(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記硬化剤は、長鎖アルキル基を有するポリ酸ポリ無水物、又は、長鎖アルキル基を有するポリ酸ポリ無水物とテトラヒドロメチル無水フタル酸とが混合された混合物である
請求項1〜5のいずれか1項に記載の受け治具。
前記硬化剤は、長鎖アルキル基を有するポリ酸ポリ無水物、又は、長鎖アルキル基を有するポリ酸ポリ無水物とテトラヒドロメチル無水フタル酸とが混合された混合物である
請求項9〜20のいずれか1項に記載の受け治具の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、基板100又は各種工業生産品等の多くの対象物は、静電気の帯電によって、例えば、静電気の基板100に実装された部品112へのリーク電流等による部品112の破壊、又は、静電気により吸いついたゴミによる対象物の汚染等の静電気による影響を受ける。その為、受け治具は、帯電防止性能を有している必要がある。
【0008】
また、対象物が受け治具に支持されているときに、受け治具による対象物への不要な接触により対象物が破壊される事を防ぐ必要がある。その為に、受け治具は、対象物の破損し易い部分以外の部分で対象物を受ける構成か、対象物が受け治具に当たってもストレスを受けないように柔軟性を有する必要がある。このように、対象物へ圧力が掛けられたり傷つけられたりするようなストレスが発生しにくい受け治具が要求されている。ここで、一般的に使用されている受け治具のデメリットについて説明する。
【0009】
例えば、サポートピンで対象物を支える方法は対象物として基板100への実装又は検査等においてよく使用される方法である。
【0010】
図1Bは、サポートピン202を備える受け治具200が基板100を支持している状態を示す側面図である。
図1Bでは、基板100に実装されている部品112のうちの3つの部品112のみを示している。
【0011】
図1Bに示されるように、隣り合う部品112の間のデッドスペースにおいて、基板100が受け治具200のサポートピン202に支えられている。サポートピン202で基板100を支えるためには多くの点で支える必要があり、基板100に多くのデッドスペースを設ける必要がある。しかし、近年の高機能化された電子機器として例えばスマートフォン等においては、スマートフォン等の軽薄短小化による部品112の基板100への実装の高密度化により、基板100内のサポートピン202で支えるためのデッドスペースが無くなる傾向にある。また、低機能な電子機器に対しても、コストダウンの為に基板100の面積を小さくする努力がされており、高機能な電子機器と同様にデッドスペースが無くなる傾向にある。
【0012】
また、サポートピン202で対象物を支える場合、点で支える為に対象物に歪み、傾き又は振動等が発生しやすく、対象物に対して行う作業(実装又は検査等)において誤差が出やすい。
【0013】
また、サポートピン202で基板100等が支えられたときには基板100にそり等が発生し、これによる圧力で実装されている電子部品が誤動作することがある。
【0014】
また、サポートピン202で対象物を支える場合には、対象物の凸形状(例えば基板100における部品112の実装位置)に合わせてサポートピン202を立てなければならないが、立て間違えが発生しやすい。立て間違えが発生すると、対象物の製造過程において対象物が不良となり、損失となる。また、日々、製造工程が稼働しているため、サポートピン202の劣化を目視で管理することは難しい。したがって、サポートピン202を構成する部品(例えば、対象物に衝撃又は圧力等による傷が発生しないようにするためのサポートピン202の先端のバネ又はゴム等の部品)の劣化による実装不良等の品質ロスの発生を予め抑制することが難しい。
【0015】
このように、サポートピン202を備える受け治具200は、上述したようなデメリットがあるため、サポートピン202を備える受け治具200を使う方法は使用されなくなってきている。
【0016】
一方、金属(例えばアルミニウム)又はカーボン混練樹脂(ABS等にカーボンを混練した樹脂)をNC(Numerical Control)工作機械を使用して対象物を支持するときに、対象物の凸形状に当たらないように大きく深めに切削加工された加工穴を有する受け治具がある。
【0017】
図1Cは、加工穴302を有する受け治具300が対象物として基板100を支持している状態を示す断面図である。
図1Cでは、基板100の3つの部品112が加工穴302に嵌っている箇所の断面を示している。
【0018】
受け治具300には、金属又はカーボン入り硬質樹脂等が使用されており、柔軟性はなく硬い。その為に受け治具300に対象物が装着されたときに位置ずれした場合、対象物を破損したり傷つけたりする可能性が高い。その為に受け治具300の加工穴302の加工範囲が広くなっている。したがって、加工時間が長くなり、加工コストの増大、短納期生産の対応のためのコストの増大の要因となっている。基板100等の対象物の試作時には、例えば部品112の増加や部品112の実装位置の変更等により受け治具300の変更をすることがあるが、変更毎にコスト及びリードタイムがかかってしまう。
【0019】
また、切削加工には特殊な加工機が必要となる。切削加工機を自社の工場内に設置することはコスト及びノウハウ的に難しいため、外部業者に製作委託をすることになり、コスト及びリードタイムがかかってしまう。
【0020】
また、上述したように、受け治具300にはコストが掛かるため、対象物の生産毎に受け治具300を作成することはさらにコストがかかってしまう。したがって、作成した受け治具300を長期間にわたり保管する必要があり、例えば工場内に多くの保管スペースを要する。
【0021】
また、受け治具300が金属によるものの場合、重量が重くハンドリングしにくい。一方、受け治具300を軽くするために受け治具300がカーボン入り硬質樹脂によるものの場合、カーボンが剥離しやすく、基板100等の対象物にカーボンが付着し、短絡等の市場不良が発生することがある。
【0022】
このように、金属又はカーボン入り硬質樹脂等が使用されて切削加工された受け治具300には、上述したような容易に作成できずコストが掛かる等のデメリットがある。
【0023】
