特許第6541404号(P6541404)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6541404
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】光学フィルムの欠陥判別方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/892 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
   G01N21/892 A
【請求項の数】26
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2015-82538(P2015-82538)
(22)【出願日】2015年4月14日
(65)【公開番号】特開2015-206790(P2015-206790A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2018年4月9日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0046832
(32)【優先日】2014年4月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE−CHEM CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】李 銀珪
(72)【発明者】
【氏名】朴 宰賢
(72)【発明者】
【氏名】許 宰寧
【審査官】 平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−049158(JP,A)
【文献】 米国特許第6531707(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84 − 21/958
G01M 11/00
G01B 11/00 − 11/30
G02B 5/30
G02F 1/13
G02F 1/1335
G06T 1/00 − 1/40
G06T 3/00 − 3/60
G06T 5/00 − 5/50
G06T 7/00 − 7/90
G06T 9/00 − 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S1)両面に保護フィルムが積層された光学フィルムを検査して異物を含んでいるか否かを確認する段階と、
(S2)前記異物を含む前記光学フィルムの前記両面の前記保護フィルムを剥離して、前記異物を良品性異物と欠陥とに分類する段階と、
(S3)前記良品性異物及び前記欠陥の下記数式1による密度、下記数式2による厚さ、及び面積からなる群から選択された一以上の値と、強度との関係に関する情報を得て、前記異物を前記良品性異物と前記欠陥とに分類する基準を取得する段階と、
(S4)前記得られた情報によって、前記異物を含む光学フィルムの両面の保護フィルムを剥離せずに、前記光学フィルムの前記異物のうち前記良品性異物と判別される前記異物を前記欠陥から除外する段階とを備える、光学フィルムの欠陥判別方法:
[数式1]
異物の密度=異物の面積/異物の長軸を直径とする円の面積
[数式2]
異物の厚さ=異物の面積/異物の長軸の長さ。
【請求項2】
前記段階(S3)は、前記良品性異物及び前記欠陥を、各異物の前記強度と前記密度との関係に基づいて分類する一次分類基準を取得する段階(S3−1)を備える、請求項1に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項3】
前記段階(S3)は、前記一次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記厚さとの関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する二次分類基準を取得する段階(S3−2)をさらに備える、請求項2記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項4】
前記段階(S3)は、前記二次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記面積との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する三次分類基準を取得する段階(S3−3)をさらに備える、請求項3に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項5】
前記段階(S3)は、前記三次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記面積との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する四次分類基準を取得する段階(S3−4)をさらに備える、請求項4に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項6】
前記段階(S3)は、前記一次、二次、三次、及び四次分類基準によって前記良品性異物と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記密度との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する五次分類基準を取得する段階(S3−5)をさらに備える、請求項5に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項7】
前記段階(S3)は、前記五次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記密度との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する六次分類基準を取得する段階(S3−6)をさらに備える、請求項6に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項8】
前記段階(S3)は、前記六次分類基準によって前記良品性異物と分類された前記異物を、各異物の縦長さと横長さとの関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する七次分類基準を取得する段階(S3−7)をさらに備える、請求項7に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項9】
前記段階(S3)は、前記七次分類基準によって前記良品性異物と分類された前記異物を、各異物の前記縦長さと前記横長さとの関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する八次分類基準を取得する段階(S3−8)をさらに備える、請求項8に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項10】
