特許第6541391号(P6541391)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧

<>
  • 特許6541391-自走車両 図000002
  • 特許6541391-自走車両 図000003
  • 特許6541391-自走車両 図000004
  • 特許6541391-自走車両 図000005
  • 特許6541391-自走車両 図000006
  • 特許6541391-自走車両 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6541391
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】自走車両
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/00 20060101AFI20190628BHJP
   G05D 1/02 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   G05D1/00 B
   G05D1/02 W
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-67968(P2015-67968)
(22)【出願日】2015年3月30日
(65)【公開番号】特開2016-189053(P2016-189053A)
(43)【公開日】2016年11月4日
【審査請求日】2017年6月26日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小林 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】南方 佑輔
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】出井 義人
(72)【発明者】
【氏名】坂本 健太
(72)【発明者】
【氏名】福岡 和樹
(72)【発明者】
【氏名】渡部 裕嗣
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−122580(JP,A)
【文献】 特開2007−193639(JP,A)
【文献】 特開2015−001778(JP,A)
【文献】 特開2003−202922(JP,A)
【文献】 特開2012−020058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00− 1/12
A01B 69/00
A63H 1/00−37/00
H03J 9/00− 9/06
H04Q 9/00− 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操作により走行する自走車両であって、
前記遠隔操作を行うコントローラから空中伝搬される信号に基づいて、自車に対する前記コントローラの位置を検出する位置検出部と、
前記自車に対する前記コントローラの位置に基づいて、前記コントローラに対する前記自車の移動方向を判定する移動方向判定部と、
前記自車が前進走行する場合において、前記自車が前記コントローラから遠ざかる時には前記コントローラによる操舵操作に応じた操舵方向で操向輪を操舵し、前記自車が前記コントローラに近づく時には前記コントローラによる操舵操作に応じた操舵方向を反転して前記操向輪を操舵するように前記遠隔操作による前記操向輪の操舵方向を切り替え、前記自車が後退走行する場合において、前記自車が前記コントローラに近づく時には前記コントローラによる操舵操作に応じた操舵方向で前記操向輪を操舵し、前記自車が前記コントローラから遠ざかる時には前記コントローラによる操舵操作に応じた操舵方向を反転して前記操向輪を操舵するように前記遠隔操作による前記操向輪の操舵方向を切り替える操舵方向切替部と、
前記自車に対する前記コントローラの状態が、前記自車が移動して、前記自車が前記コントローラから遠ざかる状態と、前記自車が前記コントローラに近づく状態とのうちの一方から他方へ移行した時であっても、車体の長さ方向の中央部を通って前記車体の車幅方向に延長した車幅方向延長線を前記コントローラが跨ぐ時は、前記操舵方向の切り替えを無効にする切替無効部と
を備える自走車両。
【請求項2】
前記操舵方向切替部は、前記自車に対する前記コントローラの状態が、前記自車が移動して、前記自車が前記コントローラから遠ざかる状態と、前記自車が前記コントローラに近づく状態とのうちの一方から他方へ移行した時に前記操舵方向を切り替える請求項1に記載の自走車両。
