(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このように容器に収容される内容物の内容量を少量化するためには、従来に比較して、容器自体の大きさを小さくすることが考えられる。
【0008】
しかしながら、例えば、医薬品容器に関しては、薬事法第50条に規定されるように、医薬品は、その直接の容器又は直接の被包に、一定の事項を記載させなければならない。
【0009】
このため、医薬品容器自体の大きさが小さいと、表示スペースが狭くなり、このような薬事法第50条に定められる―定の事項を記載することが困難になる。
【0010】
なお、特許文献1(特許第2607842号公報)には、採取容器組立体に関し、患者から少量の血液を採取し、引き続き行われる試験のために血液を安定した状態に維持するのに適した微量採取容器とその容器のためのキャップが開示されている。
【0011】
この特許文献1の容器には、容器の下方部分にスカート部を設けているが、このスカート部は、キャップの側壁の二重になったスペースに、容器の下方部分に形成したスカート部を挿入した容器を自立させるためのものである。
【0012】
また、容器の下方部分に形成したスカート部に、別途用意した延長部材を装着して、ラベルを添付するための付加的なスペースを確保するためのものである。
【0013】
従って、特許文献1の容器は、容器自体の内容量の少量化のためにスカート部を設けるものではなく、内容量自体はそのままで、容器にキャップを装着して自立させるため、また、延長部材を装着するためのものである。
【0014】
さらに、特許文献1の容器のスカート部は、少量化を確保しつつ、ラベルを添付するスペースを確保するためのものではない。
【0015】
ところで、このような少量化の要望に対応するための少量化容器の製造方法として、容量を小さくした容器を一次工程で射出成形またはブロー成形し、この一次工程で作製した容器の底部に、二次工程において、別途用意した、はかま形状の延設部分を設ける製造方法(いわゆる「射出組立容器」)が考えられる。
【0016】
しかしながら、このような少量化容器の製造方法では、一次工程の射出工程またはブロー工程、二次工程の組み立て工程と、複雑で煩雑な工程が必要で、製造コストが高くつくことになる。しかも、二次工程の組み立て工程などにおいて、異物が付着するおそれがあり、品質が低下することになる。
【0017】
また、前述したような少量化の要望に対応するための少量化容器の製造方法として、射出成形を用いて、少量化容器を製造する方法が考えられる。
図16は、このような射出成形を用いて製造した射出一体成形容器100の縦断面図である。
【0018】
図16に示したように、射出一体成形容器100は、有底筒状の内容物を収容する収容部102が形成された容器本体104を備えており、容器本体104の上部には、図示しないキャップなどの蓋部材を脱着自在に装着するための雄ネジ106が形成された口部108を備えている。
【0019】
また、この口部108の下方の容器本体104の側周壁110から、外径方向にフランジ112が延設され、フランジ112の外端から、下方に拡径するように延設したスカート形状の延設足部114を備えている。
【0020】
このように構成される射出一体成形容器100では、例えば、符号116で示した部分をゲート位置とすることによって、射出成形を用いて、少量化容器を製造することができるようになっている。
【0021】
しかしながら、このように構成される射出一体成形容器100では、その側壁が、容器本体104の側周壁110と、延設足部114との2重の側壁から構成されているため視認性がなく、容器本体104の収容部102内に収容された内容物および内容物に含まれる異物の確認が取れない。
【0022】
従って、このような射出一体成形容器100では、容器本体104の収容部102内に収容された内容物の、例えば、種類や残存液量、内容物に含まれる異物などを確認することが困難である。
【0023】
また、このような構成の射出一体成形容器100では、点眼容器として使用する場合に、延設足部114を指などで摘まんで押しても(いわゆる「スクイズ」しても)、容器本体104の収容部102に収容された内容物を容器本体14から押し出す(排出)することが困難である。
【0024】
さらに、
図16に示したように、射出一体成形容器100では、容器本体104の口径によって収容部102の周側壁110の径が変化し、収容量が変化する。
例えば、射出一体成形容器100を、点眼用、点鼻用に使用する場合に、ノズルやポンプの関係で、容器本体104の口径の大きさが限定されている。
【0025】
このため、限定された容器本体104の口径の大きさで、限定された使用期間に必要な容量を確保しようとすると、容器本体104の胴部の長さが長くなってしまう。
その結果、射出一体成形容器100の長さが長くなって、射出一体成形容器100自体が大型化してしまい、取扱い、保管などに不便である。
