【実施例1】
【0012】
<構成>以下、構成について説明する。
図1に示すように、建物1などを構成しているスラブ2に対して貫通設置された配管3を、スラブ2をはつる(斫る=削ること)ことなく撤去するのに、
図2の縦断面図または
図3Aの平面図に示すような、配管撤去工具4を用いる。そして、この配管撤去工具4を用いて、以下のような配管撤去工法を行う。
【0013】
なお、この実施例では、集合住宅や戸建て住宅などの建物1の各階の床部分を構成する床スラブ(スラブ2)を上下に貫通する排水系統の縦管路(配管3)を撤去する例について説明する。この場合、縦管路(排水縦管)は、塩ビやポリエチレンなどの樹脂管や鋳鉄などの金属管とされる。縦管路は、床スラブに形成された貫通孔部2aに挿通配置された状態で、モルタル2bによって埋設されている。縦管路は、複数本の配管部材を縦方向に接続したものとされる。縦管路には、各階内に配設された横管路が接続されたものも存在している。配管撤去工法を行う際には、まず、
図1に線x,yで示すように、縦管路は、床スラブから突出する部分(突出部分3a,3b)を、上下に所要量(おおむね5cm〜10cm程度)残して切断する。
【0014】
また、撤去する配管3としては排水系統に限らず、給水給湯系統、空調用冷温水管系統、さらにはガス管、電通管などの各種配管を撤去する場合にも適用することができる。更に、床スラブ(スラブ2)を貫通する縦管路に限らず、壁面を貫通する横管路に適用しても良い。
【0015】
(1)そして、上記した配管撤去工具4は、
図2、
図3Aに示すように、配管3の外径と同等の直径を有するか、または、
図4に示すように、配管3の肉厚と同等以上の有効切断半径を有して、上記配管3を軸線方向11に沿って切断可能な回転刃12と、
この回転刃12を回転駆動する回転駆動部13と、
上記配管3の内部へ挿入した上記回転刃12を、上記配管3の軸線方向11に沿って移動させる軸線方向案内機構14と、を備えたものとされる。
【0016】
ここで、有効切断半径は、回転刃12の半径のうち、配管3の肉厚を切断するために使われる部分のことである。軸線方向11は、
図2や
図4に示すように上下方向とされる。但し、配管3の軸線方向11は、これに限るものではない。
【0017】
回転駆動部13は、モータなどの駆動装置によって回転刃12を回転駆動するようにしたものとされる。回転駆動部13と回転刃12との間には、必要に応じて、駆動力伝達機構が設けられる。回転駆動部13または駆動力伝達機構の回転軸(出力軸)には、回転刃12を着脱するための着脱部(チャック部や止めネジなど)が備えられる。回転駆動部13は、配管3の内側に挿入可能な大きさとするのが好ましい。
図2の場合には、回転駆動部13は、配管3の内側へ挿入可能な工具本体15内に収容されている。但し、例えば、配管3が小口径で、回転駆動部13を入れることができないようなものの場合などには、配管3へ挿入可能な大きさの工具本体15に回転刃12を回転可能に取付け、回転駆動部13を、工具本体15から切り離して配管3の外部に設置すると共に、回転駆動部13と回転刃12との間を、上記とは異なる、例えば、ベルト式や遠隔型などの駆動力伝達機構によって接続するようにしても良い。
【0018】
回転刃12には、厚い刃や薄い刃を用いることができる。厚い刃を用いて切断すると、切断後の配管3を押し潰し易くなるので、撤去が容易になる。一方、薄い刃を用いて切断すると、配管3を切断し易くなるので、切断時間が短くなり騒音の発生時間を短くすることができる。
【0019】
軸線方向案内機構14は、この場合、主に、配管3の上側の突出部分3aに対して上方から外嵌可能な嵌合部16と、この嵌合部16から配管3の上側の突出部分3aよりも長く延びる延長部17とを有する案内筒部18とされる。案内筒部18は、樹脂管または金属管などとされる。案内筒部18を樹脂管とした場合には、透明な材料で形成すれば回転刃12の挿入程度が目視可能となる。
【0020】
