挙げることができる。
【0133】
前記直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、及び直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0134】
前記R
41で表される、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルコキシ基としては、前述の置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基が酸素原子を介して結合する基を挙げることができる。
【0135】
前記R
41としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは水素、フッ素、塩素、メチル基、エチル基、ビニル基、エチニル基、メトキシ基、及びエトキシ基であり、より好ましくは水素、フッ素、エチル基、及びメトキシ基であり、さらに好ましくは水素、フッ素、及びメトキシ基である。
【0136】
上記一般式(IV)におけるR
42は、水素、ハロゲン、水酸基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルコキシ基のいずれか一つから選ばれる基であり、具体的には、前述のR
41と同様の基を挙げることができる。
【0137】
上記一般式(IV)におけるR
43は、水素、ハロゲン、水酸基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルコキシ基のいずれか一つから選ばれる基であり、具体的には、前述のR
41と同様の基を挙げることができる。
【0138】
上記一般式(IV)におけるR
44は、水素、カルボキシル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、及び置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリール基のいずれか一つから選ばれる基である。
【0139】
前記R
44で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基を挙げることができる。これらアルキル基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、カルボキシル基若しくはそのエステル誘導体、シアノ基、脂環式基、含窒素複素環基等を挙げることができる。
【0140】
前記R
44で表される、炭素数6〜10のアリール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、これらアリール基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基が酸素原子を介して置換したアルコキシ基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基が硫黄原子を介して置換したスルフィド基等を挙げることができる。また前記アリール基は脂環式基、含窒素芳香族基、複素環基と縮環したものでもよい。
【0141】
前記R
44としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル基、エチル基、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、メチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、ナフチル基、及びカルボキシル基であり、より好ましくは水素、フッ素、メチル基、エチル基、フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、メチルチオフェニル基、エチルチオフェニル基、ナフチル基、及びカルボキシル基であり、さらに好ましくは水素、フッ素、フェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、クロロフェニル基、メチルチオフェニル基、及びカルボキシル基である。
【0142】
上記一般式(IV)におけるR
45は、水素、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基のいずれか一つから選ばれる基である。
【0143】
前記R
45で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基を挙げることができる。
【0144】
前記R
45で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基としては、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ジブテニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、及び2-メチル−2−プロペニル基を挙げることができる。
【0145】
前記R
45で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ジブチニル基、及び1-メチル−2−プロピニル基を挙げることができる。
【0146】
前記直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0147】
前記R
45としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは水素、メチル基、エチル基、ビニル基、及びエチニル基であり、より好ましくは水素、メチル基、及びエチル基である。
また、前記R
45は、R
46及び結合した窒素原子と一緒に置換若しくは非置換の含窒素複素環となってもよい。
【0148】
上記一般式(IV)におけるR
46は、水素、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、置換若しくは非置換の炭素数5〜10のアリール基、並びに置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基及び置換若しくは非置換の炭素数5〜10のアリール基からなるアリールアルキル基のいずれか一つから選ばれる基である。
【0149】
前記R
46で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基を挙げることができる。
【0150】
前記R
46で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基としては、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ジブテニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、及び2-メチル−2−プロペニル基を挙げることができる。
【0151】
前記R
46で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ジブチニル基、及び1-メチル−2−プロピニル基を挙げることができる。
【0152】
前記直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、及びカルボキシル基等を挙げることができる。
【0153】
前記R
46で表される、炭素数5〜10のアリール基としては、具体的には、フェニル基、ピリジル基、ナフチル基等が挙げられ、これらアリール基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基が酸素原子を介して置換したアルコキシ基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基が硫黄原子を介して置換したスルフィド基等を挙げることができる。また前記アリール基は脂環式基、含窒素芳香族基、複素環基と縮環したものでもよい。
【0154】
前記R
46で表される、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基及び置換若しくは非置換の炭素数5〜10のアリール基からなるアリールアルキル基とは、前述の置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基に前述の置換若しくは非置換の炭素数5〜10のアリール基が置換した基である。
【0155】
前記R
46としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、フェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジフルオロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジブロモフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n−プロピルフェニル基、イソプロピルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェニルメチル基、フルオロフェニルメチル基、クロロフェニルメチル基、ブロモフェニルメチル基、メトキシフェニルメチル基、エトキシフェニルメチル基、n-プロピルフェニルメチル基、イソプロピルフェニルメチル基、ピリジル基、ピリジルメチル基、及びカルボキシルメチル基であり、より好ましくは、水素、メチル基、エチル基、フェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェニルメチル基、フルオロフェニルメチル基、クロロフェニルメチル基、ブロモフェニルメチル基、メトキシフェニルメチル基、エトキシフェニルメチル基、ピリジル基、及びピリジルメチル基であり、さらに好ましくは、水素、メチル基、エチル基、フェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、エチルフェニル基、メトキシフェニル基、フェニルメチル基、フルオロフェニルメチル基、メトキシフェニルメチル基、及びピリジルメチル基である。