前記段階(S3)は、前記八次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、前記横長さが前記欠陥として予め定められた横長さ値を超過し、前記縦長さが前記欠陥として予め定められた縦長さ値を超過する場合、前記欠陥と分類する九次分類基準を取得する段階(S3−9)をさらに備える、請求項9に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項11】
前記段階(S3−9)は、前記六次及び七次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、前記横長さが前記欠陥として予め定められた前記横長さ値を超過し、前記縦長さが前記欠陥として予め定められた前記縦長さ値を超過する場合、さらに前記欠陥と分類する、請求項10に記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項12】
前記段階(S4)で前記良品性異物は、クラスター欠陥ではない異物であって、前記クラスター欠陥は、いずれか一の異物を中心に半径5mmの円内に他の異物が2個以上存在すると、中心の異物を含む前記異物の集合である、請求項1ないし11のいずれかに記載の光学フィルムの欠陥判別方法。
【請求項13】
前記段階(S4)で光透過検査及びクロスニコル検査のいずれもから選別される前記異物のうち、下記数式3を満たす前記異物を前記欠陥から除外する、請求項1ないし12のいずれかに記載の光学フィルムの欠陥判別方法:
[数式3]
(クロスニコル検査で選別された面積/光透過検査で選別された面積)≧8。
【請求項14】
両面に保護フィルムが積層された光学フィルムの一面に光を照射する光源と、
前記光学フィルムの前記光の照射部位を撮影する撮影機器と、
前記撮影機器で撮影された映像で異物を選別する異物選別部と、
前記光学フィルムの前記両面の前記保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離部と、
前記保護フィルムの剥離後、除去された異物と前記保護フィルムの剥離後にも残存する異物の下記数式1による密度、下記数式2による厚さ、及び面積からなる群から選択された一以上の値と、強度との関係に関する情報を得る情報取得部と、
前記情報取得部で得られた前記情報によって前記両面に前記保護フィルムが積層された前記光学フィルムの前記異物を良品性異物と欠陥とに分類する判定部と、
を備える、光学フィルムの欠陥判別装置:
[数式1]
異物の密度=異物の面積/異物の長軸を直径とする円の面積
[数式2]
異物の厚さ=異物の面積/異物の長軸の長さ。
【請求項15】
前記情報取得部は、前記良品性異物及び前記欠陥を、各異物の前記強度と前記密度との関係に基づいて分類する一次分類基準を取得する、請求項14に記載の光学フィルムの欠陥判別装置。
【請求項16】
前記情報取得部は、前記一次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記厚さとの関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する二次分類基準をさらに得る、請求項15に記載の光学フィルムの欠陥判別装置。
【請求項17】
前記情報取得部は、前記二次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記面積との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する三次分類基準をさらに得る、請求項16に記載の光学フィルムの欠陥判別装置。
【請求項18】
前記情報取得部は、前記三次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記面積との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する四次分類基準をさらに得る、請求項17に記載の光学フィルムの欠陥判別装置。
【請求項19】
前記情報取得部は、前記一次、二次、三次、及び四次分類基準によって前記良品性異物と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記密度との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する五次分類基準をさらに得る、請求項18に記載の光学フィルムの欠陥判別装置。
【請求項20】
前記情報取得部は、前記五次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記密度との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する六次分類基準をさらに得る、請求項19に記載の光学フィルムの欠陥判別装置。
【請求項21】
前記情報取得部は、前記六次分類基準によって前記良品性異物と分類された前記異物を、各異物の縦長さと横長さとの関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する七次分類基準をさらに得る、請求項20に記載の光学フィルムの欠陥判別装置。
【請求項22】
前記情報取得部は、前記七次分類基準によって前記良品性異物と分類された前記異物を、各異物の前記縦長さと前記横長さとの関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する八次分類基準をさらに得る、請求項21に記載の光学フィルムの欠陥判別装置。
【請求項23】
前記情報取得部は、前記八次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、前記横長さが前記欠陥として予め定められた横長さ値を超過し、前記縦長さが前記欠陥として予め定められた縦長さ値を超過する場合、前記欠陥と分類する九次分類基準をさらに得る、請求項22に記載の光学フィルムの欠陥判別装置。
【請求項24】
前記情報取得部は、前記六次及び七次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、前記横長さが前記欠陥として予め定められた前記横長さ値を超過し、前記縦長さが前記欠陥として予め定められた前記縦長さ値を超過する場合、さらに前記欠陥と分類する、請求項23に記載の光学フィルムの欠陥判別装置。
【請求項25】
前記判定部は、いずれか一の異物を中心に半径5mmの円内に他の異物が2個以上存在すると、中心の異物を含む前記異物の集合を前記欠陥と分類する、請求項14ないし24のいずれかに記載の光学フィルムの欠陥判別装置。
【請求項26】
