(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、一例として本発明に係る身体情報処理装置を体組成計に適用した場合について説明する。
【0020】
図1は、本実施形態に係る身体情報処理装置の平面図である。
図1に示すように、身体情報処理装置としての体組成計10は、本体10Aに把持部10Bが取り外し可能にセットされた構成となっている。本体10Aと把持部10Bとは図示しない通信ケーブルで接続されている。通信ケーブルは、本体10Aに引き戻す力が付与された状態で本体10Aに収容されている。このため、ユーザーが本体10Aに体を載せ、把持部10Bを両手で把持して本体10Aから取り外して立位姿勢をとると、通信ケーブルは本体10Aから引き出される。また、測定が終了して把持部10Bを本体10Aに戻す動作を行うと、通信ケーブルは本体10Aに引き戻されて自動的に本体10A内に収容される。
【0021】
本体10Aは、右足の爪先用である右爪先電極12R、左足の爪先用である左爪先電極12L、右足の踵用である右踵電極14R、及び左足の踵用である左踵電極14Lを備える。
【0022】
右爪先電極12Rは、本体10Aに右足を載せた際に、右足の爪先が接触する位置に形成され、左爪先電極12Lは、本体10Aに左足を載せた際に、左足の爪先が接触する位置に形成される。
【0023】
右踵電極14Rは、本体10Aに右足を載せた際に、右足の踵が接触する位置に形成され、左踵電極14Lは、本体10Aに左足を載せた際に、左足の踵が接触する位置に形成される。
【0024】
把持部10Bは、右手の掌用である右掌電極16R、左手の掌用である左掌電極16L、右手の指先用である右指先電極18R、左手の指先用である左指先電極18L、表示部20、及び操作部22を備える。
【0025】
右掌電極16Rは、把持部10Bの右側を右手で把持した際に、右手の掌が接触する位置に形成され、左掌電極16Lは、把持部10Bの左側を左手で把持した際に、左手の掌が接触する位置に形成される。
【0026】
右指先電極18Rは、把持部10Bの右側を右手で把持した際に、右手の指先が接触する位置に形成され、左指先電極18Lは、把持部10Bの左側を左手で把持した際に、左手の指先が接触する位置に形成される。
【0027】
図2は、体組成計10のブロック図である。
図2に示すように、体組成計10は、電流出力用電極24、電圧検出用電極26、電流出力部28、生体インピーダンス測定部32、体重測定部34、操作部22、表示部20、記憶部36、通信部38、及び制御部40を備えている。
【0028】
電流出力用電極24は、右爪先電極12R、左爪先電極12L、右指先電極18R、及び左指先電極18L、を含む。
【0029】
電圧検出用電極26は、右踵電極14R、左踵電極14L、右掌電極16R、及び左掌電極16Lを含む。
【0030】
電流出力部28は、電流回路42及び切替回路44を備え、生体インピーダンス情報を測定するための交流電流を電流出力用電極24に出力する。
【0031】
電流回路42は、生体インピーダンス情報を測定するための交流電流を生成して切替回路44に出力する。なお、生体インピーダンス情報を測定するための交流電流の周波数は、本実施形態では一例として50kHzであるが、これに限らず、例えば5kHz〜250kHzの範囲内の任意の周波数でもよい。
【0032】
切替回路44は、制御部40の指示により、生体インピーダンス情報を測定する部位に応じて電流出力用電極24に含まれる電極の中から選択した2つの電極に切り替え、電流回路42から出力された交流電流を出力する。
【0033】
生体インピーダンス測定部32は、切替回路52、電圧検出回路54、及びAD変換回路58を備え、生体インピーダンス情報の算出に必要な生体インピーダンス算出用電圧を測定する。
【0034】
切替回路52は、制御部40の指示により、生体インピーダンスを測定する部位に応じて電圧検出用電極26に含まれる電極の中から選択した2つの電極に切り替える。
【0035】
電圧検出回路54は、切替回路52により切り替えられた2つの電極の電位差を増幅した差動増幅信号を出力する。
【0036】
AD変換回路58は、電圧検出回路54から出力されたアナログ信号である差動増幅信号をデジタル信号に変換する。
【0037】
体重測定部34は、重量センサー60、差動増幅回路62、及びAD変換回路64を備える。
【0038】
重量センサー60は、ユーザーの重量、すなわち体重を検出する。
【0039】
差動増幅回路62は、重量センサー60から出力された重量信号を差動増幅する。
【0040】
AD変換回路64は、差動増幅回路62から出力されたアナログ信号である差動増幅信号をデジタル信号に変換する。
【0041】
表示部20は、例えば液晶パネル等で構成される。表示部20には、例えば各種設定画面、計測結果の表示画面等、各種画面が表示される。
【0042】
操作部22は、