また、前記R
46は、R
45及び結合した窒素原子と一緒に置換若しくは非置換の含窒素複素環となってもよい。
【0156】
前記R
45及びR
46が結合した窒素原子と一緒に構成する含窒素複素環としては、具体的には、ピロリジン、ピラゾリジン、イミダゾリジン、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピペリジン、ヘキサヒドロピリダジン、ヘキサヒドロピリミジン、ピペラジン、ヘキサヒドロトリアジン、オキサジナン、モルホリン、チアジナン、チオモルホリン、インドール、イソインドール、ピロロピリジン、プリン等を挙げることができる。これら含窒素複素環は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、前記直鎖若しくは分枝の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖若しくは分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、直鎖若しくは分枝の炭素数2〜6のアルキニル基、置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリール基、カルボキシル基、及びそのエステル誘導体若しくはアミド誘導体、又はシアノ基、アミノ基等を挙げることができる。また、前記含窒素複素環はさらに含窒素複素環で置換されていてもよい。
【0157】
前記R
45及びR
46が結合した窒素原子と一緒に構成する含窒素複素環としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくはピロリジン、イミダゾリジン、ピロール、イミダゾール、ピペリジン、4位に置換基を有するピペリジン、ピペラジン、4位に置換基を有するピペラジン、及びモルホリンであり、より好ましくはピロリジン、イミダゾール、ピペリジン、4位が置換又は非置換の炭素数1〜6のアルキル基で置換されたピペリジン、4位が前記含窒素複素環で置換されたピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、4−アシルピペラジン、4位が置換又は非置換の炭素数1〜6のアルキル基で置換されたピペラジン、4位が置換又は非置換のフェニル基で置換されたピペラジン、及びモルホリンであり、さらに好ましくは、ピロリジン、ピペリジン、4−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、4−(ピペリジン−1−イル)ピペリジン、4−[4−(4−メチルピペラジン−1−イル)−ピペリジン−1−イル]ピペリジン、4−ヒドロキシピペリジン、4−アセチルピペラジン、4−ベンゾイルピペラジン、4−メチルピペラジン、4−エチルピペラジン、4−n−プロピルピペラジン、4−イソプロピルピペラジン、4−(2−メトキシエチル)ピペラジン、4−ジフェニルメチルピペラジン、4−ジ(4−フルオロフェニル)ピペラジン、4−フェニルピペラジン、4−(2−フルオロフェニル)ピペラジン、及びモルホリンである。
【0158】
上記一般式(IV)で表される化合物は、前述条件を満たす化合物であればいかなる化合物であっても構わないが、具体的には以下の化合物(IV−1)〜(IV−4)を挙げることができる。
【0160】
上記一般式(II)におけるR
21は、水素、置換若しくは非置換の炭素数6〜10のアリール基又は置換若しくは非置換の炭素数6〜10の重水素化アリール基である。これらアリール基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができ、重水素化アリール基とは、前記フェニル基、ナフチル基等の炭素上の1又は2以上の水素が重水素に置換したものである。これらアリール基及び重水素化アリール基の置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルコキシ基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニルオキシ基等を挙げることができる。これらの置換基は、さらに1又は2以上の重水素、ハロゲン、水酸基等で置換されていてもよい。
【0161】
前記R
21としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは、水素、フェニル基、ペンタ重水素化フェニル基、p−トリル基、1-ナフチル基、及び2-ナフチル基であり、より好ましくは水素、フェニル基、及びペンタ重水素化フェニル基であり、最も好ましくは水素及びフェニル基である。
【0162】
上記一般式(II)におけるR
22は、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4の重水素化アルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルキニル基のいずれか一つから選ばれる基である。
【0163】
前記R
22で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基を挙げることができる。
【0164】
前記R
22で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基としては、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ジブテニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、及び2-メチル−2−プロペニル基を挙げることができる。
【0165】
前記R
22で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ジブチニル基、及び1-メチル−2−プロピニル基を挙げることができる。
【0166】
前記R
22で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜4の重水素化アルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルケニル基、及び直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルキニル基としては、前記直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、及び直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基の炭素上の1又は2以上の水素が重水素に置換したものを挙げることができる。
【0167】
前記直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数1〜4の重水素化アルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルキニル基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0168】
前記R
22としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは、具体的には、メチル基、トリ重水素化メチル基、エチル基、ペンタ重水素化エチル基、ビニル基、及びエチニル基であり、より好ましくはメチル基及びトリ重水素化メチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0169】
上記一般式(II)におけるR
23は、水素、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4の重水素化アルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルキニル基のいずれか一つから選ばれる基である。
【0170】
前記R
23で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基を挙げることができる。
【0171】
前記R
23で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ジブテニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、及び2-メチル−2−プロペニル基を挙げることができる。
【0172】
前記R
23で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ジブチニル基、及び1-メチル−2−プロピニル基を挙げることができる。
【0173】
前記R
23で表される、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4の重水素化アルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルケニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルキニル基としては、前記直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、及び直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基の炭素上の1又は2以上の水素が重水素に置換したものを挙げることができる。
【0174】
