(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
直列に接続された第1の蓄電セル及び第2の蓄電セルの電圧のバランスを、前記第1の蓄電セル及び前記第2の蓄電セルのそれぞれのSOCの設定条件に基づいて補正するバランス補正装置を制御するバランス補正制御部を制御するモジュール制御装置であって、
前記第1の蓄電セル及び前記第2の蓄電セルのそれぞれの劣化状態、電池容量及び温度からなる群から選択される少なくとも1つの電池特性を取得する電池特性取得部と、
前記電池特性取得部により取得された前記少なくとも1つの電池特性に基づいて、前記第1の蓄電セル及び前記第2の蓄電セルのそれぞれのSOCの前記設定条件を決定する設定条件決定部と、
前記第1の蓄電セル及び前記第2の蓄電セルを含む蓄電システムの負荷からの回生電流の発生を示す回生情報を取得する回生情報取得部と、
(a)(i)前記負荷及び前記第1の蓄電セルの間、又は、(ii)前記負荷及び前記第2の蓄電セルの間に直列に接続された第1スイッチング素子のON動作及びOFF動作、並びに、(b)電流を熱に変換する発熱モジュールと、前記負荷及び前記第1スイッチング素子の接続点との間に直列に接続された第2スイッチング素子のON動作及びOFF動作を管理するモジュール制御部と、
を備え、
前記発熱モジュールは、前記バランス補正装置とは異なり、
前記モジュール制御部は、前記回生情報取得部が前記回生情報を取得した場合に、前記第1スイッチング素子をOFF動作させ、前記第2スイッチング素子をON動作させ、
前記設定条件決定部は、前記第1の蓄電セル及び前記第2の蓄電セルを含む前記蓄電システムの用途に基づいて、前記第1の蓄電セル又は前記第2の蓄電セルの前記設定条件を決定し、
前記設定条件決定部は、
(a)前記蓄電システムが、前記蓄電システムの負荷の発動時に前記第1の蓄電セル及び前記第2の蓄電セルにより、パルス状の放電電流を発生させる用途に用いられる場合、
前記第1の蓄電セル若しくは前記第2の蓄電セルの劣化状態が進行しているほど、前記第1の蓄電セル若しくは前記第2の蓄電セルの温度が低いほど、又は、前記第1の蓄電セル若しくは前記第2の蓄電セルの電池容量が小さいほど、前記第1の蓄電セル又は前記第2の蓄電セルのSOCが大きくなるように、前記設定条件を決定し、
(b)前記蓄電システムが、前記第1の蓄電セル及び前記第2の蓄電セルに、前記負荷からのパルス状の回生電流が印加される用途に用いられる場合、
前記設定条件決定部は、前記第1の蓄電セル若しくは前記第2の蓄電セルの劣化状態が進行しているほど、前記第1の蓄電セル若しくは前記第2の蓄電セルの温度が低いほど、又は、前記第1の蓄電セル若しくは前記第2の蓄電セルの電池容量が小さいほど、前記第1の蓄電セル又は前記第2の蓄電セルのSOCが小さくなるように、前記設定条件を決定する、
バランス補正制御部を制御するモジュール制御装置。
直列に接続された第1の蓄電セル及び第2の蓄電セルの電圧のバランスを、前記第1の蓄電セル及び前記第2の蓄電セルのそれぞれのSOCの設定条件に基づいて補正するバランス補正装置を制御するバランス補正制御部を制御するモジュール制御装置であって、
前記第1の蓄電セル及び前記第2の蓄電セルのそれぞれの劣化状態、電池容量及び温度からなる群から選択される少なくとも1つの電池特性を取得する電池特性取得部と、
前記電池特性取得部により取得された前記少なくとも1つの電池特性に基づいて、前記第1の蓄電セル及び前記第2の蓄電セルのそれぞれのSOCの前記設定条件を決定する設定条件決定部と、
前記第1の蓄電セル及び前記第2の蓄電セルを含む蓄電システムの負荷の発動を示す発動情報を取得する発動情報取得部と、
(a)(i)前記負荷及び前記第1の蓄電セルの間、又は、(ii)前記負荷及び前記第2の蓄電セルの間に直列に接続された第1スイッチング素子のON動作及びOFF動作、並びに、(b)前記負荷に電力を供給する電源と、前記負荷及び前記第1スイッチング素子の接続点との間に直列に接続された第2スイッチング素子のON動作及びOFF動作を管理するモジュール制御部と、
を備え、
前記電源は、前記第1の蓄電セル及び前記第2の蓄電セルとは異なり、
前記モジュール制御部は、前記発動情報取得部が前記発動情報を取得した場合に、前記第1スイッチング素子をOFF動作させ、前記第2スイッチング素子をON動作させ、
前記設定条件決定部は、前記第1の蓄電セル及び前記第2の蓄電セルを含む前記蓄電システムの用途に基づいて、前記第1の蓄電セル又は前記第2の蓄電セルの前記設定条件を決定し、
前記設定条件決定部は、
(a)前記蓄電システムが、前記蓄電システムの負荷の発動時に前記第1の蓄電セル及び前記第2の蓄電セルにより、パルス状の放電電流を発生させる用途に用いられる場合、
前記第1の蓄電セル若しくは前記第2の蓄電セルの劣化状態が進行しているほど、前記第1の蓄電セル若しくは前記第2の蓄電セルの温度が低いほど、又は、前記第1の蓄電セル若しくは前記第2の蓄電セルの電池容量が小さいほど、前記第1の蓄電セル又は前記第2の蓄電セルのSOCが大きくなるように、前記設定条件を決定し、
(b)前記蓄電システムが、前記第1の蓄電セル及び前記第2の蓄電セルに、前記負荷からのパルス状の回生電流が印加される用途に用いられる場合、
前記設定条件決定部は、前記第1の蓄電セル若しくは前記第2の蓄電セルの劣化状態が進行しているほど、前記第1の蓄電セル若しくは前記第2の蓄電セルの温度が低いほど、又は、前記第1の蓄電セル若しくは前記第2の蓄電セルの電池容量が小さいほど、前記第1の蓄電セル又は前記第2の蓄電セルのSOCが小さくなるように、前記設定条件を決定する、
バランス補正制御部を制御するモジュール制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、図面を参照して、実施形態について説明するが、図面の記載において、同一または類似の部分には同一の参照番号を付して重複する説明を省く場合がある。
【0014】
図1は、蓄電システム100の内部構成の一例を概略的に示す。蓄電システム100は、モータなどの負荷(図示されていない。)に電気的に接続され、当該負荷に電力を供給する(蓄電システムの放電と称する場合がある。)。蓄電システム100は、充電装置(図示されていない。)に電気的に接続され、電気エネルギを蓄積する(蓄電システムの充電と称する場合がある。)。蓄電システム100は、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車、電気二輪車、鉄道車両、飛行機、昇降機、クレーンなどの輸送装置、又は、PC、携帯電話などの電気機器に使用される。