【0026】
本発明は、このような現状に鑑み、容器の内容量を少量化できるとともに、容器自体の大きさを小さくすることなく、ラベル、印字などの情報を表示する表示スペース部分を確保でき、しかも自立可能な少量化容器、および、少量化容器の製造方法を提供することを目的とする。
【0027】
また、本発明の目的は、単一成形機内で行われる射出成形工程とブロー成形工程により、一体成形することによって、二次工程の組み立て工程を省略することができ、複雑で煩雑な工程が不要で、コストを低減することができるとともに、異物が付着するおそれがなく、品質が低下することのない少量化容器、および、少量化容器の製造方法を提供することを目的とする。
【0028】
また、本発明の目的は、視認性に優れ、容器本体の収容部内に収容された内容物の、例えば、種類や残存液量などの確認、または、内容物に含まれる異物の確認をすることが容易な少量化容器、および、少量化容器の製造方法を提供することを目的とする。
【0029】
さらに、本発明の目的は、点眼容器として使用する場合に、指などで摘まんで押して(いわゆる「スクイズ」して)、容器本体の収容部に収容された内容物を容器本体から押し出す(排出)することが容易な少量化容器、および、少量化容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明は、前述したような従来技術における課題及び目的を達成するために発明されたものであって、本発明の少量化容器は、
容器の内容量を少量化した少量化容器であって、
内容物を収容する収容部が形成された容器本体と、
前記容器本体の側周壁を容器本体の底部から下方に延設した延設足部
と、
前記容器本体の漸次径が小さくなった肩部と、
前記肩部の中央に形成された口部とを備え、
前記容器本体の断面積よりも、口部の断面積が小さく形成されていることを特徴とする。
【0031】
このように構成することによって、少量化容器の内容量を少量化できるとともに、容器本体の側周壁を容器本体の底部から下方に延設した延設足部を備えているので、容器自体の大きさを小さくすることなく、例えば、ラベル、印字などの情報を表示する表示スペース部分を確保できる。
【0032】
また、容器本体の側周壁を容器本体の底部から下方に延設した延設足部を備えているので、少量化容器自体も自立可能であり便利である。
【0033】
さらに、容器本体の側周壁を容器本体の底部から下方に延設した延設足部を備えているので、容器本体の側周壁と、延設足部とは2重に重ならず、容器本体の収容部は、容器本体の側周壁のみで囲まれている。
従って、視認性に優れ、容器本体の収容部内に収容された内容物の、例えば、種類や残存液量、内容物に含まれる異物などを確認することが容易である。
【0034】
例えば、少量化容器を、点眼用、点鼻用に使用する場合に、ノズルやポンプの関係で、容器本体の口径の大きさが限定されている。
【0035】
この場合にも、
容器本体の断面積よりも、口部の断面積が小さく形成されているので、限定された容器本体の口径の大きさで、限定された使用期間に必要な容量を確保しても、容器本体の胴部の長さが長くなってしまうことがない。
その結果、少量化容器の長さが長くなって、少量化容器自体が大型化することなく、取扱い、保管などに便利である。
【0036】
また、本発明の少量化容器は、前記少量化容器が、医薬品容器であることを特徴とする。
【0037】
このように、本願発明の少量化容器を、例えば、点眼容器、点鼻容器、塗布容器などの医薬品容器に用いた場合に、内容量を少量化することができる。
【0038】
すなわち、病院で処方された医薬品について、医薬品容器の内容量を少量化することにより、短期間で消費しやすくなる。このため、患者が医薬品を使用期限内に使用することができる。
【0039】
従って、患者に対して、定期的な処方が可能になる。つまり、短期間で医薬品を消費してしまうため、再度、医薬品を処方してもらう必要があり、定期的な診察を必要とする患者に対して、必然的な通院を促す効果がある。
【0040】
さらに、医薬品容器自体の大きさが従来の容器と変わらないので、表示スペースが確保でき、薬事法第50条に定められる―定の事項を記載することが可能である。
【0041】
本発明の少量化容器は、前記延設足部が、容器本体の側周壁全周に形成されていることを特徴とする。
【0042】
このように構成することによって、延設足部が、容器本体の側周壁全周に形成されているので、少量化容器の構造強度が低下することがなく、しかも、例えば、ラベル、印字などの情報を表示する表示スペース部分を最大限に確保できる。
【0043】
また、本発明の少量化容器は、前記延設足部が、容器本体の側周壁の一部に形成されていることを特徴とする。
【0044】
このように構成することによって、延設足部が、容器本体の側周壁の一部に形成されているので、少量化容器を構成する樹脂材料の量を低減することができ、コストも低減できる。