【請求項3】
前記自車に対する前記コントローラの状態が、前記コントローラが移動して、前記自車が前記コントローラから遠ざかる状態と、前記自車が前記コントローラに近づく状態とのうちの一方から他方へ移行した時に、周囲に報知する報知部を備える請求項1又は2に記載の自走車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔操作により走行する自走車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遠隔操作により走行する自走車両が利用されてきた。このような遠隔操作により走行される技術として、下記に出典を示す特許文献1に記載されるものがある。
【0003】
特許文献1に記載の走行体は、無線操縦装置で走行体を誘導した後、元のコースに戻るコースを生成する方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−257529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術のように、無線操縦装置を用いて遠隔操作にすることにより、走行体を任意の位置に走行させることが可能である。しかしながら、ユーザの意図した経路で走行体を走行させるには、無線操縦装置による遠隔操作に慣れる必要がある。また、例えば走行体の進行方向とユーザの視線の方向とが同一でない場合には、無線操縦装置を操作するにあたり、ユーザは頭の中で方向の反転処理を行う必要があり、ユーザに煩わしい作業が伴うことになる。
【0006】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、煩わしい作業を伴うことなく、円滑に遠隔操作を行うことが可能な自走車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る自走車両の特徴構成は、遠隔操作により走行する自走車両であって、前記遠隔操作を行うコントローラから空中伝搬される信号に基づいて、自車に対する前記コントローラの位置を検出する位置検出部と、前記自車に対する前記コントローラの位置に基づいて、前記コントローラに対する前記自車の移動方向を判定する移動方向判定部と、前記自車が前進走行する場合において、前記自車が前記コントローラから遠ざかる時には前記コントローラによる操舵操作に応じた操舵方向で操向輪を操舵し、前記自車が前記コントローラに近づく時には前記コントローラによる操舵操作に応じた操舵方向を反転して前記操向輪を操舵するように前記遠隔操作による前記操向輪の操舵方向を切り替え、前記自車が後退走行する場合において、前記自車が前記コントローラに近づく時には前記コントローラによる操舵操作に応じた操舵方向で前記操向輪を操舵し、前記自車が前記コントローラから遠ざかる時には前記コントローラによる操舵操作に応じた操舵方向を反転して前記操向輪を操舵するように前記遠隔操作による前記操向輪の操舵方向を切り替える操舵方向切替部と、前記自車に対する前記コントローラの状態が、前記自車が移動して、前記自車が前記コントローラから遠ざかる状態と、前記自車が前記コントローラに近づく状態とのうちの一方から他方へ移行した時であっても、車体の長さ方向の中央部を通って前記車体の車幅方向に延長した車幅方向延長線を前記コントローラが跨ぐ時は、前記操舵方向の切り替えを無効にする切替無効部とを備える点にある。
【0008】
このような特徴構成とすれば、コントローラで所定の操舵指示を行った場合に、自走車両がコントローラから遠ざかる時に自走車両の操向輪が操舵される方向と、自走車両がコントローラに近づく時に自走車両の操向輪が操舵される方向とを一致させることができる。このため、自走車両が走行する方向に応じて、ユーザはコントローラにより操舵指示した方向と実際の自走車両の操舵輪が操舵される方向とを反転処理する必要がないので、ユーザにとって煩わしい作業が伴うことがない。したがって、円滑に遠隔操作を行うことが可能となる。
【0010】
また、自走車両の進行方向に拘らず、コントローラで操舵指示を行った方向に操向輪の操舵を行うことができる。したがって、ユーザから見た場合の操向輪が操舵される方向と、コントローラで操舵指示した方向とを一致させることができるので、ユーザが自走車両の遠隔操作を容易にすることができ、困惑し難くなる。