前記置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4の重水素化アルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルキニル基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基等を挙げることができる。
【0175】
前記R
23としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは、水素、メチル基、トリ重水素化メチル基、エチル基、ペンタ重水素化エチル基、ビニル基、及びエチニル基であり、より好ましくは水素、メチル基、及びトリ重水素化メチル基であり、最も好ましくは水素及びメチル基である。
【0176】
上記一般式(II)におけるXはメチレン若しくは重水素化メチレンであり、重水素化メチレンとはメチレン炭素上の1又は2の水素が重水素に置換したものである。これらのうち、Xとしてはメチレンが好ましい。
【0177】
上記一般式(IV)で表される化合物は、前述条件を満たす化合物であればいかなる化合物であっても構わないが、具体的には以下の化合物(II−1)及び(II−2)を挙げることができる。
【化10】
【0178】
上記一般式(III)におけるR
31は、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4の重水素化アルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルキニル基、置換若しくは非置換の5〜6員環の複素環基、置換若しくは非置換の炭素数6〜10の芳香族基、置換若しくは非置換の炭素数2〜10の含窒素芳香族基、スルホン酸基、及びスルホニル基のいずれか一つから選ばれる基である。
【0179】
前記R
31で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基を挙げることができる。
【0180】
前記R
31で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基としては、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ジブテニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、及び2-メチル−2−プロペニル基を挙げることができる。
【0181】
前記R
31で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ジブチニル基、及び1-メチル−2−プロピニル基を挙げることができる。
【0182】
前記直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、及び直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、カルボキシル基、フェニル基、ピリジル基、5〜6員環の複素環基等を挙げることができる。これら置換基は、さらに前述の直鎖又は分枝の1〜4のアルキル基、置換又は非置換のアミノ基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4アシル基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4スルホニル基等で置換されていてもよい。
【0183】
前記R
31で表される、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4の重水素化アルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルケニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4の重水素化アルキニル基としては、前記置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基の炭素上の1又は2以上の水素が重水素に置換したものを挙げることができる。
【0184】
前記R
31で表される5〜6員環の複素環基としては、具体的には、ピロリジニル基、ピロリル基、テトラヒドロフラニル基、フラニル基、テトラヒドロチオフェニル基、チオフェニル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、イミダゾリニル基、ピペリジニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、ピぺラジニル基、モルホリノ基、チアジニル基、チオキサニル基等を挙げることができる。
【0185】
前記複素環基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、前述の直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、前述の直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数2〜4のアルキニル基、スルホニル基等で置換されていてもよい。これら含窒素複素環基は環内の1又は2の炭素がカルボニル化されていてもよく、1又は2のベンゼン環と縮環していてもよい。前記カルボニル化とは、CH
2がC=Oに置き換わることを言う。
【0186】
前記R
31で表される炭素数6〜10の芳香族基としては、具体的には、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。これら芳香族基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、ニトロ基、アミノカルボニル基、アセチル基、シアノ基等を挙げることができる。
【0187】
前記R
31で表される炭素数2〜10の含窒素芳香族基としては、具体的には、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、イソチアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ピロロピリジニル基、ピロロピラジニル基、プリニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、シノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基等を挙げることができる。
【0188】
前記炭素数2〜10の含窒素芳香族基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、ニトロ基、アミノカルボニル基、アセチル基、シアノ基等を挙げることができる。
【0189】
前記R
31で表されるスルホニル基としては、具体的には、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、エタンスルホニル基、ブタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、メシチレンスルホニル基、ナフタレンスルホニル基、カンファースルホニル基等を挙げることができる。
【0190】
前記スルホニル基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、ニトロ基、シアノ基等を挙げることができる。
【0191】
前記R
31としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは、メチル基、エチル基、ビニル基、エチニル基、イソプロピル基、イソプロぺニル基、トリ重水素化メチル基、ペンタ重水素化エチル基、ヘプタ重水素化イソプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサ重水素化イソプロピル基、トリフルオロメチル基、ベンジル基、ヒドロキシベンジル基、ピリジルメチル基、ピロリジニルメチル基、ピペリジニルメチル基、モルホリノメチル基、ピペラジニルメチル基、(N−メチル−ピペラジニル)メチル基、アセトアミドメチル基、2−ピロリジニルエチル基、2−ピペリジニルエチル基、2−モルホリノエチル基、2−ピペラジニルエチル基、2−(N−メチル−ピペラジニル)エチル基、2−アセトアミドエチル基、ピロリジニル基、ピペリジル基、ヒドロキシピペリジル基、N−メチルピペリジル基、N−アセチルピペリジル基、N−メチルスルホニルピペリジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、フェニル基、トリル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシルフェニル基、アミノカルボニルフェニル基、ピリジル基、及びスルホニル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、イソプロピル基、トリ重水素化メチル基、トリフルオロメチル基、ヒドロキシベンジル基、ピリジルメチル基、2−ピロリジニルエチル基、2−ピペリジニルエチル基、2−モルホリノエチル基、2−ピペラジニルエチル基、2−(N−メチル−ピペラジニル)エチル基、アセトアミドメチル基、2−アセトアミドエチル基、ピロリジニル基、ピペリジル基、ヒドロキシピペリジル基、N−メチルピペリジル基、N−アセチルピペリジル基、N−メチルスルホニルピペリジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、カルボキシルフェニル基、アミノカルボニルフェニル基、及びピリジル基、スルホニル基であり、最も好ましくはメチル基である。
【0192】
上記一般式(III)におけるR
32は水素、ヒドロキシメチル基又は炭素上の水素が重水素に置換されたヒドロキシメチル基である。このうち、R
32としてはヒドロキシメチル基が好ましい。
【0193】
上記一般式(III)におけるR
