特許第6540584号(P6540584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6540584
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】検知装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/033 20060101AFI20190628BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   B60R16/033 B
   B60R16/03 A
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-81669(P2016-81669)
(22)【出願日】2016年4月15日
(65)【公開番号】特開2017-190086(P2017-190086A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2018年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】山中 康充
【審査官】 宮地 将斗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−221594(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0368168(US,A1)
【文献】 特開2004−340917(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/033
B60R 16/03
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーと、
前記バッテリーに接続される接続回路と、
前記接続回路にそれぞれ接続される複数の電源ボックスと、
複数の前記電源ボックスに跨って接続され、かつ、負荷に電源を供給する電源供給回路とを備え、
複数の前記電源ボックスは、
前記接続回路と前記電源供給回路との間を接続する配線である第1の配線を有する第1の電源ボックスを含み、
複数の前記電源ボックスは、
前記接続回路と前記電源供給回路との間を接続する配線である第2の配線を接続、および、切断する第1のスイッチ部と、
前記第1のスイッチ部を挟む前記第2の配線上の2点における電位をそれぞれ検知する、一対の検知部とを有する第2の電源ボックスを含み、
前記第1のスイッチ部が切断された状態で一対の前記検知部で検知される電位に応じた値に基づいて、前記第1のスイッチ部を接続することによって、電源供給経路を前記第1の配線から前記第2の配線へ切り替える、
検知装置。
【請求項2】
前記第1のスイッチ部が切断された状態で一対の前記検知部で検知される電位の差に応じた値に基づいて、前記第1のスイッチ部を接続する、
請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記検知装置は、さらに、
あらかじめ定められた抵抗値を記憶する記憶部を備え、
前記第1のスイッチ部が切断された状態で一対の前記検知部で検知される電位の差に応じた値と、前記記憶部に記憶された抵抗値との比較結果に基づいて、前記第1のスイッチ部を接続する、
請求項2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記第1のスイッチ部が切断された状態で一対の前記検知部のいずれか一方で検知される電位がアース電位である場合に、
前記第1のスイッチ部を接続する、
請求項1に記載の検知装置。
【請求項5】
前記接続回路は、前記第1の電源ボックスとの間の配線を接続、および、切断する第2のスイッチ部を備え、
前記電源供給回路は、前記第1の電源ボックスとの間の配線を接続、および、切断する第3のスイッチ部を備え、
前記第1のスイッチ部が切断された状態で一対の前記検知部の双方で検知される電位がアース電位である場合に、
前記第1のスイッチ部を接続し、
前記第2のスイッチ部を切断し、
前記第3のスイッチ部を切断する、
請求項4に記載の検知装置。
【請求項6】
複数の前記電源ボックスに流れる電流値が、一定の電流値である、
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載の検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されるワイヤーハーネスなどでは、電源供給経路の信頼性、および、安全性に対する要求が高まっている。
【0003】
