(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6541135
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】引き戸式扉構造及びシェルター
(51)【国際特許分類】
E06B 5/18 20060101AFI20190628BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20190628BHJP
E04H 9/02 20060101ALI20190628BHJP
E04H 9/12 20060101ALI20190628BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
E06B5/18
E04H1/12 A
E04H9/02 301
E04H9/12
E04H9/14 K
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-224294(P2017-224294)
(22)【出願日】2017年11月22日
(65)【公開番号】特開2019-94667(P2019-94667A)
(43)【公開日】2019年6月20日
【審査請求日】2019年4月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517357826
【氏名又は名称】株式会社シェルタージャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100103207
【弁理士】
【氏名又は名称】尾崎 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】矢野 昭彦
【審査官】
砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第7428800(US,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0277398(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3046426(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/42 − 3/46
E06B 5/00 − 5/20
E02D 29/045−29/05
E04H 1/12
E04H 9/00 − 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成されたコンクリート製のスラブと、
前記開口部の外部領域に設けられた一対の軌道と、
前記軌道に沿って移動可能であるコンクリート製の扉と、
前記開口部が前記扉によって閉鎖されたとき、前記扉を前記スラブ方向に変位させることにより前記扉と前記スラブとの間に生じた隙間を封止する封止装置と、
を備えることを特徴とする引き戸式扉構造。
【請求項2】
前記封止装置は、前記スラブに支持されるとともに、前記軌道を固定する第1ジャッキを有し、
前記第1ジャッキは、前記軌道を前記スラブ方向に変位させることによって前記扉を前記スラブ方向に変位させ、前記隙間を封止することを特徴とする請求項1に記載の引き戸式扉構造。
【請求項3】
前記軌道は、第1レールと、前記スラブに固定された第2レールとを有し、
前記封止装置は、前記スラブに支持されるとともに、前記第1レールを固定する第2ジャッキを有し、
前記第2ジャッキは、前記第1レールを前記スラブ方向に変位させることによって前記扉を前記スラブ方向に変位させ、前記隙間を封止することを特徴とする請求項1に記載の引き戸式扉構造。
【請求項4】
前記スラブに対向する前記扉面に、パッキンが環状に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の引き戸式扉構造。
【請求項5】
前記スラブと、前記扉とを連接する固定ボルトが前記スラブに螺着された状態で配設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の引き戸式扉構造。
【請求項6】
コンクリート製の筐体と、
前記筐体の上方に固定された請求項1〜5のいずれか1項に記載の引き戸式扉構造と、
を備えることを特徴とするシェルター。
【請求項7】
前記筐体は、地中に設置されることを特徴とする請求項6に記載のシェルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自然災害のみならず放射能被ばく被害にも対応可能な引き戸式扉構造、及びこれを備えたシェルターに関する。
【背景技術】
【0002】
