(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両に設けられた複数のドアの解錠に係る操作を受付ける操作部を備え、該操作部にて前記操作を受付けた場合に操作信号を送信する携帯機と、該携帯機からの操作信号を受信した場合、受信した操作信号に基づいて前記複数のドアの解錠に係る制御を行う車載制御装置とを備える車両ドア解錠システムであって、
前記車載制御装置は、
前記携帯機を検出する検出部
を備え、
前記検出部が前記携帯機を検出することなく前記携帯機からの操作信号を受信した場合、前記車両が備える複数のドアのうちの特定のドアのみを解錠する
ことを特徴とする車両ドア解錠システム。
車両に設けられた複数のドアの解錠に係る操作を受付けた場合に操作信号を送信する携帯機と通信可能であり、該携帯機からの操作信号を受信した場合、受信した操作信号に基づいて前記複数のドアの解錠に係る制御を行う車載制御装置であって、
前記携帯機を検出する検出部
を備え、
前記検出部が前記携帯機を検出することなく前記携帯機からの操作信号を受信した場合、前記車両が備える複数のドアのうちの特定のドアのみを解錠する
ことを特徴とする車載制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施態様を列記して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0012】
本願の一態様に係る車両ドア解錠システムは、車両に設けられた複数のドアの解錠に係る操作を受付ける操作部を備え、該操作部にて前記操作を受付けた場合に操作信号を送信する携帯機と、該携帯機からの操作信号を受信した場合、受信した操作信号に基づいて前記複数のドアの解錠に係る制御を行う車載制御装置とを備える車両ドア解錠システムであって、前記車載制御装置は、前記携帯機を検出する検出部を備え、前記検出部が前記携帯機を検出することなく前記携帯機からの操作信号を受信した場合、前記車両が備える複数のドアのうちの特定のドアのみを解錠する。
【0013】
上記一態様にあっては、車両から離隔した位置にて車両ドアを解錠する操作を行ったと判断できる場合には、特定のドア(例えば運転席側のドア)のみが解錠されるので、悪意を持った者が車両内に侵入する可能性は低くなる。
【0014】
本願の一態様に係る車両ドア解錠システムは、前記車載制御装置は、前記検出部が前記携帯機を検出し、かつ、前記携帯機からの操作信号を受信した場合、前記車両が備える全てのドアを解錠する。
【0015】
上記一態様にあっては、車両の近傍から車両ドアを解錠する操作を行ったと判断できる場合には、車両の全てのドアが解錠されるので、利便性が確保される。
【0016】
本願の一態様に係る車両ドア解錠システムは、前記車両は、前記携帯機を検出するための検出信号を送信する検出信号送信部と、該検出信号送信部から送信した検出信号に対する応答信号を受信する応答信号受信部とを備え、前記携帯機は、前記検出信号送信部から送信された検出信号を受信する検出信号受信部と、該検出信号受信部にて受信した検出信号に対する応答信号を送信する応答信号送信部とを備え、前記検出部は、前記応答信号受信部にて受信した応答信号に基づき、前記携帯機を検出する。
【0017】
上記一態様にあっては、車両側の通信装置と携帯機との間で無線通信を行うことにより、車両近傍に存在する携帯機の有無が検出される。
【0018】
本願の一態様に係る車両ドア解錠システムは、前記検出信号送信部が送信する検出信号は、LF(Low Frequency)帯の周波数による信号であり、前記応答信号送信部が送信する応答信号は、RF(Radio Frequency)帯の周波数による信号である。
【0019】
上記一態様にあっては、周波数帯が異なる2つの信号を用いて通信を行うことにより、携帯機を操作したユーザが車両の近傍に存在する場合と、車両から離隔した場所に存在する場合とで、車両ドアの解錠方法を異ならせることができる。
【0020】
本願の一態様に係る車両ドア解錠システムは、前記特定のドアは、運転席側のドアである。
【0021】
上記一態様にあっては、ユーザが開ける可能性が高い運転席側のドアのみが解錠される。
【0022】
本願の一態様に係る車両ドア解錠システムは、前記携帯機は、前記検出信号受信部にて受信した検出信号の信号強度を測定する測定部と、前記応答信号送信部から送信する応答信号に前記測定部にて測定した信号強度の情報を付加する情報付加部とを備え、前記車載制御装置は、前記検出部が前記携帯機を検出することなく前記携帯機からの操作信号を受信した場合、設定時間内に前記携帯機からの応答信号を受信したか否かを判断する判断部と、前記設定時間内に前記携帯機からの応答信号を受信したと判断した場合、受信した応答信号に含まれる信号強度の情報に基づき、解錠すべきドアを決定する決定部とを備える。
