(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シートクッション(S)がクッション本体(Sm)と、そのクッション本体(Sm)の座面側方に設けられる可動サイド部(Ss)とを有すると共に、そのクッション本体(Sm)に可動サイド部(Ss)が、該クッション本体(Sm)に対し起立した起立位置(U)と、その起立位置(U)から傾倒した傾倒位置(D)との間で移動できるように支持される乗物用シートにおいて、
任意に操作入力可能な操作入力部(34)と、前記クッション本体(Sm)及び可動サイド部(Ss)間に設けられて、可動サイド部(Ss)を起立位置(U)にロック可能なロック作動状態とロック不可能なロック解除状態とに切換え可能なロック機構(L)と、前記可動サイド部(Ss)を前記起立位置(U)側に付勢する付勢手段(10)と、前記ロック機構(L)をロック作動状態に保持するための保持部材(15)と、前記操作入力部(34)が操作入力されるのに連動して作動状態となると共に、作動時には前記ロック機構(L)をロック解除状態に切換保持し、また非作動時には同ロック機構(L)がロック作動状態に自動復帰するのを許容するロック解除保持機構(LL,LL′)と、前記ロック解除保持機構(LL,LL′)が作動状態にあるときに前記可動サイド部(Ss)の前記傾倒に応じて前記ロック解除保持機構(LL,LL′)を非作動状態に切換える戻し機構(R,R′)とを備え、
前記可動サイド部(Ss)は、この可動サイド部(Ss)が起立位置(U)に保持された状態で前記操作入力部(34)が操作入力された後は、該可動サイド部(Ss)に所定の下向き荷重が作用するのに応じて前記起立位置(U)から傾倒し、
前記ロック解除保持機構(LL)は、前記可動サイド部(Ss)に軸支されると共に前記ロック機構(L)に連結されて、前記ロック機構(L)をロック解除状態に切換保持する作動位置と、同ロック機構(L)がロック作動状態に自動復帰するのを許容する不作動位置との間を回動し得るロック解除保持部材(31)を有しており、前記戻し機構(R)は、前記ロック解除保持部材(31)が前記作動位置にあるときに前記可動サイド部(Ss)が傾倒するのに応じてそのロック解除保持部材(31)と当接して該ロック解除保持部材(31)を前記不作動位置に強制回動させる戻し部材(50)を有していることを特徴とする、乗物用シート。
前記ロック解除保持機構(LL)は、前記ロック機構(L)に連結されて前記ロック機構(L)がロック作動状態にあるときには第1作動位置に、またロック解除位置にあるときには第2作動位置にそれぞれ位置するリンク機構(33)を更に有しており、前記ロック解除保持部材(31)は、前記第1作動位置にあるときの前記リンク機構(33)の被係合部(39)を係合させる第1係合部(36a)と、前記第2作動位置にあるときの前記リンク機構(33)の前記被係合部(39)を係合させる第2係合部(36b)を有することを特徴とする、請求項1に記載の乗物用シート。
前記ロック解除保持部材(31)には、前記第1,第2係合部(36a,36b)の一方から他方へ前記被係合部(39)が移動するのを案内するガイド部(36g)を設けたことを特徴とする、請求項3に記載の乗物用シート。
前記ロック解除保持部材(31)には、それの前記第1,第2係合部(36a,36b)の前記被係合部(39)との係合状態を各々保持し得るように該ロック解除保持部材(31)を付勢する保持ばね(35)が接続され、前記ガイド部(36g)は、そのガイド部(36g)の案内で前記被係合部(39)が前記第1,第2係合部(36a,36b)の一方から他方へ移動する途中で前記保持ばね(35)の付勢態様を、前記第1,第2係合部(36a,36b)の一方に前記被係合部(39)を係合保持する態様から前記第1,第2係合部(36a,36b)の他方に前記被係合部(39)を係合保持する態様へ切換える切換頂部(36gt)を有することを特徴とする、請求項4に記載の乗物用シート。
前記ロック解除保持部材(31)の前記可動サイド部(Ss)に対する回動軸線を通る鉛直面を挟んでその一方側に保持ばね(35)が、またその他方側に前記第1,第2係合部(36a,36b)及び前記ガイド部(36g)がそれぞれ配置されることを特徴とする、請求項5に記載の乗物用シート。
前記ロック解除保持機構(LL′)が作動状態にあるときに前記可動サイド部(Ss)の前記傾倒に応じて前記ロック解除保持機構(LL′)を非作動状態に切換える戻し機構(R′)を備えたことを特徴とする、請求項2に記載の乗物用シート。
前記ロック解除保持部材(31′)は、前記ロック部材(13)の前記係止溝(14)への進入、係止を阻止するように前記ロック部材(13)に係合し得る作動位置と、前記進入、係止を許容する不作動位置との間を移動可能であり、前記可動サイド部(Ss)が前記傾倒の後で前記起立位置(U)に復帰するときに、前記ロック部材(13)に連動して前記ロック解除保持部材(31′)が前記作動位置から前記不作動位置に移動することを特徴とする、請求項2,7,8の何れか1項に記載の乗物用シート。
前記ロック解除保持部材(31′)には、これを前記作動位置に弾発保持し得る戻しばね(96)が接続され、前記ロック部材(13)は、これが前記係止溝(14)に係止した状態では前記ロック解除保持部材(31′)を前記戻しばね(96)の弾発力に抗して前記不作動位置に保持するようにロック解除保持部材(31′)に係合し、その係合状態で前記操作入力部(34)が操作入力されるのに連動して前記ロック部材(13)は、前記係止溝(14)に対する係止を解除されると共に前記ロック解除保持部材(31′)を解放して、そのロック解除保持部材(31′)が前記不作動位置から前記作動位置まで前記戻しばね(96)の弾発力で移動するのを許容し、前記可動サイド部(Ss)が前記起立位置(U)から傾倒し再び起立位置(U)に復帰する過程で前記ロック解除保持部材(31′)を前記戻しばね(96)の弾発力に抗して前記作動位置から前記不作動位置に強制移動させ得るように、ロック部材(13)にロック解除保持部材(31′)を相対摺動可能に連係させる連動機構(R′)がロック部材(13)とロック解除保持部材(31′)間に設けられることを特徴とする、請求項9に記載の乗物用シート。
前記クッション本体(Sm)の骨格となるクッションフレーム(Fm)に、そのクッションフレーム(Fm)とは別部品であるサイドフレーム(Fs,Fs′)を結合して、そのサイドフレーム(Fs,Fs′)上に前記可動サイド部(Ss)を起立位置(U)と傾倒位置(D)との間で回動し得るよう軸支(8)し、それらサイドフレーム(Fs,Fs′)と可動サイド部(Ss)間に、可動サイド部(Ss)を起立位置にロックし得るロック機構(L)を設けたことを特徴とする、請求項1又は2に記載の乗物用シート。
前記可動サイド部(Ss)の前記サイドフレーム(Fs,Fs′)への軸支部を支持する支持壁部(W)が該サイドフレーム(Fs)上に一体的に立設され、前記クッションフレーム(Fm)の、前記クッション本体(Sm)外面より露出した部分(5a,5b,5c)に前記支持壁部(W)が締結されることを特徴とする、請求項13又は14に記載の乗物用シート。
前記支持壁部(W)の少なくとも一部(6f,6m,6r)が、前記クッション本体(Sm)のパッド部(1)に当接するパッド位置規制部として機能することを特徴とする、請求項15に記載の乗物用シート。
前記支持壁部(W)に連設した取付壁部(6rw)に前記クッションフレーム(Fm)が、前記可動サイド部(Ss)の底板フレーム(B)より車両前方側又は後方側にオフセットした位置で締結されることを特徴とする、請求項15又は16に記載の乗物用シート。
前記支持壁部(W)には、前記可動サイド部(Ss)並びにその可動サイド部(Ss)に付設されて該可動サイド部(Ss)と一緒に回動する部材との干渉を避ける逃げ部(6fk,6rk)が形成されることを特徴とする、請求項15〜17の何れか1項に記載の乗物用シート。
前記支持壁部(W)は、前記可動サイド部(Ss)の前記サイドフレーム(Fs)への軸支部を取り囲む囲い壁部(6f,6m,6r)を少なくとも有していることを特徴とする、請求項15〜18の何れか1項に記載の乗物用シート。
前記支持壁部(W)の前記囲い壁部(6f,6m,6r)が、前記クッション本体(Sm)のパッド部(1)の外側部に形成した凹部(1a)に収容されることを特徴とする、請求項19に記載の乗物用シート。
前記クッション本体(Sm)の骨格となるクッションフレーム(Fm)に、そのクッションフレーム(Fm)とは別部品であるサイドフレーム(Fs,Fs′)を結合して、そのサイドフレーム(Fs,Fs′)上に前記可動サイド部(Ss)を起立位置(U)と傾倒位置(D)との間で回動し得るよう軸支(8)し、それらサイドフレーム(Fs,Fs′)と可動サイド部(Ss)間に、可動サイド部(Ss)を起立位置にロックし得るロック機構(L)を設け、前記戻し部材(50)が前記サイドフレーム(Fs)上に突設されることを特徴とする、請求項1,3〜6の何れか1項に記載の乗物用シート。
前記クッションフレーム(Fm)の少なくとも一部はワイヤ状フレーム(5′)で構成されていて、そのワイヤ状フレーム(5′)の、前記クッション本体(Sm)外面より露出した部分(5c)に板状のサイドフレーム取付部材(70)が結合され、そのサイドフレーム取付部材(70)を介して前記サイドフレーム(Fs′)が前記ワイヤ状フレーム(5′)に取付けられることを特徴とする、請求項13に記載の乗物用シート。
前記サイドフレーム取付部材(70)の下方には、前記サイドフレーム(Fs′)からの荷重の一部を支持し得るサイドフレーム支持部材(71)が配置されることを特徴とする、請求項22に記載の乗物用シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記自動車用シートでは、可動サイド部が起立位置にロック保持された状態で乗員が降車しようとする場合に、起立保持用ロック機構をロック解除する操作と、起立状態の可動サイド部を手動で傾倒させる操作とを順次に個別に行う必要があるため、全体として操作に手間がかかり、乗員の迅速な降車に支障を来たす等の問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、従来の前記問題を簡単な構造で解決できるようにした乗物用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、シートクッションがクッション本体と、そのクッション本体の座面側方に設けられる可動サイド部とを有すると共に、そのクッション本体に可動サイド部が、該クッション本体に対し起立した起立位置と、その起立位置から傾倒した傾倒位置との間で移動できるように支持される乗物用シートにおいて、任意に操作
入力可能な操作入力部
と、前記クッション本体及び可動サイド部間に設けられて、可動サイド部を起立位置にロック可能なロック作動状態とロック不可能なロック解除状態とに切換え可能なロック機構と、前記可動サイド部を前記起立位置側に付勢する付勢手段と、前記ロック機構をロック作動状態に保持するための保持部材と、前記操作入力部が操作入力されるのに連動して作動状態となると共に、作動時には前記ロック機構をロック解除状態に切換保持し、また非作動時には同ロック機構がロック作動状態に自動復帰するのを許容するロック解除保持機構と、前記ロック解除保持機構が作動状態にあるときに前記可動サイド部の前記傾倒に応じて前記ロック解除保持機構を非作動状態に切換える戻し機構とを備え