東日本大震災では、地震により各地で建物の倒壊・火災が相次ぎ、さらに、過去最大級の津波・津波火災が発生したことによって、多くの尊い人命が失われた。今後も、南海トラフ大地震等の発生が予想されており、地震・津波等の災害時に避難可能な家庭用シェルターに対する関心は近年益々高まっている。
【0003】
家庭用シェルターでは、設置スペースに制約を受けることからスペース効率が重視される。そのため、シェルターの天井面に設けられたハッチが、出入口、又は非常用の出入り口の扉構造として数多く用いられている。天井面に設けられたハッチは、重量がある場合、開閉に多大な労力を要し、地震発生等の非常事態において簡単に開閉することは困難である。最悪の場合、ハッチを開くことができず、避難できない事態も想定される。また、その作業の困難さから、扉を閉める際、慌てて指を挟まれる等の危険に直面する。
【0004】
開閉の容易な軽量化が考慮されたハッチとして、特許文献1では、気密性のある強化プラスチックのハッチが開示されている。具体的には、芯材として硬質ウレタン、発泡スチロール、ペーパーハニカム、及びアルミハニカム等を用い、その両面にガラス繊維、カーボン繊維、アラミド繊維等を積層したものである。
【0005】
特許文献2では、外殻構造材が、空気を内包した不沈材料にて形成された芯材と、芯材の外面の略全体を該覆うようにポリウレア樹脂を積層したポリウレア樹脂層を有しているハッチが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−141876号公報
【特許文献2】特開2015−051732号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年の緊迫した国際情勢に鑑みると、地震等の災害のみならず、放射能被爆被害に対応可能な性能を具備するシェルターが求められる。いわゆる、核シェルターが求められる。例えば、スイス、イスラエルでは核シェルターの普及率は100%であが、日本ではわずか0.02%に過ぎない。日本においても有事に対応可能な核シェルターの普及が急務である。特許文献1、2で開示されたハッチは、軽量化されるとともに、所定の強度を具備した扉構造となっているが、放射能の遮蔽性能を具備しているとはいいがたい。
【0008】
本発明の課題は、自然災害のみならず放射能被ばく被害にも対応可能であるとともに、開閉が容易な扉構造、及びこれを備えたシェルターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、開口部が形成されたコンクリート製のスラブと、開口部の外部領域に設けられた一対の軌道と、軌道に沿って移動可能であるコンクリート製の扉と、開口部が扉によって閉鎖されたとき、扉をスラブ方向に変位させることにより扉とスラブとの間に生じた隙間を封止する封止装置を備えることを特徴とする。
【0010】
天井壁に設けられる開閉装置として、構造の簡便さから外開き形式の扉が一般的に用いられている。外開き形式の扉は、扉自体がコンクリート製の重量構造物である場合、扉の開閉に多大な労力を要し、簡単に開閉することは困難である。また、その作業の困難さから、扉を閉める際、指を挟まれる等の危険に直面する。しかし、この構成によれば、本扉構造は、スラブの外部空間側に設けられた引き戸式扉構造であるので、重量のあるコンクリート製の扉を容易に、かつ安全に開閉することができる。
【0011】
扉は、コンクリート製であるので、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線、及び中性子線などのほぼすべての放射線を遮蔽することができる。また、開口部が扉によって閉鎖されたとき、扉をスラブ方向に変位させることにより扉と枠体との間に生じた隙間を封止する封止装置を備えるので、開口部を隙間なく完全に封止することができる。すなわち、本扉構造は、自然災害のみならず有事の際に核シェルターとして使用可能である。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の引き戸式扉構造において、封止装置は、スラブに支持されるとともに、軌道を固定する第1ジャッキを有し、第1ジャッキは、軌道をスラブ方向に変位させることによって扉をスラブ方向に変位させ、隙間を封止することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、封止装置は、軌道をスラブ方向に変位させることによって扉をスラブ方向に変位させ、隙間を封止する第1ジャッキを有するので、スラブと扉の間に存する隙間を容易に封止することができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の引き戸式扉構造において、軌道は、第1レールと、スラブに固定された第2レールを有し、封止装置は、スラブに支持されるとともに、第1レールを固定する第2ジャッキを有し、第2ジャッキは、第1レールをスラブ方向に変位させることによって扉をスラブ方向に変位させ、隙間を封止することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、軌道の一部となる第2レールはスラブに固定されているので、扉は安定して軌道に沿って移動することができる。