(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ケーシングの裏面には複数のリブが設けられており、前記ケーシングの端部から略平行に設けられる二本のリブによって、前記吸気口に連通する外気導入溝が形成される、請求項2に記載のガス検針ロボット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような無線通信機器を使用したシステムを構築するためには、常に無線通信を行うための電力供給が必要となる。無線通信機器が設置されるのはガスメータ近傍である屋外であるため、一般配線からの電力供給は困難であり電池が必要となる。
【0007】
本発明は、このような要望に鑑みてなされたものであり、電池交換等の作業コストを削減が可能なガス検針ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0009】
第1の特徴に係る発明は、本発明のガス検針ロボットは、既設のガスメータと通信可能に接続され、無線通信を使用して外部機器と通信を行う通信機器を備えたガス検針ロボットであって、ガスメータとの間でガス指針値に関するデータの通信を行う通信線が接続される端子と、外部機器とデータの送受信を行う無線機器と、ガスメータ及び外部機器との間の信号の処理及びデータの記憶を行う制御部と、ガス検針ロボットを駆動する電池と、制御部及び電池を内部に収納し、無線機器及び端子を内部又は表面に設置するケーシングとを備え、ケーシング表面に太陽光発電パネルを備え、電池及び太陽光発電パネルはロボット自身が駆動するための電力を供給する、ガス検針ロボットを提供する。
【0010】
第1の特徴に係る発明によれば、ガス検針ロボットが、電池だけでなく太陽光発電パネルを備えているため、通信に必要な電力をガス検針ロボット自身で賄うことができるようになる。また、機器全体としての寿命が長くなり、電池交換等の作業コストを削減することができる。さらに、仮に電池からの電力が供給不能になったとしても、太陽光パネルによる発電で電力を供給することができるため、電池交換を促す信号や、現在の状況に関する情報を集中監視センターに送信することができ、保守の容易なシステムを構築することが可能となる。
【0011】
第2の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、ケーシング内に制御部を設置するための基板をさらに備え、記基板には、電池が設置される部位に対応する位置に、基板の一部を切除した切り欠きが設けられており、電池は切り欠きにおいて基板が配設される高さよりも低い位置に配設される、ガス検針ロボットを提供する。
【0012】
第2の特徴に係る発明によれば、基板において切り欠きを設けた箇所に電池を設置するため、基板上に電池を設置する場合と比して、電池の設置の高さを削減することとなり、その分、ケーシングの厚みを低減することができ、狭いスペースであっても設置が可能なガス検針ロボットを提供することが可能となる。
【0013】
第3の特徴に係る発明は、第1の特徴に係る発明であって、ケーシングの内部に設置される大気の温度と、圧力と、湿度等の環境情報と、加速度との少なくともいずれか一つ以上に関する情報を検知可能なセンサをさらに備え、センサは、ケーシングの裏面に設けられた吸気口を介して導入された外気に関する情報を計測する、ガス検針ロボットを提供する。
【0014】
第3の特徴に係る発明によれば、センサがケーシングの裏面に設けられた吸気口を介して外気を導入するため、センサが直接的に風雨にさらされることなく、耐久性や耐水性に優れた検知を実施することができるガス検針ロボットを提供することが可能となる。
【0015】
第4の特徴に係る発明は、第3の特徴に係る発明であって、ケーシングの裏面には複数のリブが設けられており、ケーシングの端部から略平行に設けられる二本のリブによって、吸気口に連通する外気導入溝が形成される、ガス検針ロボットを提供する。
【0016】
第4の特徴に係る発明によれば、ケーシングの裏面に略平行に設けられた二本のリブによって吸気口に連通する外気導入溝を形成するため、裏面に吸気口を設けたとしても、吸気口がケーシング自体によって密閉されることなく、外気を吸気口まで導入することができるようになり、その結果、外気に関する情報を正確に計測できる。
【0017】
第5の特徴に係る発明は、第1ないし第5のいずれかの特徴に係る発明を用いたガス自動検針システムであって、ガス検針ロボットと、ガス事業者に設置される警告灯と、需要家が所有する通信可能なデバイスと、ガス検針ロボット、警告灯及びデバイスと通信可能なサーバとによって構成され、ガス検針ロボットは、ガスメータから異常があったことを通知されると、異常があったことをサーバに通報する手段を有し、サーバは、ガス検針ロボットからの異常の通報を受け、需要家が所有するデバイスへガスメータに異常が発生したことを通報する手段、及び、需要家にガスを供給するガス事業者に設置される警告灯へ通報を行う手段を有する、ガス自動検針システムを提供する。