、前記可動サイド部は、この可動サイド部が起立位置に保持された状態で前記操作入力部が操作入力された後は、該可動サイド部に所定の下向き荷重が作用するのに応じて前記起立位置から傾倒
し、前記ロック解除保持機構は、前記可動サイド部に軸支されると共に前記ロック機構に連結されて、前記ロック機構をロック解除状態に切換保持する作動位置と、同ロック機構がロック作動状態に自動復帰するのを許容する不作動位置との間を回動し得るロック解除保持部材を有しており、前記戻し機構は、前記ロック解除保持部材が前記作動位置にあるときに前記可動サイド部が傾倒するのに応じてそのロック解除保持部材と当接して該ロック解除保持部材を前記不作動位置に強制回動させる戻し部材を有していることを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、
シートクッションがクッション本体と、そのクッション本体の座面側方に設けられる可動サイド部とを有すると共に、そのクッション本体に可動サイド部が、該クッション本体に対し起立した起立位置と、その起立位置から傾倒した傾倒位置との間で移動できるように支持される乗物用シートにおいて、任意に操作入力可能な操作入力部と、前記クッション本体及び可動サイド部間に設けられて、可動サイド部を起立位置にロック可能なロック作動状態とロック不可能なロック解除状態とに切換え可能なロック機構と、前記可動サイド部を前記起立位置側に付勢する付勢手段と、前記ロック機構をロック作動状態に保持するための保持部材と、前記操作入力部が操作入力されるのに連動して作動状態となると共に、作動時には前記ロック機構をロック解除状態に切換保持し、また非作動時には同ロック機構がロック作動状態に自動復帰するのを許容するロック解除保持機構とを備え、前記可動サイド部は、この可動サイド部が起立位置に保持された状態で前記操作入力部が操作入力された後は、該可動サイド部に所定の下向き荷重が作用するのに応じて前記起立位置から傾倒し、前記ロック機構は、前記クッション本体及び前記可動サイド部の何れか一方に設けた係止溝付きのラッチと、その何れか他方に設けられて前記係止溝に係脱し得るロック部材とを備えていて、そのロック部材が係止溝に係止するときに前記ロック作動状態になると共に、前記操作入力部への操作入力に応じてロック部材の前記係止が解除されたときに前記ロック解除状態となり、また前記ロック解除保持機構は、前記ロック機構により前記可動サイド部が起立位置にロックされた状態での前記操作入力部への操作入力に応じて作動状態となるロック解除保持部材を備えていて、そのロック解除保持部材が、これの作動状態では前記ロック部材の前記係止溝への進入、係止を阻止するようにロック部材に係合することを第2の特徴とする
。
【0009】
また本発明は、前記第
1の特徴に加えて、前記ロック解除保持機構は、前記ロック機構
に連結されて前記ロック機構がロック作動状態にあるときには第1作動位置に、またロック解除位置にあるときには第2作動位置にそれぞれ位置するリンク機構を更に有しており、前記ロック解除保持部材は、前記第1作動位置にあるときの前記リンク機構の被係合部を係合させる第1係合部と、前記第2作動位置にあるときの前記リンク機構の前記被係合部を係合させる第2係合部を有することを第
3の特徴とする。
【0010】
また本発明は、前記第
3の特徴に加えて、前記ロック解除保持部材には、前記第1,第2係合部の一方から他方へ前記被係合部が移動するのを案内するガイド部を設けたことを第
4の特徴とする。
【0011】
また本発明は、前記第
4の特徴に加えて、前記ロック解除保持部材には、それの前記第1,第2係合部の前記被係合部との係合状態を各々保持し得るように該ロック解除保持部材を付勢する保持ばねが接続され、前記ガイド部は、そのガイド部の案内で前記被係合部が前記第1,第2係合部の一方から他方へ移動する途中で前記保持ばねの付勢態様を、前記第1,第2係合部の一方に前記被係合部を係合保持する態様から前記第1,第2係合部の他方に前記被係合部を係合保持する態様へ切換える切換頂部を有することを第
5の特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記第
5の特徴に加えて、前記ロック解除保持部材の前記可動サイド部に対する回動軸線を通る鉛直面を挟んでその一方側に保持ばねが、またその他方側に前記第1,第2係合部及び前記ガイド部がそれぞれ配置されることを第
6の特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記第2の特徴に加えて、前記ロック解除保持機構が作動状態にあるときに前記可動サイド部の前記傾倒に応じて前記ロック解除保持機構を非作動状態に切換える戻し機構を備えたことを第7の特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記第
2又は第7の特徴に加えて、前記ロック解除保持部材は前記ラッチに隣接して配置されることを第
8の特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記第
2,第7,第8の何れかの特徴に加えて、前記ロック解除保持部材は、前記ロック部材の前記係止溝への進入、係止を阻止するように前記ロック部材に係合し得る作動位置と、前記進入、係止を許容する不作動位置との間を移動可能であり、前記可動サイド部が前記傾倒の後で前記起立位置に復帰するときに、前記ロック部材に連動して前記ロック解除保持部材が前記作動位置から前記不作動位置に移動することを第
9の特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記第
9の特徴に加えて、前記ロック解除保持部材には、これを前記作動位置に弾発保持し得る戻しばねが接続され、前記ロック部材は、これが前記係止溝に係止した状態では前記ロック解除保持部材を前記戻しばねの弾発力に抗して前記不作動位置に保持するようにロック解除保持部材に係合し、その係合状態で前記操作入力部が操作入力されるのに連動して前記ロック部材は、前記係止溝に対する係止を解除されると共に前記ロック解除保持部材を解放して、そのロック解除保持部材が前記不作動位置から前記作動位置まで前記戻しばねの弾発力で移動するのを許容し、前記可動サイド部が前記起立位置から傾倒し再び起立位置に復帰する過程で前記ロック解除保持部材を前記戻しばねの弾発力に抗して前記作動位置から前記不作動位置に強制移動させ得るように、ロック部材にロック解除保持部材を相対摺動可能に連係させる連動機構がロック部材とロック解除保持部材間に設けられることを第
10の特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記第1〜第10の何れかの特徴に加えて、前記可動サイド部は、前記起立位置から傾倒した後、該可動サイド部に作用する下向き荷重が所定値以下に減少するのに応じて前記起立位置へ自動復帰してロック状態となることを第11の特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記第1〜第11の何れかの特徴に加えて、前記可動サイド部は、前記傾倒位置にあるときに水平位置よりも更に下向きに傾倒することを第12の特徴とする。
【0019】
また本発明は、前記第1
又は第2の特徴に加えて、前記クッション本体の骨格となるクッションフレームに、そのクッションフレームとは別部品であるサイドフレームを結合して、そのサイドフレーム上に前記可動サイド部を起立位置と傾倒位置との間で回動し得るよう軸支し、それらサイドフレームと可動サイド部間に、可動サイド部を起立位置にロッ
クし得るロック機構を設けたことを第
13の特徴とする。
【0020】
また本発明は、前記第
13の特徴に加えて、前記クッションフレームの少なくとも一部はワイヤ状フレームで構成されていて、そのワイヤ状フレームの、前記クッション本体外面より露出した部分に前記サイドフレームが締結されることを第
14の特徴とする。
【0021】
また本発明は、前記第
13又は第
14の特徴に加えて、前記可動サイド部の前記サイドフレームへの軸支部を支持する支持壁部が該サイドフレーム上に一体的に立設され、前記クッションフレームの、前記クッション本体外面より露出した部分に前記支持壁部が締結されることを第
15の特徴とする。
【0022】
また本発明は、前記第
15の特徴に加えて、前記支持壁部の少なくとも一部が、前記クッション本体のパッド部に当接するパッド位置規制部として機能することを第
16の特徴とする。
【0023】
また本発明は、前記第
15又は第
16の特徴に加えて、前記支持壁部に連設した取付壁部に前記クッションフレームが、前記可動サイド部の底板フレームより車両前方側又は後方側にオフセットした位置で締結されることを第
17の特徴とする。
【0024】
また本発明は、前記第
15〜第
17の何れかの特徴に加えて、前記支持壁部には、前記可動サイド部並びにその可動サイド部に付設されて該可動サイド部と一緒に回動する部材との干渉を避ける逃げ部が形成されることを第
18の特徴とする。
【0025】
また本発明は、前記第
15〜第
18の何れかの特徴に加えて、前記支持壁部が、前記可動サイド部の前記サイドフレームへの軸支部を取り囲む囲い壁部を少なくとも有していることを第
19の特徴とする。
【0026】
また本発明は、前記第
19の特徴に加えて、前記支持壁部の前記囲い壁部が、前記クッション本体のパッド部の外側部に形成した凹部に収容されることを第
20の特徴とする。
【0027】
また本発明は、前記第
1,第3〜第
6の何れかの特徴に加えて、前記クッション本体の骨格となるクッションフレームに、そのクッションフレームとは別部品であるサイドフレームを結合して、そのサイドフレーム上に前記可動サイド部を起立位置と傾倒位置との間で回動し得るよう軸支し、それらサイドフレームと可動サイド部間に、可動サイド部を起立位置にロックし得るロック機構を設け、前記戻し部材が前記サイドフレーム上に突設されることを第
21の特徴とする。
【0028】
また本発明は、前記第
13の特徴に加えて、前記クッションフレームの少なくとも一部はワイヤ状フレームで構成されていて、そのワイヤ状フレームの、前記クッション本体外面より露出した部分に板状のサイドフレーム取付部材が結合され、そのサイドフレーム取付部材を介して前記サイドフレームが前記ワイヤ状フレームに取付けられることを第
22の特徴とする。
【0029】
また本発明は、前記第
22の特徴に加えて、前記サイドフレーム取付部材の下方には、前記サイドフレームからの荷重の一部を支持し得るサイドフレーム支持部材が配置されることを第
23の特徴とする。
【0030】
また本発明は、前記第
23の特徴に加えて、前記サイドフレーム取付部材が前記サイドフレームと前記サイドフレーム支持部材との間に挟持されることを第
24の特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
本発明の第1
