(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弁装置(150;200、250;350;350’;350’’;410、420)または前記コネクタユニット(130;330;330’;330’’;331;331’)の構成または空間的配置を、当該弁システムの動作の態様を変えるために変更することができる、請求項1に記載の弁システム。
前記コネクタユニット(130;330、330’、330’’、331、331’)の構成が、当該弁システムの動作の態様を変えるために変更される、請求項1に記載の弁システム。
前記複数の第2のアクチュエータ(120)および前記空気制御システムの空気導管(140)は、前記液体処理システムをホストするキャビネット(110;450)の内部に位置する一方で、前記コネクタユニット(130;330、330’、330’’)は、前記キャビネット(110;450)の外パネル上に位置する、請求項1に記載の弁システム。
前記弁のうちの少なくとも1つは、前記液体処理システムの少なくとも1つの導管において液体が実質的に一方向に移動するポンプ機能を実現するためのポンプ室(640)として形成される、請求項1に記載の弁システム。
前記弁装置および前記コネクタユニットの各々は、接続時の正しい整列を保証するために1つ以上の位置決めの特徴(480)を含んでいる、請求項1に記載の弁システム。
【背景技術】
【0002】
生物医薬品は、現代の薬剤のますます重要な一部となってきている。これらの生物医薬品の製造は、独特な課題を引き起こす。これらの製品は、一般に、ホスト細胞をバイオリアクタにおいて培養することによる対象の製剤原料の生産と、その後の細胞培養物の清澄化、ろ過、およびクロマトグラフィの工程などのいくつかの液体処理工程とによって得られる。したがって、効果的な液体の取り扱いが、これらの製品を処理するあらゆるシステムの主要な要件である。さらに、そのようなシステムの別の主要な要件として、多数のワークフロー(workflow)を、閉じた流体処理システムにおける無菌での取り扱いおよびあらかじめ殺菌された構成要素の使用など、制御されかつ封じ込められた条件下で実行する必要がある。
【0003】
最近では、1回限りの使用の流路にもとづく自動化された生物学的液体の取り扱いシステムが、市場で入手できるようになってきている。1回限りの使用の流路構成要素は、時間および手間を必要とする使用前および使用後の濡れた流路の清掃が不要であり、したがって全体としてのプロセスの効率が向上し、それによってコストが削減されるという利点を提供する。設備の清掃およびそれに付随する清掃の検証がなくなることで、異なる作業および製剤原料の間の交差汚染の恐れも大幅に少なくなり、したがって全体としてのプロセスおよび薬剤の安全性が向上する。1回限りの使用の構成要素は、プロセスの実行または作業の後に廃棄されるべき消耗品として利用されるため、全体としてのコスト効率および柔軟性を達成するためのシステムおよび消耗品の設計が、生物医薬の業界および最終的には患者のケアにおける供給業者およびユーザにとって、重要な関心事である。柔軟性は、システムおよびシステムの1回限りの使用の構成要素を、例えばクロマトグラフィ、ろ過、などといった該当の液体処理の仕事に適応させるために必要とされる。試料および必要とされる具体的な処理の型に応じて、柔軟性は、選択された処理の仕事における具体的な設定に関しても必要とされる。例えば、クロマトグラフィ分離の仕事は、より多数またはより少数の入り口、出口、および構成要素(センサ、ポンプ、など)を必要とするかもしれない。
【0004】
AKTA ready(GE Healthcare社)が、初期臨床段階に向けたプロセスの規模拡大および生産のために作られた1回限りの使用の液体クロマトグラフィシステムである。このシステムは、消耗品として展開されて処理の後で廃棄されるすぐに使用することができる使い捨ての流路と一緒に使用されるように意図されている。このシステムは、取り換え可能な1回限りの使用の流路アセンブリにおいて流体の制御を達成するために、器具において所定のパターンにて設置された18個の再使用可能なピンチ弁を使用する。流路アセンブリの可撓管が、所定の設置の計画に従って再使用可能なピンチ弁へと取り付けられる。管および流路は、廃棄および新たな流路の設置を可能にするために、処理後に取り除かれる。
【0005】
AKTA readyシステムは、器具の内部に取り付けられた「空気圧分配器」でピンチ弁を制御し、空気圧分配器は、加圧された空気のための共通の空気取り入れ口と、消耗品としての1回限りの使用の流路の側でのプロセス液体の制御のためにピンチ弁への空気圧を分配および調節する制御弁装置とを備えている。各々の空気圧式のピンチ弁は、所定の構成および配置で空気圧分配器に位置するそれぞれの制御弁へと空気導管を介して接続される。
【0006】