33は置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基、重水素化された前記アルキル基、前記アルケニル基、前記アルキニル基、及び置換若しくは非置換の炭素数3〜6の脂環式基のいずれか一つから選ばれる基である。
【0194】
前記R
33で表される、直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、1-メチルブチル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、3−ペンチル基、n−ヘキシル基等を挙げることができる。
【0195】
前記R
33で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基としては、具体的には、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、イソプロぺニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、1,3−ブタンジエニル基、1-エチルビニル基、1-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−1−プロペニル基、2-メチル−2−プロペニル基、ペンテニル基、ペンタジエニル基、ヘキセニル基、ヘキサジエニル基、ヘキサトリエニル基等を挙げることができる。
【0196】
前記R
33で表される、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基としては、具体的には、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、1,3−ブタンジイニル基、1-メチル−2−プロピニル基、ペンチニル基、ペンタジイニル基、ヘキシニル基、ヘキサジイニル基、ヘキサトリイニル基等を挙げることができる。
【0197】
前記直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、及び直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基は置換されていてもよく、置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキルオキシ基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニルオキシ基、シアノ基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のスルホニル基等を挙げることができる。
【0198】
前記R
33で表される、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜6の重水素化アルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6の重水素化アルケニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6の重水素化アルキニル基としては、前記置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数1〜6のアルキル基、置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルケニル基、及び置換若しくは非置換の直鎖又は分枝の炭素数2〜6のアルキニル基の炭素上の1又は2以上の水素が重水素に置換したものを挙げることができる。
【0199】
前記R
33で表される、炭素数3〜6の脂環式基としては、具体的には、シクロプロピル基、シクロプロペニル基、シクロブチル基、シクロブテニル基、シクロブタジエニル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基等を挙げることができる。
【0200】
前記脂環式基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキルオキシ基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニルオキシ基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニルオキシ基、シアノ基、直鎖又は分枝の炭素数1〜4スルホニル基等を挙げることができる。
【0201】
前記R
31としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは、メチル基、エチル基、ビニル基、エチニル基、イソプロピル基、イソプロぺニル基、n-ブチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘプタ重水素化イソプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサ重水素化イソプロピル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2-メトキシ−2−プロピル基、2−メタンスルホニル−2−プロピル基、2-メトキシ−2−ブチル基、及び2−メタンスルホニル−2−ブチル基であり、より好ましくはイソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ヘプタ重水素化イソプロピル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサ重水素化イソプロピル基、2-メトキシ−2−プロピル基、及び2−メタンスルホニル−2−プロピル基であり、最も好ましくはイソプロピル基である。
【0202】
上記一般式(III)におけるR
34は水素、ヒドロキシメチル基又は炭素上の水素が重水素に置換されたヒドロキシメチル基である。このうち、R
34としては水素が好ましい。
【0203】
上記一般式(III)におけるR
35は水素、水酸基、置換若しくは非置換の5〜6員環の含窒素複素環基、及び置換若しくは非置換の炭素数2〜10の含窒素芳香族基のいずれか一つから選ばれる基である。
【0204】
前記R
35で表される5〜6員環の含窒素複素環基としては、具体的には、ピロリジニル基、ピラゾリジニル基、イミダゾリジニル基、イソオキサゾリジニル基、オキサゾリジニル基、イソチアゾリジニル基、チアゾリジニル基、ピペリジニル基、ヘキサヒドロピリダジニル基、ヘキサヒドロピリミジニル基、ピペラジニル基、ヘキサヒドロトリアジニル基、オキサジナニル基、チアジナニル基、モルホリノ基、チオモルホリノ基等を挙げることができる。
【0205】
前記5〜6員環の含窒素複素環基は環内の1又は2の炭素がカルボニル化されていてもよく、複素環に含まれる1又は2以上の窒素原子若しくは硫黄原子が酸化されていてもよい。カルボニル化とは、CH
2がC=Oに置き換わることを言う。硫黄原子が酸化される場合、該硫黄原子は1又は2の酸素で酸化され得る。また、これら含窒素複素環基は1又は2のベンゼン環と縮環していてもよい。これら含窒素複素環基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、アセチル基、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のスルホニル基等で置換されていてもよい。
【0206】
前記R
35で表される炭素数2〜10の含窒素芳香族基としては、具体的には、ピロリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、イソチアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ピロロピリジニル基、ピロロピラジニル基、プリニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、シノリニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基等を挙げることができる。
【0207】
前記炭素数2〜10の含窒素芳香族基は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、水酸基、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のアルキル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルケニル基、直鎖又は分枝の炭素数2〜4のアルキニル基、アセチル基、直鎖又は分枝の炭素数1〜4のスルホニル基等で置換されていてもよい。
【0208】
前記R
35としては、前述のいかなる基であっても構わないが、好ましくは、水素、水酸基、ピロリジニル基、ヒドロキシピロリジニル基、フルオロピロリジニル基、ジフルオロピロリジニル基、オキソピロリジニル基、オキサゾリジニル基、オキソオキサゾリジニル基、イソチアゾリル基、ジオキソイソチアゾリル基、ピラゾリジニル基、メチルピラゾリジニル基、ピラゾリジニル基、メチルオキソピラゾリジニル基、ピペリジニル基、オキソピペリジニル基、ピペラジニル基、メチルピペラジニル基、アセチルピペラジニル基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、ピリジニル基、オキサジアゾリル基、メチルオキサジアゾリル基、及びチアゾリル基であり、より好ましくは水素、水酸基、ヒドロキシピロリジニル基、フルオロピロリジニル基、ジフルオロピロリジニル基、オキソピロリジニル基、オキソオキサゾリジニル基、ジオキソイソチアゾリル基、ピラゾリジニル基、メチルピラゾリジニル基、ピラゾリジニル基、メチルオキソピラゾリジニル基、オキソピペリジニル基、メチルピペラジニル基、アセチルピペラジニル基、モルホリノ基、チオモルホリノ基、ピリジニル基、メチルオキサジアゾリル基、及びチアゾリル基であり、最も好ましくは水素である。