、及び第2の特徴によれば、可動サイド部は、これが起立位置に保持された状態で操作入力部が操作入力された後、その可動サイド部に所定の下向き荷重が作用するのに応じて起立位置から傾倒するので、操作入力部が操作入力された後は、その操作入力部から手を離しても可動サイド部を、随時に傾倒可能な状態で起立位置に保持しておくことができ、その状態から可動サイド部を傾倒させるのに可動サイド部を特別に傾倒操作する必要はないことから、全体として操作性が頗る良好である。即ち、クッション本体に座る乗員が降車しようとする時には、操作入力部を単に操作入力しておくだけで、可動サイド部を乗員の体重で自動的に傾倒させることができるから、操作性の向上を図りつつ可動サイド部が乗員の降車動作の障害となるのを回避可能となり、これにより、乗員は可動サイド部に邪魔されずに迅速且つ容易に降車可能となる。
【0032】
また、通常はロック機構により可動サイド部を起立位置にロック保持することで乗員のホールド性を良好に保つことができ、またこの状態から、操作入力部への操作入力に基づきロック解除保持機構を作動させてロック機構をロック解除状態に切換保持することができる。またこのロック解除保持状態でも付勢手段により可動サイド部は一応、起立位置に保持可能であるが、この状態からクッション本体上の乗員が横移動しようとする時には、可動サイド部を乗員の体重で付勢手段に抗して無理なく傾倒させることができる。
【0033】
しかも本発明の第1の特徴によれば、可動サイド部の傾倒に応じて戻し機構がロック解除保持機構を非作動状態に切換えるので、乗員の横移動の終了後は、乗員体重から解放された可動サイド部は付勢手段により自動的に上昇し、これが起立位置に達したときにロック機構がロック作動状態となることから、可動サイド部を起立位置に自動的に復帰、保持することができ、全体として操作性が頗る良好である。さらに可動サイド部を傾倒位置にロックする傾倒保持用ロック機構を省略できるから、それだけ構造の簡素化が図られる。また乗員の横移動に応じて可動サイド部を起立位置から傾倒させる際に、作動状態にあるロック解除保持機構のロック解除保持部材と、戻し機構の戻し部材とを機械的に係合させるだけで、ロック解除保持機構を可動サイド部の傾倒動作に機械的に連動させて非作動状態に切換えることができるので、その切換構造が簡単である。
【0034】
また本発明の第2の特徴によれば、ロック解除保持部材が、これの作動状態ではロック部材の係止溝への進入、係止を阻止するようにロック部材に係合するので、ロック部材にロック解除保持部材を直接的に連係させることができて、ロック解除保持部材の構造を簡単且つ小型化することができ、ロック解除保持機構が大型化するのを効果的に抑制可能となる。
【0035】
また本発明の第
3の特徴によれば、ロック解除保持機構の、ロック機構に連動連結されたリンク機構の被係合部を、同機構のロック解除保持部材の第1,第2係合部に選択的に係合させるだけの簡単な構成で、ロック解除保持機構を作動状態と非作動状態とに各々的確に保持することができる。
【0036】
また本発明の第
4の特徴によれば、ロック解除保持部材には、前記第1,第2係合部の一方から他方へリンク機構の被係合部が移動するのを案内するガイド部を設けたので、ロック解除保持機構を作動状態と非作動状態とに無理なくスムーズに切換え動作させることができる。
【0037】
また本発明の第
5の特徴によれば、単一の保持ばねで前記第1,第2係合部の前記被係合部との係合状態を各々保持可能となり、従って、簡単な構造でロック解除保持機構を作動状態と非作動状態とに各々的確に保持することができる。
【0038】
また本発明の第
6の特徴によれば、ロック解除保持部材の可動サイド部に対する回動軸線を通る鉛直面を挟んでその一方側に保持ばねが、またその他方側に前記第1,第2係合部及び前記ガイド部がそれぞれ配置されるので、保持ばねとリンク機構との相互干渉を無理なく回避しながら、ロック解除保持機構をコンパクトに構成可能となる。
【0039】
また本発明の第
7の特徴によれば、
可動サイド部の傾倒に応じて戻し機構がロック解除保持機構を非作動状態に切換えるので、乗員の横移動の終了後は、乗員体重から解放された可動サイド部は付勢手段により自動的に上昇し、これが起立位置に達したときにロック機構がロック作動状態となることから、可動サイド部を起立位置に自動的に復帰、保持することができ、全体として操作性が頗る良好である。さらに可動サイド部を傾倒位置にロックする傾倒保持用ロック機構を省略できるから、それだけ構造の簡素化が図られる。
【0040】
また本発明の第
8の特徴によれば、ロック解除保持部材をロック機構のラッチに隣接配置したことで、ロック解除保持部材の保持力をロック部材に効率よく伝達できる上、ロック解除保持部材の構造をより簡単且つ小型化できる。
【0041】
また本発明の第
9の特徴によれば、ロック解除保持部材は、ロック部材の係止溝への進入、係止を阻止するようにロック部材に係合し得る作動位置と、前記進入、係止を許容する不作動位置との間を移動可能であり、可動サイド部が前記傾倒の後で起立位置に復帰するときに、ロック部材に連動してロック解除保持部材が作動位置から不作動位置に移動するので、傾倒した可動サイド部が起立位置に戻るときに、ロック部材を利用した簡単な連動構造でロック解除保持部材を不作動位置に自動復帰させることができる。
【0042】
また本発明の第
10の特徴によれば、ロック部材は、これがラッチの係止溝に係止した状態ではロック解除保持部材を戻しばねの弾発力に抗して不作動位置に保持するようにロック解除保持部材に係合するので、通常はロック解除保持部材に邪魔されずに可動サイド部を起立位置にロックできる。またそのロック状態で操作入力部が操作入力されるのに連動してロック部材は、係止溝に対する係止を解除されると共にロック解除保持部材を解放し、これにより、そのロック解除保持部材が不作動位置から作動位置まで戻しばねの弾発力で移動するので、操作入力部への操作入力に応じてロック解除保持状態が容易に得られる。さらに可動サイド部が起立位置から傾倒し再び起立位置に復帰する過程では、ロック部材にロック解除保持部材を相対摺動可能に連係させる連動機構が、ロック解除保持部材を戻しばねの弾発力に抗して作動位置から不作動位置に強制移動させることができる。それらの結果、ロック解除保持部材は、これを操作入力部とロック機構間の伝動経路から分離独立した簡単な配置構造としても、そのロック解除保持部材をロック部材に連係させることで作動位置と不作動位置間での切替え動作を的確に行い得るから、ロック解除保持機構の更なる構造簡素化や小型化を図ることができる。
【0043】
また本発明の第11の特徴によれば、可動サイド部は、起立位置から傾倒した後、可動サイド部に作用する下向き荷重が所定値以下に減少するのに応じて起立位置へ自動復帰してロック状態となるので、可動サイド部の上記傾倒後に、そこから乗員が離れるのに応じて可動サイド部を起立位置に自動復帰させることができて、操作性が更に良好である。
【0044】
また本発明の第
13の特徴によれば、クッション本体の骨格たるクッションフレームとは別部品であるサイドフレーム上に可動サイド部をロック機構等と共に一纏めに組付けることができて、それらを単一の小組立体、即ちサブアッシーとして取り扱い可能となる。これにより、クッション本体側のクッションフレームを小型化できるだけでなく、そのクッションフレームに、予め組立てた上記小組立体のサイドフレームを単に結合するだけで、可動サイド部をクッション本体に容易迅速に且つ精度よく組付け可能となり、生産性向上に大いに寄与することができる。また、機種変更等により可動サイド部の形状やサイズ
等を変更する場合でも、小型部品であるサイドフレームを変更するだけで済んで、大型部品であるクッション本体(クッションフレーム)の変更を不要又は軽微な変更に抑えることが可能となり、対応が容易である。
【0045】
また本発明の第
14の特徴によれば、クッションフレームの少なくとも一部はワイヤ状フレームで構成されていて、そのワイヤ状フレームの、クッション本体外面より露出した部分に前記サイドフレームが締結されるので、成形性に優れたワイヤ状フレームにより、クッションフレームにおけるサイドフレーム締結部を容易に形成できる上、その形成位置の選択自由度も高めることができる。
【0046】
また本発明の第
15の特徴によれば、可動サイド部のサイドフレームへの軸支部を支持する支持壁部がサイドフレーム上に一体的に立設され、クッションフレームの、クッション本体外面より露出した部分に前記支持壁部が締結されるので、可動サイド部の軸支部を支持する支持壁部が、クッションフレームに対するサイドフレーム側の被締結部を兼ねることとなり、それだけ構造の簡素化が図られる。
【0047】
また本発明の第
16の特徴によれば、前記支持壁部の少なくとも一部が、クッション本体のパッド部に当接するパッド位置規制部として機能するので、可動サイド部の軸支部を支持する支持壁部がパッド規制手段を兼ねることとなり、それだけ構造簡素化が図られる。
【0048】
また本発明の第
17の特徴によれば、前記支持壁部に連設した取付壁部にクッションフレームが、可動サイド部の底板フレームより車両前方側又は後方側にオフセットした位置で締結されるので、その締結部でサイドフレームをクッションフレームに締結する作業を行うに当たり、可動サイド部が邪魔になるのを効果的に回避できて、作業性が高められる。
【0049】
また本発明の第
18の特徴によれば、前記支持壁部には、可動サイド部並びにその可動サイド部に付設されて該可動サイド部と一緒に回動する部材との干渉を避ける逃げ部が形成されるので、可動サイド部を移動させる際に支持壁部との干渉を抑制できる。
【0050】
また本発明の第
19の特徴によれば、前記支持壁部は、可動サイド部のサイドフレームへの軸支部を取り囲む囲い壁部を有するので、その軸支部を囲い壁部で効果的に補強し且つ保護することができる。
【0051】
また本発明の第
20の特徴によれば、前記支持壁部の前記囲い壁部が、クッション本体のパッド部の外側部に形成した凹部に収容されるので、その支持壁部がクッション本体の外側方に大きく張出すのを回避して、シートのコンパクト化に寄与することができる。
【0052】
また本発明の第
21の特徴によれば、前記戻し部材がサイドフレーム上に突設されるので、ロック解除保持機構を非作動状態に自動的に切換えるための機構の簡素化が図られ、コスト節減に寄与することができる。
【0053】
また本発明の第
22の特徴によれば、クッションフレームの一部を構成するワイヤ状フレームの、クッション本体外面より露出した部分に板状のサイドフレーム取付部材が結合され、そのサイドフレーム取付部材を介してサイドフレームがワイヤ状フレームに取付けられるので、サイドフレームはこれを細く且つ曲がりくねったワイヤ状フレームに直接取付ける場合と比べて取付けが容易であり、またサイドフレームやワイヤ状フレームの設計自由度も高くなる。
【0054】
また本発明の第
23の特徴によれば、サイドフレーム取付部材の下方には、前記サイドフレームからの荷重の一部を支持し得るサイドフレーム支持部材が配置されるので、サイドフレームの大型化を抑制しながらサイドフレームの支持強度を高めることができる。
【0055】
また本発明の第
24の特徴によれば、サイドフレーム取付部材がサイドフレームとサイドフレーム支持部材との間に挟持されるので、サイドフレームに対する支持構造の簡素化を図りながらサイドフレームの支持強度を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0058】
次に本発明の実施の形態を、添付図面に示した実施形態に基づいて説明する。尚、本明細書中、前後、左右とは、本発明を適用する乗物としての四輪自動車を基準にしていうことにする。
