特許第6541013号(P6541013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6541013
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20190628BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   B60K35/00 A
   G02B27/01
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-140949(P2018-140949)
(22)【出願日】2018年7月27日
(62)【分割の表示】特願2014-220925(P2014-220925)の分割
【原出願日】2014年10月30日
(65)【公開番号】特開2018-193060(P2018-193060A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2018年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 元一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹之内 守
(72)【発明者】
【氏名】小山 覚
(72)【発明者】
【氏名】古澤 宏幸
【審査官】 首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−144743(JP,A)
【文献】 特開2007−86226(JP,A)
【文献】 特開2006−15941(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
G02B 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被投射部材と、
表示光を発する表示手段と、
前記表示光を反射する反射鏡と、
前記反射鏡を回動させて前記表示光を反射する角度を変更する駆動手段と、
前記駆動手段と前記表示手段を制御して、前記反射鏡が反射した前記表示光を前記被投射部材へ照射させ、車両の搭乗者に前記被投射部材を介して虚像を視認させる制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記反射鏡が前記被投射部材に向けて前記表示光を反射する稼働状態にある間、前記反射鏡の回転に伴って前記稼働状態の可動範囲内における現在位置を前記表示手段に表示させる
ことを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記表示手段に、前記現在位置を前記稼働範囲を示す目盛を指し示して表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記反射鏡の位置が変化すると、前記現在位置を一定時間前記表示手段に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、停止状態と稼働状態間の遷移に演出表示をするヘッドアップディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヘッドアップディスプレイ装置として、表示光を投射部材へ反射する反射手段の位置を、当該装置を使用しない停止状態においては太陽光が反射手段を介して筐体内の表示器に入射しない位置に移動させ、稼働状態においては停止状態の位置から復帰するように構成し、ヘッドアップディスプレイ装置を使用しない状況において太陽光が反射手段を介して筐体内の表示器に入射して劣化する虞を低減するものが、例えば、特許文献1や特許文献2に開示されている。
【0003】
特許文献1のヘッドアップディスプレイ装置は、停止状態から稼働状態に遷移すると、操作スイッチを操作することによって反射手段の位置を調整可能となっており、操作スイッチの操作による反射手段の移動速度よりも、使用開始に伴って閉状態から開状態へ移動する移動速度を速く設定することで、停止状態から稼働状態へ復帰して虚像を表示するまでの時間を短縮している。
【0004】
特許文献2のヘッドアップディスプレイ装置は、稼働状態から停止状態に遷移するのに伴って、例えば「Good−Bye」からなる表示画像が移動しながら消失する表示をし、光源を安定的に終了させるための時間を演出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−208436号公報
【特許文献2】特開2013−164482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のヘッドアップディスプレイ装置においては、停止状態から稼働状態へ移動完了してから表示を開始する構成であったため、停止状態から虚像を搭乗者に違和感を感じさせず表示するまでの時間は演出されていない。
【0007】
また、特許文献2のヘッドアップディスプレイ装置においては、停止状態から稼働状態へ遷移する際における演出は考慮しておらず、稼働状態から停止状態へ遷移する際における演出においても改善の余地がある。
【0008】
