特許第6541209号(P6541209)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6541209
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】ロータリースクリーン印刷機
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/40 20060101AFI20190628BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   B41F15/40 D
   B41F15/08 302D
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-216231(P2014-216231)
(22)【出願日】2014年10月23日
(65)【公開番号】特開2016-83788(P2016-83788A)
(43)【公開日】2016年5月19日
【審査請求日】2017年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000184735
【氏名又は名称】株式会社小森コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】阪田 啓久
【審査官】 村石 桂一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2007−530324(JP,A)
【文献】 特開2005−219509(JP,A)
【文献】 特開2000−117934(JP,A)
【文献】 特開2009−160938(JP,A)
【文献】 特開平05−221109(JP,A)
【文献】 米国特許第4509454(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F15/00−15/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを保持して搬送する圧胴と、
スクリーン版を円筒状に形成してなるスクリーン胴と、
前記スクリーン胴の内部に保持されたスキージと、
前記スクリーン胴を揺動自在に保持するスクリーン胴装置を介して、前記スクリーン胴を前記圧胴に対して接触離反移動させるスクリーン胴着脱モータと、
前記スキージを揺動自在に保持するスキージ装置を介して、前記スキージを前記スクリーン版の内周面に対して接触離反移動させるスキージ着脱モータと
を備えるロータリースクリーン印刷機において、
前記スクリーン胴の位置を検知するスクリーン胴位置検知器と、
前記スキージの位置を検知するスキージ位置検知器と、
前記スクリーン胴位置検知器により検知した前記スクリーン胴の位置及び前記スキージ位置検知器により検知した前記スキージの位置に基づいて、前記スクリーン胴が前記圧胴に接触しているとき以外は前記スキージが前記スクリーン版に接触することを回避するように前記スクリーン胴着脱モータ及び前記スキージ着脱モータを制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置が、前記スクリーン胴と前記圧胴の一枚目のシートを保持するくわえ装置が設けられた切欠き部とが対向している間に、前記スクリーン胴の前記圧胴に対する着動作及び前記スキージの前記スクリーン版に対する着動作が完了している、且つ、前記スクリーン胴と前記圧胴の最後のシートを保持するくわえ装置の次のくわえ装置が設けられた切欠き部とが対向している間に、前記スキージの前記スクリーン版に対する脱動作及び前記スクリーン胴の前記圧胴に対する脱動作が開始されているように前記スクリーン胴着脱モータ及び前記スキージ着脱モータを同時に駆動制御する
ことを特徴とするロータリースクリーン印刷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート又はウェブに対して円筒状に形成されたスクリーン版の孔からインキやニス等の液体をスキージにより供給し、印刷やコーティング等を行うロータリースクリーン印刷機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ロータリースクリーン印刷が可能な印刷機として、スクリーン印刷だけでなくオフセット印刷、凹版印刷も同時に行うことができる印刷機が開示されている(下記特許文献1参照)。また、スクリーン版を円筒状にしたスクリーン胴及びスキージの着脱構成についても開示されている(下記特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−100819号公報