Millipore社のFlexReadyクロマトグラフィシステムは、流路を形成する溶接された導管を有する可撓バッグから作られた消耗品としての流路を備えるカセットである「クラムシェル」型の設計を使用している。クラムシェルは、使い捨て部分の流体の導管を開閉するために必要な弁をさらに備える。さらに、クラムシェルは、1回限りの使用の消耗品の導管の内部のプロセス液体の流れを制御する流体駆動式(空気式)の弁の加圧を制御する「空気圧分配器」を備える。「空気圧分配器」は、やはり共通の加圧された空気の供給源に通じた制御弁装置である。クラムシェルは、取り換え可能であり、クロマトグラフィまたはろ過などの異なる単位動作に合わせて構成された異なるクラムシェルを、器具へと取り付けることができる。この点に関し、異なる液体処理の仕事に適応するための柔軟性が、クラムシェルの交換によってもたらされる。しかしながら、各々のクラムシェルは、例えばクロマトグラフィまたはろ過のいずれかに使用される消耗品の個々の構成に専用である。したがって、クラムシェル内の空気コントローラは、特定的に構成されたクラムシェルだけを動作させ、他のクラムシェルは、自身の固有の空気圧分配器を必要とする。さらに、所与のクラムシェル内の空気圧分配器は、1回限りの使用の流体の流路、消耗品の特定の構成のための弁装置とだけ相互作用し、そのような弁装置だけを制御するように構成されている。また、この設計は、多数の固定された構成の空気圧分配器を必要とし、結果としてシステムハードウェアの全体としてのコスト、複雑さ、ならびに各々のクラムシェルの重量、サイズ、および使用の容易さに影響が及ぶ。国際公開第2011/154885号パンフレットおよび米国特許出願公開第2013/0240065号明細書を参照されたい。
【0007】
空気圧によって制御される弁装置は、疑似移動床クロマトグラフィに関しても提案されている。そのような弁の例が、米国特許第7,846,335号明細書、米国特許第8,196,603号明細書、および米国特許第7,790040号明細書に記載されている。
【0008】
米国特許出願公開第2011/0005984号明細書が、2つの部分からなる弁を提案している。分離したおそらくは1回限りの使用の弁部分が、媒体に接触し、再使用可能な空気圧式アクチュエータが、弁部分に隣接させて配置される別の部分を形成する。2つの部分を、機能する弁となるように接続することができる。しかしながら、これらの弁装置は、消耗品部分および後者に隣接する流れの導管のシージング(seizing)および配置を、空気圧式アクチュエータ部分のサイズ、位置、または構成から独立して選択することができないため、かさばり、柔軟性に欠ける。
【0009】
上述した弁マニホールドとそれらの空気圧による制御システムとの間の固定された構成は、1回限りの使用の生物学的液体処理システムにとって業界標準であるが、システムおよびその1回限りの使用の消耗品の取り扱いに伴う限られた柔軟性、高いコスト、ならびに大きな物理的サイズおよび重量に関して、固定された構成のいくつかの欠点が存在する。
【0010】
生物学的液体の取り扱い、とくには生物医薬品の製造に関して低いコストおよび高い柔軟性を提供するより良好な弁の設計について、ニーズが存在する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
一態様において、本発明は、生物学的液体処理システムのための流体制御システムを提供する。
【0015】
すなわち、一実施形態においては、液体処理システムにおけるプロセス流体を制御するための弁システムであって、
a)(i)2つ以上の入り口導管と、出口導管と、前記導管における流れを制御することができる複数の弁構成要素とを備える濡れ部分と、(ii)前記導管における流れを制御する複数の第1のアクチュエータと、を備える弁装置と、
b)複数の第2のアクチュエータと、前記第2のアクチュエータを前記複数の第1のアクチュエータと相互接続する複数の空気導管と、を備える空気制御システムと、
c)前記第2のアクチュエータを前記複数の第1のアクチュエータと相互接続する前記空気導管のうちの少なくとも2つを接続および切り離すためのコネクタユニットと
を備えており、前記弁装置が前記コネクタユニットへと接続されるとき、2つ以上の弁が形成され、前記第2のアクチュエータが前記弁の開/閉または圧力制御の態様を制御する、弁システムが提供される。
【0016】
弁装置は、複数の弁構成要素を備え、その片側が、プロセス流体に直接接触し、これらの弁構成要素は、弁システムの一部として、1回限りの使用の流路におけるプロセス流体の流れを制御することができる。流体の経路の典型的なサイズは、直径1〜32mmの間であるが、より小さな流路およびより大きな流路も実現可能である。
【0017】
空気制御システムは、例えば弁装置の側においてオン/オフ弁および圧力制御弁の機能に対応するように、弁装置の弁位置を全開および全閉ならびに中間の閉および開位置の間で動かすべく流体の圧力(液体または気体)を制御することによって複数の弁を制御する。さらに、空気制御システムは、少なくとも1つのコネクタユニットによって仲介される相互接続のための複数の空気導管を備えることで、弁装置の側における流体配管および/または流体導管の構成の入れ替えを可能にする。空気制御システムは、弁装置へと接続された空気導管の内部の空気の圧力を調節するために、電磁弁またはモータ駆動の弁を備えることができる。
【0018】
コネクタユニットは、空気制御システム内の複数の空気導管について、弁装置の導管との接続および切り離しを可能にする。
【0019】
特定の実施形態において、弁装置またはコネクタユニットの構成または空間的配置を、弁システムの動作の態様を変更するために変化させることができる。
【0020】
他の実施形態においては、コネクタユニットの構成が、弁システムの動作の態様を変えるために変更される。
