(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を実施するための第1の実施形態を
図1ないし
図10を参照して説明する。
図1および
図2において、符号100は電子組立部品の検査装置を示している。
【0014】
電子組立部品の検査装置(以下、「検査装置」という)100は、
図1および
図2に示すように、床面F上に支持されるベース101の上面に、補助フレーム102を介して水平な作業テーブル110が支持されている。
【0015】
作業テーブル110の中央には、検査対象の電子組立部品10を検査位置に保持するワークホルダ120が配置されている。ワークホルダ120には、電子組立部品10のセット部121(
図7参照)が設けられている。セット部121にセットされた電子組立部品10のLED3、リードスイッチ4の各端子3a、4aは、後述する計測制御装置200と配線150で接続されている。
【0016】
ワークホルダ120の手前には、コイル部130が配置されている。コイル部130には、ワークホルダ120に保持された電子組立部品10に組み込まれたリードスイッチ4を作動させるための磁力を発生させるコイル131と、同リードスイッチ4に対するコイル131の距離を調整するマイクロメータ132がそれぞれ設けられている。かかるコイル部130は、ベース101の上面に補助フレーム103を介して支持されている。コイル部130のコイル131は、後述する計測制御装置200と配線150で接続されている。
【0017】
ワークホルダ120の上方には、ワークホルダ120に保持された電子組立部品10の組立高さを計測する高さ計測部140が配置されている。高さ計測部140は、下降して電子組立部品10の上面に接触可能な複数の検出用接触スイッチ141と、ワークホルダ120に保持された電子組立部品10の上面に対する前記接触スイッチ141の距離を調整するマイクロメータ142がそれぞれ設けられている。かかる高さ計測部140は、補助フレーム104および昇降部143を介して作業テーブル110の後部に支持されている。なお、高さ計測部140の接触スイッチ141は、後述する計測制御装置200と配線150で接続されている。
【0018】
作業テーブル110の近傍には、
図3に示す計測制御装置200が配置されている。計測制御装置200は、ワークホルダ120に保持された電子組立部品10の作動値・組立高さの計測、合否判定、それらの制御に用いるもので、ボックスの前面に自動/マニュアル切替スイッチ201と、電源スイッチ202と、スタートスイッチ203と、タッチパネル部(入出力装置)204が設けられている。
【0019】
図4は計測制御装置200の構造を示すもので、同図に示すように、計測制御装置200は、入出力部205と、条件設定部206と、作動制御部207と、作動値計測部208と、高さ計測部209と、演算処理部210と、合否判定部211と、データ保存部212を備えている。
【0020】
入出力部205は、外部のタッチパネル部204、スタートスイッチ203、セット部121、コイル131、接触スイッチ141等と内部の各部間で信号を入出力する役目をする。
【0021】
条件設定部206は、検査対象の電子組立部品10に組み込まれたリードスイッチ4における作動値と組立高さの規格と計測条件を設定するもので、タッチパネル部204から任意に設定可能である。
図5にタッチパネル部204の入力画面を示す。タッチパネル部204の入力画面には[条件設定][手動][調整]の各ボタンが設けられている。
【0022】
図5のタッチパネル部204の[条件設定]ボタンをタッチすると、
図6の条件設定画面に移行するようになっている。条件設定画面には[コイル仕様][印加パターン][規格PI/DO][規格RC][規格高さ]の各ボタンが設けられている。
【0023】
[コイル仕様]ボタンをタッチすると、検査に使用するコイル131の仕様として、最大電圧値(例えば10000mV)、最大規格電流値(例えば1000mA)、巻数(例えば150巻)が表示される。基準器の測定値と相関を取った任意の数値を入力し設定するようになっている。
【0024】
[印加パターン]ボタンをタッチすると、検査に使用するコイル131に印加する電流のパターンを任意に設定することができる。具体的には、感動値計測時に印加する電流の開始値(例えば40mA)と終了値(例えば100mA)、開放値計測時に印加する電流の開始値(例えば100mA)と終了値(例えば10mA)、印加時の電流の増減率(例えば1mA/秒)を入力することができる。
【0025】
[規格PI/DO]ボタンをタッチすると、検査対象のリードスイッチ4における作動時(接点の開閉動作)の規格(下限値と上限値)を任意に設定することができる。具体的には、感動値(PI:接点が閉じる時の電流値)の下限値(例えば50mA)と上限値(例えば90mA)、開放値(DO:接点が開く時の電流値)の上限値(例えば25mA)と下限値(例えば10mA)を入力することができる。
【0026】
[規格RC]ボタンをタッチすると、検査対象の電子組立部品10のリードスイッチ4における接点の抵抗値の規格(下限値と上限値)を任意に設定することができる。具体的には、同接点の抵抗値の下限値(例えば70mΩ)と上限値(例えば75mΩ)を入力することができる。
【0027】
[規格高さ]ボタンをタッチすると、検査対象の電子組立部品10の組立高さ、すなわち下ケース2の下面から上ケース1の上面までの高さHの規格(上限値)を任意に設定することができる。
【0028】
図6の条件設定画面における[コイル仕様][印加パターン][規格PI/DO][規格RC][規格高さ]から入力された各データは、データ保存部212に保存されるようになっている。
【0029】
作動制御部207は、電源スイッチ202およびスタートスイッチ203の操作に基づき、コイル部130において、コイル131に電流を流して磁力を発生させ、検査対象の電子組立部品10内のリードスイッチ4を作動させると同時に、高さ計測部140において、昇降部143を動作させて、基準位置から接触スイッチ141を前記電子組立部品10の上面(上ケース1の上面)に接触するまで下降させて接触スイッチ141を作動させ、それらの制御を行うようになっている。