【特許文献2】特許第5337358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、スクリーン版は薄く、スクリーン胴が圧胴に接触していない状態でスキージがスクリーン版に接触すると、スクリーン版が破損してしまうおそれがある。
【0005】
そのため、上述したような従来のロータリースクリーン印刷機では、印刷開始時、シートが搬送されてくるタイミングに合わせてスクリーン胴を圧胴に着(接触)させ、この着動作を確認し且つスクリーン胴が一回転してから、スキージをスクリーン版に着(接触)させてスクリーン印刷を行っていた。
【0006】
また、印刷終了時、最後のシートに印刷を施した後にスキージをスクリーン版から脱(離反)させ、この脱動作を確認し且つスクリーン胴が一回転してから、スクリーン胴を圧胴から脱(離反)させてスクリーン印刷を終了していた。このとき、胴刷りを防ぐためにスキージが脱動作を行った後もシートを搬送する必要があった。
【0007】
このように、圧胴に接触していないスクリーン版にスキージが接触してスクリーン版が破損することを防ぐために、スクリーン胴の着動作完了を確認してからスキージの着動作を開始し、スキージの脱動作完了を確認してからスクリーン胴の脱動作を開始するようにしていたため、印刷開始時、印刷終了時に余分な不良シートが発生してしまうという問題があった。
【0008】
このようなことから本発明は、不良シートの発生を低減することができるロータリースクリーン印刷機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するための第1の発明に係るロータリースクリーン印刷機は、
シートを保持して搬送する圧胴と、
スクリーン版を円筒状に形成してなるスクリーン胴と、
前記スクリーン胴の内部に保持されたスキージと、
前記スクリーン胴を揺動自在に保持するスクリーン胴装置を介して、前記スクリーン胴を前記圧胴に対して接触離反移動させるスクリーン胴着脱モータと、
前記スキージを揺動自在に保持するスキージ装置を介して、前記スキージを前記スクリーン版の内周面に対して接触離反移動させるスキージ着脱モータと
を備えるロータリースクリーン印刷機において、
前記スクリーン胴の位置を検知するスクリーン胴位置検知器と、
前記スキージの位置を検知するスキージ位置検知器と、
前記スクリーン胴位置検知器により検知した前記スクリーン胴の位置及び前記スキージ位置検知器により検知した前記スキージの位置に基づいて、前記スクリーン胴が前記圧胴に接触しているとき以外は前記スキージが前記スクリーン版に接触することを回避するように前記スクリーン胴着脱モータ及び前記スキージ着脱モータを制御する制御装置と
を備え、
前記制御装置が、前記スクリーン胴と前記圧胴の一枚目のシートを保持するくわえ装置が設けられた切欠き部とが対向している間に、前記スクリーン胴の前記圧胴に対する着動作及び前記スキージの前記スクリーン版に対する着動作が完了している、且つ、前記スクリーン胴と前記圧胴の最後のシートを保持するくわえ装置の次のくわえ装置が設けられた切欠き部とが対向している間に、前記スキージの前記スクリーン版に対する脱動作及び前記スクリーン胴の前記圧胴に対する脱動作が開始されているように前記スクリーン胴着脱モータ及び前記スキージ着脱モータを同時に駆動制御する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るロータリースクリーン印刷機によれば、印刷開始時には供給されるシートの一枚目から正常にスクリーン印刷を行うことができ、印刷終了時には最後のシートに印刷を施した後にシートを供給する必要がなくなって、不良シートの発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例1に係るロータリースクリーン印刷機を示す説明図である。
図2図1の一部を破断して示す平面展開図である。
図3図3(a)はフレームとサブフレームとの関係を示す説明図、図3(b)はフレームとサブフレームとスクリーン胴着脱モータとの関係を示す説明図である。
図4】本発明の実施例1に係るロータリースクリーン印刷機の制御構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施例に係るロータリースクリーン印刷機の印刷開始時におけるスクリーン胴及びスキージの制御例を時系列的に示す説明図である。