【0015】
本実施形態において、蓄電システム100は、外部端子112と、外部端子114と、蓄電セル120、蓄電セル122、蓄電セル124、蓄電セル126及び蓄電セル128と、状態監視部140と、モジュール制御部150と、バランス補正モジュール160とを備える。バランス補正モジュール160は、バランス補正部162と、バランス補正部164と、バランス補正部166と、バランス補正部168とを有する。
【0016】
蓄電セル120〜蓄電セル128は、複数の蓄電セル又はN個(Nは3以上の整数である。)の蓄電セルの一例であってよい。蓄電セル120〜蓄電セル128のそれぞれは、第1の蓄電セル又は第2の蓄電セルの一例であってよい。状態監視部140は、電池特性取得部の一例であってよい。モジュール制御部150は、バランス補正制御装置又はバランス補正システムの一例であってよい。モジュール制御部150は、管理部の一例であってよい。
【0017】
モジュール制御部150及びバランス補正モジュール160を備えたシステムは、バランス補正システムの一例であってよい。バランス補正モジュール160及びバランス補正部162〜バランス補正部168のそれぞれは、バランス補正装置の一例であってよい。バランス補正部162〜バランス補正部168は、複数のバランス補正部又N個(Nは2以上の整数である。)のバランス補正部の一例であってよい。
【0018】
なお、「電気的に接続される」とは、特定の要素と他の要素とが直接接続される場合に限定されない。特定の要素と他の要素との間に、第三の要素が介在してもよい。また、特定の要素と他の要素とが物理的に接続されている場合に限定されない。例えば、変圧器の入力巻線と出力巻線とは物理的には接続されていないが、電気的には接続されている。さらに、特定の要素と他の要素とが現実に電気的に接続されている場合だけでなく、蓄電セルとバランス補正部とが電気的に接続されたときに、特定の要素と他の要素とが電気的に接続される場合をも含む。また、「直列に接続される」とは、特定の要素と他の要素とが直列に電気的に接続されることを示し、「並列に接続される」とは、特定の要素と他の要素とが並列に電気的に接続されることを示す。
【0019】
外部端子112及び外部端子114は、負荷、充電装置などのシステム外部の装置と、蓄電システム100とを電気的に接続する。蓄電セル120〜蓄電セル128は、直列に接続される。蓄電セル120〜蓄電セル128の少なくとも1つは、二次電池またはキャパシタであってよい。蓄電セル120〜蓄電セル128の少なくとも1つは、リチウムイオン電池であってよい。蓄電セル120〜蓄電セル128の少なくとも1つは、当該蓄電セルの内部に、さらに直列又は並列に接続された複数の蓄電セルを含んでもよい。
【0020】
本実施形態において、状態監視部140は、蓄電セル120〜蓄電セル128のそれぞれの状態を監視する。状態監視部140は、蓄電セル120〜蓄電セル128のそれぞれについて、蓄電セルの状態に関する情報を収集してよい。状態監視部140は、収集された情報をモジュール制御部150に送信してよい。
【0021】
蓄電セルの状態に関する情報としては、蓄電セルの電圧値、蓄電セルを流れる電流値、蓄電セルの電池容量、蓄電セルの温度、蓄電セルの劣化状態、蓄電セルのSOC(State Of Charge)などを例示することができる。蓄電セルの状態は、電池特性の一例であってよい。
【0022】
蓄電セルの電池容量としては、満充電状態における電池容量、蓄電セルの定格電池容量(定格容量と称される場合がある。)などを例示することができる。蓄電セルの温度は、蓄電セルの内部又は表面の温度であってもよく、蓄電セルの周囲の空間又は蓄電セルの周囲に配された部材の温度であってもよい。蓄電セルの温度を測定するセンサは、蓄電セル毎に配されてもよく、1つのセンサにより測定された温度を、複数の蓄電セルの温度として取り扱ってもよい。
【0023】
蓄電セルの劣化状態は、例えば、SOH(State Of Health)により表される。蓄電セルのSOH[%]は、劣化時の満充電容量[Ah]÷初期の満充電容量[Ah]×100として表される。蓄電セルのSOHの算出方法又は推算方法は特に限定されるものではないが、例えば、状態監視部140は、蓄電セルの直流抵抗値に基づいて、蓄電セルのSOHを決定する。状態監視部140は、蓄電セルの開放電圧値に基づいて、蓄電セルのSOHを決定してもよい。
【0024】
蓄電セルのSOC[%]は、残容量[Ah]÷満充電容量[Ah]×100として表される。蓄電セルのSOCの算出方法又は推算方法は特に限定されるものではないが、例えば、状態監視部140は、蓄電セルの電圧の測定結果に基づいて、蓄電セルのSOCを決定する。状態監視部140は、蓄電セルの電圧のI−V特性データに基づいて、蓄電セルのSOCを決定してもよい。状態監視部140は、蓄電セルの電流値の積算値に基づいて、蓄電セルのSOCを決定してもよい。
【0025】
本実施形態において、状態監視部140は、外部端子112、外部端子114、接続点132、接続点134、接続点136及び接続点138と電気的に接続される。状態監視部140は、バランス補正モジュール160と同一のチップに形成されてもよく、バランス補正モジュール160とは別のチップに形成されてもよい。
【0026】
モジュール制御部150は、バランス補正モジュール160、又は、バランス補正部162〜バランス補正部168のそれぞれの動作を制御する。本実施形態において、モジュール制御部150は、状態監視部140から、蓄電セル120〜蓄電セル128のそれぞれの状態に関する情報を受信する。モジュール制御部150は、蓄電セル120〜蓄電セル128のそれぞれの状態に関する情報に基づいて、蓄電セル120〜蓄電セル128のそれぞれのSOCの設定条件を決定する。設定条件としては、設定値(目標値と称される場合がある。)、設定値の範囲(設定範囲と称される場合がある。)などを例示することができる。
【0027】
本実施形態において、モジュール制御部150は、決定されたSOCの設定条件に基づいて、バランス補正部162〜バランス補正部168のそれぞれを制御するためのモジュール制御信号12〜18を生成する。モジュール制御信号12〜18のそれぞれは、対応するバランス補正部の補正動作の対象となる2つの蓄電セル(動作対象セルと称する場合がある。)の電圧差又は電圧比を示す信号、対応するバランス補正部が動作するタイミングを制御する信号、SOCの設定条件を示す信号、対応するバランス補正部による電荷の移動速度を制御する信号及び対応するバランス補正部の動作モードを規定する信号の少なくとも1つを含んでよい。
