(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の紙葉類集積機構において、羽根車における隣接する羽根の間に紙葉類が入る際に、羽根の先端部分の外側に紙葉類が乗ってしまった場合には、羽根車により紙葉類が回転搬送させられるときに羽根の間に紙葉類が収容されずに羽根車から紙葉類が飛び出してしまうおそれがある。この場合には、集積部に紙葉類が整列された状態で集積されず、紙葉類の集積不良が生じてしまうという問題がある。とりわけ、羽根車の直径が小さい場合や、単位時間当たりの紙葉類の処理枚数を増やすために羽根車の回転速度や羽根車の羽根の間に紙葉類を送り込む搬送速度を大きくすると、羽根の先端部分の内側と羽根車の基体の外周面との間に紙葉類が入らずに羽根の先端部分の外側に紙葉類が乗ってしまう確率が高くなってしまう。
【0005】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、羽根車における隣接する羽根の間に紙葉類が入り始める際に、羽根の先端部分の外側に紙葉類が乗ってしまった場合でも、当該紙葉類の先端部分が羽根車から離れずに一つ先の羽根の間に入るようガイド部によって案内されるため、羽根の間に紙葉類を確実に収容することができることにより集積部に紙葉類を整列された状態で集積させることができる紙葉類集積機構および紙葉類処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の紙葉類集積機構は、紙葉類が積層状態で集積される集積部と、前記集積部に紙葉類を1枚ずつ送るための羽根車であって、軸を中心として回転する基体と、前記基体の外周面から当該基体の回転方向とは逆方向の外方に延びる複数の羽根と、を有し、前記羽根の間に収容された紙葉類を前記集積部に送るよう構成された羽根車と、前記羽根車の複数の前記羽根の一部を覆うよう設けられたガイド部と、を備え
、前記ガイド部は、前記軸の延びる方向に沿って見たときに、前記羽根車の回転時に当該羽根車の各前記羽根の先端部分が描く円形領域よりも外側に位置する第1ガイド面を含む第1ガイド部分と、前記軸の延びる方向における前記第1ガイド部分の側方に設けられ、前記軸の延びる方向に沿って見たときに、前記円形領域よりも内側に位置する第2ガイド面を含む第2ガイド部分とを有していることを特徴とする。
【0007】
このような紙葉類集積機構によれば、羽根車の複数の羽根の一部を覆うようガイド部を設けることにより、羽根車における隣接する羽根の間に紙葉類が入り始める際に、羽根の先端部分の外側に紙葉類が乗ってしまった場合でも、当該紙葉類の先端部分が羽根車から離れずに一つ先の羽根の間に入るようガイド部によって案内されるため、羽根の間に紙葉類を確実に収容することができることにより集積部に紙葉類を整列された状態で集積させることができる。
【0008】
本発明の紙葉類集積機構においては、前記ガイド部は、前記羽根車の前記羽根の間に紙葉類の先端部分が入り始める箇所の近傍に設けられていてもよい。
【0009】
本発明の紙葉類集積機構においては、前記ガイド部には、前記基体が回転したときに各前記羽根の先端部分が入る凹部が形成されていてもよい。
【0011】
本発明の紙葉類集積機構は、前記羽根車の前記羽根の間に入るまでの紙葉類を案内する追加ガイド部を更に備え、前記追加ガイド部は、前記軸の延びる方向に沿って見たときに、前記羽根車の前記羽根の間に入るまでの紙葉類を、前記羽根車の前記羽根の間に入った後の紙葉類の湾曲形状と逆向きに湾曲させるような構成であってもよい。
【0012】
本発明の紙葉類集積機構は、前記羽根車と同軸となるよう当該羽根車の側方に設けられ、前記軸を中心として前記羽根車よりも大きな角速度で回転するローラと、前記ローラに対向するよう設けられ、前記羽根車の前記羽根の間に紙葉類を送るための搬送部と、を更に備え、前記ローラと前記搬送部との間から紙葉類が放出される放出位置が、前記軸の延びる方向に沿って見たときに、前記羽根車の前記基体の外周面よりも外側でありかつ前記羽根車の回転時に当該羽根車の各前記羽根の先端部分が描く円形領域よりも内側となっていてもよい。
【0013】
この場合、前記ローラの外周面に摩擦部材が設けられていてもよい。
【0014】
この際に、前記摩擦部材はゴムを含んでいてもよい。
【0015】
また、前記搬送部は、前記ローラの外周面にその一部が当接する搬送ベルトを含んでいてもよい。
【0016】