そこで、本発明は、容易に作成でき、支持する対象物への静電気による影響及びストレスを抑制できる受け治具、受け治具の製造方法及び樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の一態様に係る受け治具は、凸形状を有する対象物を当該凸形状のある凸面において支持するための受け治具であって、前記凸形状の輪郭に対応する凹部を有する樹脂からなり、前記凹部は、前記凸形状の型を取った場合に得られる凹形状を有し、前記樹脂は、アスカーC型硬度計による硬度が60度から90度であり、かつ、体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmである樹脂である。
【0025】
本発明の一態様に係る受け治具の製造方法は、凸形状を有する対象物を当該凸形状のある凸面において支持するための受け治具の製造方法であって、ベース上に前記凸面が上方を向くように前記対象物を載置するステップと、前記ベース上に載置された前記対象物の前記凸面側から離型フィルム及び布の少なくとも一方を被せるステップと、前記離型フィルム及び前記布の少なくとも一方が被せられた前記対象物を当該対象物の上面視において囲むように、前記ベースに対する高さが前記凸面の凸形状部分の当該高さよりも高い枠状の外型を前記ベース上に設置するステップと、前記ベース上に設置された前記外型の枠内に、硬化後アスカーC型硬度計による硬度が60度から90度となり、かつ、体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmとなる樹脂を入れるステップと、前記樹脂が入れられた前記外型の枠内において、前記外型の内径に対応する外径を有する内型を当該樹脂へ押し付けるステップと、前記内型を前記樹脂に押し付けた状態で、当該樹脂を加熱するステップと、を含む。
【0026】
本発明の一態様に係る受け治具の製造方法は、凸形状を有する対象物を当該凸形状のある凸面において支持するための受け治具の製造方法であって、ベース上に前記対象物の上面視において当該対象物を囲む内径を有する枠状の外型を設置するステップと、前記ベース上に設置された前記外型の枠内に、硬化後アスカーC型硬度計による硬度が60度から90度となり、かつ、体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmとなる樹脂を入れるステップと、前記外型の枠内に入れられた前記樹脂に離型フィルム及び布の少なくとも一方を被せるステップと、前記樹脂に被せられた前記離型フィルム及び前記布の少なくとも一方上に前記凸面が下方を向くように前記対象物を載置するステップと、前記対象物が前記離型フィルム及び前記布の少なくとも一方上に載置されている前記外型の枠内において、前記外型の内径に対応する外径を有する内型を前記対象物へ押し付けるステップと、前記樹脂を加熱するステップと、を含む。
【0027】
本発明の一態様に係る樹脂は、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のうちの一方に導電材料が配合された樹脂であり、前記熱硬化性樹脂及び前記熱可塑性樹脂のうちの一方に対して、前記導電材料の重量部は、0.3重量部から20重量部である。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、容易に作成でき、支持する対象物への静電気による影響及びストレスを抑制できる受け治具、その製造方法及びこれらに使用される樹脂を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、並びに、ステップ(工程)及びステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する趣旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0031】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成要素については同じ符号を付している。
【0032】
(実施の形態)
以下、実施の形態について、
図2から
図10Bを用いて説明する。なお、以下では、受け治具が支持する対象物を基板100として説明することが多いが、対象物は基板100に限らず、各種工業生産品等の一般製造工程で使用される工作物等であってもよい。
【0033】
[受け治具]
まず、受け治具の構成について、
図2から
図4を用いて説明する。
【0034】
図2は、実施の形態に係る受け治具10の一例を示す図である。なお、
図2には、受け治具10の他に受け治具10に支持される基板100も示されている。
図2に示される基板100には、6つの部品112が実装されているが、1〜5個の部品112が実装されてもよく、7個以上の部品112が実装されてもよい。
【0035】
受け治具10は、凸形状を有する対象物を当該凸形状のある凸面において支持するための受け治具である。本実施の形態では、対象物を少なくとも1つの部品112が実装された基板とし、凸形状を基板100に実装された部品112の形状とする。したがって、受け治具10は、基板100を部品112が実装された実装面110において支持する。なお、対象物は、基板100に限らず、各種工業生産品等の一般製造工程で使用される工作物であってもよい。
【0036】
受け治具10は、凸形状(部品112の凸形状)の輪郭に対応する凹部12を有する樹脂からなる。つまり、受け治具10自体が樹脂である。この樹脂については後述する
図10A及び
図10Bで詳細に説明するが、アスカーC型硬度計による硬度が60度から90度であり、かつ、体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmである樹脂である。言い換えると、この樹脂は、高導電性及び柔軟性を有する樹脂である。凹部12は、凸形状(部品112の凸形状)の型を取った場合に得られる凹形状を有する。凹部12は、切削加工されて形成されたものではなく、実装面110に実装されている状態の部品112の型を取って形成される。したがって、
図2に示されるように、凹部12は、部品112の輪郭に対応した凹形状を有する。これにより、実装面110が受け治具10側を向いた状態で基板100が受け治具10にセットされたときに、受け治具10は、実装面110上の部品112が凹部12に嵌った状態で、基板100を支持する。
【0037】
図3は、実施の形態に係る受け治具10が基板100を支持している状態を示す図である。
【0038】
図3に示されるように、受け治具10が実装面110において基板100を支持することで、実装面110の反対面120への部品112の実装、又は、反対面120での基板100の検査等をすることができる。また、受け治具10が多面取り基板を支持することで、多面取り基板の分割をすることができる。