【0045】
また、延設足部が、容器本体の側周壁の一部に形成されているので、延設足部が形成されていない部分が切欠部となるので、この切欠部で、少量化容器の位置(例えば、正面など)を確認できる。
【0046】
従って、この切欠部を利用して、内容物を容器本体の収容部に収容する際に、この切欠部をセンサーなどで検出することで、少量化容器の向きなどを調整でき、機械化などが容易になる。
【0047】
また、本発明の少量化容器は、前記容器本体の底部と、延設足部との間に補強用リブが形成されていることを特徴とする。
【0048】
このように構成することによって、容器本体の底部と、延設足部との間に補強用リブが形成されているので、補強用リブで少量化容器の構造強度が確保されることになる。また、補強用リブで、少量化容器自体の自立性も向上し便利である。
【0049】
さらに、補強用リブで、少量化容器の位置(例えば、正面など)を確認できるので、この補強用リブを利用して、内容物を容器本体の収容部に収容する際に、この補強用リブをセンサーなどで検出することで、少量化容器の向きなどを調整でき、機械化などが容易になる。
【0050】
また、本発明の少量化容器は、前記容器本体の底部が、下方に突設するテーパー形状、または、ドーム形状に形成されていることを特徴とする。
【0051】
このように構成することによって、下方に突設するテーパー形状、または、ドーム形状に形成された容器本体の底部を、例えば、指などで下方から上方へ押すことによって、このテーパー形状、または、ドーム形状の底部が変形して上方へ移動しやすく、容器本体の収容部に収容された内容物を容器本体から押し出す(排出)するのが容易になり便利である。
【0052】
また、少量化容器をポンプ容器として使用する場合に、容器本体の底部が下方に突設するテーパー形状、または、ドーム形状に形成されているため、残液対策に優れた少量化容器を提供できる。
【0053】
また、このように容器本体の底部が下方に突設するテーパー形状、または、ドーム形状に形成されているので、底部が内方に変形しやすい形状をしているため、点眼容器に使用する場合、延設足部を指などで摘まむ(いわゆる「スクイズ」)ことで、容器本体の収容部に収容された内容物を排出する効果に優れる。
【0054】
また、本発明の少量化容器は、前記容器本体の底部が、上方に突設するテーパー形状、または、ドーム形状に形成されていることを特徴とする。
【0055】
このように構成することによって、容器本体の底部が、上方に突設するテーパー形状、または、ドーム形状に形成されているので、その分、容器本体の収容部の内容物の内容量を、さらに少量化することができる。
【0056】
また、このように容器本体の底部が、上方に突設するテーパー形状、または、ドーム形状に形成されているので、底部が内方に変形しやすい形状をしているため、点眼容器に使用する場合、延設足部を指などで摘まむ(いわゆる「スクイズ」)ことで、容器本体の収容部に収容された内容物を排出する効果に優れる。
【0057】
また、本発明の少量化容器は、前記容器本体の底部が、蛇腹形状に形成されていることを特徴とする。
【0058】
このように構成することによって、蛇腹形状に形成された底部を、例えば、指などで下方から上方へ押すことによって、この蛇腹形状に形成された底部が変形して上方へ移動しやすく、容器本体の収容部に収容された内容物を容器本体から押し出す(排出)するのが容易になり便利である。
【0059】
また、底部が内方に変形しやすい形状をしているため、点眼容器に使用する場合、延設足部を指などで摘まむ(いわゆる「スクイズ」)ことで、容器本体の収容部に収容された内容物を排出する効果により優れる。
【0060】
また、本発明の少量化容器の製造方法は、
容器の内容量を少量化した少量化容器であって、
内容物を収容する収容部が形成された容器本体と、
前記容器本体の側周壁を容器本体の底部から下方に延設した延設足部と、
を備える少量化容器の製造方法であって、
射出成形用金型を用いて、
前記容器本体となるべき収容部形成部を備えた本体部と、
前記本体部の側周壁より拡径されるとともに、前記本体部の側周壁を、本体部の底部から下方に延設した延設足部と、
を備えたパリソンを成形する射出成形工程と、
ブロー成形金型を用いて、
前記射出成形で得られたパリソンの本体部の口部より空気を吹き込み、前記本体部の側周壁を膨らませて容器本体を形成するブロー成形工程と、
を備えることを特徴とする。
【0061】
このように構成することによって、内容物を収容する収容部が形成された容器本体と、容器本体の側周壁を容器本体の底部から下方に延設した延設足部とを備え、容器の内容量を少量化した一体化された少量化容器を簡単に製造することができ、コストを低減することができる。
【0062】