【0018】
第5の特徴に係る発明によれば、24時間体制でスタッフを待機させる集中監視センターを介することなくガスの監視を自動で行うことが可能となり、人的コストを大幅に削減することが可能なガス自動検針システムを提供することが可能となる。
第6の特徴に係る発明によれば、アンテナが、ケーシングの外部に設けられていることによって、通信の感度を向上できる。
第7の特徴に係る発明によれば、基板の下側が二本のビスにより固定され、切り欠きが、ケーシングの下面に形成される嵌合部に嵌合されることで、二か所にビスを挿入するのみで基板を、ケーシングの下面に対して固定できる。
第8の特徴に係る発明によれば、ケーシングの上側の斜面沿って、太陽光発電パネルが設けられることで、太陽光を受光しやすくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、大きな電池を必要とせず、狭いスペースにおいても設置することが可能なガス検針ロボット、及び、24時間体制でスタッフを待機させる集中監視センターを介することなくガスの監視を自動で行うことが可能となり、人的コストを大幅に削減することが可能なガス自動検針システムを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0022】
[ガス検針ロボット1の全体構成]
まず、
図1〜
図3を用いて、本実施形態に係るガス検針ロボット1の全体構成を説明する。
図1はガス検針ロボット1の斜視図を、
図2はガス検針ロボット1の正面図を、
図3はガス検針ロボット1を斜め下方から見た図を示す。
【0023】
本実施形態に係るガス検針ロボット1は、後述する制御部、無線機器(アンテナ)、電池等を内部に収納するケーシング10を有する。
【0024】
ケーシング10には、他の機器に取り付けるための係止部11、12が設けられており、ねじ止め等の適宜の手段によって、図示しないガスメータ、家の壁、鉄道の河川柱等に設置することができる。また、係止部11、12と適合可能な冶具を使用することにより、図示しないガス配管に設置することも可能となる。
【0025】
また、ケーシング10の表面には、図示しないガスメータとの間でガス指針値に関するデータの通信を行う通信線が接続される端子20が設けられている。端子20は、ケーシング10に設けられた図示しない端子設置孔を介して設置される。このような端子20にガスメータとの通信線を接続することにより、ガスメータとのデータのやり取りを行うことができ、例えば、その月のガス使用量等のデータをガスメータから受信することが可能となる。
【0026】
本実施形態においては、端子20はケーシング10に設けられた端子設置孔を介してケーシング10表面に設置されているが、これに限ったものではなく、ケーシング10の内部に設置しても構わない。
【0027】
また、ケーシング10には、太陽光を受けて発電を行うことができる太陽光発電パネル30が設けられている。太陽光発電パネル30は周知のものを使用することができる。太陽光発電パネル30を備え、発電した電力をガス検針ロボット1の駆動のために供給することにより、ガス検針ロボット1を駆動するための電力を太陽光によりまかなうことが可能となる。
【0028】
このような太陽光発電パネル30は、効率的に太陽光を受光するために、なるべく陰にならない位置に設置されることが好ましい。好ましくは、ケーシング10の前面又は上面に取り付けられることが好ましい。
【0029】
さらには、ガス検針ロボット1が設置される場所に応じて、複数の配置パターンから選択できるようにすることが好ましい。例えば、ケーシング10の前面及び上面の二か所に、太陽光発電パネル30を配設可能な接続ポートを準備しておき、ガス検針ロボット1を設置する周囲の環境に応じて、一つの接続ポートを選択する。例えば、隣接する住戸の壁との距離が近い位置にガス検針ロボット1が設置されるような場合、太陽光発電パネル30をケーシング10の前面に配設しても太陽光を受光しにくいため、そのような場合には上面の接続ポートを選択できるようにする。
また、
図9に示されるように、ケーシング10の上側(ガスメータに取り付けられた状態で上を向く側)の斜面に沿って、太陽光発電パネル30が設けられるようにしても良い。ケーシング10の上側の斜面沿って、太陽光発電パネル30が設けられることで太陽光を受光しやすくなる。