図6】本発明の実施例に係るロータリースクリーン印刷機の印刷終了時におけるスクリーン胴及びスキージの制御例を時系列的に示す説明図である。
図7】従来のロータリースクリーン印刷機の印刷開始時におけるスクリーン胴及びスキージの制御例を時系列的に示す説明図である。
図8】従来のロータリースクリーン印刷機の印刷終了時におけるスクリーン胴及びスキージの制御例を時系列的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明に係るロータリースクリーン印刷機について説明する。なお、本発明に係るロータリースクリーン印刷機は、以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【実施例】
【0014】
以下、図1から図6を用いて本実施例に係るロータリースクリーン印刷機の詳細を説明する。
図1及び図2に示すように、本実施例において左右の機械フレーム101,101間には、シート(被印刷物)を保持して搬送する圧胴100が回動自在に支持されているとともに、この圧胴100に対向してスクリーン胴201が配設されている。
【0015】
圧胴100の外周面には軸心を挟んで対向する位置に切欠き部100aが形成されており、この切欠き部100a内に、シートを保持及び解放することができるように構成されたくわえ装置102が配設されている。なお、本実施例において圧胴100は、スクリーン胴201の二倍の胴径を有しているものとする。
【0016】
スクリーン胴201は絵柄に応じた小孔をエッチングした薄い版材を円筒状にしてなるスクリーン版201Aと、スクリーン版201Aを補強するためにスクリーン版201Aの両端(図2では左右)にそれぞれ固定された二つのエンドリング201B,201Bとから構成されている。このスクリーン胴201は、支承部材202,202、スクリーン用ブラケット203,203、及びサブフレーム204を介してフレーム101,101に支持されている。
【0017】
支承部材202は、それぞれエンドリング201Bを着脱可能に支持する一方、スクリーン用ブラケット203に回動自在に支持されている。
【0018】
スクリーン用ブラケット203は、それぞれ支承部材202を回動自在に支持するスクリーン支持部203aと、該スクリーン支持部203aに対してスクリーン胴201の径方向外側に配設された回転軸支持部203bとから構成されている。
【0019】
回転軸支持部203bには、スクリーン胴201の軸方向と平行に延びる回転軸205の両端がそれぞれ回動自在に支持されている。
回転軸205の両端にはギア205aが設けられており、このギア205aが中間ギア206を介して支承部材202の外周面に形成されたギア202aと噛み合っている。また、回転軸205の一端側(図2では右端側)のギア205aは、スクリーン胴駆動モータ207のギア207aと噛み合っている(図1参照)。
【0020】
したがって、スクリーン胴駆動モータ207を駆動するとスクリーン胴駆動モータ207のギア207a、回転軸205の一端側のギア205a、一方(図2では右側)の中間ギア206、一方(図2では右側)の支承部材202のギア202a、一方の支承部材202を介してスクリーン胴201の一端側(図2では右端側)にスクリーン胴駆動モータ207の駆動力が伝わるとともに、スクリーン胴駆動モータ207のギア207a、回転軸205の一端側のギア205a、回転軸205、回転軸205の他端側(図2では左端側)のギア205a、他方(図2では左側)の中間ギア206、他方(図2では左側)の支承部材202のギア202a、他方の支承部材202を介してスクリーン胴201の他端側(図2では左端側)にもスクリーン胴駆動モータ207の駆動力が伝わり、スクリーン胴201の両端がスクリーン胴駆動モータ207により回転駆動される。
【0021】
サブフレーム204は、スクリーン胴201の軸方向に沿って配設され、スクリーン用ブラケット203,203の回転軸支持部203bを支持している。
【0022】
さらに、このサブフレーム204は図3(a)に示すように、軸方向両側に形成された第一の連結用ブラケット204aが機械フレーム101に固定されたピン208を介して当該機械フレーム101に揺動自在に支持されている。
【0023】