【0028】
バランス補正部の動作モードとしては、(1)動作対象セルのうち電圧又はSOCの値が大きな方の蓄電セルから、他方の蓄電セルに電荷を移動させる通常モード、(2)動作対象セルのうち外部端子112側の蓄電セルから、他方の蓄電セルに電荷を移動させる順方向モード及び(3)動作対象セルのうち外部端子114側の蓄電セルから、他方の蓄電セルに電荷を移動させる逆方向モード、(4)補正動作を停止する停止モードを例示することができる。
【0029】
モジュール制御部150は、ハードウエアにより実現されてもよく、ソフトウエアにより実現されてもよい。また、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。例えば、モジュール制御部150は、CPU、ROM、RAM、通信インターフェース等を有するデータ処理装置等を備えた一般的な情報処理装置において、バランス補正モジュール160などを制御するためのプログラムが実行されることにより実現されてよい。
【0030】
コンピュータにインストールされ、コンピュータを本実施形態に係るモジュール制御部150の一部として機能させるプログラムは、モジュール制御部150の各部の動作を規定したモジュールを備えてよい。これらのプログラム又はモジュールは、CPU等に働きかけて、コンピュータを、モジュール制御部150の各部としてそれぞれ機能させる。
【0031】
これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータに読込まれることにより、ソフトウエアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段として機能する。これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータの使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の装置を構築することができる。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。
【0032】
バランス補正モジュール160は、蓄電システム100の充電サイクル及び放電サイクルの少なくとも一方の間に、モジュール制御部150からの信号に基づいて、蓄電セル120〜蓄電セル128の間で電荷を移動させる。バランス補正モジュール160は、1つのチップにより構成されていてもよく、複数のチップにより構成されていてもよい。
【0033】
バランス補正部162〜バランス補正部168のそれぞれは、動作対象セルの電圧又はSOCのバランスを補正する。バランス補正部162〜バランス補正部168のそれぞれは、2つの蓄電セルの電圧又はSOCのバランスを、当該2つの蓄電セルのそれぞれのSOCの設定条件に基づいて補正してよい。
【0034】
バランス補正部162〜バランス補正部168の動作原理は特に限定されるものではないが、バランス補正部162〜バランス補正部168のそれぞれは、例えば、アクティブ方式のバランス補正装置である。アクティブ方式のバランス補正部は、特開2006−067742号公報に記載されているような、2つの蓄電セルの間でインダクタを介して電荷を移動させるバランス補正部であってもよく、特開2012−210109号公報に記載されているような、キャパシタを用いて電荷を移動させるバランス補正部であってもよい。バランス補正部162〜バランス補正部168のそれぞれは、パッシブ方式のバランス補正装置であってもよい。パッシブ方式のバランス補正装置は、例えば、外部抵抗を用いて余計な電荷を放出する。
【0035】
バランス補正部162は、モジュール制御信号12に基づいて動作し、蓄電セル120及び蓄電セル122の電圧又はSOCのバランスを補正する。例えば、バランス補正部162がインダクタを介して電荷を移動させる回路である場合、バランス補正部162は、第1の端子、第2の端子及び第3の端子と、信号入力端子とを有してよい。第1の端子は、蓄電セル120の外部端子112側の端子と電気的に接続され、第2の端子は、蓄電セル122の外部端子114側の端子と電気的に接続され、第3の端子は、蓄電セル120及び蓄電セル122の接続点132と電気的に接続される。また、信号入力端子には、モジュール制御部150からのモジュール制御信号12が入力される。
【0036】
同様にして、バランス補正部164は、モジュール制御信号14に基づいて動作し、蓄電セル122および蓄電セル124の電圧又はSOCのバランスを補正する。バランス補正部166は、モジュール制御信号16に基づいて動作し、蓄電セル124および蓄電セル126の電圧又はSOCのバランスを補正する。バランス補正部168は、モジュール制御信号18に基づいて動作し、蓄電セル126および蓄電セル128の電圧を補正する。
【0037】
本実施形態において、バランス補正部の外部に配されたモジュール制御部150が、複数のバランス補正部におけるSOCの設定値を決定する場合について説明した。他の実施形態において、複数のバランス補正部のそれぞれが、モジュール制御部150と同様の部材を有し、当該バランス補正部におけるSOCの設定値を決定してよい。
【0038】
図2は、バランス補正部164の内部構成の一例を概略的に示す。なお、バランス補正部162、バランス補正部166及びバランス補正部168も、バランス補正部164と同様の内部構成を有してよい。
【0039】
本実施形態において、バランス補正部164は、補正制御部210と、補正作動部220とを備える。補正作動部220は、インダクタ250と、スイッチング素子252と、スイッチング素子254と、ダイオード262と、ダイオード264とを有する。なお、バランス補正部164は、蓄電セル122及び蓄電セル124のそれぞれの電圧を検知する電圧検知部(図示されていない。)を備えてもよい。補正制御部210は、制御部の一例であってよい。補正作動部220は、バランス補正装置の一例であってよい。
【0040】
本実施形態において、バランス補正部164は、蓄電セル122の正極側と、蓄電セル122の負極側及び蓄電セル124の正極側の接続点134と、蓄電セル124の負極側とに電気的に接続される。これにより、蓄電セル122と、スイッチング素子252と、インダクタ250とを含む第1の開閉回路が形成される。また、蓄電セル124と、インダクタ250と、スイッチング素子254とを含む第2の開閉回路が形成される。蓄電セル122及び蓄電セル124は、隣接する2つの蓄電セルの一例であってよい。