【0039】
図4は、実施の形態に係る受け治具10が基板100を支持している状態を示す断面図である。
図4には、
図3に示されるIV−IV面における断面が示される。
【0040】
凹部12は、部品112の型を取って形成されるため、
図4に示されるように、受け治具10は、凹部12において部品112を包み込みながら基板100を支持する。また、凹部12は、
図2及び
図4に示されるように、凹部12の開口よりも小さい底面を有し、開口から底面に向けて傾斜した壁面を有する。つまり、凹部12は、逆錐台形状を有する。なお、凹部12は、部品112の形状に応じて、逆角錐台形状であってもよく、逆円錐台形状であってもよい。例えば、凹部12の底面は、凹部12に嵌められる部品112の上面(
図2及び
図4での部品112の下側の面)と同じ大きさであり、凹部12は、底面から開口に向けて広がる形状を有する。
【0041】
このように、受け治具10は、アスカーC型硬度計による硬度が60度から90度であり、かつ、体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmである樹脂からなる受け治具であり、切削により得られるものではなく、対象物の凸形状の型を取ることで得られる凹形状の凹部12を有する。
【0042】
[受け治具の製造方法]
次に、対象物の凸形状の型を取った凹部12を有する受け治具10の製造方法について、特に、対象物の凸形状の型を取る方法について
図5から
図9を用いて説明する。
【0043】
図5は、実施の形態に係る受け治具10の製造方法の一例を示すフローチャートである。なお、以下では、例えば人が受け治具10の製造方法を行うが、受け治具10を製造するための機械が行ってもよい。また、ステップS11からステップS15の詳細について、
図6Aから
図6Eを用いて説明するが、
図6Aから
図6Eでは、対象物、凸面及び凸形状部分をそれぞれ
図2等に示される基板100、実装面110及び部品112としている。
【0044】
まず、ベース上に対象物の凸面が上方を向くように対象物を載置する(ステップS11)。ステップS11について、
図6Aを用いて説明する。
【0045】
図6Aは、実施の形態に係る載置するステップを説明するための図である。
【0046】
図6Aに示されるように、ベース50は、例えば略直方体の形状を有し、ベース50の面上に基板100が載置される。このとき、基板100が受け治具10に支持される面である実装面110が上方を向くように、基板100がベース50上に載置される。
【0047】
次に、ベース50上に載置された対象物の凸面側から離型フィルム及び布の少なくとも一方を被せる(ステップS12)。ステップS12について、
図6Bを用いて説明する。
【0048】
図6Bは、実施の形態に係る被せるステップを説明するための図である。
図6Bでは、離型フィルム20が基板100に被せられた状態が示される。
【0049】
ステップS12で使用される離型フィルム20は、以下に示す複数の条件を満たしたフィルムである必要がある。詳細は後述するが、受け治具10は、離型フィルム20を介して型が取られて作成されるため、離型フィルム20が伸び縮みする場合、受け治具10の表面が離型フィルム20の伸び縮みによって波打った形状になる。したがって、離型フィルム20は、熱及び圧力による伸び縮み量が少ないフィルムである必要がある。また、離型フィルム20に後述するステップS14で入れられる樹脂が粘着する場合、離型フィルム20と樹脂とが剥がされるときに凹部12等の受け治具10の形状が崩れることがあるため、離型フィルム20は、粘着しにくいフィルムである必要がある。また、樹脂が離型フィルム20に浸透する場合、対象物を汚染してしまうため、離型フィルム20は樹脂が浸透しにくいフィルムである必要がある。また、離型フィルム20は、後述するステップS16での樹脂の加熱に耐えられるフィルムである必要がある。離型フィルム20の耐熱温度は、100度から400度程度、特に、200度以上が好ましい。また、離型フィルム20は、離型フィルム20を介しても実装面110上の部品112の型を鮮明に取ることができるフィルムである必要がある。なお、ステップS12で離型フィルム20の代わりに上述した条件を満たす布が使用されてもよい。
【0050】
これらの条件を満たす離型フィルム20として、フッ素樹脂系フィルム、シリコン樹脂系フィルム又は耐熱フィルムに離型剤をコーティングしたフィルム等が使用される。離型フィルム20が基板100に被せられないで樹脂が入れられた場合、当該樹脂によって基板100が汚染され、当該樹脂が硬化したときに基板100に粘着する。これらを防ぐために、離型フィルム20は基板100に被せられる。ステップS12については、後述する
図7でより詳細に説明する。
【0051】
次に、離型フィルム20及び布の少なくとも一方が被せられた対象物を対象物の上面視において囲むように、ベース50に対する高さが凸面の凸形状部分の当該高さよりも高い枠状の外型をベース50上に設置する(ステップS13)。ステップS13について、
図6Cを用いて説明する。
【0052】
図6Cは、実施の形態に係る設置するステップを説明するための図である。
【0053】
ステップS13では、基板100の実装面110に実装された部品112の形状をステップS14で入れる樹脂により写しとる為に、枠状の金型である外型60が使用される。外型60は、例えば角筒形状を有し、上面視における外型60の枠内の大きさは、基板100の大きさと略同じ又は少し大きいため、基板100を外型60で囲むことができる。
図6Cに示されるように、基板100を囲みながら外型60をベース50上に設置する。外型60がベース50上に設置されたときの外型60のベース50からの高さは、基板100がベース50上に載置されたときの部品112のベース50からの高さよりも高い。これにより、外型60の枠内に樹脂が入れられたときに部品112の天面を樹脂に浸からせることができる。
【0054】
次に、ベース50上に設置された外型60の枠内に樹脂を入れる(ステップS14)。ステップS14について、
図6Dを用いて説明する。
【0055】
図6Dは、実施の形態に係る入れるステップを説明するための図である。
【0056】