この場合、前記ローラは、前記搬送ベルトが移動したときに当該搬送ベルトに連れ回ることにより回転するようになっていてもよい。
【0017】
本発明の紙葉類処理装置は、上記の紙葉類集積機構を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の紙葉類集積機構および紙葉類処理装置によれば、羽根車における隣接する羽根の間に紙葉類が入り始める際に、羽根の先端部分の外側に紙葉類が乗ってしまった場合でも、当該紙葉類の先端部分が羽根車から離れずに一つ先の羽根の間に入るようガイド部によって案内されるため、羽根の間に紙葉類を確実に収容することができることにより集積部に紙葉類を整列された状態で集積させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至
図10は、本実施の形態に係る紙葉類処理装置およびこのような紙葉類処理装置に設けられた紙葉類処理機構を示す図である。このうち、
図1は、本実施の形態による紙葉類処理装置の外観を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示す紙葉類処理装置の内部構成を概略的に示す概略構成図である。また、
図3は、
図1等に示す紙葉類処理装置における紙葉類集積機構の構成を示す正面図であり、
図4は、
図3に示す紙葉類集積機構を右側から見たときの構成を示す側面図である。また、
図5は、
図3に示す紙葉類集積機構の構成を示す斜視図であり、
図6は、
図5に示す紙葉類集積機構からガイド部や搬送ベルトを取り除いたときの状態を示す斜視図である。また、
図7および
図8は、それぞれ、
図3に示す紙葉類集積機構のA−A矢視およびB−B矢視による断面図であり、
図9は、
図4に示す紙葉類集積機構のC−C矢視による断面図である。また、
図10は、
図3に示す紙葉類集積機構における羽根車やガイド部等の一部の断面を示す斜視図である。
【0021】
図1および
図2に示すように、本実施の形態による紙葉類処理装置10は、筐体12と、計数が行われるべき複数の紙葉類が積層状態で載置される載置部(ホッパ)14と、載置部14に載置された複数の紙葉類のうち最下層にある紙葉類を筐体12の内部に1枚ずつ繰り出すための繰出部16と、筐体12の内部に設けられ、繰出部16により筐体12の内部に繰り出された紙葉類を1枚ずつ搬送する搬送機構18とを備えている。なお、
図2における筐体12の左側の側面が紙葉類処理装置10の前面側(すなわち、
図1に示すように紙葉類処理装置10を手前側から見たときの正面側)となっており、
図2における右方向が筐体12の奥行き方向となっている。また、搬送機構18には、繰出部16により筐体12の内部に繰り出された紙葉類の識別および計数を行うための識別部20が設けられている。
【0022】
図2に示すように、繰出部16は、載置部14に積層状態で載置された複数の紙葉類のうち最下層にある紙葉類の表面に当接するキッカローラ16aと、紙葉類の繰出方向においてキッカローラ16aの下流側に配置され当該キッカローラ16aにより蹴り出された紙葉類について筐体12の内部への繰り出しを行うフィードローラ16bとを有している。また、フィードローラ16bに対向して逆転ローラ16c(ゲートローラ)が設けられており、フィードローラ16bと逆転ローラ16cとの間にゲート部が形成されている。キッカローラ16aにより蹴り出された紙葉類はゲート部を通過して1枚ずつ筐体12内の搬送機構18に繰り出されるようになっている。
【0023】
また、
図2に示すように、載置部14には札押さえ部材17が設けられている。札押さえ部材17は、その基端部分に設けられた軸17aを中心として
図2に示す矢印方向に揺動自在となっている。また、札押さえ部材17にはバネ17bが取り付けられており、このバネ17bにおける圧縮状態からの反発力によって、札押さえ部材17は軸17aを中心として
図2における反時計回りの方向に回転するよう載置部14の底面に向かって付勢されるようになっている。このような札押さえ部材17が載置部14に設けられていることにより、載置部14に多数の紙葉類が集積されたときにこの載置された紙葉類全体を札押さえ部材17により上から押さえつけることができるようになるため、繰出部16による紙葉類の繰り出し動作を安定させることができるようになる。また、操作者は手動で軸17aを中心として札押さえ部材17を
図2における時計回りの方向に回転させるだけで、載置部14に紙葉類を載置することができるため、操作者にとっての操作性を向上させることができる。
