特許第6540508号(P6540508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6540508
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】面光源装置用ユニットおよび面光源装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/08 20060101AFI20190628BHJP
   G02F 1/13357 20060101ALI20190628BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20190628BHJP
   G09F 13/04 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   G02B5/08 A
   G02F1/13357
   F21S2/00 481
   G09F13/04 D
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-532239(P2015-532239)
(86)(22)【出願日】2015年3月24日
(86)【国際出願番号】JP2015058853
(87)【国際公開番号】WO2015146959
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2018年1月11日
(31)【優先権主張番号】特願2014-65355(P2014-65355)
(32)【優先日】2014年3月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】若原 隆一
(72)【発明者】
【氏名】河田 融司
(72)【発明者】
【氏名】田中 正太郎
【審査官】 大隈 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−231128(JP,A)
【文献】 特開2003−139926(JP,A)
【文献】 特開2008−58670(JP,A)
【文献】 特開2005−181825(JP,A)
【文献】 特開2012−174634(JP,A)
【文献】 特開2009−42421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/08〜5/136
F21S 2/00
G02F 1/13357
G09F 13/04
G09F 13/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を反射する下側反射シートおよび上側反射シートを有する面光源装置用ユニットであって、
前記上側反射シートは前記下側反射シートに対向し、
前記上側反射シートは光源からの光を反射する反射部と光源からの光を透過させる透過部とを有し、反射部の透過黄色度(YI)が30以下であり、全光線透過率が1.2%以上であり、
前記下側反射シートの反射部における波長400〜700nmにおける平均反射率が100%以上である面光源装置用ユニット。
【請求項2】
前記上側反射シートの透過部が貫通孔である、請求項1に記載の面光源装置用ユニット。
【請求項3】
前記上側反射シートの反射部の全光線透過率が10%以下である、請求項1または2に記載の面光源装置用ユニット。
【請求項4】
前記上側反射シートの反射部の中心線平均粗さRaが100nm以下である、請求項1〜3いずれかに記載の面光源装置用ユニット。
【請求項5】
前記上側反射シートが、内部に気泡を含有する層(B層)の両面に前記B層を支持するための層(A層)が積層された反射フィルムに透過部を設けたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の面光源装置用ユニット。
【請求項6】
前記上側反射シートのA層が粒子を含有する、請求項5に記載の面光源装置用ユニット。
【請求項7】
請求項1〜6いずれかに記載の面光源装置用ユニット、および光源を有し、光源の背面に下側反射シートが存在し、下側反射シートに対向して上側反射シートが存在する面光源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイのバックライト(LCDバックライト)、照明用看板、自動車、車両等の表示装置に用いられる面光源装置に使用される反射シートおよび面光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイのバックライトユニットに用いられる面光源装置は、光源の背面に反射シートが設けられた構成が一般的である。そしてこの面光源装置を用いたバックライトユニットは、面光源装置の反射シートに対向する位置に光拡散フィルム等の光学シートが配置された構成が一般的に知られている。これらの面光源装置にはLED(発光ダイオード)光源が一般に用いられるが、このLED光源には光の指向性を強めるためのレンズが付設されていることからコスト増の要因となっていた。
【0003】
近年、LED光源をそのまま用いた面光源装置が提案されている。この面光源装置は光源の背面(面光源装置が光を出す方向とは逆の方向にある側)に反射シート(下側反射シート)が設けられ、前記光源および下側反射シートに対向して、光源から出射された光を反射させる反射部と、光を透過させる透過部とを有する上側反射シートが配置された構成になっている(特許文献1〜3)。
【0004】
上記特許文献1〜3では、上側反射シートとして、反射シートに光を透過させる複数の透過孔(開口部)からなる開口パターンを設けることにより光反射領域(反射部)と光透過領域(透過部)とが形成された反射シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−27886号公報
【特許文献2】特開2009−4248号公報
【特許文献3】特開2010−272245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
面光源装置に用いられる反射シートは、現実的には反射シート自体の光透過率を0%にすることは、構成や材料コスト等の関係で困難であり、一般的には幾らかの光透過(例えば光透過率が0.5〜20%程度)を有している。従来の面光源装置における反射シート(光源の背面に配置される反射シート)の場合は、反射シートを透過する光は使用されないので反射シートの透過色は考慮されることはなかった。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1〜3で提案されているような面光源装置では、上側反射シートの光透過領域(透過部)を透過する光が面光源装置の主要光となるが、発光色むらが発生しやすかった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、面光源装置の光源に対向配置される上側反射シートにおいて発光色むらが抑制された上側反射シートおよびこの反射シートを用いた面光源装置などを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は以下の構成からなる。