図6Dに示されるように、樹脂40は、外型60の枠内の離型フィルム20上に入れられる。樹脂40は、硬化後アスカーC型硬度計による硬度が60度から90度となり、かつ、体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmとなる樹脂である。樹脂40は、例えば液体状の樹脂である。樹脂40が入れられる量は、外型60の枠内の体積の20%から95%の体積に相当する量である。なお、樹脂40は、板状、粒子状(粒子の大きさは特に限定されない)、ペレット状又はゲル状の樹脂であってもよい。樹脂40が粒子状の場合、樹脂40がゲル状の場合と比べて樹脂40は多く入れられる。樹脂40は、詳細は後述するが、受け治具10となるときに対象物の凸形状の輪郭に対応する凹部12が形成された状態で硬化させられる。
【0057】
次に、樹脂40が入れられた外型60の枠内において、外型60の内径に対応する外径を有する内型を樹脂40へ押し付ける(ステップS15)。ステップS15について、
図6Eを用いて説明する。
【0058】
図6Eは、実施の形態に係る押し付けるステップを説明するための図である。
【0059】
図6Eに示されるように、外型60の内径に合わせた外径を有する内型70が使用され、樹脂40が硬化したときに基板100の部品112の凸形状を明確化するために、外型60の枠内において内型70によって樹脂40へ上側から圧力がかけられる。内型70の上部には例えば蓋80が設けられている。上面視における蓋80の大きさは、例えば外型60の外径に対応した大きさとなっている。ステップS15については、後述する
図9でより詳細に説明する。
【0060】
なお、ベース50、外型60及び内型70(これらを合わせて金型とも呼ぶ)として、金属又は木材等の、80度以上の温度環境でも変形が少なく、燃えたり焦げたり汚染物を出さない材質のものが使用される。また、金型は、ステップS14で入れられる樹脂40が硬化したときに金型に粘着しないように、非粘着表面処理がされる。非粘着表面処理は、例えば、フッ素系樹脂コート処理、シリコン樹脂コート処理又は非粘着複合物コート処理等である。非粘着表面処理の厚みは、例えば200μm以下の厚みである。
【0061】
次に、内型70を樹脂40に押し付けた状態で、樹脂40を加熱する(ステップS16)。樹脂40が、熱硬化性を有する樹脂である例えば液体状の樹脂の場合、加熱されることで硬化する。樹脂40は、基板100の耐熱温度等に応じて、例えば70度から360度の温度で加熱される。また、加熱温度に応じて例えば10分から70分の時間、加熱される。加熱時間と加熱温度との関係は、例えば、100度から120度で60分、200℃から260度で30分程度であるが、炉体の周辺の環境で変動がある。また、加熱温度と加熱時間とは、樹脂40に含まれる硬化剤等の種類によって制御される。
【0062】
なお、樹脂40が熱可塑性を有する樹脂であり例えば板状、粒子状又はペレット状の樹脂の場合、内型70を樹脂40に押し付けた状態で、樹脂40が加熱されて半溶融(軟化を含む)した後に例えば常温で冷やされて硬化させられる。
【0063】
樹脂40を加熱するための加熱炉は、電子部品の実装用のリフロー炉であってもよい。なお、加熱炉は、樹脂40を加熱できる機器であれば特に限定されない。
【0064】
なお、樹脂40が熱可塑性を有する樹脂であり例えば板状、粒子状又はペレット状の樹脂の場合に、入れるステップの前に樹脂40が加熱されて半溶融してから外型60の枠内に入れられてもよい。この場合には、ステップS16の代わりに、内型70を樹脂40に押し付けた状態で、樹脂40が例えば常温で冷やされて硬化させられる。
【0065】
そして、硬化した樹脂40が金型から取り出され、当該硬化した樹脂40が受け治具10となる。
【0066】
ここで、ステップS12の詳細について、
図7を用いて説明する。
【0067】
図7は、実施の形態に係る被せるステップにおける基板100に離型フィルム20を被せた状態を示す断面図である。
図7には、
図6Bの手前側の部品112が3つ並んだ箇所における断面が示される。なお、
図7以降においても対象物、凸面及び凸形状部分としてそれぞれ
図2等に示される基板100、実装面110及び部品112を用いて説明する。
【0068】
離型フィルム20を介しても実装面110上の部品112の型を鮮明に取るために、基板100に被せられた離型フィルム20が、
図7に示されるように部品112同士の間に入り込む必要がある。離型フィルム20が部品112同士の間に入り込むためには、離型フィルム20は、薄くて折れ曲がりやすいものであるとよく、離型フィルム20の厚みは、例えば、25μmから500μmである。なお、離型フィルム20の代わりに布が使用されてもよい。布の厚みは、例えば、500μmから1000μmである。
【0069】
また、
図7に示されるように、部品112の側面の外側に空間22が設けられながら離型フィルム20は基板100に被せられる。つまり、部品112の側面と離型フィルム20とが密着しないように、離型フィルム20が基板100に被せられる。これにより、離型フィルム20の部品112を包んでいる箇所が錐台形状となる。したがって、
図4で説明したように、凹部12は、錐台形状の型を取って形成される逆錐台形状を有することになる。
【0070】
なお、基板100に被せられる離型フィルム20は、1枚でもよく複数枚でもよい。ステップS16での加熱による離型フィルム20の伸び縮みを少なくする為に性質の異なる複数種別のフィルムが基板100に積層されてもよい。また、同じ性質の離型フィルム20が基板100に積層されてもよい。なお、離型フィルム20の代わりに布が使用される場合でも基板100に被せられる布は、1枚でもよく複数枚でもよい。ステップS16での加熱による布の伸び縮みを少なくする為に性質の異なる複数種別の布が基板100に積層されてもよい。また、同じ性質の布が基板100に積層されてもよい。
【0071】
また、離型フィルム20及び布の両方が基板100に被せられてもよい。
【0072】
図8は、実施の形態に係る被せるステップにおける基板100に離型フィルム20及び布30を被せた状態を示す断面図である。
図8には、離型フィルム20及び布30の両方が基板100に被せられた場合の
図6Bの手前側の部品112が3つ並んだ箇所における断面が示される。
【0073】
樹脂40は、硬化した後に収縮することがある。つまり、受け治具10の凹部12の大きさが小さくなることがある。そこで、樹脂40の収縮量に合わせた厚みを有する布30が基板100に被せられる。なお、離型フィルム20及び布30の両方が基板100に被せられる場合、基板100に布30が被せられた後に離型フィルム20が被せられるとよい。これにより、布30として、樹脂40が粘着しにくい性質を有する布を使用しなくてもよくなる。
【0074】
また、ステップS15の詳細について、
図9を用いて説明する。
【0075】