【0024】
搬送機構18は、搬送ベルトおよびローラが複数組み合わせられたものから構成されており、これらの搬送ベルトやローラの間に紙葉類が挟まれた状態で搬送ベルトが循環移動を行うことにより紙葉類が搬送路に沿って搬送されるようになっている。
【0025】
また、前述のように、搬送機構18には、繰出部16により筐体12の内部に繰り出された紙葉類の識別および計数を行うための識別部20が設けられている。このような識別部20は、紙葉類の真偽、正損、金種等の識別や、紙葉類の搬送異常が発生しているか否か等の識別を行うとともに、紙葉類の計数を行うようになっている。
【0026】
図2に示すように、識別部20よりも下流側の箇所において搬送機構18は2つの搬送路に分岐しており、一方の搬送路の下流側端部には集積部30が接続されており、他方の搬送路の下流側端部にはリジェクト部40が接続されている。ここで、
図1および
図2に示すように、集積部30はリジェクト部40よりも上方に位置するようになっている。そして、識別部20により識別および計数が行われた紙葉類は、集積部30またはリジェクト部40に選択的に送られるようになっている。集積部30の前面(
図2における左側の面)には開口が設けられており、操作者はこの開口を介して集積部30に集積された紙葉類を取り出すことができるようになっている。また、リジェクト部40の前面にも開口が設けられており、操作者はこの開口を介してリジェクト部40に集積されたリジェクト紙葉類を取り出すことができるようになっている。
【0027】
図2、
図5および
図6に示すように、集積部30には集積板32が設けられており、この集積板32に紙葉類が積層状態で集積されるようになっている。また、
図1に示すように、集積部30の前面にはストッパ部材34が設けられており、搬送機構18から集積部30に送られた紙葉類はストッパ部材34によりこの集積部30から筐体12の手前側にこぼれ落ちないようになっている。また、リジェクト部40の前面にもストッパ部材44が設けられており、搬送機構18からリジェクト部40に送られた紙葉類はストッパ部材44によりこのリジェクト部40から筐体12の手前側にこぼれ落ちないようになっている。
【0028】
図2に示すように、搬送機構18における2つの搬送路に分岐する箇所には、分岐部材とその駆動部(図示せず)とからなる分岐部22が設けられており、この分岐部22により、当該分岐部22の上流側から送られた紙葉類が、分岐した2つの搬送路のうちいずれか一方の搬送路に選択的に送られるようになっている。
【0029】
また、
図2に示すように、集積部30の上方には羽根車52が設けられている。このような羽根車52の構成の詳細について
図3乃至
図10を用いて説明する。
図3に示すように、
図1等に示す紙葉類処理装置10を正面側から見たときに合計4つの羽根車52が横方向に並ぶよう配置されており、左側の2つの羽根車52の間、および右側の2つの羽根車52の間にはそれぞれローラ54および搬送ベルト56の組合せ体が設けられている。これらのローラ54および搬送ベルト56の組合せ体の構成の詳細については後述する。各羽根車52は、
図2の紙面に対して直交する、略水平方向に延びる軸53を中心として
図2における反時計回りの方向に回転するようになっている。また、
図8に示すように、各羽根車52は、軸53を中心として回転する基体52aと、基体52aの外周面から当該基体52aの回転方向とは逆方向の外方に延びる複数の羽根52bとを有しており、これらの羽根52bは、基体52aの外周面において等間隔に設けられている。
【0030】
各羽根車52は、紙葉類処理装置10の動作中、図示しない駆動モータにより軸53を介して
図2における反時計回りの方向に回転させられるようになっており、この羽根車52には、搬送機構18から紙葉類が1枚ずつ送られるようになっている。そして、羽根車52は、搬送機構18から送られた紙葉類を2枚の羽根52bの間に受け止めてこの羽根52bの間に受け止められた紙葉類を集積部30に送るようになっている。具体的には、
図2および
図4に示すように、羽根車52の近傍には案内部材51aが設けられており、羽根車52の羽根52bの間に受け止められた紙葉類の先端部分は、羽根車52が回転することにより案内部材51aに当接し、このことにより紙葉類は羽根車52の羽根52bの間から外部に放出されて集積部30に整列された状態で集積されるようになっている。