前記光源と前記撮影機器との間にクロスニコル状態に配置された偏光フィルターをさらに備え、
前記判定部は、光透過検査及びクロスニコル検査のいずれもから選別される前記異物のうち、下記数式3を満たす前記異物を前記欠陥から除外する、請求項14ないし25のいずれかに記載の光学フィルムの欠陥判別装置:
[数式3]
(クロスニコル検査で選別された面積/光透過検査で選別された面積)≧8。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルムの欠陥判別方法に関する。より詳しくは、偏光板に対して、良品の不良判定を減らすことができる不良検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ又は有機発光ディスプレイ、電界放出ディスプレイ(FED)、プラズマ表示パネル(PDP)等の多様な画像表示装置が最近幅広く開発され、用いられている。
【0003】
その一方で、画像表示装置は、市場に出回る前に製造過程において多様な不良が発生するため、数多くの検査過程を経ることになる。そのうち画像表示装置で最も多く用いられている部品の一つが、偏光フィルム、位相差フィルム等の様々な光学フィルムであり、それ故に、光学フィルムの欠陥は画像表示装置の不良の主な原因の一つである。光学フィルムの欠陥を検出するためには、先ず欠陥であるか否かを判別して正確な判定を行い、その後、欠陥と判別されると、欠陥による修復(repair)又は廃棄、さらには欠陥原因の除去等が製造工程の生産歩留りの側面から重要な部分であるのに違いない。
【0004】
光学フィルムの製造は、産業的な大量生産のために通常ライン工程を用いる。従って、欠陥の検出は、ラインの特定の位置で光学フィルムを連続的に撮影して、撮影された部分で欠陥を判別することからなる。
【0005】
欠陥判別においては、従来、多様な欠陥を抜けることなく検出することが重要であった。これに関し、韓国公開特許第2010−24753号公報は、異物を含む閉曲線と異物との面積を比較して、ライン状の異物を判別する方法が記載されている。
【0006】
しかしながら、近年の光学フィルムの大型化傾向によって部品の原価が上昇することで、より正確な欠陥判別方法が求められている。それ故に、欠陥を正確に判別することができる方法が依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2010−24753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、光学フィルムの欠陥及び非欠陥を正確に判別する方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、実際のところ欠陥ではないが、従来は欠陥と判別されたもの等を欠陥ではないものと判別する光学フィルムの欠陥判別方法を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、実際のところ欠陥ではないが、従来は欠陥と判別されたもの等を欠陥ではないものと判別する光学フィルムの欠陥判別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1.(S1)両面に保護フィルムが積層された光学フィルムを検査して異物を含んでいるか否かを確認する段階と、
(S2)前記異物を含む前記光学フィルムの前記両面の前記保護フィルムを剥離して、前記異物を良品性異物と欠陥とに分類する段階と、
(S3)前記良品性異物及び前記欠陥の下記数式1による密度、下記数式2による厚さ、及び面積からなる群から選択された一以上の値と強度との関係に関する情報を得て、前記異物を前記良品性異物と前記欠陥とに分類する基準を取得する段階と、
(S4)前記得られた情報によって前記光学フィルムの前記異物のうち前記良品性異物と判別される前記異物を前記欠陥から除外する段階とを備える、光学フィルムの欠陥判別方法。
[数式1]
異物の密度=異物の面積/異物の長軸を直径とする円の面積
[数式2]
異物の厚さ=異物の面積/異物の長軸の長さ
【0012】
2.前記項目1において、前記段階(S3)は、前記良品性異物及び前記欠陥を、各異物の前記強度と前記密度との関係に基づいて分類する一次分類基準を取得する段階(S3−1)を備える、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0013】
3.前記項目2において、前記段階(S3)は、前記一次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記厚さとの関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する二次分類基準を取得する段階(S3−2)をさらに備える、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0014】
4.前記項目3において、前記段階(S3)は、前記二次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記面積との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する三次分類基準を取得する段階(S3−3)をさらに備える、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0015】
5.前記項目4において、前記段階(S3)は、前記三次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記面積との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する四次分類基準を取得する段階(S3−4)をさらに備える、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0016】
6.前記項目5において、前記段階(S3)は、前記一次、二次、三次、及び四次分類基準によって前記良品性異物と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記密度との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する五次分類基準を取得する段階(S3−5)をさらに備える、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0017】
7.前記項目6において、前記段階(S3)は、前記五次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記密度との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する六次分類基準を取得する段階(S3−6)をさらに備える、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0018】
