特許第6541479号(P6541479)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルパイン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6541479-オーディオシステム 図000002
  • 特許6541479-オーディオシステム 図000003
  • 特許6541479-オーディオシステム 図000004
  • 特許6541479-オーディオシステム 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6541479
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】オーディオシステム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20190628BHJP
   H03G 3/00 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   H04R3/00 310
   H03G3/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-135546(P2015-135546)
(22)【出願日】2015年7月6日
(65)【公開番号】特開2017-17654(P2017-17654A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(72)【発明者】
【氏名】橋本 勇気
【審査官】 堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−033236(JP,A)
【文献】 特開2014−179845(JP,A)
【文献】 特開2013−086754(JP,A)
【文献】 特開2009−260458(JP,A)
【文献】 特開2007−324831(JP,A)
【文献】 特開平04−037208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H03G 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続された外部プレイヤから転送される、当該外部プレイヤにおいて当該外部プレイヤに設定されているボリューム調整値で音量が調整された音声を出力するオーディオシステムであって、
接続された外部プレイヤから転送された音声の音量を、設定されたボリューム調整値で調整し出力するオーディオアンプと、
前記オーディオアンプに設定するボリューム調整値をユーザのボリューム調整操作に応じて変更するボリューム変更手段と、
前記外部プレイヤに関連づけて、外部プレイヤボリューム調整値とオーディオアンプボリューム調整値を登録した外部プレイヤ管理データを格納したメモリと、
前記外部プレイヤから転送される音声の出力を終了する時点で、当該外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されている外部プレイヤボリューム調整値の値が当該外部プレイヤに設定されているボリューム調整値と一致し、当該外部プレイヤ管理データに登録されているオーディオアンプボリューム調整値の値が前記オーディオアンプに設定されているボリューム調整値と一致するように当該外部プレイヤボリューム調整値と当該オーディオアンプボリューム調整値とを更新する外部プレイヤ管理データ更新手段と、
前記外部プレイヤから転送される音声の出力を開始する際に、当該外部プレイヤに設定されているボリューム調整値を現外部プレイヤボリューム調整値として取得し、当該外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されている外部プレイヤボリューム調整値が当該外部プレイヤにボリューム調整値として設定されており、かつ、当該外部プレイヤ管理データに登録されているオーディオアンプボリューム調整値がボリューム調整値として前記オーディオアンプに設定されている場合に当該オーディオアンプから出力されることとなる音声の音量を基準音量として、前記取得した現外部プレイヤボリューム調整値が当該外部プレイヤにボリューム調整値として設定されている状態で、前記オーディオアンプから出力される音声の音量が前記基準音量となる、前記オーディオアンプのボリューム調整値を算定し、算定したボリューム調整値を前記オーディオアンプに設定するボリューム調整手段とを有することを特徴とするオーディオシステム。
【請求項2】
請求項1記載のオーディオシステムであって、
前記外部プレイヤ管理データ更新手段は、
前記オーディオアンプに設定されているボリューム調整値が変更されたときに、変更後のボリューム調整値と一致するように、当該外部プレイヤ管理データに登録されているオーディオアンプボリューム調整値を更新すると共に、
間欠的に繰り返し、音声の出力を行っている外部プレイヤに設定されているボリューム調整値を当該外部プレイヤから取得し、取得したボリューム調整値と一致するように、当該外部プレイヤ管理データに登録されている外部プレイヤボリューム調整値を更新することを特徴とするオーディオシステム。