図1に示すように、複数の操作ボタンを含んで構成されており、ユーザー情報の入力操作等の他、各種操作を行うための操作部である。なお、表示部20及び操作部22をタッチパネルとし、画面に直接タッチすることで操作が可能な構成としてもよい。
【0043】
記憶部36は、例えば不揮発メモリで構成され、身体情報処理プログラムの実行により得られた測定結果等の各種データを記憶する。
【0044】
通信部38は、外部装置と無線通信又は有線通信により情報の送受信を行う。これにより、体組成計10は、スマートフォン、タブレット端末、及び携帯電話等の携帯端末や、パーソナルコンピュータ等の外部装置と通信することが可能である。
【0045】
コンピュータとしての制御部40は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェース(I/O)がバスを介して各々接続された構成となっている。この場合、後述する身体情報処理プログラムを例えばROMに書き込んでおき、これをCPUが読み込んで実行する。なお、身体情報処理プログラムは、CD−ROM、メモリーカード等の記録媒体により提供するようにしてもよく、図示しないサーバからダウンロードするようにしてもよい。また、身体情報処理プログラムがCD−ROM、メモリーカード等の記録媒体により提供された場合や、図示しないサーバからダウンロードにより提供された場合、提供された身体情報処理プログラムは記憶部36に記憶させておき、これをCPUが読み込んで実行する。
【0046】
次に、本実施形態の作用として、制御部40において実行される身体情報処理プログラムによる処理について、
図3に示すフローチャートを参照して説明する。
図3に示す処理は、例えばユーザーが体組成計10の電源をオンした場合に実行される。
【0047】
ステップS100では、ユーザーIDを入力させる画面を表示部20に表示させ、ユーザーに予め登録したユーザーIDを入力させる。ユーザーIDは、予めユーザー登録処理を行うことにより記憶部36に記憶される。ユーザー登録処理では、性別、生年月日、身長等のユーザー情報を入力させ、入力されたユーザー情報と、ユーザーに固有に付与されたユーザーIDと、後述する生体インピーダンス情報の測定回数nと、を対応付けて記憶部36に記憶する。なお、測定回数nは、ユーザー登録処理が実行されると零に初期化される。
【0048】
ステップS102では、体重測定部34に体重の測定を指示し、体重測定部34により測定された体重情報を取得して記憶部36に記憶する。
【0049】
ステップS104では、各部位の生体インピーダンス情報を測定する。本実施形態では、全身、左腕、右腕、左脚、及び右脚の生体インピーダンス情報を測定する。ここで、本実施形態における生体インピーダンス情報とは、予め定めた周波数、例えば50kHzの交流電流を身体に流して測定された生体インピーダンスに基づくリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rである。
【0050】
全身の生体インピーダンス情報は、左半身及び右半身の何れかの生体インピーダンス情報を測定することで取得できるが、本実施形態では、左半身及び右半身の生体インピーダンス情報を各々測定する。
【0051】
左半身の生体インピーダンス情報の測定では、左手の指先と左足の爪先との間に交流電流を流し、左手の掌と左足の踵との間の電圧を測定する。従って、交流電流を出力する電極を左指先電極18L及び左爪先電極12Lに切り替えるように切替回路44に指示し、交流電流を切替回路44に出力するように電流回路42に指示する。これにより、交流電流が、左指先電極18Lと左爪先電極12Lとの間を流れる。
【0052】
また、電圧を測定する電極を左掌電極16L及び左踵電極14Lに切り替えるように切替回路52に指示し、左掌電極16Lと左踵電極14Lとの間に発生した電圧を測定するよう生体インピーダンス測定部32に指示する。そして、生体インピーダンス測定部32により測定された左掌電極16Lと左踵電極14Lとの間に発生した電圧の電圧値と、左指先電極18Lと左爪先電極12Lとの間に流した交流電流の電流値と、に基づいて、左半身のリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rを算出し、記憶部36に記憶する。
【0053】
右半身の生体インピーダンス情報の測定では、右手の指先と右足の爪先との間に交流電流を流し、右手の掌と右足の踵との間の電圧を測定する。従って、交流電流を出力する電極を右指先電極18R及び右爪先電極12Rに切り替えるように切替回路44に指示し、交流電流を切替回路44に出力するように電流回路42に指示する。これにより、交流電流が、右指先電極18Rと右爪先電極12Rとの間を流れる。
【0054】