また、図3(b)に示すように、サブフレーム204の軸方向両側に形成された第二の連結用ブラケット204bには、それぞれスクリーン胴着脱モータ209Aのモータ軸に連結されたねじ軸209Bが揺動自在に連結されている。より詳しく説明すると、ねじ軸209Bは、当該ねじ軸209Bに螺着されたナット部材209Cに設けられているピン210を介して第二の連結用ブラケット204bに揺動自在に連結されている。ナット部材209Cは、スクリーン胴着脱モータ209Aの回転によってねじ軸209Bが回転すると送りねじの機構によりねじ軸209Bの軸方向に進退する。
なお、スクリーン胴着脱モータ209Aは、スクリーン胴201(より具体的にはスクリーン版201A)を圧胴100に対して接触又は離反させるために設けられたものであり、このスクリーン胴着脱モータ209Aの本体部はそれぞれ左右の機械フレーム101にスクリーン胴着脱モータ支持部材211を介して揺動自在に固定されている。
【0024】
さらに、図1及び図2に示すように、上述したスクリーン胴201の内部には、スクリーン版201Aの内側にあるインキをスクリーン版201Aの小孔から圧胴100側に供給するブレード(スキージ本体)221Aと、ブレード221Aを支持する支持体であるスキージバー221Bとを備えたスキージ221が保持されている。
【0025】
スキージ221の両端はそれぞれスキージ支持部材222,222、支持板223,223を介してサブフレーム204に揺動自在に支持されている。
【0026】
スキージ支持部材222は、スキージバー221Bを揺動自在に支持する部材である。
また、支持板223は、板体であり、その一角にスキージ支持部材222を保持している。この支持板223の他の一角にはスキージ着脱モータ224Aのモータ軸に連結されたねじ軸224Bが揺動自在に連結され、さらに他の一角はピン226に揺動自在に軸支されるとともに、ピン227に当接する当接面223aを備えている。ねじ軸224Bは、当該ねじ軸224Bに螺着されたナット部材224Cに設けられているピン225を介して支持板223に揺動自在に連結されている。ナット部材224Cは、スキージ着脱モータ224Aの回転によってねじ軸224Bが回転すると送りねじの機構によりねじ軸224Bの軸方向に進退する。
【0027】
なお、スキージ着脱モータ224Aは、スキージ221(より具体的には、ブレード221A)をスクリーン版201Aの内周面に対して接触又は離反させるために設けられたものであり、サブフレーム204の軸方向両端に形成された第三の連結用ブラケット204cにピン228を介して揺動自在に支持されている。
また、ピン226はサブフレーム204の軸方向両端に形成された第四の連結用ブラケット204dに固定され、ピン227はサブフレーム204の軸方向両端に形成された第五の連結用ブラケット204eに固定されている。
【0028】
次に、本実施例に係るロータリースクリーン印刷機の制御装置について説明する。図4に示すように、本実施例に係るロータリースクリーン印刷機の制御装置300は、圧胴100に設けられた本機エンコーダー229が出力する信号、図示しないシート供給装置のフィーダボード上に設けられて当該フィーダボード上に一枚ずつ送り出されるシートを検知するシート搬送検知器230が出力する信号、スクリーン胴駆動モータ207に設けられたスクリーン胴着脱モータ・エンコーダー231が出力する信号、及びスキージ着脱モータ224Aに設けられたスキージ着脱モータ・エンコーダー232が出力する信号を入力し、スクリーン胴駆動モータ207、スクリーン胴着脱モータ209A、及びスキージ着脱モータ224Aを駆動制御するものである。
【0029】
以下、図5及び図6を用いて本実施例の制御装置300によるスクリーン胴201及びスキージ221の制御について説明する。なお、図5,6では圧胴100の1回転(例えば、θn-1(又はθm-1)からθn(又はθm)まで、θn(又はθm)からθn+1(又はθm+1)まで)を360°、スクリーン胴201の1回転を180°として示している。
まず、図5に示すように、本実施例のロータリースクリーン印刷機において印刷運転が開始されるとき、スクリーン胴201は圧胴100から離反したスクリーン胴脱位置に位置付けられ、スキージ221はブレード221Aの先端をスクリーン版201Aの内周面から離反させたスキージ脱位置に位置付けられている。
制御装置300は、印刷運転が開始され、本機エンコーダー229から入力される信号(ここでは、圧胴100の速度を含む位相)と、シート搬送検知器230から入力される信号から得られるシートの搬送状況とに基づき、切欠き部101aに配設されたくわえ装置102が保持している一枚目のシートがスクリーン胴201に対向する位相角度θnの時点でスクリーン版201Aの内周面にインキが行き渡っているように所定のタイミングで、スクリーン胴駆動モータ207を回転駆動させる。
