【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 「af imp.」 第20巻 第9号,通巻第242号,2014年8月9日発行・発売,株式会社交通タイムス社
【文献】
車載カメラシステムカタログ 2014年 Vol.1,アルパイン株式会社・アルパイン マーケティング株式会社,2014年 2月,1,3頁,[検索日2018.11.28],URL,https://www.alpine.co.jp/files/support/catalog/pdf/2014_vol1_camera.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記画像データ記憶部には、一連のガイド画像情報が複数組記憶されており、複数組の何れを使用するかが、作業者のスイッチ操作に基づいて特定されて、予め前記プロパティ記憶部に不揮発的に記憶されるよう構成されている請求項1に記載の運転支援装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
図1は、実施例に係る運転支援装置EQUの回路構成図であり、カーナビ用の表示装置50を搭載した自動車に、市販のバックカメラ51を取り付けて使用できるようにした装置である。なお、電源スイッチのON/OFF操作は不要であり、自動的に電源投入状態となる。
【0014】
この装置EQUによれば、自分好みのバックカメラ51を、自動車の任意位置に取り付けた後、簡単なスイッチ操作だけで初期設定処理を終えることができ、その後のバック駐車時などでは、表示装置50に、バックカメラ51による後方画像に重ねて、最適なガイドラインが表示される。
【0015】
図1に示す通り、この運転支援装置EQUは、バックカメラ51と表示装置50との間に配置され、バックカメラ51から複合信号(コンポジット映像信号)SGを受けるメス型ピンジャックPJで構成された入力端子C1と、表示装置50に複合信号SGを供給するオス型ピンプラグPPで構成された出力端子C2と、を有して構成されている。
【0016】
なお、破線で示すように、バックカメラ51から導出された配線ケーブルのピンプラグPPを、表示装置50から導出されたピンジャックPJに装着することもでき、この場合には、表示装置50に、バックカメラ51からの後方画像だけが表示される。
【0017】
図示の運転支援装置EQUは、装置全体の動作を統括的に制御するワンチップマイコンである管理コンピュータ1と、自動車ステアリングの舵角に対応した一連のガイドライン画像を不揮発的に記憶する画像データメモリ2と、バックカメラ51から受けたコンポジット映像信号SGから抽出した映像信号にガイドライン画像を重ねた映像信号RGB、及び画面制御信号CTLを出力する第1プロセッサ3と、第1プロセッサ3から受けた映像信号RGB、及び画面制御信号CTLを含んだコンポジット映像信号SG’を生成して出力する第2プロセッサ4と、を中心に構成されている。
【0018】
管理コンピュータ1は、32ビット単位のプログラム処理が実行可能なCPU10と、512KB程度の記憶容量を有するフラッシュメモリで構成された管理データメモリ11と、CANプロトコルに対応して動作するCANコントローラ12と、複数ビット長のスイッチ信号を受けるパラレル入力部13と、第1プロセッサ3や第2プロセッサ4とI
2C(Inter-Integrated Circuit)シリアル通信を実現するシリアルIF部14と、検出信号CAN_DETECTを出力するパラレル出力部15と、CPU10の作業領域として使用されるRAM16とを内蔵して構成されている。
【0019】
ここで、CAN(Controller Area Network )プロトコルとは、自動車内部で相互接続された機器において、標準フォーマット(11ビットのID)又は拡張フォーマット(29ビットのID)で、リモートフレームを送信し、データフレームを受け取るデータ転送を実現する規格を意味する。
【0020】