電源供給経路の信頼性、および、安全性を高める技術として、たとえば、特許文献1では、コネクタ端子の断線を検知した場合に、通電を停止する回路構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−193720号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電源供給経路の信頼性、および、安全性を高める観点からは、電源供給経路において断線などが生じた場合だけでなく、接触抵抗などの上昇についても随時検知できることが望ましい。
【0006】
しかしながら、検知装置を別途設けることは、装置の構成を大型化、および、複雑化させてしまうという問題がある。
【0007】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を解決するためになされたものであり、装置構成の大型化、および、複雑化を抑制しつつ、電源供給経路の信頼性、および、安全性を高める技術に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願明細書に開示される技術の第1の態様は、バッテリーと、前記バッテリーに接続される接続回路と、前記接続回路にそれぞれ接続される複数の電源ボックスと、複数の前記電源ボックスに跨って接続され、かつ、負荷に電源を供給する電源供給回路とを備え、複数の前記電源ボックスは、前記接続回路と前記電源供給回路との間を接続する配線である第1の配線を有する第1の電源ボックスを含み、複数の前記電源ボックスは、前記接続回路と前記電源供給回路との間を接続する配線である第2の配線を接続、および、切断する第1のスイッチ部と、前記第1のスイッチ部を挟む前記第2の配線上の2点における電位をそれぞれ検知する、一対の検知部とを有する第2の電源ボックスを含み、前記第1のスイッチ部が切断された状態で一対の前記検知部で検知される電位に応じた値に基づいて、前記第1のスイッチ部を接続することによって、電源供給経路を前記第1の配線から前記第2の配線へ切り替える。
【0009】
また、本願明細書に開示される技術の第2の態様は、第1の態様に関連し、前記第1のスイッチ部が切断された状態で一対の前記検知部で検知される電位の差に応じた値に基づいて、前記第1のスイッチ部を接続する。
【0010】
また、本願明細書に開示される技術の第3の態様は、第2の態様に関連し、前記検知装置は、さらに、あらかじめ定められた抵抗値を記憶する記憶部を備え、前記第1のスイッチ部が切断された状態で一対の前記検知部で検知される電位の差に応じた値と、前記記憶部に記憶された抵抗値との比較結果に基づいて、前記第1のスイッチ部を接続する。
【0011】
また、本願明細書に開示される技術の第4の態様は、第1の態様に関連し、前記第1のスイッチ部が切断された状態で一対の前記検知部のいずれか一方で検知される電位がアース電位である場合に、前記第1のスイッチ部を接続する。
【0012】
また、本願明細書に開示される技術の第5の態様は、第4の態様に関連し、前記接続回路は、前記第1の電源ボックスとの間の配線を接続、および、切断する第2のスイッチ部を備え、前記電源供給回路は、前記第1の電源ボックスとの間の配線を接続、および、切断する第3のスイッチ部を備え、前記第1のスイッチ部が切断された状態で一対の前記検知部の双方で検知される電位がアース電位である場合に、前記第1のスイッチ部を接続し、前記第2のスイッチ部を切断し、前記第3のスイッチ部を切断する。
【0013】
また、本願明細書に開示される技術の第6の態様は、第1の態様から第5の態様のうちのいずれか1つに関連し、複数の前記電源ボックスに流れる電流値が、一定の電流値である。
【発明の効果】
【0014】
本願明細書に開示される技術の第1の態様によれば、第2の電源ボックスを介する電源供給経路を、第1の電源ボックスを介する電源供給経路における電位の測定回路として流用することができる。したがって、装置構成の大型化、および、複雑化を抑制しつつ、第1の電源ボックスを介する電源供給経路における抵抗値の変化などを監視することができる。そうすることによって、電源供給経路の信頼性、および、安全性を高めることができる。
【0015】
特に、第2の態様によれば、第1の電源ボックスを介する電源供給経路における電圧降下、さらには、抵抗値を精度よく測定することができる。
【0016】
特に、第3の態様によれば、算出された第1の電源ボックスを介する電源供給経路における抵抗値が、あらかじめ定められたしきい値よりも大きい場合に、抵抗値の低い第2の電源ボックスを介する電源供給経路に切り替えることができる。
【0017】
特に、第4の態様によれば、一対の検知部のいずれか一方で検知される電位がアース電位である場合に、回路が開放していると判断することができるため、第1のスイッチ部を接続する操作を行うことができる。
【0018】
特に、第5の態様によれば、一対の検知部の双方で検知される電位がアース電位である場合に、回路が短絡していると判断することができるため、第1のスイッチ部を接続するとともに、短絡している回路を切り離す切り替え操作を行うことができる。