また、封止装置は、軌道の一部となる第1レールをスラブ方向に変位させることによって扉をスラブ方向に変位させ、隙間を封止する第2ジャッキを有するので、スラブと扉の間に存する隙間を容易に封止することができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の引き戸式扉構造において、スラブに対向する扉面に、パッキンが環状に設けられていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、スラブに対向する扉面に、パッキンが環状に設けられているので、気密性能及び水密性能をより一層高めることができる。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の引き戸式扉構造において、スラブと、扉を連接する固定ボルトがスラブに螺着された状態で配設されていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、枠体と、扉を連接する固定ボルトがスラブに螺着された状態で配設されているので、固定ボルトを回転し、スラブと扉の双方を固定ボルトで螺着することにより扉をスラブに強固に固定することができる。
【0020】
請求項6に係る発明は、シェルターであって、コンクリート製の筐体と、筐体の上方に固定された請求項1〜5のいずれか1項に記載の引き戸式扉構造を備えることを特徴とする
【0021】
この構成によれば、本発明に係るシェルターは、放射線の遮蔽性能が高いコンクリート製の筐体、及び筐体の上方に固定されたスラブ及び扉を有する引き戸式扉構造を備えるシェルターであるので、筐体、スラブ、及び扉の厚さを所定の厚さ以上とすることにより核シェルターとして使用可能である。
【0022】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載のシェルターにおいて、筐体は、地中に設置されることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、筐体は、放射線の遮蔽効果が期待できる地中に埋設されているので核シェルターとして使用する場合、筐体の厚さを薄くすることができる。また、引き戸式扉構造のみが、地上に突出して設けられているので、扉へのアクセスが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図4】同、封止装置を説明する部分正面断面図である。
【
図5】同、固定ボルトの取付け状態を説明する部分側面断面図である。
【
図6】(a)は実施形態2の扉が閉鎖され封止されていない状態の封止装置を説明する部分側面断面図である。(b)は同、部分正面断面図である。
【
図7】(a)は実施形態2の扉が封止された状態の封止装置を説明する部分側面断面図である。(b)は同、部分正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〈実施形態1〉
実施形態1について、
図1〜
図5を参照し、説明する。
図2、3に示す通り、コンクリート製の筐体20と、筐体20の上方に設けられたコンクリート製のスラブ23によってシェルター100の内部に避難空間70が形成されている。スラブ23は、開口部31が形成されており、この開口部31を開閉するための扉10がスラブ23の上方に配設されている。また、スラブ23は地上に突出して設置され、筐体20は地中に埋設されている。ここで、コンクリート製とは、コンクリートのみを用いたものを示すのではなく、コンクリート及び鉄筋を主用材料として用いたもの、すなわち鉄筋コンクリート製を含む。
【0026】
筐体20、スラブ23、及び扉10はコンクリート製であるので、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線、及び中性子線などのほぼすべての放射線を遮蔽することができる。したがって、筐体20、スラブ23、及び扉10の構造厚さを所定の厚さ以上とすることによって、シェルター100を核シェルターとして利用できる。
【0027】
筐体20は、底壁21と側壁22で構成されており、有底の角筒体である。また、側壁22の第1面22aに昇降するためのタラップ25が設けられている。シェルター100を核シェルターとして利用する場合、底壁21及び側壁22の厚さとして200mmが例示される。
【0028】