(1)面光源装置の光源に対向して配置される上側反射シートであって、該反射シートは光源からの光を反射する反射部と光源からの光を透過させる透過部とを有し、反射部の透過黄色度(YI)が50以下、特に好ましくは30以下である、上側反射シート。
(1’)さらに反射部の全光線反射率が1.2%以上である前記上側反射シート。
【0010】
そして本発明の好ましい態様として、ここでは以下のものを開示する。
(2)前記透過部が貫通孔である、前記上側反射シート。
(3)前記反射部の全光線透過率が0.5〜10%である、前記いずれかの上側反射シート。
(4)前記反射部の中心線平均粗さRaが100nm以下である、前記いずれかの上側反射シート。
(5)前記反射シートが、内部に気泡を含有する層(B層)の両面に前記B層を支持するための層(A層)が積層された反射フィルムに透過部を設けたものである、前記いずれかに記載の反射シート。
(6)A層が粒子を含有する、前記反射シート。
【0011】
そして本発明の反射シートの好ましい使用方法として、ここでは以下のものを開示する。
(7)光を反射する下側反射シート、および前記下側反射シートに対向し、前記いずれかの反上側反射シートである上面反射シートを有する面光源装置用ユニット。
(7’)光を反射する下側反射シートおよび前記いずれかの上側反射シートを有する面光源装置用ユニットであって、
前記上側反射シートは前記下側反射シートに対向し、
前記下側反射シートの反射部における波長400〜700nmにおける平均反射率が100%以上である面光源装置用ユニット。
(8)光源、光を反射する下側反射シート、および前記いずれかの上側反射シートを有する面光源装置であって、光源の背面に下側反射シートが存在し、下側反射シートに対向して上側反射シートが存在する面光源装置。
(8’)前記面光源装置用ユニット、および光源を有し、光源の背面に下側反射シートが存在し、下側反射シートに対向して上側反射シートが存在する面光源装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の反射シート、面光源装置用反射ユニットおよび面光源装置を用いることにより、面光源装置の発光色むらを抑制することができる。本発明の好ましい態様によれば、明るさが均一な面光源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明の反射シートが用いられる面光源装置の一例を示す断面模式図である。
図2図2は本発明の上側反射シートの一例を示す平面模式図である。
図3図3図2の断面模式図である。
図4図4は本発明の上側反射シートの他の態様を示す平面模式図である。
図5】実施例に用いられる簡易的面光源装置の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の反射シートが用いられる面光源装置の一例を図1に示す。図1は面光源装置の主要部を示す断面模式図である。この面光源装置は、例えば液晶ディスプレイのバックライトユニットに用いられるものである。
【0015】
図1において、面光源装置11では、ケーシング5内に、光源1、光を反射する下側反射シート2、光を反射する上側反射シート3、および光を反射する側面反射シート4が配置されている。下側反射シート2は光源1の背面に配置され、上側反射シート3は光源1に対して対向する位置に配置されている。下側反射シート2と上側反射シート3は、ほぼ全面が等間隔となるように平行に配置されている。下側反射シート2は側面反射シート4と一体成形されていてもよいし、別々の反射シートがそれぞれ配置されていてもよい。光源としては、LED(発光ダイオード)等の点光源が好ましく用いられる。
【0016】
ここで、上側反射シート3として本発明の上側反射シートが用いられる。以下の説明において、上側反射シートという用語は本発明の反射シートとして用いることがある。
【0017】
上側反射シート3は、光源から出射された光を反射させる反射部6と光源1から出射された光を透過させる透過部7とを有する。透過部7は、例えば図2および図4に示すように複数の開口部で構成することができる。開口部は貫通操作により得られる貫通孔がよい。図2および図4において、透過部7以外の領域が反射部である。
【0018】
光源1から出射された光(反射部6を透過する光を除く)の大部分もしくは全部は、面光源装置11内に配置された反射シート(下側反射シート2、上側反射シート3、および側面反射シート4)で反射されて、または下側反射シートと上側反射シートとの間で反射を繰り返しながら、上側反射シート3の透過部7を透過して上方に出射する。
【0019】
光源1から出射された光の一部は直接上側反射シート3の透過部7を透過するようにしてもよい。
【0020】
光源1から出射されて上側反射シート3の反射部6で反射された光は、下側反射シート2や側面反射シート4で反射されて、またはこれらの反射シート間で反射を繰り返しながら、上側反射シート3の透過部7を透過して上方に出射する。一方、上側反射シート3の反射部6に当たった光の一部は反射部6を透過して上方に出射する。つまり、上側反射シート3の透過部7を透過する光が面光源装置から出射する光の主要な光となるが、反射部6を透過する光もその一部を構成する。
【0021】
このような面光源装置において、光源に対向配置される上側反射シート3の透過光の黄色度(YI:イエローインデックス)が大きくなると、発光色むらを引き起こすことが判明した。そこで、上側反射シートの反射部における透過黄色度(YI)を低くすることにより、上記課題が解決することを見出し本発明に至った。
【0022】
本発明の上側反射シートの反射部における透過黄色度(YI)は、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、35以下がさらに好ましく、30以下が特に好ましい。反射部における透過黄色度(YI)は小さいほど好ましいが、現実的な下限は1程度である。
【0023】
本発明の反射シートの透過黄色度(YI)は、反射部を構成する材料、組成、厚み等によって変わってくるので、これらを調整することによって透過黄色度(YI)を制御することができる。詳細は後述する。
【0024】