【0023】
上記一態様にあっては、正当なユーザが開けようとしている車両のドアのみを解錠することができるので、ユーザの死角に不審者が潜んでいたとしても、不審者が潜んでいる付近のドアは施錠された状態が維持される。この結果、不審者が車両内に侵入することが防止される。
【0024】
本願の一態様に係る車載制御装置は、車両に設けられた複数のドアの解錠に係る操作を受付けた場合に操作信号を送信する携帯機と通信可能であり、該携帯機からの操作信号を受信した場合、受信した操作信号に基づいて前記複数のドアの解錠に係る制御を行う車載制御装置であって、前記携帯機を検出する検出部を備え、前記検出部が前記携帯機を検出することなく前記携帯機からの操作信号を受信した場合、前記車両が備える複数のドアのうちの特定のドアのみを解錠する。
【0025】
上記一態様にあっては、車両から離隔した位置にて車両ドアを解錠する操作を行ったと判断できる場合には、特定のドア(例えば運転席側のドア)のみが解錠されるので、悪意を持った者が車両内に侵入する可能性は低くなる。
【0026】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係るドアロックシステムの概略構成を説明する模式図である。実施の形態1に係るドアロックシステムは、車両100が備える複数のドア(以下、車両ドアともいう)を施錠又は解錠するためのシステムであり、車両100内に設けられたボディECU(Electronic Control Unit)110及び無線通信装置120、並びにユーザによって操作される携帯機200を備える。
【0027】
ボディECU110は、無線通信装置120に接続されており、無線通信装置120を介して携帯機200と無線通信を行うと共に、車両ドアの施錠及び解錠に係る制御を行う機能を備える。
【0028】
無線通信装置120は、携帯機200と無線通信を行うために、RF受信アンテナ123a及び複数のLF送信アンテナ124a〜124eを備える。RF受信アンテナ123aは、例えば無線通信装置120に内蔵されるアンテナであり、RF帯(RF : Radio Frequency)の周波数の信号を受信する。LF送信アンテナ124a〜124eは、例えば車両100が備える各ドアの周辺に設けられるアンテナであり、LF帯(LF : Low Frequency)の周波数の信号を送信する。本実施の形態では、LF送信アンテナ124a〜124eは、それぞれ、運転席側のドアの周辺、助手席側のドアの周辺、右後部座席側(運転席の後ろ側)のドアの周辺、左後部座席側(助手席の後ろ側)のドアの周辺、後部ドアの周辺に設けられているものとする。
【0029】
携帯機200は、車両ドアの解錠及び施錠に係るユーザの操作を受付けるために、アンロックボタン203a及びロックボタン203bを備える。また、携帯機200は、車両側の無線通信装置120と無線通信を行うために、RF送信部204及びLF受信部205を備える(
図3を参照)。携帯機200は、アンロックボタン203a又はロックボタン203bにより、車両ドアの解錠又は施錠に係るユーザの操作を受付けた場合、RF送信部204より車両ドアの解錠又は施錠を指示する信号を送信することが可能である。
【0030】
ここで、LF帯の信号を用いた無線通信の通信範囲は1m程度であるのに対し、RF帯の信号を用いた無線通信の通信範囲は数十m程度である。このことを利用して、本実施の形態では、車両100が備える全てのドアを解錠する場合と、車両100が備える特定のドア(例えば運転席側のドア)を解錠する場合との切り替えを行う。具体的には、車両100のLF送信アンテナ124a〜124eによる通信範囲Ra〜Reの何れかに携帯機200が存在する場合に、車両ドアの解錠を指示する操作信号を携帯機200から受信したとき、ボディECU110は、車両100の全てのドアを解錠する制御を行う。また、LF送信アンテナ124a〜124eによる通信範囲Ra〜Reに携帯機200が存在しない場合に、車両ドアの解錠を指示する操作信号を携帯機200から受信した場合、ボディECU110は、特定のドアを解錠する制御を行う。
【0031】
図2はボディECU110及び無線通信装置120の内部構成を説明するブロック図である。ボディECU110は、制御部111、記憶部112、入出力部113、通信部114などを備える。
