(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6541534
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】電気錠を備えたドア装置
(51)【国際特許分類】
E05B 13/00 20060101AFI20190628BHJP
E05B 17/18 20060101ALI20190628BHJP
E06B 3/00 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
E05B13/00 B
E05B17/18 D
E06B3/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-191695(P2015-191695)
(22)【出願日】2015年9月29日
(65)【公開番号】特開2017-66669(P2017-66669A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(72)【発明者】
【氏名】小泉 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 幸也
(72)【発明者】
【氏名】持田 典之
【審査官】
砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−92407(JP,A)
【文献】
特開2009−30275(JP,A)
【文献】
特開2007−32150(JP,A)
【文献】
実開昭61−69363(JP,U)
【文献】
特開2006−22584(JP,A)
【文献】
特開2015−108232(JP,A)
【文献】
米国特許第6581333(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 13/00
E05B 17/18
E05B 47/00−49/04
E05B 77/00−85/28
E06B 1/34
E06B 3/00− 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物開口部を形成するドア枠と、
前記ドア枠に対して開閉可能に取り付けた扉体と、
前記扉体の戸先側端面に設けたストライクと、
前記ドア枠の戸先側縦枠内に設けた電気錠本体と、
を備えており、
前記電気錠本体は、
前記ストライクに対して電動で係脱するデッドボルトと、
前記戸先側縦枠の室外側面部に露出する鍵穴を備えたシリンダ錠と、
前記戸先側縦枠の室内側面部に露出する施解錠操作部と、
を備えており、
前記戸先側縦枠の室外側面部には、前記シリンダ錠を隠蔽できる幅寸法を備え、当該室外側面部の全高に延びる隠蔽カバーが着脱可能あるいは開閉可能に設けてあり、
前記隠蔽カバーに隣接して、所定の機能要素を前面に備えたパネルが着脱可能あるいは開閉可能に設けてあり、
前記隠蔽カバーは前記パネルと独立して着脱可能あるいは開閉可能である、
電気錠を備えたドア構造。
【請求項2】
前記戸先側縦枠の室外側面部には、カバー取付部材が設けてあり、前記隠蔽カバーの裏面は、前記カバー取付部材に対して着脱可能となっている、
請求項1に記載のドア構造。
【請求項3】
前記パネルは、前記隠蔽カバーと同じ高さ寸法を有し、前記隠蔽カバーに隣接する第1部分と、前記隠蔽カバーから遠い側の第2部分と、からなり、
前記第1部分には、前記機能要素が設けてあり、
前記第2部分の幅寸法は、前記隠蔽カバーの幅寸法とほぼ同じであり、前記隠蔽カバーと前記第2部分が、前記第1部分を挟んで左右対称となっている、
請求項1、2いずれか1項に記載のドア構造。
【請求項4】
前記隠蔽カバーは、高さ方向に複数に分割された複数の分割カバーからなり、少なくとも電気錠本体のシリンダ錠を隠蔽する分割カバーが着脱可能あるいは開閉可能となっている、
請求項1〜3いずれか1項に記載のドア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気錠を備えたドア装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、マンションなどの住居への不正侵入・窃盗犯罪が問題となっており、セキュリティ対策が重要となっている。集合住宅の共用部入口であるエントランスのオートロックは常識となっており、専有部である住居玄関入口においては、セキュリティ対策として、カードやキーを扉もしくは壁面へ取り付けたリーダに読み取らせることで施解錠可能となる電気錠システムの採用が進んでいる。