この案内筒部18の内周面には、周方向にほぼ180°離れた位置に、回転刃12を軸線方向11へ案内するためのガイド用突条19が設けられている。このガイド用突条19は、回転刃12の両面を隙間を有して挟むように、それぞれ対にして設けられる(合計二対)。この二対のガイド用突条19は、配管3の肉厚の半分の位置から配管3の内周面の位置とほぼ等しい程度までの間の突出量を有すると共に、案内筒部18の延長部17に対して配管3の軸線方向11へ延びるように一体に形成される。そして、二対のガイド用突条19の下端部は、配管3の上側の突出部分3aの上端面に上方から係止されることによって、上下方向の位置決め部となる係止部などとされる。この際、スラブ2の上面が平坦でない場合のために、上下方向の位置決めは、案内筒部18の下端部がスラブ2の上面に当接しないように浮かせて行っても良い。この場合には、配管3の上側の突出部分3aを、案内筒部18の嵌合部16よりも長くなるように切断しても良い。
【0021】
なお、ガイド用突条19は、案内筒部18と一体ではなく、案内筒部18と別体に形成しても良い。この場合には、
図3Bに示すように、ガイド用突条19は、延長部17内に収まる円筒体19aと一体に形成しても良いし、または、
図3Cに示すように、板状のガイド用突条19のみを延長部17に対し(軸線方向などに対して着脱可能な)スライド嵌合部19bなどを介して交換できるようにしても良い。
このように、ガイド用突条19を案内筒部18と別体にすることでガイド用突条19を交換するだけで種々の配管3の径に対応させることが可能となる。また、ガイド用突条19は、回転刃12が当たって破損したり、高速の粉塵によって劣化したりし易いが、ガイド用突条19が破損した時に交換できるようにしておくことで、繰り返しの使用に耐えられるものとなる。
【0022】
(2)或いは、配管撤去工具4は、
図4に示すように、上記配管3の肉厚と同等以上の有効切断半径を有する回転刃12が、半径方向位置調整機構21を介して上記配管3の半径方向22に位置調整可能に取付けられても良い。
【0023】
ここで、回転刃12は、一箇所のみ設けても良いが、配管3のほぼ直径方向に離れた二箇所の位置を同時に切断できるように左右一対設けるのが好ましい。各回転刃12には、それぞれ専用の回転駆動部13を接続しても良いし、共通の回転駆動部13を歯車やベルトなどの駆動力伝達機構で駆動力を分配させるように接続しても良い。
【0024】
半径方向位置調整機構21は、一対の回転刃12を開閉可能に支持する開き角度調整機構などとすることができる。
【0025】
この開き角度調整機構は、例えば、左右一対の開閉アーム23と左右一対の補助アーム24とを4つの連結軸部25を用いて同一面内で拡縮変形自在となるように互いに連結した四角形状リンクと、この四角形状リンクを、工具本体15に対して一対の開閉アーム23が開閉されるように取付ける開閉可能取付部26と、一対の開閉アーム23に開閉動作を行わせる開閉操作部27と、を有するものとされる。
【0026】
四角形状リンクは、左右一対の開閉アーム23の先端部近傍に対して、左右一対の補助アーム24の基端部を連結したものとされる。左右一対の開閉アーム23の先端部には一対の回転刃12または回転刃12を備えた一対の小型の回転駆動部13が取付けられる。
【0027】
開閉可能取付部26は、左右一対の補助アーム24の先端部間を連結する連結軸部25(固定軸25a)を工具本体15の先端側に固定状態で取付けるための取付孔26a、および、左右一対の開閉アーム23の基端部間を連結する連結軸部25(スライド軸25b)を工具本体15の基端側にスライド自在に取付けるためのスライド孔26bを有するものとされる。スライド孔26bは、配管3の軸線方向11と平行に設置される工具本体15の長手方向に向けて延設される。
【0028】
開閉操作部27は、工具本体15の内部にスライド孔26bに沿って延びるように配設された回転可能なネジ軸27aと、左右一対の開閉アーム23の基端部間を連結する連結軸部25(スライド軸25b)が設けられて、上記ネジ軸27aに変位可能に螺着されるナット27bと、を有するボールネジ機構などとされる。ネジ軸27aは、手動またはモータなどによる電動などで回転操作される。ネジ軸27aを手動で回転する場合には、例えば、工具本体15の上端部から突設されたネジ軸27aの基端部(この場合には上端部)に対して、ハンドルなどの操作部を着脱可能に設けることができる。スライド孔26bには、ナット27bの位置によって回転刃12の半径方向22の位置を測るための目印28(目盛やマークや凹凸形状など)を設けることができる。工具本体15の内部には、ネジ軸27aの両端部またはその近傍を回転自在に軸支する軸受部29が設けられる。