また、電圧を測定する電極を右掌電極16R及び右踵電極14Rに切り替えるように切替回路52に指示し、右掌電極16Rと右踵電極14Rとの間に発生した電圧を測定するよう生体インピーダンス測定部32に指示する。そして、生体インピーダンス測定部32により測定された右掌電極16Rと右踵電極14Rとの間に発生した電圧の電圧値と、右指先電極18Rと左爪先電極12Rとの間に流した交流電流の電流値と、に基づいて、右半身のリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rを算出し、記憶部36に記憶する。
【0055】
左腕の生体インピーダンス情報の測定では、左手の指先と左足の爪先との間に交流電流を流し、右手の掌と左手の掌との間の電圧を測定する。従って、交流電流を出力する電極を左指先電極18L及び左爪先電極12Lに切り替えるように切替回路44に指示し、交流電流を切替回路44に出力するように電流回路42に指示する。これにより、交流電流が、左指先電極18Lと左爪先電極12Lとの間を流れる。
【0056】
また、右掌電極16Rと左掌電極16Lとの間に発生した電圧を測定するよう生体インピーダンス測定部32に指示する。そして、生体インピーダンス測定部32により測定された右掌電極16Rと左掌電極16Lとの間に発生した電圧の電圧値と、左指先電極18Lと左爪先電極12Lとの間に流した交流電流の電流値と、に基づいて、左腕のリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rを算出し、記憶部36に記憶する。
【0057】
右腕の生体インピーダンス情報の測定では、右手の指先と右足の爪先との間に交流電流を流し、右手の掌と左手の掌との間の電圧を測定する。従って、交流電流を出力する電極を右指先電極18R及び右爪先電極12Rに切り替えるように切替回路44に指示し、交流電流を切替回路44に出力するように電流回路42に指示する。これにより、交流電流が、右指先電極18Rと右爪先電極12Rとの間を流れる。
【0058】
また、右掌電極16Rと左掌電極16Lとの間に発生した電圧を測定するよう生体インピーダンス測定部32に指示する。そして、生体インピーダンス測定部32により測定された右掌電極16Rと左掌電極16Lとの間に発生した電圧の電圧値と、右指先電極18Rと右爪先電極12Rとの間に流した交流電流の電流値と、に基づいて、右腕のリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rを算出し、記憶部36に記憶する。
【0059】
左脚のインピーダンスの測定では、左手の指先と左足の爪先との間に交流電流を流し、右足の踵と左足の踵との間の電圧を測定する。従って、交流電流を出力する電極を左指先電極18L及び左爪先電極12Lに切り替えるように切替回路44に指示し、交流電流を切替回路44に出力するように電流回路42に指示する。これにより、交流電流が、左指先電極18Lと左爪先電極12Lとの間を流れる。
【0060】
また、右踵電極14Rと左踵電極14Lとの間に発生した電圧を測定するよう生体インピーダンス測定部32に指示する。そして、生体インピーダンス測定部32により測定された右踵電極14Rと左踵電極14Lとの間に発生した電圧の電圧値と、左指先電極18Lと左爪先電極12Lとの間に流した交流電流の電流値と、に基づいて、左脚のリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rを算出し、記憶部36に記憶する。
【0061】
右脚のインピーダンスの測定では、右手の指先と右足の爪先との間に交流電流を流し、右足の踵と左足の踵との間の電圧を測定する。従って、交流電流を出力する電極を右指先電極18R及び右爪先電極12Rに切り替えるように切替回路44に指示し、交流電流を切替回路44に出力するように電流回路42に指示する。これにより、交流電流が、右指先電極18Rと右爪先電極12Rとの間を流れる。
【0062】
また、電圧を測定する電極を右踵電極14R及び左踵電極14Lに切り替えるように切替回路52に指示し、右踵電極14Rと左踵電極14Lとの間に発生した電圧を測定するよう生体インピーダンス測定部32に指示する。そして、生体インピーダンス測定部32により測定された右踵電極14Rと左踵電極14Lとの間に発生した電圧の電圧値と、右指先電極18Rと右爪先電極12Rとの間に流した交流電流の電流値と、に基づいて、右脚のリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rを算出し、記憶部36に記憶する。
【0063】
ステップS106では、記憶部36に記憶された測定回数nを読み出す。
【0064】
ステップS108では、測定回数nが予め定めた閾値TH未満であるか否かを判断し、測定回数nが閾値TH未満の場合はステップS110へ移行し、測定回数nが閾値TH以上の場合はステップS114へ移行する。
【0065】
ステップS110では、測定回数nをインクリメントして記憶部36に記憶する。
【0066】