本発明の上側反射シートの反射部は、幾らかの光透過を有する。具体的には、上側反射シートにおける反射部の全光線透過率は0.5〜20%程度が一般的であるが、本発明の上側反射シートの全光線透過率は0.5〜10%が好ましい。上述の面光源装置に適用する場合、全光線透過率が高くなりすぎると発光色むらの抑制効果が低減する場合がある。したがって、本発明の上側反射シートの反射部における全光線透過率は、10%以下が好ましく、7%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。一方、反射部における全光線透過率の下限は、0.5%以上が好ましいが、反射シートを透過した光量や透過色に適度なグラデーションをつけるという観点から1.2%以上がより好ましく、1.5%以上がさらに好ましく、特に2.0%以上が好ましく、3.0%以上が最も好ましい。適度なグラデーションをつけることにより、発光色むらを低減することができる。
【0025】
本発明の上側反射シートの反射部における波長400〜700nmにおける平均反射率は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、100%以上が特に好ましい。平均反射率の上限は、150%程度である。上側反射シートの反射部における平均反射率が90%未満の場合には、バックライトユニットの輝度が不足する場合がある。
【0026】
ここで、反射率とは標準白色板に対する相対的な反射率である。標準白色板には(株)日立計測器サービス製の部品番号210−0740を用いることができる。
【0027】
本発明の上側反射シートの好ましい態様は、全面が反射部である反射部材の一部に貫通孔を設け開口部とし、それを透過部としたものである。言い換えると、本発明の上側反射シートの好ましい態様は、透過部以外は反射部となる。
【0028】
本発明の上側反射シートは、反射部と透過部とを有し、反射部の透過黄色度(YI)が特定値以下であれば、反射シートを構成する材料や組成は特に限定されない。
【0029】
また、本発明の上側反射シートの好ましい態様としては、上記したように全面が反射部である反射部材に開口部を設け、その開口部を透過部としたものが挙げられる。かかる反射部材として反射フィルムが好ましく用いられる。
【0030】
以下に、本発明の上側反射シートとして好ましく用いられる反射フィルムについて詳細に説明する。
【0031】
反射フィルムとしては、内部に気泡を含有する層(以下、B層という。)の少なくとも一方の面に、上記B層を支持するための層(以下、A層という。)が積層しているものが挙げられる。この態様において、A層はB層の片面のみに積層していてもよいし、2層のA層(以下、それぞれをA1層、A2層という。)をB層の両面に積層していてもよい。つまり、A層/B層の2層構成、A1層/B層/A2層の3層構成が挙げられる。これらの中でも、良好な加工性(透過部の形成)を確保するという観点および高い剛性を得るという観点から、A1層/B層/A2層の3層構成が好ましい。ここで、A1層とA2層は同一組成や同一の厚みであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0032】
これらの反射フィルムに透過部を形成して得られた反射シートは、A層の面が光源に対向するように配置される。つまり、A層/B層の2層構成の場合はA層の面が光源に対向配置されて反射部となり、A1層/B層/A2層の3層構成の場合はA1層またはA2層の面が光源に対向配置されて反射部となる。
【0033】
上記のように3層構成において、A1層とA2層は全く同一の組成で構成されていてもよいし、異なる組成で構成されていてもよいが、反射フィルムの生産性の観点から、A1層とA2層は全く同一の組成であることが好ましい。以下の説明において、A1層とA2層とを合わせて「A層」と称することがあり、「A層」なる表現には、2層構成の場合のA層、ならびに3層構成の場合のA1層およびA2層が含まれる。また、以下の説明においてA層が含有する各種材料の量は、2層構成の場合はA層、3層構成の場合はA1層およびA2層のいずれか一層当たりの量を指す。
【0034】
A層はB層を支持する機能を有し、更に後述するように反射部の中心線平均粗さRaを100nm以下に調整する機能を有することが好ましい。A層にこれらの機能を付与するという観点から、A層は樹脂を主な成分とする層であることが好ましい。ここで、A層が「樹脂を主な成分とする層」であるとは、A層の固形分総量100質量%に対して樹脂を50質量%以上含有することを意味する。更にA層は、樹脂を60質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することがより好ましく、特に80質量%以上含有することが好ましい。上限は99質量%程度である。
【0035】
A層を構成する樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましい。かかるポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましい。また、このポリエステル樹脂の中には、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤などが添加されていてもよい。A層を構成するポリエステル樹脂の含有量は、A層を構成する樹脂総量に対して50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、特に70質量%以上が好ましい。上限は99質量%程度である。
【0036】
A層は粒子を含有することが好ましい。A層に粒子を含有させることによって反射フィルムに適度なすべり性を付与することができる。反射フィルムにすべり性が付与されることによりハンドリング性や貫通孔を作成するための加工性が良好となる。
【0037】
A層に含有される粒子としては、有機粒子や無機粒子を挙げることができる。有機粒子としては、例えばポリエステル樹脂、ベンゾグアナミンのようなポリアミド系樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂からなる粒子、上記樹脂の2種以上の共重合体およびそれらの混合物からなる粒子が挙げられる。
【0038】
無機粒子としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、シリカ、アルミナ、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム等が挙げられる。
【0039】
上記した粒子の中でも無機粒子が好ましく、更に無機粒子の中でも、炭酸カルシウム、酸化チタン、硫酸バリウム、シリカが好ましく用いられる。
【0040】
粒子の平均粒子径は、0.05〜10μmの範囲が適当であり、0.1〜5μmの範囲が好ましく、0.2〜3μmの範囲がより好ましい。
【0041】