【0029】
そして、ネジ軸27aを回転操作することにより、ネジ軸27aに螺着されたナット27bが、ネジ軸27aに沿って移動される。これにより、ナット27bに設けられた連結軸部25(スライド軸25b)がスライド孔26bに沿って移動される。そして、連結軸部25(スライド軸25b)の移動で、連結軸部25と連結軸部25(固定軸25a)との間の距離が変化することで、四角形状リンクが拡縮変形される。その結果、四角形状リンクの開閉アーム23の先端部に取付けられた一対の回転刃12が半径方向22に位置調整される。
【0030】
上記に加えて、以下のような構成を備えることもできる。以下は、上記した(1)(2)に共通する構成である。
【0031】
(3)周方向切断位置変更機構について
図2、
図3Aに示すように、上記軸線方向案内機構14が、上記配管3の周方向31(
図3A参照)に対する上記回転刃12の切断位置を変更可能な周方向切断位置変更機構32を備える。
【0032】
ここで、周方向切断位置変更機構32は、案内筒部18における、配管3の突出部分3aへ直接嵌合される下側の嵌合部16に形成されたネジ孔33に対し、半径方向22へ向けて螺着された周方向位置調整用ネジ34などとすることができる。案内筒部18が樹脂製の場合、ネジ孔33は、案内筒部18にネジ付スリーブ35などを埋設して形成しても良い。なお、周方向位置調整用ネジ34は、少なくとも周方向31に1箇所設ければ良いが、周方向31に3箇所以上設けることにより、案内筒部18に配管3に対する芯出し機能を持たせることができる。この周方向位置調整用ネジ34は、配管3の外周面に強く突き当てるように使うことで、上記したガイド用突条19と共に、上下方向の位置決めのために使用することも可能である。
【0033】
なお、周方向切断位置変更機構32は、上記の他に、例えば、案内筒部18の下側の嵌合部16に形成したピン穴と、このピン穴に外側から挿入可能な位置決めピンなどとしても良い。この場合には、配管3の突出部分3aに対し、ピン穴と合致する孔部を後から穿設形成して、ピン穴と孔部との両方に跨るように位置決めピンを挿入するように使用する。
【0034】
(4)防塵カバーについて
上記回転刃12よりも手前側の部分に、防塵カバー41を取付けるようにする。
【0035】
ここで、回転刃12よりも手前側とは、配管3の切断方向の手前側のことである。
図2の場合には、回転刃12の上側となる。防塵カバー41は、工具本体15(回転駆動部13など)の中間部などに取付けられる。防塵カバー41は、配管3の内部に挿入可能な径寸法を有する円板状のものなどとされる。防塵カバー41は、その面を配管3の軸線と垂直な方向へ向けた状態で回転駆動部13や工具本体15などに取付けられる。防塵カバー41は、着脱可能に取付けるのか好ましい。防塵カバー41を着脱可能とする場合、防塵カバー41には工具本体15などに対する着脱部が設けられる。また、防塵カバー41は、配管3の内部の様子が覗けるように、透明な樹脂製のものとするのが好ましい。
【0036】
なお、円板状の防塵カバー41を、配管3の内径とほぼ同じ径寸法として、配管3の内周面に沿って軸線方向11へ移動させるようにすれば、軸線方向案内機構14の一部として使用することができるようになる。特に、案内筒部18の延長部17の内周面に対し、配管3の内周面よりも内方へ突出する案内用凸条42を一体に形成すると共に、防塵カバー41に案内用凸条42によって案内される案内用凹部43を形成することで、軸線方向案内機構14の一部としての案内精度を上げることができる。なお、円板状の防塵カバー41を、軸線方向案内機構14の一部として使用する場合には、案内筒部18の延長部17は、少なくとも、切断前に案内筒部18の内部に工具本体15をセットした時に防塵カバー41が中へ入る程度の長さとするのが好ましい。
【0037】