【0030】
その後、制御装置300は、本機エンコーダー229から入力される信号とシート搬送検知器230から入力される信号から得られるシートの搬送状況とに基づき、一枚目のシートを保持するくわえ装置102が設けられた切欠き部101aがスクリーン胴201に対向している間(図5に示す切欠範囲aの間)に、スクリーン胴201が圧胴100に接触するスクリーン胴着位置に位置付けられ、ブレード221Aの先端がスクリーン版201Aの内周面に接触するスキージ着位置に位置付けられるように、スクリーン胴着脱モータ209Aによりねじ軸209Bを回転させてナット部材209Cを移動させ、スキージ着脱モータ224Aによりねじ軸224Bを回転させてナット部材224Cを移動させる。
【0031】
これにより、サブフレーム204全体がピン208を中心にスクリーン胴201を圧胴100に近接させる方向(図1では反時計回り)へ揺動し、支持板223がピン226を中心にしてスキージ221をスクリーン版201Aの内周面に近接させる方向(図1では反時計回り)へ揺動する。
【0032】
このとき制御装置300は、スクリーン胴着脱モータ・エンコーダー231及びスキージ着脱モータ・エンコーダー232から入力される信号に基づき、スクリーン胴201とスキージ221とが接触することがないようにスクリーン胴着脱モータ209A及びスキージ着脱モータ224Aのそれぞれを同時に駆動制御する。
その後、制御装置300は、スクリーン胴201がスクリーン胴着位置に位置付けられたことを検知したらスクリーン胴着脱モータ209Aを停止させ、スキージ221がスキージ着位置に位置付けられたことを検知したらスキージ着脱モータ224Aを停止させる。
【0033】
これにより、スクリーン胴201及びスキージ221がそれぞれの着位置に移動したタイミング(図5では、位相角度θn)で、一枚目のシートが圧胴100とスクリーン版201Aとの間に搬送され、当該一枚目のシートにスクリーン版201Aの版面に形成された貫通孔からスキージ221によって押し出されたインキが転写される。
【0034】
また、図6に示すように、最後のシートの印刷が終了したら、制御装置300は、本機エンコーダー229から入力される信号とシート搬送検知器230から入力される信号から得られるシートの搬送状況とに基づき、最後のシートを保持したくわえ装置102の次のくわえ装置102を収納した切欠き部101aがスクリーン胴201に対向し始める位相角度θmから当該切欠き部101aに対向している間(図6に示す切欠範囲aの間)に、スキージ221がスクリーン胴201から離反し、スクリーン胴201が圧胴100から離反するように、スキージ着脱モータ224Aによりねじ軸224Bを回転させてナット部材224Cを移動させるとともに、スクリーン胴着脱モータ209Aによりねじ軸209Bを回転させてナット部材209Cを移動させる。
【0035】
これにより、支持板223がピン226を中心にしてスキージ221をスクリーン版201Aの内周面から離反させる方向(図1では時計回り)へ揺動し、サブフレーム204全体がピン208を中心にスクリーン胴201を圧胴100から離反させる方向(図1では時計回り)へ揺動する。
【0036】
このとき制御装置300は、スクリーン胴着脱モータ・エンコーダー231及びスキージ着脱モータ・エンコーダー232から入力される信号に基づき、スクリーン胴201とスキージ221とが接触することがないようにスキージ着脱モータ224A及びスクリーン胴着脱モータ209Aのそれぞれを同時に駆動制御する。
【0037】
その後、制御装置300は、スキージ着脱モータ・エンコーダー232及びスクリーン胴着脱モータ・エンコーダー231から入力される信号に基づき、スキージ221がスキージ脱位置に位置付けられたことを検知したらスキージ着脱モータ224Aを停止させ、スクリーン胴201がスクリーン胴脱位置に位置付けられたことを検知したらスクリーン胴着脱モータ209Aを停止させる。
【0038】
なお、本実施例においては支承部材202、スクリーン用ブラケット203及びサブフレーム204がスクリーン胴装置を構成し、スキージ支持部材222及び支持板223がスキージ装置を構成し、スクリーン胴着脱モータ・エンコーダ231がスクリーン胴位置検知器を構成し、スキージ着脱モータ・エンコーダ232がスキージ位置検知器を構成する。