【請求項3】
請求項1または2記載のオーディオシステムであって、
前記外部プレイヤは無線接続により当該オーディオシステムに接続されるものであることを特徴とするオーディオシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオシステムにおいて出力音声の音量を調整する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
オーディオシステムにおいて出力音声の音量を調整する技術としては、ラジオ、CD、ポータブルプレイヤなどの複数のメディアを再生するオーディオシステムにおいて、メディア毎に当該メディアを再生した際の音量調整値を当該メディアに対応づけて記憶すると共に、メディアを再生する際に、当該メディアに対応づけて記憶されている音量調整値でメディアの音声の音量を調整して出力する技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
また、オーディオシステムとしては、ポータブルオーディオプレイヤを接続可能なオーディオシステムも知られており、これらのオーディオシステムでは、接続されたポータブルオーディオプレイヤから出力される音声をオーディオシステムが備えるスピーカから出力することができる(たとえば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-129223号公報
【特許文献2】特開2006-48867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
オーディオシステムに接続されたポータブルオーディオプレイヤから出力される、ポータブルオーディオプレイヤ自身が音量調整を行った音声をオーディオシステムが備えるスピーカから出力する場合、オーディオシステムにポータブルオーディオプレイヤから入力する音声の音量は、ポータブルオーディオプレイヤ自身における音量調整値によって異なったものとなる。そして、ポータブルオーディオプレイヤ自身における音量調整値は、ユーザが、ポータブルオーディオプレイヤをオーディオシステムに接続せずに単独で使用している期間中において任意に変更することができる。
【0006】
したがって、オーディオシステムにおいて、一定の音量調整値で音量の調整を行っても、オーディオシステムから出力される音声の音量は一定とならず、ポータブルオーディオプレイヤ自身における音量調整値に応じて、ユーザの聴取に適さない、大きすぎたり、小さすぎる音量となることがある。
【0007】
そこで、本発明は、接続した外部プレイヤから出力される音声を出力可能なオーディオシステムにおいて、オーディオシステムから出力される音声を、ユーザの聴取に適した音量に調整することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題達成のために、本発明は、接続された外部プレイヤから転送される、当該外部プレイヤにおいて当該外部プレイヤに設定されているボリューム調整値で音量が調整された音声を出力するオーディオシステムに、接続された外部プレイヤから転送された音声の音量を、設定されたボリューム調整値で調整し出力するオーディオアンプと、前記オーディオアンプに設定するボリューム調整値をユーザのボリューム調整操作に応じて変更するボリューム変更手段と、前記外部プレイヤに関連づけて、外部プレイヤボリューム調整値とオーディオアンプボリューム調整値を登録した外部プレイヤ管理データを格納したメモリと、前記外部プレイヤから転送される音声の出力を終了する時点で、当該外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されている外部プレイヤボリューム調整値の値が当該外部プレイヤに設定されているボリューム調整値と一致し、当該外部プレイヤ管理データに登録されているオーディオアンプボリューム調整値の値が前記オーディオアンプに設定されているボリューム調整値と一致するように当該外部プレイヤボリューム調整値と当該オーディオアンプボリューム調整値とを更新する外部プレイヤ管理データ更新手段と、前記外部プレイヤから転送される音声の出力を開始する際に、当該外部プレイヤに設定されているボリューム調整値を現外部プレイヤボリューム調整値として取得し、当該外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されている外部プレイヤボリューム調整値と前記取得した現外部プレイヤボリューム調整値との差を補うように、当該外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されているオーディオアンプボリューム調整値を増減したボリューム調整値を前記オーディオアンプに設定するボリューム調整手段とを備えたものである。
【0009】