また、単一成形機内で行われる射出成形工程とブロー成形工程によって、一体成形するので、二次工程の組み立て工程を省略することができ、複雑で煩雑な工程が不要で、コストを低減することができるとともに、異物が付着するおそれがなく、品質が低下することがない。
【発明の効果】
【0063】
本発明によれば、少量化容器の内容量を少量化できるとともに、容器本体の側周壁を容器本体の底部から下方に延設した延設足部を備えているので、容器自体の大きさを小さくすることなく、例えば、ラベル、印字などの情報を表示する表示スペース部分を確保できる。
【0064】
また、容器本体の側周壁を容器本体の底部から下方に延設した延設足部を備えているので、少量化容器自体も自立可能であり便利である。
【0065】
さらに、容器本体の側周壁を容器本体の底部から下方に延設した延設足部を備えているので、容器本体の側周壁と、延設足部とは2重に重ならず、容器本体の収容部は、容器本体の側周壁のみで囲まれている。
従って、視認性に優れ、容器本体の収容部内に収容された内容物の、例えば、種類や残存液量、内容物に含まれる異物などを確認することが容易である。
【0066】
例えば、少量化容器を、点眼用、点鼻用に使用する場合に、ノズルやポンプの関係で、容器本体の口径の大きさが限定されている。
【0067】
この場合にも、
容器本体の断面積よりも、口部の断面積が小さく形成されているので、限定された容器本体の口径の大きさで、限定された使用期間に必要な容量を確保しても、容器本体の胴部の長さが長くなってしまうことがない。
その結果、少量化容器の長さが長くなって、少量化容器自体が大型化することなく、取扱い、保管などに便利である。
【0068】
従って、本願発明の少量化容器を、例えば、点眼容器、点鼻容器、塗布容器などの医薬品容器に用いた場合に、内容量を少量化することができる。
【0069】
すなわち、病院で処方された医薬品について、医薬品容器の内容量を少量化することにより、短期間で消費しやすくなる。このため、患者が医薬品を使用期限内に使用することができる。
【0070】
従って、患者に対して、定期的な処方が可能になる。つまり、短期間で医薬品を消費してしまうため、再度、医薬品を処方してもらう必要があり、定期的な診察を必要とする患者に対して、必然的な通院を促す効果がある。
【0071】
さらに、医薬品容器自体の大きさが従来の容器と変わらないので、表示スペースが確保でき、薬事法第50条に定められる―定の事項を記載することが可能である。
【0072】
また、本発明によれば、内容物を収容する収容部が形成された容器本体と、容器本体の側周壁を容器本体の底部から下方に延設した延設足部とを備え、容器の内容量を少量化した一体化された少量化容器を簡単に製造することができ、コストを低減することができる。
【0073】
また、単一成形機内で行われる射出成形工程とブロー成形工程によって、一体成形するので、二次工程の組み立て工程を省略することができ、複雑で煩雑な工程が不要で、コストを低減することができるとともに、異物が付着するおそれがなく、品質が低下することがない。
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下、本発明の実施の形態(実施例)を図面に基づいてより詳細に説明する。
(実施例1)
【0076】
図1(A)は、本発明の少量化容器の正面図、
図1(B)は、
図1(A)の少量化容器の側面図、
図1(C)は、
図1(A)の少量化容器の上面図、
図2(A)は、
図1(C)のA−A線での断面図、
図2(B)は、
図1(C)のB−B線での断面図である。
【0077】
図1(A)〜
図2(B)において、符号10は、全体で本発明の少量化容器を示している。
【0078】
本発明の少量化容器10は、例えば、点眼容器、点鼻容器、塗布容器などの医薬品容器などの容器において、容器内の収容部に収容される、例えば、液状物質、流動物質、半流動物質、固形体、粉粒体などの固形物などからなる内容物の内容量を少量化するための少量化容器である。
【0079】
図1(A)〜
図2(B)に示したように、本発明の少量化容器10は、断面楕円形状の内容物を収容する収容部12が形成された容器本体14と、容器本体14の漸次径が小さくなった肩部16を備えている。そして、この肩部16の中央には、図示しないキャップなどの蓋部材を脱着自在に装着するための雄ネジ18が形成された口部20を備えている。
【0080】
なお、この実施例では、口部20には、雄ネジ18が形成されているが、雌ネジでもよく、また、例えば、いわゆる「スナップフィット式」の嵌合用の凹凸を設けるようにしてもよい。
【0081】
また、この実施例では、断面楕円形状の容器本体14としたが、容器本体14の形状は何ら限定されるものではなく、例えば、断面円形形状、断面矩形形状、断面多角形形状の容器本体14とするなど適宜変更可能である。
【0082】
さらに、
図1(A)〜