A層における粒子の含有量は、A層の固形分総量に対して0.005質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましい。上限の含有量は、A層の固形分総量に対して20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。粒子の含有量が0.005質量%未満では、良好なすべり性が得られない場合がある。一方、粒子の含有量が20質量%を超えると製膜性が低下する場合がある。
【0042】
前述したように、反射フィルムに透過部を形成して得られた反射シートは、A層の面が光源に対向するように配置される。つまり、2層構成の場合はA層の面が反射部となり、3層構成の場合はA1層またはA2層が反射部となる。
【0043】
本発明の反射シートにおける反射部は、その平滑性は高い方が好ましい。反射部の平滑性を高くすることにより、反射シートの反射部で反射される光の乱反射が抑制されるので、光源から遠く離れた領域の光量低下が抑制される。その結果、光源の真上部分と周辺部分の明るさが均一となる。
【0044】
反射部の平滑性は中心線平均粗さRaで表すことができる。本発明の反射シートにおける反射部の中心線平均粗さRaは、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、特に30nm以下が好ましい。
【0045】
一方、前述したように上側反射シートやその材料となる反射フィルムに適度なすべり性を付与するという観点からは、ある程度の凹凸を有していることが好ましく、反射部の中心線平均粗さRaは5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。
【0046】
このような平滑性を確保するために、反射部となるA層に含有させる粒子の平均粒子径や含有量を制御することが好ましい。つまり、反射部となるA層に含有される粒子の平均粒子径(D)は、A層の膜厚(T)より十分に小さいことが好ましい。粒子の平均粒子径(D)とA層の膜厚(T)の比率(D/T)は、0.7以下が好ましく、0.5以下がより好ましく、特に0.3以下が好ましい。
【0047】
一方、上側反射シートおよび反射フィルムに適度なすべり性を付与するという観点からは、ある程度の凹凸を有していることが好ましく、この観点から、反射部となるA層に含有させる粒子の平均粒子径(D)とA層の膜厚(T)の比率(D/T)は、0.01以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、特に0.05以上が好ましい。
【0048】
反射部となるA層に含有させる粒子の平均粒子径(D)は、上述の平滑性とすべり性を確保するという観点から、具体的には3μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、特に1μm以下が好ましい。また0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が特に好ましい。また、反射部となるA層に含有させる粒子の含有量は、A層の固形分総量100質量%に対して0.005〜10質量%の範囲が好ましく、0.01〜5質量%の範囲がより好ましく、特に0.02〜3質量%の範囲が好ましい。
【0049】
B層は層内部に気泡を含有することが好ましい。B層はフィルムであることが好ましく、多孔質の未延伸または二軸延伸ポリプロピレンフィルム、多孔質の未延伸あるいは延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましく用いられる。この内部に気泡を含有させるための方法は、例えば特開平8−262208号公報(対応するものとして、欧州特許出願公開第0724181号明細書)、特開2002−90515号公報(対応するものとして、欧州特許出願公開第1302788号明細書)、特開2002−138150号公報に詳細に開示されており、本発明に用いることができる。
【0050】
B層は、ポリプロピレン樹脂やポリエステル樹脂で構成されていることが好ましく、特にポリエステル樹脂で構成されていることが好ましい。B層を構成するポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましい。
【0051】
また、このポリエステル樹脂の中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤などが添加されていてもよい。B層を構成するポリエステル樹脂の含有量は、B層の固形分総量に対して50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、特に70質量%以上が好ましい。上限は95質量%程度である。
【0052】
B層における気泡の形成は、例えば、フィルム基材であるポリエステルフィルム中に、ポリエステル樹脂とは非相溶な樹脂を細かく分散させ、それを一軸または二軸の延伸することにより達成できる。
【0053】
B層は、B層を構成するポリエステル樹脂に非相溶な樹脂(以下、単に非相溶樹脂と略すこともある)を混合して、B層に含有させることが好ましい。非相溶樹脂を含有することにより、延伸時に非相溶樹脂を核として空洞が生まれ、樹脂と空洞との界面により光反射が起きる。ポリエステル樹脂に非相溶な樹脂としては、単独重合体であっても共重合体であってもよく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素樹脂などが好適に用いられる。これらは2種以上を併用してもよい。
【0054】
特にポリエステル樹脂との臨界表面張力差が大きく、延伸後の熱処理によって変形しにくい樹脂が好ましい。具体的には、ポリオレフィン系樹脂が好ましい。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、および、これらの共重合体を挙げることができる。これらの中でも特に環状オレフィン共重合体であるエチレンとビシクロアルケンの共重合体が好ましい。
【0055】
B層に含有させる非相溶樹脂の好ましい含有量は、B層の固形分総量に対して5質量%以上25質量%以下である。また、B層中に含有させる非相溶樹脂は、ポリエステル樹脂からなるマトリックス中に数平均粒子径が0.4μm以上3.0μm以下で分散していることが、適切な反射界面数やフィルム強度を得る上で好ましい。さらに非相溶樹脂の数平均粒子径は、0.5μm以上1.5μm以下の範囲であることが好ましい。
【0056】
B層には、更に有機粒子や無機粒子などの粒子を含有させることが好ましい。かかる粒子としては前述のA層に含有させることができる粒子と同様のものが挙げられる。これらの粒子の中でも、波長400〜700nmの可視光域において吸収の少ない炭酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタンの無機粒子が反射特性や隠蔽性、製造コスト等の観点で好ましい。本発明において、フィルムの巻き取り性、長時間の製膜安定性、反射特性向上の観点から、硫酸バリウム、二酸化チタンが最も好ましい。粒子の平均粒子径としては、0.1〜3μmの範囲が好ましく、このような無機粒子を使用することによって反射性や隠蔽性が向上する。
