特許第6541154号(P6541154)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6541154車載機器及び該車載機器における走行軌跡の表示方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6541154
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】車載機器及び該車載機器における走行軌跡の表示方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20190628BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   G01C21/36
   G09B29/10 A
【請求項の数】12
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-236247(P2015-236247)
(22)【出願日】2015年12月3日
(65)【公開番号】特開2017-102041(P2017-102041A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大河内 優
【審査官】 白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−365064(JP,A)
【文献】 特開昭61−215922(JP,A)
【文献】 特開2007−010545(JP,A)
【文献】 特開平06−004023(JP,A)
【文献】 特開2011−191289(JP,A)
【文献】 特開2011−145114(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0332063(US,A1)
【文献】 特開2004−286496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/36
G09B 29/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行軌跡を、検出した前記車両の位置情報に基づいて表示部の画面上の走行経路に所定標識により表示する車載機器であって、
前記表示部に表示する前記走行軌跡が、既に表示された既存走行軌跡と交差する時に、前記交差が、前記走行軌跡の走行経路と前記既存走行軌跡の走行経路との立体交差であるか否かを判定する交差判定手段と、
該交差判定手段により前記交差が立体交差と判定されたときに、前記立体交差における所定範囲の前記走行軌跡及び前記既存走行軌跡の少なくとも一方を前記所定標識とは相違する交差位置標識で表示する走行軌跡制御手段と、を有する車載機器。
【請求項2】
前記交差判定手段により前記交差が立体交差と判定されたときに、前記立体交差における前記走行軌跡の走行経路が前記既存走行軌跡の走行経路より低い位置となるか又は高い位置となるかを判定する高低差判定手段を更に有し、
前記走行軌跡表示制御手段は、前記高低差判定手段により前記走行軌跡の走行経路が低い位置と判定された場合、前記立体交差における所定範囲の走行軌跡を前記交差位置標識で表示し、前記走行軌跡の走行経路が高い位置と判定された場合、前記立体交差における所定範囲の既存走行軌跡を前記交差位置標識で表示する請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記交差判定手段は、前記交差する位置の走行経路の道路情報に基づいて前記交差が前記走行経路の立体交差であるか否かを判定する請求項1又は2に記載の車載機器。
【請求項4】
前記高低差定手段は、前記立体交差における検出した前記車両の位置情報に基づいて、前記立体交差における前記走行軌跡の走行経路が前記既存走行軌跡の走行経路より低い位置となるか又は高い位置となるかを判定する請求項2又は3に記載の車載機器。
【請求項5】
前記走行軌跡表示制御手段は、前記交差位置標識として、前記交差する部分を透過表示にすると共に、前記交差する部分の前後の所定範囲について前記所定標識を縮小表示した縮小標識で表示する請求項1乃至4のいずれかに記載の車載機器。
【請求項6】