【0021】
さらに他の実施形態においては、空気制御システムの構成が、弁システムの動作の態様を変えるために変更される。
【0022】
弁装置、コネクタユニット、および空気制御システムの構成または空間的配置の変更は、例えば、位置変更、再配置、または向きの変更などによって物理的に達成することができ、制御要素の再配線または再アドレスなどによって電気的または電子的に達成することができ、あるいは代替の流体導管の配置によって達成することができる。例えば、空気制御システムの構成を、空気制御システム内の弁をアドレスし直し、あるいは例えば弁装置の変更された構成に一致する弁位置を割り当てし直すために、変更することができる。
【0023】
弁システムは、伝統的なシステムに使用される標準的な弁装置と比べて、少ないホールドアップ(holdup)体積および最小限の逆混合(back mixing)を有する。さらに、弁装置は、費用効率が高く、機械的に複雑でなく、それでいて空間的配置および構成の可能性において高い柔軟性をもたらす使い捨て部分であってよい。構成可能性の一部は、空気により、あるいは好ましくは電気または電子制御により、例えば第2のアクチュエータに係合する電磁石を使用することによる弁の遠隔制御を通じ、システムキャビネットの内部の流体によって駆動される第2のアクチュエータの再配置によって達成される。
【0024】
したがって、特定の実施形態において、複数の第2のアクチュエータおよび空気制御システムの空気導管は、液体処理システムをホストするキャビネットの内部に位置する一方で、コネクタユニットは、キャビネットの外パネル上に位置する。空気圧で駆動される第2のアクチュエータを生物学的液体処理システムのキャビネットの内部の遠方の位置に配置できる一方で、第1の弁の空気による動作は、空間的な柔軟性を提供する空気導管の接続を介して駆動される。
【0025】
弁システムの唯一の濡れ部分としての弁装置は、1回限りの使用の部分であってよく、コネクタユニットによって空気制御システムへと単純に接続および固定される。弁装置を、あらかじめ殺菌することもできる。特定の実施形態において、弁装置は、内部の体積を環境へと露出させることなく流路を他の流体処理または流体移送ユニットと相互接続または切り離しする際に内部流路空間の無菌状態または制御された環境を維持する無菌の/殺菌されたコネクタおよび/または切り離し器を備える閉じかつ収容されたユニットとして設けられる。特定の実施形態においては、ReadyMate(商標)タイプのコネクタ(GE Healthcare社)などの無菌のコネクタを、弁装置と他の流体処理または流体移送ユニットとの間の流路を接続するために使用することができる。これにより、無菌状態を維持することができ、流体処理ユニット内で取り扱われる潜在的に有害な構成要素による環境の暴露を回避することによって作業者の安全が保証される。空気制御システムは、再使用可能であり、殺菌の必要がない。弁装置は、好ましくは、例えば1つまたは複数の密封バッグ内に包むことによって殺菌に適した形態にパッケージされ、次いでガンマ線照射へと送られる。
【0026】
特定の実施形態において、弁システム内の弁装置は、2つのモジュールによって形成され、第1のモジュールは濡れ部分を含み、第2のモジュールは複数の第1のアクチュエータを含む。
【0027】
特定の実施形態において、第1および第2のモジュールは、クランプ装置またはクランプ板によって固定される。あるいは、第1および第2のモジュールを、ねじおよびボルトによって固定することができる。
【0028】
特定の実施形態において、弁装置の第1のモジュールは、クランプ装置またはクランプ板によって固定される可撓な袋から形成される。
【0029】
弁ブロックとして具現化された弁装置(150)を備える遠隔操作空気弁システムの概略図が、
図1に示されている。弁ブロックを備える生物学的液体処理システムの1回限りの使用の流路が、好ましくはシステムキャビネット(110)の外部に位置する一方で、再使用可能な空気弁システムは、好ましくはシステムキャビネット(110)の内部に位置する。空気制御システムは、キャビネットの内部に取り付けられた複数の空気圧式アクチュエータ(120)、好ましくはキャビネットの外パネルに位置するコネクタユニットおよび空気動作チャンバ(130)、ならびに空気圧式アクチュエータ(120)と各々の個別の空気チャネルとコネクタユニット(130)の接続点とを接続する複数の空気導管(140)を備えている。
【0030】
コネクタユニット(130)と、1回限りの使用の流路(160)内に位置し、あるいは1回限りの使用の流路(160)に隣接す
る弁装置(150)とが、弁を協働して形成する。1回限りの使用の流路の側における弁の物理的な位置に応じて、典型的には、コネクタユニットと1回限りの使用の流路の弁との間に空気導管が適用され、好ましくは1回限りの使用の流路アセンブリに一体化される。
【0031】
遠隔操作空気弁システムのための代表的な弁装置(200)が、
図2aに示されている。