【0057】
B層における無機粒子の含有量は、良好な反射特性や隠蔽性を確保するという観点から、B層の固形分総量に対して0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、特に1質量%以上が好ましい。一方、このような無機粒子の含有量が多くなると、反射シートの透過黄色度(YI)が高くなる傾向にあるので、無機粒子の上限の含有量は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、特に3質量%以下が好ましい。
【0058】
B層には、更に共重合ポリエステルを含有することが好ましい。B層に共重合ポリエステルを含有させることにより、B層に比較的高濃度の無機粒子を含有させる場合であっても安定して製膜することができる。共重合ポリエステルは、B層中の非相溶樹脂の分散剤としての役割も有する。
【0059】
かかる共重合ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸との共重合体、ポリエチレンテレフタレートとシクロヘキサンジメタノールとの共重合体、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレンテレフタレートとの共重合体等が挙げられる。本発明では、これらの共重合ポリエステルからなる群の中から選ばれる少なくとも2種類を含有することが好ましい。
【0060】
反射フィルムが2層構成である場合の各層の厚み比率は、高い反射率を維持しながら、透過黄色度(YI)を低くするという観点から、A層:B層=2:98〜20:80の範囲が好ましく、更に、A層:B層=3:97〜10:90の範囲がより好ましい。
【0061】
また、A層の一層当たりの厚み(2層構成の場合はA層の厚みを意味し、3層構成の場合にはA1層およびA2層のそれぞれの厚みを意味する)は、B層を支持するという観点から、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、6μm以上が特に好ましい。上限の厚みは30μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下が特に好ましい。
【0062】
B層の厚みは、高い反射率を確保するという観点から50μm以上が好ましく、70μm以上がより好ましく、90μm以上が特に好ましい。上限の厚みは440μm以下が好ましく、350μm以下がより好ましく、300μm以下が特に好ましい。
【0063】
反射フィルムが3層構成である場合の各層の厚み比率は、高い反射率を維持しながら、透過黄色度(YI)を50以下に調整するという観点から、A1層:B層:A2層=1:98:1〜15:70:15の範囲が好ましく、更に、A1層:B層:A2層=2:96:2〜10:80:10の範囲がより好ましい。
【0064】
A層は、B層を支持するという観点から実質的に気泡を含有しない層であることが好ましい。実質的に気泡を含有しないとは、空隙率が10%未満である層状態をいう。A層の厚みは、断面を電子顕微鏡観察したときに表面から実質的に気泡が含有されていない断面方向深さまでの厚みとして求まり、実質的に気泡が含有されていない層の厚みをA層厚みとする。
【0065】
本発明の上側反射シート用途に使用される反射フィルムは、反射部となる面にはビーズ層は設けないことが好ましい。このビーズ層はバインダーと球状粒子を含有する塗布層によって形成され、反射フィルムに当たって反射した光を拡散させる役目がある。反射フィルムにビーズ層を設けた反射シートは、導光板タイプのバックライトユニットとして広く用いられているが、本発明の上側反射シートの反射部となる面には適用しないことが好ましい。一方、本発明の反射シートの反射部とは反対面に、本発明の目的・効果を阻害しない範囲でまたは反射シートのすべり性向上のために上記ビーズ層を適用することができる。
【0066】
反射部となる面にビーズ層が存在すると、その中心線平均粗さRaは通常500nm以上となり反射部の平滑性が低下し、その結果光源真上の中央部と周辺部の明るさが不均一となる場合がある。
【0067】
本発明の上側反射シートの厚みは、高い反射率を得るという観点および高い剛性を得るという観点から100μm以上が好ましく、150μm以上が好ましい。特に本発明の反射シートは透過部を有するため反射シート自体の剛性が低下する傾向にあるので、高い剛性を確保するという観点から、反射シートの厚みは大きい方が好ましい。
【0068】
一方、上側反射シートの厚みの上限は、透過部形成のための加工性、取り扱い性、生産性、コストの観点から、500μm以下が好ましく、350μm以下がより好ましい。
【0069】
本発明の上側反射シートは、反射部の透過黄色度(YI)が50以下、40以下がより好ましく、35以下がさらに好ましく、特に30以下であることが好ましい。上述した反射フィルムは、透過黄色度(YI)が大きくなる傾向にあるが、透過黄色度(YI)に影響を与えると考えられる、粒子の種類、粒子のサイズ、粒子の含有量、樹脂の種類や含有量、A層とB層の厚み比率等を調整することによって、反射部の透過黄色度(YI)が低くなるように制御することができる。
【0070】
例えば、無機粒子として用いられる酸化チタンや硫酸バリウムは透過黄色度(YI)を大きくする傾向にあるので、その含有量を調整することが好ましい。また、共重合ポリエステル樹脂も、共重合成分の種類にもよるが透過黄色度(YI)を大きくする傾向にあるので、その含有量を調整することが好ましい。また、B層はA層に比べて厚みが大きく、また通常は各種添加剤も多く含有することから、A層に比べて透過黄色度(YI)への影響が大きくなることが考えられるので、B層の厚みを調整することが好ましい。
【0071】
本発明の上側反射シートは、反射部と透過部とを有する。本発明の反射シートは、例えば、前述したように反射フィルムなどの反射部材に透過部(開口部)を設けることによって得ることができる。この開口部(貫通孔)は、レーザー加工や打ち抜き加工によって形成することができる。
【0072】
透過部は孔としていることが好ましく、その形状としては、円形、三角形、矩形、多角形(例えば5〜12角形)、および内部と外部とが一部でつながっている環状などが挙げられる。これらの中でも、楕円形、円形、矩形、多角形が好ましく、更に楕円形、円形がより好ましく、特に真円が好ましい。
【0073】
本発明の上側反射シートにおいて、透過部は独立した複数の開口部で構成されることが好ましい。本明細書において「透過部」は、個々の開口部を指す場合と、複数の開口部を含めた透過領域を指す場合とがある。