或いは、防塵カバー41は軸線方向案内機構14の延長部17の上端部に覆い被さるように、延長部17の内径よりも大きな外径を有していても良い。この場合には、防塵カバー41を、延長部17に固定できる構造にし、上記した案内用凸条42や案内用凹部43に代えて、回転刃12および工具本体15を挿入可能な穴を形成するようにしても良い。
【0038】
(5)延長竿について
上記回転刃12よりも手前側の部分に、上記回転刃12を上記配管3の深部へ挿入可能な延長竿51を連結可能な竿取付部52を設けるようにする。
【0039】
ここで、延長竿51は、配管3の軸線方向11へ延びるものとされる。竿取付部52は、例えば、工具本体15(回転駆動部13など)の上端部に設けられた雌ねじ部などとされる。これに対し、延長竿51の下端部には、この雌ねじ部に螺着可能な雄ねじ部が設けられる。なお、
図4に示すように、雌ねじ部と雌ねじ部(ネジ軸27aの上端部など)とは、逆にしても良い。また、竿取付部52は、雌ねじ部に限るものではなく、延長竿51を着脱できれば、ワンタッチジョイントやツイストロックなど何でも良い。
【0040】
軸線方向案内機構14を構成する延長竿51は、回転刃12が配管3をどこまで切断したかを確認できるようにするために、配管3に対する切り込み深さをコントロールできるようなものとするのが好ましい。そのために、延長竿51に対して、切り込み深さを測るための目印56(目盛やマークや凹凸形状など)を形成することができる。
【0041】
以下、上記配管撤去工具4を用いた配管撤去工法について説明する。
この配管撤去工法は、スラブ2に貫通状態で埋設された配管3を、スラブ2をはつることなく撤去するものである。
【0042】
この配管撤去工法を行う際には、先ず、上記したように、縦管路は、床スラブから上下に突出する部分(突出部分3a,3b)を所要量(おおむね10cm程度)残して切断する。
【0043】
(6)そして、配管3を軸線方向11に沿って切断し、配管3の切断片をスラブ2から撤去する。
【0044】
ここで、配管3の切断は、一般的な工具を用いることもできるが、上記した配管撤去工具4を用いるのが好ましい。配管撤去工具4による配管3の切断数は、2箇所ないし4箇所程度とするのが好ましい。そして、切断した配管3に、中心側へ押しつぶす方向の力を加えて配管3のスラブ2に固着している部分を剥がし、配管3の切断片をスラブ2から撤去する。この際、上記したように、配管3を4箇所程度切断すると、配管3の中心軸へ切断片を折り曲げるようにして容易にスラブ2から剥がすことができる。なお、配管3の切断の方向は、
図5(a)(b)に示すように半径方向としても良いし、または、
図5(c)に示すように半径方向以外(この場合には、互いに平行な向きとなっている)としても良い。更に、配管3の一部を上記した配管撤去工具4を用いて切断し、そこにくさび状の切断治具を押し込むことで、配管3の残りの部分を切断するようにしても良い。
【0045】
(7)この際、先ず、
図6に示すように、スラブ2と配管3との界面に、界面を剥離または脆弱化させるための剥離剤71または脆弱化剤72を浸透させ、
界面が剥離または脆弱化された後に、上記したように配管3を軸線方向11に沿って切断してスラブ2から撤去するようにしても良い。
【0046】
ここで、剥離剤71は、コンクリート離型剤などとすることができる。また、脆弱化剤72は、希塩酸などの酸性溶液や酸性洗浄剤などとすることができる。剥離剤71または脆弱化剤72は、配管3の切断前に注入しても、切断後に注入しても良い。
【0047】
<作用効果>この実施例によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
(1)この実施例の配管撤去工具4によれば、配管3の内部へ挿入した回転刃12を、軸線方向案内機構14によって、配管3の軸線方向11へ移動させるようにした。これにより、回転刃12を、配管3の軸線方向11へ安定的に移動させて、配管3の周囲を不必要に破損しないようにしつつ配管3を軸線方向11に沿ってきれいに切断し、細分化することが可能となる。その結果、スラブ2をはつることなしに配管3を撤去することが可能となる。よって、騒音や振動や粉塵などの発生を最小限に抑えることができる。また、配管3全体をスラブ2から引き抜くためのジャッキ装置などのような大掛かりな装置が不要となる。更に、撤去しようとする配管3の近傍に別の配管3(例えば、電気やガスや水道などの配管3)が位置していても、これらにほとんど影響を与えることがない。