また、ケーシング10の下側(ガスメータに取り付けられた状態で下を向く側)は、脱着されるところ、下側に太陽光発電パネル30が設けられた場合、下側を脱着する度に、太陽光発電パネル30と基板70とを接続するケーブルを脱着しなければならない。
図9に示されるように、ケーシング10の上側に太陽光発電パネル30が設けられることで、太陽光発電パネル30と基板70とを接続するケーブルを脱着することなく、ケーシング10の下側を脱着可能になる。これによって、ガス検針ロボット1の内部の解放およびケーシング10の下側の脱着が容易になる。
【0030】
また、ケーシング10の裏面には、大気の温度、圧力、湿度等の環境情報、及び、加速度に関する情報を検知可能な図示しないセンサ40に外気を導入するための吸気口13が設置される。センサ40はケーシング10内部に設置されており、ケーシング10の裏面に設けられた吸気口13を介して導入された外気に関する情報を計測する。
【0031】
センサ40によって加速度を検知することにより、ガス検針ロボット1自体が斜めに傾いていることを検知できる。そのことにより、ガス検針ロボット1をブロック塀、土砂崩れの可能性がある場所に打ち込んだ木の杭、ないしは電柱に取り付ける場合に、斜めに傾斜して取り付けてしまっていることを検知することができる。
【0032】
また、ガス検針ロボット1を鉄道の河川柱に取り付ける場合、加速度を逐一検知することで、事故や地震が起きたことを検知することができる。したがって、このようなガス検針ロボット1を複数の河川柱に取り付けることで、どの河川柱が被害にあっているかを即座に検知することが可能となり、早期の復旧や二次災害の防止に資することになる。
【0033】
ケーシング10の裏面には複数のリブが設けられており、ケーシング10の端部から略平行に設けられる二本のリブ14によって、吸気口14に連通する外気導入溝15が形成される。ケーシング10の端部から外気導入溝15が形成されることにより、吸気口13がケーシング10自体によって密閉されることなく、外気を吸気口13まで導入することができ、外気の圧力を正確に計測することができる。
【0034】
つまり、本実施形態におけるガス検針ロボット1は、ガス流量の検知だけでなく、外気や加速度に関する情報を定期的に取得し、集中監視センターに送信する機能を持つ。
【0035】
ここで、外気に関する情報を取得するためのセンサをケーシング10表面にむき出しに設置した場合、風雨にさらされることとなり、耐久性や防水性の面で課題が生じる。そのため、センサをカバーする防護壁が必要になるが、防護壁によってセンサを覆う場合、外気からセンサへと空気を取り入れることができないという問題があった。
【0036】
そこで、本実施形態に係るガス検針ロボット1においては、ケーシング10の裏面に吸気口13を設け、吸気口13から外気を導入する構成とした。ケーシング10の裏面はガス検針ロボット1の接地面になるため、直接的に風雨にさらされることを防止できる。
【0037】
さらに、ケーシング10の端部から略平行に設けられる二本のリブ14によって、吸気口14に連通する外気導入溝15を形成することにより、吸気口13がケーシング10自体によって密閉されることなく、外気を吸気口13まで導入することができるようになる。その結果、外気に関する情報を正確に計測できる。
【0038】
なお、センサ40は、ケーシング10の裏面に設けられた吸気口13を介して、ケーシング10内部の基板70上に設置される構造となっており、吸気口13を介してケーシング10の内部と外部とが連通されるものである。そのため、吸気口13の表面は、空気は通すが水は通さないフィルムによって被覆されることが好ましい。このようにすることで、正確に環境情報を計測しつつ、センサ40が雨水にさらされることやケーシング10内に雨水が浸入することを防止することができる。
【0039】
また、ケーシング10の裏面には、後述するアンテナ50を追設するためのリブ切り欠き部14tが設けられており、リブが設置されていない面を利用して、アンテナを設置することができる。
【0040】
[ガス検針ロボット1の内部構成]
次に、
図4〜
図6を用いて、本実施形態に係るガス検針ロボット1の内部構成について説明する。
図4は正面図を、
図5は平面図を、
図6は斜め下方から見た図を示す。
【0041】
本実施形態に係るガス検針ロボット1は、ケーシング10の内部に、センサ40、アンテナ50、電池60、基板70、制御部80、を備える。
【0042】