【0003】
電気錠システムの構成としては、扉体側に設けた電気錠本体からデットボルトが突出して躯体側のストライクに係合してロック状態となるタイプ、躯体側に設けた電気錠本体からデットボルトが突出して扉体側のストライクに係合してロック状態となるタイプが知られている。
【0004】
このような電気錠システムにおいて、電気錠本体にはシリンダ錠が備わっているが、停電時等の非常時以外はシリンダ錠の鍵穴にキーを差し込んで操作することはないため、シリンダ錠が見えている必要はない。しかしながら、前者の電気錠システムの納まりでは、シリンダ錠が扉体の室外側面部に露出しており、意匠性と防犯性に課題があった。
【0005】
後者のタイプにおいて、防犯上、電気錠本体のシリンダ錠の鍵穴が外部に露出することがないような構成を採用することが望ましいが、特許文献1、2に開示された構成では、いずれも、いわゆる袖パネル(インターフォン、リーダ、新聞受け等の機能要素を備えている)を利用してシリンダ錠の鍵穴を隠蔽している。
【特許文献1】特許第4613119号
【特許文献2】特開2009−30275号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、袖パネルないしエントランスパネルを備えたドア装置において、このようなパネルを利用することなく電気錠のシリンダ錠を隠蔽し、美観上・防犯上有利なドア装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明が採用した技術手段は、
建物開口部を形成するドア枠と、
前記ドア枠に対して開閉可能に取り付けた扉体と、
前記扉体の戸先側端面に設けたストライクと、
前記ドア枠の戸先側縦枠内に設けた電気錠本体と、
を備えており、
前記電気錠本体は、
前記ストライクに対して電動で係脱するデッドボルトと、
前記戸先側縦枠の室外側面部に露出する鍵穴を備えたシリンダ錠と、
前記戸先側縦枠の室内側面部に露出する施解錠操作部と、
を備えており、
前記戸先側縦枠の室外側面部には、前記シリンダ錠を隠蔽できる幅寸法を備え、当該室外側面部の全高に延びる隠蔽カバーが着脱可能あるいは開閉可能に設けてあり、
前記隠蔽カバーに隣接して、所定の機能要素を前面に備えたパネルが着脱可能あるいは開閉可能に設けてあり、
前記隠蔽カバーは前記パネルと独立して着脱可能あるいは開閉可能である、
電気錠を備えたドア構造、である。
1つの態様では、戸先側縦枠の室外側面部において、シリンダ錠が露出する面は、全閉姿勢にある扉体の室外側面部よりも室内側に偏倚しており、全閉姿勢にある扉体の室外側面部に対する隠蔽カバーの正面部の室外側への突出寸法を小さくして(あるいは面一として)、スッキリとした意匠としている。
【0008】
1つの態様では、前記戸先側縦枠の室外側面部には、カバー取付部材が設けてあり、前記隠蔽カバーの裏面は、前記カバー取付部材に対して着脱可能となっている。
典型的には、複数のカバー取付部材が、高さ方向に間隔を存して、前記シリンダ錠の上下に位置して設けてある。
1つの態様では、前記隠蔽カバーは、磁石を用いて、前記カバー取付部材に対して着脱可能に取り付けられる。
【0009】
1つの態様では、前記パネルは、前記隠蔽カバーと同じ高さ寸法を有し、前記隠蔽カバーに隣接する第1部分と、前記隠蔽カバーから遠い側の第2部分と、からなり、
前記第1部分には、前記機能要素が設けてあり、
前記第2部分の幅寸法は、前記隠蔽カバーの幅寸法とほぼ同じであり、前記隠蔽カバーと前記第2部分が、前記第1部分を挟んで左右対称となっている。
1つの態様では、前記第1部分と前記第2部分は同一の部材から形成されており、高さ方向に延びる溝によって区画される。
1つの態様では、前記第1部分と前記第2部分は別部材から形成されており、例えば、それぞれ、室外側面部に張り付けた第1化粧板、第2化粧板から形成される。
