(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一金属酸化物粉末が、ジルコニウム酸化物、セリウム酸化物、イットリウム酸化物、希土類酸化物、アルミニウム酸化物及びマグネシウム酸化物からなる群から選択される少なくとも一種を含む複合酸化物であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化触媒。
前記第三金属酸化物粉末が、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、イットリウム酸化物及び希土類酸化物からなる群から選択される少なくとも一種を含む複合酸化物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化触媒。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0018】
本発明の触媒について説明する。本発明の触媒は、第一の活性成分としてのロジウムが第一金属酸化物粉末に担持されてなる第一活性粉末からなる第一集合体粒子と、ロジウム以外の第二の活性成分が第二金属酸化物粉末に担持されてなる第二活性粉末からなる第二集合体粒子と、活性成分を含有しない第三金属酸化物粉末からなるマトリックスと、
を備えており、前記マトリックス中に前記第一集合体粒子と前記第二集合体粒子とが包含されており、かつ、前記第一集合体粒子の体積平均粒子径と前記第二集合体粒子の体積平均粒子径とがそれぞれ50〜600μmの範囲である、ことを特徴とする触媒である。
【0019】
(第一集合体粒子)
本発明の触媒における第一集合体粒子としては、第一の活性成分としてのロジウムが第一金属酸化物粉末に担持されてなる第一活性粉末からなることが必要である。
【0020】
このような本発明の触媒にかかる第一集合体粒子において、第一金属酸化物粉末としては、特に制限されず、本発明の触媒の用途において通常用いることが可能な金属酸化物であればよい。
【0021】
このような第一金属酸化物粉末、第二金属酸化物粉末、及び第三金属酸化物粉末に用いる金属酸化物としては、具体的には、卑金属元素(Y、La、Ce、Pr、Nd、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Ca、Mg、Al、K、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ga、Rb、Sr、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Cs、Ba、Ta、W等)、貴金族元素(Pt、Pd、Rh、Ru、Au、Ag、Os、Ir)及びメタロイド元素(Si、Ge、As、Sb等)からなる群から選択される少なくとも一種の金属の酸化物が挙げられ、中でもCe、Zr、Al、Ti、Si、Mg、Fe、Mn、Ni、Zn及びCuからなる群から選択される少なくとも一種の金属が好ましく、一種の金属酸化物を単独で、又は二種以上の金属酸化物を組み合わせ、或いは複合酸化物として用いることができる。また、担持する活性成分の種類や目的とする触媒にもよるが、活性成分を高活性な状態で担持する観点から、アルミナ、ジルコニア、セリア、セリア−アルミナ、セリア−ジルコニア(複合酸化物固溶体)、チタニア及びゼオライトからなる群から選択される少なくとも一種の金属酸化物であることがより好ましい。なお、本発明にかかる金属にはメタロイド(半金属)も含まれ、また、金属酸化物はセリア−ジルコニア複合酸化物、セピオライト、ゼオライトのように複数の金属元素を含有していてもよい。また、本発明で用いる第一金属酸化物粉末、第二金属酸化物粉末及び第三金属酸化物粉末の組み合わせも特に制限されず、目的とする本発明の触媒の用途等に応じて適宜選択される。
【0022】
なお、本発明の第一集合体粒子における第一金属酸化物粉末としては、ロジウム(Rh)をより高分散で担持することができるとともに、担持したRhの酸化をより十分に防止できることから、高比表面積の金属酸化物からなるものが好ましく、ジルコニウム酸化物(ZrO
2)、セリウム酸化物(CeO
2)、イットリウム酸化物(Y
2O
3)、希土類酸化物、アルミニウム酸化物(Al
2O
3)及びマグネシウム酸化物(MgO)からなる群から選択される少なくとも一種を含有するものを用いることがより好ましい。このようなZrO
2、CeO
2、Y
2O
3、希土類酸化物、Al
2O
3及びMgOからなる群から選択される少なくとも一種を含有する第一金属酸化物粉末は、ZrO
2、CeO
2、Y
2O
3、希土類酸化物、Al
2O
3又はMgOの単体からなるものであってもよく、ZrO
2、CeO
2、Y
2O
3、希土類酸化物、Al
2O
3及びMgOのうちの2種以上の複合酸化物や固溶体であってもよい。
【0023】
また、このような第一金属酸化物粉末としては、ロジウム(Rh)の耐熱性維持の観点から、ジルコニウム酸化物、セリウム酸化物、イットリウム酸化物、希土類酸化物、アルミニウム酸化物及びマグネシウム酸化物からなる群から選択される少なくとも一種を含む複合酸化物であることが好ましい。
【0024】
更に、本発明の触媒にかかる第一集合体粒子においては、担体の熱安定性やRhの触媒活性向上の観点から、本発明の効果を損なわない範囲で、適宜添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、例えば、ランタン(La)、イットリウム(Y)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、スカンジウム(Sc)、バナジウム(V)等の希土類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属の酸化物、これらの金属の酸化物の混合物、これらの金属の酸化物の固溶体、これらの金属の複合酸化物を適宜用いることができる。また、前記第一金属酸化物粉末とこのような添加剤との複合酸化物や固溶体等であってもよい。
【0025】