8.前記項目7において、前記段階(S3)は、前記六次分類基準によって前記良品性異物と分類された前記異物を、各異物の縦長さと横長さとの関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する七次分類基準を取得する段階(S3−7)をさらに備える、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0019】
9.前記項目8において、前記段階(S3)は、前記七次分類基準によって前記良品性異物と分類された前記異物を、各異物の前記縦長さと前記横長さとの関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する八次分類基準を取得する段階(S3−8)をさらに備える、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0020】
10.前記項目9において、前記段階(S3)は、前記八次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、前記横長さが前記欠陥として予め定められた横長さ値を超過し、前記縦長さが前記欠陥として予め定められた縦長さ値を超過する場合、前記欠陥と分類する九次分類基準を取得する段階(S3−9)をさらに備える、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0021】
11.前記項目10において、前記段階(S3−9)は、前記六次及び七次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、前記横長さが前記欠陥として予め定められた前記横長さ値を超過し、前記縦長さが前記欠陥として予め定められた前記縦長さ値を超過する場合、さらに前記欠陥と分類する、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0022】
12.前記項目1において、前記段階(S4)で前記良品性異物は、クラスター欠陥ではない異物であり、前記クラスター欠陥は、いずれか一の異物を中心に半径5mmの円内に他の異物が2個以上存在すると、中心の異物を含む前記異物の集合である、光学フィルムの欠陥判別方法。
【0023】
13.前記項目1において、前記段階(S4)で光透過検査及びクロスニコル検査のいずれもから選別される前記異物のうち下記数式3を満たす前記異物を前記欠陥から除外する、光学フィルムの欠陥判別方法。
[数式3]
(クロスニコル検査で選別された面積/光透過検査で選別された面積)≧8
【0024】
14.両面に保護フィルムが積層された光学フィルムの一面に光を照射する光源と、
前記光学フィルムの前記光の照射部位を撮影する撮影機器と、
前記撮影機器で撮影された映像で異物を選別する異物選別部と、
前記光学フィルムの前記両面の前記保護フィルムを剥離する保護フィルム剥離部と、
前記保護フィルムの剥離後、除去された異物と前記保護フィルムの剥離後にも残存する異物の下記数式1による密度、下記数式2による厚さ、及び面積からなる群から選択された一以上の値と強度との関係に関する情報を得る情報取得部と、
前記情報取得部で得られた前記情報によって前記両面に前記保護フィルムが積層された前記光学フィルムの前記異物を良品性異物と欠陥とに分類する判定部と
を備える、光学フィルムの欠陥判別装置。
[数式1]
異物の密度=異物の面積/異物の長軸を直径とする円の面積
[数式2]
異物の厚さ=異物の面積/異物の長軸の長さ
【0025】
15.前記項目14において、前記情報取得部は、前記良品性異物及び前記欠陥を、各異物の前記強度と前記密度との関係に基づいて分類する一次分類基準を取得する、光学フィルムの欠陥判別装置。
【0026】
16.前記項目15において、前記情報取得部は、前記一次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記厚さとの関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する二次分類基準をさらに得る、光学フィルムの欠陥判別装置。
【0027】
17.前記項目16において、前記情報取得部は、前記二次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記面積との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する三次分類基準をさらに得る、光学フィルムの欠陥判別装置。
【0028】
18.前記項目17において、前記情報取得部は、前記三次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記面積との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する四次分類基準をさらに得る、光学フィルムの欠陥判別装置。
【0029】
19.前記項目18において、前記情報取得部は、前記一次、二次、三次、及び四次分類基準によって前記良品性異物と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記密度との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する五次分類基準をさらに得る、光学フィルムの欠陥判別装置。
【0030】
20.前記項目19において、前記情報取得部は、前記五次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、各異物の前記強度と前記密度との関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する六次分類基準をさらに得る、光学フィルムの欠陥判別装置。
【0031】
21.前記項目20において、前記情報取得部は、前記六次分類基準によって前記良品性異物と分類された前記異物を、各異物の縦長さと横長さとの関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する七次分類基準をさらに得る、光学フィルムの欠陥判別装置。
【0032】
22.前記項目21において、前記情報取得部は、前記七次分類基準によって前記良品性異物と分類された前記異物を、各異物の前記縦長さと前記横長さとの関係に基づいて、さらに前記良品性異物と前記欠陥とに分類する八次分類基準をさらに得る、光学フィルムの欠陥判別装置。
【0033】
23.前記項目22において、前記情報取得部は、前記八次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、前記横長さが前記欠陥として予め定められた横長さ値を超過し、前記縦長さが前記欠陥として予め定められた縦長さ値を超過する場合、前記欠陥と分類する九次分類基準をさらに得る、光学フィルムの欠陥判別装置。