なお、隠蔽カバーは1本物でも、高さ方向に分割されていてもよく、1つの態様では、前記隠蔽カバーは、高さ方向に複数に分割された複数の分割カバーからなり、少なくとも電気錠本体のシリンダ錠を隠蔽する分割カバーが着脱可能あるいは開閉可能となっている。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、戸先側縦枠の室外側面部には、全高に亘って隠蔽カバーを着脱可能あるいは開閉可能に設けて電気錠のシリンダ錠を隠蔽するので、室外側からのシリンダ錠の取付位置の特定及びシリンダ錠の鍵孔へのアクセスを防止することができると共に、通常時はシリンダ錠が室外側に露出することがないので、美観上、防犯上良好である。
本発明では、隠蔽カバーとパネルとは独立して設けられているので、隠蔽カバーはパネルと独立して取り外し、あるいは開閉することができる。例えば、停電が継続した場合に、隠蔽カバーのみを常時取り外し、あるいは開放しておき、シリンダ錠を利用して手動で施解錠することができる。仮にパネル(袖パネルやエントランスパネル)を常時取り外し、あるいは開放させるとすれば、インターフォン等の配線が露出することになり望ましくない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係るドア装置を室外側から見た正面図である。
【
図2】第1の実施形態に係るドア装置を室内側から見た正面図である。
【
図3】第1の実施形態に係るドア装置の横断面図であり、上図は、錠前部を示す横断面図、下図は、カバー取付部材を示す横断面図である。
【
図4】第1の実施形態に係るドア装置において、隠蔽カバーの取付構成を示す横断面図である。
【
図5】第1の実施形態に係るドア装置において、隠蔽カバーの取付構成を示す縦断面図及び正面図である。
【
図7】第2の実施形態に係るドア装置を室外側から見た正面図である。
【
図8】第2の実施形態に係るドア装置の横断面図である。
【
図9】第3の実施形態に係るドア装置を室外側から見た正面図である。
【
図10】第3の実施形態に係るドア装置の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は電気錠を備えたドア装置を室外側から見た図、
図2は同ドア装置を室内側から見た図、
図3は同ドア装置の横断面図である。ドア装置は、建物開口部を形成する枠体と、建物開口部を開閉するように枠体に設けられた扉体1、とからなる。枠体は、上枠2、下枠3、戸先側縦枠4、戸尻側縦枠5、からなる方形状の四周枠(ドア枠)であり、内側に建物開口部を形成しており、枠体の戸先側縦枠4、戸尻側縦枠5の外側(建物開口部から離隔する側)には躯体としての壁体Wが備わっている。
【0013】
扉体1は、室外側面部10、室内側面部11、戸先側端面12、戸尻側端面13、を備えている。扉体1の室外側面部10及び室内側面部11には、戸先側に近接して、扉体1の高さの略中央部位に位置して取手14が設けてある。扉体1の室内側面部11の上方にはドアクローザ15が設けてある。扉体1は、開き戸であり、戸尻側部位を、吊金具(丁番、ピボットヒンジ等)16を用いて戸尻側縦枠5に対して回動自在に装着することで建物開口部を開閉可能になっている。
【0014】
電気錠は、デッドボルト61を備えた電気錠本体6と、デッドボルト61を受け入れるストライク7と、からなり、電気錠本体6は、戸先側縦枠4の内部空間に設けてあり、ストライク7は、扉体1の戸先側端面12に設けてある。戸先側縦枠4は、室外側面部(室外側見付面)40、室内側面部(室内側見付面)41、開口部に面する内側の側面部(見込面)42と、開口部から遠い側に位置する外側の側面部43と、を備えており、内部は中空状となっている。
【0015】
戸先側縦枠4の内部には、電気錠本体(図示しない配線を含む)のみが設けてある。図示の態様では、戸先側縦枠4には、高さ方向に間隔を存して2つの電気錠本体6が設けてあり、扉体1の戸先側端面12には、高さ方向に間隔を存して2つのストライク7が設けてある。
【0016】