このような第一金属酸化物粉末の形状としては、粉末状のものであること以外特に制限されないが、耐熱性が高く高比表面積であるものが好ましい。更に、このような第一金属酸化物粉末としては、一種を単独で或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
また、第一集合体粒子においては、前記第一金属酸化物粉末に第一の活性成分としてのロジウム(Rh)が担持されている。このような担持成分をロジウムとした場合には、例えば、本発明の触媒を排ガス浄化触媒に用いる場合、酸化雰囲気下においてもロジウムの状態は高活性なメタル状態に保たれ易く、十分な触媒活性を示すことができる。
【0027】
また、第一集合体粒子において、前記第一金属酸化物粉末に担持されるRhの担持量としては特に制限されないが、前記第一金属酸化物粉末100質量部に対して0.03〜1.0質量部であることが好ましく、0.05〜0.3質量部であることがより好ましい。このような活性成分の担持量が前記下限未満では、十分な触媒活性が得られなくなり、NOxやHC等の有害成分の排出を抑制できなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、触媒のコストが高くなる傾向にある。また、このような活性成分を前記第一金属酸化物粉末に担持させる方法としては、特に制限されず、前記第一金属酸化物粉末にRhを担持することが可能な公知の方法を適宜採用でき、例えば、Rhの塩を含有する水溶液を前記第一金属酸化物粉末に含浸させた後に乾燥し、焼成する方法を採用してもよい。
【0028】
更に、第一集合体粒子の形態としても、特に制限されず、第一金属酸化物粉末の凝集体の形態とすることが好ましい。
【0029】
(第二集合体粒子)
次に、本発明の触媒における第二集合体粒子としては、ロジウム以外の第二の活性成分が第二金属酸化物粉末に担持されてなる第二活性粉末からなることが必要である。
【0030】
このような本発明の触媒にかかる第二集合体粒子において、第二金属酸化物粉末としては、特に制限されず、前記第一金属酸化物粉末において説明した金属酸化物の粉末を用いることができる。
【0031】
また、本発明の触媒を排ガス浄化触媒に用いる場合、第二金属酸化物粉末としてはこのような触媒の担体として用いられる金属酸化物であればよく、それ以外特に制限されないが、例えば、アルミナ(Al
2O
3)、ジルコニア(ZrO
2)、チタニア(TiO
2)、シリカ(SiO
2)、シリカ−アルミナ、セリア(CeO
2)、セリア−アルミナ固溶体、セリア−チタニア固溶体、セリア−ジルコニア固溶体、ジルコニア−チタニア固溶体、シリカ−アルミナ固溶体、鉄含有複合酸化物、ゼオライト等の金属酸化物から適宜選択して用いることができる。
【0032】
更に、このような第二金属酸化物粉末としては、例えば、本発明の触媒を排ガス浄化触媒に用いる場合、酸素貯蔵能を有する金属酸化物粉末であることが好ましい。このような酸素貯蔵能を有する第二金属酸化物粉末としては、例えば、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、テルビウム(Tb)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)、ビスマス(Bi)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)等の金属の酸化物の粉末が挙げられる。また、このような酸素貯蔵能を有する金属酸化物の中でも、より高い酸素貯蔵放出性能を発揮できることから、セリア、プラセオジウム及びサマリウムを用いることが好ましく、セリアを利用することが特に好ましい。また、前記酸素貯蔵能を有する金属酸化物は1種を単独で、また、複数種類を混合あるいは複合化して用いてもよい。更に、前記第二金属酸化物粉末としては、より高度な酸素貯蔵能が得られるとともに耐熱性が向上するという観点から、前記酸素貯蔵能を有する金属酸化物と他の金属酸化物とを複合化させた多孔質の金属酸化物粉末が好ましい。このような他の金属酸化物としては、例えば、チタニア、ジルコニア、ランタナ、ネオジア、プラセオジア及びシリカ等の金属酸化物、並びに、これらの金属酸化物のうちの少なくとも2種以上の複合酸化物等といった公知の多孔質の金属酸化物が挙げられる。また、このような酸素貯蔵能を有する第二金属酸化物粉末としては、例えば、セリア−ジルコニア複合酸化物、アルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物、シリカ−セリア−ジルコニア複合酸化物、シリカ−セリア複合酸化物、セリア−ジルコニア−ランタナ複合酸化物、セリア−ジルコニア−ネオジア複合酸化物、セリア−ジルコニア−プラセオジア複合酸化物が挙げられ、中でも、ジルコニアによるセリアの構造安定化に基づいて、より高度な酸素貯蔵能が得られるといった観点から、セリア−ジルコニア複合酸化物、アルミナ−セリア−ジルコニア複合酸化物、セリア−ジルコニア−ランタナ複合酸化物を用いることが好ましく、セリア−ジルコニア固溶体を用いることがより好ましい。
【0033】
また、このような第二金属酸化物粉末としては、特性の異なる助触媒を併用し触媒性能を改善する観点から、鉄含有複合酸化物であってもよい。
【0034】
更に、前記第二金属酸化物粉末の形状としては、粉末状のものであること以外特に制限されないが、耐熱性が高く高比表面積であるものが好ましい。更に、このような第一金属酸化物粉末としては、一種を単独で或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
また、第二集合体粒子においては、前記第二金属酸化物粉末にロジウム(Rh)以外の第二の活性成分が担持されている。ここで、「活性成分」とは、触媒性能を発現又は向上させるために作用する成分であり、例えば、本発明の触媒を排ガス浄化触媒に用いる場合には排ガス浄化に関与する成分(排ガスを浄化するために作用する成分)をいう。
【0036】