【0032】
制御部111は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備える。制御部111内のCPUは、ROMに格納された制御プログラムを実行することにより、ボディECU110が備える上記ハードウェアの動作を制御し、機器全体を本願に係る車両ドア解錠システムの車載制御装置として機能させる。制御部111内のRAMには、制御プログラムの実行中に生成される各種データが記憶される。なお、制御部111は、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ等の機能を備えていてもよい。
【0033】
記憶部112は、例えば、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリにより構成されており、ボディECU110を識別する識別情報等を記憶する。ここで、ボディECUの識別情報とは、例えば、ボディECU110を搭載する車両100のID(Identifier)番号、通信相手となる携帯機200のID番号、及び暗号処理に用いる鍵情報等である。
【0034】
入出力部113は、ドアロック機構130及びドアロック操作部131を接続するためのインタフェースを備える。
【0035】
ドアロック機構130は、車両100の各ドアの施錠又は解錠するための機械機構、及びこの機械機構を電気的に動作させるためのアクチュエータ等を有している。また、ドアロック操作部131は、例えば、車両100の運転席のドアに設けられたキーシリンダ、ドアハンドルに設けられたリクエストスイッチ等である。
【0036】
例えば、車両100用のメカニカルキー(不図示)が車両100のドアに設けられたキーシリンダに挿入され、施錠操作又は解錠操作が行われた場合、ドアロック機構130は、アクチュエータ等を動作させ、ドアの施錠又は解錠を行う。このとき、メカニカルキーによりキーシリンダが操作された情報が入出力部113を通じてドアロック機構130に出力され、出力された情報に基づきドアロック機構130が動作するように構成されている。
【0037】
また、携帯機200を持つユーザが、車両100のドアハンドルに設けられたリクエストスイッチを操作した場合、ボディECU110と携帯機200との間で無線通信を行う。その無線通信において、無線通信装置120がLF送信アンテナ124a〜124eから検出信号を送信し、検出信号に対する携帯機200からの応答信号を受信した場合、ボディECU110はドアの施錠又は解錠を行う。なお、リクエストスイッチは、押しボタン式のスイッチであってもよく、ドアハンドルへの接触を検知する接触センサを用いたスイッチであってもよい。
【0038】
更に、ドアロック操作部131をユーザが操作することなく、ボディECU110と携帯機200との間の無線通信によりボディECU110がドアの施錠又は解錠を行えるように構成されている。具体的には、無線通信装置120のRF受信アンテナ123aにて携帯機200からの操作信号を受信した際、受信した操作信号に含まれる解錠又は施錠に係る情報に基づき、ボディECU110はドアの施錠又は解錠を行う。
【0039】
通信部114は、例えばCAN通信インタフェースを備えており、通信線を介して無線通信装置120側の通信部125に接続されている。通信部114は、CANプロトコルに従って無線通信装置120とデータの送受信を行う。
【0040】
無線通信装置120は、制御部121、記憶部122、RF受信部123、LF送信部124、通信部125などを備える。
【0041】
制御部121は、例えば、CPU、ROM、RAMなどを備える。制御部121内のCPUは、ROM又は記憶部122に格納された制御プログラムを実行することにより、無線通信装置120が備える各ハードウェアの動作を制御する。
【0042】
記憶部122は、EEPROMなどの不揮発性メモリにより構成されており、携帯機200との無線通信処理、ボディECU110とのCAN通信処理等を実行するための制御プログラムを記憶する。
【0043】
RF受信部123は、RF受信アンテナ123aに接続されており、RF受信アンテナ123aを通じてRF帯の周波数を有する信号を受信する受信回路、受信した信号の受信信号強度(RSSI:Received Signal Strength Indicator)を測定する測定回路等を備える。本実施の形態では、RF受信部123は、携帯機200から送信される操作信号をRF受信アンテナ123aを通じて受信し、受信した操作信号を制御部121へ送出する。制御部121は、RF受信部123から受信した操作信号を、通信部125を通じてボディECU110へ送信する。