図2bは、代表的なダイアフラム弁(250)の断面側面図を示している。弁装置は、生物学的流体の操作のための2つ以上(ここでは4つ示されている)の入り口導管(210)と、出口導管(220)と、入り口導管(210)を覆って個々の弁位置を形成する対応する数のダイアフラム(212)とで構成される。各々の入り口導管(210)は、入り口と出口との間の開口をダイアフラム(212)の位置によって制御できるように、弁サドル(216)を有する弁室(214)を備えている。ここではダイアフラム弁方式が示されているが、同じ要件を満足させる空気圧による動作によって駆動される弁のための多数の代案の構成および設計が存在することは、明らかである。
【0032】
また、液体の流れを弁によって制御する必要がある場合に、流路マニホールドについて、多数のさまざまな設計が存在する。したがって、本書類に含まれる図面は、あくまでも例示の役割を果たすにすぎず、本発明は、ここに示される設計に限られるわけではない。例えば、
図2(a)は、単一の平面内の弁装置の或る程度二次元的な配置を示しているが、三次元的な配置が、特定の状況においては好都合となり得る。したがって、入り口および/または出口導管は、弁装置の複数の側/表面に位置してよいと考えられる。
【0033】
弁装置は、好ましくは低コストのために射出成形による部品から作られる。いくつかの実施形態において、弁装置および1回限りの使用の流路は、好ましくは、液体および空気の移動の視覚による観察を可能にするために透明または半透明な材料から作られる。
【0034】
示されている図(
図2(b))において、弁装置(200)は、ダイアフラム弁(250)と、ダイアフラム(212)に隣接する古典的なサドル座とを備えて設計されている。弁ダイアフラム(212)は、空気の圧力が除かれたときにたわむことができるように充分にしなやかなポリマーで構成される。そのようなしなやかな圧力応答材料は、フルオロポリマー(fluorpolymer)であってよい。典型的な実施形態において、弁ダイアフラムは、0.01インチの幅を有するパーフルオロアルコキシ共重合体樹脂熱可塑性材料で形成されるが、他の材料および厚さも使用可能である。ダイアフラム弁(250)が、単純さ、性能、および拡大/縮小の容易さという理由で好ましいが、例えばカウンタープレス弁(counter press valve)、ロッカー弁(rocker valve)など、空気動作によって駆動される弁の他の構成も、同様に実現可能である。
【0035】
弁装置およびコネクタユニットが接続されたとき、ダイアフラム弁が、1回限りの使用の液体流路の側の入り口導管および出口導管(まとめて、弁室)と、空気動作チャンバ(260)との間に形成され、1回限りの使用の液体流路の側のダイアフラムが、弁室と空気動作チャンバとを隔てる(
図2(b))。各々の空気動作チャンバは、空気導管(270)およびコネクタユニットを介して空気制御システムへと接続される。
【0036】
ダイアフラム弁の例において、弁装置におけるばね付勢の設計が、常時開または常時閉の位置のための完全な行程を促進する。あるいは、適度な非対称(gauche)圧力へと制御された真空ポンプが、「全開」位置へとダイアフラムを引っ込めることも同様に可能である。この真空ポンプの技術的解決策は、使い捨ての弁の側におけるさらなるコストの削減および複雑さの軽減を促進する。いずれにせよ、ダイアフラムは、空気の圧力が加えられると、弁室内の弁サドルに対して押し付けられて密に係合し、圧力が緩められると、流体の流れからの圧力に起因してたわむ。
【0037】
特定の実施形態においては、弁を、弁の上流に所望の圧力を達成するために流れの制限を可能にする比例制御特性を備えるように設計することができる。そのような機能は、例えば、接線流ろ過(tangential flow filtration)の制御において、フィルタの出口において流れを絞ることによってフィルタをまたぐ膜貫通圧力を制御するために所望される。そのような機能をダイアフラム弁の図示の例において達成するために、空気制御圧力を、弁を完全に流体を通さぬように閉じるために加えられる空気の圧力よりも低いが、弁を全開にするために加えられる最低の圧力よりも依然として高い中間圧力レベルに等しくなるように、空気制御システムによって調節することができる。
【0038】
特定の実施形態においては、
図2(b)に示したダイアフラムの代わりに、機械的な構成部品からなる手段が、アクチュエータの機能を引き受けることができ、機械的なアクチュエータに空気システムが関与する。特定の実施形態においては、空気システムが関与する機械的なアクチュエータが、ダイアフラム、フラップ、レバー、など、1回限りの使用の流路の内部の液体の流れを開放、閉鎖、または調節するために位置または形状を変化させる1回限りの使用の弁装置における構成部品と、相互作用することができる。
【0039】
特定の実施形態において、1回限りの使用の弁を動かすための空気制御システム、コネクタ、および導管を、液体によって駆動される油圧式のシステムとして設計することもできる。
【0040】
本発明の特定の実施形態による新規な弁システムは、生物学的液体処理システムに独特の設計の柔軟性を提供する。例えば、弁装置およびコネクタユニットの構成または空間的配置を、弁システムの動作の態様を変更するために変化させることができる。
【0041】