アンテナ50は、後述するガス自動検針システム100を構成するサーバ110とデータの送受信を行うために設けられており、本願発明における通信機器を構成するものである。アンテナ50が設けられていることにより、図示しない需要家、集中監視センター又はガス事業者等とサーバ110を介して、無線回線を利用したインターネット通信を行うことができ、ガス検針ロボット1が設置されている住戸のガス使用量や集中監視センターからの遮断弁の開閉指令等に関する信号のやりとりを迅速に行うことが可能となる。
【0043】
本実施形態においては、アンテナ50はケーシング10の内部に設置されているが、これに限ったものではなく、ケーシング10の表面に設置しても構わない。なお、アンテナを二か所に設ける必要がある場合等、追加のアンテナが必要になる場合には、上述の通り、ケーシング10の背面にリブ切り欠き部14tを設け、ケーシング10の背面に追加のアンテナを設置することができる。
また、
図7〜
図9に示されるように、棒状の一対のアンテナ90をケーシング10の外部に設けるようにしても良い。アンテナ90がケーシング10の外部に設けられることで、通信の感度を向上できる。
アンテナ90は、送受信されるデータを伝送するケーブル91を介して、ケーシング10の内部のアンテナ取付用のコネクタと連結される。アンテナ90を介して送受信される伝送されるデータは、ケーブル91を介してコネクタへと伝送される。
また、外部のアンテナ90と連結されるケーブル91は、ケーシング10の背面に形成される孔を介してケーシング10の背面側(下側((ガスメータに取り付けられた状態で下を向く側)))から内部に向かい、ケーシング10内部のコネクタと連結される。
【0044】
電池60はガス検針ロボット1自身を駆動させるための電力を供給するものであり、後述する基板70の基板切り欠き70tに設置される。
【0045】
そして、本実施形態に係るガス検針ロボット1は、自身を駆動するための電源として、電池60及び上述の太陽光発電パネル30を備える。太陽光発電パネル30が発電可能の際には、太陽光発電パネル30で発電した電力によって駆動のための電力をまかない、夜間や悪天候等の際には電池60によって電力をまかなう。
【0046】
このように、自身を駆動させるための電力供給源として、電池60だけでなく太陽光発電パネル30を有ることにより、従来よりも小型の電池で機器を構成することができる。そのため、ガス検針ロボット1の設置容積を削減することができ、これまで設置することが叶わなかった狭いスペースであってもガス検針ロボット1を設置することが可能となる。また、機器全体としての寿命が長くなり、電池交換等の作業コストを削減することができる。特に、ガスメータの検針を頻繁に行うと電池60の消耗が速くなるが、太陽光発電パネル30を備えることにより、電池60の消耗を抑えることができる。さらに、仮に電池60からの電力が供給不能になったとしても、太陽光発電パネル30による発電で、自身を駆動するための電力を供給することができるため、電池交換を促す信号や、現在の状況に関する情報をサーバを介して集中監視センターに送信することができ、保守の容易なシステムを構築することが可能となる。
【0047】
基板70は、センサ40、アンテナ50及び制御部80が設置される土台となるものである。
【0048】
基板70には、電池60が設置される部位に対応する位置に、基板70の一部を切除した基板切り欠き70tを設けられており、電池60は基板切り欠き70tにおいて基板70が配設される高さよりも立面視において低い位置に配設されている。つまり、ケーシング10内において電池60が設置される部位には基板70が配置されないようになっている。そのため、基板上に電池60を配設する場合と比して、電池60の設置高さを立面視において低くすることができ、その分、ケーシング10の厚みを低減することができる。したがって、これまで設置することが叶わなかった狭いスペースであっても設置することが可能となる。
なお、
図7、
図8、
図10に示されるように、基板70の下側が二本のビス71,72により固定され、基板切り欠き70tがケーシングの下面に形成されるコの字形状の嵌合部75に嵌合されるようにしても良い。嵌合部75に基板切り欠き70tが嵌合され、基板70に下側がビス71,72により固定されることによって、ビス71,72のみで基板70を、ケーシング10の下面に対して固定できる。
【0049】
制御部80は、ガスメータ及び外部機器との間の様々な信号の処理及びデータの記憶を行うものであり、基板70上に配設されている。
【0050】
制御部80を構成する端子や回路の種類としては、電池60や太陽光発電パネル30から電力の供給を受けるためのコネクタ、メンテナンスの際にPCとデータのやり取りをするケーブルを接続するインターフェース、ドアセンサ、人感センサ、亀裂センサなど外部と連携する際のケーブルを接続する端子、テストモードにしテスト電波を発信するためのスイッチ、各種データの記憶及び処理を行う回路部などが挙げられる。