【0019】
特に、第6の態様によれば、電源供給経路に流れる電流が一定の電流値となる安定電源を用いて測定を行うことによって、測定精度を向上させることができる。
【0020】
本願明細書に開示される技術に関する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態に関する、検知装置を実現するための構成を概略的に例示する図である。
図2】実施の形態に関する、図1に例示される検知装置の動作、特に、バッテリーとコンタクターとの間での動作について説明するための図である。
図3】実施の形態に関する、図1に例示される検知装置の動作、特に、コンタクターとECUとの間での動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。
【0023】
なお、図面は概略的に示されるものであり、異なる図面にそれぞれ示される画像の大きさと位置との相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。
【0024】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を省略する場合がある。
【0025】
<実施の形態>
<検知装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する検知装置を実現するための構成を概略的に例示する図である。
【0026】
図1に例示されるように、検知装置は、メインバッテリー100と、サブバッテリー101と、コンタクター102と、電源ボックス103と、電源ボックス104と、負荷106を制御する電子制御ユニット(electronic control unit、すなわち、ECU)105とを備える。なお、図1においては、電源ボックスは2つ備えられているが、電源ボックスの数はそれ以上であってもよい。
【0027】
メインバッテリー100およびサブバッテリー101は、ECU105への電源供給経路を2重系とするための対となる電源である。2重系とは、メインバッテリー100と、コンタクター102と、電源ボックス103と、ECU105とを含む電源供給経路、および、サブバッテリー101と、コンタクター102と、電源ボックス104と、ECU105とを含む電源供給経路の2つの経路を指す。
【0028】
コンタクター102は、メインバッテリー100とサブバッテリー101とにそれぞれ接続される。コンタクター102は、スイッチ部102Bと、スイッチ部102Cと、スイッチ部102Dと、スイッチ部102Eと、スイッチ部102Fと、スイッチ部102Gとを備える。
【0029】
スイッチ部102Bおよびスイッチ部102Cは、メインバッテリー100と電源ボックス103とを結ぶ配線上に、直列に配列される。スイッチ部102Fおよびスイッチ部102Gは、サブバッテリー101と電源ボックス104とを結ぶ配線上に、直列に配列される。
【0030】
スイッチ部102Dおよびスイッチ部102Eは、スイッチ部102Bとスイッチ部102Cとの間から分岐する配線と、スイッチ部102Fとスイッチ部102Gとの間から分岐する配線との間に、並列に配列される。
【0031】
これらのスイッチ部は、いずれかのバッテリーから電源ボックス103または電源ボックス104への電源供給経路を形成するための構成である。したがって、図1に例示されるすべてのスイッチ部が備えられていることが必要というわけではなく、いずれかのバッテリーから電源ボックス103への経路と、当該バッテリーから電源ボックス104への経路とを切り替えるために必要なスイッチ部が備えられていればよい。
【0032】
また、これらのスイッチ部は、たとえば、半導体スイッチング回路である。
【0033】
また、コンタクター102は、制御部102Aを備える。制御部102Aは、スイッチ部102Bと、スイッチ部102Cと、スイッチ部102Dと、スイッチ部102Eと、スイッチ部102Fと、スイッチ部102Gとにおけるスイッチング動作を制御する。
【0034】
電源ボックス103および電源ボックス104は、それぞれコンタクター102に接続される。電源ボックス103は、コンタクター102のスイッチ部102Cから延びる配線に接続される。電源ボックス104は、コンタクター102のスイッチ部102Gから延びる配線に接続される。
【0035】
電源ボックス103は、スイッチ部103Bと、スイッチ部103Bのスイッチング動作を制御する制御部103Aとを備える。電源ボックス104は、スイッチ部104Bと、スイッチ部104Bのスイッチング動作を制御する制御部104Aとを備える。
【0036】
ECU105は、電源ボックス103および電源ボックス104の双方に跨って接続される。また、ECU105は、負荷106へ電源を供給する。後述するが、ECU105は、電源ボックス103との接続と電源ボックス104との接続とを切り替え可能である。また、ECU105は、当該切り替え動作などを制御する制御部105Aを備える。