前記走行軌跡表示制御手段は、前記交差位置標識として、前記交差する部分を透過表示にすると共に、前記交差する部分の前後の所定範囲について前記所定標識と異なる着色の異着色標識で表示する請求項1乃至4のいずれかに記載の車載機器。
【請求項7】
車両の走行軌跡を、検出した前記車両の位置情報に基づいて表示部の画面上の走行経路に所定標識により表示する車載機器における走行軌跡の表示方法であって、
前記表示部に表示する前記走行軌跡が、既に表示された既存走行軌跡と交差する時に、前記交差が、前記走行軌跡の走行経路と前記既存走行軌跡の走行経路との立体交差であるか否かを判定する交差判定ステップと、
該交差判定ステップにより前記交差が立体交差と判定されたときに、前記立体交差における所定範囲の前記走行軌跡及び前記既存走行軌跡の少なくとも一方を前記所定標識とは相違する交差位置標識で表示する走行軌跡制御ステップと、を有する走行軌跡の表示方法。
【請求項8】
前記交差判定ステップにより前記交差が立体交差と判定されたときに、前記立体交差における前記走行軌跡の走行経路が前記既存走行軌跡の走行経路より低い位置となるか又は高い位置となるかを判定する高低差判定ステップを更に有し、
前記走行軌跡表示制御ステップは、前記高低差判定ステップにより前記走行軌跡の走行経路が低い位置と判定された場合、前記立体交差における所定範囲の走行軌跡を前記交差位置標識で表示し、前記走行軌跡の走行経路が高い位置と判定された場合、前記立体交差における所定範囲の既存走行軌跡を前記交差位置標識で表示する請求項7に記載の走行軌跡の表示方法。
【請求項9】
前記交差判定ステップは、前記交差する位置の走行経路の道路情報に基づいて前記交差が前記走行経路の立体交差であるか否かを判定する請求項7又は8に記載の走行軌跡の表示方法。
【請求項10】
前記高低差定ステップは、前記立体交差における検出した前記車両の位置情報に基づいて、前記立体交差における前記走行軌跡の走行経路が前記既存走行軌跡の走行経路より低い位置となるか又は高い位置となるかを判定する請求項8又は9のいずれかに記載の走行軌跡の表示方法。
【請求項11】
前記走行軌跡表示制御ステップは、前記交差位置標識として、前記交差する部分を透過表示にすると共に、前記交差する部分の前後の所定範囲について前記所定標識を縮小表示した縮小標識で表示する請求項7乃至10のいずれかに記載の走行軌跡の表示方法。
【請求項12】
前記走行軌跡表示制御ステップは、前記相交差位置標識として、前記交差する部分を透過表示にすると共に、前記交差する部分の前後の所定範囲について前記所定標識と異なる着色の異着色標識で表示する請求項7乃至10のいずれかに記載の走行軌跡の表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行軌跡を、検出した前記車両の位置情報に基づいて表示部の画面上の走行経路に所定標識により表示する車載機器及び該車載機器における走行軌跡の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
目的地までの経路を案内表示するナビゲーション装置等の車載機器では、運転者等の便宜を図るべく走行軌跡の表示機能が設けられている。走行軌跡の表示機能を作動(ON)させると、走行経路の道路地図を表示する表示画面に走行軌跡を表す所定標識(所定の記号等の表示)が所定間隔(例えば、実際の距離にして10m〜20m毎)で表示されるので、走行した経路の確認、又は到着地からの帰路の案内等に利用することができる(特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1に記載のナビゲーション装置は、走行軌跡を所定時間経過毎に異なる表示(形状、色彩等について)としているので、例えば、当日の走行軌跡と昨日の走行軌跡を区別することがで、走行軌跡表示を利用して当日の出発点への帰路案内に利用することが容易となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−97963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように特許文献1に記載のナビゲーション装置では、走行軌跡を所定経過時間毎に異なる表示とすることで、運転者等の利用の向上を図ることができるが、走行軌跡は所定間隔毎の所定標識による表示であるため、例えば走行経路を表示する車載機器(不図示)の表示画像101を示す図8中の走行軌跡106の交差P、R、T(鎖線で示す)では、これらが平面交差、立体交差の何れであるか判別することができない。目的地の学校103に到着した車両の現在位置105における走行軌跡106を帰路の経路の案内に利用する場合、当該交差での右左折が可能であるか否かの判断が困難となり、走行軌跡の利用を図ることができない。また、目的地到着後に表示された走行軌跡を基にした走行経路の確認を十分に行うことができない。