ここで、このようなオーディオシステムは、前記ボリューム調整手段において、前記オーディオアンプボリューム調整値を増減したボリューム調整値の前記オーディオアンプへの設定を、前記外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されている外部プレイヤボリューム調整値が当該外部プレイヤのボリューム調整値として設定されており、当該外部プレイヤ管理データに登録されているオーディオアンプボリューム調整値がボリューム調整値として前記オーディオアンプに設定されている状態で当該オーディオアンプから出力される音声の音量を基準音量として、前記取得した現外部プレイヤボリューム調整値が当該外部プレイヤのボリューム調整値として設定されている状態で、前記オーディオアンプから出力される音声の音量が前記基準音量となる、前記オーディオアンプボリューム調整値を算定し、算定したボリューム調整値を前記オーディオアンプに設定することにより行うように構成してもよい。
【0010】
また、前記課題達成のために、本発明は、接続された外部プレイヤから転送される、当該外部プレイヤにおいて当該外部プレイヤに設定されているボリューム調整値で音量が調整された音声を出力するオーディオシステムに、接続された外部プレイヤから転送された音声の音量を、設定されたボリューム調整値で調整し出力するオーディオアンプと、前記オーディオアンプに設定するボリューム調整値をユーザのボリューム調整操作に応じて変更するボリューム変更手段と、前記外部プレイヤに関連づけて、外部プレイヤボリューム調整値とオーディオアンプボリューム調整値を登録した外部プレイヤ管理データを格納したメモリと、前記外部プレイヤから転送される音声の出力を終了する時点で、当該外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されている外部プレイヤボリューム調整値の値が当該外部プレイヤに設定されているボリューム調整値と一致し、当該外部プレイヤ管理データに登録されているオーディオアンプボリューム調整値の値が前記オーディオアンプに設定されているボリューム調整値と一致するように当該外部プレイヤボリューム調整値と当該オーディオアンプボリューム調整値とを更新する外部プレイヤ管理データ更新手段と、前記外部プレイヤから転送される音声の出力を開始する際に、当該外部プレイヤに設定されているボリューム調整値を現外部プレイヤボリューム調整値として取得し、当該外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されている外部プレイヤボリューム調整値と前記取得した現外部プレイヤボリューム調整値との差に応じて、当該外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されているオーディオアンプボリューム調整値を変更したボリューム調整値を前記オーディオアンプに設定するボリューム調整手段とを備えたものである。ただし、前記外部プレイヤに設定されるボリューム調整値は、当該ボリューム調整値が大きいほど当該外部プレイヤから転送される音声の音量が大きくなるものであり、前記オーディオアンプに設定されるボリューム調整値は、当該ボリューム調整値が大きいほど当該オーディオアンプから出力される音声の音量が大きくなるものである。また、前記ボリューム調整手段は、前記オーディオアンプボリューム調整値を変更したボリューム調整値の前記オーディオアンプへの設定を、前記外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されている外部プレイヤボリューム調整値が、前記取得した現外部プレイヤボリューム調整値より大きい場合には、当該外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されているオーディオアンプボリューム調整値を増加したボリューム調整値を前記オーディオアンプに設定し、前記外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されている外部プレイヤボリューム調整値が、前記取得した現外部プレイヤボリューム調整値より小さい場合には、当該外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されているオーディオアンプボリューム調整値を減少したボリューム調整値を前記オーディオアンプに設定することにより行うものである。
【0011】
ここで、このようなオーディオシステムは、前記ボリューム調整手段において、前記オーディオアンプボリューム調整値を変更したボリューム調整値の前記オーディオアンプへの設定を、前記外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されている外部プレイヤボリューム調整値が、前記取得した現外部プレイヤボリューム調整値より大きい場合には、当該外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されているオーディオアンプボリューム調整値を、前記差に対して定まる量、増加したボリューム調整値を前記オーディオアンプに設定し、前記外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されている外部プレイヤボリューム調整値が、前記取得した現外部プレイヤボリューム調整値より小さい場合には、当該外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されているオーディオアンプボリューム調整値を、前記差に対して定まる量、減少したボリューム調整値を前記オーディオアンプに設定することにより行うように構成してもよい。