【0074】
本発明の上側反射シートにおける透過部は、複数の独立した開口部を特定パターンで配置することができる。透過部の開口パターンは、光源の1個当たりの光量や配置される光源の個数等によって適宜選択することができる。
【0075】
透過部の開口部の配置パターンとしては、特開2010−272245号公報の図3および図6のパターンが例示されるが、本発明はこれらのパターンに限定されない。これらのパターンは、点光源毎、あるいは隣接する複数の点光源を1ユニットとするユニット毎に配置することができる。
【0076】
以下、透過部の配置パターンがLEDなど光源毎に設けられた態様について説明する。この態様として、例えば、上側反射シートの光源の真上に位置する領域から周辺に遠ざかるにしたがい透過部から透過する光量が漸増するように透過部を配置する態様が挙げられる。
【0077】
LEDのような指向性のある光源は、中心位置から周辺に遠ざかるにしたがい光量が減少する傾向にある。したがって、上記のように上側反射シートの光源の真上に位置する領域から周辺に遠ざかるにしたがい透過部から透過する光量が漸増するように透過部を配置することによって、輝度むらが抑制された均一な光量を得ることができる。
【0078】
図2は、本発明の上側反射シートの一例を示す模式平面図(光源と開口パターンの位置関係を示す模式平面図)であり、図3図2の模式断面図である。上側反射シート3には、多数の透過部7が設けられている。そして、上側反射シート3の光源1の真上に位置する領域10から周辺に遠ざかるにしたがい透過部7(円形開口部)の1個当たりの開口面積が大きくなっている。つまり、図2の態様は、上側反射シートの光源の真上に位置する領域から周辺に遠ざかるにしたがい透過部から透過する光量が漸増するように、透過部が配置されている。
【0079】
図4は、本発明の上側反射シートの他の態様(他の開口パターン)を示す模式平面図である。図4の開口パターンも、図2と同様に上側反射シートの光源の真上に位置する領域から周辺に遠ざかるにしたがい透過部から透過する光量を漸増させるパターンである。図4は、1個当たりの開口面積がほぼ同一の透過部7を多数設けた態様であり、上側反射シート3の光源1の真上に位置する領域10から周辺に遠ざかるにしたがい透過部7の個数が多くなるように配置されている。
【0080】
図1に示すように、本発明の反射シートが上側反射シートとして用いられる面光源装置は、光源1の背面に下側反射シート2が配置されている。下側反射シート2と上側反射シート3は、それぞれの反射部が対向するように空間(空気層)を介して平行に配置されている。ここで、下側反射シート2の上側反射シート3に対向する面のほとんどが反射部である。但し、光源1を設置するところ、および光源1を接続するために必要なところは反射部である必要はない。
【0081】
本発明の上側反射シートは、発光色むらが抑制された以下の面光源装置用反射ユニットおよび面光源用装置を提供する。光を反射する下側反射シートおよび前記下側反射シートに対向した上述の反射シートからなる上側反射シートを有する面光源装置用ユニット。ならびに光源、光を反射する下側反射シートおよび上述の反射シートからなる上面反射シートを有する面光源装置であって、光源の背面に下側反射シートが存在し、下側反射シートに対向して上側反射シートが存在する面光源装置。
【0082】
下側反射シートは、上側反射シートと対向する面の全面が反射部であることが好ましい。但し、光源を設置あるいは接続するための開口部があってもよい。
【0083】
下側反射シートは、高い反射率を有していることが好ましい。本発明の面光源装置用反射ユニットおよび面光源装置は、上側反射シートと下側反射シートとの間で反射を繰り返しながら上側反射シートの透過部を透過して上方に出射する光も多く含まれている。したがって反射を繰り返す過程で光量が低下することはなるべく避けたい。
【0084】
したがって、下側反射シートの反射部における波長400〜700nmにおける平均反射率は、90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、100%以上が特に好ましい。上限の平均反射率は、150%程度である。下側反射シートの反射部における平均反射率が低い場合には、バックライトユニットの輝度が不足する場合がある。
【0085】
下側反射シートにおける反射部は、その平滑性は高い方が好ましい。下側反射シートの反射部の平滑性を高くすることにより、下側反射シートの反射部で反射される光の乱反射が抑制されるので、光源から遠く離れた領域の光量低下が抑制される。その結果、光源の真上部分と真上から離れた周辺部分の明るさが均一となる。すなわち明るさの均一性が向上することになる。
【0086】
下側反射シートの反射部の平滑性は中心線平均粗さRaで表すことができる。下側反射シートの反射部の中心線平均粗さRaは、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、特に30nm以下が好ましい。一方、下側反射シートに適度なすべり性を付与するという観点からは、ある程度の凹凸を有していることが好ましく、下側反射シートの反射部の中心線平均粗さRaは5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。
【0087】
下側反射シートの全光線透過率は、高い反射率を確保するという観点から0.5〜10%が好ましい。透過率の上限は10%以下が好ましく、7%以下がより好ましく、特に5%以下が好ましい。透過率の下限は、下側反射シートの材料コストや生産性の観点から、0.5%以上が好ましく、1.0%以上がより好ましく、更に1.2%以上が好ましく、特に1.5%以上が好ましい。
【0088】
下側反射シートは、前述の本発明の反射シートに用いることができる反射フィルムと同様のものを用いることができる。ただし透過部、すなわち開口部を設ける必要はない。つまり、内部に気泡を含有する層(B層)の少なくとも一方の面に、上記B層を支持するための層(A層)が積層されたものを用いることができる。この態様において、A層はB層の片面のみに積層されていてもよいし、B層の両面に積層されていてもよい。つまり、A層/B層の2層構成、A1層/B層/A2層の3層構成が挙げられる。これらの中でも、A1層/B層/A2層の3層構成が好ましい。ここで、A1層とA2層はA層であり、A1層とA2層は組成および厚みが同一である構成であってもよいし、組成または厚みが異なる構成であってもよい。
【0089】
下側反射シートとして上記の反射フィルムを用いる場合、A層の面が反射部となる。つまり、2層構成の反射フィルムではA層の面が反射部となり、3層構成の反射フィルムではA1層またはA2層の面が反射部となる。
【0090】