図1に示す通り、スラブ23は平面視矩形であり、所定の位置に開口部31が形成されている。開口部31は平面視矩形であり、スラブ23のスラブ側面23a、bと対向する開口部31の開口側面31a、bが、平行になるようにスラブ23に配置されている。シェルター100を核シェルターとして利用する場合、スラブ23の厚さとして400mmが例示される。
【0029】
図2、に示す通り、開口部31の外周部に、枠体30が固定されている。枠体30は、骨組材を四方に組んだ構造体であり、開口部31を補強するためのものである。骨組材の材質は鋼製であることが好ましく、断面形状は断面視H形、コ字形、及びロ字形であることが好ましい。
【0030】
扉10は、コンクリート製の扉本体11、底板12、及び側板13a、b、を有している。側板13a、bが底板12の周縁から立設しており、側板13a、b、及び底板12のそれぞれは、コンクリート製の扉本体11に固定されている。また、側板13a、bの端部は扉本体11の上端面とほぼ同一高さとなっている。底板12及び側板13a、bは、扉本体11の耐荷重性能、及び耐久性能を向上させるためのものであり、鋼製であることが好ましい。シェルター100を核シェルターとして利用する場合、扉10の厚さとして400mmが例示される。
【0031】
車輪15は、扉10を軌道40に沿って移動させるためのものであり、片側に2個、合計で4個の車輪15が対向する側板13a、aを介して扉本体11に固定されている。車輪15は後述する軌道40の凹部40aに配設され、その設置面は、第1ジャッキ50を上昇させたとき、底板12とスラブ23との間に所定の隙間が存在し、下降させたとき底板12とスラブ23は接触する状態となるように設定される。すなわち、第1ジャッキ50の構造高さ、及び第1ジャッキ50のストローク等を勘案して適宜定める。なお、第1ジャッキ50は油圧で上昇及び下降する手動、又は電動の油圧ジャッキであることが好ましい。
【0032】
一対の軌道40、40は上述した車輪15を円滑に回動させるとともに所定の方向に確実に誘導するためのものである。
図1に示す通り、軌道40、40はスラブ23の上方に設けられ、開口部31の外周領域に、開口側面31a、31aに平行に敷設されている。
図3、4に示す通り、軌道40は上方に開口された凹部40aを形成する断面視コ字形の形状であり、両端部、及び中央部の3か所で合計3個の第1ジャッキ50を介してスラブ23に固定されている。具体的には、軌道40の底面は第1ジャッキ50の受け台53に固定されており、また、第1ジャッキ50の底面は、スラブ23に固定されている。
【0033】
軌道40の長さは、開口部31を開閉することができる長さ、すなわち、開口部31の敷設方向の長さに扉10の走行方向の長さを加算した長さ以上に設定される。本実施形態では、軌道40は、スラブ23の軌道40の設置方向の長さと同じ長さとしている。
【0034】
側板13a、13aにそれぞれ2個ずつ配置された車輪15の移動方向に直角方向の間隔は、車輪15を軌道40に配設することができる間隔、すなわち一対の軌道40、40の間隔と同じとなるように設定されている。これにより、扉10は、軌道40に沿って移動可能となり、開口部31を開閉することができる。
【0035】
図3に示す通り、軌道40の両端部には、凹部40aを塞ぐ制止板41a、bが凹部40aの上方に突出した状態で設けられている。制止板41a、bは、車輪15の移動を制限するためのものであり、これにより扉10の軌道40からの移動方向への逸脱を防止することができる。制止板41aによって車輪15の移動が制限されたとき、扉10は開口部31を閉鎖する状態となり、制止板41bによって車輪15の移動が制限されたとき、扉10は開口部31を開放する状態となる。
【0036】
扉10を閉鎖した状態で、開口部31の外周面に対向する扉10の底面にパッキン80が環状に設けられている。これにより、扉10とスラブ23に存する隙間を封止したとき、避難空間70内の気密性をより一層高めることができる。
【0037】
図1に示す通り、スラブ23に形成された開口部31と軌道40との間に、一対の貫通孔61、61が穿孔されている。
図5(a)、(b)に示す通り、貫通孔61の上端部に雌ネジが形成された第1螺合筒62が固定され、その第1螺合筒62に雄ネジが形成された固定ボルト60が螺着した状態で配設されている。第1螺合筒62のつば部62aはスラブ23の上面24aとほぼ面一となっており、固定ボルト60の先端は、スラブ23の上面24aの下方に位置している。扉10の下端部に、固定ボルト60と螺合可能な雌ネジが形成された第2螺合筒63が設けられている。また、扉10が閉鎖された状態で、第1螺合筒62と第2螺合筒63は平面視で重なる位置に配設されている。扉10が閉鎖された状態で、固定ボルト60を回転させることにより、固定ボルト60を第1螺合筒62及び第2螺合筒63に螺着することができる。その結果、扉10とスラブ23を強固に連接することができる。