【0039】
以上に示した本実施例に係るロータリースクリーン印刷機によれば、印刷開始時、従来のようにスクリーン胴201を圧胴100に接触させた後、スクリーン胴201が一回転するのを待ってスキージ221をスクリーン版201Aの内周面に接触させるのではなく、スクリーン胴201及びスキージ221の着動作をそれぞれスクリーン胴着脱モータ209A及びスキージ着脱モータ224Aにより高精度に制御し、印刷開始の直前、圧胴100の切欠き部100aがスクリーン胴201に対向している間に、スクリーン胴着脱モータ・エンコーダー231及びスキージ着脱モータ・エンコーダー232から入力される信号に基づき、スクリーン胴201とスキージ221とが接触することを回避しつつスクリーン胴201及びスキージ221をそれぞれの着位置に位置付けることができる。
【0040】
また、印刷終了時、従来のようにスキージ221をスクリーン版201Aの内周面から離反させた後、スクリーン胴201が一回転するのを待ってスクリーン胴201を圧胴100から離反させるのではなく、スキージ221及びスクリーン胴201の脱動作をそれぞれスキージ着脱モータ224A及びスクリーン胴着脱モータ209Aにより高精度に制御し、印刷終了の直後、圧胴100の切欠き部100aがスクリーン胴201に対向している間に、スキージ着脱モータ・エンコーダー232及びスクリーン胴着脱モータ・エンコーダー231から入力される信号に基づき、スキージ221とスクリーン胴201とが接触することを回避しつつスキージ221及びスクリーン胴201をそれぞれの脱位置に位置付けることができる。
【0041】
これにより、印刷開始時には一枚目のシートから正常にスクリーン印刷を施すことが可能となり、印刷終了時には最後のシートに印刷を施した後にシートを搬送させる必要がなくなるため、不良シートの発生を抑制することができる。
【0042】
なお、本実施例ではスキージ221を、スクリーン胴201を支持するサブフレーム204に揺動自在に支持された支持板223を介して支持する例を示したが、スクリーン胴201とスキージ221とはそれぞれ独立してフレーム101に支持される構造であってもよい。
また、本実施例では、スクリーン胴位置検知器としてスクリーン胴着脱モータ・エンコーダ231を採用し、スキージ位置検知器としてスキージ着脱モータ・エンコーダ232を採用する例を示したが、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、例えばスクリーン胴位置検知器としては支承部材202、スクリーン用ブラケット203又はサブフレーム204の位置を検知する光電センサー、スキージ位置検知器としては支持板223の位置を検知する光電センサー等を採用してもよい。
また、スクリーン胴201及びスキージ221の着動作時に動き出すタイミングと、脱動作時に待機位置に位置付けられるタイミングは、それぞれ図5,6に示す切欠範囲a内でなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、ロータリースクリーン印刷機に適用して好適なものである。
【符号の説明】
【0044】
100 圧胴
100a 切欠き部
101 機械フレーム
102 くわえ装置
201 スクリーン胴
201A スクリーン版
201B エンドリング
202 支承部材
202a 支承部材のギア
203 スクリーン用ブラケット
203a スクリーン支持部
203b 回転軸支持部
204 サブフレーム
204a 第一の連結用ブラケット
204b 第二の連結用ブラケット
204c 第三の連結用ブラケット
204d 第四の連結用ブラケット
204e 第五の連結用ブラケット
205 回転軸
205a 回転軸のギア
206 中間ギア
207 スクリーン胴駆動モータ
207a 駆動用モータのギア
208 ピン
209A スクリーン胴着脱モータ
209B ねじ軸
209C ナット部材
210 ピン
211 スクリーン胴着脱モータ支持部材
221 スキージ
221A ブレード
221B スキージバー
222 スキージ支持部材
223 支持板
223a 当接面
224A スキージ着脱モータ
224B ねじ軸
224C ナット部材
225,226,227,228 ピン
229 本機エンコーダー
230 シート搬送検知器
231 スクリーン胴着脱モータ・エンコーダー
232 スキージ着脱モータ・エンコーダー
300 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8