【0041】
補正制御部210は、補正作動部220の動作を制御する。補正制御部210は、スイッチング素子252のオン・オフ動作を制御する補正制御信号22をスイッチング素子252に供給する。補正制御部210は、スイッチング素子254のオン・オフ動作を制御する補正制御信号24をスイッチング素子254に供給する。
【0042】
補正制御部210は、予め定められた周期のパルス列を発生するパルス発生器により、補正制御信号22及び補正制御信号24を生成してよい。パルス発生器は、補正制御信号22及び補正制御信号24の少なくとも一方のデューティ比を可変制御する可変パルス発生器であってもよい。デューティ比は、方形波の周期に対するON期間の割合として算出することができる。
【0043】
補正制御部210は、スイッチング素子252及びスイッチング素子254が交互にオン・オフ動作を繰り返すように補正制御信号22及び補正制御信号24を供給してよい。これにより、第1の開閉回路に電流が流れている状態と、第2の開閉回路に電流が流れている状態とが交互に切り替わるスイッチング動作が繰り返される。
【0044】
補正制御部210は、バランス補正部164がスイッチング動作を予め定められた周期で繰り返すように、スイッチング素子252及びスイッチング素子254に対して、補正制御信号22及び補正制御信号24を供給してよい。ここで、「予め定められた周期」とは、スイッチング動作の繰り返しの周期が予め設定されている場合だけなく、何らかの制御によって当該周期を変動させる場合を含む。例えば、特定のアルゴリズムに基づいて次のサイクルにおける周期を決定する場合も含まれる。
【0045】
本実施形態において、スイッチング動作は、スイッチング素子252及びスイッチング素子254の一方のスイッチング素子がオン動作し、他方のスイッチング素子がオフ動作する第1の動作と、当該一方のスイッチング素子がオフ動作し、当該他方のスイッチング素子がオン動作する第2の動作とを含んでよい。スイッチング動作は、第1の動作及び第2の動作に加えて、スイッチング素子252及びスイッチング素子254の両方がオフ動作する第3の動作を含んでよい。第1の動作、第2の動作及び第3の動作の順序は、任意に決定されてよいが、第1の動作に引き続いて第2の動作が実施されることが好ましい。なお、スイッチング動作は、他の動作を含んでもよい。
【0046】
補正制御部210は、モジュール制御部150からモジュール制御信号14を受信する。補正制御部210は、モジュール制御信号14に基づいて、補正動作の開始及び停止の少なくとも一方を決定してよい。
【0047】
一実施形態において、モジュール制御信号14は、バランス補正部164の動作モードを規定する信号(モード選択信号と称する場合がある。)を含む。例えば、モード選択信号により、通常モード、順方向モード又は逆方向モードが選択されている場合、補正制御部210は、バランス補正部164が、モード選択信号によって選択された動作モードで動作するように補正制御信号22及び補正制御信号24を生成して、バランス補正部164の補正動作を開始させる。例えば、モード選択信号により、停止モードが選択されている場合、補正制御部210は、スイッチング素子252をオフ動作させるための補正制御信号22と、スイッチング素子254をオフ動作させるための補正制御信号24とを生成して、バランス補正部164の補正動作を停止させる。
【0048】
他の実施形態において、モジュール制御信号14は、蓄電セル122のSOC又は電圧の設定条件と、蓄電セル124のSOC又は電圧の設定条件とを含む。蓄電セル122の電圧の設定条件は、蓄電セル122のSOCの設定条件に基づいて決定されてもよい。これにより、蓄電セル122の電圧を調整することで、蓄電セル122のSOCを調整することができる。補正制御部210は、例えば、状態監視部140から、蓄電セル122のSOC又は電圧と、蓄電セル124のSOC又は電圧とを取得する。補正制御部210は、状態監視部140から取得した蓄電セル122のSOC又は電圧が、モジュール制御信号14に含まれる蓄電セル122のSOC又は電圧の設定条件を満足し、状態監視部140から取得した蓄電セル124のSOC又は電圧が、モジュール制御信号14に含まれる蓄電セル124のSOC又は電圧の設定条件を満足する場合に、バランス補正部164を作動させ、それ以外の場合に、バランス補正部164を停止させる。
【0049】
補正制御部210は、モジュール制御信号14に基づいて、補正制御信号22及び補正制御信号24を生成してよい。例えば、補正制御部210は、モジュール制御信号14に基づいて、補正制御信号22及び補正制御信号24のデューティ比を決定し、当該デューティ比を有する補正制御信号22及び補正制御信号24を生成する。
【0050】
一実施形態において、モジュール制御信号14は、蓄電セル122のSOCの設定条件と、蓄電セル124のSOCの設定条件とを含む。例えば、補正制御部210は、蓄電セル122のSOCが、モジュール制御信号14に含まれる蓄電セル122のSOCの設定条件を満足し、蓄電セル124のSOCが、モジュール制御信号14に含まれる蓄電セル124のSOCの設定条件を満足するように、補正制御信号22及び補正制御信号24のデューティ比を決定する。
【0051】
他の実施形態において、モジュール制御信号14は、蓄電セル122の電圧の設定条件と、蓄電セル124の電圧の設定条件とを含む。補正制御部210は、蓄電セル122の電圧が、モジュール制御信号14に含まれる蓄電セル122の電圧の設定条件を満足し、蓄電セル124のSOCが、蓄電セル124の電圧の設定条件を満足するように、補正制御信号22及び補正制御信号24のデューティ比を決定する。
【0052】
蓄電セル122の電圧の設定条件は、補正動作が完了した時点における蓄電セル122の電圧値又は当該電圧の範囲であってもよく、補正動作が完了した時点における蓄電セル122及び蓄電セル124の電圧差又は電圧比であってもよい。同様に、蓄電セル124の電圧の設定条件は、補正動作が完了した時点における蓄電セル124の電圧値又は当該電圧の範囲であってもよく、補正動作が完了した時点における蓄電セル122及び蓄電セル124の電圧差又は電圧比であってもよい。
【0053】