下側反射シートの反射部には、前述したビーズ層は前述した理由と同様な理由から積層しないことが好ましい。一方、下側反射シートの反射部とは反対面には、下側反射シートのすべり性を向上させるために上記ビーズ層を積層することができる。
【0091】
[用途]
本発明の反射シートおよび反射ユニットを用いた面光源装置は、液晶ディスプレイなどのバックライトユニット用途に好適である。図1の面光源装置の上側反射シート3の上方に、光拡散フィルムなどの光学シート(図示せず)を配置することによってバックライトユニットとすることができる。また、本発明の面光源装置用反射ユニットは照明装置、電子看板等に広く用いることができる。
【実施例】
【0092】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、本実施例における、測定方法、評価方法および使用材料を以下に示す。
【0093】
[測定方法および評価方法]
(1)透過黄色度(YI)の測定
分光光度計(島津製作所製UV−3150)で求めた透過スペクトルからJIS K7373(2006)にしたがってC光源(2度視野)での反射部の透過黄色度(YI)を算出した。なお、透過黄色度(YI)は反射シートのいずれの表面から測定しても同様の値となる。無作為に3箇所測定し、それらの平均値を透過黄色度(YI)とした。
【0094】
(2)全光線透過率の測定
JIS K7105(1981)に準じて、ヘイズメーター(スガ試験器製:IS−2B)を用いて反射部の全光線透過率を測定した。なお、光線入射面はA1層の面とした。無作為に3箇所について測定し、それらの平均値を全光線透過率とした。
【0095】
(3)平均反射率の測定
平均反射率は、分光光度計U−3410((株)日立製作所)にφ60積分球130−0632((株)日立製作所)および10℃傾斜スペーサーを取りつけた状態で、波長400〜700nmの範囲、10nm間隔で、標準白色板に対する相対的な反射率を測定し、それらの平均値を算出することで求めた。なお、標準白色板には(株)日立計測器サービス製の部品番号210−0740を用い、無作為に3箇所を測定し平均値を算出し、これらの平均反射率を採用した。なお、平均反射率はA1層面で測定した。
【0096】
(4)反射シートの総厚みの測定
反射シートの総厚みは、JIS C2151(2006)に準じてマイクロメーターで測定した。また、各層の厚みは、反射シートをミクロトームを用いて厚み方向に潰すことなく、幅方向(TD)に切断し、切片サンプルを作成し、得られた切片サンプルの断面を(株)日立製作所製走査型電子顕微鏡(FE−SEM)S−2100A形を用いて、3,000倍の倍率で撮像し、撮像から各層厚みを採寸した。無作為に3箇所について測定し、それらの平均値を層厚みとした。
【0097】
(5)中心線平均粗さRaの測定
JIS B0601(1982)に基づき、触針式表面粗さ測定器SE−3400((株)小坂研究所製)を用いて反射部の中心線平均粗さRaを測定した。無作為に選んだ3箇所を測定し、それらの平均値を中心線平均粗さRaとした。
【0098】
<測定条件>
送り速さ;0.5mm/s
評価長さ;8mm
カットオフ値λc:
Raが20nm以下の場合、λc=0.08mm
Raが20nmより大きく100nm以下の場合、λc=0.25mm
Raが100nmより大きく2,000nm以下の場合、λc=0.8mm
なお、上記測定条件で測定するに際し、まずカットオフ値λc=0.8mmで測定し、その結果、Raが100nmより大きい場合はそのRaを採用する。一方、上記測定の結果、Raが100nm以下の場合は、λc=0.25mmで再測定し、その結果、Raが20nmより大きい場合は、そのRaを採用する。一方、上記の再測定の結果、Raが20nm以下の場合は、λc=0.08mmで再測定し、そのRaを採用する。
【0099】
(6)A層(A1層および/またはA2層)に含有される粒子の平均粒子径の測定
反射シートの断面を電子顕微鏡で観察し、その断面写真から、A層に含有される粒子の平均粒子径を算出した。具体的には以下の測定により平均粒子径を算出した。
【0100】
反射シートを任意の位置で切断し、SEM(走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製の日立走査電子顕微鏡S−3400N))にて、断面を倍率1,000倍〜50,000倍にて観察した。なお倍率はA層に含有される粒子径に応じて適宜調整した。このようにして得られた断面写真から、無作為に30個の粒子を選択し、それぞれの粒子径を計測し、それらを平均した値を粒子の平均粒子径とした。
【0101】
ここで、粒子の粒径は、4辺に粒子が内接し面積が最も小さくなる正方形または長方形を描き、正方形の場合は1辺の長さ、長方形の場合は長辺の長さを採用した。この方法により、無作為に選んだ30個の粒子についてそれぞれの粒径を測定し、その数平均値を粒子の平均粒子径とした。
【0102】
なお、1画像中に粒子が30個観察されない場合は、さらに反射シートの異なる位置で切断した別の断面の画像を撮影し、合計30個の粒子の粒径を測定した。
【0103】
粒子径に応じた観察(撮影)倍率の目安は以下のとおりである。
(a)倍率1,000倍
観察に適した粒子の粒径:5μm以上10μm以下
(b)倍率5,000倍
観察に適した粒子の粒径:1μm以上5μm未満
(c)倍率10,000倍
観察に適した粒子の粒径:500nm以上1μm未満
(d)倍率20,000倍
観察に適した粒子の粒径:100nm以上500nm未満
(e)倍率50,000倍
観察に適した粒子の粒径:100nm未満。
【0104】
(7)面光源装置における発光色むらの官能評価
図5に示す簡易的な面光源装置を用いて、反射シート(上側反射シート)から通過および透過する光の発光色むらを目視で観察し、発光色むらの程度に応じて4段階(最良、良、やや良、不良)で評価した。1サンプルを作成し、その評価結果を採用した。
【0105】
<簡易的面光源装置>
図5の簡易的面光源装置は以下の構成である。上部開口面が、1辺長さ(L)が100mmの正方形で、深さ(H)が20mmのケーシングからなる。このケーシングの底面の中央部に1個のLED光源と下側反射シートが配置され、ケーシングの側面に下側反射シートと同じ反射シートが配置される。上部開口面を塞ぐように上側反射シートが配置されている。
【0106】
下側反射シートと側面の反射シートは実施例1で作製した反射フィルムを用いた。上側反射シートは各実施例で作製したそれぞれの反射シートを用いた。上側反射シートは、反射フィルムに直径が2mmの円形開口部が透過部として図4のパターンで設けらている。
【0107】
なお、下側反射シートおよび側面反射シートの反射面は反射シートがA層とB層の2層からなる場合はA層とし、A1層、B層、A2層の3層からなる場合は、A1層の面とし、上側反射シートの反射部についても同様にA層またはA1層の面とした。