【0034】
24.前記項目23において、前記情報取得部は、前記六次及び七次分類基準によって前記欠陥と分類された前記異物を、前記横長さが前記欠陥として予め定められた前記横長さ値を超過し、前記縦長さが前記欠陥として予め定められた前記縦長さ値を超過する場合、さらに前記欠陥と分類する、光学フィルムの欠陥判別装置。
【0035】
25.前記項目14において、前記判定部は、いずれか一の異物を中心に半径5mmの円内に他の異物が2個以上存在すると、中心の異物を含む前記異物の集合を前記欠陥と分類する、光学フィルムの欠陥判別装置。
【0036】
26.前記項目14において、前記光源と撮影機器との間にクロスニコル状態に配置された偏光フィルターをさらに備え、
前記判定部は、光透過検査及びクロスニコル検査のいずれもから選別される異物のうち下記数式3を満たす前記異物を前記欠陥から除外する、光学フィルムの欠陥判別装置。
[数式3]
(クロスニコル検査で選別された面積/光透過検査で選別された面積)≧8
【発明の効果】
【0037】
本発明の光学フィルムの欠陥判別方法は、実際のところ欠陥ではないが、従来は欠陥として判別されたもの等を正しく判定することで光学フィルムの製造歩留を顕著に上昇させることができる。
【0038】
また、本発明の光学フィルムの欠陥判別方法は、製造原価を大幅に減少させることができ、資源の無駄使いも防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1図1は、クラスター欠陥の一例を概略的に示した図である。
図2図2は、輝点欠陥の一例を概略的に示した図である。
図3図3は、黒線欠陥の一例を概略的に示した図である。
図4図4は、良品性異物に該当するスター異物の一例を概略的に示した図である。
図5図5は、良品性異物に該当するスクラッチ異物の一例を概略的に示した図である。
図6図6は、クラスター欠陥の一例を概略的に示した図である。
図7図7は、本発明の一具体例による光学フィルムの欠陥判別方法の概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、(S1)両面に保護フィルムが積層された光学フィルムを検査して異物を含んでいるか否かを確認する段階と、(S2)前記異物を含む前記光学フィルムの前記両面の前記保護フィルムを剥離して、前記異物を良品性異物と欠陥とに分類する段階と、(S3)前記良品性異物及び前記欠陥の下記数式1による密度、下記数式2による厚さ、及び面積からなる群から選択された一以上の値と強度との関係に関する情報を得て、前記異物を前記良品性異物と前記欠陥とに分類する基準を取得する段階と、(S4)前記得られた情報によって前記光学フィルムの前記異物のうち前記良品性異物と判別される異物を前記欠陥から除外する段階とを備えることによって、実際のところ欠陥ではないが、従来は欠陥として判別されたもの等を正しく判定することで光学フィルムの製造歩留を顕著に上昇させ、大幅に減少させ得る光学フィルムの欠陥判別方法に関する。
【0041】
以下、本発明の一具体例による光学フィルムの欠陥判別方法を詳しく説明する。
【0042】
先ず、(S1)両面に保護フィルムが積層された光学フィルムが異物を含んでいるか否かを確認する。
【0043】
本明細書において「異物」とは、光学フィルムの平均的な均一性から外れた部分をいう。
【0044】
前記異物を含んでいるか否かの確認は、光学フィルムの上部で光学フィルムを撮影して、画像を取得して、取得された画像において、予め定められた光学フィルムの平均的な均一性を逸脱する部分(異物部分)を含む領域の画像を画像処理ソフトウェア等を用いて確認することによって遂行され得る。
【0045】
本実施例では、光学フィルムとして偏光板を用いる。検査映像は、検査対象試料である偏光板の偏光方向と垂直である他の偏光板を検査対象フィルムの上部に位置させた後、試料の下部に光源を位置させて両偏光板を通過する光を撮影して得られたものである。検査対象の偏光板が良品であれば、偏光方向が互いに垂直である二つの偏光板を通過する光がなくなるため、黒色の映像が得られる。しかし、検査対象の偏光板に異物が存在すれば、その部分で偏光の方向が変わるため、結局のところ光が漏れるようになり、明るい部分(すなわち、異物部分)が存在する映像が得られる。
【0046】
また、検査映像は、別途の偏光板なしに検査対象試料である光学フィルム下部に光源を位置させ、試料を通過する光を撮影して得られたものであることもできる。そのような場合、検査対象の光学フィルムが良品であれば、光が透過して透明な映像が得られるが、検査対象の光学フィルムに異物が存在すれば、該当の部分の光透過を防ぐ暗い部分(異物部分)が存在する映像が得られる。
【0047】
以後、(S2)前記異物を含む光学フィルムの両面の保護フィルムを剥離して、前記異物を良品性異物と欠陥とに分類する。
【0048】
光学フィルムを産業的に製造する場合、光学フィルムの保管及び移送の便宜のために光学フィルムの両側面に保護フィルム等を形成して製造する。しかし、欠陥判別過程では、保護フィルムが付着した状態の光学フィルムを検査するようになるため、光学フィルムの異物のみならず、保護フィルムの損傷、保護フィルム内部の異物又は光学フィルムと保護フィルムとの間の異物も検出される。しかしながら、保護フィルムの損傷又はその内部の異物又は光学フィルムと保護フィルムとの間の異物は、光学フィルムが画像表示装置に導入される場合は、保護フィルムと共に除去されるため、実在的な欠陥ではない。
【0049】
すなわち、光学フィルムの異物は欠陥に該当し、保護フィルムの異物及び保護フィルムと光学フィルムとの間の異物は、良品性異物に該当する。
【0050】
図1〜3には、このような欠陥の例、図4及び5には、良品性異物の例が示されている。
【0051】
図1は、クラスター欠陥、図2は、輝点欠陥、図3は、黒線欠陥と称される欠陥であって、これは、光学フィルムの欠陥に該当する。図4は、スター、図5は、スクラッチと称される異物であって、これは、保護フィルムの異物又は保護フィルムと光学フィルムとの間の異物であるため、欠陥に該当しない良品性異物である。
【0052】
しかしながら、従来は、このような保護フィルムに関連する欠陥を別途に判別することができる方法が導入されていなかったため、良品が不良品と誤って判断される場合が多くあり、これを確認するためには、いちいち保護フィルムを剥離した後に検査しなければならなかった。このような問題は、それによって製造原価の上昇の原因となり得る。特に、最近の画像表示装置の大型化傾向によって光学フィルムも大型化されている実情において、このような問題点はさらに深刻になり得る。
【0053】
ここにおいて、本発明は、一部異物に対してのみ保護フィルムを剥離して良品性異物及び欠陥を分類して、後述するとおり、これらの密度、厚さ、面積等の値と強度との関係に関する情報を得て、良品性異物と欠陥とを分類する基準を設定することができる。
