(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0014】
(1)本発明の一態様に係るスライド配線装置は、車体と、前記車体に対してスライド自在に設けられたスライド体との間を電気的に接続する。前記スライド配線装置は、支持レールと、スライダと、ワイヤーハーネスと、案内部と、収容部と、外装部材とを備える。前記支持レールは、前記車体に固定され、スリットが長手方向に沿って形成される。前記スライダは、前記支持レールにスライド自在に取り付けられ、前記スリットから露出して前記スライド体を支持する。前記ワイヤーハーネスは、前記支持レール内に配置され、前記スライド体に接続される一端を有し、且つ他端側が前記支持レールの一端側に設けられた開口部から前記支持レール外に引き出される。前記案内部は、前記支持レールの開口部に接続され、当該開口部から引き出された前記ワイヤーハーネスの余長部分を前記支持レールの側方に湾曲させて折り返す。前記収容部は、前記支持レールの側方に配置されると共に前記案内部に接続され、前記案内部を経た前記ワイヤーハーネスの余長部分をU字状に折り返した状態で収容する。前記外装部材は、前記スライダに連結される一端を有し、前記ワイヤーハーネスの一端側から他端側の余長部分に亘って外装され、一方向にのみ屈曲可能である。前記ワイヤーハーネスの余長部分は、前記案内部から前記収容部側に向かって直線状に延びる直線部と、前記案内部側とは反対側で折り返される折り返し部とを有する。そして、前記スライド配線装置において、前記案内部における前記収容部側の端部には、前記収容部側に向かって延び、前記ワイヤーハーネスの前記外装部材と摺接する第1案内壁を有し、前記収容部における前記ワイヤーハーネスの直線部に対向する側壁には、前記第1案内壁と段差を形成し、前記ワイヤーハーネスの前記外装部材と摺接しない段差部が設けられている。
【0015】
上記スライド配線装置によれば、ワイヤーハーネスに一方向にのみ屈曲可能な外装部材が外装され、ワイヤーハーネスの屈曲方向が一方向に規制される。そのため、収容部内において、案内部から収容部側に向かって延びるワイヤーハーネスの余長部分に直線性を持たせることができ、余長部分における直線部が直線状態に保たれる。また、案内部の収容部側の端部には、収容部側に向かって延びる第1案内壁が設けられていると共に、収容部におけるワイヤーハーネスの直線部に対向する側壁には、第1案内壁と段差を形成する段差部が形成されている。この段差部によって、収容部内において、ワイヤーハーネスの直線部における外装部材が収容部の側壁から離間した状態となる。したがって、スライド体のスライド動作に追従してワイヤーハーネスの余長部分が収容部内を移動する際に、ワイヤーハーネスの直線部における外装部材が全長に亘って収容部の側壁に摺接することを回避できる。よって、ワイヤーハーネスの余長部分における外装部材が収容部の側壁と摺接することによる摩擦抵抗を低減でき、スライド体のスライド操作荷重を低減できると共にスライド動作時の異音の発生を抑制できる。
【0016】
(2)上記スライド配線装置の一形態として、前記第1案内壁が、前記案内部から前記収容部側に向かうに従って、前記収容部の側壁から離れるように傾斜していることが挙げられる。
【0017】
第1案内壁が収容部の側壁から離れるように傾斜することで、ワイヤーハーネスの直線部における外装部材が収容部の側壁とより摺接し難くなる。ワイヤーハーネスの余長部分が収容部内を移動する際の摩擦抵抗をより低減できる可能性がある。
【0018】
(3)上記スライド配線装置の一形態として、前記外装部材は、前記ワイヤーハーネスの周囲を覆う複数の筒状片が直列に連結されて構成されている。隣り合う前記筒状片における前記外装部材を屈曲した際に内周側に位置する部分同士がヒンジで結合されていることが挙げられる。
【0019】
外装部材が複数の筒状片を連結して構成され、隣り合う筒状片の内周側に位置する部分同士がヒンジで結合されていることで、一方向にのみ屈曲可能である。
【0020】
(4)上記スライド配線装置の一形態として、前記案内部における前記支持レール側の端部には、前記支持レールの開口部側に向かって延び、前記ワイヤーハーネスの前記外装部材と摺接する第2案内壁を有する。前記第2案内壁が、前記支持レールの側壁よりも前記支持レールの幅方向の内方に位置するように設けられていることが挙げられる。