ステップS112では、ステップS102で測定した体重を表示部20に表示する。
【0067】
ステップS114では、測定回数nが閾値THと一致したか否かを判定し、測定回数nが閾値THと一致した場合はステップS116へ移行し、測定回数nが閾値THと一致しない場合、すなわち測定回数nが閾値THを超えている場合はステップS120移行する。
【0068】
ステップS116では、記憶部36に記憶された各部位の生体インピーダンス情報に基づいて、各部位の生体インピーダンス情報の平均値及び標準偏差を算出する。すなわち、左半身、右半身、左腕、右腕、左脚、及び右脚の各々について、記憶部36に記憶されている、今までに測定したリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rの平均値及び標準偏差を各々算出する。
【0069】
ステップS118では、左半身、右半身、左腕、右腕、左脚、及び右脚の各々について、リアクタンス成分Xとレジスタンス成分Rとの関係を表す単回帰式を算出すると共に、算出した単回帰式と、ステップS118で算出した平均値及び標準偏差と、に基づいて、複数の基準線を設定する。なお、単回帰式は、例えば最小自乗法等の公知の技術を用いて求めることができる。
【0070】
図4には、一例として、今までに測定した左半身のリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rに基づいて設定した基準線を示した。
【0071】
図4に示すように、横軸をレジスタンス成分R、縦軸をリアクタンス成分Xとして、「○」は3日前以前に測定した左半身のリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rを示し、「△」は2日前に測定した左半身のリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rを示し、「□」は昨日測定した左半身のリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rを示し、「■」は今日測定した左半身のリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rを示している。
【0072】
基準線A0は、上記の単回帰式そのものであり、a、b0を定数として次式で表される。
【0074】
基準線B−2は、レジスタンス成分Rの平均値をRa、標準偏差をSDrとした場合に、基準線A0上においてレジスタンス成分RがRa−2×SDrの位置を通り、かつ、基準線A0と直交する線であり、a、b1を定数として次式で表される。
【0076】
基準線B−1は、基準線A0上においてレジスタンス成分RがRa−1×SDrの位置を通り、かつ、基準線A0と直交する線であり、a、b2を定数として次式で表される。
【0078】
基準線B0は、基準線A0上においてレジスタンス成分RがRaの位置を通り、かつ、基準線A0と直交する線であり、a、b3を定数として次式で表される。
【0080】
基準線B+1は、基準線A0上においてレジスタンス成分RがRa+1×SDrの位置を通り、かつ、基準線A0と直交する線であり、a、b4を定数として次式で表される。
【0082】
基準線B+2は、基準線A0上においてレジスタンス成分RがRa+2×SDrの位置を通り、かつ、基準線A0と直交する線であり、a、b5を定数として次式で表される。
【0084】
基準線A+2は、リアクタンス成分Xの平均値をXa、標準偏差をSDxとした場合に、基準線B0上においてリアクタンス成分XがXa+2×SDxの位置を通り、かつ、基準線B0と直交する線であり、a、b6を定数として次式で表される。
【0086】
基準線A+1は、基準線B0上においてリアクタンス成分XがXa+1×SDxの位置を通り、かつ、基準線B0と直交する線であり、a、b7を定数として次式で表される。
【0088】
基準線A−1は、リアクタンス成分Xの平均値をXa、標準偏差をSDxとした場合に、基準線B0上においてリアクタンス成分XがXa−1×SDxの位置を通り、かつ、基準線B0と直交する線であり、a、b8を定数として次式で表される。
【0090】
基準線A−2は、基準線B0上においてリアクタンス成分XがXa−2×SDxの位置を通り、かつ、基準線B0と直交する線であり、a、b9を定数として次式で表される。
【0092】
このように、ステップS118では、左半身、右半身、左腕、右腕、左脚、及び右脚の各々について、リアクタンス成分Xとレジスタンス成分Rとの関係を表す単回帰式に基づいて複数の基準線を設定する。ここで、測定回数nが少なすぎると、測定したリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rの変動が小さすぎて精度の良い単回帰式が得られない。このため、閾値THは、精度良く単回帰式が得られる値に設定され、例えば10以上の値に設定される。なお、本実施形態では、測定回数がTHと一致した場合にステップS116及びS118を実行して基準線を設定しているが、これに限らず、定期的、例えば1ヶ月毎にステップS116及びステップS118を実行して基準線を更新するようにしてもよい。