【0006】
本発明は、車両の走行軌跡が交じり合う交差において、立体交差と平面交差の区別が容易にできる走行軌跡の表示を行う走行軌跡表示方法及び車載機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る車載機器は、車両の走行軌跡を、検出した前記車両の位置情報に基づいて表示部の画面上の走行経路に所定標識により表示する車載機器であって、前記表示部に表示する前記走行軌跡が、既に表示された既存走行軌跡と交差する時に、前記交差が、前記走行軌跡の走行経路と前記既存走行軌跡の走行経路との立体交差であるか否かを判定する交差判定手段と、該交差判定手段により前記交差が立体交差と判定されたときに、前記立体交差における所定範囲の前記走行軌跡及び前記既存走行軌跡の少なくとも一方を前記所定標識とは相違する交差位置標識で表示する走行軌跡制御手段と、を有する構成である。
【0008】
このような構成によれば、表示する走行軌跡が既存走行軌跡と交差する時に、前記交差が立体交差と判定されたときに、前記立体交差における所定範囲の前記走行軌跡及び前記既存走行軌跡の少なくとも一方を前記所定標識とは相違する交差位置標識で表示するので、走行軌跡が交差したときに、立体交差であるか否かを容易に区別することができ、走行軌跡を有効に利用することが可能となる。なお、立体交差でないと判定されたときは、走行軌跡の両方とも交差を含む走行軌跡は所定標識で表示されるので、運転者等はそのまま平面交差と判断することができる。
【0009】
上記交差位置標識としては、例えば所定標識の大きさを変更した標識、所定標識の着色を変更した標識を交差位置標識としても良い。立体交差のうち高い位置にある走行経路の所定範囲の走行軌跡を所定標識を大きくした交差位置標識で表示し、低い位置にある走行経路の所定範囲の走行軌跡のうち、交差部分を透過表示にし、その他の部分(交差を除く交差の前後所定範囲)を所定標識を小さくした交差位置標識で表示しても良い。また、高い位置にある走行経路の走行軌跡のみを交差位置標識で表示し、或いは低い位置にある走行経路の走行軌跡のみを交差位置標識で表示しても良い。
【0010】
本発明に係る車載機器において、前記交差判定手段により前記交差が立体交差と判定されたときに、前記立体交差における前記走行軌跡の走行経路が前記既存走行軌跡の走行経路より低い位置となるか又は高い位置となるかを判定する高低差判定手段を更に有し、前記走行軌跡表示制御手段は、前記高低差判定手段により前記走行軌跡の走行経路が低い位置と判定された場合、前記立体交差における所定範囲の走行軌跡を前記交差位置標識で表示し、前記走行軌跡の走行経路が高い位置と判定された場合、前記立体交差における所定範囲の既存走行軌跡を前記交差位置標識で表示する構成とすることができる。
【0011】
このような構成によれば、走行軌跡が交差し、かつ当該交差が立体交差であるときに、立体交差における走行経路の低い位置にある方の走行軌跡を所定標識とは相違する交差位置標識で表示するので、交差する走行軌跡から立体交差で何れか低い位置の走行経路であるかが容易に区別することができる。
【0012】
本発明に係る車載機器において、前記交差判定手段は、前記交差する位置の走行経路の道路情報に基づいて前記交差が前記走行経路の立体交差であるか否かを判定する構成とすることができる。
【0013】
このような構成によれば、道路情報を利用することで、平面交差と立体交差の区別ができる。例えば、道路情報において、平面交差のときは交差するリンク同士が共通のノードを有し、立体交差では上記リンク同士で共通のノードを有しないからである。
【0014】
本発明に係る車載機器において、前記高低差定手段は、前記立体交差における検出した前記車両の位置情報に基づいて、前記立体交差における前記走行軌跡の走行経路が前記既存走行軌跡の走行経路より低い位置となるか又は高い位置となるかを判定する構成とすることができる。