図2(B)に示したように、容器本体14の側周壁22を容器本体14の底部24から下方に延設した延設足部26を備えている。なお、この実施例では、延設足部26が、容器本体14の側周壁22の全周に形成されている。
【0083】
このように構成することによって、延設足部26が、容器本体14の側周壁22の全周に形成されているので、少量化容器10の構造強度が低下することがなく、しかも、例えば、ラベル、印字などの情報を表示する表示スペース部分を最大限に確保できる。
【0084】
また、少量化容器10の容器本体14の収容部12の内容量を少量化できるとともに、容器本体14の側周壁22を容器本体14の底部24から下方に延設した延設足部26を備えているので、容器自体の大きさを小さくすることなく、例えば、ラベル、印字などの情報を表示する表示スペース部分を確保できる。
【0085】
また、容器本体14の側周壁22を容器本体14の底部24から下方に延設した延設足部26を備えているので、少量化容器自体も自立可能であり便利である。
【0086】
さらに、容器本体14の側周壁22を容器本体14の底部24から下方に延設した延設足部26を備えているので、容器本体14の側周壁22と、延設足部26とは2重に重ならず、容器本体14の収容部12は、容器本体14の側周壁22のみで囲まれている。
従って、視認性に優れ、容器本体14の収容部12内に収容された内容物の、例えば、種類や残存液量、内容物に含まれる異物などを確認することが容易である。
【0087】
ところで、例えば、少量化容器10を、点眼用、点鼻用に使用する場合に、ノズルやポンプの関係で、容器本体14の口径の大きさが限定されている。
【0088】
この場合にも、
容器本体14の断面積よりも、口部20の断面積が小さく形成されているので、限定された容器本体14の口径の大きさで、限定された使用期間に必要な容量を確保しても、容器本体14の胴部の長さが長くなってしまうことがない。
その結果、少量化容器10の長さが長くなって、少量化容器10自体が大型化することなく、取扱い、保管などに便利である。
【0089】
従って、本願発明の少量化容器10を、例えば、点眼容器、点鼻容器、塗布容器などの医薬品容器に用いた場合に、内容量を少量化することができる。
【0090】
すなわち、病院で処方された医薬品について、医薬品容器の内容量を少量化することにより、短期間で消費しやすくなる。このため、患者が医薬品を使用期限内に使用することができる。
【0091】
従って、患者に対して、定期的な処方が可能になる。つまり、短期間で医薬品を消費してしまうため、再度、医薬品を処方してもらう必要があり、定期的な診察を必要とする患者に対して、必然的な通院を促す効果がある。
【0092】
このように構成される本願発明の少量化容器10を製造する方法について、以下に、
図3(A)〜
図6(B)に基づいて説明する。
【0093】
図3(A)〜
図4(B)は、パリソンを成形する射出成形工程を示す概略図、
図5(A)〜
図6(B)は、ブロー成形工程を示す概略図である。
【0094】
先ず、
図3(A)に示したように、射出成形金型30を準備する。この射出成形金型30は、左右一対の相互に離接可能に構成された左金型32と右金型34とを備えている。また、これらの左金型32と右金型34とを型締めした際に形成される凹部36に、脱着自在に嵌合可能な下金型38を備えている。
【0095】
さらに、これらの左金型32と右金型34とを型締めした際に、左金型32と右金型34との間の上部に形成される凹部31に、脱着自在に嵌合可能な略円柱形状の突出部40が形成された上金型42と、少量化容器10の口部20の雄ネジ18に対応する形状のねじ金型43とを備えている。
【0096】
図3(A)に示したように、これらの左金型32と、右金型34と、下金型38と、上金型42と、ねじ金型43を型締めする。これによって、後述するように、容器本体14となるべきパリソン46の本体部50に対応する本体部用間隙44aと、この本体部用間隙44aより拡径されるとともに、下方に延びるように形成された延設足部26に対応する延設足部用間隙44bとを備えた射出成形用間隙(キャビティー)44が形成される。
【0097】
また、
図3(A)に示したように、下金型38には、別途図示しない射出成形機に連結されたゲート38aが形成されている。
【0098】
そして、この状態で、
図3(B)に示したように、下金型38のゲート38aを介して、射出用間隙(キャビティー)44内に溶融樹脂を注入する。
【0099】
その後、
図4(A)に示したように、左金型32と、右金型34と、下金型38とを相互に離反する方向に移動させる。これにより、
図4(B)に示したように、上金型42には、パリソン46が形成される。
【0100】
すなわち、
図4(B)に示したように、このパリソン46は、容器本体14となるべき収容部形成部48を備えた本体部50と、この本体部50の側周壁52より拡径されるとともに、本体部50の側周壁52を、本体部50の底部54から下方に延設した、延設足部26に対応する延設足部56とを備えている。