図9は、実施の形態に係る押し付けるステップにおける樹脂40を離型フィルム20及び布30に押し付けた状態を示す断面図である。
図9では、
図6Eでは示されていないネジ90及びスプリング92が示されている。ネジ90は、例えば、蓋80の上面視における4隅に蓋80を貫通して設けられ、スプリング92は蓋80とネジ90のネジ頭との間に設けられる。
図9では説明のために、部品112が3つ並んだ箇所、並びに、ネジ90及びスプリング92が設けられた箇所の断面が1つの図面上に示されている。
【0076】
外型60の枠内において内型70が樹脂40に押し付けられるときに、外型60の枠内のガスを逃がす必要があり、
図9に示されるように、外型60の内周面と内型70の外周面との間にクリアランスaが設けられる。ただし、樹脂40がクリアランスaに入り込むことを防ぐ為に、クリアランスaが50μmから300μmの状態で樹脂40が内型70に押し付けられる。なお、クリアランスaの大きさは樹脂40の粘性等で上記範囲の中から選択される。
【0077】
また、例えば、基板100が受け治具10に支持されながら、基板100に対して実装又は検査等が行われるため、受け治具10の実装面110を支持する面とその反対面とは水平である必要がある。したがって、受け治具10が作成されるときに、内型70の底面がベース50の基板100が載置された面に対して水平な状態で樹脂40が内型70に押し付けられる必要がある。また、樹脂40が内型70に押し付けられた状態で加熱されるときもそれぞれの面の水平が保たれる必要がある。
【0078】
それぞれの面を水平に保つ方法は特に限定されないが、例えば、ネジ、ボールネジ、ベルト、錘又はスプリング等が使用される。
図9には、それぞれの面を水平に保つために、ネジ90及びスプリング92が使用されている。蓋80を貫通している複数のネジ90(例えば蓋80の4隅に設けられたネジ90)のねじ込み量が調節されながら外型60にねじ込まれることで、それぞれの面が水平に保たれながら樹脂40が内型70に押し付けられていく。このとき、ネジ90のネジ頭と蓋80との間に螺旋状のスプリング92を緩衝部として使用される。これにより、水平精度が更に良くなる。
【0079】
以上のようにして、アスカーC型硬度計による硬度が60度から90度であり、かつ、体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmである樹脂からなり、対象物を型原本として対象物の凸形状の型を取ることで得られる凹形状の凹部12を有する受け治具10が作成される。なお、受け治具10は、ルータ等により削ることができ、受け治具10の作成後に、容易に凹部12の形状の修正が行える。
【0080】
[樹脂]
次に、受け治具10を構成する樹脂及びその製造方法で用いられる樹脂40について
図10Aを用いて説明する。
【0081】
図10Aは、実施の形態に係る樹脂40の配合材料の配合量の一例を示す図である。
【0082】
樹脂40は、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のうちの一方に少なくとも導電材料が配合(均一分散配合:以下、均一配合とも言う)された樹脂である。
図10Aに示されるように、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のうちの一方に対して、導電材料の重量部は、0.3重量部から20重量部である。これにより、樹脂40は、硬化後に体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmとなる樹脂になる。
【0083】
熱硬化性樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂又はフェノール樹脂である。
【0084】
熱可塑性樹脂は、例えば、低分子量ポリエチレン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネイト樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂である。
【0085】
また、導電材料は、カーボンナノチューブ、グラフェン又はグラファイトを含む炭素同素体である。
【0086】
次に、樹脂40のより具体的な配合材料について
図10Bを用いて説明する。
【0087】
図10Bは、実施の形態に係る樹脂40の配合材料の配合量の他の例を示す図である。
【0088】
図10Bに示されるように、樹脂40の配合材料としてエポキシ樹脂を含む場合、樹脂40は、エポキシ樹脂に導電材料である炭素同素体と硬化剤と硬化促進剤とが配合されてなる。熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)に対して、硬化剤の重量部は、100重量部から800重量部であり、硬化促進剤の重量部は、1重量部から20重量部である。これにより、樹脂40は、加熱硬化後に体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmとなり、かつ、アスカーC型硬度計による硬度が60度から90度となる樹脂になる。
【0089】
硬化剤は、酸無水物系化合物、ジアミン系化合物、ジアルコール系化合物である。
【0090】
硬化促進剤は、アミン系化合物である。
【0091】
このようにして配合された樹脂40は、上述した受け治具10の製造方法によって加熱され硬化することで、受け治具10となる。
【0092】
(実施例)
次に、受け治具10を製造する際の実施例について、実施例1〜3を
図11A〜
図11Cにそれぞれ示して説明する。
【0093】
図11Aは、実施例に係る樹脂40の配合材料の配合量を示す図である。
図11Aに示されるエポキシ樹脂(可とう性エポキシ樹脂)は、実施例1の場合にはエポキシ樹脂であり、実施例2及び3の場合には可とう性エポキシ樹脂であることを示している。
【0094】
実施例1では、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂)は、ビスフェノールF型エポキシ樹脂である。硬化剤は、長鎖アルキル基を有するポリ酸ポリ無水物とテトラヒドロメチル無水フタル酸とが混合された混合物である。硬化促進剤は、1.8アザビシクロウンデセンである。導電材料は、多層カーボンナノチューブである。
【0095】
実施例2では、熱硬化性樹脂(可とう性エポキシ樹脂)は、ビスフェノールF型エポキシ樹脂と変性エポキシ樹脂とが混合された混合物である。硬化剤は、長鎖アルキル基を有するポリ酸ポリ無水物である。硬化促進剤は、1.8アザビシクロウンデセンである。導電材料は、多層カーボンナノチューブである。