【0037】
電源ボックス103および電源ボックス104は、コンタクター102とECU105との間を接続する配線を有する。
【0038】
正常時は、たとえば、電源ボックス103を介してECU105に電源が供給されるが、電源ボックス103を介する電源供給経路において不具合などが生じた場合に、たとえば、電源ボックス104を介してECU105に電源が供給されるように電源供給経路の切り替えが行われる。
【0039】
なお、制御部102A、制御部103A、制御部104A、および、制御部105Aは、それぞれがcontroller area network(CAN)などの通信機能を有しており、互いに情報を共有することができる。
【0040】
<検知装置の動作について>
<バッテリーとコンタクター102との間での動作>
図2は、図1に例示される検知装置の動作、特に、バッテリーとコンタクターとの間での動作について説明するための図である。図2を参照しつつ、バッテリーとコンタクター102との間で回路が開放または短絡した場合の動作を説明する。前提として、メインバッテリー100を用いて、スイッチ部102Cから延びる配線に接続される電源ボックス103を介する電源供給が行われているものとする。
【0041】
ここで、コンタクター102は、図2に例示されるように、メインバッテリー100とスイッチ部102Bとの間の配線が分岐し、複数の抵抗を介して接地される。当該複数の抵抗の間の電位Xは、制御部102Aで参照することができる。
【0042】
また、コンタクター102は、図2に例示されるように、サブバッテリー101とスイッチ部102Fとの間の配線が分岐し、複数の抵抗を介して接地される。当該複数の抵抗の間の電位Yは、制御部102Aで参照することができる。
【0043】
また、メインバッテリー100とスイッチ部102Bとの間の配線と、サブバッテリー101とスイッチ部102Fとの間の配線とは、互いに接続され、かつ、電源電圧Vccに接続される。
【0044】
メインバッテリー100とスイッチ部102Bとの間で回路が開放した場合、すなわち、回路がオープンとなった場合、電位Xは電源電圧Vccから抵抗分圧で供給される電位となる。そのため、制御部102Aは、電位Xに基づいて、メインバッテリー100とスイッチ部102Bとの間で回路が開放したことを検知することができる。
【0045】
メインバッテリー100とスイッチ部102Bとの間で回路が短絡した場合、すなわち、回路がショートした場合、電位Xはアース電位となる。そのため、制御部102Aは、電位Xに基づいて、メインバッテリー100とスイッチ部102Bとの間で回路が短絡したことを検知することができる。
【0046】
制御部102Aで開放または短絡が検知された場合、スイッチ部102Bを切断、スイッチ部102Cを接続、スイッチ部102Dまたはスイッチ部102Eを接続、スイッチ部102Fを接続、スイッチ部102Gを切断とする。そうすることによって、同じ電源ボックス103を介した動作を維持しつつ、バッテリーをメインバッテリー100からサブバッテリー101に切り替えることができる。
【0047】
<コンタクター102とECU105との間での動作>
図3は、図1に例示される検知装置の動作、特に、コンタクターとECUとの間での動作について説明するための図である。
【0048】
ここで、電源ボックス103は、図3に例示されるように、スイッチ部103Bを挟む配線上の2点の電位をそれぞれ検知する、一対の検知部である検知部203Aおよび検知部203Bを備える。また、図示されていないが、電源ボックス103は、電源ボックス103に流れる電流を測定するシャント抵抗、またはホース素子などの電流計を備える。
【0049】
また、電源ボックス103は、図3に例示されるように、メモリ103Cを備える。メモリ103Cは、電源ボックス104を介する電源供給経路における抵抗値を記憶する。当該抵抗値は、電源ボックス104を介する電源供給経路における電線の長さから定まる抵抗値、コネクタ部の抵抗値、または、スイッチング回路の内部抵抗などを合成した値である。また、当該抵抗値としては、あらかじめ定められた規格値などが用いられてもよい。
【0050】
検知部203Aは、コンタクター102とスイッチ部103Bとの間の配線が分岐し、複数の抵抗を介して接地される回路である。当該複数の抵抗の間の電位X1は、制御部103Aで参照することができる。
【0051】
検知部203Bは、スイッチ部103BとECU105の間の配線が分岐し、複数の抵抗を介して接地される回路である。当該複数の抵抗の間の電位X2は、制御部103Aで参照することができる。
【0052】
また、電源ボックス104は、図3に例示されるように、スイッチ部104Bを挟む配線上の2点の電位をそれぞれ検知する、一対の検知部である検知部204Aおよび検知部204Bを備える。また、図示されていないが、電源ボックス104は、電源ボックス104に流れる電流を測定するシャント抵抗、またはホース素子などの電流計を備える。