他の実施形態において、モジュール制御信号14は、補正制御信号22及び補正制御信号24のデューティ比を示す情報を含む。補正制御部210は、モジュール制御信号14に含まれる補正制御信号22及び補正制御信号24のデューティ比を示す情報に基づいて、補正制御信号22及び補正制御信号24のデューティ比を決定する。
【0054】
インダクタ250は、蓄電セル122とスイッチング素子252との間に、蓄電セル122及びスイッチング素子252に直列に接続され、蓄電セル122と蓄電セル124との間で電荷を移動させる。本実施形態において、インダクタ250の一端は、蓄電セル122及び蓄電セル124の接続点134に電気的に接続される。インダクタ250の他端は、スイッチング素子252及びスイッチング素子254の接続点245に電気的に接続される。
【0055】
スイッチング素子252及びスイッチング素子254が、交互にオン動作及びオフ動作(オン・オフ動作という場合がある。)を繰り返すことで、インダクタ250にインダクタ電流I
Lが生じる。これにより、蓄電セル122と蓄電セル124との間でインダクタを介して電気エネルギを授受することができる。その結果、蓄電セル122及び蓄電セル124の電圧又はSOCのバランスを補正することができる。
【0056】
スイッチング素子252は、インダクタ250の他端と蓄電セル122の正極側との間に電気的に接続される。スイッチング素子252は、補正制御部210から補正制御信号22を受信して、補正制御信号22に基づいてオン動作又はオフ動作を行う。これにより、第1の開閉回路を開閉する。スイッチング素子252は、MOSFETなどのトランジスタであってよい。
【0057】
スイッチング素子254は、インダクタ250の他端と蓄電セル124の負極側との間に電気的に接続される。スイッチング素子254は、補正制御部210から補正制御信号24を受信して、補正制御信号24に基づきオン動作又はオフ動作を行う。これにより、第2の開閉回路を開閉する。スイッチング素子254は、MOSFETなどのトランジスタであってよい。
【0058】
ダイオード262は、スイッチング素子252と並列に配され、インダクタ250の他端から蓄電セル122の正極側への方向に電流を流す。ダイオード264は、スイッチング素子254と並列に配され、蓄電セル124の負極側からインダクタ250の他端への方向に電流を流す。ダイオード262及びダイオード264は、MOSFETのソース・ドレイン間に等価的に形成される寄生ダイオードであってよい。
【0059】
ダイオード262及びダイオード264を設けることで、スイッチング素子252及びスイッチング素子254が共にオフ状態となった期間にインダクタ電流I
Lが残留した場合であっても、当該インダクタ電流I
Lがダイオード262又はダイオード264を通して流れ続けることができる。これにより、インダクタ250に一旦生じたインダクタ電流I
Lを無駄なく利用することができる。また、インダクタ電流I
Lを遮断した場合に生じるサージ電圧の発生を抑制することができる。
【0060】
本実施形態において、バランス補正部164の補正制御部210が、補正制御信号22及び補正制御信号24を生成する場合について説明した。しかし、バランス補正部164は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、バランス補正部164は、補正制御部210を有しなくてもよい。この場合、例えば、モジュール制御部150が、補正制御信号22及び補正制御信号24を生成し、生成された補正制御信号22及び補正制御信号24が、スイッチング素子252及びスイッチング素子254に送信されてよい。
【0061】
本実施形態において、モジュール制御部150がモジュール制御信号14を生成し、補正制御部210がモジュール制御信号14に基づいて補正制御信号22及び補正制御信号24を生成する場合について説明した。しかし、バランス補正部164は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、補正制御部210は、状態監視部140から情報を受け取り、受け取った情報に対してモジュール制御部150と同様の処理を実行することで、補正制御信号22及び補正制御信号24を生成してよい。
【0062】
本実施形態において、バランス補正部164が蓄電セル122及び蓄電セル124の電圧を補正する場合について説明した。しかし、バランス補正部164は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、バランス補正部164は、蓄電セル122及び蓄電セル128のように、隣接していない2つの蓄電セルの電圧を補正してもよい。この場合、インダクタ250の一端は、蓄電セル122及び蓄電セル128の接続点と接続される。また、スイッチング素子254は、インダクタ250の他端と蓄電セル128の負極側との間に電気的に接続される。
【0063】
他の実施形態において、バランス補正部164は、蓄電セル122及び蓄電セル124の直列電圧と、蓄電セル124及び蓄電セル126の直列電圧とを補正してよい。この場合、インダクタ250の一端は、蓄電セル122及び蓄電セル124の接続点134と接続される。また、スイッチング素子252は、インダクタ250の他端と蓄電セル120の正極側との間に電気的に接続され、スイッチング素子254は、インダクタ250の他端と蓄電セル126の負極側との間に電気的に接続される。
【0064】
図3は、補正制御信号22及び補正制御信号24の一例を概略的に示す。
図3に示すとおり、補正制御信号22及び補正制御信号24は、スイッチング素子252及びスイッチング素子254が交互にオン・オフ動作を繰り返すように提供される。本実施形態において、補正制御信号22のデューティ比は、クロック周期T
1に対するON時間T
2の比(T
2/T
1)として表される。また、補正制御信号24のデューティ比は、クロック周期T1に対するON時間(T
1−T
2)の比((T
1−T
2)/T
1)として表される。
【0065】
図4は、モジュール制御部150の内部構成の一例を概略的に示す。本実施形態において、モジュール制御部150は、制御条件格納部412と、電池特性取得部414と、設定条件決定部416と、SOC取得部418と、回生情報取得部422と、発動情報取得部424と、制御信号生成部426とを備える。モジュール制御部150の各部は、互いに情報を送受してよい。制御信号生成部426は、制御部又は管理部の一例であってよい。本実施形態においては、主に、モジュール制御部150が、バランス補正部164を制御するためのモジュール制御信号14を生成する場合を例として、モジュール制御部150の各部について説明する。