【0209】
上記一般式(III)におけるR
36は水素、水酸基、及びハロゲンのいずれか一つから選ばれる基である。前記ハロゲンとしてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができる。R
16として好ましい基は、水素である。
【0210】
上記一般式(III)におけるYはメチレン、重水素化メチレン、及びヒドロキシメチレンのいずれか一つから選ばれる。重水素化メチレンとはメチレン上の1又は2の水素が重水素と置換したものであり、ヒドロキシメチレンとはメチレン上の1の水素が水酸基と置換したものである。Yとしては、メチレンが最も好ましい。
【0211】
上記一般式(III)で表される化合物は、前述条件を満たす化合物であればいかなる化合物であっても構わないが、具体的には以下の化合物(III−1)を挙げることができる。
【0213】
上記一般式(I)〜(IV)から選択される化合物が不斉炭素原子及び軸不斉に係わる不斉点をもつとき、かかる化合物は、考えられ得るすべての光学異性体を含み、それら光学異性体は任意の比で使用することができる。例えば、ある光学活性化合物は、エナンチオマーでもラセミでも任意の割合のエナンチオマー混合物でも使用することができ、不斉点が複数存在するときは、任意の割合のジアステレオマー混合物で使用してもよい。
【0214】
また、上記一般式(I)〜(IV)から選択される化合物が二重結合をもつとき、かかる化合物は、考えられ得るすべての構造異性体を含み、それら構造異性体は任意の割合の混合物で使用することができる。
【0215】
上記一般式(I)〜(IV)の薬理学的に許容される塩としては、酸付加塩、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン付加塩等を挙げることができる。酸付加塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の各無機酸塩、及び、有機酸としてのカルボン酸類、スルホン酸類、及びアミノ酸類等を挙げることができる。金属塩としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等の各アルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等の各アルカリ土類金属塩、アルミニウム、亜鉛等の各金属塩が、アンモニウム塩としては、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等の各塩が、有機アミン塩としては、トリエチルアミン、ピペリジン、モルホリン、トルイジン等の各塩を挙げることができる。
【0216】
前記、カルボン酸類としては、特に置換若しくは非置換の炭素数1〜6のアルキルカルボン酸、及び置換若しくは非置換の炭素数4〜8のジカルボン酸を挙げることができる。置換若しくは非置換の炭素数1〜6のアルキルカルボン酸としては、具体的には蟻酸、酢酸、プロピオン酸、イソプロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、乳酸、グリコール酸、レブリン酸、オキサヘキサン酸等を挙げることができる。これらアルキルカルボン酸は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、シアノ基、ニトロ基、芳香族等を挙げることができる。特に芳香族置換されたプロピオン酸が好ましく用いられる。置換若しくは非置換の炭素数4〜8のジカルボン酸としては、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、オキソグルタル酸、アジピン酸、オキソアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シュウ酸、フタル酸、テレフタル酸等を挙げることができる。これらジカルボン酸は置換されていてもよく、置換基としてはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン、シアノ基、ニトロ基等を挙げることができる。カルボン酸類として好ましいものは、最も好適には、酢酸、レブリン酸、乳酸、
フルルビプロフェン、ケトプロフェン、シュウ酸、フマル酸、及びマレイン酸である。
【0217】
前記スルホン酸類としては、特に炭素数1〜10のスルホン酸が挙げられ、具体的にはメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホニン酸、ブタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸等が挙げられ、好適にはメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、エタンスルホン酸であり、最も好適にはメタンスルホン酸である。
【0218】
上記有機アミン、カルボン酸類、スルホン酸類、及びアミノ酸類が不斉炭素原子をもつとき、かかる化合物は、考えられ得るすべての光学異性体を含み、それら光学異性体は任意の比で使用することができる。例えば、ある光学活性化合物は、エナンチオマーでもラセミでも任意の割合のエナンチオマー混合物でも使用することができ、不斉点が複数存在するときは、任意の割合のジアステレオマー混合物で使用してもよい。
【0219】
本発明の2型糖尿病治療剤として使用される化合物(I)〜(IV)の製造法の例について、以下に説明するが、これらの製造法に限定されるものではなく、また、市販品として入手可能な化合物もある。
【0220】
上記一般式(I)及び(IV)で示される化合物は、マンニッヒ反応を用いて合成することができる。下式に示すように、アセトフェノン誘導体、ケトン又はアルデヒド、ピペリジン誘導体をマンニッヒ反応条件下で反応させることにより、マンニッヒ縮合物を得ることができる。このとき、触媒として、プロリン等を用いることで、一般式(I)及び(IV)で示される化合物をエナンチオ選択的に合成することも可能である。
【0222】
得られたマンニッヒ縮合物のカルボニルに対して、求核剤を作用することでR
4を導入し、同時に生じた水酸基をメシル化、又はハロゲン等の脱離基へと変換した後にS
N2反応によりR
5を導入し、一般式(I)及び(IV)で示される化合物を得ることができる。
【0224】
具体的には、以下の式で示されるように4-エチルフェニルエチルケトン、ホルムアルデヒド及びピペリジンを出発原料とし、式(I−1)で表される化合物を合成することができる。
【0226】
また、上記一般式(I)で示される化合物は、R
8及びR
9が、それらが結合した炭素と一緒にカルボニル基となっているときは、ケイヒ酸誘導体を出発物質として、R
10及びR
11を有するアミンとアミドを形成した後に、R
5をマイケル反応により導入し、その後にエノールエーテルを求核剤とする求電子反応によりR
7を導入することもできる。
【0228】
上記一般式(II)で示される化合物は、例えば、アミノ基が保護された3-アミノプロパノールを出発物質として合成することができる。ここで保護基(PG)としては、tert−ブトキシカルボニル(Boc)基、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)基等の炭酸アミド系の保護基や、ベンジル(Bz)基や4-メトキシベンジル(PMB)基等のベンジル系の保護基、フタルイミド等を用いることができる。R
21が水素である場合は、アミノ基が保護された3-アミノプロパノールを後述の光延反応に供することができる。また、R
21が水素でない場合は、アミノ基が保護された3-アミノプロパノールのアルコール部分をアルデヒドへと酸化し、その後R
21を導入する。酸化条件としては、いかなる条件を用いても構わないが、例えば、Sweren酸化やSO
3ピリジン酸化等のジメチルスルホキシドを利用する酸化反応や、ヨードソベンゼン二酢酸やDess−Martinぺルヨージナン等の超原子価ヨウ素を用いた酸化反応、又はTEMPO酸化等を利用することができる。得られたアルデヒドに対して、R
21を求核反応させることで、R
21を導入した二級アルコールを合成することができる。具体的な反応としては、R
21−ハロゲン化合物を、有機リチウム試薬を用いてハロゲン−リチウム交換を行いR
1アニオンを生成した後にアルデヒドと反応させる方法や、R
21−ハロゲン化合物をGrignard試薬へと変換し後にアルデヒドと反応させる方法を挙げることができる。また、野崎−桧山−岸(NHK)反応を用いても目的のR
21を導入した二級アルコールを合成することができる。特に、エナンチオ選択的に二級アルコールを合成する際には、不斉NHK反応を利用することが好ましい。こうして得た二級アルコール又は前述のアミノ基が保護された3-アミノプロパノールとフェノール誘導体とを光延反応によりカップリングすることで式(II)で表される化合物の基本骨格をえることができる。この後、アミノ基の保護基を適切な方法で、例えばBoc基及びCbz基であれば酸性条件で、Bz基及び4-メトキシベンジルPMB基は0価パラジウムを触媒とした水素添加反応により、フタルイミドであればヒドラジンを加えることによって除去した後に、アミノ基上にR
22を導入し、式(II)で表される化合物を合成できる。
【0230】
具体的には、以下の式で示されるようにN−tert−ブトキシカルボニル−3−アミノプロパノールを出発原料とし、式(II−1)で表される3-フェニル−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)−N−メチルプロピルアミンを合成することができる。
【0232】
また、マンニッヒ反応を利用して式(II)で表される化合物を合成することもできる。マンニッヒ反応によって得たカルボニル化合物を還元し二級アルコールに導いた後に、上記と同様の方法で式(II)で表される化合物を得ることができる。また、還元反応に野依反応等の不斉還元反応を用いることで、式(II)で表される化合物のエナンチオマーを得ることもできる。
