特許第6541511号(P6541511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6541511
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】スーパーターンスタイルアンテナ
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/26 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
   H01Q21/26
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-167954(P2015-167954)
(22)【出願日】2015年8月27日
(65)【公開番号】特開2017-46218(P2017-46218A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】517121630
【氏名又は名称】APRESIA Systems株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】間嶋 淳
(72)【発明者】
【氏名】高野 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】木村 俊也
(72)【発明者】
【氏名】畑山 真吾
(72)【発明者】
【氏名】上原 一剛
【審査官】 西村 純
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−151946(JP,A)
【文献】 米国特許第2480154(US,A)
【文献】 特開平11−340733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00−25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0°給電系アセンブリと90°給電系アセンブリとを有するスーパーターンスタイルアンテナであって、
前記0°給電系アセンブリ及び前記90°給電系アセンブリのそれぞれは、
一対の第1給電管及び第2給電管と、
前記第1給電管の長手方向一端側に設けられた第1アンテナ素子と、
前記第1給電管の長手方向他端側に設けられた第2アンテナ素子と、
前記第2給電管の長手方向一端側に設けられた第3アンテナ素子と、
前記第2給電管の長手方向他端側に設けられた第4アンテナ素子と、を備え、
前記第1アンテナ素子は前記第1給電管の一面に設けられ、前記第2アンテナ素子は、前記第1アンテナ素子が設けられている前記一面と反対側の前記第1給電管の他の一面に設けられ、
前記第3アンテナ素子は前記第2給電管の一面に設けられ、前記第4アンテナ素子は、前記第3アンテナ素子が設けられている前記一面と反対側の前記第2給電管の他の一面に設けられ、
前記第1アンテナ素子が設けられている前記第1給電管の前記一面と前記第4アンテナ素子が設けられている前記第2給電管の前記一面とは同じ側に位置し、
前記第2アンテナ素子が設けられている前記第1給電管の前記一面と前記第3アンテナ素子が設けられている前記第2給電管の前記一面とは同じ側に位置しており、
前記0°給電系アセンブリと前記90°給電系アセンブリとは、同軸上に組み合わされており、
前記0°給電系アセンブリと組み合わされている前記90°給電系アセンブリは、前記0°給電系アセンブリを上下反転させた形状を有する、
スーパーターンスタイルアンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のスーパーターンスタイルアンテナにおいて、
前記0°給電系アセンブリ及び前記90°給電系アセンブリのそれぞれは、
前記第1給電管又は前記第2給電管に設けられ、給電ケーブルが接続される給電部と、
前記給電部の両側に配置され、前記第1給電管と前記第2給電管とを電気的に接続する第1ジャンパー及び第2ジャンパーと、を有し、
前記0°給電系アセンブリ及び前記90°給電系アセンブリのそれぞれにおける前記給電部から前記第1ジャンパーまでの距離と前記給電部から前記第2ジャンパーまでの距離とは同一であり、
前記0°給電系アセンブリと前記90°給電系アセンブリとは、前記0°給電系アセンブリにおける前記給電部の位置と、前記90°給電系アセンブリにおける前記給電部の位置とを高さ方向にずらして組み合わされている、
スーパーターンスタイルアンテナ。
【請求項3】
請求項2に記載のスーパーターンスタイルアンテナにおいて、
前記0°給電系アセンブリ及び前記90°給電系アセンブリのそれぞれは、