【0059】
先ず、
図1において、第1実施形態のシートAは、四輪自動車の床に設置される乗員三人用のリヤシートであって、乗員の尻部を座乗させるシートクッションSと、そのシートクッションSの後端部から上方に起立して乗員の背中を支えるシートバックSBとより構成される。
【0060】
図2〜
図5を併せて参照して、シートクッションSは、上面が座面となるクッション本体Smと、そのクッション本体Smの座面側方(図示例では左右の乗降口側)に配設される左右一対の可動サイド部Ssとに分割構成されており、そのクッション本体Smには各可動サイド部Ssが、クッション本体Smに対して起立した起立位置Uと、その起立位置Uから傾倒した傾倒位置Dとの間で各々移動できるように取付けられる。
図示例では、可動サイド部Ssは、傾倒位置Dにいるときに水平位置よりも更に下向きに傾倒している。また、それらクッション本体Sm及び可動サイド部Ss間には、可動サイド部Ssを起立位置Uにロック可能なロック作動状態とロック不可能なロック解除状態とに切換え可能なロック機構Lが設けられる。
【0061】
尚、図示例では、可動サイド部Ssは、これが起立位置Uにあるときに、クッション本体Smに対して上方に隆起したものが例示されるが、本発明において可動サイド部Ssは、これが起立位置Uにあるときにクッション本体Smから必ずしも上方に隆起していなくてもよく、例えばクッション本体Smと略同じ高さであってもよい。
【0062】
前記クッション本体Smは、それの骨格となるクッションフレームFmと、このクッションフレームFmに支持されるパッド部としてのクッション本体用クッションパッド1とから構成され、そのクッションパッド1の表面は、皮革又は合成皮革製の表皮2で被覆される。また、クッションフレームFmの左右両端部には、そのクッションフレームFmとは別部品であるサイドフレームFsが結合されており、このサイドフレームFsに、それよりも上方に位置する可動サイド部Ssが回動可能として取付けられる。
【0063】
前記クッションフレームFmは、図示しない板状フレームと、その板状フレームに結合
されるワイヤ状フレーム5とを備える。そのワイヤ状フレーム5は、棒状の金属フレームをクッション本体Smの略全域に亘りその輪郭形態に対応した所定形状に折り曲げて形成される剛体フレームであって、その大部分は、クッションパッド1内に埋設される。またクッション本体Smの左右両側面からはワイヤ状フレーム5の一部が露出しており、その露出部分5a,5bに前記サイドフレームFsが着脱可能に締結される。尚、このようにクッションフレームFmの少なくとも一部をワイヤ状フレーム5で構成して、そのワイヤ状フレーム5の、クッション本体外面より露出した部分5a,5bにサイドフレームFsを締結すれば、成形性に優れたワイヤ状フレーム5により、クッションフレームFmにおけるサイドフレーム締結部を容易に形成できる上、その形成位置の選択自由度も高められる利点がある。
【0064】
また可動サイド部Ssは、それの底壁を構成する底板フレームBと、この底板フレームB上に固定支持される可動サイド部用クッションパッド3とを備えており、そのクッションパッド3内には、底板フレームBと協働して可動サイド部Ssの骨格となる補強フレーム(図示せず)が埋設される。そのクッションパッド3の表面は、皮革又は合成皮革製の表皮4で被覆される。
【0065】
前記底板フレームBは、可動サイド部Ssの底部形状に対応した概ね三角形状の一枚板よりなる底板フレーム主体Bmと、その底板フレーム主体Bmの下面に重合溶接された概ね矩形状のロック機構支持フレームBlとから構成される。そのロック機構支持フレームBlは、外周に下向きフランジ部20fを一体に連設した上部フレーム板20と、その上部フレーム板20の下面に重合溶接される下部フレーム板21とよりなる二枚合せ構造に構成される。
【0066】
サイドフレームFsには、可動サイド部Ssが起立位置Uと傾倒位置Dとの間で回動し得るように、可動サイド部Ssの底板フレームBが枢軸8を介して軸支されており、その軸支部の構造を、次に説明する。
【0067】
即ち、サイドフレームFsの上面には、前、後壁6f,6r及びそれら間を一体に結合する中間壁6mよりなる平面視で概ねコ字状の支持壁部Wが一体に立設されており、中間壁6mには、互いに平行な前、後ヒンジ壁7f,7rが一体に突設される。そして、その前、後ヒンジ壁7f,7r間に枢軸8が架設固定されており、その枢軸8は、前記底板フレームB(特にロック機構支持フレームBlを構成する上、下部フレーム板20,21)の、クッション本体Sm側の側縁から各々一体に延びる延長板部20a,21aの相互間に挟着した軸受用カラー22に回動可能に嵌合連結される。尚、上下部フレーム板20,21には、延長板部20a,21aの領域とそれ以外の領域とに跨がる、補強用の浅い隆起部23が各々形成される。
【0068】
而して、支持壁部Wは、可動サイド部SsのサイドフレームFs軸支部を取り囲むような、前記前、後壁6f,6r及び中間壁6mよりなる囲い壁部を有しているため、その軸支部を囲い壁部6f,6m,6rで効果的に補強し且つ保護することができる。しかも、この囲い壁部6f,6m,6rは、図示例ではクッション本体Smのクッションパッド1の外側面に形成した下面開放の凹部1aに収容されており、これにより、支持壁部Wがクッション本体Smの外側方に大きく張出すのを回避して、シートSのコンパクト化が図られる。この場合、支持壁部Wの囲い壁部6f,6m,6rの少なくとも一部が、クッション本体Smのクッションパッド1に当接するパッド位置規制部として機能することとなるため、可動サイド部Ssの軸支部を支持する支持壁部Wがパッド規制手段を兼ねることとなり、それだけ構造簡素化が図られる。
【0069】
更に支持壁部Wの一部(例えば囲い壁部の前後壁6f,6r)には、可動サイド部Ss
並びにその可動サイド部Ssに付設されて可動サイド部Ssと一緒に回動する部品(後述するロック解除保持機構LLの構成部品)との干渉を避ける切欠き状の逃げ部6fk,6rkが形成される。これにより、可動サイド部Ssを回動させる際に支持壁部Wが障害となる心配がなく、作業性が高められる。
【0070】
また、支持壁部Wの一部(図示例では前壁6f)は、ワイヤ状フレーム5の一方の前記露出部分5aと隣接してボルトb・ナットnで締結される。このように可動サイド部Ssのサイドフレーム軸支部を支持する支持壁部Wが、サイドフレームFsをクッションフレームFmに締結すべき被締結部に兼用されることとなるから、それだけ構造の簡素化が図られる。
【0071】
また、支持壁部Wの後壁6rには後方に延びる取付壁部6rwが固着されており、その取付壁部6rwの先部と、クッションフレームFmの、クッション本体Sm外面より露出した第2部分5bとが、可動サイド部Ssの底板フレームBより車両前後方向一方側(図示例では後方側)にオフセットした位置でボルトb・ナットnにより締結される。その締結部の上記オフセット効果により、サイドフレームFsをクッションフレームFmに締結する作業を行うに当たり可動サイド部Ssが邪魔になるのを効果的に回避できて、作業性が高められる。
【0072】
またサイドフレームFsと底板フレームBとの間には、可動サイド部Ssを起立位置Uに向けて弾発付勢する付勢手段としての戻しばね10が介装される。この戻しばね10は、図示例では枢軸8の側方で前後ヒンジ壁7f,7r間に架設したばね支軸9を囲繞する捩じりコイルばねより構成されており、そのばね10の一端が底板フレームBの前記延長板部21aに係合し、その他端が、前後ヒンジ壁7f,7rの一方に係合している。これにより、可動サイド部Ssは、その自由状態では戻しばね10の弾発力で起立位置Uに弾発保持される。尚、戻しばね10による付勢力を補助する手段として、例えば少なくとも1つの補助ばね(図示せず)を必要に応じて使用可能であり、この場合、各補助ばねは、サイドフレームFsと底板フレームBとの間に、戻しばね10とは並列に介装される。
【0073】
ところでサイドフレームFsと底板フレームBとの間には、可動サイド部Ss(底板フレームB)を起立位置Uにロックし得るロック機構Lが介装される。次に
図6,
図7を併せて参照して、そのロック機構Lの構成を説明する。
【0074】
そのロック機構Lは、前記ロック機構支持フレームBlに所定ストローク、即ち所定のロック位置(
図4実線)とロック解除位置(
図4鎖線)との間で前後摺動自在に支持されるロックバー12と、そのロックバー12の一対のフォーク状係止部12aにそれぞれ係合する第1係合部13aを有してロックバー12に連動する一対のロック部材13と、そのロック部材13の第2係合部13bに係脱可能として前、後ヒンジ壁7f,7rの外周部に形成される一対の係止溝14と、ロックバー12をロック位置側(
図4左方)に弾発保持する、保持部材としてのロックばね15とを備える。このロックばね15は、ロックバー12に突設したばね受け部12dと底板フレームB間に引張状態で介装される。而して係止溝14付きの前、後ヒンジ壁7f,7rは、ロック部材13が係脱可能なラッチとして機能する。
【0075】
前記底板フレームBの下部フレーム板21には、ロックバー12を摺動案内する案内壁部が、下部フレーム板21の一部を切り起こす等して設けられる。また、前記係止溝14は、周方向に幅広で浅い第1溝部14aと、その第1溝部14aの一端部底面に凹設される深い第2溝部14bとから構成される。
【0076】
ロック部材13は、ロック機構支持フレームBlに枢軸16を介して回動可能に連結支
持されていて、第2係合部13bが第2溝部14bに突入、係止するロック作動位置(
図4実線、
図5(A)を参照)と、第2溝部14bには係止不能で第1溝部14a内に留まるロック不作動位置(
図4鎖線、
図5(B)を参照)との間で枢軸16回りに回動できるようになっている。そして、ロックばね15の弾発力は、ロックバー12を介してロック部材13をロック作動位置側(
図4で反時計方向)に常時付勢される。
【0077】
而して、第1溝部14aの周方向一端と他端にロック部材13の第2係合部13bが係合することで、ロック部材13の回動範囲が所定範囲内に制限され、これにより、可動サイド部Ssの回動範囲が制限される。またロック部材13は、可動サイド部Ssが起立位置Uにあるときにだけ第2溝部14bに対向するような配置となっていて、ロック部材13の前記ロック作動位置側への回動が可能となる。そして、ロック部材13が前記ロック作動位置にあって、その第2係合部13bが第2溝部14bに係止した状態では、ロック部材13の回動規制により可動サイド部Ssが起立位置Uにロックされる。
【0078】
また可動サイド部Ssの底板フレームBには、作動時にロック機構Lのロックばね15に抗してロック機構Lをロック解除状態に切換保持し、また非作動時にはロック機構Lがロックばねの弾発力でロック作動状態に自動復帰するのを許容するロック解除保持機構LLが設けられる。次にそのロック解除保持機構LLの構成を説明する。
【0079】
このロック解除保持機構LLは、ロック機構Lに連動連結されてロック機構Lをロック解除状態(即ちロック部材13の第2係合部13bが第2溝部14bから離脱した状態)に切換保持する作動位置(
図7(C))と、ロック機構Lがロック作動状態(即ちロック部材13の第2係合部13bが第2溝部14bに係止した状態)に自動復帰するのを許容する不作動位置(