【0044】
LF送信部124は、制御部121から出力される信号に基づきLF帯の周波数を有する信号を生成する信号生成回路、生成した信号を増幅する増幅回路等を備えており、増幅後の信号をLF送信アンテナ124a〜124eより外部へ送信する。本実施の形態では、LF送信部124は、制御部121からの指示により、携帯機200を検出するための検出信号をLF送信アンテナ124a〜124eを通じて送信する。ここで、LF送信部124が送信する検出信号には、記憶部112に記憶されているボディECU110の識別情報が含まれるものとする。
【0045】
通信部125は、例えばCAN通信インタフェースを備えており、通信線を介してボディECU110側の通信部114に接続されている。通信部125は、CANプロトコルに従ってボディECU110とデータの送受信を行う。
【0046】
図3は携帯機200の内部構成を説明するブロック図である。携帯機200は、制御部201、記憶部202、操作部203、RF送信部204、及びLF受信部205などを備える。
【0047】
制御部201は、例えば、CPU、ROMなどを備える。制御部201内のCPUは、ROMに格納された制御プログラムを実行することにより、携帯機200が備える各ハードウェアの動作を制御し、機器全体を本願に係る車両ドア解錠システムにおける携帯機として機能させる。なお、制御部201は、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ等の機能を備えていてもよい。
【0048】
記憶部202は、EEPROMなどの不揮発性メモリにより構成されており、携帯機200を識別するための識別情報を記憶する。ここで、携帯機200を識別する識別情報は、例えば、携帯機200のID番号、通信相手となるボディECU110を搭載する車両100のID番号、及び暗号処理に用いる鍵情報等である。
【0049】
操作部203は、ユーザによる操作を受付けるためのインタフェースを備える。本実施の形態では、操作部203は、車両100のドアを解錠する際に操作されるアンロックボタン203a、及び車両100のドアを施錠する際に操作されるロックボタン203bを備える。操作部203は、アンロックボタン203a(又はロックボタン203b)がユーザにより操作された場合、アンロックボタン203a(又はロックボタン203b)が操作されたこと示す信号を制御部201へ出力する。制御部201は、アンロックボタン203a(又はロックボタン203b)が操作されたこと示す信号を受信した場合、車両100のドアの解錠(又は施錠)を指示する制御信号をRF送信部204へ送出する。
【0050】
RF送信部204は、制御部201から出力される制御信号からRF帯の周波数を有する信号を生成する信号生成回路、生成した信号を増幅する増幅回路等を備えており、増幅後の信号をRF送信アンテナ204aより外部へ送信する。本実施の形態では、RF送信部204は、制御部201からの制御信号に応じて、車両ドアの解錠(又は施錠)を指示する操作信号をRF送信アンテナ204aより送信する。ここで、RF送信部204が送信する操作信号及び後述する応答信号には、記憶部202に記憶されている携帯機200の識別情報が含まれるものとする。
【0051】
LF受信部205は、LF受信アンテナ205aに接続されており、LF受信アンテナ205aを通じてRF帯の周波数を有する信号を受信する受信回路、受信した信号の信号強度を測定する測定回路等を備える。本実施の形態では、LF受信部205は、車両100のLF送信アンテナ124a〜124eから送信される検出信号をLF受信アンテナ205aにて受信し、受信した検出信号を制御部201へ送出する。制御部201は、LF受信部205から検出信号を受信した場合、当該検出信号に対する応答信号をRF送信部204より送信する処理を行う。このとき、制御部201は、各LF送信アンテナ124a〜124eから送信される検出信号の信号強度(RSSI)の情報を付加した応答信号を、RF送信部204より送信する。
【0052】
以下、本実施の形態に係るドアロックシステムの動作について説明する。
図4は携帯機200が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。携帯機200の制御部201は、車両100のLF送信部124から送信される検出信号をLF受信部205にて受信したか否かを判断する(ステップS101)。受信していないと判断した場合(S101:NO)、制御部201は、後述するステップS105へ処理を移行する。