異なる弁装置を、標準のコネクタユニットへと接続することができる。したがって、特定の実施形態において、弁装置およびコネクタユニットの各々は、それらの接続時の正しい整列を保証するための1つ以上の位置決めの特徴を含む。弁装置の制御は、システムソフトウェアならびにキャビネットの内部の空気制御システムの指示によって設定される。より単純な弁の構成からより複雑な弁の構成までの範囲を接続するために、いくつかの変種が可能である。そのような変種は、システムを、モジュール式の様相で、さまざまなサイズおよびシステムの容量ならびにクロマトグラフィ、ろ過、などのさまざまな単位動作および流路の型へと適合させるために必要とされ得る。
【0042】
図3が、弁システムの3つの典型的かつ柔軟な選択肢としての設計を示している。第1の例においては、弁装置(350)を生物学的液体処理システムの外パネル上のコネクタユニット(330)から離して配置する必要がある場合に、空気延長ハーネス(380)を使用して、コネクタユニット(330)と弁装置(350)とを接続することができる。延長ハーネス(380)は、空気制御システムと同じ数の流体導管を備え、空気制御システムの延長としての役目を果たす。延長ハーネス(380)の一端が、コネクタユニット(330)につながり、したがって延長ハーネスからの流体導管の各々が、空気制御システムの対応する空気導管と連続的な導管を形成する。延長ハーネスの他端は、コネクタユニット(331)としての役割を果たし、弁装置と接続されたときに、弁が形成される。
【0043】
第2の例においては、弁装置(350’)を生物学的液体処理システムの外パネル上のコネクタユニット(330’)とは異なる位置に配置する必要がある場合に、横延長ハーネス(380’)を使用することができる。第1の例と同様に、延長ハーネス(380’)は、空気制御システムと同じ数の空気導管を備え、空気制御システムの延長としての役目を果たす。延長ハーネス(380’)の一端が、コネクタユニット(330’)につながり、したがって延長ハーネスからの流体導管の各々が、空気制御システムの対応する空気導管と連続的な導管を形成する。延長ハーネス(3
80’)の他端は、コネクタユニット
(331’)としての役割を果たし、弁装置(350’)と接続されたときに、弁が形成される。外部の横延長ハーネスを使用する1つの利点は、延長ハーネスが、本来であれば一体化される1回限りの使用の消耗品内の対応する空気導管を置き換えることができ、したがってコストの削減、1回限りの使用の消耗品のよりコンパクトな設計、あるいは機能の向上、使用の容易さの改善、または設計の複雑さの軽減における他の利点を、可能にすることであり得る。好ましくは、横延長ハーネスは、空気制御システムを備えるシステムキャビネットと1回限りの使用の流路との間に配置される中間層またはプレートに一体化される。
【0044】
第3の例においては、特別に構成された横延長ハーネス(380’’)を、空気コネクタにおける空気接続のうちの一部だけを用いて接続を行うことによって異なる弁の構成を可能にするために、使用することができる。空気コネクタユニットにおける空気接続のうちの別の一部を、別の空気ハーネスを使用し、あるいは使用せずに、異なる構成へと接続することができる。このように、特別に構成されたコネクタユニット(330’’)を一端に有している横延長ハーネス(380’’)を、生物学的液体処理システムの外パネルへと取り付けることができ、ハーネスの他端を、空気制御システムのコネクタユニット(3
31’’)へと接続することができる。これらに特別に構成されたコネクタユニット(3
31’’)は、対応する設計の弁装置(350’’)と一緒に使用されるとき、例えばクロマトグラフィ、ろ過、などの独特の用途に合わせて特定的に構成された弁をもたらす。
【0045】
特定の実施形態においては、複数の空気コネクタユニットを、1回限りの使用の流路との連絡のために使用することができる。これらの複数の空気コネクタは、個別にアドレスされてよいが、空気配管の並列構成も、使用することが可能である。
【0046】
特定の実施形態においては、空気アクチュエータ・インターフェイス・モジュールを、コネクタおよび器具のキャビネットへと直接取り付けることができる(図は示されていない)。
【0047】
特定の実施形態において、弁システムは、弁装置をシステムキャビネット(450)および/または空気コネクタユニット(440)に対して取り付けて固定するために、クランプ板(430)をさらに備える。クランプ板(430)は、好ましくは、ポンプユニットをポンプ駆動部に対して取り付けて固定し、センサユニットをセンサ読み取り機または送信機部分に対して取り付けて固定するなど、1回限りの使用の流路の他の構成部品を取り付けて固定することもできる。特定の実施形態においては、弁装置を、2つのモジュールによって形成することができ、第1のモジュールは濡れ部分を含み、第2のモジュールは複数の第1のアクチュエータを含む。さらに、クランプ板(430)を、1回限りの使用の濡れ部分(流体デバイス(420))を複数の第1のアクチュエータを含む空気アクチュエータ・インターフェイス・モジュール(410)に対して取り付けて固定するために使用することができる(
図4)。さらに、クランプ板(430)を、1回限りの使用の濡れ部分(流体デバイス(420))、複数の第1のアクチュエータを含む空気アクチュエータ・インターフェイス・モジュール(410)、空気コネクタユニット(440)、およびシステムキャビネット(450)の層のうちの少なくとも1つをお互いに対して取り付けて固定するために使用することができる