このような第二の活性成分としては、ロジウム(Rh)以外の活性成分であること以外は特に制限されないが、例えば、Pt、Pd、Ir、Au、Ag、Cu、Co、Ni、V、Fe、Nb、Mo、W等が挙げられる。
【0037】
このような第二の活性成分としては、例えば、本発明の触媒を排ガス浄化触媒に用いる場合、炭化水素(HC)をより効率的に酸化したり、NOxをより効率よく還元して浄化することが可能となることから、Pt、Pd、Ir、Au、Ag、Cuがより好ましく、Pt、Pdが更に好ましく、Pdが特に好ましい。なお、このような活性金属の元素は1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて利用することができる。
【0038】
なお、このような第二の活性成分としては、炭化水素(HC)浄化の観点から、パラジウム(Pd)であることが更に好ましい。また、このような第二の活性成分としては、助触媒作用の観点から、鉄(Fe)であることも好ましい。
【0039】
また、第二集合体粒子において、前記第二金属酸化物粉末に担持されるPtやPd等の第二の活性成分の担持量としては特に制限されないが、前記第二金属酸化物粉末100質量部に対して0.1〜5.0質量部であることが好ましく、0.3〜2.0質量部であることがより好ましい。このような活性成分の担持量が前記下限未満では、十分な触媒活性が得られなくなり、NOxやHC等の有害成分の排出を抑制できなくなる傾向にあり、他方、前記上限を超えると、触媒のコストが高くなるとともに触媒の活性が低下する傾向にある。また、このような活性成分を前記第二金属酸化物粉末に担持させる方法としては、特に制限されず、前記第二金属酸化物粉末に第二の活性成分を担持することが可能な公知の方法を適宜採用でき、例えば、第二の活性成分の金属の塩を含有する水溶液を前記第二金属酸化物粉末に含浸させた後に乾燥し、焼成する方法を採用してもよい。
【0040】
更に、第二集合体粒子の形態としても、特に制限されず、第二金属酸化物粉末の凝集体の形態とすることが好ましい。
【0041】
(マトリックス)
本発明の触媒におけるマトリックスとしては、活性成分を含有しない第三金属酸化物粉末からなることが必要である。
【0042】
このような本発明の触媒にかかるマトリックスとしては、活性成分を含有しない金属酸化物粉末であること以外特に制限されず、公知の金属酸化物を用いることができる。具体的には、前記第一金属酸化物粉末において説明した金属酸化物の粉末を用いることができる。ここで、「活性成分」とは、触媒性能を発現又は向上させるために作用する成分であり、例えば、本発明の触媒を排ガス浄化触媒に用いる場合には排ガス浄化に関与する成分(排ガスを浄化するために作用する成分)をいう。また、「含有しない」とは、不純物程度の混入は許容されうることを意味し、例えば、本発明の触媒を製造する過程において第一集合体粒子及び/又は第二金属酸化物粉末に担持された活性成分がマトリックスに移行したようなものは許容される。
【0043】
このようなマトリックスとして用いる第三金属酸化物粉末としては、例えば、本発明の触媒を排ガス浄化触媒に用いる場合、高比表面積で高耐熱性の活性アルミナ、ジルコニア等であることが好ましい。
【0044】
また、このような第三金属酸化物粉末としては、前記第一集合体粒子の第一の活性成分として用いているロジウム(Rh)の触媒性能向上の観点から、Al、Zr、Ti、La、Nd、Pr及びYからなる群から選択される少なくとも一種の金属の酸化物を含むことがより好ましい。Al、Zr、Ti、La、Nd、Pr及びYはいずれも、Rhとの活性酸素授受が起こり難く、また固相反応も起こりづらいため、Rhの酸化状態に変化を及ぼす影響が無い又は小さく、Rhの活性をより向上させることができ、メタル状態を維持することが可能となる。
【0045】
更に、このような第三金属酸化物粉末としては、耐熱性の観点から、アルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、イットリウム酸化物及び希土類酸化物からなる群から選択される少なくとも一種を含む複合酸化物であることが好ましい。
【0046】
また、本発明の触媒においては、触媒コート層の剥離防止及び耐熱性の観点から、前記第三金属酸化物粉末がアルミニウム酸化物、ジルコニウム酸化物、及びこれらにLa、Nd、Pr、Y等を固溶させた複合酸化物からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0047】
(触媒)
本発明の触媒は、前記第一集合体粒子と前記第二集合体粒子と前記マトリックスとを備えており、前記マトリックス中に前記第一集合体粒子と前記第二集合体粒子とが包含されており、かつ、前記第一集合体粒子の体積平均粒子径と前記第二集合体粒子の体積平均粒子径とがそれぞれ50〜600μmの範囲であることが必要である。
【0048】
このような本発明の触媒おいては、前記マトリックス中に前記第一集合体粒子と前記第二集合体粒子とが包含されていることが必要である。ここで、「第一集合体粒子と第二集合体粒子とが包含されている」とは、前記第一集合体粒子及び前記第二集合体粒子が前記マトリックスの内部に含まれ、好ましくは分散していることを意味する。このような第一集合体粒子と第二集合体粒子とが包含されている形態としては、海に島が浮かんでいるダルメシアン模様のような形態、すなわち、例えば、本発明の触媒の断面を観察したときに、前記マトリックス(海)中に前記第一集合体粒子(島)及び前記第二集合体粒子(島)がダルメシアン模様のように浮かんでいるような形態であることが好ましい。更に、本発明の触媒においては、触媒全体で効果を発現する観点から、前記第一集合体粒子及び前記第二集合体粒子は前記マトリックス中に均一に分散しているのが好ましい。
【0049】