前記第1ジャンパーの両側に配置され、前記第1アンテナ素子と前記第3アンテナ素子とを電気的に接続する第1ショートバー及び第2ショートバーと、
前記第2ジャンパーの両側に配置され、前記第2アンテナ素子と前記第4アンテナ素子とを電気的に接続する第3ショートバー及び第4ショートバーと、を有し、
前記0°給電系アセンブリ及び前記90°給電系アセンブリのそれぞれにおける前記第1ジャンパーから前記第1ショートバーまでの距離と前記第1ジャンパーから前記第2ショートバーまでの距離とは同一であり、
前記0°給電系アセンブリ及び前記90°給電系アセンブリのそれぞれにおける前記第2ジャンパーから前記第3ショートバーまでの距離と前記第2ジャンパーから前記第4ショートバーまでの距離とは同一である、
スーパーターンスタイルアンテナ。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のスーパーターンスタイルアンテナにおいて、
前記0°給電系アセンブリ及び前記90°給電系アセンブリのそれぞれは、
前記第2給電管に設けられた前記給電部と、
前記第1ジャンパーと前記第2ジャンパーとの間に設けられ、前記第1給電管と前記第2給電管とを電気的に接続する第3ジャンパーと、を有し、
前記給電部に供給された電力が前記第3ジャンパーを介して前記第1給電管に供給され、
前記第3ジャンパーを介して前記第1給電管に供給された電力が該第1給電管内において分配される、
スーパーターンスタイルアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域で無指向性の水平偏波を放射することができるターンスタイルアンテナ(turn stile antenna)が多段に積み重ねられたスーパーターンスタイルアンテナ(super turn stile antenna)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なスーパーターンスタイルアンテナは、0°給電系と90°給電系とを備えている(特許文献1参照)。スーパーターンスタイルアンテナの一例として、0°給電系を構成するアンテナ素子アセンブリと90°給電系を構成するアンテナ素子アセンブリとを用意し、これらを互いに直交するように組み合わせたスーパーターンスタイルアンテナが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−151946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スーパーターンスタイルアンテナを構成するそれぞれのアンテナ素子アセンブリは、複数のアンテナ素子やこれらアンテナ素子同士を電気的に接続するための部材(ジャンパーやショートバー等)を含んでいる。よって、0°給電系を構成するアンテナ素子アセンブリと90°給電系を構成するアンテナ素子アセンブリとを同軸上に組み合わせる場合には、互いのアンテナ素子や接続部材の干渉を回避する必要がある。
【0005】
したがって、アンテナ素子や接続部材の位置(特に高さ)が互いに異なる0°給電系用のアンテナ素子アセンブリと90°給電系用のアンテナ素子アセンブリとを別々に用意する必要がある。つまり、種類の異なる2以上のアンテナ素子アセンブリを用意し、これらを組み合わせる必要があり、使用される部材の種類が多い。
【0006】
また、異種のアンテナ素子アセンブリ同士は電気的特性が互いに異なる。よって、異種のアンテナ素子アセンブリを組み合わせてスーパーターンスタイルアンテナを製作する際には、アンテナ素子アセンブリ同士の電気的特性を調整する必要があるが、この調整に多くの手間と時間を要することがある。
【0007】
以上のように、従来のスーパーターンスタイルアンテナでは種類の異なる複数の部材が使用されるので、部材の組み間違えが発生し易く、また、部材同士の電気的特性の調整が必須となる。総じて、組み立てに手間や時間を要し、コスト高を招く。
【0008】
本発明の目的は、使用する部材の種類を少なくすることができるスーパーターンスタイルアンテナを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のスーパーターンスタイルアンテナは、0°給電系アセンブリと90°給電系アセンブリとを有する。前記0°給電系アセンブリ及び前記90°給電系アセンブリのそれぞれは、一対の第1給電管及び第2給電管と、前記第1給電管の長手方向一端側に設けられた第1アンテナ素子と、前記第1給電管の長手方向他端側に設けられた第2アンテナ素子と、前記第2給電管の長手方向一端側に設けられた第3アンテナ素子と、前記第2給電管の長手方向他端側に設けられた第4アンテナ素子と、を備える。