電気錠本体6は、本体ケース60と、デッドボルト61と、シリンダ錠62と、施解錠操作部として例示するサムターン63と、を備えている。開口部全閉時において、電気錠本体6のデッドボルト61を扉体1側のストライク7に対して電気的に出没させて、デッドボルト61をストライク7に対して係脱させることで、施錠・解錠を行う。図示の例では、デッドボルト61は水平方向に往復動するものであるが、回動するデッドボルトでもよい。シリンダ錠62の鍵穴は、戸先側縦枠4の室外側面部40から露出しており、サムターン63は、戸先側縦枠4の室内側面部41から室内空間に露出している。停電時等の非常時には、シリンダ錠62の鍵穴からキー操作をすることで、室外側からデッドボルト61をストライク7に対して手動で係脱させることができる。
【0017】
図1〜
図4に示す態様では、戸先側縦枠4の室外側面部40は、主面部400と、主面部400の外側(開口部から離間する側)に形成された凸部401とから段部状となっており、シリンダ錠62は、主面部400において露出している。建物開口部に近い側の側面部(見込面)42は、室外側に位置する第1面部420と、室内側に位置する第2面部421とからなり、全閉姿勢の扉体1の戸先側端面12は、第1面部420に近接対向しており、デッドボルト61は、第1面部420から出没するようになっている。なお、第1面部420には、扉体1の取手14の動きに連動して出没するラッチ(図示せず)のストライクが設けられる。
図3に示すように、戸先側縦枠4の室外側面部40の主面部400は、全閉姿勢の扉体1の室外側面部10よりも室内側に位置しており、主面部400の内側(建物開口部寄り)の端部には、第1面部420を越えて延出する扉体1の戸先側端面12の室外側の突部120が、近接対向している。
【0018】
戸先側縦枠4の室外側面部40には、室外側面部40を覆うように隠蔽カバー8が着脱可能に設けてある。隠蔽カバー8は、戸先側縦枠4の室外側面部40の全高に亘って延びる高さ寸法を備えており、少なくとも、室外側面部40から突出するシリンダ錠62を覆うような幅寸法(見付寸法)・奥行寸法(見込寸法)を備えている。隠蔽カバー8は、正面部80と、側面部81、側面部82と、から断面視コ字形状を有しており、本実施形態では、主面部400を覆うような高さ寸法・幅寸法を備えている。隠蔽カバー8の側面部81は、全閉姿勢の扉体1の突部120に寄った位置にあり、側面部82は、凸部401の立ち上がり面402に寄った位置にある。なお、図示の態様では、隠蔽カバー8の側面部81の端縁には当接片810が折曲形成されており、主面部400に設けた被当接部材としてのスポンジ403に密着するようになっている(
図4上図参照)。隠蔽カバー8の正面部80は、全閉姿勢の扉体1の室外側面部10と面一か、あるいは、室外側面部10よりも室外側へ出っ張っている。
【0019】
本実施形態では、隠蔽カバー8は、磁石Mを用いて、戸先側縦枠4の室外側面部40に着脱可能に取り付けられる。より具体的には、戸先側縦枠4の室外側面部40の主面部400には、カバー取付部材17、18が設けてあり、隠蔽カバー8は、カバー取付部材17、18を介して、戸先側縦枠4の室外側面部40に取り付けられる。なお、本実施形態では、2種類のカバー取付部材17、18を用いているが、統一した1種類のカバー取付部材を用いてもよい。
【0020】
カバー取付部材17は、横長の長方形状のプレート170と、プレート170の前面に設けた磁石Mと、からなり、主面部400の上端に設けた台座171に(例えば、図示しない螺子を用いて)固定される。隠蔽カバー8の正面部80の上端は室内側に向かって折曲して引掛片が形成されており、引掛片をカバー取付部材17に引掛けている。なお、カバー取付部材17は磁石を備えていなくてもよい。
【0021】
カバー取付部材18は、垂直状の面部180と、面部180の上下に一体形成した断面視L字形状の脚部と、から側面視ハット型を備えており、面部180の前面には磁石Mが設けてある。カバー取付部材18の脚部は、面部180の上下から水平状に延びる水平部181と、上側の水平部から垂直状に上側、下側にそれぞれ延びる垂直部182と、からなり、垂直部182を主面部400に当接させて(例えば、図示しない螺子を用いて)固定される。カバー取付部材18は、主面部400の高さ方向に間隔を存して、各シリンダ錠62の上側、下側に位置するように、複数個配置されている。カバー取付部材17の磁石M、複数のカバー取付部材18の磁石Mは、同一垂直面上に位置している。
【0022】