CANプロトコルにおけるデータフレームでは、送信開始を意味するSOF(Start of Frame)と、11ビット又は29ビット長の識別ID(Identifier)と、リモートフレームかデータフレームかを特定するRTR(Remote Transmission Request )と、4ビット長のDLC(Data length code)によって送信データ量(0〜8バイト)を特定するコントロールコードと、を送信した後、これに続くデータフィールドにおいて、0〜8バイト長の可変長データ(CANデータ)を送信している。
【0021】
このようにCANでは、データフィールドにおける送信データ量が可変長である上に、データフィールドにおけるデータ構造が、自動車メーカ毎に異なるので、汎用的な手法では、必要な情報を抽出することはできない。そこで、本実施例では、予め、車種毎にCANデータのデータ構造を解析して、必要データを抽出するための抽出アルゴリズムを構成する解析パラメータを、管理データメモリ11(解析データテーブルANLY)に格納している。本実施例において、CANデータに含まれる必要データには、ハンドルの回転に対応して変化する舵角データと、後方運転状態(バックギア状態)か否かのバックギア情報が含まれている。
【0022】
図1(b)は、その関係を図示したものであり、管理データメモリ11の解析データテーブルANLYには、車種1〜車種mについて、CANデータから舵角データやバックギア情報を抽出するための解析パラメータが格納されている。
【0023】
また、管理データメモリ11には、表示装置に最適なガイドラインを描くための描画パラメータを格納したプロパティテーブルPRも設けられている。図示の通り、プロパティテーブルPRには、表示画面の明度やコントラストだけでなく、バックカメラ51の取付位置に対応して最適設定された描画パラメータや、車種を特定する車種ID(車種x)が含まれている。
【0024】
プロパティテーブルPRの描画パラメータには、ガイドラインを表示する場合における標準位置からの上下左右方向への偏移量や、ガイドラインの表示態様を特定するパターン選択(図示例では4)が含まれている。
【0025】
図1(a)に示す通り、CANコントローラ12は、ECU側のトランシーバと差動信号ライン(CAN_HI,CAN_LOW)でバス接続されたCANトランシーバ5に接続されている。CANコントローラ12とCANトランシーバ5は、具体的には、リモートフレームをECUに送信するためのCAN_TXラインと、ECUからデータフレームを受けるためのCAN_RXラインとで、接続されている。なお、CANトランシーバ5として、例えば、MCP2551 (MICROCHIP 社)が使用される。
【0026】
また、図示の通り、パラレル入力部13は、DIPスイッチ52と、Pushスイッチ53に接続され、各スイッチからのパラレル信号を取得可能に構成されている。ここで、DIPスイッチ52は、6個の接点のON/OFF状態によって車種を特定する用途で使用される。そのため、本実施例では、6ビット長の000000〜111111まで、最高64種類の車種が、DIPスイッチ52によって一意に特定できることになる。
【0027】
また、Pushスイッチ53は、本装置の初期設定処理において、表示装置50のメニュー画面における設定項目の選択や、選択された設定項目の設定値を設定する用途で使用される。後述するように、Pushスイッチ53による具体的な指示内容は、ON時間の違いで特定されるので、片手だけで、初期設定処理を終えることができる。
【0028】
Pushスイッチ53は、一端にピンプラグPPを設けた配線に接続されており、このピンプラグPPは、管理コンピュータ側に配置されたピンジャックPJに着脱可能に装着されている。そして、ピンジャックPJにピンプラグPPが装着されているか否かは、管理コンピュータ1で管理されている。
【0029】
また、シリアルIF部14は、第1プロセッサ3と、第2プロセッサ4に接続されて、I
2Cシリアル通信路を構成している。このI
2Cシリアル通信路は、シリアルデータSDAとシリアルクロックSCLの2本の信号線で構成され、100kbps〜400kbps程度の速度で、マスタ−スレーブ間のシリアル通信を実現している。