本発明は上述した課題を鑑みてなされたものであり、停止状態と稼働状態間の遷移にかかる時間を演出するヘッドアップディスプレイ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置Aは、
被投射部材と、
表示光Lを発する表示手段3と、
前記表示光Lを反射する反射鏡5と、
前記反射鏡5を回動させて前記表示光Lを反射する角度を変更する駆動手段50と、
前記駆動手段50と前記表示手段3を制御して、前記反射鏡5が反射した前記表示光Lを前記被投射部材へ照射させ、車両の搭乗者に前記被投射部材を介して虚像Vを視認させる制御手段6と、を備え、
前記制御手段6は、前記反射鏡5が前記被投射部材に向けて前記表示光Lを反射する稼働状態にある間、前記反射鏡5の回転に伴って前記稼働状態の可動範囲内5b〜5dにおける現在位置を前記表示手段3に表示させる。
【0010】
また、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置Aの
前記制御手段6は、前記表示手段3に、前記現在位置を前記稼働範囲5b〜5dを示す目盛820を指し示して表示させる。
【0011】
また、本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置Aの
前記制御手段6は、前記反射鏡5の位置が変化すると、前記現在位置を一定時間前記表示手段3に表示させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、停止状態と稼働状態間の遷移にかかる時間を演出して付加価値の高いヘッドアップディスプレイ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るヘッドアップディスプレイ装置の搭載図である。
図2】同実施形態の構成概略図である。同図の(a)から(d)はそれぞれ凹面鏡5が位置5a〜5dに位置したときにおける表示光Lあるいは太陽光SLの光路を示している。
図3】同実施形態の虚像表示範囲を示す図である。同図の(a)から(d)はそれぞれ凹面鏡5が位置5a〜5dに位置したときにおける虚像Vの表示位置を示している。
図4】同実施形態の電気的構成図である。
図5】同実施形態の凹面鏡の回動機構を示す図である。同図の(a)から(d)はそれぞれ凹面鏡5が位置5a〜5dに位置したときにおける駆動機構の状態を示している。
図6】同実施形態の凹面鏡の回動制御を示すフローチャート図である。
図7】同実施形態の第1表示例を示す図である。同図の(a)から(d)はそれぞれ凹面鏡5が位置5a〜5dに位置したときにおける虚像Vおよび表示光Lの状態を示している。
図8】同実施形態の第2表示例を示す図である。同図の(a)から(d)はそれぞれ凹面鏡5が位置5a〜5dに位置したときにおける虚像Vおよび表示光Lの状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面に基づいて、本発明を車両に搭載されるヘッドアップディスプレイ装置に適用した実施形態を説明する。
【0015】
本発明に係るヘッドアップディスプレイ装置Aは、光源1と、コンデンサレンズ2と、液晶表示パネル3と、平面鏡4と、凹面鏡5と、制御手段6と、これらを収容する筐体7とによって主に構成される。ヘッドアップディスプレイ装置Aは、制御手段6の制御に応じて、光源1とコンデンサレンズ2と液晶表示パネル3からなる表示器(表示手段)から発せられた表示光Lを平面鏡4と凹面鏡5を反射して筐体7の出射口70から出射する。出射口70から出射された表示光Lは、車両のフロントガラス(被投射部材)に投射することで、搭乗者の視点Eからフロントガラスの前方に風景と重畳して虚像Vが視認される。
【0016】
光源1は、例えばLEDなどの光線を発する発光素子であり、熱伝導率に優れたアルミナ(セラミックス)基板に実装され、後述する制御手段6の制御に応じて任意の輝度で点灯する。
コンデンサレンズ2は、光学樹脂により作製され、光源1が発した光線を集光し、平行光にする機能を有する凸レンズからなる。
液晶表示パネル3は、透明電極膜が形成された一対の透光性基板に液晶層を封入した液晶セルの前後両面に偏光板を貼着した表示パネルであり、後述する制御手段6の制御に応じて画像を表示する。
光源1が発した光線をコンデンサレンズ2によって平行光にして、画像を表示した液晶表示パネル3を背面より照らすことで、光源1,コンデンサレンズ2,液晶表示パネル3からなる表示器から表示光Lが発せられる。
【0017】
平面鏡4は、例えばポリカーボネートなどの樹脂材料に、例えばアルミニウムなどの金属を蒸着させて平面上の反射面を形成した反射鏡である。平面鏡4によって、表示光Lの光路長を長くすることで、フロントガラスから虚像Vまでの距離を長くすることができ、より遠方に虚像Vを結像させることにより運転時の前方確認に調和した情報表示となる。
【0018】
凹面鏡5は、例えばポリカーボネートなどの樹脂材料に、例えばアルミニウムなどの金属を蒸着させて凹面状の反射面を形成した反射鏡である。凹面鏡5は、表示器が発した表示光Lを拡大する機能と、フロントガラスの曲面による表示光Lの歪みを凹面状の曲面にて補正する機能を有する。