前記第1アンテナ素子は前記第1給電管の一面に設けられ、前記第2アンテナ素子は、前記第1アンテナ素子が設けられている前記一面と反対側の前記第1給電管の他の一面に設けられる。前記第3アンテナ素子は前記第2給電管の一面に設けられ、前記第4アンテナ素子は、前記第3アンテナ素子が設けられている前記一面と反対側の前記第2給電管の他の一面に設けられる。前記第1アンテナ素子が設けられている前記第1給電管の前記一面と前記第4アンテナ素子が設けられている前記第2給電管の前記一面とは同じ側に位置し、前記第2アンテナ素子が設けられている前記第1給電管の前記一面と前記第3アンテナ素子が設けられている前記第2給電管の前記一面とは同じ側に位置する。前記0°給電系アセンブリと前記90°給電系アセンブリとは、同軸上に組み合わされている。前記0°給電系アセンブリと組み合わされている前記90°給電系アセンブリは、前記0°給電系アセンブリを上下反転させた形状を有する。
【0010】
本発明の一態様では、前記0°給電系アセンブリ及び前記90°給電系アセンブリのそれぞれは、前記第1給電管又は前記第2給電管に設けられ、給電ケーブルが接続される給電部と、前記給電部の両側に配置され、前記第1給電管と前記第2給電管とを電気的に接続する第1ジャンパー及び第2ジャンパーと、を有する。前記0°給電系アセンブリ及び前記90°給電系アセンブリのそれぞれにおける前記給電部から前記第1ジャンパーまでの距離と前記給電部から前記第2ジャンパーまでの距離とは同一である。前記0°給電系アセンブリと前記90°給電系アセンブリとは、前記0°給電系アセンブリにおける前記給電部の位置と、前記90°給電系アセンブリにおける前記給電部の位置とを高さ方向にずらして組み合わされる。
【0011】
本発明の他の態様では、前記0°給電系アセンブリ及び前記90°給電系アセンブリのそれぞれは、前記第1ジャンパーの両側に配置され、前記第1アンテナ素子と前記第3アンテナ素子とを電気的に接続する第1ショートバー及び第2ショートバーと、前記第2ジャンパーの両側に配置され、前記第2アンテナ素子と前記第4アンテナ素子とを電気的に接続する第3ショートバー及び第4ショートバーと、を有する。前記0°給電系アセンブリ及び前記90°給電系アセンブリのそれぞれにおける前記第1ジャンパーから前記第1ショートバーまでの距離と前記第1ジャンパーから前記第2ショートバーまでの距離とは同一である。前記0°給電系アセンブリ及び前記90°給電系アセンブリのそれぞれにおける前記第2ジャンパーから前記第3ショートバーまでの距離と前記第2ジャンパーから前記第4ショートバーまでの距離とは同一である。
【0012】
本発明の他の態様では、前記0°給電系アセンブリ及び前記90°給電系アセンブリのそれぞれは、前記第2給電管に設けられた前記給電部と、前記第1ジャンパーと前記第2ジャンパーとの間に設けられ、前記第1給電管と前記第2給電管とを電気的に接続する第3ジャンパーと、を有する。前記給電部に供給された電力が前記第3ジャンパーを介して前記第1給電管に供給され、前記第3ジャンパーを介して前記第1給電管に供給された電力が該第1給電管内において分配される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、使用する部材の種類を少なくすることができるスーパーターンスタイルアンテナが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明が適用されたスーパーターンスタイルアンテナの一例を示す斜視図である。
図2】(a)は0°給電系アセンブリの正面図であり、(b)は90°給電系アセンブリの正面図である。
図3】(a)は参考例としての0°給電系アセンブリの正面図であり、(b)は参考例としての90°給電系アセンブリの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1に示されているスーパーターンスタイルアンテナ1は、0°給電系アセンブリ100と90°給電系アセンブリ200とを有している。以下の説明では、0°給電系アセンブリ100を“0°給電系100”と略称し、90°給電系アセンブリ200を“90°給電系200”と略称する場合がある。
【0017】
スーパーターンスタイルアンテナ1を構成している0°給電系100と90°給電系200とは同一のアセンブリであって、互いに同一の要素から構成されている。つまり、0°給電系100及び90°給電系200の構造,形状,寸法は同一である。一方、0°給電系100と90°給電系200とは、同軸上に組み合わされてスーパーターンスタイルアンテナ1を構成している。また、0°給電系100と組み合わされている90°給電系200は、0°給電系100を上下反転させた形状を有する。すなわち、0°給電系100を180度回転させたものが90°給電系200であると同時に、90°給電系200を180度回転させたものが0°給電系100である。そこで、0°給電系100及び90°給電系200の構造,形状,寸法等について、0°給電系100を例にとって以下に説明する。