【0012】
また、この場合には、さらに、オーディオシステムを、前記ボリューム調整手段において、前記外部プレイヤに関連づけて前記メモリに格納されている外部プレイヤ管理データに登録されているオーディオアンプボリューム調整値を、前記差に対して定まる量、増加したボリューム調整値が、前記オーディオアンプに設定可能なボリューム調整値の最大値を超えている場合には、前記オーディオアンプに前記最大値をボリューム調整値として設定すると共に、前記増加したボリューム調整値と前記オーディオアンプに設定可能なボリューム調整値の最大値との差に応じた量、前記外部プレイヤに設定されているボリューム調整値を増加するように構成してもよい。
【0013】
また、以上のオーディオシステムは、前記外部プレイヤ管理データ更新手段において、前記オーディオアンプに設定されているボリューム調整値が変更されたときに、変更後のボリューム調整値と一致するように、当該外部プレイヤ管理データに登録されているオーディオアンプボリューム調整値を更新すると共に、間欠的に繰り返し、音声の出力を行っている外部プレイヤに設定されているボリューム調整値を当該外部プレイヤから取得し、取得したボリューム調整値と一致するように、当該外部プレイヤ管理データに登録されている外部プレイヤボリューム調整値を更新するように構成してもよい。
【0014】
ここで、以上のオーディオシステムにおいて、前記外部プレイヤは無線接続により当該オーディオシステムに接続されるものであってよい。
以上のようなオーディオシステムによれば、外部プレイヤから転送される音声の出力を開始するときに、前回外部プレイヤから転送される音声の出力を行ったときに出力していた音量に、出力する音声の音量が近づくまたは一致するようにオーディオアンプのボリューム調整値を設定する。
【0015】
ここで、前回外部プレイヤから転送される音声の出力を行ったときに出力していた音量は、ユーザ自身が自己の聴取に適するように設定した音量であると考えられる。
よって、本発明によれば、前回当該外部プレイヤから転送される音声の出力を行った後に、外部プレイヤのボリューム調整値やオーディオアンプのボリューム調整が変更されている場合でも、オーディオシステムから出力される音声を、ユーザの聴取により適した音量に調整することができる。
また、基本的には、外部プレイヤのボリューム調整値を変更しないでの、オーディオシステムで外部プレイヤの音声の出力を行った後に、オーディオシステムから外部プレイヤを取り外して単独で利用する際にも、外部プレイヤを外部プレイヤにユーザが設定した音量で利用することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、接続した外部プレイヤから出力される音声を出力可能なオーディオシステムにおいて、オーディオシステムから出力される音声を、ユーザの聴取に適した音量に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るオーディオシステムの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係るメモリに格納するデータを示す図である。
図3】本発明の実施形態に係る外部プレイヤ再生開始時ボリューム調整処理を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態に係る外部プレイヤ管理データ更新処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、本実施形態に係るオーディオ装置の構成を示す。
本実施形態に係るオーディオ装置1は、たとえば自動車に搭載される車載型のオーディオ装置であり、図示するように、表示装置101、入力装置102、メモリ103、制御部104、複数のオーディオソース装置105、無線インタフェース106、オーディオプレイヤ107、サウンドプロセッサ108、オーディオアンプ109、複数のスピーカ110を備えている。
【0019】
ここで、オーディオソース装置105は、ラジオ受信機やCDプレイヤなどのオーディオ装置1が出力する音声の音源となる機器である。
また、無線インタフェース106は、Bluetooth(登録商標)などの近距離無線通信を行う装置であり、オーディオ装置1は無線インタフェース106を介してユーザが携帯する外部プレイヤ2に接続することができる。
【0020】
ここで、外部プレイヤ2は、たとえば、ポータブルオーディオプレイヤやスマートフォンやタブレット装置などの、オーディオ再生装置の機能を備えた装置である。また、外部プレイヤ2は、オーディオ装置1の無線インタフェース106に無線接続し、オーディオ装置1と無線通信を行う機能と、オーディオファイルを格納した記憶装置と、当該記憶装置のオーディオファイルのオーディオデータの音声を外部プレイヤ2に設定されているボリューム調整値で定まる増幅率で増幅することにより、当該音声の音量を調整する機能と、音量を調整した音声を出力する機能と、音量を調整した音声を表すオーディオストリームを無線通信を介して転送する機能と、現在外部プレイヤに設定されているボリューム調整値を無線通信を介して通知する機能と、外部プレイヤ2に設定されているボリューム調整値を無線通信を介して受け取ったコマンドや、外部プレイヤ2に対するユーザのボリューム変更操作に応じて変更する機能とを備えている。