【0093】
ステップS120では、ステップS104で測定した各部位の生体インピーダンス情報と、ステップS118で設定した複数の基準線と、に基づいて、体水分レベル及び疲労レベルを判定する。なお、体水分レベルは、左半身及び右半身、すなわち全身についてのみ判定する。また、疲労レベルは、左半身、右半身、左腕、右腕、左脚、及び右脚の全ての部位について判定する。ここで、疲労レベルとは、疲労だけでなく炎症も含めたレベルをいう。
【0094】
まず、体水分レベルの判定について説明する。例えば左半身の体水分レベルを判定する場合、ステップS104で測定したリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rの
図4における位置が、基準線B−1以上で、かつ、基準線B+1以下の範囲内の場合は、体水分レベルは「0」とする。なお、「以上」とは、
図4において右上に向かう方向を言い、「以下」とは、
図4において左下に向かう方向を言う。
【0095】
また、ステップS104で測定したリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rの
図4における位置が、基準線B+1を超え、かつ、基準線B+2以下の範囲内の場合は、体水分レベルは「−1」とする。
【0096】
また、ステップS104で測定したリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rの
図4における位置が、基準線B+2を超えている場合は、体水分レベルは「−2」とする。
【0097】
また、ステップS104で測定したリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rの
図4における位置が、基準線B−2以上で、かつ、基準線B−1未満の範囲内の場合は、体水分レベルは「+1」とする。
【0098】
また、ステップS104で測定したリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rの
図4における位置が、基準線B−2未満の場合は、体水分レベルは「+2」とする。
【0099】
右半身についても同様に体水分レベルを判定する。ここで、体水分レベルが「0」の場合は、体水分量が平均レベルであることを表す。また、体水分レベルが「−1」、「−2」の場合は、体水分量が不足しており、体水分レベル「−2」の方が体水分レベル「−1」の場合よりも、より体水分量が不足していることを表す。また、体水分レベルが「+1」、「+2」の場合は、体水分量が多く、浮腫傾向にあり、体水分レベル「+2」の方が体水分レベル「+1」の場合よりも、より体水分量が多く、浮腫傾向にあることを表す。
【0100】
次に、疲労レベルの判定について説明する。例えば左半身の疲労レベルを判定する場合、ステップS104で測定したリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rの
図4における位置が、基準線A+1以上で、かつ、基準線A−1以下の範囲内の場合は、疲労レベルは「0」とする。なお、「以上」とは、
図4において右下に向かう方向を言い、「以下」とは、
図4において左上に向かう方向を言う。
【0101】
また、ステップS104で測定したリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rの
図4における位置が、基準線A−1を超え、かつ、基準線A−2以下の範囲内の場合は、疲労レベルは「−1」とする。
【0102】
また、ステップS104で測定したリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rの
図4における位置が、基準線A−2を超えている場合は、疲労レベルは「−2」とする。
【0103】
また、ステップS104で測定したリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rの
図4における位置が、基準線A+2以上で、かつ、基準線A+1未満の範囲内の場合は、疲労レベルは「+1」とする。
【0104】
また、ステップS104で測定したリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rの
図4における位置が、基準線A+2未満の場合は、体水分レベルは「+2」とする。
【0105】
右半身、左腕、右腕、左脚、及び右脚についても同様に疲労レベルを判定する。そして、左半身の疲労レベルと右半身の疲労レベルとを比較し、小さい方の疲労レベルを全身の疲労レベルとして採用する。