【0234】
上記一般式(III)で示される化合物は、特開2006−1927号公報に記載の方法を参考に合成できる。例えば、2,4−ジフルオロ−5-ヨード安息香酸の酸塩化物を出発物質として合成することができる。この酸塩化物を塩基条件下でたとえば、2−N,N−ジメチルアミノアクリル酸エチルのような2−N,N−ジアルキルアミノアクリル酸エステルと反応させ、続いて第1級アミンを添加し、アミンの交換反応を行った。次いで塩基を作用させることで、一般式(III)で示される化合物の右側セグメントの4−キノリノン骨格を構築した。ついでこの右側セグメントと左側セグメントを根岸カップリングにより連結し、一般式(III)で示される化合物の骨格を構築した。この時、左側セグメント由来の亜鉛試薬は、対応するベンジルブロマイド誘導体とRieke亜鉛等の活性化した亜鉛から調製することができる。その後、カルボン酸部分を加水分解し、続いてアルコキシドアニオンを求核剤としたS
Nアリール反応を行うことで、一般式(III)で示される化合物を合成することができる。
【0236】
具体的には、以下の式で示されるように塩化2,4−ジフルオロ−5-ヨード安息香酸を出発原料とすることで、式(III−1)で表される化合物を合成することができる。
【0238】
本発明の化合物を合成するためには、化合物の構造に即して、適宜保護基を用いることができる。このような保護基については、Green&Wuts, “PROTECTIVE GROUPS in ORGANIC SYNTHESIS” 3
rded.John Wiley&Sons, Inc.を参照し、用いることができる。
【0239】
また、一般式(I)〜(III)で表される化合物の一部は、市販品として入手することもできる。
【0240】
本発明における「Cdkal1遺伝子が変異する」とは、Cdkal1遺伝子のDNAあるいはRNAの1つもしくは複数のヌクレオチドが別の塩基に置換する、Cdkal1遺伝子のDNAあるいはRNAに1つもしくは複数のヌクレオチドが挿入する、又はCdkal1遺伝子のDNAあるいはRNAの1つもしくは複数のヌクレオチドが欠失することを意味する。これらヌクレオチドの置換、挿入、あるいは欠失は、Cdkal1遺伝子のDNAあるいはRNAの複数の箇所で起こってもよく、異なる変異が同時に起こってもよい。
【0241】
本発明の2型糖尿病の治療剤、特にCdkal1遺伝子が変異することによりインスリン分泌能が低下した2型糖尿病の治療剤や、治療キット、あるいは、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化剤や、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化キットに、さらに、各種スルホニル尿素薬、各種フェニルアラニン誘導体、各種ビグアナイド系薬、各種α−グルコシダーゼ阻害薬、各種チアゾリン誘導体、各種GLP−1受容体作動薬等の糖尿病治療薬の1種又は2種以上を組み合わせて併用することができる。本発明の2型糖尿病の治療剤や、治療キット、あるいは、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化剤や、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化キットは、これら既存の糖尿病治療薬とは作用メカニズムが異なるため、2型糖尿病の治療剤との組合せを用いると、相加的な、場合によっては相乗的な効果が期待できる。
【0242】
本発明の2型糖尿病の治療剤、特にCdkal1遺伝子が変異することによりインスリン分泌能が低下した2型糖尿病の治療剤や、治療キットの各成分や、治療学的薬剤の組合せの各成分、あるいは、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化剤や、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化キットの各成分の投与経路としては、舌下投与も含む経口投与、あるいは、点鼻投与、吸入投与、点滴を含む静脈内投与、パップ剤等による経皮投与、座薬、又は経鼻胃管、経鼻腸管、胃漏チューブ若しくは腸漏チューブを用いる強制的経腸栄養法による投与等の非経口投与などを挙げることができる。なお、治療学的薬剤の組合せにおける2型糖尿病の治療剤の投与経路は、各薬剤において既に認められている投与経路を採用することが好ましい。
【0243】
本発明の2型糖尿病の治療剤、特にCdkal1遺伝子が変異することによりインスリン分泌能が低下した2型糖尿病の治療剤や、治療キットの各成分の剤形、あるいは、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化剤や、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化キットの各成分の剤形としては、上記投与経路に応じて適宜決定することができるが、注射剤、点鼻剤、点滴剤、錠剤、カプセル剤、細粒剤、散在、液剤、シロップ等に溶解した水剤、パップ剤、座剤等を挙げることができる。本発明の2型糖尿病の治療剤治療剤や、治療キットの各成分、あるいは、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化剤や、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化キットの各成分は医薬用途の他、錠剤やカプセル剤のサプリメントの形態とすることもできる。また特に、嚥下することが困難な高齢者等には、口中において速やかな崩壊性を示す崩壊錠の形態や、経鼻胃管投与に適した液剤の形態が好ましい。
【0244】
本発明の2型糖尿病の治療剤、特にCdkal1遺伝子が変異することによりインスリン分泌能が低下した2型糖尿病の治療剤や、治療キット、あるいは、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化剤や、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化キットを調製するために、必要に応じて、薬理学的に許容し得る担体、賦形剤、希釈剤、添加剤、崩壊剤、結合剤、被覆剤、潤滑剤、滑走剤、滑沢剤、風味剤、甘味剤、可溶化剤、溶剤、ゲル化剤、栄養剤等を添加することができ、具体的には、水、生理食塩水、動物性脂肪及び油、植物油、乳糖、デンプン、ゼラチン、結晶性セルロース、ガム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、グリセリンを例示することができる。
【0245】
本発明の2型糖尿病の治療剤、特にCdkal1遺伝子が変異することによりインスリン分泌能が低下した2型糖尿病の治療剤や、治療キット、あるいは、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化剤や、プロインスリンからインスリンへの変換の活性化キットは、ヒトの他、家畜・家禽類やペットなど獣医分野でも使用することができる。かかる治療剤等の投与の量・頻度・期間としては、対象がヒトの場合、2型糖尿病患者の年齢、体重、症状等により異なるが、一般式(I)〜(III)で表される化合物又はそれらの医薬的に許容される塩の投与量としては、それぞれの化合物換算で、成人一人当たり、0.01mmol〜25mmol/日、好ましくは0.025mmol〜7.5mmol/日、より好ましくは0.075mmol〜5.5mmol/日、さらに好ましくは0.2mmol〜2mmol/日、中でも0.45mmol〜1.3mmol/日を挙げることができ、投与頻度としては、一日一回〜複数回の投与又は点滴等による連続的投与を例示することができる。投与期間は、当該技術分野の薬理学者や臨床医が既知の方法により決定することもできるが、その際に血糖値や血中インスリン量を指標にすることもできる。
【0246】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【0247】
[化合物の合成]
本願明細書に記載されている化合物は、公知の方法で調製することもでき、又市販品を用いることもできる。化合物(I−1)〜(I−61)、(II−1)、(II−2)、及び(III−1)は、ナミキ商事(東京、日本)から購入した。
以下に、新規化合物である化合物(IV−1)〜(IV−4)の合成例を示す。
【0248】
[製造例1]
化合物(IV−1)の合成
【0250】
3−クロロ−1−フェニル−1−プロパノン(253mg,1.5mmol)のアセトン(20mL)に、無水炭酸カリウム(414mg,3mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。その後、反応溶液に4−ピペリジノピペリジン(1.5mmol)のアセトン溶液(10mL)を加え、45〜47℃に加熱し、20時間反応を行った。反応の完結を薄層クロマトグラフィーで確認した後に、減圧下で溶媒を留去し、残渣に水(20ml)を加えた。水層を酢酸エチル(50mL)で3回抽出し、有機層を水、食塩水で洗浄した後に無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、減圧下で溶媒を留去し、目的化合物を77%で淡黄色の固体として得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ2.24−2.33(m,5H),2.50−2.61(m,10H),2.82−2.92(m,2H),3.16−3.26(m,2H),7.44−7.62(m,3H),7.94−8.03(m,2H)
MS(TOF Mass):m/z calcd for C
19H
28N
2O(M+1)301.22;found:301.23.