【0021】
案内部の支持レール側の端部には、支持レールの開口部側に向かって延びる第2案内壁を有し、第2案内壁が、支持レールの側壁よりも内方に位置するように設けられている。この第2案内壁によって、支持レール内のワイヤーハーネスにおいて、外装部材が支持レールの側壁から離間した状態となる。したがって、スライド体のスライド動作に追従して支持レール内のワイヤーハーネスが移動する際に、外装部材が支持レールの側壁に摺接することを回避できる。よって、支持レール内のワイヤーハーネスにおける外装部材が支持レールの側壁と摺接することによる摩擦抵抗を低減できることから、スライド体のスライド操作荷重をより低減できると共にスライド動作時の異音の発生をより抑制できる。
【0022】
(5)上記スライド配線装置の一形態として、前記支持レール内には、前記ワイヤーハーネスが、前記スリットを基準に前記支持レールの幅方向の一方に片寄せて配置されている。そして、前記外装部材における前記スリット側に位置する上面が、前記支持レールの幅方向の中央に向かって下方に傾斜する傾斜面を有することが挙げられる。
【0023】
支持レールのスリットから内部に向けて異物が侵入して外装部材の上面に異物が押し当てられることで、外装部材が損傷し、中のワイヤーハーネスが傷付く虞がある。外装部材の上面に傾斜面を有することで、傾斜面に沿って異物の向きを変えることができ、異物によって外装部材が損傷することを回避し易い。また、案内部の支持レール側の端部に第2案内壁を有する上記構成の場合、外装部材が支持レールの側壁から離間しているため、この空間を外装部材の退避空間に利用できる。具体的には、外装部材上面の傾斜面に異物が押し当てられた際に、外装部材が支持レールの側壁側に退避することができ、外装部材の損傷をより回避できる。
【0024】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るスライド配線装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0025】
[実施形態1]
<スライド配線装置>
図1〜
図7を参照して、実施形態1のスライド配線装置1を説明する。実施形態1のスライド配線装置1は、車両に搭載されたスライドシートに適用した例である。
【0026】
スライド配線装置1は、車両の車体(図示せず)と車体に対してスライド自在に設けられたスライドシート(スライド体)Sとの間を電気的に接続するものである。スライド配線装置1は、
図1〜
図4に示すように、支持レール10と、スライダ20と、ワイヤーハーネス30と、案内部40と、収容部50と、外装部材60とを備える。
図4は、説明を分かり易くするために、支持レール10を断面で示すと共に、ワイヤーハーネス30(外装部材60)を省略している。このスライド配線装置1の特徴の1つは、ワイヤーハーネス30に一方向にのみ屈曲可能な外装部材60が外装されている点にある(
図5,
図6を参照)。また、別の特徴の1つは、案内部40の収容部側の端部に第1案内壁45が設けられていると共に、収容部50の外側壁52に第1案内壁と段差を形成する段差部55が形成されている点にある(
図3,
図4を参照)。以下、スライド配線装置1の構成について、詳しく説明する。以下の説明では、支持レール10の一端側を「前」(図中、X方向)、他端側を「後」とし、スリット15が形成されている側を「上」(図中、Y方向)、その反対側を「下」とし、支持レール10の一端側から見て左側を「左」(図中、Z方向)、右側を「右」とする。
【0027】
(スライドシート)
スライドシートSは、後述する支持レール10の長手方向に沿ってその上をスライド移動可能に設置されている。スライドシートSには、例えば、電動スライド装置や電動リクライニング装置、ヒータ、ベルト装着センサ、着座センサなどの各種電装品(図示せず)が装備されている。
【0028】
(支持レール)
支持レール10は左右一対あり、車体の床上に前後方向に沿って平行に配置されている。支持レール10の上面には、
図1,2に示すようにその全長に亘って長手方向に沿ってスリット15が形成されている。スリット15は、
図3,
図4に示すように支持レール10の幅方向の中央に形成されている。支持レール10の一端側は開口しており、開口部16が設けられている。