【0106】
ここで、疲労レベルが「0」の場合は、疲労及び炎症が平均レベルであることを表す。また、疲労レベルが「−1」、「−2」の場合は、疲労及び炎症の少なくとも一方が発生しており、疲労レベル「−2」の方が疲労レベル「−1」の場合よりも、より疲労及び炎症の少なくとも一方の度合いが強いことを表す。また、疲労レベルが「+1」、「+2」の場合は、疲労及び炎症が少ない状態であり、疲労レベル「+2」の方が疲労レベル「+1」の場合よりも、より疲労及び炎症の度合いが少ないことを表す。
【0107】
ステップS122では、ステップS102で測定した体重に基づいて、全身の体水分レベルを決定する。具体的には、
図5に示す処理を実行する。
【0108】
ステップS200では、体重変化率Cを算出する。体重変化率Cは、
図3のステップS102で測定した体重をW1、前回の
図3のステップS102で測定した体重をW0として、次式により算出する。
【0110】
ステップS202では、ステップS200で算出した体重変化率Cが−1%以下であるか否かを判断し、体重変化率Cが−1%以下である場合はステップS204へ移行し、体重変化率Cが−1%より大きい場合はステップS216へ移行する。
【0111】
ステップS204では、ステップS200で算出した体重変化率Cが−2%以下であるか否かを判断し、体重変化率Cが−2%以下である場合はステップS206へ移行し、体重変化率Cが−2%より大きい場合はステップS208へ移行する。
【0112】
ステップS206では、全身の体水分レベルを「−2」に決定する。すなわち、
図3のステップS120で生体インピーダンス情報に基づいて判定された体水分レベルを採用するのではなく、ステップS200で算出された体重変化率Cに基づいて体水分レベルを決定する。
【0113】
なお、ステップS204の閾値を−2%としたのは、平成11年4月26日に公益財団法人日本体育協会から発行された「熱中予防ハンドブック」において、脱水症状の予防のためには、体重が2%以上減少しないようにすることと報告されているためである。
【0114】
ステップS208では、
図3のステップS120で生体インピーダンス情報に基づいて判定された左半身の体水分レベルと右半身の体水分レベルとを比較し、小さい方の体水分レベルを体水分判定値として設定する。例えば、
図3のステップS120で生体インピーダンス情報に基づいて判定された左半身の体水分レベルが「−2」で右半身の体水分レベルが「−1」だった場合には、左半身の体水分レベルを体水分判定値として設定する。
【0115】
ステップS210では、ステップS208で設定した体水分判定値が0以上であるか否かを判断し、体水分判定値が0以上だった場合はステップS212へ移行し、体水分判定値が0未満だった場合はステップS214へ移行する。
【0116】
ステップS212では、体水分レベルを「−1」に決定する。すなわち、
図3のステップS120で生体インピーダンス情報に基づいて判定された体水分レベルを採用するのではなく、ステップS200で算出された体重変化率Cに基づいて体水分レベルを決定する。
【0117】
一方、ステップ214では、体水分レベルを、ステップS208で設定した体水分判定値に決定する。すなわち、体水分レベルを、
図3のステップS120で生体インピーダンス情報に基づいて判定された左半身の体水分レベル及び右半身の体水分レベルのうち小さい方の体水分レベルに決定する。
【0118】
ステップS216では、体水分レベルを、
図3のステップS120で生体インピーダンス情報に基づいて判定された左半身の体水分レベル及び右半身の体水分レベルのうち小さい方の体水分レベルに決定する。
【0119】
なお、ステップS208及びステップS216において、生体インピーダンス情報に基づいて判定された体水分レベルを考慮しているのは、体重変化率だけで体水分レベルを決定してしまうと、例えば乾燥したものだけを食べた場合のように体重は変化しても体水分レベルは変化しないため、精度良く体水分レベルを判定することができなくなってしまうためである。
【0120】
図3へ戻ってステップS124では、体水分レベル及び疲労レベルが連続して低下しているか否かを判定する連続低下判定処理を実行する。具体的には、
図6に示す連続低下判定処理を実行する。連続低下判定処理は、全身の体水分レベル及び各部位の疲労レベルについて各々実行する。すなわち、疲労レベルについては、全身、左腕、右腕、左脚、及び右脚の各々について連続低下判定処理を実行する。なお、
図6に示す「判定レベル」とは、体水分レベル又は疲労レベルを表す。なお、体水分レベル及び疲労レベルの一方のみ連続低下判定処理を実行してもよい。
【0121】
ステップS300では、記憶部36に記憶された前回の判定レベルを読み出し、今回の判定レベルが前回の判定レベル以上であるか否かを判定する。そして、今回の判定レベルが前回の判定レベル以上の場合、すなわち判定レベルが連続して低下していない場合は、本ルーチンを終了する。一方、今回の判定レベルが前回の判定レベルよりも小さい場合は、ステップS302へ移行する。