【0066】
制御条件格納部412は、制御条件を格納する。制御条件は、制御信号生成部426が各種の制御信号を生成する場合における判断基準を示す情報であってよい。一実施形態において、制御条件は、蓄電セル120〜蓄電セル128のそれぞれに対して、蓄電セル120〜蓄電セル128のそれぞれの蓄電セルの状態と、蓄電セル120〜蓄電セル128のそれぞれのSOCの設定条件との対応関係を示す情報(対応情報と称する場合がある。)を含む。制御条件は、複数の対応情報を含んでよい。対応情報は、データテーブルであってもよく、関数であってもよい。
【0067】
電池特性取得部414は、動作対象セルのそれぞれについて、蓄電セルの状態に関する情報を取得する。本実施形態において、電池特性取得部414は、状態監視部140から、蓄電セル122及び蓄電セル124のそれぞれの劣化状態、電池容量及び温度からなる群から選択される少なくとも1つの電池特性を取得する。電池特性取得部414は、状態監視部140から取得した蓄電セルの状態に関する情報に基づいて、蓄電セル122及び蓄電セル124のそれぞれの劣化状態、電池容量及び温度からなる群から選択される少なくとも1つの電池特性を算出することで、当該少なくとも1つの電池特性を取得してもよい。
【0068】
設定条件決定部416は、動作対象セルのそれぞれについて、対応するバランス補正部におけるSOCの設定条件を決定する。本実施形態において、設定条件決定部416は、電池特性取得部414により取得された少なくとも1つの電池特性に基づいて、補正制御部210における、蓄電セル122及び蓄電セル124のそれぞれのSOCの設定条件を決定する。例えば、設定条件決定部416は、電池特性取得部414により取得された少なくとも1つの電池特性と、制御条件格納部412に格納された制御条件とに基づいて、補正制御部210における、蓄電セル122及び蓄電セル124のそれぞれのSOCの設定条件を決定する。
【0069】
一実施形態において、設定条件決定部416は、まず、対応情報が格納されたデータテーブルを参照して、電池特性取得部414により取得された蓄電セル122の電池特性に合致する蓄電セル122のSOCの設定条件を抽出する。データテーブルの中に、電池特性取得部414により取得された蓄電セル122の電池特性に合致する蓄電セル122のSOCの設定条件が格納されていない場合、設定条件決定部416は、適切な補間処理を実行することにより、蓄電セル122のSOCの設定条件を決定してよい。次に、設定条件決定部416は、同様の手順により、蓄電セル124のSOCの設定条件を決定する。
【0070】
なお、対応情報が1以上の電池特性の関数である場合、設定条件決定部416は、まず、電池特性取得部414により取得された蓄電セル122の1以上の電池特性を当該関数に代入することにより、蓄電セル122のSOCの設定条件を決定する。次に、設定条件決定部416は、同様の手順により、蓄電セル124のSOCの設定条件を決定する。
【0071】
他の実施形態において、設定条件決定部416は、制御条件格納部412に格納された複数の対応情報の中から選択された対応情報に基づいて、蓄電セル122及び蓄電セル124のそれぞれのSOCの設定条件を決定する。
【0072】
例えば、電池特性取得部414により取得された少なくとも1つの電池特性が、予め定められた第1の条件を満足する場合、電池特性取得部414により取得された少なくとも1つの電池特性と、第1の対応情報とに基づいて、蓄電セル122及び蓄電セル124のそれぞれのSOCの設定条件を決定する。一方、電池特性取得部414により取得された少なくとも1つの電池特性が、予め定められた第2の条件を満足する場合、電池特性取得部414により取得された少なくとも1つの電池特性と、第2の対応情報とに基づいて、蓄電セル122及び蓄電セル124のそれぞれのSOCの設定条件を決定する。なお、第1の条件と、第2の条件とは異なる条件であってよい。
【0073】
予め定められた第1の条件としては、電池特性取得部414により取得された蓄電セル122及び蓄電セル124の特定の電気特性の少なくとも一方が、予め定められた第1の値よりも大きい又は小さいという条件を例示することができる。同様に、予め定められた第2の条件としては、電池特性取得部414により取得された蓄電セル122及び蓄電セル124の特定の電気特性の少なくとも一方が、予め定められた第2の値よりも大きい又は小さいという条件を例示することができる。
【0074】
設定条件決定部416は、蓄電システム100の用途に基づいて、蓄電セル122又は蓄電セル124のSOCの設定条件を決定してよい。一実施形態において、設定条件決定部416は、蓄電セル122又は蓄電セル124の劣化状態が進行しているほど、蓄電セル122又は蓄電セル124のSOCが大きくなるように、設定条件を決定してよい。設定条件決定部416は、蓄電セル122又は蓄電セル124の温度が低いほど、蓄電セル122又は蓄電セル124のSOCが大きくなるように、設定条件を決定してよい。設定条件決定部416は、蓄電セル122又は蓄電セル124の電池容量が小さいほど、蓄電セル122又は蓄電セル124のSOCが大きくなるように、設定条件を決定してよい。
【0075】
例えば、蓄電システム100が、電気自動車又はハイブリッド自動車の電源として利用される場合、電気自動車又はハイブリッド自動車の発車時に、蓄電システム100は、定常運転時と比較して大きなパルス状の放電電流を発生させる。例えば、ハイブリッド自動車においては、発車時にモータを利用することで燃費が大幅に向上する。このように、蓄電システム100が、蓄電システム100に含まれる蓄電セルによりパルス状の放電電流を発生させる用途に用いられる場合、設定条件決定部416は、蓄電セルの設定条件を上記の実施形態のように決定してよい。
【0076】
他の実施形態において、設定条件決定部416は、蓄電セル122又は蓄電セル124の劣化状態が進行しているほど、蓄電セル122又は蓄電セル124のSOCが小さくなるように、設定条件を決定してよい。設定条件決定部416は、蓄電セル122又は蓄電セル124の温度が低いほど、蓄電セル122又は蓄電セル124のSOCが小さくなるように、設定条件を決定してよい。設定条件決定部416は、蓄電セル122又は蓄電セル124の電池容量が小さいほど、蓄電セル122又は蓄電セル124のSOCが小さくなるように、設定条件を決定してよい。