図7(A))との間を回動し得るロック解除保持部材31と、ロック機構Lに連動連結されてロック機構Lがロック作動状態にあるときには第1作動位置(
図7(A))に、またロック解除位置にあるときには第2作動位置(
図7(C))にそれぞれ位置するリンク機構33と、ロック解除保持機構LLを任意に作動させるべくリンク機構33に連結される操作入力部としての操作レバー34とを備える。そして、前記ロック解除保持部材31は、可動サイド部Ssの底板フレームBに固着したコ字状の第1ブラケット30に軸支され、また前記リンク機構33は、前記第1ブラケット30とロックバー12に固定の第2ブラケット32とに枢支連結される。
【0080】
即ち、ロック解除保持部材31は、前記第1ブラケット30の一方の側壁延長部に枢軸29を介して水平軸線回りに回動可能に軸支されるものであって、その回動軸線を通る鉛直面を挟んで前後一方側の第1半部31Aには、保持ばね35との連結部が配設され、またその前後他方側の第2半部31Bには、後述する第1,第2係合部36a,36bが配設される。前記保持ばね35は、そのばね固定端が第1ブラケット30の前記側壁延長部に連結されていて、ロック解除保持部材31を所定方向(
図7で時計方向)に弾発付勢する。
【0081】
また前記リンク機構33は、前後に離間した前記第1,第2ブラケット30,32に各基端が枢軸27,28を介して水平軸線回りに回動可能にそれぞれ軸支された第1,第2リンク37,38を備える。その両リンク37,38の先端相互は枢軸26を介して水平軸線回りに回動可能に連結されており、その枢軸26の軸端には、ロック解除保持部材31の前記第1,第2係合部36a,36bに係合し得る被係合部としての切換保持ピン39が一体に連設される。
【0082】
そして、この切換保持ピン39は、リンク機構33が前記第1作動位置(
図7(A))にあるときにロック解除保持部材31の第1係合部36aに係合してロック解除保持機構LLを非作動状態に保持し、またリンク機構33が前記第2作動位置(
図7(C))にあ
るときにロック解除保持部材31の第2係合部36bに係合してロック解除保持機構LLを作動状態に保持する。そして、その切換保持ピン39の第1,第2係合部36a,36bに対する何れの係合状態も前記保持ばね35の弾発力により保持可能となっている。
【0083】
前記第1リンク37は、これの基端部と一体的に結合した枢軸27が前記第1ブラケット30に回動可能に連結支持されることにより、その枢軸27の軸線回りに前後回動できるようになっており、その枢軸27には操作レバー34の基部が一体に回動できるよう結合される。そして、この操作レバー34は、ロック機構Lが
図4の実線、
図5(A)及び
図7(A)に示すロック作動状態にあるときに、同レバー34を
図4実線に示す非操作位置から同鎖線に示す操作位置まで上側に操作することにより、保持ばね35及び前記ロックばね15の弾発力に抗してリンク機構33を前記第1作動位置(
図7(A))から中間位置(
図7(B))を経て前記第2作動位置(
図7(C))まで手動操作することができる。尚、可動サイド部Ssの外側面には、操作レバー34の操作部を受容する凹部が形成される。
【0084】
更にロック解除保持部材31の第2半部31Bには、前記第1,第2係合部36a,36bの中間位置に在って、その一方から他方へ切換保持ピン39がスライド移動するのを案内する側面視山形のガイド部36gが形成される。そして、このガイド部36gは、これの途中に頂面が丸みを帯びて隆起する切換頂部36gtを有しており、この切換頂部36gtを切換保持ピン39が乗り越えることにより、切換保持ピン39が第1,第2係合部36a,36bの何れか一方から他方へ移動する途中で保持ばね35の付勢態様を、第1,第2係合部36a,36bの一方に切換保持ピン39を係合保持する態様から、第1,第2係合部36a,36bの他方に切換保持ピン39を係合保持する態様へ切換えることができる。
【0085】
更にサイドフレームFsとロック解除保持機構LLとの間には、ロック解除保持機構LLが作動状態にあるときに可動サイド部Ssの下方回動、即ち傾倒に応じてロック解除保持機構LLを非作動状態に切換える戻し機構Rが設けられる。
【0086】
この戻し機構Rは、サイドフレームFsに上向きに突設される戻し部材50と、この戻し部材50に対応してロック解除保持部材31の第2半部31Bの下端に連設される係合腕31Baとで構成される。そして、その戻し部材50は、ロック解除保持部材31が前記作動位置(
図7(C))にある状態で可動サイド部Ssが下方へ回動される過程で、その下方回動量が所定量に達したときにロック解除保持部材31の係合腕31Baに当接してロック解除保持部材31を前記不作動位置(
図7(A))に強制回動させる。また戻し部材50には、ロック解除保持部材31との干渉を回避すべく滑らかに湾曲した逃げ部50aが形成されており、この逃げ部50aの特設により、ロック解除保持部材31の係合腕31Baが戻し部材50に係合した後に可動サイド部Ssが更に下方回動する過程で、ロック解除保持部材31と戻し部材50との相互干渉を無理なく回避できるようになっている。
【0087】
尚、戻し機構Rの戻し部材50は、これを図示例ではサイドフレームFsに設けたものを示したが、サイドフレームFs以外の固定部材、例えば車体フレームに戻し部材を設けるようにしてもよい。
【0088】
また、クッション本体Smの左右両端部には、可動サイド部Ssの直下においてロック機構L、ロック解除保持機構LL、サイドフレームFs等を可動サイド部Ssの起立時も傾倒時も常に体裁よく覆う可撓性カバー60(
図1の(A)参照)が張設される。尚、このような可撓性カバー60に代えて、他の適当な被覆手段、例えば車体の床フレーム(例えばサイドシル)上に立設したカバー体により、ロック機構L、ロック解除保持機構LL
、サイドフレームFs等を覆うようにしてもよい。尚また、前記可撓性カバー60に代えて、可動サイド部Ssのクッションパッド3の表面を被覆する表皮4を下方に延長して車体の床フレーム(例えばサイドシル)又はその上の固定設置物に接着その他の適当な固定手段で固定するようにしてもよく、この場合、表皮4の下方延長部が可撓性カバーとして機能する。
【0089】
次に、この第1実施形態の作用について説明する。シートAの通常の使用状態では、
図1(A)や
図8(A)等に示すようにシートクッションSの可動サイド部Ssがクッション本体Smの上面からやや隆起した起立位置Uに在り、その可動サイド部Ssの起立姿勢は、ロック作動状態のロック機構Lにより確実に保持される。従って、この起立状態の可動サイド部Ssにより、シートクッションSに座る乗員のホールド性が高められる。尚、そのロック作動状態は、
図4実線に示すようにロックばね15によりロック位置側に弾発付勢されたロックバー12が、ロック部材13を第2溝14bとの係止位置に保持して可動サイド部Ss(底板フレームB)を回動規制することにより保持される。また、このロック作動状態で、ロック解除保持機構LLは、非作動状態、即ち
図7(A)に示す位置にあって、リンク機構33の切換保持ピン39がロック解除保持部材31の第1係合部36aに係合保持される。
【0090】
斯かる状態より、シートクッションSに座る乗員が降車しようとする場合には、先ず、操作レバー34、従ってリンク部材37を手動で所定角度、回動操作する。これより、ロック解除保持機構LLのリンク機構33が
図7(B)を経て(C)の状態に変位し、その際に切換保持ピン39が保持ばね35の弾発力に抗して第1係合部36aからガイド部36gを経て第2係合部36bにスライド移動し、その際にロック解除保持部材31が
図7で時計方向に回動する。それと共にロックバー12がロックばね15の弾発力に抗してロック解除位置に牽引され、その牽引に連動したロック部材13が、ロック解除位置(
図4鎖線)に回動して、
図5(B)に示すように係止溝14の第2溝14bから離脱する。かくして、可動サイド部Ssが戻しばね10の弾発力で起立位置Uに保持されていても、ロック機構Lはロック解除状態となり、このロック解除状態がロック解除保持機構LLにより保持される。尚、この状態が、
図8(B)に示される。
【0091】
次にこの状態より、乗員が降車する場合には、その体重が下向き荷重として可動サイド部Ssに作用することで、戻しばね10の弾発力に抗して可動サイド部Ssが下方に徐々に回動し、
図8(C)〜
図9(D)に示すようにやや傾倒した時点でロック解除保持機構LLが作動状態から非作動状態に切換わる。即ち、その可動サイド部Ssが下方に所定角度(即ち傾倒位置D手前の所定回動位置まで)回動すると、ロック解除保持部材31の係合腕31Baが戻し機構Rの戻し部材50に係合する。その係合に連動して、ロック解除保持部材31が保持ばね35の弾発力に抗して
図7で反時計方向に回動し、切換保持ピン39が先刻とは逆に第2係合部36bからガイド部36gを経て第1係合部36aまでスライド移動し、
図7(A)の位置に戻る。この状態では、ロックバー12に対するロック解除保持機構LLからの拘束が解かれるため、ロックバー12は、ロックばね15の弾発力でロック位置側に自動復帰しようとし、これに連動してロック部材13もロック位置側(即ち第2溝14bに係止する位置)に自動復帰しようとする。但し、このときロック部材13の第2係合部13bは、第1溝14aに摺接しているが第2溝14bとの対向位置にはないため、第2溝14bに係止できない。
【0092】
このようなロック解除保持機構LLの非作動状態は、乗員が可動サイド部Ssを通過して、その体重が可動サイド部Ssに作用しなくなるまで続き、それまでは可動サイド部Ssの下方回動が許容される(
図9(E))。
【0093】
次に乗員が可動サイド部Ssを通過して、その体重が可動サイド部Ssに作用しなくな
ると、
図9(F)に示すように可動サイド部Ssは戻しばね10の弾発力で自動的に起立位置Uまで上方回動し、それが起立位置Uに到達するのと同時にロック機構Lがロック作動状態、即ちロック部材13の第2係合部13bが第2溝14bに係止する状態に自動復帰する。
【0094】
次に
図10〜
図22を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。この第2実施形態においても、可動サイド部Ssは、これが起立位置Uに保持された状態で操作レバー34が
図13実線で示す非操作位置から同鎖線で示す上側の操作位置まで操作入力された後は、可動サイド部Ssに乗員の体重(即ち所定の下向き荷重)が作用するのに応じて起立位置Uから傾倒し、且つその傾倒の後、可動サイド部Ssに作用する下向き荷重が所定値以下に減少するのに応じて起立位置Uへ自動復帰してロック状態となるように構成されており、このような基本動作は第1実施形態のそれと同様である。
【0095】
しかしながら第2実施形態では、サイドフレームFs′の構造やこれのクッション本体Smへの取付構造、更にはロック解除保持機構LL′や、ロック機構L及び操作レバー34間の連動連結構造等において、第1実施形態と相違している。次にその相違部分を重点的に説明する。尚、第2実施形態の構成要素で、第1実施形態の構成要素と同様の構造・機能のものは、第1実施形態と同様の参照符号を付すにとどめ、具体的な構造・機能の説明は省略する。
【0096】
即ち、第2実施形態においても、第1実施形態と同様、シートクッションSがクッション本体Smと左右一対の可動サイド部Ssとに分割構成されており、そのクッション本体Smには、各可動サイド部Ssが、起立位置U(