【0251】
[製造例2]
化合物(IV−2)の合成
【0253】
製造例1における4−ピペリジノピペリジンに代えて、1−メチル−4−[1−(4−ピペリジル)−4−ピペリジル]ピペラジンを用い、化合物(IV−2)を収率79%で白色個体として得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ1.59−1.63(m,5H),1.76−1.86(m,4H),2.03(t,J=12Hz,2H),2.27(s,3H),2.47−2.62(m,11H),2.80(t,J=12Hz,3H),2.90(t,15Hz,3H),3.19(t,J=13Hz,2H),7.47(t,J=8.0Hz,2H),7.57(t,J=7.2Hz,1H),7.96(d,J=7.3Hz,2H)
MS(TOF Mass):m/z calcd for C
24H
38N
4O(M+1)399.31;found:399.31.
【0254】
[製造例3]
化合物(IV−3)の合成
【0256】
製造例1における4−ピペリジノピペリジンに代えて、1−(2−メトキシエチル)ピペラジンを用い、化合物(IV−3)を収率86%で黄色油状物として得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ2.12−2.15(m,10H),2.81−2.83(m,2H),3.30(s,3H),3.45−3.50(m,2H),7.31−7.48(m,2H)
MS(TOF Mass):m/z calcd for C
16H
24N
2O
2(M+1)277.19;found:277.18.
【0257】
[製造例4]
化合物(IV−4)の合成
【0259】
製造例1における4−ピペリジノピペリジンに代えて、1−[ビス(4−フルオロフェニル)メチル]ピペラジンを用い、化合物(IV−4)を収率73%で白色個体として得た。
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δ2.41−2.55(m,10H),2.82−2.88(m,2H),3.16−3.22(m,2H),4.21(s,1H),6.92−7.01(m,4H),7.31−7.38(m,2H),7.42−7.58(m,4H),7.92−7.98(m,2H)
MS(TOF Mass):m/z calcd for C
26H
26F
2N
2O(M+1)421.20;found:421.23.
【実施例1】
【0260】
[一次スクリーニング]
(1)プラスミドpACYCDuet-1-Pheの作製
作製したプラスミドpACYCDuet-1-Phe(配列番号1)のベクターマップを
図1左に示す。NNNには、フェニルアラニンコドンであるTTTを設計した。正常の読み枠に従って翻訳すると、TTTの直後に終止コドンであるTAAが出現し、Firefly luciferaseが翻訳されない。一方、TTTにおいて誤翻訳が生じTをひとつ読み飛ばすと、終止コドンを回避し、Firefly luciferaseが正しく翻訳されるようになる。すなわち、翻訳の正確性が高いほど、Firefly luciferaseの蛍光強度は下がることとなる。
一方、対照として、同プラスミドにRenilla luciferaseもクローニングした。
【0261】
プラスミドpACYCDuet-1(Novagen社製)に、Firefly luciferaseの塩基配列(配列番号2)、Renilla luciferaseの塩基配列(配列番号3)、及び誤翻訳を検出する配列(配列番号4)を導入し、pACYCDuet-1-Phe(配列番号1)を作製した。得られたpACYCDuet-1-Pheを大腸菌DH5α(タカラバイオ社製)に形質転換させ、大量培養を行った後に、Plasmid Maxi prep kit(Qiagen社製)を用いてプラスミドを抽出、精製した。
得られたpACYCDuet-1-Pheは、ABI Prism 310 genetic analysis(Applied Biosystems社製)を用いて塩基配列を確認した。
【0262】
(2)Dual Luciferase Assay
pACYCDuet-1-Pheを導入した大腸菌を培地100mLを用いて、37℃、一晩培養した。OD
550=0.4〜1に達していることを確認した後、培地を1mLずつ分注し、低分子化合物を最終濃度10μMになるように添加した。1時間振とう培養した後、大腸菌を回収し、10mM Tris−HCl(pH7.4)、1mM 塩化マグネシウム、0.1mg/mL lysozyme(和光純薬社製)に懸濁し溶解した。
Firefly luciferase及びRenilla luciferaseの活性は、Dual-Lucifierase Reporter Assay System(Promega社製)を用いて測定した。溶解した大腸菌液5μLに対して、Firefly luciferase用測定液を50μL加え測定した後、Renilla luciferase用測定液を50μL加え測定した。対照として、DMSOのみを添加した大腸菌溶解液を用意した。
下記式を用いて、Firefly luciferaseの発光強度をRenilla luciferaseに対して補正した。これら一連の実験手法を図解したのが
図1である。
【0263】
相対発光強度=Firefly luciferase/Renilla luciferase
相対翻訳精度=相対発光強度(DMSOのみ添加時)/相対発光強度(化合物添加時)
【0264】
一次スクリーニングにより、得られた化合物の翻訳精度に対する影響を検討した結果を
図2に示した。グラフの下に示す表の上段は、上記式により補正した相対発光強度の値である。ここでは、数値が1より小さければ、翻訳精度が向上したことを意味する。下段の値は、一次スクリーニングに用いた累計化合物数である。
【0265】
既存の糖尿病治療薬であるジャヌビア(Januvia)(MSD社製)、グリベンクラミド(Glibenclamide)(和光純薬社製)、アカルボース(Acarbose)(Sigma社製)、及びメトホルミン(Metformin)(和光純薬社製)を、上記スクリーニング法を用いてスクリーニングした結果を
図3に示した。縦軸は、コントロールを1とした、相対翻訳精度を示している。コントロールと比較し、既存の糖尿病治療薬には、有意に翻訳精度を改善するものは存在しないことが示された。
【0266】
エペリゾン(化合物I−1)を、上記スクリーニング法を用いてスクリーニングした結果を
図4に示した。縦軸は、コントロールを1とした、相対翻訳精度を示している。コントロールと比較し、フルオキセチンは翻訳精度を約1.5倍向上させることが示された。