【0018】
図1に示されるように、0°給電系100に含まれる一対の第1給電管11及び第2給電管12は金属製の角管であって、互いに平行に並んでいる。第1給電管11の長手方向一端(上端)と第2給電管12の長手方向一端(上端)とは、これら給電管11,12に対して直交する方向に延びる金属製の角管(第1継手15)によって接続されている。具体的には、第1給電管11の上端と第1継手15の一端とが突き合わされているコーナー部が2枚の金属板16a,16bによって両側から挟まれて固定され、第2給電管12の上端と第1継手15の他端とが突き合わされているコーナー部が2枚の金属板17a,17bによって両側から挟まれて固定されている。また、第1給電管11の長手方向他端側(下端側)と第2給電管12の長手方向他端側(下端側)とは、これら給電管11,12に対して直交する方向に延びる金属製の角管(第2継手18)によって接続されている。具体的には、第1給電管11の下端近傍と第2継手18の一端とが突き合わされているコーナー部が2枚の金属板(図1には金属板は図示されておらず、図2(a)には一方の金属板19aのみが図示されている。)によって両側から挟まれて固定され、第2給電管12の下端近傍と第2継手18の他端とが突き合わされているコーナー部が2枚の金属板20a,20bによって両側から挟まれて固定されている。
【0019】
図2(a)に示されるように、第1給電管11の長手方向一端側には第1アンテナ素子21が設けられ、第1給電管11の長手方向他端側には第2アンテナ素子22が設けられている。また、第2給電管12の長手方向一端側には第3アンテナ素子23が設けられ、第2給電管12の長手方向他端側には第4アンテナ素子24が設けられている。これらアンテナ素子21,22,23,24は、その形状から“バットウィングアンテナ”と呼ばれることがある。
【0020】
図1図2(a)に示されるように、第1アンテナ素子21は、第1給電管11の一面11aに設けられ、第2アンテナ素子22は、第1アンテナ素子21が設けられている一面11aと反対側の第1給電管11の他の一面11bに設けられている。また、第3アンテナ素子23は、第2給電管12の一面12bに設けられ、第4アンテナ素子24は、第3アンテナ素子23が設けられている一面12bと反対側の第2給電管12の他の一面12aに設けられている。
【0021】
以下の説明では、第1アンテナ素子21が設けられている第1給電管11の一面11aを“前面11a”と呼び、第2アンテナ素子22が設けられている第1給電管11の一面11bを“背面11b”と呼ぶ場合がある。また、第3アンテナ素子23が設けられている第2給電管12の一面12bを“背面12b”と呼び、第4アンテナ素子24が設けられている第2給電管12の一面12aを“前面12a”と呼ぶ場合がある。
【0022】
図2(a)に示されるように、第1給電管11の前面11aと第2給電管12の前面12aとは同じ側に位置しており、第1給電管11の背面11bと第2給電管12の背面12bとは同じ側に位置している。換言すれば、第1アンテナ素子21及び第4アンテナ素子24は給電管11,12の一側(前面側)に配置されており、第2アンテナ素子22及び第3アンテナ素子23は給電管11,12の他側(背面側)に配置されている。
【0023】
一方、第1アンテナ素子21及び第3アンテナ素子23は同じ高さに横並びで配置されており、第2アンテナ素子22及び第4アンテナ素子24は同じ高さに横並びで配置されている。つまり、第1アンテナ素子21及び第3アンテナ素子23は、第1給電管11及び第2給電管12の長手方向一端側に設けられて対を成している。また、第2アンテナ素子22及び第4アンテナ素子24は、第1給電管11及び第2給電管12の長手方向他端側に設けられて対を成している。そこで以下の説明では、第1アンテナ素子21及び第3アンテナ素子23を“第1アンテナ素子群20A”と総称し、第2アンテナ素子22及び第4アンテナ素子24を“第2アンテナ素子群20B”と総称する場合がある。
【0024】
図2(a)に示されるように、第2給電管12の長手方向中央には、給電ケーブルが接続される給電部30が設けられている。また、給電部30と同じ高さに、第2給電管12(給電部30)と第1給電管11とを電気的に接続する第3ジャンパーとしての中央ジャンパー41が設けられている。つまり、給電部30及び中央ジャンパー41は、第1アンテナ素子群20Aと第2アンテナ素子群20Bとの間に位置している。