【0053】
また、電源ボックス104は、図3に例示されるように、メモリ104Cを備える。メモリ104Cは、電源ボックス103を介する電源供給経路における抵抗値を記憶する。
【0054】
検知部204Aは、コンタクター102とスイッチ部104Bとの間の配線が分岐し、複数の抵抗を介して接地される回路である。当該複数の抵抗の間の電位Y1は、制御部104Aで参照することができる。
【0055】
検知部204Bは、スイッチ部104BとECU105の間の配線が分岐し、複数の抵抗を介して接地される回路である。当該複数の抵抗の間の電位Y2は、制御部104Aで参照することができる。
【0056】
また、ECU105は、図3に例示されるように、電源ボックス103に接続される配線において、スイッチ部105Bを備える。また、ECU105は、図3に例示されるように、電源ボックス104に接続される配線において、スイッチ部105Cを備える。制御部105Aは、スイッチ部105Bおよびスイッチ部105Cのスイッチング動作を制御する。
【0057】
<抵抗値が上昇している場合の動作>
メインバッテリー100を用いて、電源ボックス103を介する電源供給経路で電源供給が行われている場合を想定する。この場合、スイッチ部102B、スイッチ部102C、スイッチ部103B、および、スイッチ部105Bが接続される。
【0058】
これに加え、スイッチ部102Dまたはスイッチ部102E、スイッチ部102G、および、スイッチ部105Cを接続し、スイッチ部104Bは切断する。
【0059】
この回路においては、検知部204Aにおける電位Y1が、スイッチ部102Bとスイッチ部102Cとの間の分岐点における電位に対応する電位を示す。同様に、検知部204Bにおける電位Y2が、スイッチ部105Bとスイッチ部105Cとに分岐する分岐点における電位に対応する電位を示す。
【0060】
したがって、電位Y1と電位Y2との差を測定することによって、電源ボックス103を介する電源供給経路における電圧降下を測定することができる。ここで、スイッチ部102Bとスイッチ部102Cとの間の分岐点から検知部204Aに至る経路、および、検知部204Bからスイッチ部105Bとスイッチ部105Cとに分岐する分岐点に至る経路には主電流が流れないため、電源ボックス103を介する電源供給経路における電圧降下を精度よく測定することができる。
【0061】
さらに、電源ボックス103を介する電源供給経路に流れる電流が一定の電流値となるような安定電源を用いて測定を行えば、測定精度を向上させることができる。
【0062】
次に、電位Y1と電位Y2との差を測定することによって得られた、電源ボックス103を介する電源供給経路における電圧降下と、電源ボックス103における電流計で測定された電源ボックス103に流れる電流値とに基づいて、電源ボックス103を介する電源供給経路における抵抗値を算出する。そして、当該抵抗値が、メモリ104Cに記憶された抵抗値と比較して大きい場合には、スイッチ部104Bを接続する。さらに、スイッチ部102C、スイッチ部103B、および、スイッチ部105Bを切断してもよい。なお、メモリ104Cに抵抗値を複数記憶しておき、抵抗値の上昇度合いに応じて、当該切り替え操作を変更してもよい。
【0063】
このように、算出された抵抗値に基づいてスイッチ部の切り替え操作を行うことによって、電源ボックス103を介する電源供給経路において抵抗値が上昇している場合に、電源ボックス104を介する電源供給経路に切り替えることができる。したがって、抵抗値の低い電源供給経路を確保することができる。
【0064】
<回路が開放している場合の動作>
同様に、メインバッテリー100を用いて、電源ボックス103を介する電源供給経路で電源供給が行われている場合を想定する。この場合、スイッチ部102B、スイッチ部102C、スイッチ部103B、および、スイッチ部105Bが接続される。
【0065】
これに加え、スイッチ部102Dまたはスイッチ部102E、スイッチ部102G、および、スイッチ部105Cを接続し、スイッチ部104Bは切断する。
【0066】
この回路において、検知部204Bにおける電位Y2のみがアース電位である場合、スイッチ部102Bとスイッチ部102Cとの間の分岐点から、スイッチ部105Bとスイッチ部105Cとに分岐する分岐点に至る経路において、回路が開放していることが分かる。
【0067】
この場合には、スイッチ部104Bを接続する。さらに、スイッチ部102C、スイッチ部103B、および、スイッチ部105Bを切断してもよい。
【0068】
このように、検知部204Bにおける電位Y2のみがアース電位である場合には、回路が開放している電源ボックス103を介する電源供給経路から電源ボックス104を介する電源供給経路に切り替えることができる。したがって、信頼性の高い電源供給経路を確保することができる。