【0021】
図1に戻り、このようなオーディオ装置1の構成において、制御部104は、入力装置102と表示装置101を用いたユーザインタフェース上でユーザの各種操作を受け付けて各部を制御する。
【0022】
すなわち、たとえば、制御部104は、ユーザの選択操作に応じて、複数のオーディオソース装置105と、無線インタフェース106に接続している外部プレイヤ2とのうちのいずれかを、現用音源装置に設定し、現用音源装置の、オーディオストリームのオーディオプレイヤ107への転送を制御する。ここで、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2は、無線インタフェース106の無線通信を介した制御部104からの制御に従って、内蔵している記憶装置に記憶しているオーディオファイルのオーディオデータの音声の音量を外部プレイヤ2に設定されているボリューム調整値で定まる増幅率で調整し、音量を調整した音声を表すオーディオストリームを無線通信、無線インタフェース106を介してオーディオプレイヤ107に転送する。
【0023】
ここで、オーディオ装置1の無線インタフェース106として、Bluetooth(登録商標)に準拠した無線インタフェース106を備え、オーディオ装置1と外部プレイヤ2との間でBluetooth(登録商標)に準拠した無線通信を行う場合には、このような外部プレイヤ2からオーディオ装置1へのオーディオストリームの転送は、A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)の規格に従って行うことができ、オーディオ装置1からの外部プレイヤ2の再生動作の制御や、オーディオ装置1からの外部プレイヤ2に設定されているボリューム調整値の変更の制御や、外部プレイヤ2からのオーディオ装置1への外部プレイヤ2に設定されているボリューム調整値(absolute volume)の通知は、AVRCP(Audio/Video Remote Control Profile ) Ver.1.4の規格に従って行うことができる。
【0024】
さて、次に、オーディオプレイヤ107は現用音源装置から転送されたオーディオストリームを必要に応じて復号し、復号したオーディオストリームをサウンドプロセッサ108に出力する。
【0025】
サウンドプロセッサ108は、オーディオプレイヤ107から入力するオーディオストリームが表す音声の音響特性を、制御部104から設定された音響特性調整値で調整する信号処理を行い、信号処理を行った音声を表すオーディオ信号をオーディオアンプ109に出力する。ここで、サウンドプロセッサ108が行う音響特性を調整する信号処理としては、制御部104から設定された周波数ゲイン特性でオーディオ信号の周波数特性調整を調整するイコライズ処理や、エコーその他の音響効果をオーディオ信号に与えるエフェクト処理などがある。
【0026】
そして、オーディオアンプ109はサウンドプロセッサ108から入力する音声信号を、制御部104から設定されたボリューム調整値で定まる増幅率で増幅し、スピーカ110に出力する。
【0027】
また、制御部104は、入力装置102に対するユーザのボリューム変更操作に応じてオーディオアンプ109に設定するボリューム調整値を変更する。
次に、オーディオ装置1のメモリ103には、外部プレイヤ管理データベースと標準ボリューム調整値テーブルとが格納される。
外部プレイヤ管理データベースは、図2aに示すように、オーディオ装置1で現用音源装置に設定したことのある外部プレイヤ2の各々に対応して設けた外部プレイヤ管理データを備えており、各外部プレイヤ管理データには、対応する外部プレイヤ2の識別を示すデバイス識別情報と、外部プレイヤボリューム調整値と、オーディオ装置ボリューム調整値とが登録されている。
【0028】
次に、標準ボリューム調整値テーブルは、図2bに示すように、各外部プレイヤボリューム調整値に対応する標準ボリューム調整値が登録されている。
ここで、外部プレイヤボリューム調整値がボリューム調整値として設定された外部プレイヤ2から転送されたオーディオストリームの音声の音量を、オーディオ装置1のオーディオアンプ109で、当該外部プレイヤボリューム調整値に対応する標準ボリューム調整値をボリューム調整値として調整したときに、スピーカ110から出力される音声の音量が所定の標準音量(たとえば、70dB)となるように、各外部プレイヤボリューム調整値に対応する標準ボリューム調整値は、予め定めている。
【0029】
以下、このような構成において、制御部104は、オーディオ装置1に接続されている外部プレイヤ2が現用音源装置に設定されると、外部プレイヤ再生開始時ボリューム調整処理を実行する。
【0030】
図3に、この外部プレイヤ再生開始時ボリューム調整処理の手順を示す。