【0031】
上述したように、
図1等に示す紙葉類処理装置10を正面側から見たときの左側の2つの羽根車52の間、および右側の2つの羽根車52の間にはそれぞれローラ54が配置されている(
図3参照)。各ローラ54の外周面には例えばゴム等からなる摩擦部材が設けられている。また、
図7および
図8に示すように、各ローラ54の直径の大きさは、羽根車52の軸53の軸方向から見たときに(すなわち、
図3において横方向に見たときに)、各ローラ54の外周面が、羽根車52の基体52aの外周面よりも外側であり、かつ羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも内側となるような大きさとなっている。すなわち、各ローラ54の直径は、羽根車52の基体52aの直径よりも大きいが、羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域の直径よりも小さくなっている。
【0032】
また、
図3乃至
図5および
図7乃至
図9に示すように、各ローラ54に対向して循環形状の搬送ベルト56が設けられており、各搬送ベルト56は、複数のプーリ58、60、62に張架されるとともにローラ54の外周面にその一部が当接するようになっている。ここで、複数のプーリ58、60、62のうちある一つのプーリ(例えば、プーリ60)が
図4、
図7および
図8における時計回りの方向に回転するよう駆動されるようになっており、このことにより搬送ベルト56も
図4、
図7および
図8における時計回りの方向に循環移動するようになっている。また、ローラ54は軸53に固定されておらず、当該軸53に対して回転自在となっているが、このローラ54は搬送ベルト56が
図4、
図7および
図8における時計回りの方向に循環移動したときにこの搬送ベルト56に連れ回ることにより
図4、
図7および
図8における反時計回りの方向に回転するようになっている。この際に、ローラ54の角速度が羽根車52の角速度の例えば2倍以上10倍以下となるよう、より詳細にはローラ54の角速度が羽根車52の角速度の例えば2.8倍となるよう、ローラ54は羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっている。
【0033】
また、
図3乃至
図6に示すように、軸53の延びる方向(すなわち、
図3の左右方向)における各羽根車52の側方には、半円形状の輪郭の断面を有するベース部51が設けられている。具体的には、ベース部51の外周面は、軸53の延びる方向に沿って見たときに、羽根車52の基体52aよりも外側に位置するが、羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも内側に位置するようになっている。また、ベース部51には、各羽根車52および一対の羽根車52の間に形成されたローラ54がそれぞれ通過するための開口が設けられている。このようなベース部51が設けられていることにより、羽根車52が回転することにより羽根52bの間に入った紙葉類が集積部30に送られる際に当該紙葉類が各羽根車52の間の領域や各羽根車52の外側の領域に飛び出してしまうことを防止することができる。また、このベース部51の下端部分には上記の案内部材51aが下方に向かって延びるよう取り付けられている。
【0034】
また、本実施の形態では、
図3乃至
図5および
図7乃至
図10に示すように、各羽根車52の複数の羽根52bの一部を覆うよう設けられたガイド部70が各羽根車52や各ローラ54の上方に設置されている。ここで、
図5に示すように、各プーリ58、60、62に張架された循環形状の搬送ベルト56はガイド部70に左右一対となるよう設けられている。なお、
図6は、
図5からガイド部70およびこのガイド部70に設けられた左右一対の搬送ベルト56等を取り外したときの状態を示す図である。また、本実施の形態では、
図7や
図8に示すように、ガイド部70は、羽根車52の羽根52bの間に紙葉類の先端が入り始める箇所の近傍に設けられている。また、ガイド部70には、羽根車52の基体52aが回転したときに各羽根52bの先端部分が入る凹部(具体的には、後述する第1ガイド部分72)が形成されている。このようなガイド部70を設けることにより、羽根車52における隣接する羽根52bの間に紙葉類が入り始める際に、羽根52bの先端部分の外側に紙葉類が乗ってしまった場合でも、当該紙葉類の先端部分が羽根車52から離れずに一つ先の羽根52bの間に入るようガイド部70によって案内されるため、羽根52bの間に紙葉類を確実に収容することができることにより集積部30に紙葉類を整列された状態で集積させることができる。このようなガイド部70の構成の詳細について