【0122】
ステップS302では、記憶部36に記憶された前々回の判定レベルを読み出し、前回の判定レベルが前々回の判定レベル以上であるか否かを判定する。そして、前回の判定レベルが前々回の判定レベル以上の場合、すなわち判定レベルが連続して低下していない場合は、本ルーチンを終了する。一方、前回の判定レベルが前々回の判定レベルよりも小さい場合、すなわち、判定レベルが連続して低下している場合は、ステップS304へ移行する。
【0123】
ステップS304では、判定レベルが連続して低下していることを表す連続低下情報を記憶部36に記憶させる。
【0124】
図3に戻ってステップS126では、体水分レベル及び疲労レベルに基づいて、ユーザーにアドバイスするアドバイス情報を決定する。
図7には、一例として体水分レベル、全身の疲労レベル、及びアドバイス情報の対応関係を表すアドバイス情報テーブルデータ70を示した。この場合、今回判定した体水分レベル及び全身の疲労レベルに対応するアドバイス情報をアドバイス情報テーブルデータ70から取得する。例えば全身の疲労レベルが「−1」、体水分レベルが「+1」の場合、アドバイス情報は、「疲労や炎症によって浮腫傾向です。積極的にビタミンをとり、休養を見直しましょう。」という内容となる。なお、疲労レベルは部位毎に判定されるので、部位毎に
図7に示すようなアドバイス情報テーブルデータを予め記憶部36に記憶しておき、部位毎にアドバイス情報を決定してもよい。
【0125】
ステップS128では、体重、コンディション情報、及びアドバイス情報を表示部20に表示させる。なお、コンディション情報は、体水分レベル、疲労レベル、並びに、体水分レベル及び疲労レベルの連続低下の有無を含む。
【0126】
具体的には、例えば、一定時間体重を表示部20に表示させた後、
図8に示すようなコンディション表示画面80を表示部20に表示させる。コンディション表示画面80は、疲労レベルを表示する疲労レベル表示領域82、体水分レベルを表示する体水分レベル表示領域84、連続して低下している判定レベルを表示する連続低下表示領域86、及びアドバイス情報を表示するアドバイス情報表示領域88を含む。
【0127】
疲労レベル表示領域82には、
図3のステップS120で判定された各部位の疲労レベルが「★」のマークで示されている。
図8の例では、全身の疲労レベルが「−1」、右脚の疲労レベルが「−2」、左脚、右腕、及び左腕の疲労レベルが「0」となっている。
【0128】
体水分レベル表示領域84には、
図3のステップS122で決定された体水分レベルが「★」のマークで示されている。
図8の例では、体水分レベルが「+1」となっている。
【0129】
連続低下表示領域86には、
図3のステップS124で連続して低下していると判定された判定レベル及びその部位が表示される。
図8の例では、全身及び右脚の疲労レベルが連続して低下していることを示している。
【0130】
ここで、例えば、前々回、前回、今回の疲労レベルが「+2」、「+1」、「0」のように変化している場合、今回の疲労レベルは「0」なので疲労レベルは平均レベルであるが、このままの状態が続くと疲労や炎症がひどくなって怪我をする等の虞があるため、連続低下表示領域86に連続低下している旨が表示される。これにより、ユーザーに注意を促すことができ、怪我等を未然に防ぐことが可能となる。
【0131】
アドバイス情報表示領域88には、
図3のステップS126で決定したアドバイス情報が表示される。
図8の例では、全身の疲労レベルが「−1」、体水分レベルが「+1」に対応するアドバイス情報が表示されている。なお、部位毎に
図7に示すようなアドバイス情報テーブルデータを予め記憶部36に記憶しておいた場合には、部位毎にアドバイス情報を表示するようにしてもよい。
【0132】
なお、体重、コンディション情報、及びアドバイス情報を、通信部38を介して例えばスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、及びパーソナルコンピュータ等の外部装置に出力し、当該外部装置にコンディション表示画面80を表示させるようにしてもよい。
【0133】
ステップS130では、終了処理を実行する。終了処理は、ステップS112で体重を表示させた後、または、ステップS128で
図8に示すコンディション表示画面80を一定時間表示させた後に、体組成計10の電源をオフする処理である。
【0134】