また、コントローラを有するユーザが移動した結果、自走車両がコントローラから遠ざかる状態と、自走車両がコントローラに近づく状態との一方から他方に移行した時には、操舵方向の切り替えを行わないようにすることができる。
【0011】
また、前記操舵方向切替部は、前記自車に対する前記コントローラの状態が、前記自車が移動して、前記自車が前記コントローラから遠ざかる状態と、前記自車が前記コントローラに近づく状態とのうちの一方から他方へ移行した時に前記操舵方向を切り替えると好適である。
【0012】
このような構成とすれば、自走車両が走行した結果、自走車両がコントローラから遠ざかる状態と、自走車両がコントローラに近づく状態との一方から他方に移行した時に操舵方向を切り替えることができる。
【0013】
また、前記自車に対する前記コントローラの状態が、前記コントローラが移動して、前記自車が前記コントローラから遠ざかる状態と、前記自車が前記コントローラに近づく状態とのうちの一方から他方へ移行した時に、周囲に報知する報知部を備えると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、コントローラを有するユーザと、自走車両との位置関係が、所期の位置にない場合に、ユーザや自走車両の周囲に対して警告することができる。したがって、自走車両の遠隔操作を行うにあたり適した位置にユーザを誘導することができる。
【0015】
また、前記自車に対する前記コントローラの状態が、前記自車が移動して、前記自車が前記コントローラから遠ざかる状態と、前記自車が前記コントローラに近づく状態とのうちの一方から他方へ移行した時であっても、車体の長さ方向の中央部を通って前記車体の車幅方向に延長した車幅方向延長線を前記コントローラが跨ぐ時は、前記操舵方向の切り替えを無効にする切替無効部を備えると好適である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】自走車両を模式的に示した側面図である。
図2】自走車両の機能部を模式的に示したブロック図である。
図3】操舵方向の切り替えを行う場合の例を示す図である。
図4】操舵方向の切り替えを行う場合の例を示す図である。
図5】操舵方向の切り替えを無効にする場合の例を示す図である。
図6】報知部により報知する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る自走車両は、遠隔操作により走行可能に構成される。以下、本実施形態の自走車両1について説明する。本実施形態では、自走車両1は、圃場に生えている草を刈り取りながら走行するよう構成されている。
【0019】
図1には本実施形態の自走車両1の側面図が示される。図1に示されるように、自走車両1は、車輪2と走行機体3とを備えて構成される。車輪2は、車体の車長方向の一端側の第1車輪2A、及び車長方向の他端側の第2車輪2Bから構成される。自走車両1は、これらの第1車輪2A及び第2車輪2Bの双方が操向輪とされる。したがって、自走車両1は、後述するように、遠隔操作に応じて第1車輪2A及び第2車輪2Bの双方の舵角が変更可能に構成される。
【0020】
走行機体3は、自走車両1の動力源であるエンジン4、エンジン4に供給する燃料が備蓄されている燃料タンク5、エンジン4により駆動される発電機6、発電機6により発電された電力を蓄電し、自走車両1が有する電気機器に電力供給するバッテリ7、自走車両1の自動走行を制御する自走制御装置10、バッテリ7から供給される電力に基づき第1車輪2Aの操向操作を行う第1車輪操向操作機構51、バッテリ7から供給される電力に基づき第2車輪2Bの操向操作を行う第2車輪操向操作機構52、エンジン4の回転力が入力され、草刈りに使用する刈り刃54を有する草刈装置53、第1車輪2A及び第2車輪2Bの少なくとも一方と草刈装置53とへのエンジン4の回転力の断接を行う動力伝達機構55を備えている。
【0021】
図2には、自走車両1の走行に係る機能部を示すブロック図が示される。自走車両1は、通信装置9、自走制御装置10、第1車輪操向操作機構51、第2車輪操向操作機構52、動力伝達機構55の各機能部を備えて構成される。自走制御装置10は、出力演算部11、舵角演算部12、位置検出部13、移動方向判定部14、操舵方向切替部15、切替無効部16、走行制御部17、舵角制御部18、報知部19の各機能部を備えて構成され、各機能部は、自走車両1の走行に係る種々の処理を行うためにCPUを中核部材としてハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