図9および
図10を用いて以下に説明する。
【0035】
図9および
図10に示すように、本実施の形態によるガイド部70は、羽根車52の軸53の延びる方向(すなわち、
図9や
図10における左右方向)に沿って見たときに、羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも外側に位置する第1ガイド面72aを含む第1ガイド部分72と、軸53の延びる方向における第1ガイド部分72の側方に設けられ、軸53の延びる方向に沿って見たときに、羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも内側に位置する第2ガイド面74aを含む第2ガイド部分74とを有している。ここで、第1ガイド部分72は各羽根車52に対応して合計4つ設けられている。また、第2ガイド部分74は、4つの第1ガイド部分72のうち軸53の延びる方向における中央側に位置する2つの第1ガイド部分72の間、および軸53の延びる方向における外側に位置する2つの第1ガイド部分72の各々の外側にそれぞれ設けられている。
【0036】
また、各第1ガイド部分72は、羽根車52の基体52aが回転したときに各羽根52bの先端部分が入る凹部を構成している。このような凹部としての各第1ガイド部分72が設けられていることにより、ガイド部70における各第1ガイド部分72の凹部の中に羽根車52の各羽根52bが入るようになるため、羽根車52における隣接する羽根52bの間に紙葉類が入り始める際に、羽根52bの先端部分の外側に紙葉類が乗ってしまった場合に、紙葉類の先端部分と一つ先の羽根52bの先端部分とが衝突してしまうことを防止することができ、よって羽根52bの間に紙葉類が入らずに羽根車52の外に当該紙葉類が飛び出してしまうことを防止することができるようになる。
【0037】
また、
図4および
図6乃至
図8に示すように、搬送機構18からローラ54と搬送ベルト56との間のニップ部に紙葉類を案内する追加ガイド部80が設置されている。ここで、追加ガイド部80は凹状に湾曲した表面を有しており、搬送機構18から追加ガイド部80に送られた紙葉類が当該追加ガイド部80により案内される際にこの紙葉類は追加ガイド部80の表面に形成された凹状の湾曲表面に沿って湾曲させられるようになる。より詳細には、追加ガイド部80の表面に形成された凹状の湾曲表面は、羽根車52の軸53の延びる方向に沿って見たときに、羽根車52の羽根52bの間に入るまでの紙葉類を、羽根車52の羽根52bの間に入った後の紙葉類の湾曲形状と逆向きに湾曲させるような構成となっている。具体的には、羽根車52の羽根52bの間に入った後の紙葉類は
図4、
図7および
図8において軸53側が凹状となるよう湾曲するのに対し、追加ガイド部80により案内される紙葉類は軸53側が凸状となるよう湾曲する。このように、追加ガイド部80によって、羽根車52の羽根52bの間に入るまでの紙葉類を、羽根車52の羽根52bの間に入った後の紙葉類の湾曲形状と逆向きに湾曲させることにより、羽根車52における羽根52bの間に紙葉類の先端部分を入れる際に、当該紙葉類は羽根車52の羽根52bの間に入った後の紙葉類の湾曲形状と逆向きに湾曲しているためバタつかないようになる(言い換えると、紙葉類の先端部分が羽根車52の軸53に近づく方向および軸53から遠ざかる方向に細かく振動しないようになる)。このことにより、羽根52bの先端部分と紙葉類の先端部分とが干渉しにくくなり、また、羽根52bの先端部分と紙葉類の先端部分が干渉した場合でもこの紙葉類の先端部分を羽根52bの先端部分の外側または内側に安定して導くことができるようになる。
【0038】
また、追加ガイド部80には左右一対の案内ローラ82が形成されており、各案内ローラ82の外周面に搬送ベルト56が接するようになっている。そして、搬送ベルト56が循環移動したときに各案内ローラ82は搬送ベルト56と連れ回るようになる。このような追加ガイド部80が設けられていることにより、搬送機構18から追加ガイド部80に送られた紙葉類は、搬送ベルト56と各案内ローラ82の間のニップ部を通って、ローラ54と搬送ベルト56との間のニップ部に案内されるようになる。