また、このような本発明の触媒おいては、前記第一集合体粒子の体積平均粒子径と前記第二集合体粒子の体積平均粒子径とがそれぞれ50〜600μmの範囲であることが必要である。このような本発明の触媒における前記第一集合体粒子の体積平均粒子径及び前記第二集合体粒子の体積平均粒子径が前記下限未満では、高温曝露(例えば、耐熱耐久処理等)により拡散するRhが第二集合体粒子に含まれる成分と固溶しやすくなり、他方、前記上限を超えるとRhと第二集合体粒子による助触媒の相互作用が働きにくくなる。このような前記第一集合体粒子の体積平均粒子径及び前記第二集合体粒子の体積平均粒子径としては、固溶防止と相互作用の効果発現の観点から、それぞれ60〜400μmの範囲であることが好ましく、それぞれ75〜300μmの範囲であることがより好ましい。
【0050】
ここで、「体積粒子径」とは、顕微鏡等により撮影された写真上で観察される第一集合体粒子及び/又は第二集合体粒子の粒子について、この粒子の面積を算出し、その1/2乗、つまり立方体と見なした際の立方体の体積(相当体積)と等価な体積を持つ一辺の長さをいう。
【0051】
また、「体積平均粒子径」とは、顕微鏡等により撮影された写真上で観察される第一集合体粒子及び/又は第二集合体粒子の複数個(好ましくは任意の10個以上、より好ましくは任意の50〜300個)の粒子の体積粒子径の平均値をいう。
【0052】
このような体積平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察、走査型電子顕微鏡(SEM)観察、電子線マイクロアナライザー(EPMA)観察、光学顕微鏡観察等により測定することができ、以下の手順で求めることができる。
(1)透過型電子顕微鏡(TEM)観察、走査型電子顕微鏡(SEM)観察、電子線マイクロアナライザー(EPMA)観察、光学顕微鏡観察等により複数個の前記粒子(第一集合体粒子及び/又は第二集合体粒子)が含まれるように、少なくとも1視野の写真を撮影する。
(2)得られた写真像について、写真像に含まれる粒子(第一集合体粒子及び/又は第二集合体粒子)の分離処理(確定処理)を行う。この粒子分離処理は、任意の公知の手法によって行う。例えば、代表的な手法としては、作図ソフト(例えば、Power point)を用いて目視で粒子と認識できる境目(粒子の外形)に沿って粒子を作図し粒子を塗りつぶして粒子を確定分離する方法、画像区分け方法等がある。画像区分け方法としては、自動閾値、エッジベース手法、Watershed変換等の接触した対象物の区分けに使用される形態学に基づく手法など様々な画像区分け方法がある。
(3)画像ソフト(例えば、フリーソフトのImageJ)により、体積平均粒子径の算出に必要なパラメータ(例えば、粒子の面積(Area)や粒子の最小外長方形(Bounding Rectangle)等を求める。
(4)体積平均粒子径(μm)を、Σ(nArea
2)/Σ(nArea
1.5)を算出することにより求める。ここで、nは粒子の個数、Areaは前記解析により求められた粒子の面積である。
【0053】
なお、上記一連の解析の全部又は一部は、一つの画像解析ソフト又は複数の画像解析ソフトや各種解析処理ソフトを組み合わせて行うことができる。具体的には、ImageJ(画像処理ソフトウェア、アメリカ国立衛生研究所にて開発)や市販の画像解析ソフトを用いることができる。
【0054】
また、このような本発明の触媒においては、第一集合体粒子の含有量が触媒全量(100質量%)に対して5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。このような触媒における第一集合体粒子の含有量が前記下限未満では、触媒性能や耐熱性が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると集合体を分離することが困難になる傾向にある。
【0055】
更に、このような本発明の触媒においては、第二集合体粒子の含有量が触媒全量(100質量%)に対して5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。このような触媒における第二集合体粒子の含有量が前記下限未満では、助触媒効果が低下する傾向にあり、他方、前記上限を超えると集合体を分離することが困難になる傾向にある。
【0056】
また、このような本発明の触媒においては、マトリックスの含有量が触媒全量(100質量%)に対して5〜60質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。このような触媒におけるマトリックスの含有量が前記下限未満では、集合体を分離することが困難になる傾向にあり、他方、前記上限を超えると触媒性能や耐熱性が低下する傾向にある。
更に、前記第一金属酸化物粉末、前記第二金属酸化物粉末及び前記第三金属酸化物粉末の組み合わせとしては、特に制限されないが、例えば、排ガス浄化用触媒として用いる場合は、(ジルコニア)−(セリア−ジルコニア)−(アルミナ)、(ジルコニア)−(セリア−ジルコニア)−(ジルコニア)、(ジルコニア)−(アルミナ−セリア−ジルコニア)−(ジルコニア)、(ジルコニア)−(鉄含有複合酸化物)−(ジルコニア−アルミナ)、及び、これらにLaや希土類元素を添加した粉末の組み合わせがあげられる。その中でも、耐熱性、構造安定性及び触媒活性の観点から、(ジルコニア)−(セリア−ジルコニア)−(アルミナ)、(ジルコニア)−(セリア−ジルコニア)−(ジルコニア)の組み合わせが好ましく、(ジルコニア)−(セリア−ジルコニア)−(アルミナ)の組み合わせがより好ましい。
【0057】
また、このような本発明の触媒において、「前記第一集合体粒子と前記第二集合体粒子と前記マトリックスとを備えて」とは、前記触媒が「前記第一集合体粒子と前記第二集合体粒子及び前記マトリックス」のみから構成されるもの、或いは、主として「前記第一集合体粒子と前記第二集合体粒子及び前記マトリックス」からなり、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分を含み構成されるものであることを意味する。このような他の成分としては、この種の触媒として用いられる他の金属酸化物や添加剤等を用いることができる。後者の場合、触媒における「前記第一集合体粒子と前記第二集合体粒子及び前記マトリックス」の含有量は、触媒の全質量100質量%に対して70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。このような触媒における「前記第一集合体粒子と前記第二集合体粒子及び前記マトリックス」の含有量が前記下限未満では、本発明の効果が十分に得られない傾向にある。