【0077】
例えば、蓄電システム100が、荷物を昇降させるクレーン(crane)における回生エネルギの回収に利用される場合、荷物の下降時に、蓄電システム100には、荷物の上昇時と比較して大きなパルス状の回生電流が印加される。蓄電システム100が回生エネルギを回収し、回収されたエネルギを次回の荷物の上昇に利用することで、エネルギ効率が大幅に向上する。このように、蓄電システム100が、蓄電システム100に含まれる蓄電セルにパルス状の回生電流が印加される用途に用いられる場合、設定条件決定部416は、蓄電セルの設定条件を上記の実施形態のように決定してよい。
【0078】
SOC取得部418は、蓄電セル122及び蓄電セル124のSOCを取得する。例えば、SOC取得部418は、状態監視部140から、蓄電セル122及び蓄電セル124のそれぞれのSOCを取得する。
【0079】
回生情報取得部422は、負荷からの回生電流の発生を示す回生情報を取得する。回生情報取得部422は、負荷から回生電流が発生することを示す信号を受信することで、回生情報を取得してよい。回生情報取得部422は、回生時に発生するパルス状の電流の発生を検出することで、回生情報を取得してよい。
【0080】
発動情報取得部424は、負荷の発動を示す発動情報を取得する。発動情報取得部424は、負荷から、負荷が発動することを示す信号を受信することで、発動情報を取得してよい。発動情報取得部424は、負荷が発動した場合に発生するパルス状の電流の発生を検出することで、発動情報を取得してよい。
【0081】
制御信号生成部426は、モジュール制御信号12〜モジュール制御信号18を生成する。モジュール制御信号12〜モジュール制御信号18のそれぞれは、バランス補正部162〜バランス補正部168のそれぞれの動作を制御する。例えば、モジュール制御信号14は、SOC取得部418により取得された蓄電セル122及び蓄電セル124のそれぞれのSOCが、設定条件決定部416により決定された蓄電セル122及び蓄電セル124のそれぞれのSOCの設定条件を満足するように、バランス補正部164を制御する。
【0082】
本実施形態において、制御信号生成部426は、蓄電システム100と負荷とを電気的に接続するスイッチング素子のON動作及びOFF動作を制御する接続制御信号を生成する。制御信号生成部426は、接続制御信号を生成することで、上記のスイッチング素子のON動作及びOFF動作を管理する。制御信号生成部426は、蓄電セル120〜蓄電セル128の少なくとも1つのSOCに基づいて、上記のスイッチング素子のON動作及びOFF動作を管理してよい。
【0083】
一実施形態において、制御信号生成部426は、回生情報取得部422が回生情報を取得した場合に、上記のスイッチング素子をOFF動作させる接続制御信号を生成する。制御信号生成部426は、蓄電セル120〜蓄電セル128の少なくとも1つのSOCが、予め定められた値よりも大きい場合に、上記のスイッチング素子をOFF動作させる接続制御信号を生成してよい。これにより、蓄電システム100に含まれる蓄電セルの過充電を抑制することができる。
【0084】
他の実施形態において、制御信号生成部426は、発動情報取得部424が発動情報を取得した場合に、上記のスイッチング素子をOFF動作させる接続制御信号を生成する。制御信号生成部426は、蓄電セル120〜蓄電セル128の少なくとも1つのSOCが、予め定められた値よりも小さい場合に、上記のスイッチング素子をOFF動作させる接続制御信号を生成してよい。これにより、蓄電システム100に含まれる蓄電セルの過放電を抑制することができる。
【0085】
図5は、データテーブル500の一例を概略的に示す。データテーブル500は、制御条件格納部412に格納される対応情報の一例であってよい。本実施形態において、データテーブル500は、1以上の蓄電セルのそれぞれに対して、当該蓄電セルの蓄電セルID510と、当該蓄電セルの定格容量520と、当該蓄電セルのSOH530と、当該蓄電セルの温度540と、バランス補正処理における当該蓄電セルのSOCの設定値550とを対応付けて格納する。蓄電セルID510は、1以上の蓄電セルのそれぞれを識別する蓄電セル識別情報の一例であってよい。定格容量520は、電池容量の一例であってよい。SOH530は、劣化状態の一例であってよい。
【0086】
一実施形態において、定格容量520の値が小さいほど、SOCの設定値550の値が大きい。SOH530の値が小さくなるほど、SOCの設定値550の値が大きくなる。また、温度540の値が小さくなるほど、SOCの設定値550の値が大きくなる。他の実施形態において、定格容量520の値が小さいほど、SOCの設定値550の値が小さい。SOH530の値が小さくなるほど、SOCの設定値550の値が小さくなる。また、温度540の値が小さくなるほど、SOCの設定値550の値が小さくなる。
【0087】
なお、データテーブル500は本実施形態に限定されない。他の実施形態において、データテーブル500は、1以上の蓄電セルのそれぞれに対して、当該蓄電セルの蓄電セルID510と、当該蓄電セルの定格容量520、当該蓄電セルのSOH530及び当該蓄電セルの温度540から選択される少なくとも1つと、バランス補正処理における当該蓄電セルのSOCの設定値550とを対応付けて格納する。
【0088】
図6は、蓄電システム600の一例を概略的に示す。蓄電システム600は、負荷60と電気的に接続される。蓄電システム600は、負荷60に電力を供給する。また、蓄電システム600は、負荷60からの回生電流を蓄電する。
【0089】
本実施形態において、負荷60は、送信部62を備える。送信部62は、蓄電システム100に信号64を送信する。一実施形態において、送信部62は、負荷の動作により回生電流が発生する可能性のある場合に、回生電流の発生を示す回生情報を含む信号64を送信する。他の実施形態において、送信部62は、負荷が発動する可能性のある場合に、負荷が発動することを示す発動情報を含む信号64を送信する。
【0090】
本実施形態において、蓄電システム600は、蓄電システム100と、発熱モジュール604と、スイッチング素子612と、スイッチング素子614とを備える。本実施形態において、蓄電システム100のモジュール制御部150は蓄電システム100が負荷60に電力を供給する場合、スイッチング素子612をON動作させ、スイッチング素子614をOFF動作させるための接続制御信号66を送信する。
【0091】