このように、本実施形態では、リアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rの過去の測定値から算出した平均値及び標準偏差に基づいて複数の基準線を設定し、設定した複数の基準線に基づいて体水分レベル及び疲労レベルを判定する。従来は、リアクタンス成分Xとレジスタンス成分Rとの比X/Rを用いてコンディションを判定するため、例えば体水分レベルが変化してリアクタンス成分Xとレジスタンス成分Rが変化しても、比X/Rが変化していない場合は体水分レベルの変化を捉えることができない。これに対して、本実施形態では、上記のように体水分レベル及び疲労レベルを判定するため、比X/Rが変化しない場合であっても体水分レベル及び疲労レベルの変化を捉えることができ、精度良く体水分レベル及び疲労レベルを判定することができる。
【0135】
また、例えば全身の体水分レベルを判定する場合において、例えば左脚に炎症があるような場合に左半身の生体インピーダンス情報のみを用いて体水分レベルを判定すると、実際は全身の体水分量が不足している場合でも、左脚の炎症の影響で浮腫がある、すなわち体水分量が増加しており、体水分レベルが高いと誤判定してしまう場合がある。これに対し、本実施形態では、左半身及び右半身の生体インピーダンス情報に基づいて全身の体水分レベル及び疲労レベルを判定するので、上記のような誤判定を防ぐことができる。
【0136】
また、体水分レベル及び疲労レベルを同時に評価するため、コンディションを詳細に把握することができる。
【0137】
また、疲労レベルについては全身だけでなく、腕や脚等の部位毎に判定するため、具体的にどの部位を注意すればよいかを把握することができ、コンディション管理が容易となる。従って、本発明は、スポーツを実施する者だけでなく、高齢者の体調管理、リハビリを実施する者の回復の評価にも有用である。
【0138】
なお、本実施形態では、体組成計10が、右足の爪先用である右爪先電極12R、左足の爪先用である左爪先電極12L、右足の踵用である右踵電極14R、及び左足の踵用である左踵電極14L、右手の掌用である右掌電極16R、左手の掌用である左掌電極16L、右手の指先用である右指先電極18R、及び左手の指先用である左指先電極18L、の8個の電極を備えた構成の体組成計10について説明したが、4個の電極を備えた構成の体組成計についても本発明を適用可能である。
【0139】
この場合、例えば掌用及び手の指先用の電極を省略し、右足の爪先用である右爪先電極12R、左足の爪先用である左爪先電極12L、右足の踵用である右踵電極14R、及び左足の踵用である左踵電極14Lの4個の電極を備えた構成とする。
【0140】
そして、両足間の生体インピーダンス情報を測定し、測定した両足間の生体インピーダンス情報を全身の生体インピーダンス情報とする。
【0141】
両足間の生体インピーダンス情報の測定では、右足の爪先と左足の爪先との間に交流電流を流し、右足の踵と左足の踵との間の電圧を測定する。従って、交流電流を出力する電極を右爪先電極12R及び左爪先電極12Lに切り替えるように切替回路44に指示し、交流電流を切替回路44に出力するように電流回路42に指示する。これにより、交流電流が、右爪先電極12Rと左爪先電極12Lとの間を流れる。
【0142】
また、電圧を測定する電極を右踵電極14R及び左踵電極14Lに切り替えるように切替回路52に指示し、右踵電極14Rと左踵電極14Lとの間に発生した電圧を測定するよう生体インピーダンス測定部32に指示する。そして、生体インピーダンス測定部32により測定された右踵電極14Rと左踵電極14Lとの間に発生した電圧の電圧値と、右爪先電極12Rと左爪先電極12Lとの間に流した交流電流の電流値と、に基づいて、両足間のリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rを算出し、記憶部36に記憶する。そして、疲労レベルについては全身についてのみ
図3の処理を実行する点が8個の電極を備えた構成の場合と異なる。
【0143】
また、測定した体重及び生体インピーダンス情報を、通信部38を介して例えばスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、及びパーソナルコンピュータ等の外部装置に送信し、当該外部装置で
図3、5、6の処理を実行するようにしてもよい。この場合、
図3のステップS102は体組成計10から体重を受信する処理、ステップS104は体組成計10から生体インピーダンス情報を受信する処理とすればよい。これにより、スマートフォン等の外部装置を身体情報処理装置として機能させることができる。
【0144】
また、本実施形態では、生体インピーダンス情報としてリアクタンス成分X及びレジスタンス成分Rを用いた場合について説明したが、リアクタンス成分Xとレジスタンス成分Rとの比X/Rと、低周波の交流電流、例えば5kHzの交流電流を身体に流して測定された生体インピーダンスZ
Lと高周波の交流電流、例えば250kHzの交流電流を身体に流して測定された生体インピーダンスZ
Hの比Z
L/Z
Hとは相関があるため、生体インピーダンス情報として低周波の生体インピーダンスZ
L及び高周波の生体インピーダンスZ
Hを用いても良い。