隠蔽カバー8は、スチール等の磁性体から形成されており、隠蔽カバー8の正面部80の裏面を高さ方向に間隔を存して配置した複数の磁石Mに磁着するようになっている。隠蔽カバー8が非磁性体の場合には、カバー取付部材17、18を磁性体から形成して、隠蔽カバー8に磁石を固定してもよい。なお、隠蔽カバー8を着脱可能に戸先側縦枠4の室外側面部40に設ける手段は、マグネット方式に限定されるものではなく、嵌合方式、係合方式、螺子止め(この場合は螺子頭を隠蔽することが望まし)等であってもよい。また、隠蔽カバーを丁番開閉式(隠し丁番が望ましい)としてもよい。隠蔽カバー8の幅方向のいずれか一方あるいは両方の端部に隙間が無い場合には(図示の態様では、建物開口部から遠い側の側面部82の外側にパネル9が隣接している)、回動方式ではなく着脱方式が有利に採用される。
【0023】
本実施形態では、戸先側縦枠4の室外側面部40の主面部400に、全高に亘って隠蔽カバー8を着脱可能に設けて電気錠のシリンダ錠62を隠蔽するので、通常時には、室外側からのシリンダ錠62の取付位置の特定及びシリンダ錠62の鍵孔へのアクセスを防止した。より具体的には、シリンダ錠62の鍵孔が室外側に露出しないことによりピッキングに対して有効であり、室外側からのシリンダ錠62の取付位置の特定ができないことで、バール等のこじ開けに対して有効である。停電時等の非常時には、隠蔽カバー8を取り外すことで、室外側から手動で電気錠を施錠・解錠できるものでありながら、通常時はシリンダ錠62が室外側に露出することがないので、美観上、防犯上良好である。
【0024】
壁体Wの屋外側には、隠蔽カバー8の外側(建物開口部から離間する側)に隣接して、機能要素を備えたパネル9(図示の態様では、エントランスパネル)が着脱可能に設けてある。パネル9は、正面部90と、側面部91と、側面部92、とから断面視コ字形状を有している。パネル9の正面部90の建物開口部寄りの端部は、戸先側縦枠4の室外側面部40の凸部401を越えて延びており、パネル9の側面部91の外面は、隠蔽カバー8の側面部82に近接し、側面部91の内面は、戸先側縦枠4の室外側面部40の凸部401の立ち上がり面402に対向している。
【0025】
パネル9は、戸先側縦枠4と同じ高さ寸法、すなわち、隠蔽カバー8と同じ高さ寸法を備えている。パネル9の正面部90には、所定の複数の機能要素が設けてり、
図1の例では、機能要素として、上から順に、照明93、室名札94、インターフォンパネル95、リーダ96、新聞受け97を備えている。なお、機能要素の種類は、これらに限定されるものではない。
【0026】
パネル9は、壁体Wに対して着脱可能となっており、パネル9を取り外すことで、取配線やメンテナンスを容易に行うことができる。パネル9を壁体Wに対して着脱可能とする構成は限定されず、マグネット方式、嵌合方式、係合方式、螺子止め(この場合は螺子頭を隠蔽することが望まし)が例示される。また、パネル9を丁番開閉式(隠し丁番が望ましい)としてもよい。
【0027】
本実施形態では、隠蔽カバー8とパネル9とは独立して設けられているので、隠蔽カバー8はパネル9と独立して取り外すことができる。例えば、停電が継続した場合に、パネル9を開放することなく、隠蔽カバー8のみを常時取り外し、あるいは開放しておき、手動でシリンダ錠62を利用して施解錠することができる。仮にパネル9を常時開放させるとすれば、インターフォン等の配線が露出することになり望ましくない。
【0028】
図7、
図8に基づいて、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態と同一の構成要素については同一の参照番号が付してあり、適宜、第1の実施形態の説明を援用することができる。戸先側縦枠4の室外側面部40には、電気錠本体6のシリンダ錠62が露出しており、室外側面部40の全高に亘って隠蔽カバー8が着脱可能に設けてあり、シリンダ錠62が隠蔽されている(
図7参照)。
【0029】
隠蔽カバー8に隣接してパネル9(図示の態様では、袖パネル)が設けてある。パネル9は、隠蔽カバー8と同じ高さ寸法を有し、パネル9の面部は、隠蔽カバー8に隣接する第1部分900と、隠蔽カバー8から遠い側の第2部分901と、からなる。第1部分900は第2部分901よりも大きい幅寸法を有し、第1部分900には、機能要素が設けてある。第2部分901の幅寸法は、隠蔽カバー8の幅寸法と同じである。