本実施形態において、モジュール制御部150は、回生情報を含む信号64を受信した場合に、スイッチング素子612及びスイッチング素子614に対して、スイッチング素子612をOFF動作させ、スイッチング素子614をON動作させるための接続制御信号66を送信する。モジュール制御部150は、蓄電セル120〜蓄電セル128の少なくとも1つのSOCが、予め定められた値よりも大きい場合に、接続制御信号66を送信してもよい。
【0092】
発熱モジュール604は、電流を熱に変換する。本実施形態において、発熱モジュール604は抵抗素子であり、一方の端部がスイッチング素子614を介して負荷60に接続されており、他方の端部が接地されている。
【0093】
スイッチング素子612は、蓄電システム100と負荷60との間に直列に配される。スイッチング素子612は、接続制御信号66に基づいて、蓄電システム100と負荷60との電気的な接続関係を切り替える。スイッチング素子614は、発熱モジュール604と負荷60との間に直列に配される。スイッチング素子614は、接続制御信号66に基づいて、発熱モジュール604と負荷60との電気的な接続関係を切り替える。
【0094】
蓄電システム600によれば、蓄電システム100に含まれる蓄電セルに過剰な回生電流が流入することを抑制することができる。その結果、蓄電システム100に含まれる蓄電セルの過充電を防止することができる。
【0095】
例えば、蓄電システムがハイブリット自動車に搭載されている場合、回生電流がランダムに発生する。できるだけ多くの回生電流を回収するためには、蓄電システムに含まれる蓄電セルのSOCを比較的小さく維持しながら、当該蓄電システムを運用する必要がある。しかし、蓄電システムに含まれる蓄電セルのSOCが小さくなりすぎると、ハイブリット自動車の発進時に、モータに十分な電力を供給することが難しくなる。モータに十分な電力が供給されない場合、エンジンを始動させて発進することになり、燃費が低下する。
【0096】
本実施形態によれば、過剰な回生電流の蓄電システム100への流入を防止することができるので、蓄電システム100に含まれる蓄電セルのSOCを比較的大きく維持しながら、蓄電システム600を運用することができる。これにより、ハイブリット自動車の発進時に、モータに十分な電力を供給することできる。ハイブリッド自動車においては、発車時にモータを利用することで燃費が大幅に向上する。一方、回生エネルギの一部を回収しない場合であっても、燃費には大きく影響しない。そのため、ハイブリット自動車の電源として蓄電システム600を用いることにより、ハイブリット自動車の燃費を大幅に向上させることができる。また、蓄電システム600を構成する蓄電セルのうちの一部が他の蓄電セルと比較して劣化している場合であっても、蓄電システム600をより有効に利用することができる。
【0097】
図7は、蓄電システム700の一例を概略的に示す。蓄電システム700は、負荷70と電気的に接続される。蓄電システム700は、負荷70に電力を供給する。また、蓄電システム700は、負荷70からの回生電流を蓄電する。本実施形態において、負荷70は、送信部62を備える。
【0098】
本実施形態において、蓄電システム700は、蓄電システム100と、スイッチング素子612と、スイッチング素子614と、電源704とを備える。本実施形態において、電源704は、負荷70と接続され、負荷70に電力を供給する。本実施形態において、スイッチング素子614は、電源704と負荷60との間に直列に配される。スイッチング素子614は、接続制御信号66に基づいて、電源704と負荷60との電気的な接続関係を切り替える。
【0099】
本実施形態において、蓄電システム100のモジュール制御部150は蓄電システム100が負荷70に電力を供給する場合、スイッチング素子612をON動作させ、スイッチング素子614をOFF動作させるための接続制御信号66を送信する。本実施形態において、モジュール制御部150は、回生情報を含む信号64を受信した場合に、スイッチング素子612及びスイッチング素子614に対して、スイッチング素子612をON動作させ、スイッチング素子614をOFF動作させるための接続制御信号66を送信する。
【0100】
これにより、蓄電システム700が回生電流を回収することができる。なお、モジュール制御部150は、蓄電セル120〜蓄電セル128の少なくとも1つのSOCが、予め定められた値よりも大きい場合、スイッチング素子612及びスイッチング素子614に対して、スイッチング素子612をOFF動作させ、スイッチング素子614をON動作させるための接続制御信号66を送信してもよい。
【0101】
本実施形態において、蓄電システム700は、蓄電システム100に含まれる蓄電セルのSOCを比較的小さく維持しながら運用される。これにより、より多くの回生電流を回収することができる。本実施形態において、モジュール制御部150は、蓄電システム100が負荷70に電力を供給する場合において、蓄電セル120〜蓄電セル128の少なくとも1つのSOCが予め定められた値よりも小さい場合には、スイッチング素子612及びスイッチング素子614に対して、スイッチング素子612をOFF動作させ、スイッチング素子614をON動作させるための接続制御信号66を送信する。これにより、電源704から負荷70に電力を供給することができる。
【0102】
例えば、蓄電システムがクレーンに搭載されている場合、蓄電システムが回生電流を回収すればするほど、クレーンのエネルギ効率が向上する。一方、クレーンが荷物を上昇させる場合に使用する電力が、蓄電システムから供給された場合であっても、その他の電源から供給された場合であってもクレーンのエネルギ効率に影響はない。本実施形態によれば、蓄電システム700は、蓄電システム100に含まれる蓄電セルのSOCを比較的小さく維持しながら運用される。これにより、より多くの回生電流を回収することができる。その結果、クレーンのエネルギ効率を向上させることが出来る。
【0103】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。また、技術的に矛盾しない範囲において、特定の実施形態について説明した事項を、他の実施形態に適用することができる。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0104】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。