【0058】
このような触媒に本発明の効果を損なわない範囲で含有することが可能な他の成分として用いる金属酸化物としては、このような触媒に通常用いることが可能な金属酸化物であればよく、特に制限されず、例えば、触媒の熱安定性や触媒活性の観点から、例えば、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、スカンジウム(Sc)、バナジウム(V)等の希土類、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属の酸化物、これらの金属の酸化物の混合物、これらの金属の酸化物の固溶体、これらの金属の複合酸化物を適宜用いることができる。
【0059】
更に、このような本発明の触媒を製造するための方法としては、具体的には、第一の活性成分としてのロジウムが第一金属酸化物粉末に担持されてなる第一活性粉末からなる第一集合体粒子(又はその原料)を準備する工程(第一集合体粒子準備工程)と、ロジウム以外の第二の活性成分が第二金属酸化物粉末に担持されてなる第二活性粉末からなる第二集合体粒子(又はその原料)を準備する工程(第二集合体粒子準備工程)と、活性成分を含有しない第三金属酸化物粉末からなるマトリックス(又はその原料)を準備する工程(マトリックス準備工程)と、前記準備した第一集合体粒子(又はその原料)と前記準備した第二集合体粒子(又はその原料)と前記準備したマトリックス(又はその原料)とを乳鉢等により混合せしめることにより上記本発明の触媒を得る工程(触媒作製工程)と、を含むことを特徴とする方法である。このような第一集合体粒子を準備する方法、第二集合体粒子を準備する方法、マトリックスを準備する方法、及び触媒を作製する方法は、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。
【0060】
なお、このような第一集合体粒子準備工程及び第二集合体粒子準備工程においては、得られる第一集合体粒子の体積平均粒子径及び第二集合体粒子の体積平均粒子径がそれぞれ50〜600μmの範囲内となるように調整することが好ましい。このような調整方法としては、集合体を固定化後粉砕して粒度調整する方法、又は、高分子凝集剤により酸化物粉末スラリーの凝集体を形成し攪拌機で粒度調整する方法等であることが好ましい。
【0061】
また、このような本発明の触媒の製造方法において、触媒作製工程としては、具体的には、(1)前記準備した第一集合体粒子(又はその原料)と前記準備した第二集合体粒子(又はその原料)と前記準備したマトリックス(又はその原料)とを圧粉したペレットを粒度調整する方法、(2)第一集合体粒子(又はその原料)と第二集合体粒子(又はその原料)とマトリックス(又はその原料)とを含むスラリーを乾燥焼成しペレット化した後粒度調整する方法、(3)第一集合体粒子(又はその原料)と第二集合体粒子(又はその原料)とマトリックス(又はその原料)とをそれぞれ個別のスラリーとして準備し、高分子凝集剤でこれらスラリーを凝集させ集合体を作る方法、等が挙げられる。更に、触媒作製工程においては、得られる触媒において前記第一集合体粒子の体積平均粒子径と前記第二集合体粒子の体積平均粒子径とがそれぞれ50〜600μmの範囲内となるように調整する。このような調整方法としては、乾式で行うことも可能であるが、高分子凝集剤等により湿式のスラリー中で行うことが好ましい。
【0062】
また、本発明の触媒においては、その形態は特に制限されず、例えば、ペレット形状のペレット触媒、ハニカム形状のモノリス触媒等の形態にすることができ、更に、粉末状のものをそのまま所望の箇所に配置する形態とすることもできる。このような形態の触媒を製造する方法としては、特に制限されないが、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、触媒をペレット状に成形してペレット形状の触媒を得る方法や、触媒を触媒基材にコートすることにより、触媒基材にコート(固定)した形態の触媒を得る方法等を適宜採用してもよい。なお、このような触媒基材としては、特に制限されないが、例えば、得られる触媒の用途等に応じて適宜選択されるが、ハニカムモノリス状基材、ペレット状基材、プレート状基材等が好適に採用される。また、このような触媒基材の材質も、特に制限されないが、例えば、コーディエライト、炭化ケイ素、ムライト等のセラミックスからなる基材や、クロム及びアルミニウムを含むステンレススチール等の金属からなる基材が好適に採用される。
【0063】
更に、本発明の触媒の用途としては、特に制限されず、例えば、排ガス浄化触媒、VOC類浄化触媒、改質触媒、空気清浄機用触媒等として有効に用いられる。また、本発明の触媒の具体的な使用方法も特に制限されず、例えば排ガス浄化触媒として用いる場合は、処理対象となる有害成分を含む気体と触媒とをバッチ式あるいは連続的に接触させることによって有害成分の浄化が達成される。処理対象となる有害成分としては、排ガス中のNOx、CO、HC、SOx等が挙げられる。
【実施例】
【0064】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0065】
(調製例1)
<アルミナ粉末の調製>
金属酸化物としてランタン(La)を4質量%含有する活性アルミナ(La安定化活性アルミナ、比表面積約100m
2/g)の粉末を、粉砕機(アズワン社製、商品名「ワンダーブレンダー」)を用いて篩で粒径が25μm以下となるように粉砕して、アルミナ粉末を得た。
【0066】
(調製例2)
<アルミナ(Al
2O
3)ペレットの調製>
調製例1で得られたアルミナ粉末を、静水圧プレス装置(日機装社製、商品名「CL4−22−60」)を用いて、冷間等方圧プレス(CIP)を1000kgf/cm
2の圧力(成型圧力)で1分間行って圧粉成型し、粒子径0.5〜1.0mmのペレット形状に成形して、ペレット形状のアルミナ(アルミナペレット)を得た。