(図4)。空気アクチュエータ・インターフェイス・モジュール(410)は、1回限りの使用の流体デバイス(420)の構成と調和するように構成され、流体デバイス(420)に隣接して位置することができ、クランプ板(430)が、1回限りの使用の流体デバイス(420)を空気アクチュエータ・インターフェイス・モジュール(410)に対して取り付けて固定する。1回限りの使用の流体デバイス(420)の側の弁装置は、実質的に流体デバイス(420)と空気アクチュエータ・インターフェイス・モジュール(410)との間の界面に位置し、空気アクチュエータ・インターフェイス・モジュール(410)内の可動のアクチュエータ(ピストンであってよい)と1回限りの使用の流体デバイス(420)の側のダイアフラム弁のダイアフラム(412)との間の相互作用を可能にする。弁装置を含む1回限りの使用の流体デバイス(420)は、いくつかの入り口および出口流体コネクタ(418)を含む。これらの流体コネクタ(418)は、外部の流体処理または流体移送設備への接続のためにクランプ板(430)を貫いて取り付けられるか、あるいは外部へとクランプ板(430)の平面内を横方向に延びる。流路および/または弁装置ならびにクランプ
板(430)は、層のお互いに対する整列、係合、および固定のための1つ以上の位置決めの特徴(480)を備える。クランプ板(430)および弁装置は、液体および空気の圧力からの力を引き受けることができる。いずれかの層のお互いに対する取り付けおよび/または固定ならびに/あるいはシステムに対する取り付けおよび/または固定のための手段は、多数の構成にて設計されてよい。特定の実施形態において、層のお互いに対する取り付けおよび固定のための手段は、流路の取り付けおよび/または状態を監視するシステムまたは構成要素への電気フィードバック信号による取り付けの確認など、追加の機能を備える。特定の実施形態においては、お互いに対して取り付けられる部品の近接の位置が、流路の取り付けおよび/または状態を監視するシステムまたは構成要素へのフィードバック信号を生じさせることができる。
【0048】
別の実施形態においては、液体処理システムにおけるプロセス流体を制御するためのポンプ・ダイアフラム・システムであって、
a)少なくとも1つの入り口導管と、少なくとも1つの出口導管と、前記導管の流体の流れを制御するポンプダイアフラムとを備えるポンプ装置と、
b)前記ポンプダイアフラムの動きを制御する第1のアクチュエータと、
c)前記ポンプダイアフラムの下流および上流の少なくとも2つの逆止弁機能と、
d)空気導管を備える空気制御システムであって、前記空気導管は、前記空気制御システムの第2のアクチュエータを前記第1のアクチュエータと相互接続し、前記相互接続のための導管は、流体配管および/または前記ポンプ装置の側に位置する空気導管の構成を入れ替えることを可能にするコネクタユニットによって仲介されている空気制御システムと
を備えており、前記ポンプ装置が前記コネクタユニットへと接続されるとき、1つ以上の接続が形成され、ポンプ機能が、前記ポンプダイアフラムにおける圧力を周期的に変化させることによって実現される、ポンプ・ダイアフラム・システムが提供される。とくに述べられない限り、ポンプ・ダイアフラム・システムは、すでに説明した弁システムの設計と同様の設計であり、上述の弁システムと同様の柔軟性および構成の可能性を提供する。
【0049】
別の実施形態においては、液体処理システムにおけるプロセス流体を制御するためのシステムであって、本発明の特定の実施形態によるポンプ・ダイアフラム・サブシステムを本発明の特定の他の実施形態による弁サブシステムと組み合わせて備えるシステムが提供される。
【0050】
したがって、システムは、
a)少なくとも1つの入り口導管と、少なくとも1つの出口導管と、前記導管の流体の流れを制御するポンプダイアフラムとを備えるポンプ装置と、
b)前記ポンプダイアフラムの動きを制御する第1のアクチュエータと、
c)前記ポンプダイアフラムの下流および上流の少なくとも2つの逆止弁機能と、
d)第1の空気導管を備える空気制御システムであって、前記第1の空気導管は、前記空気制御システムの第2のアクチュエータを前記第1のアクチュエータと相互接続し、前記相互接続のための導管は、流体配管および/または前記ポンプ装置の側に位置する空気導管の構成を入れ替えることを可能にするコネクタユニットによって仲介されている空気制御システムと
を備え、前記ポンプ装置が前記コネクタユニットへと接続されるとき、1つ以上の接続が形成され、ポンプ機能が、前記ポンプダイアフラムにおける圧力を周期的に変化させることによって実現される、ポンプ・ダイアフラム・サブシステムを含む。
【0051】
したがって、システムは、
a)(i)2つ以上の入り口導管と、出口導管と、前記導管における流れを制御することができる複数の弁構成要素とを備える濡れ部分と、(ii)前記導管における流れを制御する複数の第3のアクチュエータと、を備える弁装置と、
b)複数の第4のアクチュエータと、前記第4のアクチュエータを前記複数の第3のアクチュエータと相互接続する複数の第2の空気導管と、を備える空気制御システムと、
c)前記第4のアクチュエータを前記複数の第3のアクチュエータと相互接続する前記空気導管のうちの少なくとも2つを接続および切り離すためのコネクタユニットと