【0030】
本実施例では、シリアルIF部14がマスタであり、第1プロセッサ3や第2プロセッサ4に内蔵された制御レジスタ30及び制御レジスタ40がスレーブとなる。そして、管理コンピュータ1(シリアルIF部14)は、制御レジスタ30や制御レジスタ40に、必要な動作パラメータを書き込むことで、第1プロセッサ3や第2プロセッサ4に、所定のデコード動作と、所定のエンコード動作を実行させている。
【0031】
なお、動作パラメータの書き込み動作は、書き込みターゲットとなる制御レジスタを特定する7〜10ビット程度のスレーブアドレスをシリアル送信することに続いて、1バイト単位で動作パラメータをシリアル送信することで実現される。
【0032】
ところで、本実施例では、CANトランシーバ5と、CANコントローラ12とを接続するCAN_RXラインは、レベル検出IC(NJM2072 )などで構成される信号検出部6に接続されている。ここで、信号検出部6は、CAN_RXラインに有意な信号が伝送されるとONレベルの動作制御信号ENを出力し、CAN_RXラインの信号が、所定時間以上継続して消滅状態となると、OFFレベルの動作制御信号ENを出力するよう構成されている。
【0033】
そして、信号検出部6が出力する動作制御信号ENは、バッテリ電圧を受けて5Vレベルの安定化電源を生成する降圧部7に供給されている。降圧部7は、MP1591(MPS )などのStep-Down Converter で構成されており、ONレベルの動作制御信号ENを受けることを条件に降圧動作を実行して、5Vレベルに安定化された直流電圧を出力する。
【0034】
降圧部7が出力する電源電圧は、LM1117(TI)などのLow-Dropout Linear RegulatorRG1〜RG3によって、各々、1.8V,2.5V,3.3Vレベルまで降圧されて、管理コンピュータ1、第1プロセッサ3、及び第2プロセッサ4の電源電圧となる。
【0035】
一般に、バッテリ電圧の標準値は12Vであるが、自動車の運転状態などに応じて、少なからず変動する。しかし、本実施例では、降圧部7やレギュレータRG1〜RG3を配置して電源電圧を安定化しているので、バッテリ電圧12Vの変動に拘わらず、各電子素子を正常に動作させることができる。
【0036】
しかも、本実施例では、信号検出部6がONレベルの動作制御信号ENを出力しない限り、上記した各電源電圧(5V,1.8V,2.5V,3.3V)が生成されないので、バッテリの無駄な消耗が抑制されると共に、管理コンピュータ1、第1プロセッサ3、及び第2プロセッサ4を含む全ての電子素子の経時劣化が効果的に抑制される。
【0037】
但し、CANトランシーバ5、信号検出部6、及び、汎用のデジタルICのスタンバイ電源STBY(5V)は、バッテリ電圧に基づいて、KIA7805AF などの降圧回路RG0(VOLTAGE REGULATOR )によって定常的に生成されているので、CANトランシーバ5や信号検出部6による動作開始時のイニシャル動作に支障が生じることはない。
【0038】
ところで、管理コンピュータ1のパラレル出力部15からは、CAN_RXラインから有意なCANデータが取得されこと、又は、そのCANデータから必要なデータを抽出できたことを示す検出信号CAN_DETECTが出力されるよう構成されている。検出信号CAN_DETECTは、バッファ9を経由してスイッチ回路(FDS6675 )に供給され、スイッチ回路では、検出信号CAN_DETECTのレベルに応じて、直流電圧12Vを出力するか否かの選択動作を実行している。
【0039】
したがって、例えば、装置のメンテナンス時や、解析データテーブルANLYの解析パラメータを追加する本装置のバージョンアップ時には、検出信号CAN_DETECTの電圧レベルを判定することで、CAN_RXラインから有意なCANデータが取得されたか否か、又は、CANデータから舵角データなどの必要データを抽出できたか否かを簡易に確認することできる。
【0040】
図1(a)及び