【0022】
上述したように、自走車両1はコントローラ200による操作に応じて遠隔操作される。コントローラ200はユーザにより操作され、このユーザは自走車両1に搭乗していても搭乗していなくても良い。コントローラ200には、ユーザの入力に応じて、自走車両1を前進又は後退させる第1操作レバー200Aと、操向輪の操舵を操作する第2操作レバー200Bとが設けられる。また、コントローラ200に対する通電を制御する電源スイッチ200Cも設けられる。第1操作レバー200A及び第2操作レバー200Bによる操作を示す操作情報は、自走車両1に設けられる通信装置9を介して自走制御装置10に伝達される。
【0023】
出力演算部11は、遠隔操作に応じた、動力伝達機構55への出力指示値を演算する。遠隔操作とは、第1操作レバー200Aの操作である。出力指示値とは、前進及び後退の別を規定すると共に、エンジン4に期待する出力の指令値である。出力演算部11により演算された出力指示値は、後述する走行制御部17に伝達される。
【0024】
舵角演算部12は、遠隔操作に応じた、第1車輪2A及び第2車輪2Bの舵角を演算する。遠隔操作とは、第2操作レバー200Bの操作である。舵角とは、第1車輪2A及び第2車輪2Bを向ける方向(ステアリング方向)及び向ける量(ステアリング量)を規定するものであり、第1車輪操向操作機構51及び第2車輪操向操作機構52に期待する出力の指令値である。舵角演算部12により演算された舵角は、後述する舵角制御部18に伝達される。
【0025】
走行制御部17は、出力演算部11により演算された出力指示値に基づいて動力伝達機構55を制御する。これにより、自走車両1は前進又は後退を行うことが可能となる。
【0026】
舵角制御部18は、舵角演算部12により演算された舵角に基づいて、操向輪の舵角を制御する。これにより、自走車両1は操舵され、進行方向を左右いずれかに変更することが可能となる。
【0027】
位置検出部13は、遠隔操作を行うコントローラ200から空中伝搬される信号に基づいて、自車に対するコントローラ200の位置を検出する。コントローラ200から空中伝搬される信号とは、ユーザによりコントローラ200を介して行われる自走車両1に対する動作指令である。自車に対するコントローラ200の位置とは、自走車両1から見たコントローラ200の位置である。このような位置の検出は、例えばドップラー効果を利用して検出することが可能である。ドップラー効果を利用して検出する場合には、位置検出部13は、コントローラ200からの信号について周波数解析を行うことが可能に構成すると好適であり、公知のドップラーレーダーを用いて構成することも可能である。位置検出部13は、コントローラ200による遠隔操作が行われている間、継続して自車に対するコントローラ200の位置を検出する。位置検出部13による検出結果は、後述する移動方向判定部14に伝達される。
【0028】
移動方向判定部14は、自車に対するコントローラ200の位置に基づいて、コントローラ200に対する自車の移動方向を判定する。自車に対するコントローラ200の位置とは、上述したように自走車両1から見たコントローラ200の位置であり、位置検出部13により検出される。この検出は継続して行われるので、移動方向判定部14は、所定時間毎に位置検出部13の検出結果を解析することで、コントローラ200に対する自走車両1の移動方向を判定することができる。ここで、本実施形態に係る移動方向とは、自走車両1がコントローラ200から遠ざかるか、或いは、自走車両1がコントローラ200に近づくかを示す程度の移動方向で良い。この時の移動方向の判定は、コントローラ200の位置を基準に判定される。この判定結果は、後述する操舵方向切替部15、切替無効部16、報知部19に伝達される。
【0029】
操舵方向切替部15は、自車が前進走行及び後退走行の一方で走行する場合において、自車がコントローラ200から遠ざかる時と、自車がコントローラ200に近づく時とで、遠隔操作による操向輪の操舵方向を切り替える。「自車がコントローラ200から遠ざかる時」とは、「自走車両1がコントローラ200から遠ざかる時」を意味し、「自車がコントローラ200に近づく時」とは、「自走車両1がコントローラ200に近づく時」を意味する。これらは、上述した移動方向判定部14の判定結果に基づき特定することができる。遠隔操作による操向輪の操舵方向とは、コントローラ200の第2操作レバー200Bの操作により、操向輪を左側に操舵しようとした場合には左方向となり、操向輪を右側に操舵しようとした場合には右方向となる。したがって、操舵方向切替部15は、自走車両1が前進走行している場合において、自車がコントローラ200から遠ざかる時と、自車がコントローラ200に近づく時とで、遠隔操作による操向輪の操舵方向を切り替え、自走車両1が後退走行している場合において、自車がコントローラ200から遠ざかる時と、自車がコントローラ200に近づく時とで、遠隔操作による操向輪の操舵方向を切り替える。