【0067】
(調製例3)
<Rh/ジルコニア担体粉末の調製>
先ず、ジルコニア粉末(ZrO
2:La
2O
3:Y
2O
3の質量比=84:6:10の高比表面積ジルコニア粉末、比表面積60m
2/g)59.97gに蒸留水約100mLを加え、更に、ロジウム(Rh)を金属換算で0.03g含む硝酸ロジウム溶液約10mLを加えてジルコニア粉末に硝酸ロジウム溶液を含浸させた後、200℃にセットしたホットスターラー上で蒸発乾固し、更にこれを大気中、110℃の温度条件で60分間乾燥させ、更に大気中、150℃の温度条件で10時間加熱して凝固物を得た(蒸発乾固)。次いで、大気中、500℃の温度条件で2時間焼成することにより、Rhが担持されたジルコニア粉末からなるRh/ジルコニア粉末を得た。なお、得られたRh/ジルコニア粉末におけるロジウムの担持量は0.05質量%であった。
【0068】
次に、得られたRh/ジルコニア粉末と活性アルミナ(ランタンを4質量%含有するLa安定化活性アルミナ、比表面積約100m
2/g)とを6:1の質量比で混合し、混合物を粉砕機(アズワン社製、商品名「ワンダーブレンダー」)を用いて篩で粒径が25μm以下となるように混合粉砕して、Rh/ジルコニア担体粉末を得た。
【0069】
(調製例4)
<Rh/ジルコニア担体ペレットの調製> (第一集合体粒子原料)
調製例3で得られたRh/ジルコニア担体粉末を、静水圧プレス装置(日機装社製、商品名「CL4−22−60」)を用いて、冷間等方圧プレス(CIP)を1000kgf/cm
2の圧力(成型圧力)で1分間行って圧粉成型し、粒子径が25μm以下、25〜75μm、75〜150μm、150〜500μm、0.5〜1mmの範囲にそれぞれ粒度調整して5タイプのペレット形状に成形し、粒子径が異なる5タイプのRh/ジルコニア担体ペレット(Rh担持ペレット)を得た。
【0070】
(調製例5)
<Pd/セリア−ジルコニア複合酸化物粉末の調製>
先ず、セリア−ジルコニア複合酸化物粉末(CeO
2:ZrO
2:(La
2O
3+Pr
2O
3)の質量比=60:30:10の高比表面積セリア−ジルコニア複合酸化粉末59.7gに蒸留水約120mLを加え、更に、パラジウム(Pd)を金属換算で0.3g含む硝酸パラジウム溶液約40mLを加えてセリア−ジルコニア複合酸化物粉末に硝酸パラジウム溶液を含浸させた後、200℃にセットしたホットスターラー上で蒸発乾固し、更にこれを大気中、110℃の温度条件で60分間加熱して蒸発乾燥させ、更に大気中、150℃の温度条件で300分間加熱して凝固物を得た(蒸発乾固)。次いで、大気中、500℃の温度条件で2時間焼成することにより、Pdが担持されたセリア−ジルコニア複合酸化物粉末からなるPd/セリア−ジルコニア複合酸化物粉末を得た。なお、得られたPd/セリア−ジルコニア複合酸化物粉末におけるパラジウムの担持量は0.5質量%であった。
【0071】
次に、得られたPd/セリア−ジルコニア複合酸化物粉末と活性アルミナ(ランタンを4質量%含有するLa安定化活性アルミナ、比表面積約100m
2/g)とを6:1の質量比で混合し、混合物を粉砕機(アズワン社製、商品名「ワンダーブレンダー」)を用いて篩で粒径が25μm以下となるように混合粉砕して、Pd/セリア−ジルコニア複合酸化物担体粉末を得た。
【0072】
(調製例6)
<Pd/セリア−ジルコニア複合酸化物ペレットの調製>
調製例5で得られたPd/セリア−ジルコニア複合酸化物担体粉末を、静水圧プレス装置(日機装社製、商品名「CL4−22−60」)を用いて、冷間等方圧プレス(CIP)を1000kgf/cm
2の圧力(成型圧力)で1分間行って圧粉成型し、粒子径が25μm以下、25〜75μm、75〜150μm、150〜500μm、0.5〜1mmの範囲にそれぞれ粒度調整して5タイプのペレット形状に成形し、粒子径が異なる5タイプのPd/セリア−ジルコニア複合酸化物担体ペレット(Pd担持ペレット)を得た。
【0073】
(実施例1)
先ず、調製例4で得られた粒子径が150〜500μmの範囲のRh/ジルコニア担体ペレット(Rh担持ペレット)7gを第一集合体粒子原料として用い、調製例6で得られた粒子径が150〜500μmの範囲のPd/セリア−ジルコニア複合酸化物担体ペレット(Pd担持ペレット)7gを第二集合体粒子原料として用い、調製例1で得られたアルミナ粉末5gをマトリックス原料として準備し、これらを250mLのポリ容器内で攪拌して乾式混合することにより混合粉末を得た。
【0074】
次に、このようにして得られた混合粉末を、静水圧プレス装置(日機装社製、商品名「CL4−22−60」)を用いて、冷間等方圧プレス(CIP)を1000kgf/cm
2の圧力(成型圧力)で1分間行って圧粉成型し、破砕、整粒して0.5〜1.0mmのペレットとし、ペレット状の排ガス浄化用触媒(ペレット触媒試料、6.0g/個以上)を得た。
【0075】
(実施例2)
先ず、調製例4で得られた粒子径が75〜150μmの範囲のRh/ジルコニア担体ペレット(Rh担持ペレット)7gを第一集合体粒子原料として用い、調製例6で得られた粒子径が75〜150μmの範囲のPd/セリア−ジルコニア複合酸化物担体ペレット(Pd担持ペレット)7gを第二集合体粒子原料として用い、調製例1で得られたアルミナ粉末5gをマトリックス原料として準備し、これらを250mLのポリ容器内で攪拌して乾式混合することにより混合粉末を得た。
【0076】
次に、このようにして得られた混合粉末を、静水圧プレス装置(日機装社製、商品名「CL4−22−60」)を用いて、冷間等方圧プレス(CIP)を1000kgf/cm
2の圧力(成型圧力)で1分間行って圧粉成型し、破砕、整粒して0.5〜1.0mmのペレットとし、ペレット状の排ガス浄化用触媒(ペレット触媒試料、6.0g/個以上)を得た。
【0077】
(比較例1)
調製例4で得られた粒子径が0.5〜1mmの範囲のRh/ジルコニア担体ペレット(Rh担持ペレット)7gと、調製例6で得られた粒子径が0.5〜1mmの範囲のPd/セリア−ジルコニア複合酸化物担体ペレット(Pd担持ペレット)7gと、調製例2で得られたアルミナペレット5gを準備し、これらを250mLのポリ容器内で攪拌して乾式混合することにより比較用の混合ペレット触媒(比較用ペレット触媒試料、6.0g/個以上)を得た。