を備えており、前記弁装置が前記コネクタユニットへと接続されるとき、2つ以上の弁が形成され、前記第4のアクチュエータが前記弁の開/閉または圧力制御の態様を制御する、弁サブシステムをさらに含む。
【0052】
特定の実施形態において、ポンプ・ダイアフラム・サブシステムおよび弁サブシステムは、共通の空気制御システムを共有する。したがって、前記第2のアクチュエータおよび前記第4のアクチュエータは、共通の空気制御システム内のアクチュエータの一部である。さらに、ポンプ・ダイアフラム・サブシステムおよび弁サブシステムの空気導管は、それぞれ共通の空気制御システム内の空気導管のうちの一部である。
【0053】
特定の他の実施形態において、ポンプ・ダイアフラム・サブシステムおよび弁サブシステムは、共通のコネクタユニットを共有する。したがって、共通のコネクタユニットは、ポンプ・ダイアフラム・サブシステムの前記第1のアクチュエータおよび前記弁装置の前記第3のアクチュエータの両者を、一方側において、前記第1および第2の空気導管と接続することができる。特定の好ましい実施形態において、ポンプ・ダイアフラム・サブシステムおよび弁サブシステムは、共通の空気制御システムをさらに共有する。したがって、ポンプ・ダイアフラム・サブシステムおよび弁サブシステムの空気導管は、それぞれ共通の空気制御システム内の空気導管のうちの一部である。さらに、前記第2のアクチュエータおよび前記第4のアクチュエータは、共通の空気制御システム内のアクチュエータの一部である。
【0054】
次に、弁装置およびポンプ装置を、或る程度詳しく説明および対比する。
【0055】
図5が、本発明の実施形態による弁装置の概略の断面図を示している。弁装置は、一方側の弁プレート(510)と、他方側のプラスチック製支持板(530)によって支持された弁膜(520)とを備えている。弁プレート(510)は、いくつかの弁座(512)と、いくつかの流体コネクタ(5
50)(1つだけ図示されている)とを含んでいる。弁プレート(510)は、随意により、クランプ板(図示されていない)が使用される場合に位置決めの特徴(514)を含む。プラスチック製支持板(530)は、弁座(512)の位置に対向する位置に開口を含んでいる。随意により、プラスチック製支持板(530)も、位置決めの特徴(534)を含むことができる。
【0056】
図6が、本発明の実施形態によるポンプ装置の概略の断面図を示している。ポンプ装置は、一方側のポンププレート(610)と、他方側のプラスチック製支持板(630)によって支持された膜(620)とを備えている。ポンププレート(610)は、いくつかの弁座(612)と、いくつかの流体コネクタ(1つだけ図示されている)とを含んでいる。あるいは、流体コネクタおよび対応する流体配管が、ポンプそのものを越える他の部分または機能を備えるより大きな流路装置に一体化されてもよい。ポンププレート(610)は、随意により、クランプ板が使用される場合に位置決めの特徴(図示されていない)を含む。さらに、ポンププレート(610)は、ポンプ室(640)としての空洞を含む。プラスチック製支持板(630)は、弁座(612)の位置に対向する位置に開口(632)を含んでいる。随意により、プラスチック製支持板(630)も、位置決めの特徴(図示されていない)を含むことができる。プラスチック製支持板(630)は、ポンプ押し板(652)と、クリップ(654)と、復帰ばね(656)とを含むばね付勢付きポンプ押し要素(650)をさらに備える。ここに示されている典型的なポンプは、3つのアクチュエータを使用し、2つの弁(660)がポンプの動作の方向を定め、1つ(より強力であってよい)が中央でポンプ膜を動かす。ポンプ膜(620)が、アクチュエータ(過圧を生み出す)によって押し込まれる一方で、復帰ばねが、行程を定めるストッパまでポンプ膜(620)を外方向に動かす(負圧を生み出す)。あるいは、ポンプは、1つ以上のアクチュエータおよび少なくとも2つの逆止弁で構成されてよく、そのうちの少なくとも1つが、ここで説明される原理を使用して加圧された空気のシステムによって駆動/制御されてよい。別の実施形態においては、ポンプを、ポンプダイアフラムを定める少なくとも1つのアクチュエータと、少なくとも2つの逆止弁とで構成することができ、逆止弁のうちの少なくとも1つは、空気システムおよび対応するアクチュエータによって制御されるのではなく、むしろ例えばばねの力などの機構、磁場または電磁場、重力または浮力、あるいは他の適切な手段など、他の手段によって制御される。
【0057】
図7は、クロマトグラフィプロセスのために構成された本発明の特定の実施形態による液体処理システムの流路の構成の概略図を示している。
【0058】
クロマトグラフィプロセスのための典型的な流路の例は、少なくとも1つの入り口および1つの出口弁ブロックおよびマニホールドをそれぞれ使用する。図示の例は、2つのポンプの間の流体の混合によって勾配を形成するための第2のポンプと、勾配ポンプのための第2の入り口マニホールドとをさらに使用する。システムを、例えば試料の適用のためのさらなるポンプに合わせて構成することができる。追加の弁が、クロマトグラフィカラム、空気または気泡トラップ、フィルタ、あるいはガードカラム(図示されていない)などの処理構成要素への液体の流れを制御するために用いられる。弁装置は、構成要素が系統に接続され、あるいはバイパスされるように、液体の流れを開閉することができる。弁装置は、液体の流れをクロマトグラフィカラムへと異なる方向に加えることができるように、より広大であってよい。さらに