図示するように、制御部104は、外部プレイヤ再生開始時ボリューム調整処理を開始すると、まず、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の識別を表すデバイス識別情報を取得する(ステップ302)。
【0031】
また、制御部104は、無線インタフェース106を介して、オーディオ装置1に接続されている外部プレイヤ2から外部プレイヤ2に現在設定されているボリューム調整値を取得する(ステップ304)
そして、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データ、すなわち、ステップ302で取得したデバイス識別情報が登録された外部プレイヤ管理データがメモリ103に格納されているかどうかを調べる(ステップ306)。
【0032】
そして、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データがメモリ103に格納されていない場合には(ステップ306)、ステップ304で取得した外部プレイヤ2に現在設定されているボリューム調整値を外部プレイヤボリューム調整値として、メモリ103の標準ボリューム調整値テーブルを参照して、外部プレイヤボリューム調整値に対応する標準ボリューム調整値を求め、求めた標準ボリューム調整値をオーディオアンプ109に、当該オーディオアンプ109のボリューム調整値として設定する(ステップ308)。
【0033】
また、メモリ103の外部プレイヤ管理データベースに、ステップ302で取得したデバイス識別情報を登録した新たな外部プレイヤ管理データを作成し、作成した外部プレイヤ管理データに、ステップ304で取得した外部プレイヤ2に現在設定されているボリューム調整値を外部プレイヤボリューム調整値として登録すると共に、ステップ308でオーディオアンプ109に設定したボリューム調整値をオーディオ装置ボリューム調整値として設定する(ステップ310)。
【0034】
そして、外部プレイヤ管理データ更新処理を起動し(ステップ312)、外部プレイヤ再生開始時ボリューム調整処理を終了する。なお、外部プレイヤ管理データ更新処理については後述する。
一方、ステップ306で、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データがメモリ103に格納されていると判定された場合には、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データの外部プレイヤボリューム調整値とステップ304で取得した外部プレイヤ2に現在設定されているボリューム調整値との差によるスピーカ110の出力音声の音量変化を補う量、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2のオーディオ装置プレイヤ管理データのボリューム調整値を増減したボリューム調整値を、オーディオアンプ109のボリューム調整値として設定する(ステップ314)。
【0035】
すなわち、ステップ314では、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データの外部プレイヤボリューム調整値が、外部プレイヤ2のボリューム調整値として設定されている状態で外部プレイヤ2から出力されたオーディオストリームの音声を、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データのオーディオ装置ボリューム調整値がオーディオアンプ109にボリューム調整値として設定された状態で、オーディオ装置1において音量調整してスピーカ110から出力した場合の標準的な音量を前回音量として、ステップ304で取得した外部プレイヤ2に現在設定されているボリューム調整値が、外部プレイヤ2のボリューム調整値として設定されている状態で外部プレイヤ2から出力されたオーディオストリームの音声を、オーディオ装置1で音量調整してスピーカ110から出力したときの標準的な音量を前回音量と等しくできる、オーディオアンプ109のボリューム調整値を算定し、算定したボリューム調整値を、オーディオアンプ109のボリューム調整値として設定する。
【0036】
したがって、ステップ314でオーディオアンプ109に設定するボリューム調整値は、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データの外部プレイヤボリューム調整値の方が、ステップ304で取得した外部プレイヤ2に現在設定されているボリューム調整値よりも大きい場合には、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2のオーディオ装置プレイヤ管理データのボリューム調整値より大きくなり、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データの外部プレイヤボリューム調整値の方が、ステップ304で取得した外部プレイヤ2に現在設定されているボリューム調整値よりも小さい場合には、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2のオーディオ装置プレイヤ管理データのボリューム調整値より小さくなる。