【0096】
実施例3では、熱硬化性樹脂(可とう性エポキシ樹脂)は、ビスフェノールF型エポキシ樹脂と変性エポキシ樹脂とが混合された混合物である。硬化剤は、長鎖アルキル基を有するポリ酸ポリ無水物とテトラヒドロメチル無水フタル酸とが混合された混合物である。硬化促進剤は、1.8アザビシクロウンデセンである。導電材料は、多層カーボンナノチューブである。
【0097】
樹脂40は、実施例1〜3においてそれぞれ上述した配合材料を含み、
図11Aに示される配合量で配合されてなる樹脂である。
【0098】
次に、実施例1〜3における樹脂40の硬化条件について
図11Bに示す。
【0099】
図11Bは、実施例に係る樹脂40を硬化するときの条件を示す図である。
【0100】
図11Bに示されるように、実施例1〜3において加熱するステップ(ステップS16)では、全て同じ条件で硬化させられた。実施例1〜3において、樹脂40は、恒温槽で120度の温度で60分加熱させられて硬化させられた。
【0101】
また、実施例1〜3では、金型(ベース50、外型60及び内型70)の材料には、軽量で、低コストで、かつ、加工性の良いアルミニウムが使用された。また、金型への非粘着表面処理として、フッ素系樹脂コート処理が厚み100μm以下の精度で行われた。
【0102】
また、実施例1〜3において被せるステップ(ステップS12)では、離型フィルム20としてフッ素樹脂系フィルム(耐熱温度220度)及び布30が被せられた。
【0103】
次に、
図11A及び
図11Bで説明した実施例1〜3の条件で製造された受け治具10を構成する樹脂の物性について、
図11Cに示す。
【0104】
図11Cは、実施例に係る受け治具10を構成する樹脂の物性を示す図である。
【0105】
図11Cに示されるように、実施例1〜3においてそれぞれ、受け治具10を構成する樹脂の物性として、体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmとなり、かつ、アスカーC型硬度計による硬度が60度から90度となる。
【0106】
[効果等]
本実施の形態に係る受け治具10は、凸形状を有する対象物を当該凸形状のある凸面において支持するための受け治具であって、前記凸形状の輪郭に対応する凹部12を有する樹脂からなる。凹部12は、凸形状の型を取った場合に得られる凹形状を有する。樹脂は、アスカーC型硬度計による硬度が60度から90度であり、かつ、体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmである樹脂である。
【0107】
これにより、受け治具10は、サポートピン又は切削による受け治具と比べて、型を取るだけで容易に作成される。また、受け治具10は、アスカーC型硬度計による硬度が60度から90度である柔軟性のある樹脂からなるため、受け治具10が支持している対象物へ傷又はストレス等を与えない。さらに、受け治具10は、対象物の型を取った凹部12を有するため、対象物の凸形状を含めて包み込むように対象物を支持する。したがって、例えば、対象物が基板100等の場合の部品実装において、はんだ等の印刷精度及び部品実装精度を高めることができ、基板100を高品質なものにすることができる。さらに、受け治具10は、体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmである樹脂からなるため、対象物が部品112の実装された基板100等の場合でも、静電気によるリーク電流を抑制でき、また、対象物へのゴミによる汚染を抑制できる。このように、容易に作成でき、支持する対象物への静電気による影響及びストレスを抑制できる受け治具10を提供することができる。
【0108】
また、対象物は、少なくとも1つの部品112が実装された基板100又は工作物である。
【0109】
これにより、対象物として基板100又は各種工業生産品等の一般製造工程で使用される工作物への静電気による影響及びストレスを抑制できる。また、対象物が基板100の場合、部品112が実装された実装面110において基板100が支持され、対象物への静電気による影響及びストレスを抑制しつつ、実装面110の反対面120に容易に部品を実装できる。また、基板100の反対面120において基板100の検査を容易に行うことができる。また、基板100が多面取り基板の場合、基板100を容易に分割することができる。
【0110】
また、凹部12は、凹部12の開口よりも小さい底面を有し、開口から底面に向けて傾斜した壁面を有する。
【0111】
これにより対象物の凸形状が凹部12の傾斜した壁面を開口側から底面側へ滑るようにして凹部12に嵌るため、対象物を受け治具10に容易にセットできる。
【0112】
また、受け治具10を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のうちの一方に導電材料が配合された樹脂であり、熱硬化性樹脂及び前記熱可塑性樹脂のうちの一方に対して、導電材料の重量部は、0.3重量部から20重量部である。
【0113】
これにより、受け治具10を構成する樹脂の体積抵抗率を10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmにすることができる。
【0114】
また、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂又はフェノール樹脂である。熱可塑性樹脂は、低分子量ポリエチレン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネイト樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂である。導電材料は、カーボンナノチューブ、グラフェン又はグラファイトを含む炭素同素体である。
【0115】
これにより、受け治具10を構成する樹脂を上記の材料から選択して配合することができる。また、導電材料がカーボンナノチューブ、グラフェン又はグラファイト等の炭素同素体であるため、受け治具10を構成する樹脂がカーボン配合樹脂の場合と比べて、剥離に対する強度が高くなる。したがって、カーボンの剥離によるゴミが発生しにくく、対象物が基板100等の場合に、ゴミによる基板100上の不要な短絡等の市場不良の発生を抑制できる。
【0116】