【0101】
次に、このように形成されたパリソン46を、
図5(A)に示したように、ブロー成形金型60を用いてブロー成形を行う。
【0102】
すなわち、
図5(A)に示したように、ブロー成形金型60は、左右一対の相互に離接可能に構成された左金型62と、右金型64と、上金型66と、少量化容器10の口部20の雄ネジ18に嵌合するねじ金型67とを備えている。また、これらの左金型62と右金型64とを型締めした際に形成される凹部68に、脱着自在に嵌合可能な下金型70を備えている。
【0103】
また、左金型62と右金型64には、
図5(A)に示したように、左金型62と右金型64とを型締めした際に、容器本体12に対応するブロー間隙62a、64aがそれぞれ形成されている。
【0104】
そして、
図5(B)に示したように、このように形成される上金型66と、左金型62と、右金型64と、下金型70を型締めする。そして、図示しないが、上金型66には、エアー吹き込み口が開閉可能に形成されており、このエアー吹き込み口を介して、パリソン46の口部を介して、本体部50の収容部形成部48内に、エアーを吹き込んでブロー成形を行う。
【0105】
この場合、
図5(B)に示したように、左金型62と下金型70とで形成されるブロー間隙62aの下方部分62bと、右金型64と下金型70とで形成されるブロー間隙64aの下方部分64bとで、延設足部26に対応する延設足部56を挟持することになる。
これにより、ブロー成形の際に、パリソン46の射出形状を保持したままで、パリソン46の本体部50の側周壁52を膨らませて容器本体14を形成することができる。
【0106】
これにより、
図6(A)に示したように、パリソン46の本体部50の側周壁52を膨らませて容器本体14を形成する。そして、ブロー成形金型60から取り出せば、
図6(B)に示したように、
図1〜
図2に示したような構造の本発明の少量化容器10が一体的に成形される。
【0107】
すなわち、このようにパリソン46を成形する射出成形工程と、ブロー成形工程とを行うことによって、内容物を収容する収容部12が形成された容器本体14と、容器本体14の側周壁22を容器本体14の底部24から下方に延設した延設足部26とを備え、容器の内容量を少量化した一体化された少量化容器10を簡単に製造することができ、コストを低減することができる。
【0108】
また、単一成形機内で行われる射出成形工程とブロー成形工程によって、一体成形するので、二次工程の組み立て工程を省略することができ、複雑で煩雑な工程が不要で、コストを低減することができるとともに、異物が付着するおそれがなく、品質が低下することがない。
【0109】
なお、この場合、本発明の少量化容器10の材質としては、射出成形とブロー成形を行うことができる熱可塑性の樹脂であれば、特に限定されるものではなく、本発明の少量化容器10の使用用途に応じて、適宜選択すれば良い。
(実施例2)
【0110】
図7(A)は、本発明の少量化容器の別の実施例を示す
図2(A)と同様な断面図、
図7(B)は、本発明の少量化容器の別の実施例を示す
図2(B)と同様な断面図、
図7(C)は、本発明の少量化容器の別の実施例を示す底面図である。
【0111】
この実施例の少量化容器10は、
図1〜
図6に示した実施例の少量化容器10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0112】
この実施例の少量化容器10では、
図7(A)〜
図7(C)に示したように、延設足部26が、容器本体14の側周壁22の一部に形成されている。
【0113】
すなわち、この実施例では、
図7(A)〜
図7(C)に示したように、延設足部26が、中心角度90°離間して形成された4つの延設足部26a〜26dから構成されており、これらの延設足部26a〜26dの間に4つの切欠部28が形成されている。
【0114】
このように構成することによって、延設足部26(26a〜26d)が、容器本体14の側周壁22の一部に形成されているので、少量化容器10を構成する樹脂材料の量を低減することができ、コストも低減できる。
【0115】
また、延設足部26(26a〜26d)が、容器本体14の側周壁22の一部に形成されているので、延設足部26(26a〜26d)が形成されていない部分が切欠部28となるので、この切欠部28で、少量化容器10の位置(例えば、正面など)を確認できる。
【0116】
従って、この切欠部28を利用して、内容物を容器本体14の収容部12に収容する際に、この切欠部28をセンサーなどで検出することで、少量化容器10の向きなどを調整でき、機械化などが容易になる。
【0117】
なお、この実施例の場合、延設足部26が、4つの延設足部26a〜26dから構成したが、その数、配置位置、寸法(長さ、厚さ)などは、特に限定されるものではなく、適宜変更すれば良い。