図12実線)と傾倒位置D(同鎖線)との間で回動できるように取付けられ、
可動サイド部Ssは、傾倒位置Dにいるときに水平位置よりも更に下向きに傾倒している。また、それらクッション本体Sm及び可動サイド部Ss間には、可動サイド部Ssを起立位置Uにロック可能なロック作動状態とロック不可能なロック解除状態とに切換え可能なロック機構Lが設けられる。
【0097】
クッション本体Smの骨格となるクッションフレームFmの左右両端部には、それとは別部品であるサイドフレームFs′が結合されており、このサイドフレームFs′に可動サイド部Ssが回動可能として取付けられる。そのサイドフレームFs′は、前後方向に延びる中間パイプ部80mと、その中間パイプ部80mの前後両端部に下向きの彎曲部を介して一体に連なる前後パイプ部80f,80rとから平面視U字状に構成されたフレーム主体80を主要部とするものであり、そのフレーム主体80の前後パイプ部80f,80rには、屈曲板状の被取付板81の前後両端部が溶接等の結合手段で一体的に結合される。その被取付板81には、複数のウエルドナット82と、これに対応したボルト挿通孔81hとが設けられる。
【0098】
前記中間パイプ部80mは、第1実施形態のサイドフレームFsの前記枢軸8と同様の機能を果たすものであって、可動サイド部Ssにおける底板フレームBの上,下部フレーム20,21間(具体的には、クッション本体Sm側の側縁から各々一体に延びる延長板部20a,21a)間に回動可能に嵌合連結される。このようにサイドフレームFs′には、可動サイド部Ssの底板フレームBが枢軸としての中間パイプ部80mを介して軸支され、その軸支部回りに可動サイド部Ssが起立位置Uと傾倒位置Dとの間で回動可能である。
【0099】
しかもこの中間パイプ部80mは、第1実施形態のサイドフレームFsの前、後ヒンジ壁7f,7rにそれぞれ対応する前、後ラッチ7f′,7r′を溶接等の結合手段を以て一体的に結合、支持しており、その前、後ラッチ7f′,7r′は、第1実施形態の前記
係止溝14と同様の係止溝14を有している。而して、前、後ラッチ7f′,7r′及び被取付板81は、フレーム主体80と共にサイドフレームFs′を構成する。
【0100】
また可動サイド部Ssの底板フレームBは、第1実施形態では可動サイド部Ssの底部形状に対応した概ね三角形状の一枚板よりなる底板フレーム主体Bmと、その底板フレーム主体Bmの下面に重合溶接された概ね矩形状のロック機構支持フレームBlとから構成され、且つそのロック機構支持フレームBlが、上部フレーム板20とその下面に重合溶接される下部フレーム板21とで二枚合せ構造としていたが、第2実施形態では、上部フレーム板20を可動サイド部Ssの底部形状に対応した概ね三角形状として大型化することで第1実施形態の底板フレーム主体Bmを省略しており、且つその大型の上部フレーム板20と下部フレーム板21との相互間を複数箇所でカシメ結合85することで二枚合せ構造の底板フレームBを得ている。尚、そのカシメ結合85に代えて、第1実施形態のように溶接手段を用いてもよい。また、サイドフレームFs′と底板フレームBとの間には、第1実施形態と同様、可動サイド部Ssを起立位置Uに向けて弾発付勢する付勢手段としての戻しばね10が介装されるが、この戻しばね10の取付構造も第1実施形態と同様である。
【0101】
図11からも明らかなように、クッションフレームFmの一部を構成するワイヤ状フレーム5′は、これの一部がクッション本体Smの左右両側面から露出しており、その露出部分5cは、平面視でU字状に形成される。そして、その露出部分5cには、サイドフレームFs′の前記被取付板81の下面に重合するよう屈曲板状に形成したサイドフレーム取付部材70の三辺が溶接等の結合手段を以て一体的に結合される。そして、そのサイドフレーム取付部材70を介してサイドフレームFs′がワイヤ状フレーム5′の前記露出部分5cに着脱可能に取付けられる。
【0102】
図12,
図13も併せて参照して、前記サイドフレーム取付部材70の下面には、サイドフレームFs′からの荷重の一部を支持し得るサイドフレーム支持部材71が配設される。そのサイドフレーム支持部材71は合成樹脂の一体成形により製作されるものであって、平面視で可動サイド部Ssと概ね対応した形状に形成されて、可動サイド部Ssの下面を覆うカバーとして機能する。このサイドフレーム支持部材71の底壁部71aの少なくとも一部は、車体の床フレーム100の上面(図示例では傾斜上面100a)に面接触可能な下面形状を有している。
【0103】
而して、可動サイド部Ssからの下向き荷重は基本的にはサイドフレーム取付部材70を介してクッションフレームFmに支持されるが、その荷重の一部は、サイドフレーム取付部材70及びサイドフレーム支持部材71を介して床フレーム100にも分散支持できるようになっている。このサイドフレーム支持部材71の底壁部71a上面には、補強のための複数のリブ71rが縦横に一体に立設され、その縦横のリブ交差部には、そのリブ交差部及び底壁部71aに跨がる取付ボス部71bが一体に形成される。
【0104】
そのサイドフレーム支持部材71と、サイドフレームFs′の被取付板81との間にはサイドフレーム取付部材70が上下に挟持され、その三者71,81,70が複数のボルト73を以て着脱可能に共締めされる。その共締めのために、前記ボルト73は、サイドフレーム支持部材71の前記取付ボス部70bに下側より挿入され、更にサイドフレーム取付部材70及び被取付板81の各ボルト挿通孔70h,81hを貫通して被取付板81上のウエルドナット82に螺合、緊締される。
【0105】
また
図14〜
図18も併せて参照して、可動サイド部Ssを起立位置Uにロックし得るロック機構Lは、第1実施形態のロック機構Lと同様に、底板フレームB内に前後方向に摺動可能に支持されるロックバー12と、そのロックバー12に相対回動可能に係合し得
る第1係合部13aを有してロックバー12に連動する一対のロック部材13と、このロック部材13の第2係合部13bに係脱可能な係止溝14付きの前、後ラッチ7f′,7r′と、ロックバー12を介して各ロック部材13をロック位置(即ち第2係合部13bが係止溝14の第2溝部14bに係止する位置)側に弾発保持する、保持部材としてのロックばね15とを備える。それらロックバー12、ロック部材13、係止溝14及びロックばね15の構成・機能は第1実施形態と同様である。
【0106】
また本第2実施形態においても、作動時にロック機構Lのロックばね15に抗してロック機構Lをロック解除状態(即ち第2係合部13bが係止溝14の第2溝部14bから離脱した状態)に保持し、また非作動時にはロック機構Lがロックばね15の弾発力でロック作動状態(即ち第2係合部13bが第2溝部14bに係止する状態)に自動復帰するのを許容するロック解除保持機構LL′が設けられるが、特に第2実施形態では、ロック解除保持部材31′が、操作レバー34とロック機構L間の伝動経路(即ち後述するリンク機構33′)とは直接連係せず、その伝動経路から独立してサイドフレームFs′に取付けられてロック部材13に直接連係する点で、第1実施形態と異なる。次にそのロック解除保持機構LL′の構成を説明する。
【0107】
そのロック解除保持機構LL′は、底板フレームBに水平軸Ph回りに回動可能に軸支されて非操作位置(
図13実線)とそれより上側の操作位置(同鎖線)との間で回動操作し得る操作レバー34と、その操作レバー34とロック機構L間を連動連結するリンク機構33′と、ロック機構Lにより可動サイド部Ssが起立位置Uにロックされた状態での操作レバー34の操作位置側への操作入力に応じて作動状態となるロック解除保持部材31′とを備えている。そのロック解除保持部材31′は、これの作動状態ではロック部材13の係止溝14への進入、係止(具体的には第2係合部13bの第2溝部14bへの進入、係止)を阻止するようにロック部材13に係合可能である。
【0108】
前記リンク機構33′は、第1実施形態のリンク機構33と同様、操作レバー34の回転操作をロックバー12の直線運動に変換することで、操作レバー34の操作入力(即ち前記操作位置側への移動)に連動してロックバー12をロックばね15に抗してロック解除方向に摺動操作し得るものであるが、本第2実施形態では、底板フレームBに水平軸Ph回りに軸支されて操作レバー34と一体に回動する第1リンク91と、底板フレームBに中間部が鉛直軸Pv回りに軸支されて一端部92aが第1リンク91に連動するベルクランクよりなる第2リンク92とから分割構成される。その第2リンク92の他端部92bとロックバー12とは、その何れか一方(図示例では他端部92b)に設けた長孔92hと何れか他方(図示例ではロックバー12側部に突設したリンク受け部12c)に設けたピン12pとからなる連動連結機構を介して、互いに連動連結される。
【0109】
また、底板フレームBと、操作レバー34又は第1リンク91との間には、
図12〜
図14に明示されるように操作レバー34を非操作位置側(即ち
図13で時計方向)に弾発保持し得る戻しばね90が介装される。この戻しばね90は、水平軸Phを囲繞する捩じりコイルばねで構成されており、その一端が底板フレームBに、またその他端が操作レバー34又は第1リンク91にそれぞれ係止される。そして、この戻しばね90に抗して操作レバー34を非操作位置に保持するように操作レバー34又は第1リンク91に係合し得るストッパ手段93が、底板フレームBに設けられる。
【0110】
尚、操作レバー34の戻しばねとしては、捩じりコイルばねよりなる上記戻しばね90に代えて、例えば
図22に示す変形例のように、底板フレームBと第1リンク91との間に介装した引張ばね90′を使用してもよい。
【0111】
前記第1リンク91の先端部91aは、第2リンク92側に凸に彎曲していて、第2リ
ンク92の、第1リンク91側に凸に彎曲した一端部92aに相対摺動可能に当接しており、その当接部を介して第1リンク91から第2リンク92側に操作レバー34の操作力を伝達可能である。従って、操作レバー34が非操作位置から操作位置まで回動操作されるのに応じて第1リンク91が第2リンク92を介してロックバー12を前記ロックばね15に抗してロック解除方向(
図13,
図14で右方向)に摺動操作することができる。リンク機構33′をこのようなリンク構成とし、且つロック解除保持部材31′を後述する如くリンク機構33′から分離独立させたことにより、リンク機構33′が上下方向に嵩張るのを極力回避できるから、可動サイド部Ssを上下方向に小型化する上で有利である。
【0112】
またロック解除保持部材31′は、前後少なくとも一方のラッチ(図示例では後ラッチ7r′)に隣接配置されて同ラッチ7r′の板面に沿うように延びる概ねL字状の剛直な板体より構成されており、その基端部31A′が後ラッチ7r′に枢軸95を介して回動可能に支持される。そして、その回動により、ロック解除保持部材31′は、ロック部材13(第2係合部13b)の係止溝14(第2溝部14b)への進入、係止を阻止するようにロック部材13に係合し得る作動位置(
図17実線位置)と、前記進入、係止を許容する不作動位置(同鎖線位置)との間を移動可能である。
【0113】