【0029】
この例では、支持レール10は、
図5に示すように四角筒状であり、底壁11、左側壁12、右側壁13及び上壁14を有し、内部に矩形状の空間が形成されている。支持レール10の底壁11が車体の床に図示しないボルトなどで固定されている。支持レール10の上壁14には、スリット15が貫通して設けられている。支持レール10は、例えばアルミニウム合金やスチール、ステンレス鋼などの金属で形成されている。
【0030】
(スライダ)
スライダ20は、支持レール10に対して長手方向にスライド自在に取り付けられ、スライドシートSを支持する部材である。スライダ20は、
図2〜
図4に示すように、支持レール10内に嵌め込まれる本体部21と、本体部21から上方に突出してスリット15から露出する支持部22とを有する。支持部22は、
図1に示すスライドシートSを支持する部分であり、スライドシートSの台座pが固定される。
【0031】
また、スライダ20は、
図3,
図4に示すように、後述するワイヤーハーネス30に外装される外装部材60の一端が連結される連結部23を有する。連結部23は、スライダ20の前端面に取り付けられている。この連結部23には、
図5に示すように、外装部材60から引き出されたワイヤーハーネス30の一端を支持レール10のスリット15からスライドシート側に導く導入部24が設けられている。
【0032】
(ワイヤーハーネス)
ワイヤーハーネス30は、スライドシートSに対して配索され、車体に搭載されたバッテリやECUなどの電装品とスライドシートSに搭載された電装品とを電気的に接続する部材である。ワイヤーハーネス30は、電源線や通信線などの電線30cを有する(
図5を参照)。ワイヤーハーネス30には、後述する外装部材60が外装されており、外装部材60にワイヤーハーネス30が収納されている。
【0033】
ワイヤーハーネス30は、
図1に示すように、右側の支持レール10内に配置されている。
図3に示すように、ワイヤーハーネス30の一端側が支持レール10内を通り、スライダ20の連結部23に連結され、その一端が導入部24を通ってスライドシートSに接続される(
図5も参照)。ワイヤーハーネス30の他端側は、支持レール10の開口部16から支持レール10外に引き出される。
【0034】
この例では、ワイヤーハーネス30が、
図5に示すように支持レール10の内部空間のうち、スリット15を基準に支持レール10の幅方向の左側(左側壁12側)に片寄せて配置されている。
【0035】
(案内部)
案内部40は、
図2,
図3に示すように、支持レール10の開口部16に接続され、開口部16から引き出されたワイヤーハーネス30の余長部分35を支持レール10の右側側方に湾曲させて折り返す部材である。案内部40は、
図3,
図4に示すように、底壁41と、底壁41から立設する外周壁42及び内周壁43を有し、ワイヤーハーネス30の余長部分35を湾曲させて支持レール10の開口部16と収容部50との間で案内する案内路が形成されている。外周壁42と内周壁43とは、ワイヤーハーネス30(外装部材60)が通過できるように、所定の間隔をあけて平行に設けられている。
【0036】
また、案内部40における収容部50側の端部には、収容部50側に向かって延びる第1案内壁45を有し、支持レール10側の端部には、支持レール10の開口部16側に向かって延びる第2案内壁46を有する。第1案内壁45及び第2案内壁46は、外周壁42に連続して設けられている。第1案内壁45及び第2案内壁46の詳細については後述する。
【0037】
(収容部)
収容部50は、
図2,
図3に示すように、支持レール10の右側側方に配置されると共に案内部40に接続され、案内部40を通過したワイヤーハーネス30の余長部分35をU字状に折り返した状態で収容する部材である。収容部50は、支持レール10の開口部16側に隣接して設けられている。収容部50は、
図3,
図4に示すように底壁51と、底壁51から立設する外側壁52、内側壁53及び後端壁54を有し、U字状に折り返した余長部分35を収容する収容空間が形成されている。外側壁52と内側壁53とは、余長部分35をU字状に折り返した状態で収容できるように、所定の間隔をあけて平行に設けられている。外側壁52及び内側壁53のうち、外側壁52は支持レール10から離れた側に位置し、内側壁53は支持レール10に近い側に位置する。後端壁54は、案内部40側とは反対側に位置し、外側壁52及び内側壁53の後端同士を連結する。収容部50には、ワイヤーハーネス30の他端側を外部に引き出すための導出口56が形成されている。