(実施例3)
【0118】
図8(A)は、本発明の少量化容器の別の実施例を示す
図2(A)と同様な断面図、
図8(B)は、本発明の少量化容器の別の実施例を示す
図2(B)と同様な断面図、
図8(C)は、本発明の少量化容器の別の実施例を示す底面図である。
【0119】
この実施例の少量化容器10は、
図1〜
図6に示した実施例の少量化容器10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0120】
この実施例の少量化容器10では、
図8(A)〜
図8(C)に示したように、容器本体14の底部24と、延設足部26との間に、補強用リブ72が形成されている。
【0121】
すなわち、この実施例では、
図8(A)〜
図8(C)に示したように、補強用リブ72が、中心角度90°離間して形成された4つの補強用リブ72a〜72dから形成されている。この補強用リブ72a〜72dは、
図8(A)〜
図8(B)に示したように、基端部側(容器本体14の底部24側)が幅が広くなった略三角形のトラス形状となって、補強強度が向上されるようになっている。
【0122】
このように構成することによって、容器本体14の底部24と、延設足部26との間に補強用リブ72(72a〜72d)が形成されているので、補強用リブ72(72a〜72d)で少量化容器10の構造強度が確保されることになる。また、補強用リブ72(72a〜72d)で、少量化容器10自体の自立性も向上し便利である。
【0123】
さらに、補強用リブ72(72a〜72d)で、少量化容器10の位置(例えば、正面など)を確認できるので、この補強用リブ72(72a〜72d)を利用して、内容物を容器本体14の収容部12に収容する際に、この補強用リブ72(72a〜72d)をセンサーなどで検出することで、少量化容器10の向きなどを調整でき、機械化などが容易になる。
【0124】
なお、この実施例の場合、補強用リブ72が、4つの補強用リブ72a〜72dから構成したが、その数、配置位置、寸法(長さ、厚さ)などは、特に限定されるものではなく、適宜変更すれば良い。
【0125】
例えば、
図9(A)〜
図9(C)に示したように、補強用リブ72(72a〜72d)を矩形形状にして、2つの十字に交差する補強用リブ72a〜72bから構成することもできる。また、
図10(A)〜
図10(C)に示したように、4つの平行に形成された補強用リブ72a〜72dから構成することもできる。
【0126】
さらに、
図11(A)〜
図11(C)に示したように、延設足部26と同心形状に容器本体14の底部24に形成された補強用リブ72eから構成することも可能である。なお、同心形状に容器本体14の底部24に形成された補強用リブ72eの数も、特に限定されるものではない。
(実施例4)
【0127】
図12(A)は、本発明の少量化容器の別の実施例を示す
図2(A)と同様な断面図、
図12(B)は、本発明の少量化容器の別の実施例を示す
図2(B)と同様な断面図である。
【0128】
この実施例の少量化容器10は、
図1〜
図6に示した実施例の少量化容器10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0129】
この実施例の少量化容器10では、
図12(A)〜
図12(B)に示したように、容器本体14の底部24が、下方に突設するテーパー形状、または、ドーム形状24aに形成されている。
【0130】
すなわち、この実施例では、
図12(A)〜
図12(B)に示したように、容器本体14の側周壁22の短手方向の側壁22aから、下方中央に向かって突設するテーパー形状、または、ドーム形状24aに形成されている。
【0131】
このように構成することによって、下方に突設するテーパー形状、または、ドーム形状24aに形成された容器本体14の底部24を、例えば、指などで下方から上方へ押すことによって、このテーパー形状、または、ドーム形状24aの底部24が変形して上方へ移動しやすく、容器本体14の収容部12に収容された内容物を容器本体14から押し出す(排出)するのが容易になり便利である。
【0132】
また、少量化容器10をポンプ容器として使用する場合に、容器本体14の底部24が下方に突設するテーパー形状、または、ドーム形状24aに形成されているため、残液対策に優れた少量化容器10を提供できる。
【0133】
なお、図示しないが、容器本体14の底部24は、容器本体14の側周壁22の長手方向の側壁から、下方中央に向かって突設するテーパー形状、または、ドーム形状に形成されてもよい。
【0134】
さらに、
図13(A)〜
図13(B)に示したように、容器本体14の側周壁22の短手方向の側壁22aの一方側から、容器本体14の側周壁22の他方側の短手方向の側壁22aに向かって、下方に突設するように傾斜したテーパー形状、または、ドーム形状24cを形成するようにしても良い。