【0054】
良品性異物及び欠陥の分類は、保護フィルムを剥離した後に前記異物選別工程をさらに経ることで遂行することができる。具体的には、欠陥の場合は、保護フィルムを剥離した後にもそのまま異物と選別される。一方、良品性異物の場合は、光学フィルムそのものの欠陥ではなく、保護フィルムの異物又は欠陥によるものであるため、保護フィルムを剥離した後には何らの異物が選別されなくなる。
【0055】
また、剥離された保護フィルムを撮影し、選別される異物を欠陥と分類することもできる。
【0056】
異物を良品性異物及び欠陥に分類すると、(S3)良品性異物及び欠陥の下記数式1による密度、下記数式2による厚さ、及び面積からなる群から選択された一以上の値と強度との関係に関する情報を得て、前記異物を良品性異物と欠陥とに分類する基準を得る。
[数式1]
異物の密度=異物の面積/異物の長軸を直径とする円の面積
[数式2]
異物の厚さ=異物の面積/異物の長軸の長さ
【0057】
前記異物の面積は、光学フィルム上で異物に該当する部位の面積として、例えば、光学フィルムを撮影した画像から異物を判別した場合であれば、その単位がピクセルであり得る。
【0058】
異物の長軸を直径とする円の面積は、異物上の二つの点を引く最も長い線分を直径とする円の面積を意味するものであって、同様にその単位はピクセルであり得る。
【0059】
以下、面積及び長さの単位は全てピクセルであり得るが、これらに限定されるものではない。
【0060】
異物の強度は、異物ではない正常領域との明るさの差を意味するものであって、明るさの差が大きいほど強度が高い。
【0061】
より具体的な一具体例によれば、(S3−1)良品性異物及び欠陥をこれらの強度と密度との関係に基づいて分類する一次分類基準を取得することができる。
【0062】
以下、分類基準を取得する具体例を良品性異物及び欠陥をグラフ上に示し、グラフ上で良品性異物と欠陥とを区分する直線を引く場合を具体的に説明するが、これに限定されるものではない。
【0063】
これによれば、良品性異物及び欠陥を、x軸を下記数式1による密度、y軸を強度とする第1−1のグラフに示し、前記第1−1のグラフ上で良品性異物群集と欠陥群集とを区分する第1の直線を引くことができる。
【0064】
前記第1−1のグラフ上で、強度値が同一のxにおける第1の直線のy値以上の異物を欠陥、強度値が同一のxにおける第1の直線のy値より小さい異物を良品性異物と分類することができる。
【0065】
前記第1の直線が一次分類基準に該当する。前記一次分類基準を取得すると、同一のラインで製造される光学フィルムについて、以後には、保護フィルムを剥離せず、選別された異物をx軸を密度、y軸を強度とする第2−1のグラフ上に示し、前記第2−1のグラフ上に第1の直線を引き、強度値が同一のxにおける第1の直線のy値以上の異物を欠陥であり、そうではない異物を良品性異物と分類することができる。
【0066】
本発明の光学フィルムの欠陥判別方法は、さらに信頼性を高くするために前記一次分類基準によって良品性異物と分類された異物についても、これらを良品性異物及び欠陥に再分類するか、或いは、欠陥と分類された異物についても、これらを良品性異物及び欠陥に再分類することができる。
【0067】
具体的には、前記段階(S3−1)で得られた一次分類基準によって欠陥と分類された異物を、各異物の強度と厚さとの関係に基づいて、さらに良品性異物と欠陥とに分類する二次分類基準を取得する段階(S3−2)をさらに備えることができる。
【0068】
これによると、前記一次の分類基準によって欠陥と分類された異物をx軸を厚さ、y軸を強度とする第1−2のグラフに示す。
【0069】
前記一次分類によって欠陥と分類されたが、これらのうち前記段階(S2)で良品性異物と分類された異物も存在することができるので、前記第1−2のグラフ上に良品性異物及び欠陥が共に示され得る。そして、前記第1−2のグラフ上で良品性異物と欠陥とを区分する第2の直線を引く。
【0070】
前記第1−2のグラフ上で、強度値が同一のxにおける第2の直線のy値以上の異物を欠陥とし、そうではない異物を良品性異物と分類することができる。
【0071】
前記第2の直線が二次分類基準として、同様に、前記一次分類基準によって欠陥と分類された異物を、x軸を厚さ、y軸を強度とする第2−2のグラフ上に示し、前記第2−2のグラフ上に第2の直線を引いて、強度値が同一のxにおける第2の直線のy値以上の異物を欠陥、そうではない異物を良品性異物と分類することができる。
【0072】
また、前記二次分類基準によって欠陥と分類された異物を、各異物の強度と面積との関係に基づいて、さらに良品性異物と欠陥とに分類する三次分類基準を取得する段階(S3−3)をさらに備えることができる。
【0073】
前記二次分類基準によって欠陥と分類された異物を、x軸を面積、y軸を強度とする第1−3のグラフに示し、前記第1−3のグラフ上で良品性異物と欠陥とを区分する第3の直線を引く。
【0074】
前記第1−3のグラフ上で、強度値が同一のxにおける第3の直線のy値以上の異物を欠陥、そうではない異物を良品性異物と分類することができる。
【0075】
前記第3の直線が三次分類基準として、同様に、前記二次分類基準によって欠陥と分類された異物を、x軸を面積、y軸を強度とする第2−3のグラフ上に示し、前記第2−3のグラフ上に第3の直線を引いて、強度値が同一のxにおける第3の直線のy値以上の異物を欠陥、そうではない異物を良品性異物と分類することができる。
【0076】
また、前記三次分類基準によって欠陥と分類された異物を、各異物の強度と面積との関係に基づいて、さらに良品性異物と欠陥とに分類する四次分類基準を取得する段階(S3−4)をさらに含むことができる。
【0077】
前記三次分類基準によって欠陥と分類された異物を、x軸を面積、y軸を強度とする第1−4のグラフに示し、前記第1−4のグラフ上で良品性異物と欠陥とを区分する第4の線を引く。
【0078】
前記第1−4のグラフ上で、強度値が同一のxにおける第4の直線のy値より大きい異物を欠陥、そうではない異物を良品性異物と分類することができる。
【0079】
前記第4の直線が四次分類基準として、同様に、前記三次分類基準によって欠陥と分類された異物を、x軸を面積、y軸を強度とする第2−4のグラフ上に示し、前記第2−4のグラフ上に第4の直線を引いて、強度値が同一のxにおける第4の直線のy値より大きい異物を欠陥、そうではない異物を良品性異物と分類することができる。
【0080】
また、前記一次、二次、三次、及び四次分類基準によって良品性異物と分類された異物を、各異物の強度と密度との関係に基づいて、さらに良品性異物と欠陥とに分類する五次分類基準を取得する段階(S3−5)をさらに備えることができる。
【0081】