図1(c)に示す通り、画像データメモリ2には、バック駐車時などに、バックカメラ51から得られる後方画像に重複して表示装置50に表示されるガイドライン用の画像データIMG0〜IMGxや、初期設定時に、後方画像及びガイドラインと共に表示される初期設定用の画像データMNG0〜MNGnが記憶されている。
【0041】
図2(a)は、ガイドライン用の一連の画像データが、舵角(−MAX〜+MAX)に対応して記憶されること、及び、このガイドライン用の一連の画像データは、バックカメラの取付位置に対応する複数のパターンP1〜Pnが、画像テーブルTBL1〜TBLnに記憶されていることを模式的に図示したものである。
【0042】
図2(b)は、舵角に対応して変化する「ハ」の字状のガイドラインを例示し、
図2(c)は、バックカメラの取付位置に対応して相違するガイドラインを例示したものである。なお、舵角に対応して変化する「ハ」の字状は、実際には、例えば、
図2(f)や
図2(g)のような円弧形状となる。
【0043】
何れにしても、実際のガイドラインは、適宜に変更され、例えば、
図2(d)や
図2(e)のように、「ハ」の字を結ぶ破線を設けたり、或いは、
図2(f)や
図2(f)のように、「ハ」の字を実線で結ぶハシゴ状であっても良い。
【0044】
なお、画像テーブルTBL1〜TBLnが、仮に−MAX〜+MAXまで2×MAX+1個の画像データで構成される場合には、画像データメモリ2には、上記したハシゴ形状の画像データが、n×(2×MAX+1)個格納されることになる。
【0045】
第1プロセッサ3は、例えば、ビデオデコーダと制御レジスタとを内蔵したLCDビデオプロセッサTW8835(intersil)で構成され、多数の制御レジスタ30に書き込まれた動作パラメータに基づいて画像処理動作を実行する。なお、この実施例では、多数の制御レジスタは、一意に付番されたI
2C方式のスレーブアドレスで特定される。
【0046】
実行可能な画像処理動作には、(1)NTSC方式などのコンポジット映像信号SGから三原色信号R,G,Bを抽出すること、(2)コンポジット映像信号SGから水平/垂直同期信号などの画面制御信号CTLを抽出すること、(3)外付けメモリたる画像データメモリ2の所定のアドレスの画像データを読み出して、上下左右移動や、拡大縮小などの編集を行うこと、(4)コンポジット映像信号SGから抽出した三原色信号RGBに、画像データメモリ2などから得た他の画像信号を重複させること、(5)重複させた完成画像の画像信号R’,G’,B’を出力すること、(6)コンポジット映像信号SGから抽出した画面制御信号CTLを出力すること、が含まれている。
【0047】
したがって、管理コンピュータ1は、制御レジスタ30に適宜な動作パラメータを書き込むことで、バックカメラの撮影画像に、どのような形状の画像を、どのような態様で重ねて出力するかについて、第1プロセッサ3を適宜に制御することができる。
【0048】
第2プロセッサ4は、第1プロセッサ3から出力された完成画像の画像信号R’,G’,B’と、画面制御信号CTLとを受けて、NTSC方式などのコンポジット映像信号SG’を生成して出力するビデオエンコーダであって、例えば、CH7026(chrontel)が使用される。
【0049】
この第2プロセッサ4にも、多数の制御レジスタ40が内蔵されており、一意に付番されたI
2C方式のスレーブアドレスで各制御レジスタが特定される。
【0050】
続いて、
図3〜
図4に基づいて、管理コンピュータ1の動作を説明する。
図3は、管理コンピュータ1の動作を示すフローチャートであり、
図4は、
図3の一部であって、本装置EQUを運用する上で必要な管理データの登録処理(ST15)を説明するフローチャートである。
【0051】
図3に示す通り、管理コンピュータ1の動作は、CPUの電源リセットに対応して開始されるメイン処理(
図3(a))と、CPUが割込み許可状態に設定された後、所定時間(例えば0.5秒)毎に起動されるタイマ割込み処理(
図3(b))とで実現される。
【0052】