【0135】
このように構成することによって、容器本体14の側周壁22の短手方向の側壁22aを容器本体14の底部24から下方に延設した延設足部26を備えているので、少量化容器10自体も自立可能であり便利である。
【0136】
なお、図示しないが、容器本体14の底部24は、容器本体14の側周壁22の長手方向の側壁の一方側から、容器本体14の側周壁22の他方側の長手方向の側壁に向かって、下方に突設するように傾斜したテーパー形状、または、ドーム形状に形成されてもよい。
(実施例5)
【0137】
図14(A)は、本発明の少量化容器の別の実施例を示す
図2(A)と同様な断面図、
図14(B)は、本発明の少量化容器の別の実施例を示す
図2(B)と同様な断面図である。
【0138】
この実施例の少量化容器10は、
図1〜
図6に示した実施例の少量化容器10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0139】
この実施例の少量化容器10では、
図14(A)〜
図14(B)に示したように、容器本体14の底部24が、上方に突設するテーパー形状、または、ドーム形状21aに形成されている。
【0140】
すなわち、この実施例では、
図14(A)〜
図14(B)に示したように、容器本体14の側周壁22の短手方向の側壁22aから、上方中央に向かって突設したテーパー形状、または、ドーム形状21aに形成されている。
【0141】
このように構成することによって、容器本体14の底部24が、上方に突設するテーパー形状、または、ドーム形状21aに形成されているので、その分、容器本体14の収容部12の内容物の内容量を、さらに少量化することができる。
【0142】
このように構成することによって、容器本体14の側周壁22の短手方向の側壁22aを容器本体14の底部24から下方に延設した延設足部26を備えているので、少量化容器10自体も自立可能であり便利である。
【0143】
なお、図示しないが、容器本体14の底部24は、容器本体14の側周壁22の長手方向の側壁から、上方中央に向かって突設したテーパー形状、または、ドーム形状に形成されてもよい。
(実施例6)
【0144】
図15(A)は、本発明の少量化容器の別の実施例を示す
図2(A)と同様な断面図、
図15(B)は、本発明の少量化容器の別の実施例を示す
図2(B)と同様な断面図である。
【0145】
この実施例の少量化容器10は、
図1〜
図6に示した実施例の少量化容器10と基本的には同様な構成であり、同一の構成部材には、同一の参照番号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0146】
この実施例の少量化容器10では、
図15(A)〜
図15(B)に示したように、容器本体14の底部24が、容器本体14の側周壁22の短手方向の側壁22aの一方側から、容器本体14の側周壁22の他方側の短手方向の側壁22aに向かって、蛇腹形状23に形成されている。
【0147】
このように構成することによって、蛇腹形状23に形成された底部24を、例えば、指などで下方から上方へ押すことによって、この蛇腹形状23に形成された底部24が変形して上方へ移動しやすく、容器本体14の収容部12に収容された内容物を容器本体14から押し出す(排出)するのが容易になり便利である。
【0148】
なお、図示しないが、容器本体14の側周壁22の長手方向の側壁22bの一方側から、容器本体14の側周壁22の他方側の長手方向の側壁22bに向かって、蛇腹形状23に形成された底部24とすることも可能である。
【0149】
なお、
図12〜
図15の少量化容器10では、底部24が内方に変形しやすい形状をしているため、点眼容器に使用する場合、延設足部26を指などで摘まむ(いわゆる「スクイズ」)ことで、容器本体14の収容部12に収容された内容物を排出する効果により優れる。
【0150】
以上、本発明の好ましい実施の態様を説明してきたが、本発明はこれに限定されることはなく、例えば、上記実施例では、点眼容器、点鼻容器、塗布容器などの医薬品容器などの容器において、容器内の収容部に収容される、例えば、液状物質、流動物質、半流動物質、固形体、粉粒体などの固形物などからなる内容物の内容量を少量化するための少量化容器について説明したが、これ以外でも、例えば、食品分野、工業分野など少量化が望まれる少量化容器に適用することができる。
【0151】
また、上記実施例では、縦置き型の金型を用いて製造する方法について説明したが、いわゆる「横置き型」の金型を用いて製造することも、また、いわゆる「多数個取り」と呼ばれる金型を用いて、一度に複数の少量化容器10を得ることもできるなど本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。