【0030】
本実施形態では、操舵方向切替部15は、自車がコントローラ200から遠ざかる時にはコントローラ200による操舵操作に応じた操舵方向で操向輪を操舵し、自車がコントローラ200に近づく時にはコントローラ200による操舵操作に応じた操舵方向を反転して操向輪を操舵する。「操舵方向に応じた操舵方向」とは、コントローラ200の第2操作レバー200Bの操作により指示された操舵方向である。「操舵方向に応じた操舵方向を反転」するとは、コントローラ200の第2操作レバー200Bの操作により指示された操舵方向の反対方向である。すなわち、第2操作レバー200Bで右方向に指示された時には左方向が相当し、第2操作レバー200Bで左方向に指示された時には右方向が相当する。
【0031】
したがって、操舵方向切替部15は、自走車両1がコントローラ200から遠ざかる時には、コントローラ200の第2操作レバー200Bの操作により指示された操舵方向に操向輪を操舵し、操舵方向切替部15は、自走車両1がコントローラ200に近づく時には、コントローラ200の第2操作レバー200Bの操作により指示された操舵方向の反対方向に操向輪を操舵する。
【0032】
図3には、コントローラ200(を有するユーザ)が、自走車両1がコントローラ200から遠ざかる場合には自走車両1の進行方向の左後方に位置し、且つ、自走車両1がコントローラ200に近づく場合には進行方向の右前方に位置した状態で、自走車両1を遠隔操作した例が示される。この場合、経路Aに沿って自走車両1が走行する時には、「自走車両1がコントローラ200から遠ざかる時」に該当するので、操舵方向切替部15はコントローラ200の第2操作レバー200Bの操作により指示された操舵方向に操向輪を操舵する。したがって、操舵方向切替部15は、第2操作レバー200Bで右方向に操舵指示があった時には操向輪を右方向に操舵させ、第2操作レバー200Bで左方向に操舵指示があった時には操向輪を左方向に操舵させる。
【0033】
一方、経路Bに沿って自走車両1が走行する時には、「自走車両1がコントローラ200に近づく時」に該当するので、操舵方向切替部15はコントローラ200の第2操作レバー200Bの操作により指示された操舵方向の反対方向に操向輪を操舵する。したがって、操舵方向切替部15は、第2操作レバー200Bで右方向に操舵指示があった時には操向輪を左方向に操舵させ、第2操作レバー200Bで左方向に操舵指示があった時には操向輪を右方向に操舵させる。
【0034】
これは、図4に示されるように、コントローラ200(を有するユーザ)が、自走車両1がコントローラ200から遠ざかる場合には自走車両1の進行方向の右後方に位置し、且つ、自走車両1がコントローラ200に近づく場合には進行方向の左前方に位置した状態で、自走車両1を遠隔操作した場合も同様である。
【0035】
図3及び図4の例は、操舵方向切替部15が、自車に対するコントローラ200の状態が、自車が移動して、自車がコントローラ200から遠ざかる状態と、自車がコントローラ200に近づく状態とのうちの一方から他方へ移行した時に操舵方向を切り替えると言い換えることができる。操舵方向切替部15は、自車が移動しているか否かは、走行制御部17が動力伝達機構55に対して走行指示を与えているか否かに基づき特定することが可能である。
【0036】
ここで、例えば図5に示されるように、自走車両1の進行方向の右前方にコントローラ200(を有するユーザ)が位置する場合において、自走車両1がコントローラ200の前を通過して走行するケースもある。この場合、「自走車両1がコントローラ200の前を走行する時」は、「自車に対するコントローラ200の状態が、自車が移動して、自車がコントローラ200から遠ざかる状態と、自車がコントローラ200に近づく状態とのうちの一方から他方へ移行した時」に該当する。しかしながら、この場合に、操舵方向を反転すると、自走車両1がコントローラ200(を有するユーザ)の前を通過する前と、通過した後とで、操舵方向が急に変更され、ユーザが困惑する可能性がある。
【0037】