【0069】
<回路が短絡している場合の動作>
同様に、メインバッテリー100を用いて、電源ボックス103を介する電源供給経路で電源供給が行われている場合を想定する。この場合、スイッチ部102B、スイッチ部102C、スイッチ部103B、および、スイッチ部105Bが接続される。
【0070】
これに加え、スイッチ部102Dまたはスイッチ部102E、スイッチ部102G、および、スイッチ部105Cを接続し、スイッチ部104Bは切断する。
【0071】
この回路において、検知部204Aにおける電位Y1、および、検知部204Bにおける電位Y2がともにアース電位である場合、スイッチ部102Bとスイッチ部102Cとの間の分岐点から、スイッチ部105Bとスイッチ部105Cとに分岐する分岐点に至る経路において、回路が短絡していることが分かる。
【0072】
この場合には、スイッチ部104Bを接続する。さらに、スイッチ部102C、および、スイッチ部105Bを切断する。
【0073】
このように、検知部204Aにおける電位Y1、および、検知部204Bにおける電位Y2がともにアース電位である場合には、回路が短絡している電源ボックス103を介する電源供給経路から電源ボックス104を介する電源供給経路に切り替えることができる。したがって、信頼性の高い電源供給経路を確保することができる。
【0074】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果を例示する。なお、以下では、以上に記載された実施の形態に例示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。
【0075】
以上に記載された実施の形態によれば、検知装置は、バッテリーと、バッテリーに接続される接続回路と、接続回路にそれぞれ接続される複数の電源ボックスと、電源供給回路とを備える。ここで、メインバッテリー100またはサブバッテリー101は、バッテリーに対応する。また、コンタクター102は、接続回路に対応する。また、電源ボックス103および電源ボックス104は、複数の電源ボックスに対応する。また、ECU105は、電源供給回路に対応する。ECU105は、電源ボックス103および電源ボックス104に跨って接続され、かつ、負荷に電源を供給する。複数の電源ボックスは、コンタクター102とECU105との間を接続する配線である第1の配線を有する第1の電源ボックスを含む。ここで、電源ボックス103は、第1の電源ボックスに対応する。また、複数の電源ボックスは、第1のスイッチ部と、一対の検知部204Aおよび検知部204Bとを有する第2の電源ボックスを含む。ここで、スイッチ部104Bは、第1のスイッチ部に対応する。また、電源ボックス104は、第2の電源ボックスに対応する。スイッチ部104Bは、コンタクター102とECU105との間を接続する配線である第2の配線を接続、および、切断する。一対の検知部204Aおよび検知部204Bは、スイッチ部104Bを挟む第2の配線上の2点における電位をそれぞれ検知する。そして、スイッチ部104Bが切断された状態で一対の検知部204Aおよび検知部204Bで検知される電位に応じた値に基づいて、スイッチ部104Bを接続することによって、電源供給経路を第1の配線から第2の配線へ切り替える。
【0076】
このような構成によれば、電源ボックス104を介する電源供給経路を、電源ボックス103を介する電源供給経路における電位の測定回路として流用することができる。したがって、装置構成の大型化、および、複雑化を抑制しつつ、電源ボックス103を介する電源供給経路における抵抗値の変化などを監視することができる。そうすることによって、電源供給経路の信頼性、および、安全性を高めることができる。
【0077】
なお、これらの構成以外の本願明細書に例示される他の構成については適宜省略することができる。すなわち、これらの構成のみで、以上に記載された効果を生じさせることができる。
【0078】
しかしながら、本願明細書に例示される他の構成のうちの少なくとも1つを以上に記載された構成に適宜追加した場合、すなわち、以上に記載された構成としては記載されなかった本願明細書に例示される他の構成を以上に記載された構成に追加した場合でも、同様に以上に記載された効果を生じさせることができる。
【0079】
また、以上に記載された実施の形態によれば、スイッチ部104Bが切断された状態で一対の検知部204Aおよび検知部204Bで検知される電位の差に応じた値に基づいて、スイッチ部104Bを接続する。このような構成によれば、電源ボックス103を介する電源供給経路における電圧降下、さらには、抵抗値を測定することができる。ここで、スイッチ部102Bとスイッチ部102Cとの間の分岐点から検知部204Aに至る経路、および、検知部204Bからスイッチ部105Bとスイッチ部105Cとに分岐する分岐点に至る経路には主電流が流れないため、電源ボックス103を介する電源供給経路における電圧降下を精度よく測定することができる。