【0053】
検出信号を受信したと判断した場合(S101:YES)、制御部201は、受信した検出信号に基づき認証処理を実行する(ステップS102)。車両100のLF送信部124から送信されてくる検出信号にはボディECU110を識別する識別情報が含まれるので、制御部201は、検出信号に含まれる識別情報と、記憶部202に記憶されている携帯機200の識別情報とを比較することにより、認証処理を実行することができる。
【0054】
次いで、制御部201は、ステップS102で実行した認証処理で認証に成功したか否かを判断する(ステップS103)。認証に成功していないと判断した場合(S103:NO)、制御部201は、後述するステップS105へ処理を移行する。
【0055】
認証に成功したと判断した場合(S103:YES)、制御部201は、検出信号に対する応答信号をRF送信部204より送信する(ステップS104)。このとき、制御部201は、各LF送信アンテナ124a〜124eから送信される検出信号の信号強度(RSSI)の情報を付加した応答信号を、RF送信部204より送信する。
【0056】
次いで、制御部201は、ユーザによる操作(解錠操作又は施錠操作)を操作部203にて受付けたか否かを判断する(ステップS105)。アンロックボタン203a(又はロックボタン203b)が操作された場合(S105:YES)、操作部203は操作されたことを示す信号を制御部201へ送出する。よって、制御部201は、操作部203からの信号を受信することにより、ユーザによる操作(解錠操作又は施錠操作)を操作部203にて受付けたか否かを判断することができる。
【0057】
ユーザによる操作を受付けていないと判断した場合(S105:NO)、制御部201は、本フローチャートによる処理を終了する。一方、ユーザによる操作を受付けたと判断した場合、制御部201は、解錠操作又は施錠操作の何れであるかを示す情報、及び携帯機200の識別情報等を含む操作信号を、RF送信部204を通じて外部へ送信する(ステップS106)。
【0058】
なお、
図4のフローチャートでは、検出信号の受信判定を行った後に、ユーザによる操作の有無を判定する手順を説明したが、ユーザによる操作の有無を判定した後に、検出信号の受信判定を行ってもよいことは勿論のことである。
【0059】
本実施の形態に係るドアロックシステムでは、携帯機200を携帯するユーザが操作部203のアンロックボタン203aを操作したときに、車両100のLF送信アンテナ124a〜124eの通信範囲Ra〜Re内にユーザが存在するか否かに応じて、全てのドアを解錠するか、または特定のドアのみを解錠するかの制御を行う。このため、車両100に搭載されているボディECU110は、通信範囲Ra〜Reに存在する携帯機200の検出処理を行う。
【0060】
図5はボディECU110が実行する携帯機200の検出処理の手順を説明するフローチャートである。ボディECU110は、車両100のドアが施錠されている場合に以下の処理を実行する。ボディECU110の制御部111は、通信部114を通じて無線通信装置120へ指示を与えることにより、LF送信アンテナ124a〜124eを通じて検出信号を外部へ送信させる(ステップS111)。制御部111は、検出信号を外部へ送信させた後、内蔵タイマを作動させることにより、無線通信装置120へ指示を与えてからの経過時間を計時する。
【0061】
次いで、ボディECU110の制御部111は、通信部114を通じて無線通信装置120と通信を行うことにより、携帯機200から送信される応答信号を無線通信装置120のRF受信部123にて受信したか否かを判断する(ステップS112)。
【0062】
携帯機200からの応答信号を受信していないと判断した場合(S112:NO)、制御部111は、内蔵タイマを参照して、所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS113)。応答信号を受信することなく、所定時間が経過したと判断した場合(S113:YES)、制御部111は、処理をステップS111へ戻す。また、所定時間が経過していない場合(S113:NO)、制御部111は、処理をステップS112へ戻す。
【0063】