【0078】
(比較例2)
先ず、調製例4で得られた粒子径が25〜75μmの範囲のRh/ジルコニア担体ペレット(Rh担持ペレット)7gと、調製例6で得られた粒子径が25〜75μmの範囲のPd/セリア−ジルコニア複合酸化物担体ペレット(Pd担持ペレット)7gと、調製例1で得られたアルミナ粉末5gとを準備し、これらを250mLのポリ容器内で攪拌して乾式混合することにより混合粉末を得た。次に、このようにして得られた混合粉末を、静水圧プレス装置(日機装社製、商品名「CL4−22−60」)を用いて、冷間等方圧プレス(CIP)を1000kgf/cm
2の圧力(成型圧力)で1分間行って圧粉成型し、破砕、整粒して0.5〜1.0mmのペレットとし、ペレット状の比較用排ガス浄化用触媒(比較用ペレット触媒試料、6.0g/個以上)を得た。
【0079】
(比較例3)
先ず、調製例4で得られた粒子径が25μm以下の範囲のRh/ジルコニア担体ペレット(Rh担持ペレット)7gと、調製例6で得られた粒子径が25μm以下の範囲のPd/セリア−ジルコニア複合酸化物担体ペレット(Pd担持ペレット)7gと、調製例1で得られたアルミナ粉末5gとを準備し、これらを250mLのポリ容器内で攪拌して乾式混合することにより混合粉末を得た。次に、このようにして得られた混合粉末を、静水圧プレス装置(日機装社製、商品名「CL4−22−60」)を用いて、冷間等方圧プレス(CIP)を1000kgf/cm
2の圧力(成型圧力)で1分間行って圧粉成型し、破砕、整粒して0.5〜1.0mmのペレットとし、ペレット状の比較用排ガス浄化用触媒(比較用ペレット触媒試料、6.0g/個以上)を得た。
【0080】
(比較例4)
先ず、調製例3で得られたRh/ジルコニア担体粉末7gと、調製例5で得られたPd/セリア−ジルコニア複合酸化物粉末7gと、調製例1で得られたアルミナ粉末5gとを準備し、これらを、粉砕機(アズワン社製、商品名「ワンダーブレンダー」)を用いて篩で粒径が25μm以下となるように粉砕することにより混合粉末を得た。次に、このようにして得られた混合粉末を、静水圧プレス装置(日機装社製、商品名「CL4−22−60」)を用いて、冷間等方圧プレス(CIP)を1000kgf/cm
2の圧力(成型圧力)で1分間行って圧粉成型し、破砕、整粒して0.5〜1.0mmのペレットとし、ペレット状の比較用排ガス浄化用触媒(比較用ペレット触媒試料、6.0g/個以上)を得た。
【0081】
[高温耐久処理]
実施例1〜2及び比較例1〜4で得られたペレット触媒試料の一部(各4.0g)に対して、1050℃の温度条件で、表1に示すガス組成のリーン(L)ガス8分及びリッチ(R)ガス2分を交互に0.5L(リットル)/分の流量で合計20時間流通させるモデルガス処理を施し、高温耐久処理(耐久試験)を行った。
【0082】
【表1】
【0083】
[体積平均粒子径測定試験]
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られたペレット触媒試料について、高温耐久処理後のペレット触媒試料の断面における第一集合体粒子(Rh/ジルコニア担体粒子)の体積平均粒子径、第二集合体粒子(Pd/セリア−ジルコニア複合酸化物担体粒子)の体積平均粒子径、及び、第一集合体粒子と第二集合体粒子の体積平均粒子径を、X線マイクロアナライザ(EPMA)及び光学顕微鏡により調べた。
【0084】
先ず、高温耐久処理後のペレット触媒試料を観察用包埋樹脂に埋め込み、ペレット触媒試料を包埋した。次に、樹脂に包埋したペレット触媒試料の断面に、鏡面研磨(粒度0.05μmのアルミナを用いたバフ研磨)を施し、研磨後のペレット触媒試料断面にはカーボン蒸着を施し、ペレット触媒試料周囲の樹脂断面には銀ペーストを塗布して導通性を付与し、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)観察用試料を作製した。次いで、このペレット触媒試料断面におけるEPMAによる反射電子像観察及び光学顕微鏡観察を行った。
図1に、実施例1で得られたペレット触媒試料断面の電子線マイクロアナライザー(EPMA、Electron Probe Micro Analyzer)による反射電子像(BEI、Backscattered Electron Image)の写真を示す。また、
図2に、実施例2で得られたペレット触媒試料断面の電子線マイクロアナライザー(EPMA)による反射電子像(BEI)の写真を示す。更に、
図3に、比較例1で得られた比較用ペレット触媒試料の電子線マイクロアナライザー(EPMA)による反射電子像(BEI)の写真を示す。また、
図4に、比較例2で得られた比較用ペレット触媒試料の電子線マイクロアナライザー(EPMA)による反射電子像(BEI)の写真を示す。
【0085】
更に、
図5に、実施例1の排ガス浄化用触媒(ペレット触媒試料)断面の光学顕微鏡写真として、(a)に高温耐久処理前の排ガス浄化用触媒の光学顕微鏡写真、(b)に高温耐久処理後の排ガス浄化用触媒の明視野での光学顕微鏡写真(明視野像)、(c)に高温耐久処理後の排ガス浄化用触媒の暗視野での光学顕微鏡写真(暗視野像)を示す。
図6に、実施例2の排ガス浄化用触媒(ペレット触媒試料)断面の光学顕微鏡写真として、(a)に高温耐久処理前の排ガス浄化用触媒の光学顕微鏡写真、(b)に高温耐久処理後の排ガス浄化用触媒の明視野での光学顕微鏡写真(明視野像)、(c)に高温耐久処理後の排ガス浄化用触媒の暗視野での光学顕微鏡写真(暗視野像)を示す。
図7に、比較例2の比較用排ガス浄化用触媒(比較用ペレット触媒試料)断面の光学顕微鏡写真として、(a)に高温耐久処理前の排ガス浄化用触媒の光学顕微鏡写真、(b)に高温耐久処理後の排ガス浄化用触媒の明視野での光学顕微鏡写真(明視野像)、(c)に高温耐久処理後の排ガス浄化用触媒の暗視野での光学顕微鏡写真(暗視野像)を示す。