【0267】
フルオキセチン(化合物II−1)を、上記スクリーニング法を用いてスクリーニングした結果を
図5に示した。縦軸は、コントロールを1とした、相対翻訳精度を示している。コントロールと比較し、フルオキセチンは翻訳精度を約1.5倍向上させることが示された。
【0268】
エルビテグラビア(化合物III−1)を、上記スクリーニング法を用いてスクリーニングした結果を
図6に示した。縦軸は、コントロールを1とした、相対翻訳精度を示している。コントロールと比較し、エルビテグラビアは翻訳精度を約8倍向上させることが示された。
【0269】
エペリゾン及びフルオキセチンに共通する骨格をもとに改変を行った低分子化合物である式I−2、I−3、I−4、I−5、及びI−6で表される化合物を、上記スクリーニング法を用いてスクリーニングした結果を
図7に示した。縦軸は、コントロールを1とした、相対翻訳精度を示している。コントロールと比較し、5つの低分子化合物のすべてが翻訳精度を1.5倍以上向上させることが示された。
【実施例2】
【0270】
[二次スクリーニング]
(1)ランゲルハンス島の調整
文献(Gotoh M., et al. Transplantion, 1987, 43(5), p725-730)に従い、膵臓β細胞特異的Cdkal1欠損マウス(非特許文献11参照)よりランゲルハンス島を単離した。マウスをエーテル麻酔下で開胸し、總胆管を剥離してコラゲナーゼ溶液(320U/mL、シグマ社製)をゆっくり注入し、膨らんだ膵臓を摘出した。コラゲナーゼを含んだ膵臓を37℃のウォーターバスにて30分間消化した後、ピペットで分散し、Ficoll溶液(Amersham Pharmacia社製)の濃度勾配を用いてランゲルハンス島を単離した。ランゲルハンス島を、95%O
2および5%CO
2の混合ガスで飽和させたリンガー液(119mM 塩化ナトリウム、4.74mM 塩化カリウム、1.19mM リン酸二水素一ナトリウム、25mM 炭酸水素ナトリウム、10mM HEPES、2.54mM 塩化カルシウム、1.19mM 塩化マグネシウム、0.2% BSA)中、37℃に保ちながら30分インキュベーションした。
【0271】
(2)グルコース刺激によるインスリン分泌実験
一次スクリーニングにて陽性を示した低分子化合物をそれぞれDMSOに溶解し、終濃度10mMとなるように、グルコースを含むリンガー液に添加したリンガー液を準備した。対照として、DMSOのみを添加したリンガー液を準備した。
単離したマウスランゲルハンス島をまず、低濃度(2.8mM)グルコースリンガー液で30分培養した。その後リンガー液を、低分子化合物を含む低濃度グルコースリンガー液と交換した。30分後リンガー液を回収し、続いて、低分子化合物を含む高濃度(16.7mM)グルコースリンガー液を加えた。30分後、リンガー液を回収した。リンガー液中に放出されたインスリン量は、インスリン検出キット(レビス インスリン−マウス(Sタイプ)、シバヤギ社製)を用いて、該キットのプロトコールにしたがって検出した。
【0272】
スルホニル尿素薬に分類される2型糖尿病治療薬であるグリベンクラミドと、一次スクリーニングにて陽性を示したエペリゾンとを、上記スクリーニング法を用いてスクリーニングした結果を
図8に示した。縦軸は、高濃度グルコース刺激下におけるグリベンクラミドのインスリン分泌量を1とした、相対インスリン分泌量を示している。エペリゾンは、高濃度グルコース刺激下においてのみインスリンの分泌を促進していることが示された。また、高濃度グルコース刺激下において、グリベンクラミドよりもエペリゾンの方が、インスリン分泌をより促進させることが示された。
【0273】
フルオキセチンに対し、上記スクリーニング法を用いてスクリーニングした結果を
図9に示した。縦軸は、リンガー液中に分泌されたインスリンの濃度を示している。フルオキセチンは、低濃度グルコース刺激下において、有意にインスリン分泌を向上させることが示された。
【実施例3】
【0274】
[三次スクリーニング]
膵臓β細胞特異的Cdkal1欠損マウス、及び野生型マウスを一晩絶食させた後、1mg/kgとなるようにエペリゾンを経腹注射した。対照として、膵臓β細胞特異的Cdkal1欠損マウス、及び野生型マウスに生理食塩水を経腹注射した個体をそれぞれ用意した。30分後、全てのマウスに対し、グルコースを1g/kgとなるように経腹注射した。グルコース投与直後から15分置きに5μLずつ採血を行い、Accu-Check AVIVA Nano(Roche社製)を用いてマウス血中の血糖値を測定した。検定は、repeated measure of two-way ANOVAにより行った。
【0275】
エペリゾンに対し、上記スクリーニング法を用いてスクリーニングした結果を
図10に示した。縦軸は血中のグルコース濃度、横軸はグルコース投与後の経過時間を示している。エペリゾンを投与した膵臓β細胞特異的Cdkal1欠損マウスでは、生理食塩水投与群と比べ血糖値が有意に低下することが示された。
【実施例4】
【0276】
[スクリーニングにて陽性を示した低分子化合物の長期投与による膵臓β細胞特異的Cdkal1欠損マウスの対糖能改善]
膵臓β細胞特異的Cdkal1欠損マウスに対し、1日1回、14日間に渡り、1mg/kgとなるように、上記スクリーニングにて陽性を示した低分子化合物を経腹注射した。対照として、DMSOを含む生理食塩水を注射したCdkal1欠損マウスを用意した。最後に低分子化合物を投与してから36時間後に、全てのマウスに対し、グルコースを1g/kgとなるように経腹注射した。グルコース投与直後から15分置きに5μLずつ尾静脈から採血を行い、Accu-Check AVIVA Nano(Roche社製)を用いてマウス血中の血糖値を測定した。検定は、repeated measure of two-way ANOVAにより行った。
【0277】
エペリゾンに対し、上記スクリーニング法を用いてスクリーニングした結果を
図11に示した。縦軸は血中のグルコース濃度、横軸はグルコース投与後の経過時間を示している。エペリゾンを投与した膵臓β細胞特異的Cdkal1欠損マウスでは、DMSOを投与した群と比べ血糖値が有意に低下することが示された。
【0278】
フルオキセチンに対し、上記スクリーニング法を用いてスクリーニングした結果を
図12に示した。縦軸は血中のグルコース濃度、横軸はグルコース投与後の経過時間を示している。フルオキセチンを投与した膵臓β細胞特異的Cdkal1欠損マウスでは、DMSOを投与した群と比べ血糖値が有意に低下することが示された。