携帯機200からの応答信号を受信したと判断した場合(S112:YES)、制御部111は、受信した応答信号に基づき認証処理を実行する(ステップS114)。携帯機200から送信されてくる応答信号には携帯機200を識別する識別情報が含まれるので、制御部111は、応答信号に含まれる識別情報と、記憶部112に記憶されているボディECU110の識別情報とを比較することにより、認証処理を実行することができる。
【0064】
次いで、制御部111は、ステップS114で実行した認証処理で認証に成功したか否かを判断する(ステップS115)。認証に成功していないと判断した場合(S115:NO)、制御部111は、携帯機200を検出していないと判断し(ステップS116)、処理をステップS111へ戻す。
【0065】
一方、認証に成功したと判断した場合(S115:YES)、制御部111は、携帯機200を検出したと判断し(ステップS117)、本フローチャートによる処理を終了する。なお、携帯機200を検出したと判断した場合、制御部111は、ステップS112で受信した応答信号に含まれるRSSIの情報に基づき、携帯機200が存在する存在領域を特定することも可能である。
【0066】
図6はボディECU110が実行する解錠処理の手順を説明するフローチャートである。ボディECU110の制御部111は、通信部114を通じて無線通信装置120と通信を行うことにより、携帯機200から送信される操作信号を無線通信装置120のRF受信部123にて受信したか否かを判断する(ステップS121)。操作信号を受信していないと判断した場合(S121:NO)、制御部111は、操作信号を受信するまで待機する。
【0067】
操作信号を受信したと判断した場合(S121:YES)、制御部111は、受信した操作信号に基づき認証処理を実行する(ステップS122)。携帯機200から送信されてくる操作信号には携帯機200を識別する識別情報が含まれるので、制御部111は、操作信号に含まれる識別情報と、記憶部112に記憶されているボディECU110の識別情報とを比較することにより、認証処理を実行することができる。
【0068】
次いで、制御部111は、ステップS122で実行した認証処理で認証に成功したか否かを判断する(ステップS123)。認証に成功していないと判断した場合(S123:NO)、処理をステップS121へ戻す。
【0069】
一方、認証に成功したと判断した場合(S123:YES)、制御部111は、携帯機200の検出処理を実行する(ステップS124)。制御部111は、
図5のフローチャートに示される手順に従って携帯機200の検出処理を実行することができる。
【0070】
制御部111は、携帯機200の検出処理により携帯機200を検出したか否かを判断する(ステップS125)。携帯機200を検出したと判断した場合(S125:YES)、すなわち車両100の近傍にて携帯機200のアンロックボタン203aが操作されたと判断できる場合、制御部111は、車両100の全てのドアを解錠する制御信号を入出力部113よりドアロック機構130へ送出し、全てのドアを解錠する(ステップS126)。なお、携帯機200を携帯したユーザが車両100のドアハンドルに設けられたリクエストスイッチを操作した場合にも、制御部111は、車両100の全てのドアを解錠する制御信号を入出力部113よりドアロック機構130へ送出し、全てのドアを解錠するようにしてもよい。
【0071】
携帯機200を検出していないと判断した場合(S125:NO)、すなわち車両100から離隔した位置にて携帯機200のアンロックボタン203aが操作されたと判断できる場合、制御部111は、車両100の特定のドア(例えば運転席側のドア)を解錠する制御信号を入出力部113よりドアロック機構130へ送出し、特定のドアを解錠する(ステップS127)。なお、ステップS127で解錠する特定のドアの情報は記憶部112に予め記憶されているものとする。制御部111は、記憶部112に記憶されている解除すべきドアの情報に従って、特定のドアを解錠する制御信号をドアロック機構へ送出する。
【0072】
なお、
図6に示すフローチャートでは、携帯機200からの操作信号を受信した後に、携帯機200の検出処理を実行する構成としたが、携帯機200の検出処理の実行後に、携帯機200からの操作信号の有無を判断してもよい。
【0073】
以上のように、実施の形態1では、車両100の周囲を確認できる車両近傍からユーザが携帯機200のアンロックボタン203aを操作したと判断できる場合には、車両100の全てのドアを解錠するので、利便性を確保することができる。また、車両100から離隔した位置にてユーザが携帯機200のアンロックボタン203aを操作したと判断できる場合には、特定のドア(例えば運転席側のドア)を解錠するので、悪意を持った者が車両100内に侵入する可能性を低くすることができる。