また、受け治具10を構成する樹脂は、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂に導電材料と硬化剤と硬化促進剤とを配合した樹脂である。硬化剤は、酸無水物系化合物、ジアミン系化合物又はジアルコール系化合物であり、硬化促進剤は、アミン系化合物である。熱硬化性樹脂に対して、硬化剤の重量部は、100重量部から800重量部であり、硬化促進剤の重量部は、1重量部から20重量部である。
【0117】
これにより、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のうちの一方がエポキシ樹脂の場合には、上述した硬化剤と硬化促進剤とが配合されることで、受け治具10を構成する樹脂を、柔軟性を有する樹脂にすることができる。また、硬化剤の重量部が100重量部から800重量部、硬化促進剤の重量部が1重量部から20重量部で配合されることで、受け治具10を構成する樹脂のアスカーC型硬度計による硬度を60度から90度にすることができる。
【0118】
また、エポキシ樹脂は、ビスフェノールF型エポキシ樹脂である。また、エポキシ樹脂は、ビスフェノールF型エポキシ樹脂と脂肪族エポキシ樹脂及び変性エポキシ樹脂のうちの一方とが混合された可とう性エポキシ樹脂である。また、硬化剤は、長鎖アルキル基を有するポリ酸ポリ無水物、又は、長鎖アルキル基を有するポリ酸ポリ無水物とテトラヒドロメチル無水フタル酸とが混合された混合物である。また、硬化促進剤は、1.8アザビシクロウンデセンである。また、導電材料は、多層カーボンナノチューブである。
【0119】
これにより、受け治具10を構成する樹脂の特性を
図11Cに示すような特性にすることができる。
【0120】
本実施の形態に係る受け治具10の製造方法は、凸形状を有する対象物を凸形状のある凸面において支持するための受け治具の製造方法である。当該製造方法は、ベース50上に凸面が上方を向くように対象物を載置するステップと、ベース50上に載置された対象物の凸面側から離型フィルム20及び布30の少なくとも一方を被せるステップとを含む。また、当該製造方法は、離型フィルム20及び布30の少なくとも一方が被せられた対象物を対象物の上面視において囲むように、ベース50に対する高さが凸面の凸形状部分の当該高さよりも高い枠状の外型60をベース50上に設置するステップを含む。また、当該製造方法は、ベース50上に設置された外型60の枠内に、硬化後アスカーC型硬度計による硬度が60度から90度となり、かつ、体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmとなる樹脂40を入れるステップを含む。また、当該製造方法は、樹脂40が入れられた外型60の枠内において、外型60の内径に対応する外径を有する内型70を樹脂40へ押し付けるステップと、樹脂40を加熱するステップと、を含む。
【0121】
これにより、サポートピン又は切削による受け治具と比べて型を取るだけで容易に受け治具10を作成できる。また、受け治具10は、アスカーC型硬度計による硬度が60度から90度である柔軟性のある樹脂からなるため、受け治具10が支持している対象物へ傷又はストレス等を与えない。さらに、受け治具10は、対象物の型を取った凹部12を有するため、対象物の凸形状を含めて包み込むように対象物を支持する。したがって、例えば、対象物が基板100等の場合の部品実装において、はんだ等の印刷精度及び部品実装精度を高めることができ、基板100を高品質なものにすることができる。さらに、受け治具10は、体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmである樹脂からなるため、対象物が部品112の実装された基板100の場合でも、静電気によるリーク電流を抑制でき、また、対象物へのゴミによる汚染を抑制できる。このように、容易に作成でき、支持する対象物への静電気による影響及びストレスを抑制できる受け治具10を提供することができる。また、離型フィルム20又は布30を介して対象物の凸形状の型が取られるため、対象物が樹脂40によって汚染されることを抑制することができる。
【0122】
また、加熱するステップでは、押し付けるステップの後に内型70を樹脂40に押し付けた状態で樹脂40を加熱する。また、加熱するステップでは、入れるステップの前に樹脂40を加熱し、入れるステップでは、外型60の枠内に加熱するステップで加熱した樹脂40を入れてもよい。
【0123】
これにより、受け治具10を製造する工程において、樹脂40を加熱する順番を変えても受け治具10を作成することができる。
【0124】
また、対象物は、少なくとも1つの部品112が実装された基板100又は工作物である。
【0125】
これにより、対象物として基板100又は各種工業生産品等の一般製造工程で使用される工作物への静電気による影響及びストレスを抑制できる受け治具10を作成できる。
【0126】
また、離型フィルム20は、フッ素樹脂系フィルム、シリコン樹脂系フィルム又は耐熱フィルムに離型剤がコーティングされたフィルムである。
【0127】
これにより、離型フィルム20の熱及び圧力による伸び縮み量が少なくなるため、受け治具10の表面が離型フィルム20の伸び縮みによって波打った形状になることが抑制される。また、離型フィルム20に硬化した樹脂40が粘着しにくくなるため、離型フィルム20と硬化した樹脂とが剥がされるときに凹部12等の受け治具10の形状が崩れることが抑制される。また、離型フィルム20に樹脂40が浸透しにくくなるため、対象物が汚染されることがより抑制される。また、離型フィルム20は、樹脂40を加熱するときの加熱温度に耐えることができる。また、離型フィルム20を介しても対象物の凸面上の凸形状の型を鮮明に取ることができる。
【0128】
また、外型60及び内型70は、フッ素系樹脂コート処理、シリコン樹脂コート処理又は非粘着複合物コート処理がされた金型である。
【0129】
これにより、外型60及び内型70に硬化した樹脂40が粘着しにくくなるため、外型60及び内型70と硬化した樹脂40とが剥がされるときに受け治具10の形状が崩れることが抑制される。
【0130】
また、押し付けるステップでは、外型60の内周面と内型70の外周面との間のクリアランスaが50μmから300μmの状態で内型70が押し付けられる。
【0131】
これにより、内型70が押し付けられるときにガスを抜きつつ、樹脂40がクリアランスaに入り込むことを抑制できる。
【0132】
また、加熱するステップでは、樹脂40を70度から360度の温度で加熱する。
【0133】