【0039】
追加ガイド部80によってローラ54と搬送ベルト56との間のニップ部に案内され、このニップ部を通過した紙葉類は、羽根車52の羽根52bの間に送られるようになっている。ここで、本実施の形態では、ローラ54と搬送ベルト56との間から紙葉類が放出される放出位置が、羽根車52の軸53の軸方向から見たときに(すなわち、
図3において横方向に見たときに)、羽根車52の基体52aの外周面よりも外側でありかつ羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも内側となるよう、搬送ベルト56が配置されるようになっている。本実施の形態では、このような搬送ベルト56により、羽根車52の羽根52bの間に紙葉類を送るための搬送部が構成されている。
【0040】
また、本実施の形態では、各ローラ54の外周面には例えばゴム等からなる摩擦部材が設けられているともに、各ローラ54は軸53を中心として各羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっているため、羽根車52の羽根52bの間に収容された紙葉類は、ローラ54の外周面との間で働く摩擦力により、羽根52bの間の奥側(すなわち、羽根52bの根元側)に押し込まれるようになる。また、羽根車52の羽根52bの間に収容された紙葉類の後端部分がローラ54と搬送ベルト56との間から放出されても、このローラ54の引き込み作用により、紙葉類自体の弾性力により当該紙葉類が羽根車52の羽根52bの間から外側に押し戻されてしまうことが抑制され、このことにより、紙葉類の先端部分が案内部材51aに当接する前にこの紙葉類が羽根車52から外に飛び出してしまうことを防止することができる。
【0041】
本実施の形態では、集積部30、左側の2つの羽根車52および右側の2つの羽根車52、左右一対のローラ54、搬送ベルト56、ガイド部70、追加ガイド部80等により、紙葉類が積層状態で集積される紙葉類集積機構50が構成されている。
【0042】
また、
図1に示すように、筐体12の前面には操作表示部90が設けられている。この操作表示部90は、例えばLCD等からなる表示部92と、複数の操作キー94とを有している。表示部92には、紙葉類処理装置10による紙葉類の処理状況、より具体的には例えば識別部20により計数された紙葉類の枚数や合計金額等の情報が表示されるようになっている。また、操作者が操作キー94を押下することにより紙葉類処理装置10の制御部(図示せず)に対して様々な指令を与えることができるようになっている。
【0043】
次に、このような構成からなる紙葉類処理装置10の動作について説明する。
【0044】
最初に、操作者は、紙葉類処理装置10により処理が行われるべき紙葉類を載置部14に積層状態で載置する。その後、操作者が操作表示部90の操作キー94における例えばスタートキーを押下することにより、紙葉類の計数の開始の指令を紙葉類処理装置10の制御部に与えると、載置部14に積層状態で載置された紙葉類は、最下層にある紙葉類から順に1枚ずつ繰出部16により筐体12内の搬送機構18に繰り出される。繰出部16により筐体12内の搬送機構18に繰り出された紙葉類は、当該搬送機構18により1枚ずつ搬送される。
【0045】
そして、搬送機構18により搬送される紙葉類は識別部20により識別および計数が行われる。ここで、識別部20により識別された紙葉類が正常なものであった場合には、当該紙葉類は搬送機構18により更に搬送されて分岐部22により集積部30に送られる。この際に、搬送機構18から紙葉類集積機構50に送られた紙葉類は、追加ガイド部80によってローラ54と搬送ベルト56との間に形成されたニップ部に案内され、このニップ部を通過した紙葉類は羽根車52の羽根52bの間の隙間に送られるようになる。その後、羽根車52の羽根52bの間に紙葉類が挟まれた状態で羽根車52が回転することにより、この紙葉類の先端部分が案内部材51aに当接し、このことにより紙葉類は羽根車52の羽根52bの間から外部に放出されて集積部30に集積される。このようにして、集積部30に紙葉類を整列された状態で集積させることができる。集積部30の前面の開口は常に開かれた状態にあるので、操作者はこの集積部30から紙葉類を自在に取り出すことができるようになる。
【0046】