先に説明した通り、本実施例では、CAN_RXラインに有意な信号が認められたタイミングで、管理コンピュータ1が、他のプロセッサ3,4と共に電源リセットされる。なお、CAN_RXラインに有意な信号が認められたタイミングとは、一般に、自動車のスタートキーがON状態になるタイミングであり、このタイミングから
図3(a)の処理が開始される。
【0053】
以下、具体的に説明すると、電源リセット後、CPUは、先ず、管理データメモリ11のプロパティテーブルPR(
図3(c)参照)をアクセスして、そこに、車種IDが記載されているか否かを判定する(ST10)。
【0054】
本実施例では、
図4に示す管理データの登録処理(ST15)を実行したことを条件に、プロパティテーブルPRの車種欄に、車種を特定する車種IDを記載するよう構成されており(ST30)、車種IDの存在は、管理データの登録処理(ST15)が終わっていることを意味する。
【0055】
そこで、プロパティテーブルPRに、車種IDが記載されていない場合には、管理データが登録されていないので、予め決定されているデフォルト設定値に基づき、第1プロセッサ3や第2プロセッサ4の制御レジスタ30,40に、必要な動作パラメータを書き込む(ST11)。この結果、表示装置50は、デフォルト状態の明度やコントラストで起動されることになる。
【0056】
一方、
図3(c)の車種欄に「車種x」と記載されているように、プロパティテーブルPRに、何らかの車種IDが記載されている場合には、この車種IDに基づいて、解析データテーブルANLYの一群の解析パラメータxが特定されることになる(ST12)。そのため、その後のCANデータ取得時には、この解析パラメータxに基づいて、CANデータから舵角データやバックギア情報が抽出できることになる。
【0057】
また、プロパティテーブルPRに車種IDが記載されている場合には、CPUは、プロパティテーブルPRに記載されている設定値に基づいて、画像テーブルTBLiを特定すると共に、第1プロセッサ3や第2プロセッサ4の制御レジスタ30,40に必要な動作パラメータを書き込む(ST12)。
【0058】
書き込まれる動作パラメータには、表示装置50の明度やコントラストなどに関するパラメータが含まれており、
図3(c)の例では、表示装置50は、明度=10、コントラスト=30のレベルに初期設定される。
【0059】
また、第1プロセッサ3の制御レジスタ30に書き込まれる動作パラメータには、表示すべきガイドライン群のパターンPi、ガイドラインの上下左右の偏移量、ガイドラインの透明度、ガイドラインの色、ガイドラインに基準線を付加するか否かの指示が含まれている。
【0060】
ここで、ガイドライン群のパターンPiとは、バックカメラの取付位置に応じて、舵角に対応して変化させるべきガイドラインのパターン(P1〜Pn)が異なることに対応したものである。そして、ガイドラインパターンP1〜Pnを規定する一連の画像データは、画像データメモリ4の画像テーブルTBL1〜TBLnに記憶されており、その何れの画像テーブルTBLiを使用するかは、
図4に示す管理データの登録処理時に、パターン選択として確定されている。
【0061】
なお、ガイドラインの上下左右の移動量とは、特定されたガイドラインのパターンの微調整量を規定するものであり、これらの値も
図4に示す管理データの登録処理時に確定されている。その他、ガイドラインの透明度、色彩、基準線の有無についても、
図4に示す管理データの登録処理時に確定されている。
【0062】
以上の初期設定処理(ST11,ST12)が終われば、CPUを割込み受付状態に設定することで、その後のタイマ割込み処理を動作許可状態にする(ST13)。
【0063】
その後は、Pushスイッチ53のピンプラグPPが、ピンジャックPJに挿入されたか否かを、無限ループ状に繰り返し判定する(ST14)。そして、Pushスイッチ53が装着されたと判定される場合には、
図4に示す管理データの登録処理(ST15)を実行する。
【0064】
管理データの登録処理(ST15)については、
図4に関して後述するので、次に、
図3(b)に示すタイマ割込み処理について説明する。なお、このタイマ割込み処理は、ステップST13の処理後であれば、管理データの登録処理中であっても起動する。