図7は、液体処理システムにおける圧力、流量、pH、温度、伝導度、および吸収(UV)のセンサの典型的な配置を示している。クロマトグラフィカラムと同様に、弁装置を、センサを系統に接続し、あるいはバイパスの状態(図示されていない)に接続するために使用することができる。さらに、弁装置を、プロセス流体に専用の主たる流路には連絡していない別の流体配管を使用してセンサを較正用の流体と接触させることができるように、センサの周囲において構成することができる。
【0059】
図8は、クロスフローろ過プロセスのために構成された本発明の特定の実施形態による液体処理システムの流路の構成の概略図を示している。
【0060】
クロスフローろ過プロセスのための典型的な流路の例は、入り口および出口弁ブロックおよびマニホールドをそれぞれ使用する。プロセス液体が、クロスフロープロセスの際にタンクに保持され、送りポンプによってフィルタユニットを越えて再循環させられる。プロセス液体がフィルタへと送られるとき、ろ液または透過物(permeate)が、膜を通過し、フィルタ出口において取り除かれる一方で、液体の約90%は、「不透過物(retentate)」流体として処理タンクへと戻される。比例制御弁(R−PCV)が、不透過物液体の流れを絞ることによって不透過物の圧力、したがってフィルタ膜をまたぐろ過プロセスの駆動力である膜貫通圧力を調節するように、調節される。伝導度、空気、pH、などのパラメータを測定する追加のセンサが、
図8には詳しくは示されていないが、プロセスの監視および制御のために使用される。弁ブロックおよびマニホールドは、処理の構成要素をバイパスし、あるいは液体の流れをタンクに向かって再循環させるためにさらに必要とされ、そのように構成される。図示の流路の構成は、処理の範囲ならびにシステムの洗浄(flushing)、清掃、および水切り(draining)の要件に応じ、他の構成が可能であり、より複雑であっても、あるいは好ましくはより複雑でなくてもよいため、あくまでも例を示しているにすぎない。
【0061】
図9は、ノーマルフローろ過プロセスのために構成された本発明の特定の実施形態による液体処理システムの流路の構成の概略図を示している。
【0062】
ノーマルフローろ過(または、いわゆる全量(dead end)ろ過)プロセスのための流路の例は、
図7および
図8に示した例と比べて、より複雑でない。典型的には、より少数の入り口および出口しか必要とされない。フィルタを直列に接続することができ、弁マニホールドが、フィルタの接続を、系統内またはバイパスの構成として制御することができる。
【0063】
図7〜9の例によって説明されるとおり、液体処理システムならびに弁、ポンプ、センサ、フィルタ、などを備える濡れる処理の流路は、ここではクロマトグラフィ、クロスフローろ過、およびノーマルフローろ過によって例示される処理の作業に応じて、きわめて異なる。さらに、各々の処理ユニットにおける装置は、例えば数、物理的配置、サイズ、機能(オン/オフ対制御弁)に関する弁のさまざまな構成を受け入れることができる。本発明の利点は、これらの弁の空気制御を、空気コントローラを再使用し、処理のニーズおよび設置された流路の構成に応じて空気導管の位置および接続をアドレスし直すことによって、費用効率の高いやり方で扱うことができる点にある。好ましくは、1回限りの使用の部分における流体配管の内径の寸法は、0.5〜50mmの範囲であり、より好ましくは1〜32mmの範囲である。好ましくは、1回限りの使用の流路層の寸法は、0.1〜2.0x0.1〜2.0mの大きさであり、より好ましくは0.2〜1.5x0.2〜1.5mの大きさである。
【0064】
上述した液体処理の仕事および単位動作は、例として提示されている。本発明は、当然ながら、疑似移動床(SMB)クロマトグラフィ、流体混合、および流体処理のシステムなど、他の単位動作にも適用可能である。したがって、本発明は、説明された例に限られるものではない。
【0065】
好ましくは、弁装置およびポンプ装置に使用される膜は、TPE(熱可塑性エラストマ)材料から製作される。
【0066】
弁プレートおよびポンププレートを、射出成形することができる。好ましくは、それらは、TPE(SEBS、サントプレン(登録商標)、など)に対して溶接することができるIR透過性のプラスチックから製作される。プラスチック製支持板も、射出成形することができる。好ましくは、プラスチック製支持板は、TPE(TPE IR吸収(黒))とのオーバーモールド成形に適した材料から製作される。したがって、膜を弁プレートまたはポンププレートへとレーザ溶接できる一方で、それはプラスチック製支持板へとオーバーモールド成形される。ばねで付勢されたポンプ押し要素も、膜へとレーザ溶接することができる。
【0067】
本発明の特定の実施形態を図示および説明したが、本発明の教示から離れることなく、変更および修正を行うことが可能であることは、当業者にとって明らかであろう。以上の説明および添付の図面において説明された主題は、あくまでも例示として提示されているにすぎず、本発明を限定するものとして提示されているのではない。本発明の実際の技術的範囲は、以下の特許請求の範囲に、先行技術にもとづく適切な見方にて眺めるときに定められるように意図されている。