【0074】
(実施の形態2)
実施の形態2では、車両100から離隔した位置にてユーザが携帯機200のアンロックボタン203aを操作したと判断できる場合に、ボディECU110の制御部111にて解錠すべきドアを決定する構成について説明する。
なお、ドアロックシステムの構成、ボディECU110、無線通信装置120、携帯機200の内部構成等は実施の形態1と同様であるため、その説明を省略することとする。
【0075】
図7は実施の形態2における解錠処理の手順を説明するフローチャートである。ボディECU110の制御部111は、正当な携帯機200からの操作信号を受信し、かつ当該携帯機200を検出しなかった場合に、以下の処理を実行する。なお、正当な携帯機200からの操作信号を受信し、かつ当該携帯機200を検出した場合には、実施の形態1と同様に、制御部111は、車両100の全てのドアを解錠する制御を行う。
【0076】
制御部111は、内蔵タイマを用いて計時を開始する(ステップS201)。
次いで、制御部111は、
図5のフローチャートに示される手順に従って、携帯機200の検出処理を実行する(ステップS202)。
【0077】
制御部111は、検出処理によって携帯機200を検出したか否かを判断する(ステップS203)。携帯機200を検出しなかった場合(S203:NO)、制御部111は、計時を開始してから設定時間(例えば1分)が経過したか否かを判断する(ステップS204)。
【0078】
設定時間が経過していない場合(S204:NO)、制御部111は、処理をステップS202へ戻す。一方、携帯機200を検出することなく、設定時間が経過したと判断した場合(S204:YES)、ユーザによる携帯機200の誤操作の可能性があるため、制御部111は解錠処理を実行せずに、本フローチャートによる処理を終了する。
【0079】
設定時間内に携帯機200を検出したと判断した場合(S203:YES)、車両100から離隔した位置にて携帯機200を操作したユーザが車両100に近づいてきたと判断できるので、制御部111は、検出結果に基づき、車両100に対するユーザの位置を特定する(ステップS205)。携帯機200の検出処理において、制御部111が受信する携帯機200からの応答信号にはRSSIの情報が含まれているので、制御部111は、このRSSIの情報に基づき、携帯機200を携帯しているユーザの位置を特定することができる。
【0080】
制御部111は、ステップS205で特定したユーザの位置に応じて、解錠すべきドアを決定し、決定したドアを解錠する制御信号を入出力部113よりドアロック機構130へ送出することにより、決定したドアの解錠を行う(ステップS206)。例えば、ステップS205で特定したユーザの位置が、運転席側のドア付近に設けられたLF送信アンテナ124aの通信範囲Ra内である場合、制御部111は、運転席側のドアを解錠すると決定する。また、ステップS205で特定したユーザの位置が、助手席側のドア付近に設けられたLF送信アンテナ124bの通信範囲Rb内である場合、制御部111は、助手席側のドアを解錠すると決定する。特定したユーザの位置がLF送信アンテナ124c〜124eの通信範囲Rc〜Re内であると判断した場合についても同様であり、制御部111は、それぞれの場合において右後部座席側(運転席の後ろ側)のドア、左後部座席側(助手席の後ろ側)のドア、後部ドアを解錠すると決定する。
【0081】
以上のように、実施の形態2では、正当なユーザが開けようとしている車両100のドアのみを解錠することができるので、このユーザの死角に不審者が潜んでいたとしても、不審者が潜んでいる付近のドアは施錠されたままの状態にすることができ、不審者が車両100内に侵入することを未然に防止することが可能となる。
【0082】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0083】
例えば、本実施の形態では、5つのドアを有する車両100に適用したドアロックシステムについて説明したが、2つ以上のドアを有する車両に本実施の形態に係るドアロックシステムを適用できることは勿論のことである。
【0084】
また、携帯機200は、車両ドアの施錠制御に係る制御信号を送信する専用の通信装置である必要はなく、ユーザが携帯するスマートフォン等の端末装置が本実施の形態に係る携帯機200の機能を備える構成であってもよい。