【0051】
また、電力供給用のコネクタとして、一般家庭用のACアダプタからの電力供給を受けるためのコネクタを併せて設置するようにしてもよい。そして、電力供給を電池60を使用するかACアダプタからの電力供給を受けることによって行うか選択するようにしてもよい。
【0052】
なお、制御部80に記憶されるデータとしては、ガス検針ロボット1のID、電力供給が電池またはACアダプタのいずれかを示すデータ、などが挙げられる。なお、制御部80に顧客ID、取付位置の緯度経度がさらに記憶されるようにしても良い。
【0053】
このようなデータは、ガス検針ロボット1の制御部80に記憶されるとともに、集中監視センターのサーバや、クラウドのサーバ、センターのサーバにも記憶される。サーバの種別は特に限定はされず、想定されるあらゆる種類のサーバが含まれる。
【0054】
集中監視センターのサーバには、各所に設置されるガス検針ロボット1に記憶される上記データがデータベースとして記憶されるとともに、各ガス検針ロボット1のセンサ40で計測される温度、湿度、気圧が計測日時とともにガス検針ロボット1のIDに紐づけて記憶されデータベース化される。
【0055】
なお、顧客IDについては、ガス事業者が顧客データベースを持つことで管理するようにしてもよい。また、顧客情報漏えい防止の観点から、顧客データベースはクラウド上では管理しない構成にしても良い。
【0056】
本実施形態に係るガス検針ロボット1は、以上のように構成されているため、ガスメータからの通知を、アンテナ50を介してサーバ110に通知し、当該サーバ110を介して需要家のスマートフォン等の携帯端末や、家庭に設置されるモニタに通知することができ、ガスの遮断を未然に防止する。すなわち、ガスメータが送信する、ガス遮断警告をスマートフォン等に通知することで、ガスの使用を一度やめてもらう事で、ガスの遮断を未然に防止する事が可能になる。そして、ガス事業者は需要家からの問い合わせや出動の依頼を現象させることができ、人員の削減にも寄与できる。
【0057】
また、サーバ110は、本実施形態に係るガス検針ロボット1から送信されるガスメータの検針データを元にガス料金の請求金額を計算し需要家のスマートフォン等の携帯端末や、家庭に設置されるモニタに通知する。
【0058】
さらに、ガスメータからのセキュリティデータ発呼の場合に、アンテナ50からサーバ110を介してガス事業者と通信を行い、ガス事業者に設置している回転警告灯や点滅警告灯等の警告灯を作動させるようにしてもよい。このような警告灯は、警告灯、無線通信モジュール及びマイコンによって構成されるため、PCを必要とせずに警告灯を鳴らすことができる。
【0059】
なお、本実施形態に係るガス検針ロボット1は、単独で集中監視センターのサーバ等、外部機器との通信が可能であるが、別の実施形態として、外部機器との通信を家庭内に設けたゲートウェイに行わせ、ガス検針ロボット1は家庭内のゲートウェイとの間で通信を行うように構成してもよい。このような場合、ガス検針ロボット1は、ガスメータ近傍に設置するだけでなく、風呂場や玄関先の人感センサやインターホン等にも設置するようにしてもよい。このように構成することで、単なるガス使用量だけでなく、家庭全般を見守るシステムとして構築することが可能となる。
また、集中監視センターには限定されず、本実施の形態の集中監視センターは、クラウドのサーバや、センターのサーバ等の様々な形態のサーバを全て含むものである。
【0060】
[ガス検針ロボット1を使用したガス自動検針システム100]
次に、本実施形態に係るガス検針ロボット1を使用したガス自動検針システム100について、
図11を参照しながら説明する。
【0061】
従来のガス集中監視システムにおいては、需要家の事業所や自宅にNCU(Network Control Unit;伝送装置)を設置し、NCUを介して電話回線あるいは無線でガスメータの情報を集中監視センターへ送信するという構成であった。
【0062】
そして、ガスの異常と判断されると、集中監視センターが需要家に電話で確認をし、必要に応じてスタッフを派遣するという形態であった。
【0063】
ここで、ガスの異常の判断は、NCUから定期的に送信されるガスメータの情報であるガスの使用量を元に判断されるものであるため、その判断を行うためのスタッフが集中監視センターに常駐する必要があり、人的コストが過大となるという問題があった。
なお、ガスの異常の判断は、NCUから定期的に送信されるガスメータの情報であるガスの残量を元に判断されるようにしても良い。
また、ガスメータがNCUに通知したデータは、集中監視センターにて確認されることで、ガスの異常の判断が行われる。
【0064】