さらにロック解除保持部材31′と後ラッチ7r′との間には、前記枢軸95を囲繞する捩じりコイルばねより構成されてロック解除保持部材31′を前記作動位置側に弾発付勢し得る戻しばね96が介装される。そして、その戻しばね96の弾発力に抗してロック解除保持部材31′を前記作動位置に保持し得るストッパ98が、後ラッチ7r′の側面に一体に突設される。このストッパ98は、ロック解除保持部材31′が前記作動位置にあるときにロック解除保持部材31′の中間突出部31C′に係合して、ロック解除保持部材31′に対し前記作動位置を超えないよう回動規制する。
【0114】
而して、ロック部材13は、
図14,16,17に示すようなロック機構Lのロック作動状態(即ちロック部材13の第2係合部13bが係止溝14の第2溝部14bに係止した状態)では、ロック解除保持部材31′を戻しばね96に抗して前記不作動位置に保持するようにロック解除保持部材31′の先端部31B′下面に係合する。
【0115】
また、その係合状態で操作レバー34が前記操作位置側へ操作入力されると、これにリンク機構33′を介して連動するロックバー12がロック解除方向に摺動し、このロックバー12に連動するロック部材13は、係止溝14に対する前記係止を解除(即ち第2係合部13bが第2溝部14bから離脱)することでロック機構Lがロック解除状態になると共に、不作動位置にあるロック解除保持部材31′を解放する。その解放に伴いロック解除保持部材31′は、それまでの不作動位置から作動位置まで戻しばね96の弾発力で回動し、これにより、ロック解除保持部材31′は、
図15,19(B)に示すようにロック機構Lをロック解除状態に保持する。
【0116】
このロック解除保持状態においてロック解除保持部材31′は、これの先端部31B′に形成した平坦なストッパ面94がロック部材13の第2係合部13bの端面13bsに衝合することで、ロック部材13(第2係合部13b)の係止溝14(第2溝部14b)への進入、係止を阻止する。従って、操作者が操作レバー34から手を離すことで操作レバー34が戻しばね90,90′の弾発力で非操作位置に自動復帰しても、ロック機構Lのロック解除保持状態が維持される。
【0117】
またロック部材13とロック解除保持部材31′間には、可動サイド部Ssが起立位置Uから傾倒し再び起立位置Uに復帰する過程でロック解除保持部材31′を戻しばね96の弾発力に抗して作動位置から不作動位置に強制移動させ得るように、ロック部材13に
ロック解除保持部材31′を相対摺動可能に連係させる連動機構R′が設けられる。この連動機構R′は、図示例ではロック解除保持部材31′の先端部31B′の下面と前記ストッパ面94との間を滑らかに接続する横断面円弧状のガイド面99cと、このガイド面99cに摺接し得るロック部材13の第2係合部13bの端面13bs及び上面13btとで構成される。而して、その連動機構R′は、ロック解除保持機構LL′が作動状態にあるときに可動サイド部Ssの傾倒に応じてロック解除保持機構LL′を非作動状態に切換える本発明の戻し機構を構成する。
【0118】
また、クッション本体Smの左右両端部には、可動サイド部Ssの直下においてロック機構L、ロック解除保持機構LL、サイドフレームFs等を可動サイド部Ssの起立時も傾倒時も体裁よく覆う可撓性カバーが張設される。この可撓性カバーとして、本実施形態では可動サイド部Ssのクッションパッド3の表皮4の下方延長部4aが利用され、この下方延長部4aは、車体の床フレーム100又はその上の固定設置物、或いは前記サイドフレーム支持部材71の外側面に対して適当な固定手段で固定される。
【0119】
例えば、本実施形態では、表皮4の下方延長部4aの自由端部にフック状の複数の弾性クリップ87が相互に間隔をおいて縫着又は接着される。そして、その下方延長部4aを
図12に示すようにサイドフレーム支持部材71の下面に回り込ませた状態でクリップ87をサイドフレーム支持部材71の底壁部71aの内側縁に係脱可能に係止させる。尚、上記固定手段としては、このようなクリップ87に代えて、下方延長部4aの自由端部に縫着されて該自由端部をサイドフレーム支持部材71の外側面に圧着させるゴム紐等を用いてもよい。尚また、可撓性カバーとしては、表皮4の下方延長部4aを利用せずに専用カバーを使用してもよい。
【0120】
次に、第2実施形態の作用について説明する。シートAの通常の使用状態では、
図12、
図16、
図17に示すようにシートクッションSの可動サイド部Ssが起立位置Uに在り、その可動サイド部Ssの起立姿勢は、ロック作動状態のロック機構Lによりロックされる。そのロック作動状態は、第1実施形態と同様、ロックばね15によりロック位置側に弾発付勢されたロックバー12が、ロック部材13を第2溝14bとの係止位置に保持して可動サイド部Ssを回動規制することにより保持される。また、このロック作動状態でロック部材13が、ロック解除保持部材31′を戻しばね96の弾発力に抗して不作動位置に保持するようにロック解除保持部材31′に係合しており(
図17参照)、これにより、ロック解除保持機構LLは非作動状態に置かれる。
【0121】
斯かる状態より、シートクッションSに座る乗員が降車しようとする場合には、先ず、操作者が、操作レバー34を非操作位置から操作位置まで上側に回動操作する。この操作力は、ロック解除保持機構LLのリンク機構33′を介してロックバー12をロックばね15の弾発力に抗してロック解除方向(
図15で右方)に摺動させ、これにより、ロック部材13は、
図15、
図19(A)に示すように係止溝14に対する係止を解除(即ち第2係合部13bが第2溝部14bから離脱後退)することでロック機構Lがロック解除される。それと同時に、ロック部材13は、不作動位置にあるロック解除保持部材31′を解放するので、その解放と、第2係合部13bの第2溝部14bからの離脱後退に伴い、ロック解除保持部材31′は、それまでの不作動位置から作動位置まで戻しばね96の弾発力で下方に回動し(
図17→
図19(A)→同(B))、これにより、ロック解除保持機構LLが作動状態となって、ロック解除保持部材31′はロック機構Lをロック解除状態に切換保持することができる。
【0122】
このロック解除保持状態において、ロック解除保持部材31′は、それの先端部31B′のストッパ面94がロック部材13の第2係合部13bの端面13bsに衝合することで、第2係合部13bの第2溝部14bへの進入、係止を阻止する。従って、この状態で
操作者が操作レバー34から手を離すことで同レバー34が戻しばね90,90′の弾発力により非操作位置に自動復帰しても、
図15、
図19(B)に示すロック機構Lのロック解除保持状態が確実に維持される。尚、ロック機構Lがこのようにロック解除保持状態となっても、可動サイド部Ssは、戻しばね10の弾発力で起立位置Uに一応、保持されている。
【0123】
次にこの状態より、乗員が実際に降車しようとする場合には、その体重が所定の下向き荷重として可動サイド部Ssに作用するのに応じて、可動サイド部Ssが戻しばね10に抗して下方に徐々に回動即ち傾倒し、
図20(C)に示すようにやや傾倒した時点でロック解除保持機構LL′が作動状態から非作動状態に切換わる。即ち、その可動サイド部Ssが下方に所定角度回動すると、これに追従下降するロック部材13の第2係合部13bの端面13bsが、ロック解除保持部材31′のストッパ面94に対して下方摺動してガイド面99cの下部に回り込む(即ちストッパ面94と対向しなくなる)。それにより、ロック解除保持部材31′は、これが前記作動位置に在っても第2係合部13bの第2溝部14bへの進入、係止を阻止し得ない状態となり、即ちロック解除保持機構LL′が非作動状態となる。但し、そのようなロック解除保持機構LL′の非作動状態であっても、ロック部材13の第2係合部13bは係止溝14の浅い第1溝部14aに当接していて、係止溝14の上端に存する第2溝部14bとの対向位置にはないことから、第2係合部13bが第2溝部14bに進入、係止する(即ちロック機構Lがロック状態となる)ことはないし、またロック解除保持部材31′が不作動位置に戻ることもない。
【0124】
そして、この状態から可動サイド部Ssが更に下方回動した場合には、ロック部材13がロック解除保持部材31′を置き去りにして下降する。この下降に伴い、
図20(D)に示すようにロック部材13の第2係合部13bが第1溝部14aの下端に係合すれば、可動サイド部Ssの下降が傾倒位置D(即ち下降限)で規制される。
【0125】
次に乗員が可動サイド部Ssを通過して、その体重が可動サイド部Ssに作用しなくなると、可動サイド部Ssは戻しばね10の弾発力で自動的に起立位置Uまで上方回動しようとする。このとき、可動サイド部Ssに追従上昇するロック部材13は、
図21(E)に示すように第2係合部13bの上面13btがロック解除保持部材31′のガイド面99cに係合、摺接すると、ロック解除保持部材31′を下から持ち上げようとする。そして、その第2係合部13bは、これが係止溝14の第2溝部14bと対向する位置まで上昇すると、その上面13btをロック解除保持部材31′のガイド面99cに摺動させながら、ロックばね15の弾発力で一気に第2溝部14bに進入、係止する。
【0126】
かくして、可動サイド部Ssが起立位置Uから傾倒し再び起立位置Uに復帰する過程で、ロック機構Lがロック作動状態に自動復帰すると共に、そのロック機構Lのロック部材13に機械的に連動してロック解除保持部材31′が作動位置から不作動位置まで自動復帰する。従って、操作レバー34の操作入力で作動状態となったロック解除保持機構LL′が、上記過程での可動サイド部Ss(特にロック部材13)の動きに機械的に連動して自動的に非作動状態に切換わるので、そのロック解除保持機構LL′を非作動状態に戻すための操作を特別に行う必要はない。
【0127】
以上説明した第1,第2実施形態においては、作動時にロック機構Lをロック解除状態に切換保持し、また非作動時にはロック機構Lがロック作動状態に自動復帰するのを許容するロック解除保持機構LL,LL′を備えており、このロック解除保持機構LL,LL′が、操作レバー34への操作入力に連動して非作動状態から作動状態に切換可能となっている。
【0128】
而して、可動サイド部Ssは、これが起立位置Uにロック保持された状態で操作レバー
34が操作位置側へ操作入力された後は、ロック機構Lがロック解除状態に切換保持され、この状態で可動サイド部Ssは、これに乗員体重(所定の下向き荷重)が作用するのに応じて起立位置Uから自動的に傾倒する。従って、操作レバー34が操作位置側へ操作入力された後は、操作レバー34から手を離しても可動サイド部Ssを、随時に傾倒可能な状態で起立位置Uに保持しておくことができるから、その状態から可動サイド部Ssを傾倒させるのに可動サイド部Ssを特別に傾倒操作する必要はなくなり、操作性が頗る良好である。即ち、クッション本体Sm上の乗員が降車しようとする時には、操作レバー34を単に操作位置側へ操作入力するだけで、その後に特別な傾倒操作を行わずとも可動サイド部Ssを乗員の体重で無理なく自動的に傾倒させることができるため、操作性の向上を図りつつ可動サイド部Ssが乗員の降車動作の障害となるのを回避でき、これにより、乗員は可動サイド部Ssに邪魔されずに迅速且つ容易に降車可能となる。
【0129】