前記一次乃至四次分類基準によって良品性異物と分類された異物のうち、段階(S2)で欠陥と分類された異物も含まれることができるので、前記段階を備えることで、不良品が良品と判定されることを減少させることができる。
【0082】
前記一次、二次、三次、及び四次分類基準によって良品性異物と分類された異物を、x軸を密度、y軸を強度とする第1−5のグラフ上に示し、前記第1−5のグラフ上で良品性異物と欠陥とを区分する第5の直線を引く。
【0083】
前記第1−5のグラフ上で、強度値が同一のxにおける第5の直線のy値以上の異物を欠陥、そうではない異物を良品性異物と分類することができる。
【0084】
前記第5の直線が五次分類基準として、同様に、前記一次乃至四次分類基準によって良品性異物と分類された異物を、x軸を密度、y軸を強度とする第2−5のグラフ上に示し、前記第2−5のグラフ上に第5の直線を引いて、強度値が同一のxにおける第5の直線のy値以上の異物を欠陥、そうではない異物を良品性異物と分類することができる。
【0085】
また、前記五次分類基準によって欠陥と分類された異物を、各異物の強度と密度との関係に基づいて、さらに良品性異物と欠陥とに分類する六次分類基準を取得する段階(S3−6)をさらに備えることができる。
【0086】
前記五次分類基準によって欠陥と分類された異物を、x軸を密度、y軸を強度とする第1−6のグラフに示し、前記第1−6のグラフ上で良品性異物と欠陥とを区分する第6の直線を引く。
【0087】
前記第1−6のグラフ上で、強度値が同一のxにおける第6の直線のy値以上の異物を欠陥、そうではない異物を良品性異物と分類することができる。
【0088】
前記第6の直線が六次分類基準として、同様に、前記五次分類基準によって欠陥と分類された異物を、x軸を密度、y軸を強度とする第2−6のグラフ上に示し、前記第2−6のグラフ上に第6の直線を引いて、強度値が同一のxにおける第6の直線のy値以上の異物を欠陥、そうではない異物を良品性異物と分類することができる。
【0089】
また、前記六次分類基準によって良品性異物と分類された異物を、各異物の縦長さと横長さとの関係に基づいて、さらに良品性異物と欠陥とに分類する七次分類基準を取得する段階(S3−7)をさらに備えることができる。
【0090】
前記六次分類基準によって良品性異物と分類された異物を、x軸を異物の横長さ、y軸を異物の縦長さとする第1−7のグラフに示し、前記第1−7のグラフ上で良品性異物と欠陥とを区分する第7の直線を引く。
【0091】
前記第1−7のグラフ上で、異物の縦長さ値が同一のxにおける第7の直線のy値より大きい異物を欠陥、そうではない異物を良品性異物と分類することができる。
【0092】
前記第7の直線が七次分類基準として、同様に、前記六次分類基準によって良品性異物と分類された異物を、x軸を異物の横長さ、y軸を異物の縦長さとする第2−7のグラフ上に示し、前記第2−7のグラフ上に第7の直線を引いて、異物の縦長さ値が同一のxにおける第7の直線のy値より大きい異物を欠陥、そうではない異物を良品性異物と分類することができる。
【0093】
また、前記七次分類基準によって良品性異物と分類された異物を、各異物の縦長さと横長さとの関係に基づいて、さらに良品性異物と欠陥とに分類する八次分類基準を取得する段階(S3−8)をさらに備えることができる。
【0094】
前記七次分類基準によって良品性異物と分類された異物を、x軸を異物の横長さ、y軸を異物の縦長さとする第1−8のグラフに示し、前記第1−8のグラフ上で良品性異物と欠陥とを区分する第8の直線を引く。
【0095】
前記第1−8のグラフ上で、異物の縦長さが同一のxにおける第8の直線のy値より大きい異物を欠陥、そうではない異物を良品性異物と分類することができる。
【0096】
前記第8の直線が八次分類基準として、同様に、前記七次分類基準によって良品性異物と分類された異物を、x軸を異物の横長さ、y軸を異物の縦長さとする第2−8のグラフ上に示し、前記第2−8のグラフ上に第8の直線を引いて、異物の縦長さが同一のxにおける第8の直線のy値より大きい異物を良品性異物、そうではない異物を欠陥と分類することができる。
【0097】
また、前記八次分類基準によって欠陥と分類された異物を、横長さが欠陥として予め定められた横長さ値を超過し、縦長さが欠陥として予め定められた縦長さ値を超過する場合、欠陥と分類する九次分類基準を取得する段階(S3−9)をさらに備えることができる。
【0098】
前記八次分類基準によって欠陥と分類された異物の場合、良品性異物及び欠陥が特定の横長さ値及び特定の縦長さ値を基準に互いに区分される分布を示す。従って、特定の横長さ値及び縦長さ値を基準で、良品性異物と欠陥とを区分することができる。
【0099】
前記欠陥として予め定められた横長さ値及び縦長さ値は、良品性異物と欠陥とを区分する横長さ値及び縦長さ値であって、これらは特に限定されず、ある程度の信頼度で欠陥を検出するか否かによって変わり得る。例えば、最も高い水準の信頼度で欠陥を検出するためには、欠陥のうち最小横長さ値を、欠陥として予め定められた横長さ値とすることができる。同様に、欠陥のうち最小縦長さ値を、欠陥として予め定められた縦長さ値とすることができる。
【0100】
そして、前記六次及び七次分類基準によって欠陥と分類された異物を、その横長さが欠陥として予め定められた横長さ値を超過し、その縦長さが欠陥として予め定められた縦長さ値を超過する場合、さらに欠陥と分類することができる。
【0101】
前記六次及び七次分類基準によって欠陥と分類された異物も、良品性異物及び欠陥が特定の横長さ値と特定の縦長さ値とを基準に互いに区分される分布を示す。
【0102】
前記欠陥として予め定められた横長さ値及び縦長さ値は、良品性異物と欠陥とを区分する横長さ値及び縦長さ値である。
【0103】
最後に、(S4)前記得られた情報によって光学フィルムの異物のうち、良品性異物と判別される異物を欠陥から除外する。
【0104】
前述のとおり、段階(S3)で良品性異物と欠陥とを分類する基準を取得することができ、これによって同一のラインで生産される光学フィルムの保護フィルムを剥離せず、異物を良品性異物及び欠陥分類することができ、これによって良品性異物と判別される異物は欠陥から除外することができる。
【0105】
そして、前記良品性異物は、クラスター欠陥ではない異物であって、クラスター欠陥は、前記分類基準によって判断する前に予め欠陥に該当するものと分類することができる。
【0106】
前記クラスター欠陥は、いずれか一の異物を中心に半径5mmの円内に他の異物が2個以上存在すると、中心の異物を含む前記異物のクラスターをいう。
【0107】
クラスター欠陥の一例が図6に示されている。図6を参考すると、異物1、2、3は、異物2を中心に予め定められた半径の円内部に存在するため、それぞれ隣り合う異物が2個存在するようになり、クラスター欠陥に属する。
【0108】
クラスター欠陥は、不良品となる原因である可能性が非常に高いため、これを先ず判別し、良品性異物判別段階の対象として含まないことによって、良品性異物の判別段階の迅速性及び信頼性を高くすることができる。