一方、識別部20により識別された紙葉類が正常なものではなくリジェクト紙葉類であった場合には、当該紙葉類は搬送機構18により更に搬送されて分岐部22によりリジェクト部40に送られる。リジェクト部40の前面の開口は常に開かれた状態にあるので、操作者はリジェクト部40から紙葉類を取り出すことができるようになる。
【0047】
このようにして載置部14に載置された紙葉類が全て筐体12内に繰り出され、集積部30またはリジェクト部40に送られると紙葉類処理装置10における紙葉類の処理が完了する。
【0048】
以上のような構成からなる本実施の形態の紙葉類集積機構50およびこの紙葉類集積機構50を備えた紙葉類処理装置10によれば、集積部30に紙葉類を1枚ずつ送るための羽根車52として、軸53を中心として回転する基体52aと、基体52aの外周面から当該基体52aの回転方向とは逆方向の外方に延びる複数の羽根52bとを有し、羽根52bの間に収容された紙葉類を集積部30に送るよう構成されたものが用いられるとともに、羽根車52の複数の羽根52bの一部を覆うよう設けられたガイド部70が設置されている。このようなガイド部70を設置することにより、羽根車52における隣接する羽根52bの間に紙葉類が入り始める際に、羽根52bの先端部分の外側に紙葉類が乗ってしまった場合でも、当該紙葉類の先端部分が羽根車52から離れずに一つ先の羽根52bの間に入るようガイド部70によって案内されるため、羽根52bの間に紙葉類を確実に収容することができることにより集積部30に紙葉類を整列された状態で集積させることができる。
【0049】
また、本実施の形態の紙葉類集積機構50においては、上述したように、ガイド部70は、羽根車52の羽根52bの間に紙葉類の先端が入り始める箇所の近傍に設けられている。
【0050】
また、本実施の形態の紙葉類集積機構50においては、上述したように、ガイド部70には、羽根車52の基体52aが回転したときに各羽根52bの先端部分が入る凹部が形成されている。この場合には、ガイド部70における凹部の中に羽根車52の各羽根52bが入るようになるため、羽根車52における隣接する羽根52bの間に紙葉類が入り始める際に、羽根52bの先端部分の外側に紙葉類が乗ってしまった場合に、紙葉類の先端部分と一つ先の羽根52bの先端部分とが衝突してしまうことを防止することができ、よって羽根52bの間に紙葉類が入らずに羽根車52の外に当該紙葉類が飛び出してしまうことを防止することができるようになる。
【0051】
また、本実施の形態の紙葉類集積機構50においては、上述したように、ガイド部70は、軸53の延びる方向に沿って見たときに、羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも外側に位置する第1ガイド面72aを含む第1ガイド部分72と、軸53の延びる方向における第1ガイド部分72の側方に設けられ、軸53の延びる方向に沿って見たときに、上記の円形領域よりも内側に位置する第2ガイド面74aを含む第2ガイド部分74とを有している。この場合にも、ガイド部70における第1ガイド部分72の中に羽根車52の各羽根52bが入るようになるため、羽根車52における隣接する羽根52bの間に紙葉類が入り始める際に、羽根52bの先端部分の外側に紙葉類が乗ってしまった場合に、紙葉類の先端部分と一つ先の羽根52bの先端部分とが衝突してしまうことを防止することができ、よって羽根52bの間に紙葉類が入らずに羽根車52の外に当該紙葉類が飛び出してしまうことを防止することができるようになる。
【0052】
また、本実施の形態の紙葉類集積機構50においては、上述したように、羽根車52の羽根52bの間に入るまでの紙葉類を案内する追加ガイド部80が設けられており、追加ガイド部80は、軸53の延びる方向に沿って見たときに、羽根車52の羽根52bの間に入るまでの紙葉類を、羽根車52の羽根52bの間に入った後の紙葉類の湾曲形状と逆向きに湾曲させるような構成となっている。この場合には、追加ガイド部80によって、羽根車52の羽根52bの間に入るまでの紙葉類を、羽根車52の羽根52bの間に入った後の紙葉類の湾曲形状と逆向きに湾曲させることにより、羽根車52における羽根52bの間に紙葉類の先端部分を入れる際に、当該紙葉類は羽根車52の羽根52bの間に入った後の紙葉類の湾曲形状と逆向きに湾曲しているためバタつかないようになる(言い換えると、紙葉類の先端部分が羽根車52の軸53に近づく方向および軸53から遠ざかる方向に細かく振動しないようになる)。このことにより、羽根52bの先端部分と紙葉類の先端部分とが干渉しにくくなり、また、羽根52bの先端部分と紙葉類の先端部分が干渉した場合でもこの紙葉類の先端部分を羽根52bの先端部分の外側または内側に安定して導くことができるようになる。