その上、第1,第2実施形態では、可動サイド部Ssの下方回動に応じて戻し機構R,R′がロック解除保持機構LL,LL′を作動状態から非作動状態に切換えるので、可動サイド部Ssは、起立位置Uから傾倒した後、可動サイド部Ssに作用する下向き荷重が所定値以下に減少するのに応じて、可動サイド部Ssが戻しばね10の弾発力で起立位置Uへ自動復帰する。それに伴いロック機構Lがロック作動状態に戻ることから、起立位置Uに復帰した可動サイド部Ssを自動的にロックすることができ、ロック操作を特別に行う必要がないため、操作性が更に良好であり、また走行時には起立位置Uにロックされた可動サイド部Ssにより、乗員のホールド性が確保される。その上、可動サイド部Ssを傾倒位置Dにロックする傾倒保持用ロック機構が省略可能となるため、それだけシート構造の簡素化が図られる。
【0130】
さらに第1,第2実施形態では、クッション本体Smの骨格たるクッションフレームFmとは別部品であるサイドフレームFs,Fs′上に可動サイド部Ssをロック機構L、ロック解除保持機構LL,LL′等と共に一纏めに組付けることができるため、それらを単一の小組立体、即ちサブアッシーとして取り扱い可能となる。従って、クッション本体Sm側のクッションフレームFmを小型化できるだけでなく、そのクッションフレームFmに、予め別のラインで組立てた上記小組立体のサイドフレームFs,Fs′を単に結合するだけで、可動サイド部Ssをクッション本体Smに容易迅速に且つ精度よく組付け可能となるため、生産性向上やコスト節減が図られる。また、機種変更等により可動サイド部Ssの形状やサイズ等を変更する場合でも、小型部品であるサイドフレームFs,Fs′を変更するだけで済んで、大型部品であるクッションフレームFmを含むクッション本体Smの変更を不要又は軽微な変更に抑えることができ、それだけ対応容易になると共にコスト節減が図られる。
【0131】
尚、仮に、クッションフレームFmをクッション本体Smよりも外側方に延出させ、そのフレーム延出部に可動サイド部Ssを軸支すると共にそれらフレーム延出部及び可動サイド部Ss間にロック機構L等を介設した場合には、クッション本体Smの骨格たるクッションフレームFmが大型化するだけでなく、大型部品となるクッション本体Sm(クッションフレームFm)に可動サイド部Ssを直接組み付ける必要が生じて、組付工程の複雑化を招くと共に組付け精度の確保が容易でなく、また機種変更等により可動サイド部Ssの形状やサイズ等を変更する場合には、これに対応して大型部品であるクッション本体Sm(クッションフレームFm)自体も変更する必要が生じて変更が容易でない等の問題がある。しかし本実施形態のようにクッションフレームFmとは別部品のサイドフレームFs,Fs′を採用し、これに可動サイド部Ssを組付けるようにすれば、これらの問題が一挙に解決可能である。
【0132】
また特に第1実施形態では、降車時に可動サイド部Ssを起立位置Uから下方回動させる際に、作動状態のロック解除保持機構LLのロック解除保持部材31と、戻し機構Rの
戻し部材50とを機械的に係合させるだけで、ロック解除保持部材31を作動位置から不作動位置まで回動させてロック解除保持機構LLを非作動状態に切換え可能となることから、その切換構造が簡単であると共に、その切換動作が確実に行われる。しかも第1実施形態では、ロック解除保持機構LLの、ロック機構Lに連動連結されたリンク機構33の被係合部たる切換保持ピン39を、ロック解除保持部材31の第1,第2係合部36a,36bに選択的に係合させるだけの簡単な構成で、ロック解除保持機構LLを作動状態と非作動状態とに各々的確に保持することができる。その上、そのロック解除保持部材31には、第1,第2係合部36a,36bの一方から他方へリンク機構の被係合部が移動するのを案内するガイド部36gが設けられるので、ロック解除保持機構を作動状態と非作動状態とに無理なくスムーズに切換え動作させることができる。
【0133】
さらに第1実施形態のロック解除保持部材31には、それの第1,第2係合部36a,36bの切換保持ピン39との係合状態を各々保持し得るようにロック解除保持部材31を付勢する保持ばね35が接続され、前記ガイド部36gは、それの案内で切換保持ピン39が第1,第2係合部36a,36bの一方から他方へ移動する途中で保持ばね35の付勢態様を、第1,第2係合部36a,36bの一方に切換保持ピン39を係合保持する態様から第1,第2係合部36a,36bの他方に切換保持ピン39を係合保持する態様へ切換える切換頂部36gtを有するので、単一の保持ばね35で第1,第2係合部36a,36bの切換保持ピン39との係合状態を各々保持可能となり、従って、簡単な構造でロック解除保持機構31を作動状態と非作動状態とに各々的確に保持可能となる。更にまたロック解除保持部材31の枢軸29を通る鉛直面を挟んでその一方側に保持ばね35が、またその他方側に第1,第2係合部36a,36b及びガイド部36gがそれぞれ配置されるので、保持ばね35とリンク機構33との相互干渉を無理なく回避しながら、ロック解除保持機構LLをコンパクトに構成可能となる。
【0134】
また特に第2実施形態のロック解除保持部材31′は、これの作動位置ではロック部材13の係止溝14(第2溝部14b)への進入、係止を阻止するようにロック部材13に係合し得る配置構成となっている。このため、ロック部材13にロック解除保持部材31′を直接的に連係させることができるから、ロック解除保持部材31′の構造を簡単且つ小型化できるばかりか、リンク機構33′の構造も簡単且つ小型化することができて、ロック解除保持機構LL′が全体として大型化するのを効果的に抑制可能となる。しかも、このロック解除保持部材31′はロック機構Lのラッチ7r′に隣接配置されるため、ロック解除保持部材31′の保持力をロック部材13に効率よく直接伝達できて、ロック解除保持部材31′の構造をより簡単且つ小型化できる。
【0135】
また第2実施形態のロック解除保持部材31′は、ロック部材13の係止溝14(第2溝部14b)への進入、係止を阻止するようにロック部材13に係合し得る作動位置と、前記進入、係止を許容する不作動位置との間を移動可能であり、可動サイド部Ssが前記傾倒の後で起立位置Uに復帰するときに、これに追従上昇するロック部材13に連動してロック解除保持部材31′が作動位置から不作動位置に移動する。従って、傾倒した可動サイド部Ssが戻しばね10の弾発力で起立位置Uに戻った状態では、ロック部材13を利用した簡単な連動構造でロック解除保持部材31′を不作動位置に自動復帰させることができる。
【0136】
また第2実施形態において、ロック部材13は、これがラッチ7r′の係止溝14(第2溝部14b)に係止した状態では、ロック解除保持部材31′を戻しばね96に抗して不作動位置に保持するようにロック解除保持部材31′に係合することから、通常はロック解除保持部材31′に邪魔されずに可動サイド部Ssを起立位置Uに確実にロックできる。またそのロック状態で操作レバー34が操作位置側へ操作入力されるのに連動してロック部材13は、係止溝14に対する前記係止を解除されると共にロック解除保持部材3
1′を解放し、これにより、そのロック解除保持部材31′が不作動位置から作動位置まで戻しばね96の弾発力で下方回動するので、操作レバー34への操作入力に応じてロック解除保持状態が容易に得られる。さらに可動サイド部Ssが起立位置Uから傾倒し再び起立位置Uに復帰する過程では、ロック部材13にロック解除保持部材31′を相対摺動可能に連係させる連動機構R′が、ロック解除保持部材31′を戻しばね96に抗して作動位置から不作動位置に強制移動させることができる。それらの結果、ロック解除保持部材31′は、これを操作レバー34とロック機構L間の伝動経路(即ちリンク機構33′)から分離独立した簡単な配置構成とするも、そのロック解除保持部材31′をロック部材13に直接連係させることで、ロック解除保持部材31′の作動位置と不作動位置間での切替え動作を的確に行うことができるから、ロック解除保持機構LL′の更なる構造簡素化や小型化が図られる。
【0137】
さらに第2実施形態においては、クッションフレームFmの一部を構成するワイヤ状フレーム5の、クッション本体Sm外面より露出した部分5cに、板状のサイドフレーム取付部材70が結合され、そのサイドフレーム取付部材70を介してサイドフレームFs′がワイヤ状フレーム5に取付けられるので、サイドフレームFs′はこれを細く且つ曲がりくねったワイヤ状フレーム5に直接取付ける場合と比べて取付けが容易であり、またサイドフレームFs′やワイヤ状フレーム5の設計自由度も高くなる。また、サイドフレーム取付部材70の下方には、サイドフレームFs′からの荷重の一部を支持し得るサイドフレーム支持部材71が配置されるので、サイドフレームFs′の大型化を抑制しながらサイドフレームFs′の支持強度を高めることが可能となり、その上、このサイドフレーム支持部材71は、可動サイド部Ssの下側を覆うカバー部材を兼ねることから、それだけ構造簡素化やコスト節減が図られる。しかもそのサイドフレーム取付部材70がサイドフレームFs′とサイドフレーム支持部材71との間に挟持、固定されるので、サイドフレームFs′に対する支持構造の簡素化を図りながらサイドフレームFs′の支持強度を高めることができる。
【0138】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はその実施形態に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態が可能である。
【0139】
たとえば、前記実施形態では、本発明の乗物用シートを前後2列の四輪自動車のリヤシートに適用したものを示したが、本発明では、フロントシートや、ミニバンタイプの自動車の前後3列の各シートに適用してもよい。またシートが搭載される乗物としては、四輪自動車の他、三輪自動車、バス、トラック、鉄道車両、航空機等であってもよい。
【0140】
また前記実施形態では、リヤシートAのクッション本体Smの左右両側(乗降口側)に、回動可能な左右一対の可動サイド部Ssをそれぞれ隣接配置したものを示したが、本発明では、リヤシートAのクッション本体Smの左右中央側、即ち左右の各座面の、車幅方向で内側方に可動サイド部Ssを配設してもよく、この場合は、可動サイド部Ssを傾倒させることで、左右の座面間での乗員の横移動を可動サイド部Ssに邪魔されずにスムーズに行うことができる利点がある。また、一人掛けのフロントシートに本発明を適用する場合には、クッション本体Smの座面の左右一方(乗降口側)及び他方(車幅方向内側方)のうちの少なくとも一方に可動サイド部Ssが設けられる。
【0141】
また前記実施形態では、ロック解除保持機構LLを任意に作動させるための操作入力部として、人力(手動)で直接操作入力する操作レバー34を用いたものを示したが、本発明では、その作動力を電動モータ等のアクチュエータで発生させ、そのアクチュエータに対する作動指令信号を出力し得るスイッチ手段で前記操作入力部を構成してもよい。
【0142】
また前記実施形態では、作動状態のロック解除保持機構LL,LL′を非作動状態に切
換える戻し機構R,R′が、可動サイド部Ssの下方回動、即ち傾倒に機械的に連動してロック解除保持機構LL,LL′を非作動状態に切換えるようにしたものを示したが、本発明では、ロック解除保持機構LL,LL′を非作動状態に強制的に切換え可能な電動モータ等のアクチュエータや、可動サイド部Ssの下方回動又は下方回動直後の上方回動を検出するセンサ等の検出手段を使用し、可動サイド部Ssの下方回動又は下方回動直後の上方回動に電気的に連動してロック解除保持機構LLを非作動状態に切換えるようにしてもよい。