【0048】
(2)配管3の肉厚と同等以上の有効切断半径を有する回転刃12を、配管3の半径方向22に対する位置調整が可能な半径方向位置調整機構21に取付けた。これにより、径寸法の異なる各種の配管3を、回転刃12を取り替えることなく回転刃12の位置を調整するだけで広く対応することが可能となる。よって、配管3の大きさ(径寸法)に合わせて回転刃12を交換する手間や、複数種類の回転刃12を用意する必要をなくすことができる。この構造は、特に配管3が大口径である場合に特に有効である。
【0049】
(3)軸線方向案内機構14が周方向切断位置変更機構32を備えた。これにより、配管3に対する回転刃12の切断位置を周方向31に変更して、配管3を周方向31に細かく切断することができる。これにより、配管3をより撤去し易くすることができる。
【0050】
(4)回転刃12よりも手前側に防塵カバー41を取付けた。これにより、回転刃12が配管3を切断する際に発生する粉塵や火花を防塵カバー41で受けて、これらの飛散を防止することができる。また、防塵カバー41を軸線方向案内機構14とすることも可能となる。更に、防塵カバー41は、不用意に回転刃12に触れてしまうことを防止するための防護板としても機能させることができる。
【0051】
(5)回転刃12よりも手前側に対して延長竿51を連結可能とした。これにより、回転刃12よりも手前側に延長竿51を取付けることで、回転刃12を配管3の深部へ挿入して深部を軸線方向11に沿って切断することが可能となる。また、延長竿51に目印56を付けることにより、配管3の深部での切断位置を正確に把握することができる。
【0052】
(6)この実施例の配管撤去工法では、上記した配管撤去工具4を用いるなどにより、配管3を軸線方向11に沿って切断するようにした。これにより、スラブ2から配管3を容易に撤去することが可能となる。
【0053】
(7)また、配管3の切断に先立って、スラブ2と配管3との界面に剥離剤71または脆弱化剤72を浸透させて、上記界面を剥離または脆弱化させるようにした。これにより、スラブ2をはつることなく、また、大掛かりな装置を用いることなく、容易に配管3を撤去することが可能となる。しかも、騒音や振動や粉塵などの発生を大幅に低減することができる。剥離剤71または脆弱化剤72の浸透は、界面に剥離剤71または脆弱化剤72を注入後、一定時間(例えば、1日程度)放置すれば良い。界面が剥離または脆弱化されることにより、配管3のスラブ2内の部分に凹凸部などが存在していた場合でも、比較的容易に配管3を撤去することが可能となる。
【0054】
界面の剥離または脆弱化後におけるスラブ2からの配管3の撤去は、パイプレンチなどの身近にある工具を使って配管3を捻るなどの物理的な力を加えることによって行うことができる。しかし、配管3を軸線方向11に沿って切断することによって更に容易に配管3を撤去することができる。
【0055】
以上、この発明の実施の形態を図面により詳述してきたが、実施の形態はこの発明の例示にしか過ぎないものである。よって、この発明は実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があってもこの発明に含まれることは勿論である。また、例えば、各実施の形態に複数の構成が含まれている場合には、特に記載がなくとも、これらの構成の可能な組合せが含まれることは勿論である。また、実施の形態に複数の実施例や変形例がこの発明のものとして開示されている場合には、特に記載がなくとも、これらに跨がった構成の組合せのうちの可能なものが含まれることは勿論である。また、図面に描かれている構成については、特に記載がなくとも、含まれることは勿論である。更に、「等」の用語がある場合には、同等のものを含むという意味で用いられている。また、「ほぼ」「約」「程度」などの用語がある場合には、常識的に認められる範囲や精度のものを含むという意味で用いられている。