【0025】
さらに、給電部30の両側には、第1給電管11と第2給電管12とを電気的に接続する第1ジャンパー42及び第2ジャンパー43が配置されている。具体的には、第1ジャンパー42は第1アンテナ素子群20Aの中央に配置されており、第2ジャンパー43は第2アンテナ素子群20Bの中央に配置されている。
【0026】
第1アンテナ素子群20Aに含まれるアンテナ素子同士は、第1ジャンパー42の両側に配置されている2つのショートバーを介して電気的に接続されている。具体的には、第1アンテナ素子21と第3アンテナ素子23とは、第1ショートバー51及び第2ショートバー52を介して電気的に接続されている。
【0027】
第2アンテナ素子群20Bに含まれるアンテナ素子同士は、第2ジャンパー43の両側に配置されている2つのショートバーを介して電気的に接続されている。具体的には、第2アンテナ素子22と第4アンテナ素子24とは、第3ショートバー53及び第4ショートバー54を介して電気的に接続されている。
【0028】
ここで、給電部30(中央ジャンパー41)から第1ジャンパー42までの距離(D1)と給電部30(中央ジャンパー41)から第2ジャンパー43までの距離(D2)とは同一である。また、第1ジャンパー42から第1ショートバー51までの距離(D3)と第1ジャンパー42から第2ショートバー52までの距離(D4)とは同一である。さらに、第2ジャンパー43から第3ショートバー53までの距離(D5)と第2ジャンパー43から第4ショートバー54までの距離(D6)とは同一である。尚、上記距離(D1),(D2),(D3),(D4),(D5),(D6)は、何れも給電管11,12に沿った直線距離である。
【0029】
既述のとおり、90°給電系200は0°給電系100と同一のアセンブリであって、0°給電系100と組み合わせる際に、0°給電系100に対して180度回転させたアセンブリに過ぎない。そこで、図2(b)に、上下を反転させた0°給電系100、つまり90°給電系200を示すとともに、既に説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
図2(a),(b)から明らかなように、図2(b)に示されている90°給電系200は、図2(a)に示されている0°給電系100を給電管11,12の長手方向と直交し、かつ、図2の紙面と直交する軸を回転軸として180°回転させた形状を有する。つまり、図2(a)に示されている0°給電系100と図2(b)に示されている90°給電系200とでは、各構成要素の位置が上下逆転している。例えば、図2(a)に示されている0°給電系100においては、第1アンテナ素子群20Aが第1給電管11及び第2給電管12の上部に位置し、第2アンテナ素子群20Bが第1給電管11及び第2給電管12の下部に位置している。一方、図2(b)に示されている90°給電系200においては、第1アンテナ素子群20Aが第1給電管11及び第2給電管12の下部に位置し、第2アンテナ素子群20Bが第1給電管11及び第2給電管12の上部に位置している。もっとも、第1アンテナ素子群20A及び第2アンテナ素子群20Bを含む各構成要素の構造,形状,寸法等に関し、0°給電系100と90°給電系200との間に違いはない。
【0031】
つまり、図2(b)に示されている第1アンテナ素子21は、図2(a)に示されている第1アンテナ素子21と同一のアンテナ素子である。同様に、図2(b)に示されている第2アンテナ素子22,第3アンテナ素子23,第4アンテナ素子24は、図2(a)に示されている第2アンテナ素子22,第3アンテナ素子23,第4アンテナ素子24と同一のアンテナ素子である。
【0032】
また、図2(b)に示されている給電部30は、図2(a)に示されている給電部30と同一の給電部である。同様に、図2(b)に示されている中央ジャンパー41,第1ジャンパー42,第2ジャンパー43は、図2(a)に示されている中央ジャンパー41,第1ジャンパー42,第2ジャンパー43と同一のジャンパーである。図2(b)に示されている第1ショートバー51,第2ショートバー52,第3ショートバー53,第4ショートバー54は、図2(a)に示されている第1ショートバー51,第2ショートバー52,第3ショートバー53,第4ショートバー54と同一のショートバーである。
【0033】
但し、図1に示されるように、0°給電系100と90°給電系200とは互いに直交している。つまり、90°給電系200は、0°給電系100と同軸上に組み合わされる際に、その軸を回転軸として90度回転されている。換言すれば、図1に示されている90°給電系200は、図2(a)に示されている0°給電系100を給電管11,12の長手方向と直交し、かつ、図2の紙面と直交する軸を回転軸として180°回転させ、かつ、給電管11,12の長手方向及び図2の紙面と平行な軸を回転軸として90度回転させたものである。