【0108】
(8)明るさの均一性の官能評価
上記(7)と同様にして簡易的面光源装置を作製し、反射シート(上側反射シート)を介して通過および透過する光の明るさが上部開口面に相当する全領域(100mm×100mm)で、明るさが均一かどうかを目視で評価した。
最良:均一である。
良:中央部に比べて周辺部の明るさがやや低いが許容されるレベルである。
不良:中央部に比べて周辺部の明るさが明らかに低い。
1サンプルを作成し、その評価結果を採用した。
【0109】
[実施例1]
以下の要領で反射フィルムを作製し、この反射フィルムに透過部となる開口部を設けることによって本発明の反射シートを作製した。
【0110】
この反射フィルムは、A1層/B層/A2層の3層構成であり、A1層とA2層は同一組成である。各層の厚みは、A1層が8μm、B層が210μm、A2層が8μmであった。
【0111】
<反射フィルム>
<B層の組成>
重合後のポリエチレンテレフタレートの色調(JIS K7105(1981)、刺激値直読方法で測定)がL値62.8、b値0.5、ヘイズ0.2%であるポリエチレンテレフタレートを使用し、このポリエチレンテレフタレート84質量部(以下、このポリエチレンテレフタレートの添加量を添加量Xとする)、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコール(以下、PTMGと表記する)の共重合物(PBT/PTMG:商品名:東レ・デュポン(株)製、“ハイトレル”(登録商標))を0.5質量部、ジオール成分に対し1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、CHDMと表記する)が33mol%共重合された共重合ポリエチレンテレフタレート(33mol%PET/CHDM共重合)0.5質量部、ガラス転移温度が210℃であるシクロオレフィン系コポリマー(商品名:ポリプラスチックス(株)製“TOPAS”)5質量部、二酸化チタン含有マスターチップ(平均粒子径が0.25μmの二酸化チタンを50質量%含有するポリエチレンテレフタレートマスターチップ)10質量部(以下、このポリエチレンテレフタレートの添加量を添加量Yとする)を調製混合し、180℃で3時間乾燥させた後、270〜300℃に加熱された押出機Bに供給した。
【0112】
<A層(A1層およびA2層)の組成>
ポリエチレンテレフタレート77質量部と、二酸化珪素含有マスターチップ(平均粒子径が0.6μmの二酸化珪素を1質量%含有するポリエチレンテレフタレートマスターチップ)3質量部と、ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸を18mol%共重合したもの(以下、PET/Iと表記する)20質量部とを180℃で3時間減圧乾燥した後、280℃に加熱された押出機Aに供給した。
【0113】
<反射フィルムの製造>
上記のB層とA層の組成物(ポリマー)をA1層/B層/A2層となるように積層装置を通して積層し、Tダイよりシート状に成形した。さらにこのフィルムを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フィルムを85〜98℃に加熱したロール群に導き、長手方向に3.4倍延伸し、21℃のロール群で冷却した。続いて、長手方向に延伸したフィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き120℃に加熱された雰囲気中で長手方向に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後テンター内で190℃の熱固定を行い、続いて同温度にて幅方向に6%の弛緩処理を施し、その後均一に徐冷後、室温まで冷却し二軸延伸された積層フィルム(反射フィルム)を得た。その後、25℃にて24時間据置処理した後、オーブンにて150℃、20秒の条件で熱処理を加えた。
【0114】
<反射シートの作製>
上記で作製した反射フィルムに、多数の円形開口部(直径が2mmの円形貫通孔)を図4に示されているパターンで透過部を設けた。透過部は打ち抜き加工によって貫通孔を設けることで形成した。
【0115】
[実施例2〜4、6〜7]
B層組成を以下のように変更する以外は、実施例1と同様に反射フィルムを作製し、更に実施例1と同様にして反射シートを作製した。
【0116】
<B層組成>
B層組成における二酸化チタン含有マスターチップの添加量Yを表1に示す量とし、表1に示す透過黄色度(YI)を有する反射フィルムをそれぞれ作製した。上記以外のB層組成は実施例1と同じである。
【0117】
なお、B層組成におけるポリエチレンテレフタレートの添加量Xは、二酸化チタン含有マスターチップの添加量Yとの合計が94質量部となるように調整した。
【0118】
[実施例5]
A層組成を以下のように変更する以外は、実施例3と同様に反射フィルムを作製し、更に実施例3と同様に反射シートを作製した。
【0119】
<A層(A1層とA2層)の組成>
ポリエチレンテレフタレート72質量部と、二酸化珪素含有マスターチップ(平均粒子径が1.2μmの二酸化珪素を1質量%含有するポリエチレンテレフタレートマスターチップ)8質量部と、ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸を18mol%共重合したもの(PET/I)20質量部とを180℃で3時間減圧乾燥した後、280℃に加熱された押出機Aに供給した。
【0120】
[実施例8]
A層組成を以下のように変更する以外は、実施例6と同様に反射フィルムを作製し、更に実施例6と同様に反射シートを作製した。
【0121】
<A層(A1層とA2層)の組成>
ポリエチレンテレフタレート65質量部と、二酸化珪素含有マスターチップ(平均粒子径が3.5μmの二酸化珪素を6質量%含有するポリエチレンテレフタレートマスターチップ)15質量部と、ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸を18mol%共重合したもの(PET/I)20質量部とを180℃で3時間減圧乾燥した後、280℃に加熱された押出機Aに供給した。
【0122】
[評価]
上記の実施例で作製した反射シートについて、前述した測定および評価を行った。その結果を表1に示す。各実施例のうち本発明に含まれる上側反射シートは発光色むらが小さい。また明るさの均一性も良好である。
【0123】
【表1】
【符号の説明】
【0124】
1 光源
2 下側反射シート
3 上側反射シート
4 側面反射シート
5 ケーシング
6 上側反射シートの反射部
7 上側反射シートの透過部
10 上側反射シート3の光源1の真上に位置する領域
11 面光源装置
図1
図2
図3
図4
図5