【0019】
凹面鏡5は、例えばステッピングモータなどの回転動力で動くリードスクリュー機構などからなる駆動機構50によって、凹面鏡5が5a〜5dの位置を回動可能になっている。駆動機構50には、凹面鏡5が5aの位置に来た時に押されるスイッチ51が配設されている。駆動機構50は、後述する制御手段6に制御され、スイッチ51が押された地点を基準位置(原点)としてステッピングモータの駆動ステップ数を数えることで凹面鏡5がどこに位置しているかを把握することができる。
【0020】
凹面鏡5が位置5aにあるときは、図2(a)に示すように、表示光Lはフロントガラスに虚像を結像せず、また、太陽光SLが凹面鏡5を反射して表示器に到達することがないため、ヘッドアップディスプレイ装置Aは停止状態である。この位置5aに凹面鏡5を回動させると、ヘッドアップディスプレイAを未使用時(例えば、車両を駐停車させている間)に、太陽光SLによって表示器が劣化する虞を低減させることができる。
凹面鏡5が位置5b,5c,5dにあるときは、図2(b)に示すように、表示光Lb,Lc,Ldとしてフロントガラスに視点Eb,Ec,Edから見たときに適した見栄えとなる位置に虚像Vbとして結像し、ヘッドアップディスプレイ装置Aが稼働状態である。ヘッドアップディスプレイ装置Aが稼働状態にあるとき、凹面鏡5を位置5b〜5dに回動させることで、虚像表示範囲Vb2dの任意の箇所に虚像Vを表示させることができ、これにより、搭乗者の視点Eb〜Ed間において適切な見栄えとなる表示に調整することができる。
【0021】
制御手段6は、例えば記憶装置と演算装置と入出力インタフェースが実装されたリジット回路基板であり、光源1と液晶表示パネル3と駆動手段50とスイッチ51と車内ネットワークLANと電気的に接続している。制御手段6は、車内ネットワークLANから車両の各種情報(例えば、車両の走行速度やエンジン回転数、ギアポジション、経路案内情報など)を入力し、光源1と液晶表示パネル3を制御して、車両の各種情報80を表示光Lとして表示器から出射させて、虚像Vとして搭乗者に視認させる。
【0022】
制御手段6は、ヘッドアップディスプレイ装置Aが稼働状態にあるときに、例えば車両のステアリングに搭載された操作スイッチ(図示しない)によって、凹面鏡5を位置5b〜5dの任意の位置へ回動させることができると共に、その位置を初期稼働位置として記憶する。
【0023】
次に、凹面鏡の回動制御と表示器の表示制御について説明する。
【0024】
(ステップS1)
制御手段6は、ヘッドアップディスプレイ装置Aが停止状態から稼働状態へ復帰するオープニング演出を行う。制御手段6は、オープニング演出の前に凹面鏡5を位置5a(原点)へ回動させる帰零動作をする。制御手段6は帰零動作の後、稼働初期位置へ凹面鏡5を回動させると共に、凹面鏡5の位置に応じて表示器の表示形態を変更する。制御手段6は、オープニング演出を終えると、ステップS2へ進む。このオープニング演出を稼働初期位置が位置5dとして設定されている場合におけるオープニング演出例1(図7)と、オープニング演出例2(図8)として以下に説明する。
【0025】
(オープニング演出例1)
図7にオープニング演出例1を示す。同図の(a)から(d)はそれぞれ凹面鏡5が位置5a〜5dに位置したときにおける虚像Vおよび表示光Lの状態を示しており、稼働初期位置が位置5dとして設定されている場合においては、オープニング演出は図7(a)、(b)、(b tо c)、(c)、(ctо d)、(d)の順に遷移する。
制御手段6は、まず凹面鏡5が位置5aにあるとき、表示器を非表示とする。次に制御手段6は、凹面鏡5の位置を5aから5dへ向けて回動させ、稼働初期位置として設定された位置5dに対応する虚像vdの下端Veよりも、現在の凹面鏡5の位置に対応する虚像の表示範囲の上端が上に位置すると、例えば「WELCOME」からなる文字列の演出意匠を、表示範囲と現在の凹面鏡5の位置に対応する虚像の表示範囲との論理積で求められる表示範囲Vfに表示させる。なお、制御手段6は、凹面鏡5の位置を5aから5dへ向けて回動させるにあたって、虚像Vが表示されない間における回動速度を、虚像Vが表示される間における回動速度よりも早く設定し、虚像Vが表示されるまでの間を短縮する。虚像Vが表示される間における凹面鏡5の回動速度は、駆動手段50に用いられるステッピングモータの駆動パルスの周期と周囲の部材(例えば、リードスクリュー機構や筐体7)との共振による異音発生を考慮して定めるのが好ましい。そして、制御手段6は、凹面鏡5の位置が稼働初期位置として設定された位置5dに移動完了すると、ステップS2に進む。
【0026】
(オープニング演出例2)
図8にオープニング演出例2を示す。同図の(a)から(d)はそれぞれ凹面鏡5が位置5a〜5dに位置したときにおける虚像Vおよび表示光Lの状態を示しており、稼働初期位置が位置6dとして設定されている場合においては、オープニング演出は図8(a)、(b)、(b tо c)、(c)、(ctо d)、(d)の順に遷移する。