【0030】
作動値計測部208は、作動制御部207に基づき、検査対象の電子組立部品10内のリードスイッチ4を作動させた時の作動値(感動値と開放値)を計測するもので、計測値(感動値と開放値)はデータ保存部212に保存されると共に、入出力部205を介して、タッチパネル部204のモニター画面に出力表示されるようになっている。
【0031】
高さ計測部209は、作動制御部207に基づき、基準位置から下降して電子組立部品10の上面(上ケース1の上面)に接触した接触スイッチ141からの検出信号に基づき、電子組立部品10の組立高さを計測するもので、計測値はデータ保存部212に保存されるようになっている。
【0032】
合否判定部211は、設定条件部206で設定された作動値・組立高さの規格と、作動値計測部208および高さ計測部209で計測された各計測値に基づき、検査対象の電子組立部品10の合格・不合格を判定するもので、判定結果が、データ保存部212に保存されると共に、入出力部205を介して、タッチパネル部204のモニター画面に出力表示されるようになっている。
【0033】
具体的には、合否判定部211は、高さ計測部209で計測された組立高さの値が、条件設定部205で設定された規格以下であれば合格、規格を超えるときは不合格と判定する。また、作動値計測部208で計測された感動値・開放値がそれぞれ規格内であれば合格、規格外であれば不合格と判定する。そして、すべてが合格であれば全体として合格(OK)と判定し、いずれか一つでも不合格であれば全体として不合格(NG)と判定するようになっている。
【0034】
なお、
図5のタッチパネル部204において、[手動]ボタンをタッチすると、機械側の個別の動作と、1検査項目毎の測定をすることができる。[調整]ボタンをタッチすると、例えば電圧,電流を各々に又は同時に印加し続けさせることができる。
【0035】
なお、
図1中、符号160は、作業テーブル110の背後に支持された補助テーブルを示し、補助テーブル160の上面に増幅用のアンプ等が載置されるようになっている。また、符号170は、ベース101の上面に設置された補助フレーム105の上面に設けられたスタートボタンであり、スタートボタン170かスタートスイッチ203のいずれかを押すことで検査をスタートさせることができる。
【0036】
次に、上記のように構成された検査装置100を用いて、電子組立部品10の作動値検査および組立検査(外観検査)を行う手順について、以下に説明する。
【0037】
準備工程として、まず、計測制御装置200の電源スイッチ202を入れて自動/マニュアル切替スイッチ201をマニュアルに切り替える。これにより、検査規格および計測条件を任意に設定できる。
図5に示すタッチパネル部204の[条件設定]ボタンをタッチし、
図6の条件設定画面から、検査対象の電子組立部品10の要求仕様にあわせて、[コイル仕様][印加パターン][規格PI/DO][規格RC][規格高さ]の各ボタンをタッチして、それぞれ設定できる。入力された設定値はデータ保存部211に保存され、次回検査時に、
図3の自動/マニュアル切替スイッチ201を自動に切り替えると、保存された設定値で検査が行える。
【0038】
次に、検査対象の電子組立部品10をワークホルダ120のセット部121にセットする。スタートボタン170またはスタートスイッチ203のいずれかを押すと、検査がスタートする。ここで、検査開始にあたっては、検査標準品をセット部121にセットし、測定値を確認し、検査規格および計測条件をチェックする。
【0039】
検査開始後、高さ計測部140の接触スイッチ141が下降し、ワークホルダ120内の電子組立部品10の上面に接触し、組立高さが計測される。計測された組立高さが規格(上限値)以下であれば、タッチパネル部204のモニター画面に合格(OK)表示される。計測された組立高さが規格(上限値)を超える場合は、タッチパネル部204のモニター画面に不合格(NG)表示される。
図8および
図9に各表示例を示す。
【0040】
並行して、コイル131に電流が流されたコイル部130から発生する磁力により、ワークホルダ120内の電子組立部品10内のリードスイッチ4が作動し、感動値・開放値が計測される。計測された感動値・開放値がそれぞれ規格(下限値〜上限値)内であれば、タッチパネル部204のモニター画面に合格(OK)表示される。計測された感動値・開放値がそれぞれ規格(下限値〜上限値)外であれば、タッチパネル部204のモニター画面に不合格(NG)表示される。
図8および
図9に各表示例を示す。
【0041】
図8に示すように、計測された組立高さおよび計測された感動値・開放値がすべて合格(OK)であれば、モニター画面に全体として合格(OK)表示される。また、
図9に示すように、計測された組立高さおよび計測された感動値・開放値のいずれか一つでも不合格(NG)であれば(なお、
図9の例ではすべてが不合格表示されている)、モニター画面に全体として不合格(NG)表示される。
【0042】
全体として合格(OK)表示された電子組立部品10は、合格品専用の箱に収容され、全体として不合格(NG)表示された電子組立部品10は、不合格品専用の箱に収容され、これにより合格品と不合格品が分別される。
【0043】
かくして、本発明に係る電子組立部品の検査装置によれば、検査対象の電子組立部品10のすべてについて、作動値(感動値・開放値)を計測し、計測値によって合否判定しているから、検査精度の向上を図ることができた。また、作動値だけでなく、個々の組立高さも計測したことにより、電子組立部品の検査精度のさらなる向上を図ることができた。
【0044】
さらに、本発明に係る電子組立部品の検査装置によれば、作動値の規格および計測条件を任意に設定できるようにしたことにより、例えば汎用品に対する規格は緩くし、専用品に対する規格は厳しくし、あるいは測定条件、例えば印加パターンを変更して汎用品に対しては検査時間を短縮し、専用品に対しては検査時間を長くするなど、検査対象品に適した検査を実施できるようになる。