図8に示すように、隠蔽カバー8の正面部80と、パネル9の面部(第1部分900、第2部分901)は、面一である。なお、第1部分900が第2部分901に対して凹んだり(室内側に偏倚)あるいは出っ張ったり(室外側に偏倚)していてもよい。
【0030】
パネル9の第1部分900と第2部分901は、全高に亘って高さ方向に延びる溝902によって区画されており、第1部分900と第2部分901は、正面視において識別可能である。隠避カバー8の側面部82と、パネル9の側面部91との間には、溝902と同幅の溝903が全高に亘って形成されており、隠蔽カバー8と第1部分900は、正面視において識別可能である。
【0031】
図7に示すように、室外側から見た正面視において、パネル9の第1部分900を挟んで、両側の隠蔽カバー8の正面部80、第2部分901が対称状の意匠となっており、戸先側縦枠4内に電気錠本体6が隠蔽されていることに気づきにくくすると共に、ドア枠の意匠性も高めることができる。なお、
図7における斜線は、隠蔽カバー8の位置を示すために便宜的に付したものである。
【0032】
図9、
図10に基づいて、第3の実施形態について説明する。第1の実施形態と同一の構成要素については同一の参照番号が付してあり、適宜、第1の実施形態の説明を援用することができる。戸先側縦枠4の室外側面部40には、電気錠本体6のシリンダ錠62が露出しており、室外側面部40の全高に亘って隠蔽カバー8が着脱可能に設けてあり、シリンダ錠62が隠蔽されている(
図9参照)。第3の実施形態では、戸先側縦枠4は大きい幅寸法を備えており、壁パネルを形成している。
【0033】
隠蔽カバー8に隣接してパネル9(図示の態様では、袖パネル)が設けてある。パネル9は、隠蔽カバー8と同じ高さ寸法を有し、パネル9の面部は、隠蔽カバー8に隣接する第1部分900と、隠蔽カバー8から遠い側の第2部分901´と、からなる。第1部分900は第2部分901´よりも大きい幅寸法を有し、第1部分900には、機能要素が設けてある。第2部分901´の幅寸法は、隠蔽カバー8の幅寸法と同じである。
図10に示すように、隠蔽カバー8の正面部80と、パネル9の第2部分901´は、面一であり、第1部分900は、隠蔽カバー8の正面部80及び第2部分901´よりも室内側に少し凹んでいる。
【0034】
第1部分900は、パネル9の正面部90に張り付けた第1化粧板からなり、第2部分901´は、パネル9の正面部90に張り付けた第2化粧板からなり、第2化粧板は第1化粧板に対して室外側に位置している。第1部分900と第2部分901´は、全高に亘って高さ方向に延びる第2化粧板の縁部あるいは第1化粧板の縁部によって、正面視において識別可能である。隠蔽カバー8と第1部分900は、全高に亘って高さ方向に延びる隠避カバー8の側面部82あるいは第1化粧板の縁部によって、正面視において識別可能である。
【0035】
図9に示すように、室外側から見た正面視において、袖パネル9の第1部分900を挟んで、両側の隠蔽カバー8の正面部80、第2部分901´が対称状の意匠となっており、戸先側縦枠4内に電気錠本体6が隠蔽されていることに気づきにくくすると共に、ドア枠の意匠性も高めることができる。
【0036】
上記実施形態では、高さ方向に1本物の隠蔽カバー8を示したが、隠蔽カバー8は、高さ方向に複数に分割されていてもよい。例えば、隠蔽カバー8を高さ方向に3つに分割して、3つの分割カバーが戸先側縦枠の室外側面部の全高に対応するものでもよい。この態様では、少なくとも、電気錠本体に対応する分割カバーである中央の分割カバーが着脱可能あるいは開閉可能となっていればよい。第2実施形態、第3実施形態の隠蔽カバー8を分割する場合には、分割されたカバーのデザインに整合させるように、第2部分901、901´を分割してもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 扉体
12 戸先側端面
4 戸先側縦枠
6 電気錠本体
61 デッドボルト
62 シリンダ錠
63 サムターン(施解錠操作部)
7 ストライク
8 隠蔽カバー
9 パネル(エントランスパネル、袖パネル)
900 第1部分
901 第2部分
17 カバー取付部材
18 カバー取付部材