【0037】
ただし、ステップ314は、簡易的に、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データの外部プレイヤボリューム調整値とステップ304で取得した外部プレイヤ2に現在設定されているボリューム調整値との差の大きさと、オーディオアンプ109のボリューム調整値の増減量の大きさとの対応を、差の大きさに対応する増減量が当該大きさの差による出力音声の音量変化をおおよそ補う量の増減量となるように、予め定めておき、前記差の大きさに対応する増減量、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2のオーディオ装置プレイヤ管理データのボリューム調整値を増減したボリューム調整値を、オーディオアンプ109のボリューム調整値として設定するようにしてもよい。すなわち、たとえば、差+1に対して増減量を+nとして予め定めておき、M=(現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データの外部プレイヤボリューム調整値)-(ステップ304で取得した外部プレイヤ2に現在設定されているボリューム調整値)として、M×nを増減量として求め、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2のオーディオ装置プレイヤ管理データのボリューム調整値をM×n増減したボリューム調整値を、オーディオアンプ109のボリューム調整値として設定するようにしてもよい。
【0038】
さて、以上のようにして、オーディオアンプ109のボリューム調整値を設定したならば(ステップ314)、次に、メモリ103の、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データの、外部プレイヤボリューム調整値をステップ304で取得した外部プレイヤ2に現在設定されているボリューム調整値に更新すると共に、当該外部プレイヤ管理データのオーディオ装置ボリューム調整値をステップ314でオーディオアンプ109に設定したボリューム調整値に更新する(ステップ316)。
【0039】
そして、外部プレイヤ管理データ更新処理を起動し(ステップ312)、外部プレイヤ再生開始時ボリューム調整処理を終了する。
以上、制御部104が行う外部プレイヤ再生開始時ボリューム調整処理について説明した。
ここで、以上の外部プレイヤ再生開始時ボリューム調整処理のステップ314は、前記差を補う量、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2のオーディオ装置プレイヤ管理データのボリューム調整値を増減したボリューム調整値が、オーディオアンプ109に設定可能なボリューム調整値の最大値を超える場合には、オーディオアンプ109のボリューム調整値として、設定可能なボリューム調整値の最大値を設定すると共に、無線インタフェース106を介して外部プレイヤ2に設定されているボリューム調整値を、スピーカ110から出力される音声の音量が上述した前回音量と一致するように増加するようにしてもよい。
【0040】
ただし、この場合には、ステップ316では、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データの、外部プレイヤボリューム調整値をステップ314で増加させた後に外部プレイヤ2に設定されているボリューム調整値に更新すると共に、当該外部プレイヤ管理データのオーディオ装置ボリューム調整値をステップ314でオーディオアンプ109に設定したボリューム調整値に更新する。
【0041】
または、外部プレイヤ再生開始時ボリューム調整処理のステップ314は、前記差を補う量、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2のオーディオ装置プレイヤ管理データのボリューム調整値を増減したボリューム調整値が、オーディオアンプ109に設定可能なボリューム調整値の最大値を超える場合には、オーディオアンプ109のボリューム調整値として、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データに登録されているオーディオ装置ボリューム調整値を設定すると共に、無線インタフェース106を介して外部プレイヤ2に設定されているボリューム調整値を、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データに登録されている外部プレイヤボリューム調整値に変更するようにしてもよい。
【0042】
ただし、この場合には、ステップ316では、現用音源装置に設定された外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データの、外部プレイヤボリューム調整値をステップ314で変更した後に外部プレイヤ2に設定されているボリューム調整値に更新すると共に、当該外部プレイヤ管理データのオーディオ装置ボリューム調整値をステップ314でオーディオアンプ109に設定したボリューム調整値に更新する。
【0043】