【0038】
開口部31を封止する方法について説明する。扉10とスラブ23との間に所定の隙間が存する状態、すなわち、6個の第1ジャッキ50がすべて上昇している状態で、扉10を開口部31の方向に移動させる。制止板41aによって、扉10の移動が制限されたときたとき、開口部31は扉10で閉鎖された状態となる。その後、軌道40、40を固定する合計6個の第1ジャッキ50を同時に下方に降下させることにより、扉10とスラブ23との間に存する所定の隙間を封止することができる。その後、固定ボルト60を回転させ、固定ボルト60を第1螺合筒62及び第2螺合筒63に螺着させることによって、扉10とスラブ23を連接する。
【0039】
開口部31が封止された状態から、開放された状態とする方法について説明する。開口部31が封止された状態では、固定ボルト60は、第1螺合筒62及び第2螺合筒63に螺着しているとともに、6個の第1ジャッキ50はすべて降下している。固定ボルト60と第2螺合筒63の螺着を解き、固定ボルト60を扉10に突設させない状態とする。その後、6個の第1ジャッキ50を同時に上昇させ、底板12とスラブ23との間に所定の隙間が存する状態とする。その後、扉10を制止板41bの方向に移動させる。制止板41bによって扉10の移動が制限されたとき、開口部31は開放された状態となる。その後、6個の第1ジャッキ50を同時に下降させ、底板12とスラブ23が接触し、扉10の全重量をスラブ23が負担する状態とする。底板12とスラブ23に作用する摩擦力により、扉10は安定して所定の位置に載置できる。
【0040】
〈実施形態2〉
実施形態2について、
図6(a)、(b)、
図7(a)、(b)、を参照し、説明する。なお、実施形態2の構成は実施形態1と共通する部分が多いことから、この共通する部分についての説明は極力省略し、主に相違点(封止装置)について説明する。
【0041】
実施形態1におけるシェルター100と同様に、コンクリート製の筐体(図示略)と、筐体の上方に設けられたコンクリート製のスラブ223によってシェルター200の内部に避難空間(図示略)が形成されている。スラブ223は、開口部(図示略)が形成されており、この開口部を開閉するための扉210がスラブ223の上面224aに配設されている。また、スラブ223は地上に突出して設置され、筐体は地中に埋設されている。
【0042】
スラブ223に一対の軌道240が配設されている。この軌道240に沿って扉210に固定された車輪215が回転しながら走行する。また、スラブ223と扉210との間には所定の隙間が存している。これにより、扉210は軌道240に沿って移動可能となる。
【0043】
図6(a)、(b)に示す通り、軌道240は、第1レール241と第2レール242を有する。第2レール242は、スラブ223に固定され、第1レール241は扉210が閉じた状態のとき、車輪215が載置される直下に設けられ、第2ジャッキ250の上端に位置するジャッキ受け台253に固定されている。第2ジャッキ250はスラブ223に形成された穴235に配設され、下端は、スラブ223に固定されている。すなわち、第1レール241は、第2ジャッキ250を介してスラブ223に固定されている。
【0044】
第2ジャッキ250が上昇した状態で、第1レール241と第2レール242との走行面は同一高さとなる。これにより、扉210は軌道240に沿って円滑に移動することができる。
【0045】
扉210が閉鎖された状態で、第2ジャッキ250を下降させる。これに伴い、車輪215が下降し、同時に扉210が下降する。第2ジャッキ250のストロークを扉210とスラブ223との間に存する隙間よりも大きくすることで、扉210とスラブ223は接触した状態となりその隙間を封止することができる(
図7(a)、(b)参照)。
【産業上の利用可能性】
【0046】
自然火災のみならず有事に対して核シェルターとしても利用可能であり、安心安全な環境を提供でき、その産業上の利用価値は大である。
【符号の説明】
【0047】
100、200 :シェルター
10、210 :扉
11、211 :扉本体
12 :底板
13a、b :側板
15、215 :車輪
20 :筐体
21 :底壁
22 :側壁
23、223 :スラブ
23a、b :スラブ側面
24a、224a :上面
25 :タラップ
30 :枠体
31 :開口部
31a :開口側面
40、240 :軌道
40a :凹部
41a、b :制止板
50 :第1ジャッキ
53 :受け台
60 :固定ボルト
61 :貫通孔
62 :第1螺合筒
62a :つば部
63 :第2螺合筒
70 :避難空間
80 :パッキン
235 :穴
241 :第1レール
242 :第2レール
250 :第2ジャッキ
253 :ジャッキ受け台