そこで、本実施形態では、自車に対するコントローラ200の状態が、自車が移動して、自車がコントローラ200から遠ざかる状態と、自車がコントローラ200に近づく状態とのうちの一方から他方へ移行した時であっても、車体の長さ方向の中央部を通って車体の車幅方向に延長した車幅方向延長線を前記コントローラ200が跨ぐ時は、切替無効部16が操舵方向の切り替えを無効にする。「車体の長さ方向の中央部を通って車体の車幅方向に延長した車幅方向延長線を前記コントローラ200が跨ぐ時」とは、「自走車両1がコントローラ200(を有するユーザ)の前を通過する時」である。これにより、図5に示される例の場合には、切替無効部16により操舵方向の切り替えが無効とされるので、ユーザが困惑することを防止することが可能となる。
【0038】
ここで、例えば図6に示されるように、自走車両1の側方にコントローラ200(を有するユーザ)が位置する場合において、コントローラ200(を有するユーザ)が移動した結果、「自走車両1がコントローラ200から遠ざかる状態」と、「自走車両1がコントローラ200に近づく状態」との一方から他方へ移行するケースとなることもある。この場合にも、切替無効部16は操舵方向切替部15による操舵方向の反転を無効とするように構成すると良い。また、このように、自車に対するコントローラ200の状態が、コントローラ200が移動して、自車がコントローラ200から遠ざかる状態と、自車がコントローラ200に近づく状態とのうちの一方から他方へ移行した時には、報知部19が、周囲に報知するよう構成すると良い。これにより、ユーザに元の場所への移動を促すことが可能となる。
【0039】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、操舵方向切替部15は、自車がコントローラ200から遠ざかる時にはコントローラ200による操舵操作に応じた操舵方向で操向輪を操舵し、自車がコントローラ200に近づく時にはコントローラ200による操舵操作に応じた操舵方向を反転して操向輪を操舵するとして説明したが、操舵方向切替部15は、自車がコントローラ200から近づく時にコントローラ200による操舵操作に応じた操舵方向で操向輪を操舵し、自車がコントローラ200から遠ざかる時にコントローラ200による操舵操作に応じた操舵方向を反転して操向輪を操舵するように構成することも可能である。
【0040】
上記実施形態では、上記実施形態では、操舵方向切替部15は、自車に対するコントローラ200の状態が、自車が移動して、自車がコントローラ200から遠ざかる状態と、自車がコントローラ200に近づく状態とのうちの一方から他方へ移行した時に操舵方向を切り替えるとして説明したが、操舵方向切替部15は、自車に対するコントローラ200の状態が、自車が移動しなくても、自車がコントローラ200から遠ざかる状態と、自車がコントローラ200に近づく状態とのうちの一方から他方へ移行した時に操舵方向を切り替えるように構成しても良い。
【0041】
上記実施形態では、自車に対するコントローラ200の状態が、コントローラ200が移動して、自車がコントローラ200から遠ざかる状態と、自車がコントローラ200に近づく状態とのうちの一方から他方へ移行した時に、周囲に報知する報知部19を備えるとして説明したが、報知部19を備えずに構成することも可能である。
【0042】
上記実施形態では、自車に対するコントローラ200の状態が、自車が移動して、自車がコントローラ200から遠ざかる状態と、自車がコントローラ200に近づく状態とのうちの一方から他方へ移行した時であっても、車体の長さ方向の中央部を通って車体の車幅方向に延長した車幅方向延長線をコントローラ200が跨ぐ時は、操舵方向の切り替えを無効にする切替無効部16を備えるとして説明したが、切替無効部16を備えずに構成することも可能である。
【0043】
上記実施形態では、自走車両1が草の刈り取りを行いながら走行するとして説明したが、自走車両1を例えば運搬車両として用いることも可能であるし、他の用途に用いることも当然に可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、遠隔操作により走行する自走車両に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0045】
1:自走車両
13:位置検出部
14:移動方向判定部
15:操舵方向切替部
16:切替無効部
19:報知部
200:コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6