【0080】
また、以上に記載された実施の形態によれば、検知装置は、あらかじめ定められた抵抗値を記憶する記憶部を備える。ここで、メモリ103Cまたはメモリ104Cは、記憶部に対応する。スイッチ部104Bが切断された状態で一対の検知部204Aおよび検知部204Bで検知される電位の差に応じた値と、メモリ104Cに記憶された抵抗値との比較結果に基づいて、スイッチ部104Bを接続する。このような構成によれば、電源ボックス103を介する電源供給経路における電圧降下と、電源ボックス103における電流値とに基づいて算出された、電源ボックス103を介する電源供給経路における抵抗値が、メモリ104Cに記憶された抵抗値と比較して大きい場合には、スイッチ部104Bを接続する操作を行うことができる。すなわち、算出された電源ボックス103を介する電源供給経路における抵抗値が、あらかじめ定められたしきい値よりも大きい場合に、抵抗値の低い電源ボックス104を介する電源供給経路に切り替えることができる。
【0081】
また、以上に記載された実施の形態によれば、スイッチ部104Bが切断された状態で一対の検知部204Aおよび検知部204Bのいずれか一方で検知される電位がアース電位である場合に、スイッチ部104Bを接続する。このような構成によれば、一対の検知部204Aおよび検知部204Bのいずれか一方で検知されるアース電位である場合に、回路が開放していると判断することができるため、スイッチ部104Bを接続する操作を行うことができる。
【0082】
また、以上に記載された実施の形態によれば、コンタクター102は、電源ボックス103との間の配線を接続、および、切断する第2のスイッチ部を備える。ここで、スイッチ部102Cは、第2のスイッチ部に対応する。また、ECU105は、電源ボックス103との間の配線を接続、および、切断する第3のスイッチ部を備える。ここで、スイッチ部105Bは、第3のスイッチ部に対応する。スイッチ部104Bが切断された状態で一対の検知部204Aおよび検知部204Bの双方で検知される電位がアース電位である場合に、スイッチ部104Bを接続し、スイッチ部102Cを切断し、さらに、スイッチ部105Bを切断する。このような構成によれば、一対の検知部204Aおよび検知部204Bの双方で検知されるアース電位である場合に、回路が短絡していると判断することができる。そのため、スイッチ部104Bを接続するとともに、短絡している回路を切り離す切り替え操作を行うことができる。
【0083】
また、以上に記載された実施の形態によれば、複数の電源ボックスに流れる電流値が、一定の電流値である。このような構成によれば、電源供給経路に流れる電流が一定の電流値となるような安定電源を用いて測定を行うことによって、測定精度を向上させることができる。
【0084】
<以上に記載された実施の形態における変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面において例示であって、本願明細書に記載されたものに限られることはないものとする。
【0085】
したがって、例示されていない無数の変形例が、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
【0086】
また、矛盾が生じない限り、以上に記載された実施の形態において「1つ」備えられるものとして記載された構成要素は、「1つ以上」備えられていてもよいものとする。
【0087】
さらに、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素は概念的な単位であって、本願明細書に開示される技術の範囲内には、1つの構成要素が複数の構造物から成る場合と、1つの構成要素がある構造物の一部に対応する場合と、さらには、複数の構成要素が1つの構造物に備えられる場合とを含むものとする。
【0088】
また、以上に記載された実施の形態におけるそれぞれの構成要素には、同一の機能を発揮する限り、他の構造または形状を有する構造物が含まれるものとする。
【0089】
また、本願明細書における説明は、本技術に関するすべての目的のために参照され、いずれも、従来技術であると認めるものではない。
【符号の説明】
【0090】
100 メインバッテリー
101 サブバッテリー
102 コンタクター
102A,103A,104A,105A 制御部
102B,102C,102D,102E,102F,102G,103B,104B,105B,105C スイッチ部
103,104 電源ボックス
103C,104C メモリ
105 ECU
106 負荷
203A,203B,204A,204B 検知部
X,X1,X2,Y,Y1,Y2 電位
図1
図2
図3