【0065】
図3(b)に示す通り、タイマ割込み処理では、先ず、車種IDが登録されているか否かを、プロパティテーブルPRの車種欄で判定し(ST20)、車種欄に車種IDが記載されていない場合には、そのまま処理を終える。これは、CANデータの解析アルゴリズムが特定されていない段階で、CANデータを取得しても意味がないためである。
【0066】
一方、車種IDがプロパティテーブルPRに記載されている場合には、CPUリセット後のステップST12の処理によって、CANデータの解析アルゴリズムが特定されていることになる。そこで、このような場合には、CANデータを取得して、舵角データやバックギア情報などの必要データを抽出してRAM15の作業領域WRに記憶する(ST21)。なお、舵角データやバックギア情報などの作業領域WRのデータは、タイマ割込み毎に繰り返し更新され、管理データの登録処理(ST15)において適宜に参照される。
【0067】
そして、バックギア情報に基づき後方運転状態でないと判定される場合には、そのまま処理を終えるが(ST22)、後方運転状態であれば、ステップST12の処理で特定されている画像テーブルTBLiについて、画像テーブルTBLiのどの画像データを表示すべきかを、CANデータから抽出した舵角データに基づいて決定する(ST23)。なお、決定事項は、画像データメモリ2において、使用されるべき画像データを特定するアドレス情報である。
【0068】
そして、舵角データに基づいて決定されたアドレス情報と共に、プロパティテーブルPRに記憶されている設定情報(描画パラメータ)に基づき、必要な全ての動作パラメータを、第1プロセッサ3や第2プロセッサ4の所定の制御レジスタ30,40に書き込む(ST23)。
【0069】
先に説明した通り、第1プロセッサ3や第2プロセッサ4は、制御レジスタ30,40に書き込まれた動作パラメータに基づいて動作するので、ステップST23の処理後は、指定された画像テーブルTBLiにおける、舵角に対応した所定態様のガイドラインPiが、第2プロセッサ4を経由して、表示装置に表示されることになる。
【0070】
この結果、ガイドライン映像は、タイマ割込みの周期で、適宜に更新されることになる。なお、CPUが、制御レジスタ30,40に動作開始用の動作パラメータ(開始コマンド)を書き込むと、その後、第1プロセッサ3や第2プロセッサ4は、タイマ割込み周期とは無関係に、各々の動作を継続的に実行するので、表示装置には、後方画像がリアルタイムに表示される。
【0071】
続いて、
図4に基づいて、管理データの登録処理(ST15)について、より詳細に説明する。先に説明した通り、管理データの登録処理(ST15)は、Pushスイッチ53のピンプラグPPがピンジャックPJに挿入された時に開始される。なお、管理データの登録処理には、登録作業者は、適宜なタイミングで自動車のスタートキーをON状態にして、管理コンピュータ1の動作を開始させると共に、自動車トランスミッションの変速ギアをバックギアに入れる必要がある。
【0072】
そして、Pushスイッチ53が装着されると、CPUは、DIPスイッチ52をアクセスして、6ビット長のパラレルデータで規定された車種IDを取得して、プロパティテーブルPRの車種欄に登録する(ST30)。その結果、その後のタイマ割込み処理(
図3(b))では、プロパティテーブルPRに記憶されている車種IDに基づき、解析パラメータを特定し、解析パラメータで完成された抽出アルゴリズムに基づいて、CANデータから必要なデータが抽出されることになる。
【0073】
ステップST21の処理に関して説明した通り、抽出されたデータは、適宜に更新されつつ、RAMの作業領域WRに一時記憶される。
【0074】
以上の意義を有するステップST30の処理が終われば、CPUは、作業領域WRを参照して、自動車がバックギア状態であることを条件に(ST31)、メニュー画面の項目位置を特定する変数Vと、設定値を特定する変数Hを、各々、ゼロに初期設定する(ST32)。
【0075】
なお、