【0038】
収容部50内におけるワイヤーハーネス30の余長部分35の収容状態について説明する。ワイヤーハーネス30の余長部分35は、案内部40から収容部50側に向かって直線状に延びる直線部36と、案内部40側とは反対側で折り返される折り返し部37と、折り返し部37から案内部40側に延びる内側直線部38とを有する。ワイヤーハーネス30の直線部36は収容部50の外側壁52に対向するように配置され、内側直線部38は内側壁53に沿って配置される。ここで、収容部50における直線部36と対向する外側壁52には、案内部40の第1案内壁45と段差を形成する段差部55が設けられており、この段差部55によって直線部36が外側壁52に接しないようになっている。段差部55の詳細については後述する。
【0039】
案内部40及び収容部50は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)などの樹脂で形成されている。この例では、案内部40及び収容部50が一体成形されている。
【0040】
(外装部材)
外装部材60は、
図5に示すように、ワイヤーハーネス30に外装され、ワイヤーハーネス30を保護すると共にワイヤーハーネス30の屈曲方向を規制する部材である。外装部材60は、一方向にのみ屈曲可能であり、
図3に示すように、一端がスライダ20の連結部23に連結され、ワイヤーハーネス30の一端側から他端側の余長部分35に亘って外装される。外装部材60は、例えばPETやPP、POMなどの樹脂で形成されている。
【0041】
この例では、外装部材60は、
図6,
図7に示すように、ワイヤーハーネス30の周囲を覆う複数の筒状片60pが直列に連結されて構成されている。隣り合う筒状片60pは、外装部材60を屈曲した際に内周側に位置する部分同士がヒンジ65で結合されている。外装部材60としては、隣り合う筒状片60pの内側面部62同士をヒンジ65で結合して連結する他、隣り合う筒状片60p同士を一方向にのみ屈曲可能に構成されたリンク機構によって連結して構成することも可能である。外装部材60には、市販のケーブル保護部材(例えば、ケーブルベア(登録商標)など)を利用することも可能である。
【0042】
筒状片60pは四角筒状(具体的には、直角台形筒状)であり、底面部61、内側面部62、外側面部63及び上面部64を有する。そして、
図6に示すように、隣り合う筒状片60pの内側面部62同士がヒンジ65で結合されおり、外装部材60を内側面部62側に屈曲させることが可能である。筒状片60pの上面形状は矩形状であり、反対側の外側面部63に屈曲させようとすると、隣り合う筒状片60pの端面同士が接することから、外側面部63側には屈曲させることができない。つまり、外装部材60は、一方向にのみ屈曲可能である。また、筒状片60pは、
図7に示すように、内側面部62の高さが外側面部63よりも低く、上面部64が外側面部63から内側面部62に向かって傾斜しており、上面に傾斜面64iを有する。
図5に示すように、ワイヤーハーネス30が支持レール10内の左側に片寄せて配置されている場合、外装部材60(筒状片60p)の上面部64が、スリット15側に位置することになり、傾斜面64iが支持レール10の幅方向の中央に向かって下方に傾斜することになる。筒状片60pは、四角筒状に限られず、三角筒状などの多角筒状であってもよい。
【0043】
筒状片60pの外側面部63は、上面部64とスナップフィットにより形成されており、開閉可能になっているため、ワイヤーハーネス30を外装部材60に収納し易い。
【0044】
また、この例では、外装部材60は、
図6に示すように、筒状片60pを7個1組とした筒状片組60uを複数つなぎ合わせることで構成されている。筒状片組60uの一端側の筒状片60pには、内側面部62にヒンジ65を介して連結部66が一体に設けられている。連結部66は凸部66cを有し、筒状片組60uの他端側の筒状片60pには、凸部66cが嵌合される嵌合孔66hが形成されている。筒状片組60uの一端側の筒状片60pに設けられた連結部66の凸部66cを、別の筒状片組60uの他端側の筒状片60pに形成された嵌合孔66hに嵌合することにより、筒状片組60u同士を連結することができる。