【0109】
また、光透過検査及びクロスニコル検査のいずれもから選別される異物のうち下記数式3を満たす異物を欠陥から除外することができる。
[数式3]
(クロスニコル検査で選別された面積/光透過検査で選別された面積)≧8
【0110】
光透過検査及びクロスニコル検査のいずれもから選別される異物は、それぞれの検査で検出された位置が全く同一の異物のみならず、例えば、光透過検査で検出された異物のピクセル及びクロスニコル検査で検出された異物のピクセルの間の距離が20mm以内の場合、光透過検査及びクロスニコル検査のいずれもから選別される異物と見られる。
【0111】
前記数式3を満たす異物の場合も同様に不良品となる原因である可能性が非常に高く、これを先ず判別する場合、良品性異物の判別段階の迅速性及び信頼性を高くすることができる。
【0112】
図7は、前記各段階を全て含む本発明の一具体例による光学フィルムの欠陥判別方法の概略的なフローチャートである。
【0113】
図7は、良品性異物及び欠陥をグラフ上に示し、グラフ上で良品性異物と欠陥とを区分する直線を引いて、分類基準を設定する場合を例示として示したものである。図7で各段階を満たす場合はYES、そうではない場合はNOに該当し、次の矢印によって段階が行われる。各段階別で如何なる場合も、良品性異物及び欠陥と判別されるのか否かが示されている。
【0114】
図7においてA1〜A8は、各段階で定められた分類基準直線の傾度であり、B1〜B8は、y切片であり、C1は、欠陥として予め定められた横長さ値、C2は、欠陥として予め定められた縦長さ値を示す。
【0115】
また、本発明は、光学フィルムの欠陥判別装置を提供する。
【0116】
以下、本発明の一具体例による光学フィルムの欠陥判別装置を詳しく説明する。
【0117】
光源は、両面に保護フィルムが積層された光学フィルムの一面に光を照射する。
【0118】
光源は、当分野に通常用いられる如何なる光源であるとしても使用可能であり、例えば、発光ダイオード、メタルハライドランプ、蛍光灯、ハロゲンランプ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0119】
撮影機器は、前記光学フィルムの光の照射部位を撮影する。
【0120】
異物選別部は、前記撮影機器で撮影された映像から異物を選別する。
【0121】
本発明の光学フィルムの欠陥判別装置は、必要に応じて前記光源と撮影機器との間にクロスニコル状態に配置された偏光フィルターをさらに備えることができる。異物選別部の具体的な異物選別方法は、前述の欠陥判別方法と同一の方法によって行うことができる。
【0122】
保護フィルム剥離部は、光学フィルム両面の保護フィルムを剥離する。
【0123】
情報取得部は、保護フィルム剥離後、除去された異物及び保護フィルム剥離後にも残存する異物の下記数式1による密度、下記数式2による厚さ、及び面積からなる群から選択された一以上の値と強度との関係に関する情報を得る。
【0124】
これによって、良品性異物及び欠陥を分類する分類基準を取得することができる。具体的な分類基準の取得方法は、前述の欠陥判別方法と同一の方法によって行うことができる。
【0125】
判定部は、前記情報取得部で得られた情報によって、両面に保護フィルムが積層された光学フィルムの前記異物を良品性異物と欠陥とに分類する。
【0126】
前述のとおり、情報取得部で良品性異物と欠陥とを分類する基準を取得することができる。これによって同一のラインで生産される光学フィルムの保護フィルムを剥離しなくても異物を良品性異物と欠陥とに分類することができ、これによって良品性異物と判別される異物は欠陥から除外することができる。
【0127】
前記判定部は、異物を良品性異物と欠陥とに分類する際に、クラスター欠陥は、前記分類基準によって判断する前に、予め欠陥に該当することによって分類することができる。
【0128】
また、前記判定部は、光透過検査及びクロスニコル検査のいずれもから選別される異物のうち、数式3を満たす異物を欠陥から除外することができる。
[数式3]
(クロスニコル検査で選別された面積/光透過検査で選別された面積)≧8
【0129】
以下、本発明の理解を助けるために、好適な実施形態を示すが、これら実施形態は本発明を例示するに過ぎず、添付された特許請求の範囲を制限するわけではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲内において実施形態に対し変更が多様であること且つ修正が可能であることは、当業者にとって明らかなものであり、このような変更及び修正が添付された特許請求の範囲に属するのも当然のことである。
【0130】
実施例
(1)分類基準設定
ロール・ツー・ーロール工程によって製造される、両面に保護フィルムが附着された光学フィルムを下記表1に記載された長さで検査して、総18,959個の異物が選別された。
【0131】
光学フィルム両面の保護フィルムを剥離して前記異物を分類した結果、下記表1のとおり分類された。
【0132】
【表1】
【0133】
前記異物の強度、厚さ、密度、面積、横長さ、縦長さ情報を得て、これらを良品性異物と欠陥とに区分する下記の分類基準を得た。
【0134】
【表2】
【0135】
【表3】
【0136】
前記分類基準によって前記18,959個の異物をさらに分類して、欠陥をマーキングし、その結果を下記表4に示す。
【0137】
【表4】
【0138】
従来は、前記異物が全て欠陥とマーキングされたが、前記分類基準によって再分類した結果、良品性異物に該当するスター異物は、47.7%のみ欠陥としてマーキングされ、スクラッチ異物は、94.7%が欠陥とマーキングされた。
【0139】
すなわち、スター異物が欠陥とマーキングされる場合を50%以上減少させ、スクラッチ異物も欠陥とマーキングされる場合を5%以上減少させた。
【0140】
(2)同一のラインで製造された光学フィルムへの適用
ロール・ツー・ロール工程によって前記光学フィルムと同一のラインで製造される光学フィルム1000メートルを検査して、8,460個の異物が選別された。
【0141】
前記異物を実施例(1)で得られた分類基準によって分類した結果、6,176個の異物が欠陥とマーキングされた。
【0142】
そして、前記分類基準によって異物が正しく分類されたか否かを確認するために、光学フィルム両面の保護フィルムを剥離して、前記8,460個の異物を良品性異物及び欠陥と分類した。
【0143】
【表5】
【0144】
前記表5を参照すると、前記実施例(1)で得られた分類基準をこれと同一のラインで製造された光学フィルムに適用したときにも、実施例(1)と同等の水準で良品性異物が欠陥とマーキングされる場合が減少することを確認することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7