制御手段6は、まず凹面鏡5が位置5aにあるとき、表示器を非表示とする。次に制御手段6は、凹面鏡5の位置を5aから5dへ向けて回動開始し、稼働状態の最も停止状態の位置に近い位置である位置5bに到達すると、凹面鏡5の稼働状態における可動範囲における現在の凹面鏡5の位置を目盛820と現在位置821と設定位置822によって表示を開始する。目盛820は、稼働状態における可動範囲に対応する虚像範囲Vcdに渡って意匠が形成されており、凹面鏡5の各位置においては、その一部が虚像によって表示される。現在位置821と設定位置822は、例えば、目盛820の位置を指す矢印と当該矢印が現在位置あるいは設定位置を示す文字列「NOW」や「SET」を組み合わせた意匠からなる。また、制御手段6は、稼働初期位置として設定された位置5dに対応する虚像vdの下端よりも、現在の凹面鏡5の位置に対応する虚像の表示範囲の上端が上に位置すると、表示範囲と現在の凹面鏡5の位置に対応する虚像の表示範囲との論理積で求められる表示範囲Vfに、例えば、車両の各種情報として、車両の走行距離、走行速度、残燃料などを車両の各種情報80として表示するにあたって、残燃料、車両の走行距離、走行速度の順に、表示範囲Vfが広がるにつれて表示項目を増大させて順に表示する。そして、制御手段6は、凹面鏡5の位置が稼働初期位置として設定された位置5dに移動完了すると、ステップS2に進む。
【0027】
(ステップS2)
制御手段6は、停止状態への遷移要求があるまで車両の各種情報80を車内ネットワークLANからの入力に応じて定期的に更新して計器表示する。制御手段6は、例えば、車両のイグニッションがオフである、車両のギアポジションがパーキングである、などの状態を基に車両が駐停車したことを判定し、停止状態への遷移要求とする。制御手段6は、停止状態への遷移要求があると、ステップS3へ進む。
【0028】
(ステップS3)
制御手段6は、ヘッドアップディスプレイ装置Aが稼働状態から停止状態へ遷移するエンディング演出を行う。制御手段6は、現在の凹面鏡5の位置から位置5a(原点)へ回動を開始すると共に、オープニング演出とは逆順に演出を行うエンディング演出をする。なお、図7に示すオープニング演出の逆順に演出を行う場合においては、「WELCOME」からなる文字列の演出意匠を「GOOD−BYE」からなる文字列に差し替えた方がよいことは言うまでもない。
【0029】
以上、本発明の実施形態を説明した。このように構成することで、停止状態と稼働状態間の遷移にかかる時間を演出して付加価値の高いヘッドアップディスプレイ装置を提供できる。
【0030】
また、停止状態から稼働状態へ移動完了してから表示を開始する従来技術に比べ、早期段階で表示開始されるため、搭乗者はヘッドアップディスプレイ装置Aの起動時間が短く感じる。具体的に、稼働初期位置が位置5dとして設定されている場合におけるオープニング演出例1(図7)で対比して説明するならば、従来は位置5dに凹面鏡が移動してから表示していたのに比べ、本発明の実施形態においては、位置5dより手前の位置cの時点で表示が開始される。また、オープニング演出例2(図8)においては、位置5dより手前の位置bの時点で表示が開始され、より短い時間でヘッドアップディスプレイ装置が起動したように搭乗者は感じる。
【0031】
また、演出例2(図8)に示したように、凹面鏡5の稼働状態における可動範囲における現在の凹面鏡5の位置を表示することで、停止状態と稼働状態間の遷移の間、搭乗者は、凹面鏡5の位置がどこからどこの位置へどのように設定されるかを停止状態と稼働状態間の遷移中に知ることができるため、停止状態と稼働状態間の遷移の間、表示がない場合に比べ退屈に感じない。
【0032】
および、演出例1(図7)に示したように、制御手段6は、凹面鏡5の位置を5aから5dへ向けて回動させるにあたって、虚像Vが表示されない間における回動速度を、虚像Vが表示される間における回動速度よりも早く設定することで、虚像Vが表示されるまでの時間が短縮できる。
【0033】
なお、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良、並びに設計の変更が可能であり、例えば、被投射部材は、車両のフロントガラスに限らず、コンバイナなどであっても良い。
【0034】
また、停止状態に対応する凹面鏡5の位置を、稼働状態の位置5bから5dの範囲の位置5b側に回動させる構成としたが、これに限らず、位置5d側にさらに回動させて太陽光SLが表示器に照射されない位置を停止状態としても良い。
【0035】
また、凹面鏡5の稼働状態における可動範囲における現在の凹面鏡5の位置は、停止状態と稼働状態間の遷移の間に表示する以外に、凹面鏡5の位置が変化したことを契機に一定時間表示されるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、車両に搭載される車両用表示装置として好適である。
【符号の説明】
【0037】
1 :光源
2 :コンデンサレンズ
3 :液晶表示パネル
4 :平面鏡
5 :凹面鏡
6 :制御手段
7 :筐体
70 :出射口
80 :車両情報
81 :演出意匠
820 :目盛
821 :現在位置
822 :設定位置
A :ヘッドアップディスプレイ装置
E :視点
L :表示光
V :虚像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8