【0045】
(第1案内壁・段差部)
案内部40の第1案内壁45は、
図3に示すように、ワイヤーハーネス30の余長部分35における直線部36と接し、スライダ20(スライドシートS)の移動に追従してワイヤーハーネス30が移動する際に、ワイヤーハーネス30の外装部材60と摺接する。一方、余長部分35の直線部36に対向する収容部50の外側壁52には、段差部55が形成されているため、ワイヤーハーネス30の外装部材60と摺接しない。この例では、第1案内壁45が収容部50の外側壁52と略平行に直線状に設けられている。
【0046】
(第2案内壁)
案内部40の第2案内壁46は、
図3に示すように、支持レール10の開口部16から引き出されたワイヤーハーネス30の外装部材60と接し、スライダ20の移動に追従してワイヤーハーネス30が移動する際に、外装部材60と摺接する。第2案内壁46は、
図4に示すように、支持レール10の左側壁12よりも支持レール10の幅方向の内方(中央側)に位置するように設けられている。
【0047】
<作用効果>
実施形態1のスライド配線装置1は、次の効果を奏する。
【0048】
(1)一方向にのみ屈曲可能な外装部材60によって、ワイヤーハーネス30の余長部分35における直線部36に直線性を持たせることができ、直線部36が直線状に保たれる。また、案内部40の収容部50側端部に、第1案内壁45が設けられていると共に、収容部50の外側壁52に、第1案内壁45と段差を形成する段差部55が形成されている。これにより、余長部分35の直線部36における外装部材60と外側壁52との間にクリアランスを設けることができ、直線部36の外装部材60が全長に亘って収容部50の外側壁52に摺接することを回避できる。よって、余長部分35の直線部36における外装部材60が収容部50の外側壁52と摺接することによる摩擦抵抗を低減でき、スライド操作荷重を低減できると共にスライド動作時の異音の発生を抑制できる。
【0049】
(2)更に、案内部40の支持レール10側端部に、第2案内壁46が設けられていることで、支持レール10内のワイヤーハーネス30における外装部材60と支持レール10の左側壁12との間にクリアランスを設けることができる。そのため、ワイヤーハーネス30の外装部材60が支持レール10の左側壁12に摺接することを回避できる。よって、支持レール10内のワイヤーハーネス30における外装部材60が支持レール10の左側壁12と摺接することによる摩擦抵抗を低減でき、スライド操作荷重をより低減できると共にスライド動作時の異音の発生をより抑制できる。
【0050】
(3)外装部材60におけるスリット15側に位置する上面部64が傾斜面64iを有することで、異物の侵入による外装部材60の損傷を回避できる。支持レール10にはスリット15が形成されているため、
図8に示すように、スリット15から支持レール10内に傘の先などの硬い棒状の異物Fが侵入する可能性がある。外装部材60の上面部64に傾斜面64iを有することで、上面部64に押し当てられた異物Fの向きを傾斜面64iに沿って変えることができる。したがって、異物Fによる外装部材60の損傷を回避し易い。加えて、上述した第2案内壁46によって、外装部材60と支持レール10の左側壁12との間にクリアランスを設けた場合は、この空間を外装部材60の退避空間に利用できる。具体的には、外装部材60の上面部64の傾斜面64iに異物Fが押し当てられた際に、外装部材60が支持レール10の左側壁12側に移動して、外装部材60の損傷をより回避できる。
【0051】
[変形例1]
実施形態1では、第1案内壁45が収容部50の外側壁52と略平行に設けられている場合を説明したが、第1案内壁45は、案内部40から収容部50側に向かうに従って、収容部50の外側壁52から離れるように傾斜していてもよい。この場合、ワイヤーハーネス30の余長部分35の直線部36における外装部材60が収容部50の外側壁52とより摺接し難くなる。第1案内壁45を傾斜させる場合、第1案内壁45の傾斜角度は、余長部分35の折り返し部37の曲率半径が外装部材60(ワイヤーハーネス30)の許容屈曲半径以上となるように適宜設定すればよい。