【0015】
このような構成によれば、検出した車両の位置情報により、立体交差における車両位置の高さの相違を検出することができるので、前記立体交差における前記走行軌跡の走行経路が前記既存走行軌跡の走行経路より低い位置となるか否かを判定することができる。
【0016】
本発明に係る車載機器において、前記走行軌跡表示制御手段は、前記交差位置標識として、前記交差する部分を透過表示にすると共に、前記交差する部分の前後の所定範囲について前記所定標識を縮小表示した縮小標識で表示する構成とすることができる。
【0017】
このような構成によれば、交差位置標識として、前記交差する部分を透過表示にすると共に、前記交差する部分の前後の所定範囲を前記所定標識を縮小表示した縮小標識で表示するので、簡便かつ容易に認識する表示とすることができる。
【0018】
本発明に係る車載機器において、前記走行軌跡表示制御手段は、前記交差位置標識として、前記交差する部分を透過表示にすると共に、前記交差する部分の前後の所定範囲について前記所定標識と異なる着色の異着色標識で表示する構成とすることができる。
【0019】
このような構成によれば、交差位置標識として、前記交差する部分を透過表示にすると共に、前記交差する部分の前後の所定範囲を前記所定標識と異なる着色の異着色標識で表示することで、上述同様に、簡便かつ容易に認識する表示とすることができる。
【0020】
また、本発明に係る走行軌跡の表示方法は、車両の走行軌跡を、検出した前記車両の位置情報に基づいて表示部の画面上の走行経路に所定標識により表示する車載機器における走行軌跡の表示方法であって、前記表示部に表示する前記走行軌跡が、既に表示された既存走行軌跡と交差する時に、前記交差が、前記走行軌跡の走行経路と前記既存走行軌跡の走行経路との立体交差であるか否かを判定する交差判定ステップと、該交差判定ステップにより前記交差が立体交差と判定されたときに、前記立体交差における所定範囲の前記走行軌跡及び前記既存走行軌跡の少なくとも一方を前記所定標識とは相違する交差位置標識で表示する走行軌跡制御ステップと、を有する構成である。
【0021】
本発明に係る走行軌跡の表示方法において、前記交差判定ステップにより前記交差が立体交差と判定されたときに、前記立体交差における前記走行軌跡の走行経路が前記既存走行軌跡の走行経路より低い位置となるか又は高い位置となるかを判定する高低差判定ステップを更に有し、前記走行軌跡表示制御ステップは、前記高低差判定ステップにより前記走行軌跡の走行経路が低い位置と判定された場合、前記立体交差における所定範囲の走行軌跡を前記交差位置標識で表示し、前記走行軌跡の走行経路が高い位置と判定された場合、前記立体交差における所定範囲の既存走行軌跡を前記交差位置標識で表示する構成とすることができる。
【0022】
本発明に係る走行軌跡の表示方法において、前記交差判定ステップは、前記交差する位置の走行経路の道路情報に基づいて前記交差が前記走行経路の立体交差であるか否かを判定する構成とすることができる。
【0023】
本発明に係る走行軌跡の表示方法において、前記高低差定ステップは、前記立体交差における検出した前記車両の位置情報に基づいて、前記立体交差における前記走行軌跡の走行経路が前記既存走行軌跡の走行経路より低い位置となるか又は高い位置となるかを判定する構成とすることができる。
【0024】
本発明に係る走行軌跡の表示方法において、前記走行軌跡表示制御ステップは、前記交差位置標識として、前記交差する部分を透過表示にすると共に、前記交差する部分の前後の所定範囲について前記所定標識を縮小表示した縮小標識で表示する構成とすることができる。
【0025】
本発明に係る走行軌跡の表示方法において、前記走行軌跡表示制御ステップは、前記交差位置標識として、前記交差する部分を透過表示にすると共に、前記交差する部分の前後の所定範囲について前記所定標識と異なる着色の異着色標識で表示する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、表示された走行軌跡が交じり合う交差において、立体交差と平面交差の区別が容易にできる走行軌跡の表示方法及び車載機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る車載機器のブロック構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る車載機器の処理ユニットによる処理手順を示すフローチャートである。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る車載機器の表示部における走行軌跡の概略表示画面図である。