図4(b)に示す通り、ステップST40の処理後に表示画面に現れるメニュー画面には、縦方向に、「明るさ調整」、「コントラスト調整」、「左右移動」、「上下移動」、「透明度選択」、「色選択」、「パターン選択」、「基準線の有無」の選択項目が用意されており、CPUは、何れの項目が選択されたかを変数Vで管理している。
【0076】
また、
図4(b)のメニュー画面では、横方向に設定値(0〜100)が規定されており、CPUは、何れの設定値が選択されたかを変数Hで管理している。なお、
図4(b)に示すメニュー画面は、ステップST40の処理を終えていない今のタイミングでは表示装置に表示されない。
【0077】
すなわち、ステップST32のタイミングでは、表示装置50には、バックカメラが撮影した後方画像と、校正前の標準的なガイドラインと、が重複して表示されるに過ぎない。具体的に確認すると、このタイミングでは、ステップST11で初期設定された動作パラメータと、ステップST23の処理で判定された舵角データとに基づいた、最適設定される以前の標準的なガイドラインが表示される。
【0078】
ところで、この実施例では、
図4(b)に示すメニュー画面において、何れの選択項目について、如何なる設定値を設定するかをPushスイッチ53のON操作時間だけで特定するよう構成されている。そこで、次に、CPUは、PushスイッチのON操作時間を計測する(ST33〜ST36)。
【0079】
具体的な手法は適宜であるが、本実施例では、PushスイッチがON状態に遷移すると動作を開始し、PushスイッチがOFF状態に遷移すると動作を停止する計時タイマを設け、その計時タイマの計測値によってON操作時間を把握している。
【0080】
そして、ON操作時間が5秒以上〜10秒未満であれば(ST37)、CPUは、管理データの登録処理の開始指示、又は終了指示であると判定する(ST41)。ステップST41の処理の実行が初めてである場合には、CPUは、開始指示に対応する動作を実行し、ステップST41の処理の実行が二度目である場合には、CPUは、終了指示に対応する動作を実行する。
【0081】
開始指示に対応する動作は、具体的には、表示装置50に、
図4(b)に示すメニュー画面を表示させるための動作であり、終了指示に対応する動作は、表示装置50から、メニュー画面を消滅させるための動作である。何れの動作も、必要な動作パラメータを、これに対応する制御レジスタ30に書き込むことで実現される。なお、終了指示を受けると、管理データの登録処理を終了させる。
【0082】
一方、終了指示を受ける迄は、CPUは、ステップST38〜ST40のON時間操作の判定処理を繰り返す。具体的に確認すると、ON操作時間が1秒以上〜5秒未満であれば(ST38)、CPUは、変数Hをゼロに初期設定すると共に、変数Vを循環的に更新する(ST43)。この処理は、メニュー画面の選択項目が、縦方向に循環的に更新されと、CPUが認識したことを意味する。
【0083】
そして、CPUは、この認識に基づき、2つの変数値H,Vで特定される設定値を、プロパティテーブルPRの該当欄に書き込むと共に、登録作業者の指示をメニュー画面に反映させるための動作パラメータを、対応する制御レジスタ30に書き込む。表示装置50の画面表示としては、メニュー画面の該当領域をハイライトするなどの動作が考えられる。
【0084】
一方、ON操作時間が0.5秒以上〜1秒未満であれば(ST39)、CPUは、変数Hをインクリメント(+1)する(ST44)。この処理は、メニュー画面で選択されている選択項目の設定値を、登録作業者が一段階だけ増加したいとの指示であるとCPUが認識したことを意味する。
【0085】
そこで、CPUは、この認識に基づき、2つの変数値H,Vで特定される設定値を、プロパティテーブルPRの該当欄に書き込むと共に、更新された設定値をメニュー画面に反映させるための動作パラメータを、対応する制御レジスタ30に書き込む。その結果、メニュー画面には、例えば、増加した設定値が数値表示される。
【0086】