これにより、樹脂40が70度から360度の温度で加熱されることで、樹脂40が熱硬化性を有する樹脂の場合には硬化し、樹脂40が熱可塑性を有する樹脂の場合には半溶融しその後冷やされて硬化する。そして、樹脂40は、硬化後アスカーC型硬度計による硬度が60度から90度であり、かつ、体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmである樹脂になる。
【0134】
また樹脂40は、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のうちの一方に導電材料が配合された樹脂であり、熱硬化性樹脂及び前記熱可塑性樹脂のうちの一方に対して、導電材料の重量部は、0.3重量部から20重量部である。
【0135】
これにより、樹脂40の体積抵抗率を10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmにすることができる。
【0136】
また、熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂又はフェノール樹脂である。熱可塑性樹脂は、低分子量ポリエチレン樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリルスチレン樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネイト樹脂又はポリブチレンテレフタレート樹脂である。導電材料は、カーボンナノチューブ、グラフェン又はグラファイトを含む炭素同素体である。
【0137】
これにより、樹脂40を上記の材料から選択して配合することができる。また、導電材料がカーボンナノチューブ、グラフェン又はグラファイト等の炭素同素体であるため、受け治具10を構成する樹脂がカーボン配合樹脂の場合と比べて、剥離に対する強度が高くなる。したがって、カーボンの剥離によるゴミが発生しにくく、対象物が基板100等の場合に、ゴミによる基板100上の不要な短絡等の市場不良の発生を抑制できる。
【0138】
また、樹脂40は、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂に導電材料と硬化剤と硬化促進剤とを配合した樹脂である。硬化剤は、酸無水物系化合物、ジアミン系化合物又はジアルコール系化合物であり、硬化促進剤は、アミン系化合物である。熱硬化性樹脂に対して、硬化剤の重量部は、100重量部から800重量部であり、硬化促進剤の重量部は、1重量部から20重量部である。
【0139】
これにより、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のうちの一方がエポキシ樹脂の場合には、上述した硬化剤と硬化促進剤とが配合されることで、受け治具10を構成する樹脂を、柔軟性を有する樹脂にすることができる。また、硬化剤の重量部が100重量部から800重量部、硬化促進剤の重量部が1重量部から20重量部で配合されることで、受け治具10を構成する樹脂のアスカーC型硬度計による硬度を60度から90度にすることができる。
【0140】
また、エポキシ樹脂は、ビスフェノールF型エポキシ樹脂である。
【0141】
また、エポキシ樹脂は、ビスフェノールF型エポキシ樹脂と脂肪族エポキシ樹脂及び変性エポキシ樹脂のうちの一方とが混合された可とう性エポキシ樹脂である。
【0142】
また、硬化剤は、長鎖アルキル基を有するポリ酸ポリ無水物、又は、長鎖アルキル基を有するポリ酸ポリ無水物とテトラヒドロメチル無水フタル酸とが混合された混合物である。
【0143】
また、硬化促進剤は、1.8アザビシクロウンデセンである。
【0144】
また、導電材料は、多層カーボンナノチューブである。
【0145】
これらにより、受け治具10を構成する樹脂の特性を
図11Cに示すような特性にすることができる。
【0146】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態及び実施例に係る受け治具10、受け治具10の製造方法及び樹脂40について説明したが、本発明は、上記実施の形態等に限定されるものではない。
【0147】
例えば、受け治具10は、上述したステップS11からステップS16に示される、ベース50上に載置された対象物に樹脂40が押し付けられる方法で作成されたが、これに限らない。例えば、受け治具10は、以下に示す方法で、作成されてもよい。
【0148】
まず、ベース50上に対象物の上面視において当該対象物を囲む内径を有する枠状の外型60を設置する。次に、ベース50上に設置された外型60の枠内に、硬化後アスカーC型硬度計による硬度が60度から90度となり、かつ、体積抵抗率が10
2Ω・cm〜10
7Ω・cmとなる樹脂40を入れる。次に、外型60の枠内に入れられた樹脂40に離型フィルム20及び布30の少なくとも一方を被せる。次に、樹脂40に被せられた離型フィルム20及び布30の少なくとも一方上に凸面が下方を向くように対象物を載置する。そして、対象物が離型フィルム20及び布30の少なくとも一方上に載置されている外型60の枠内において、外型60の内径に対応する外径を有する内型70を対象物へ押し付ける。次に、内型70を対象物へ押し付けた状態で外型60の枠内に入れられた樹脂40を加熱する。なお、樹脂40が加熱される温度は、70度から360度の温度である。また、外型60の内周面と内型70の外周面との間のクリアランスaが50μmから300μmの状態で内型70が押し付けられる。
【0149】
このような樹脂40に対象物が押し付けられる方法であっても、容易に受け治具10を作成できる。
【0150】
なお、樹脂40が外型60の枠内に入れられる前に事前に加熱されてもよい。また、樹脂40が外型60の枠内に入れられた後、離型フィルム20及び布30の少なくとも一方が被せられる前に加熱されてもよい。具体的には、樹脂40が熱可塑性を有する樹脂であり例えば板状、粒子状又はペレット状の樹脂の場合に、樹脂40が外型60の枠内に入れられる前に樹脂40が事前に加熱されて半溶融してから外型60の枠内に入れられてもよい。この場合には、内型70を対象物へ押し付けた状態で外型60の枠内に入れられた樹脂40が加熱される代わりに、内型70を対象物に押し付けた状態で、樹脂40が例えば常温で冷やされて硬化させられる。また、樹脂40が外型60の枠内に入れられた後に加熱され、加熱された樹脂40に離型フィルム20及び布30の少なくとも一方が被せられてもよい。このように、樹脂40を加熱する順番を変えても受け治具10を作成することができる。
【0151】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。