図4図4は、図3に示す交差Bの具体的な道路状況を示す拡大概略図である。
図5A図5Aは、図3に示す交差Bにおける走行軌跡の表示手順の一例を示す表示画面図である(その1)。
図5B図5Bは、図5Aの表示手順の続きを示す表示画面図である(その2)。
図6A図6Aは、図3に示す交差Bにおける走行軌跡の表示手順の他の例を示す表示画面図である(その1)。
図6B図6Bは、図6Aの表示手順の続きを示す表示画面図である(その2)。
図7図7は、本発明の実施の形態に係る車載機器の表示部における他の走行軌跡の概略表示画面図である。
図8図8は、従来の車載機器の表示部における走行軌跡の概略表示画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0029】
本発明の実施の形態に係る車載機器11を構成するブロック図を図1に示す。
【0030】
図1において、車載機器11は、コンピュータユニット(例えば、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース及びバス等)によって構成される処理ユニット12を有する。処理ユニット12には、各種音源及び映像源(例えば、CD及びDVD)の再生処理が可能なAVユニット15及び自車両のナビゲーションが可能なナビゲーションユニット17(GPS受信機器、ジャイロセンサ、加速度センサ等)が接続されている。また、処理ユニット12にはスピーカ18と接続される出力回路19が接続されている。これによって、AVユニット15及びナビゲーションユニット17による処理に係る音声信号を出力回路19を介してスピーカ18から出力可能となっている。加えて、処理ユニット12には、AVユニット15及びナビゲーションユニット17において利用する楽曲情報及び地図情報等の各種情報を記憶可能な記憶部20(例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等)と、LCD等によって構成される各種処理に伴う映像等を表示する表示部21と、表示部21上にタッチパネル形式にて形成される各種処理に必要な指示が入力可能な操作部23とが接続されている。なお、操作部23は、上記タッチパネル形式のソフトキーに替えて、押し釦形式のハードキーとすることができる。また、タッチパネル形式及び押し釦形式等の双方を使用することもできる。
【0031】
上記した車載機器11では、例えば、図2に示すような手順で処理(走行軌跡の表示等)がなされる。
【0032】
図2において、車載機器11の処理ユニット12は、例えば、表示部21の画面上に表示された走行軌跡表示アイコン(又は所定操作釦)へのタッチ操作(走行軌跡表示ON)があったとき(S11)、記憶部20に記憶された走行する車両の検出位置情報に基づいて走行軌跡を表示部21の走行経路に表示する。走行軌跡として、具体的には、走行経路に所定間隔(例えば、実際の距離10mに相当する間隔)毎に所定標識(円形輪郭標識32、図3参照)を表示することによる。
【0033】
表示部21の画面上に表示される走行経路地図の表示画像25を示す図3において、走行する車両(不図示)の現在地及び進行方向(矢印方向)を示す現在位置表示31の後方に、所定間隔で設けた複数個の所定標識(円形輪郭標識32、以下適宜「円形標識32」という。)から成る走行軌跡33が表示されている。走行軌跡33は、ナビゲーションユニット17により検出され、記憶部20に記憶された走行する車両の検出位置情報に基づいて、所定間隔毎に所定標識である円形標識32で表示される。
【0034】