また、プロパティテーブルPRの設定値が変更されたことで、その後のタイマ割込みでは、更新された動作パラメータが、対応する制御レジスタ30に書き込まれることになり、登録作業者の指示に対応したガイドラインが、登録作業者の指示した態様で表示されることになる。なお、必要時には、第2プロセッサ4の制御レジスタ40にも動作パラメータが書き込まれる。
【0087】
また、ON操作時間が0.5未満であれば(ST40)、CPUは、変数Hをデクリメント(−1)する(ST45)。この処理は、メニュー画面で選択されている選択項目の設定値を、登録作業者が一段階だけ減少させたいとの指示であるとCPUが認識したことを意味する。
【0088】
そこで、CPUは、この認識に基づき、2つの変数値H,Vで特定される設定値を、プロパティテーブルPRの該当欄に書き込むと共に、更新された設定値をメニュー画面に反映させるための動作パラメータを、対応する制御レジスタ30に書き込む。その結果、メニュー画面には、減少した設定値が、例えば数値表示される。
【0089】
また、プロパティテーブルPRの設定値が変更されたことで、その後のタイマ割込みでは、更新された動作パラメータが、対応する制御レジスタ30に書き込まれることになり、登録作業者の指示に対応したガイドラインが、登録作業者の指示した態様で表示されることになる。なお、必要時には、第2プロセッサ4の制御レジスタ40にも動作パラメータが書き込まれる。
【0090】
このように、本実施例では、片手によるPushスイッチ53のON操作だけで全ての設定を終えることができ、作業性に優れている。しかも、設定値の変更は、増減方向に可能であるので、設定値の範囲を広げても、登録作業者の負担が増加することがなく、しかも、最適設定が容易である。これに対して、設定値の変更が一方向の場合には、最適値を通り越した場合に、数値範囲を一巡しない限り、元の位置に戻れず非常に煩雑であるだけでなく、最適設定までに、数値範囲を何回も巡回する必要が生じる。
【0091】
以上の通り、本実施例では、簡単な片手操作だけで、バックカメラの装着位置に対応した初期設定作業(登録処理)を終えることができる。
【0092】
しかも、本実施例では、管理データメモリ11や画像データメモリ2は、読み書き可能な不揮発性メモリ(Flash Memory)で構成されているので、このデータを書き換えるだけで、この装置EQUのバージョンアップを終えることができる。
【0093】
すなわち、対応車種を増やしたい場合には、新規の車種に関するCANデータ抽出用の解析パラメータを、管理データメモリ11に追加して記載すれば足りる。例えば、N個の接点を有するDIPスイッチ52の場合、最高、2
N種類の車種に対応することができ、DIPスイッチ52の接点数に応じて、対応機種を幾らでも増やすことができる。なお、自動車メーカが、同一機種のニューモデルについて、CANデータのデータ構造を変更した場合にも、問題なく対処可能となる。
【0094】
また、ガイドラインについても、適宜に改良すると共に、パターン数を増やして、より最適なガイドラインにバージョンアップすることができる。この場合にも、読み書き可能な不揮発性メモリで構成された画像データメモリ2の内容を書き換えるだけで足りるので、容易に本装置EQUの性能を向上されることができる。
【0095】
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定する趣旨ではなく、適宜に変更可能である。例えば、カーナビ用の表示装置のように、変速ギアがバックギア状態でない限り、バックカメラの映像が表示されない構成の場合には、
図3(b)のステップST22の判定処理を省略しても良い。
【0096】
また、実施例では、第1プロセッサと第2プロセッサを別素子で構成したが、これを一体化するのも好適である。また、管理コンピュータ1と、第1プロセッサ3及び第2プロセッサ4を一素子で構成しても良い。
【0097】
また、実施例では、CANデータからバックギア情報と舵角データを抽出するよう説明したが、これに加えて、他の情報を抽出して表示装置に表示させるのも好適である。抽出する情報として、電気自動車におけるバッテリ残量などを好適に例示することができる。