次に、外部プレイヤ再生開始時ボリューム調整処理のステップ312で起動する外部プレイヤ管理データ更新処理について説明する。
図4に、この外部プレイヤ管理データ更新処理の手順を示す。
図示するように、制御部104は、外部プレイヤ管理データ更新処理において、まず、所定のタイムアウト時間(たとえば10秒)を設定したタイマをスタートする(ステップ402)。
【0044】
そして、オーディオアンプ109に設定されているボリューム調整値の変更の発生と(ステップ404)、タイマのタイムアウトの発生と(ステップ406)、現用音源装置の変更の発生と(ステップ408)とを監視する。
【0045】
そして、オーディオアンプ109に設定されているボリューム調整値の変更が発生したならば(ステップ404)、現用音源装置に設定されている外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データの、オーディオ装置ボリューム調整値を、オーディオアンプ109に設定されている変更後のボリューム調整値に更新し(ステップ410)、ステップ404-408の監視に戻る。
【0046】
また、タイマのタイムアウトが発生したならば(ステップ406)、無線インタフェース106を介して、オーディオ装置1に接続されている外部プレイヤ2から外部プレイヤ2に現在設定されているボリューム調整値を取得し(ステップ412)、現用音源装置に設定されている外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データの、外部プレイヤボリューム調整値を、ステップ412で取得した外部プレイヤ2に現在設定されているボリューム調整値に更新し(ステップ410)、ステップ404-408の監視に戻る。
【0047】
そして、現用音源装置の変更が発生し(ステップ408)、それまで現用音源装置であった外部プレイヤ2が現用音源装置でなくなったならば、外部プレイヤ管理データ更新処理を終了する。
【0048】
以上、制御部104が行う外部プレイヤ管理データ更新処理について説明した。
なお、このような外部プレイヤ管理データ更新処理は、タイマをスタートしタイムアウトの発生時に(ステップ402、406)、ステップ412、414の処理を行って、現用音源装置に設定されている外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データの、外部プレイヤボリューム調整値を外部プレイヤ2に現在設定されているボリューム調整値に更新する動作に代えて、現用音源装置に設定されている外部プレイヤ2から出力されるオーディオストリームが切り替わる際の切り替わり前後のオーディオストリーム間のオーディオストリームが出力されていない期間、たとえば、各オーディオストリームが楽曲を表すものであれば曲間の無音期間に、ステップ412、414の処理を行って、現用音源装置に設定されている外部プレイヤ2の外部プレイヤ管理データの、外部プレイヤボリューム調整値を外部プレイヤ2に現在設定されているボリューム調整値に更新するようにしてもよい。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明した。
ここまで説明してきたように本実施形態では、外部プレイヤ2から転送される音声の出力を開始するときに、前回外部プレイヤから転送される音声の出力を行ったときに出力していた音量に、出力する音声の音量が近づくまたは一致するようにオーディオアンプ109のボリューム調整値を設定する。
【0050】
ここで、前回外部プレイヤから転送される音声の出力を行ったときにオーディオ装置1から出力していた音量は、ユーザ自身が、自己の聴取に適するように設定した音量であると考えられる。
よって、本実施形態によれば、前回当該外部プレイヤ2から転送される音声の出力を行った後に、外部プレイヤ2のボリューム調整値やオーディオアンプ109のボリューム調整が変更されている場合でも、オーディオシステムから出力される音声を、ユーザの聴取により適した音量に調整することができる。
また、基本的には、外部プレイヤ2のボリューム調整値を変更しないでの、外部プレイヤ2をオーディオ装置1に接続して利用した後に、オーディオ装置1から外部プレイヤ2を取り外して単独で利用する際にも、外部プレイヤ2を外部プレイヤにユーザが設定した音量で利用することができる。
【0051】
なお、以上の実施形態は、外部プレイヤ2を接続し、接続した外部プレイヤ2から転送されたビデオを再生出力するAV装置においても同様に適用することができる。すなわち、この場合には、AV装置の構成を、以上に示したオーディオ装置1の構成においてオーディオプレイヤ107に代えて、外部プレイヤ2から転送されたビデオを再生し、再生した音声をサウンドプロセッサ108に出力し再生した動画を表示装置101に表示するビデオプレイヤを設けた構成とすればよい。
【符号の説明】
【0052】
1…オーディオ装置、2…外部プレイヤ、101…表示装置、102…入力装置、103…メモリ、104…制御部、105…オーディオソース装置、106…無線インタフェース、107…オーディオプレイヤ、108…サウンドプロセッサ、109…オーディオアンプ、110…スピーカ。
図1
図2
図3
図4