また、ガス供給インフラにまつわる課題として、人手不足によるガス検針業務の負担が増大していること、及び、ガスボンベの配送負担が増大している。さらに、集中監視システム導入のランニングコストが高く、小規模事業者が参入することが困難であることが挙げられ、また、ガスボンベを使用するLPガスの利用者には高齢者が比較的多く、ガスの使用状況を逐一把握することを通じて高齢者の見守りを行いたいという要望があった。
【0065】
以上のような課題を鑑み、本発明では、人手を介さず直接的にガスの監視を行うことができるガス自動検針システムを提供することを第二の目的とする。
【0066】
本発明におけるガス自動検針システム100においては、上記ガス検針ロボット1を用いて構成されるものであり、具体的には下記のように構成される。
【0067】
本発明におけるガス自動検針システム100は、各需要家に設置されるガス検針ロボット1と、サーバ110と、ガス事業者に設置される回転警告灯や点滅警告灯等の警告灯120と、需要家が所有する通信可能なデバイス130によって構成される。上述した本願発明におけるガス検針ロボット1が、各需要家に既に設置されているガスメータに設置されている。
【0068】
各ガスメータは、自らの異常を検知した場合に、自身に設置されたガス検針ロボット1に異常があったことを通知する。ガス検針ロボット1は、ガスメータから異常があったことが通知されると、異常があったことをサーバ110に通報する手段を有する。
【0069】
サーバ110は、ガス検針ロボット1からの通報を受け、需要家が所有するデバイス130に対し、ガスメータに異常が発生したことを通報する手段を有する。なお、サーバ110が、外部機器の一例であるデバイス130に対し、メールでガスメータに異常が発生したことを通報するようにしても良い。
また、サーバ110は、外部機器の一例である需要家のスマートフォン等の携帯端末や、家庭に設置されるモニタにガスメータに異常が発生したことを通報する。
【0070】
需要家が所有するデバイス130に対する通報は、外部機器の一例である需要家が所有するスマートフォン等の携帯端末にインストールされた専用アプリへの通報、需要家が所有するスマートフォン等の携帯端末へのメールによる通知、需要家が所有するスマートフォン等の携帯端末へのSNS(Social Networking Service)を介した通知、または、需要家の自宅や事業所に設置されるスピーカへの通報によって行う。
【0071】
また、サーバ110は、需要家へ通報する手段を有するとともに、当該需要家にガス事業者・保安事業者・販売事業者への通報も行う手段を有する。その際、ガス事業者に設置される警告灯120に通報を行うようにする。ガス事業者に設置される警告灯120は、警告灯本体121、無線通信モジュール122、及び、マイコン123より構成される。すなわち、ガス事業者に設置される無線通信モジュール122がサーバ110からの通報を受け、マイコン123が信号処理を行い、その通報の出どころとなった需要家の特定や発生時刻等の特定を行うとともに、警告灯本体121を作動してガス事業者のスタッフに通知を行う。
【0072】
そして、ガス事業者のスタッフは、サーバ110からの通報を受け付けると、需要家に電話で確認を行い、必要に応じて需要家へスタッフを派遣する。
【0073】
以上のように構成することで、24時間体制でスタッフを待機させる集中監視センターを介することなくガスの監視を自動で行うことが可能となり、人的コストを大幅に削減することができるとともに、単なるガスの監視だけでなく高齢者の見守り機能をも有するガス自動検針システム100を提供することが可能となる。例えば、サーバ110は、ガスの使用を所定期間(例えば1日)以上確認できなかった場合に、需要家に異常が発生したいと判定する。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0075】
また、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換しても良い。
【解決手段】本発明のガス検針ロボット1は、既設のガスメータと通信可能に接続され、無線通信を使用して外部機器と通信を行う通信機器を備えたガス検針ロボットであって、ガスメータとの間でガス指針値に関するデータの通信を行う通信線が接続される端子と、外部機器とデータの送受信を行う通信機器と、ガスメータ及び外部機器との間の信号の処理及びデータの記憶を行う制御部と、ガス検針ロボットを駆動する電池と、制御部及び電池を内部に収納し、アンテナ及び端子を内部又は表面に設置するケーシングとを備え、ケーシング表面に太陽光発電パネルを備え、電池及び太陽光発電パネルは自身が駆動するための電力を供給する。