処理ユニット12は、走行軌跡33を表示するときに、表示部21の画面に新たに表示する走行軌跡33aが既存走行軌跡33bと交差表示となるか否かを判定する(S12:交差判定手段)。交差表示となるか否かは、走行軌跡33aが既存走行軌跡33bと共通する部分の有無で判定することができる(共通する所定標識の有無)。処理ユニット12は、交差表示となると判定したときは(S12のYES)、更に交差が走行経路の立体交差であるか否かの判断を行う(S13:交差判定手段)。走行軌跡33の表示の際は、車両の走行に伴って新たに表示する走行軌跡33aが既存走行軌跡33bと交差表示となる場合があるが、当該交差表示が走行経路の平面交差によるものか、立体交差(図4参照)によるものかについて、従来の走行軌跡の表示では区別することができなかった。そのため、走行軌跡を案内として帰路を辿る際に、交差点で左折等により進路変更を予定するが、当該交差点が平面交差でなく、図4図3に示すB部の走行経路の拡大概略図)に示すような立体交差のため、左折等ができないといった事態を招いており、走行軌跡表示の有効利用を図ることができなかった。本実施形態において、処理ユニット12は、走行する道路の道路情報(例えば、記憶部20に記憶された道路情報)に基づいて、交差する走行経路が立体交差であるか否かを判定することができる。例えば、画面上の走行軌跡の交差において、共通のノードを有するときは平面交差、共通のノードを有しないときは立体交差と判定することができる。なお、車両の位置情報は高さ方向の位置情報も含むので、検出された車両の位置情報から立体交差であるか否かの判定を行うこともできる。
【0035】
処理ユニット12は、交差が走行経路の立体交差によるものと判定したときは(S13のYES)、立体交差において新たに表示する走行軌跡33aの走行経路が既存走行軌跡33bの走行経路より高い位置にあるか又は低い位置にあるかを判定する(S14:高低差判定手段)。立体交差における走行経路同士の高低差は、上述した記憶部20に記憶された道路情報による他、検出された立体交差における車両の位置情報(高さ方向の位置情報を含む)により判定することができる。
【0036】
処理ユニット12は、立体交差において、新たに表示する走行軌跡33aの走行経路が
既存走行軌跡33bの走行経路より高い位置にあると判定したときは(S14のYES)、高い位置の走行経路の走行軌跡33aを交差する位置を含めて通常の走行軌跡の所定標識である、円形標識32で所定間隔毎に表示する(S15:走行軌跡表示制御手段)。そして、通常の走行軌跡の所定標識である、円形標識32で表示されている、低い位置の走行経路の既存走行軌跡33bを、交差位置標識に表示変更する。交差位置標識による表示とは、交差する部分を透過表示とすると共に交差部分の前後の所定範囲を円形標識32より小さな径の円形標識34で表示することである(S16:走行軌跡表示制御手段)。これにより、表示画面25に表示される交差A及び交差Bが立体交差であり、交差Cが平面交差であることの区別が可能となる。また、立体交差である交差A及び交差Bで交わる走行経路について、交差する走行経路の高低の区別も容易にできる。
【0037】
図3の交差Bを拡大した図5A及び図5Bを参照して、上述した交差Bにおける走行軌跡33(33a、33b)の表示手順をそれぞれ説明する。図5A及び図5Bは交差Bの低い位置の走行経路を既存走行軌跡33bとしている(図4参照)。図5Aにおいて、交差Bに向けて走行する車両の現在位置表示31の後方には新たな走行軌跡33aが表示され、交差Bには既存走行軌跡33bが表示されている。立体交差となる交差Bの走行経路を表す図4より、図5Aに示す走行軌跡33aの走行経路は、既存走行軌跡33bの走行経路より高い位置となるから、図5Bに示すように、車両の現在位置表示31が交差Bを通過した後の走行軌跡33aは、通常の走行軌跡を表示する所定標識である、円形標識32で表示される。交差Bにおける走行経路が低い位置となる既存走行軌跡33bは、交差位置標識(交差Bを透過表示にすると共に交差Bの前後所定範囲をより小さな径の円形標識34で表示)に表示変更される。なお、円形標識34が表示される範囲は、例えば交差の前後を含む30〜40mの範囲となるが、設定により変更することができる。
【0038】
図2において、処理ユニット12は、立体交差において、新たに表示する走行軌跡33aの走行経路が既存走行軌跡33bの走行経路より高い位置にない、即ち低い位置であると判定したときは(S14のNO)、低い位置の走行経路の走行軌跡33aについて、交差位置標識(交差Bを透過表示とすると共に、交差Bの前後所定範囲を通常の走行軌跡を表示する所定標識である円形標識32より小さい径の円形標識34)で表示する(S16:走行軌跡表示制御手段)。このとき、通常の走行軌跡を表示する所定標識(円形標識32)で表示されている、既存走行軌跡33bは高い位置の走行経路であることから、そのまま円形標識32での表示が維持される。