【0034】
また、図1に示されるように、0°給電系100と組み合わされている90°給電系200の第2継手18は、0°給電系100の第1継手15の下を潜っており、第1継手15と直交している。また、90°給電系200の第1継手15は、0°給電系100の第2継手18の下を潜っており、第2継手18と直交している。つまり、0°給電系100と90°給電系200とは軸方向に高さをずらして組み合わされている。この結果、図2(a),(b)に示されるように、0°給電系100における給電部30の位置と90°給電系200における給電部30の位置とが高さ方向にずれている。具体的には、90°給電系200における給電部30は、0°給電系100における給電部30よりも下方に位置している。本実施形態では、90°給電系200における給電部30は、0°給電系100における給電部30よりも40mm下方に位置しており、このずれ量(40mm)は、継手15,18の太さに相当している。
【0035】
同様に、図2(b)に示されている第2アンテナ素子群20Bは、図2(a)に示されている第1アンテナ素子群20Aよりも40mm下方に位置しており、図2(b)に示されている第1アンテナ素子群20Aは、図2(a)に示されている第2アンテナ素子群20Bよりも40mm下方に位置している。また、図2(b)に示されている各接続部材(ジャンパーやショートバー)は、図2(a)に示されている各接続部材(ジャンパーやショートバー)よりも40mm下方に位置している。つまり、0°給電系100と90°給電系200とは同一形状のアセンブリ、つまり同一種類の部材であるが、互いの構成要素が干渉することなく同軸上に組み合わされている。具体的には、0°給電系100と90°給電系200とは図1に示されるX軸上に組み合わされている。換言すれば、0°給電系100および90°給電系200は共通の軸であるX軸を有しており、このX軸は、給電管11,12の長手方向及び図1の紙面と平行な軸である。また、X軸は、0°給電系100の第1継手15と90°給電系200の第2継手18との交点および0°給電系100の第2継手18と90°給電系200の第1継手15との交点を貫いている。
【0036】
本実施形態に係るスーパーターンスタイルアンテナ1では、0°給電系100及び90°給電系200の第2給電管12(給電部30)に同軸ケーブル(給電ケーブル)がそれぞれ接続される。同軸ケーブルを介してそれぞれの給電部30に供給された電力は、それぞれの中央ジャンパー41を介してそれぞれの第1給電管11内に設けられている導体(内部導体)に供給される。中央ジャンパー41を介して第1給電管11内の導体に供給された電力は、第1給電管11内において上下に分配され、一部は第1アンテナ素子群20Aに供給され、他の一部は第2アンテナ素子群20Bに供給される。具体的には、2分配された電力の一部は第1アンテナ素子21に供給されるとともに、第1ジャンパー42を介して第2給電管12内の導体(内部導体)に戻されて第3アンテナ素子23に供給される。また、2分配された電力の他の一部は第2アンテナ素子22に供給されるとともに、第2ジャンパー43を介して第2給電管12内の導体(内部導体)に戻されて第4アンテナ素子24に供給される。尚、第1給電管11及び第2給電管12を構成している角管自体は外部導体として機能する。つまり、第1給電管11及び第2給電管12は、金属製の角管とその内部に設けられた導体とを有し、全体として給電線路を形成している。
【0037】
図3(a),(b)に、参考例としての0°給電系101及び90°給電系201を示す。これら給電系101,201は、本実施形態に係る給電系100,200と同じく同軸上に組み合わされる。しかし、図3(a),(b)に示されている0°給電系101及び90°給電系201では、同軸上に組み合わされる際に互いの構成要素同士が干渉しないように、構成要素の位置を予め異ならせてある。つまり、図3(a)に示されている0°給電系101と、図3(b)に示されている90°給電系201とは互いに形状が異なる異種のアセンブリである。
【0038】