図8に、比較例3の比較用排ガス浄化用触媒(比較用ペレット触媒試料)断面の光学顕微鏡写真として、(a)に高温耐久処理前の排ガス浄化用触媒の光学顕微鏡写真、(b)に高温耐久処理後の排ガス浄化用触媒の明視野での光学顕微鏡写真(明視野像)、(c)に高温耐久処理後の排ガス浄化用触媒の暗視野での光学顕微鏡写真(暗視野像)を示す。
図9に、比較例4の比較用排ガス浄化用触媒(比較用ペレット触媒試料)断面の光学顕微鏡写真として、(a)に高温耐久処理前の排ガス浄化用触媒の光学顕微鏡写真、(b)に高温耐久処理後の排ガス浄化用触媒の明視野での光学顕微鏡写真(明視野像)、(c)に高温耐久処理後の排ガス浄化用触媒の暗視野での光学顕微鏡写真(暗視野像)を示す。
【0086】
次に、上記において得られたペレット触媒試料の電子線マイクロアナライザー(EPMA)による反射電子像(BEI)の写真像(2500μm視野角内)について、写真像に含まれる粒子(第一集合体粒子及び/又は第二集合体粒子)の分離処理(確定処理)を、作図ソフト(Power point)を用い、目視で粒子と認識できる境目(粒子の外形)に沿って粒子を作図し粒子を塗りつぶして粒子を確定分離する方法により行った。
【0087】
次いで、粒子分離処理後の画像情報の解析を画像解析ソフトImageJ1.47(アメリカ国立衛生研究所にて開発、http://rsbweb.nih.gov/ij/より入手)を用いて行い、体積平均粒子径の算出に必要なパラメータとして、粒子の面積(Area)や粒子の最小外長方形(Bounding Rectangle)等を求めた。この処理を繰り返し各試料ごとに50〜300個の粒子を測定した。
【0088】
次に、体積平均粒子径(μm)を、Σ(nArea
2)/Σ(nArea
1.5)を算出することにより求めた。得られた結果を表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】
[NOx浄化率測定試験]
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた高温耐久処理後のペレット触媒試料に対して、流通反応装置及び排ガス分析装置を用い、以下のようにしてNOx浄化率測定試験を行い、リッチNOx浄化率を測定した。
【0091】
すなわち、先ず、高温耐久処理後のペレット触媒試料(1.5g)を常圧固定床流通型反応装置に設置した。次に、500℃の温度条件で、表3に示すガス組成のリーンのモデル排ガス(A/F=15.0相当)を20L(リットル)/分の流量で60秒間流し、ガス組成を表3に示すガス組成のリッチのモデル排ガス(A/F=14.2相当)に切り換えてこれを20L(リットル)/分の流量で60秒間流す、というサイクルを数回繰り返した後、ガス組成をリーンからリッチに切り換えた後25秒後の時点から30秒間のリッチNOx浄化率(平均NOx浄化率)を測定した。
【0092】
【表3】
【0093】
得られた結果を表2に示す。また、実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた触媒のリッチNOx浄化率(%)と集合体粒子の体積平均粒子径(μm)との関係を示すグラフを
図10に示す。
【0094】
[OSC特性評価試験]
実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた高温耐久処理後のペレット触媒試料に対して、流通反応装置及び排ガス分析装置を用い、以下のようにしてOSC(酸素吸放出能、OSC:Oxygen Storage Capacity)特性評価試験を行い、OSC特性としてストイキ保持時間(sec)を測定した。
【0095】
すなわち、先ず、高温耐久処理後のペレット触媒試料(1.5g)を常圧固定床流通型反応装置に設置した。次に、500℃の温度条件で、表3に示すガス組成のリーンのモデル排ガス(A/F=15.0相当)を20L(リットル)/分の流量で60秒間流し、ガス組成を表3に示すガス組成のリッチのモデル排ガス(A/F=14.2相当)に切り換えてこれを20L(リットル)/分の流量で60秒間流す、というサイクルを数回繰り返した後、前記触媒試料を通過した後の排ガスの雰囲気が、触媒試料の前後に設置した2台の直挿型空燃比計(堀場製作所社製、商品名「直挿形空燃比計 MEXA−730λ」、及び、商品名「直挿形空燃比計 MEXA−110」の2台)を通過するガスがストイキ雰囲気となるまでの時間差(ストイキ保持時間)を求めた。本実施例では、OSC(酸素吸放出能)特性をこのストイキ保持時間によって評価した。なお、入りガスのλ値が0.9985以下になった後、出ガスのλ値が0.9973以下になるまでの時間差により、還元時のストイキ保持時間(sec、還元時のOSC)を得た。また、入りガスのλ値が1.0005以上になった後、出ガスのλ値が0.9993以上になるまでの時間差により、それぞれの触媒試料の酸化時のストイキ保持時間差(sec、酸化時のOSC差)得た。
【0096】
得られた結果として、実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた触媒の還元時のOSC(sec)と集合体粒子の体積平均粒子径(μm)との関係を示すグラフを
図11に示す。また、実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた触媒の酸化時のOSC差(sec)と集合体粒子の体積平均粒子径(μm)との関係を示すグラフを
図12に示す。
【0097】
表1及び
図1〜12に示した実施例1〜2の結果と比較例1〜4の結果との比較から明らかなように、実施例1〜2の触媒は、NOx浄化率とOSC(酸素吸放出能)特性及び耐熱性がともに優れていることが確認された。したがって、実施例1〜2の触媒では、ロジウムが担持された第一集合体粒子とロジウム以外の活性成分が担持された第二集合体粒子とが活性成分を含有しない第三金属酸化物粉末からなるマトリックスを介して適度な距離を隔てて存在していることにより、NOx浄化率とOSC(酸素吸放出能)特性の双方の性能及び耐久性をともに優れたものとすることができたものと考えられる。