【0053】
また、本実施の形態の紙葉類集積機構50においては、上述したように、羽根車52と同軸となるよう当該羽根車52の側方に設けられ、軸53を中心として羽根車52よりも大きな角速度で回転するローラ54と、ローラ54に対向するよう設けられ、羽根車52の羽根52bの間に紙葉類を送るための搬送部(具体的には、搬送ベルト56)とがそれぞれ配置されており、ローラ54と搬送ベルト56との間から紙葉類が放出される放出位置が、軸53の延びる方向に沿って見たときに、羽根車52の基体52aの外周面よりも外側でありかつ羽根車52の回転時に当該羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも内側となっている。この場合には、ローラ54が軸53を中心として羽根車52よりも大きな角速度で回転するようになっているため、羽根車52の羽根52bの間に収容された紙葉類は、ローラ54の外周面との間で働く摩擦力により、羽根52bの間の奥側(羽根52bの根元側)に押し込まれるようになる。また、羽根車52の羽根52bの間に収容された紙葉類の後端部分がローラ54と搬送ベルト56との間から放出されても、このローラ54の引き込み作用により、紙葉類自体の弾性力により当該紙葉類が羽根車52の羽根52bの間から外側に押し戻されてしまうことが抑制され、このことにより、紙葉類の先端部分が案内部材51aに当接する前にこの紙葉類が羽根車52から外に飛び出してしまうことを防止することができる。また、羽根車52の羽根52bの間に紙葉類を送るための搬送部として搬送ベルト56がローラ54に対向するよう設けられており、ローラ54と搬送ベルト56との間から紙葉類が放出される放出位置が、羽根車52の軸53の軸方向から見たときに、羽根車52の基体52aの外周面よりも外側でありかつ羽根車52の各羽根52bの先端部分が描く円形領域よりも内側となるよう搬送ベルト56が配置されているため、ローラ54と搬送ベルト56との間から放出された紙葉類が例えばコシの弱いよれよれのものであった場合でも、羽根車52の羽根52bの間にこのような紙葉類を確実に収容することができるようになる。
【0054】
また、羽根車52と同軸となるよう当該羽根車52の側方にローラ54を設置し、このローラ54により羽根車52の羽根52bの間に収容された紙葉類を羽根52bの間の奥側(すなわち、羽根52bの根元側)に押し込むようにした場合には、従来技術の紙葉類集積機構と比較して羽根車52の小型化を図ることができるようになる。すなわち、従来技術において紙葉類集積機構をコンパクトなものとするために羽根車を小型化すると当該羽根車の羽根間に収容された紙葉類自体の弾性力が大きくなるため、紙葉類の先端部分が案内部材に当接する前にこの紙葉類が羽根車から外に飛び出してしまうというトラブルが発生することがあったが、本実施の形態のように、羽根車52の羽根52bの間に収容された紙葉類をローラ54によって羽根52bの間の奥側(すなわち、羽根52bの根元側)に強制的に押し込んだ場合には、羽根車を小型化してもこのようなトラブルが発生することはない。
【0055】
また、本実施の形態の紙葉類集積機構50においては、上述したように、ローラ54の外周面に例えばゴム等からなる摩擦部材が設けられている。この場合には、羽根車52の羽根52bの間に収容された紙葉類は、ローラ54の外周面との間で働く摩擦力により、羽根52bの間の奥側(すなわち、羽根52bの根元側)に、より一層確実に押し込まれるようになる。
【0056】
なお、本実施の形態による紙葉類集積機構やこの紙葉類集積機構を備えた紙葉類処理装置は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0057】
例えば、本実施の形態による紙葉類集積機構において、羽根車52の羽根52bの間に紙葉類を送るための搬送部は、ローラ54に対向するよう設けられた搬送ベルト56に限定されることはない。羽根車52の羽根52bの間に紙葉類を送るための搬送部として、ローラ54の外周面にその一部が当接する対向ローラを用いてもよい。ここで、対向ローラの外周面には例えばゴム等からなる摩擦部材が設けられていてもよい。また、ローラ54の外周面にその一部が当接する対向ローラが複数設けられていてもよい。