具体的には、図3(a),(b)に示されるように、0°給電系101及び90°給電系201は、一対の第1給電管111及び第2給電管112を備えている。第1給電管111の前面には第1アンテナ素子21a及び第2アンテナ素子22aが設けられ、第2給電管112の背面には第3アンテナ素子23a及び第4アンテナ素子24aが設けられている。また、0°給電系101においては第2給電管112の長手方向中央に給電部30aが設けられ、90°給電系201においては第1給電管111の長手方向中央に給電部30aが設けられている。さらに、給電部30aの両側には第1給電管111と第2給電管112とを電気的に接続させる第1ジャンパー42a及び第2ジャンパー43aがそれぞれ設けられている。また、第1ジャンパー42aの両側には第1ショートバー51a及び第2ショートバー52aがそれぞれ設けられ、第2ジャンパー43aの両側には第3ショートバー53a及び第4ショートバー54aがそれぞれ設けられている。
【0039】
以上のように、図3(a),(b)に示されている0°給電系101及び90°給電系201は、図2(a),(b)に示されている0°給電系100及び90°給電系200と略同一の構成要素を備えている。
【0040】
しかし、図3(a)に示されている0°給電系101と図3(b)に示されている90°給電系201とは、互いの給電部30aの高さ位置をずらすことなく同軸上に組み合わされる。このため、同軸上に組み合わせる際に互いのジャンパーやショートバーが干渉しないように、これらの高さ位置を予めずらしてある。具体的には、0°給電系101における給電部30aと90°給電系201における給電部30aとは同じ高さに設けられているが、90°給電系201における第1ショートバー51a及び第2ショートバー52aは、0°給電系101におけるそれらよりも低い位置に設けられている。一方、90°給電系201における第3ショートバー53a及び第4ショートバー54aは、0°給電系101におけるそれらよりも高い位置に設けられている。また、90°給電系201における第1ジャンパー42a及び第2ジャンパー43aは、0°給電系101におけるそれらよりも低い位置に設けられている。
【0041】
以上のように、図3(a)に示されている0°給電系101と図3(b)に示されている90°給電系201とは互いに形状が異なる異種のアセンブリなので、別々に設計し、製作しなくてはならない。
【0042】
また、0°給電系101内における給電部30aから各接続部材(ジャンパーやショートバー)までの距離と、90°給電系201内における給電部30aから各接続部材(ジャンパーやショートバー)までの距離とが異なる。よって、0°給電系101と90°給電系201の電気的特性は一致しない。したがって、0°給電系101と90°給電系201とを組み合わせてスーパーターンスタイルアンテナを製作する際には、電気的特性の調整が必要となる。
【0043】
これに対し、本実施形態に係るスーパーターンスタイルアンテナ1は、同一の構造,形状,寸法を有する同種のアンテナ素子アセンブリの組み合わせによって構成されている。よって、0°給電系用のアンテナ素子アセンブリと90°給電系用のアンテナ素子アセンブリとを別々に用意する必要がなく、使用される部材の種類が少ない(使用される部材は一種類である)。また、本実施形態に係るスーパーターンスタイルアンテナ1を構成している2つのアンテナ素子アセンブリは同一の構造,形状,寸法を有するので、電気的特性が一致している。よって、これらアンテナ素子アセンブリを組み合わせてスーパーターンスタイルアンテナを製作する際に、アンテナ素子アセンブリ同士の電気的特性を調整する必要がない。
【0044】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施形態では、一方の給電管に供給された電力が他方の給電管に送られ、該給電管内において分配された。しかし、かかる給電経路は、上記実施形態における条件下で好適な電気的特性を得るために採用されたものである。よって、条件が異なる場合には他の給電経路が採用されることもある。例えば、一方の給電管に供給された電力が該給電管内において分配される給電経路が採用されることもある。
【符号の説明】
【0045】
1 スーパーターンスタイルアンテナ
11,111 第1給電管
11a,12a 一面(前面)
11b,12b 一面(背面)
12,112 第2給電管
15 第1継手
16a,16b,17a,17b,19a,20a,20b 金属板
18 第2継手
20A 第1アンテナ素子群
20B 第2アンテナ素子群
21,21a 第1アンテナ素子
22,22a 第2アンテナ素子
23,23a 第3アンテナ素子
24,24a 第4アンテナ素子
30,30a 給電部
41 第3ジャンパー(中央ジャンパー)
42,42a 第1ジャンパー
43,43a 第2ジャンパー
51,51a 第1ショートバー
52,52a 第2ショートバー
53,53a 第3ショートバー
54,54a 第4ショートバー
100,101 0°給電系アセンブリ(0°給電系)
200,201 90°給電系アセンブリ(90°給電系)
図1
図2
図3