【0039】
図3の交差Bを拡大した図6A及び図6Bを参照して、上述した交差Bにおける走行軌跡33(33a、33b)の表示手順を説明する。図6A及び図6Bは交差Bの高い位置の走行経路を既存走行軌跡としたものである(図4参照)。図6Aにおいて、交差Bに向けて走行する車両の現在位置表示31の後方には新たな走行軌跡33aが表示され、交差Bには既存走行軌跡33bが表示されている。立体交差となる交差Bの走行経路を表す図4より、図6Aに示す走行軌跡33aの走行経路は、既存走行軌跡33bの走行経路より低い位置となるから、図6Bに示すように、車両の現在位置表示31が交差Bを通過した後の走行軌跡33aは、交差位置標識(交差Bを透過表示とすると共に交差Bの前後所定範囲を円形標識32より小さな径の円形標識34で表示)で表示される。高い位置の走行経路である既存走行軌跡33bは、通常の走行軌跡を表示する所定標識(円形標識32)の表示が維持される。
【0040】
図2において、処理ユニット12は、表示部21の画面に新たに表示する走行軌跡33aが既存走行軌跡33bと交差表示とならないときには(S12のNO)、通常の所定標識である円形標識32で走行軌跡33aを表示する。また、走行軌跡33aが既存走行軌跡33bと交差しても(S12のYES)、当該交差が立体交差とならないと判定(平面交差と判定)されたときは(S13のNO)、上記同様に、通常の所定標識である円形標識32で走行軌跡33aを表示する。
【0041】
処理ユニット12は、走行軌跡表示機能が解除されたか否かを判定し(S18)、解除されたと判定したときは(S18のYES)、走行軌跡表示を解除する。また、走行軌跡表示が解除されておらず、維持されていると判定したときは(S18のNO)、新たに表示する走行軌跡33aが既存走行軌跡33bと交差するか否かの判定し、交差が立体交差となるときに、上述した手順により走行軌跡を表示する(S12〜S16)。
【0042】
図3に示すように、表示部21の表示画面25に表示される走行軌跡33が交差するときに、交差A及び交差Bについて、交差における高い位置にある走行経路の走行軌跡33を通常の所定標識である円形標識32で表示し、低い位置にある走行経路の走行軌跡を交差位置標識(交差を透過表示、交差の前後所定範囲を円形標識32より小さな径の円形標識34で表示)で表示するので、交差A及び交差Bが立体交差で走行経路の高低も容易に区別することができる。このような走行軌跡の表示により運転者等は、走行軌跡を利用して帰路の案内等が可能となる。
【0043】
上記の実施形態では、立体交差における高い位置の走行経路の走行軌跡を通常の所定標識である円形標識32で表示し、低い位置の走行経路の走行軌跡を交差位置標識、すなわち小さい径の円形標識34(交差部分を透過表示)で表示しているが、図7に示すように、低い位置の走行経路の走行軌跡を通常の所定標識(円形標識32)と着色の異なる異着色標識39(図7中破線で示す)で表示することも可能である。着色が異なることで、運転者等は容易に交差が立体交差であること、及び走行経路の高低を容易に区別することができる。また、上記実施形態では、低い位置にある走行経路の走行軌跡について、交差部分を透過表示としているが、透過率を変えた表示としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上、説明したように、本発明よれば、表示された走行軌跡が交じり合う交差において、立体交差と平面交差の区別が容易にできる走行軌跡の表示方法及び車載機器を提供することができるという効果を奏し、車両の走行軌跡を、検出した前記車両の位置情報に基づいて表示部の画面上の走行経路に所定標識により表示する車載機器及び該車載機器における走行軌跡の表示方法として有用である。
【符号の説明】
【0045】
11 車載機器
12 処理ユニット
15 AVユニット
17 ナビゲーションユニット
18 スピーカ
19 出力回路
20 記憶部
21 表示部
23 操作部
25 表示画面
31 現在位置表示
32 円形標識
33 走行軌跡
33a 走行軌跡(新たに表示する走行軌跡)
33b 既存走行軌跡
34 円形標識(小さい径)
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8