(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明の実施形態に係る電動アシスト車輪ユニット、およびそれを備えた手押し移動体について、図面を参照して説明をする。
【0023】
(電動アシストシルバーカー)
図1は、本発明の実施形態における駆動ユニットを備えた手押し移動体の一例を示す斜視図である。
同図に示すように、電動アシストシルバーカー(手押し移動体)10は、フレーム11と、収納部12と、車輪13と、を備えている。
【0024】
フレーム11は、収納部12を支持する座部フレーム11aと、座部フレーム11aの一端に設けられ、上方に向けて延びる背部フレーム11bと、座部フレーム11aから下方に向けて延びる脚部フレーム11cと、を備える。
ここで、以下の説明においては、平面視した状態で、座部フレーム11aに対して背部フレーム11bが設けられた側を後方、その反対側を前方、前後方向に向かって左右両側を側方と称することがある。
【0025】
収納部12は、内部に物品等を収容できる物品収容部12aと、物品収容部12aの上方を覆い、上面に物品を載置したり着座したりすることが可能な台部12bと、を備えている。
【0026】
車輪13は、脚部フレーム11cの下端部に設けられている。車輪13は、ホイール13wと、ホイール13wの外周部に装着されたタイヤ13tと、を備えている。
脚部フレーム11cは、上方から下方に向かって、平面視した状態で電動アシストシルバーカー10の四隅に向けて延びている。これにより、車輪13は、電動アシストシルバーカー10の四隅に配されている。
ここで、4つの車輪13のうち、フレーム11の前方の幅方向両側に設けられている車輪13fは、脚部フレーム11cを挟んでその両側に二個一対で設けられている。また、フレーム11の後方の幅方向両側に設けられている車輪13rは、脚部フレーム11cの側方に設けられている。
【0027】
電動アシストシルバーカー10は、例えば後方の幅方向両側の車輪13rを回転駆動させる電動アシスト機構を備えている。電動アシスト機構は、車輪13rを回転駆動する駆動ユニット(電動アシスト車輪ユニット)20Aと、収納部12内に収納され、駆動ユニット20Aの動作を制御する制御部18と、を備えている。
【0028】
(駆動ユニット)
図2は、駆動ユニットの構成を示す断面図である。
同図に示すように、駆動ユニット20Aは、減速機付モータ(モータ)21と、車輪13rと、クラッチ機構300と、ブレーキ機構400と、を備えている。
【0029】
(減速機付モータ)
図3は、駆動ユニットの拡大断面図である。
同図に示すように、減速機付モータ21は、ケース210と、ケース210内に設けられたモータ部220と、減速機部230と、駆動プレート240を備えている。
【0030】
減速機付モータ21は、ケース210内に、モータ部220と、ハイポサイクロイド減速方式により作動し、モータ部220から入力される回転を減速し、減速された回転を出力する減速機部230と、を備える。
【0031】
ケース210は、中央部に開口部211hが形成された略板状の隔壁部211と、隔壁部211の一方の側に筒状に延び、モータ部220を収容する第一ハウジング212と、隔壁部211の他方の側に筒状に延び、減速機部230を収容する第二ハウジング213と、を一体に備えている。
【0032】
隔壁部211の一方の側に形成された第一ハウジング212の端部212aは、蓋体215により閉塞されている。
【0033】
モータ部220は、第一ハウジング212の内周面に固定された円環形状のステータ221と、後述する入力軸231の一端231aに固定され、ステータ221の内側にて回転自在に配置されたロータ222と、ステータ221に外部からの制御電流を供給する配電基板214と、を備える。
【0034】
ステータ221は、鋼板を積層して形成されたステータコア221aと、ステータコア221aに巻装されたコイル221cと、を備える。
ロータ222は、椀形状のロータ本体222aと、ロータ本体222aの外周面に取り付けられたマグネット222bと、を備える。
【0035】
このようなモータ部220は、配電基板214から供給される制御電流をステータ221に印加することにより、その内側でロータ222が入力軸231とともに中心軸回りに回転駆動される。
【0036】
減速機部230は、ハイポサイクロイド減速方式により作動し、モータ部220から入力される回転を減速し、減速された回転を出力する。この減速機部230は、入力軸231と、第一内歯歯車232と、回転部材233と、出力部材(駆動軸)237と、を備える。
【0037】
入力軸231は、ケース210の隔壁部211に形成された開口部211hに、ベアリングB1を介してその中心軸回りに回転自在に支持されている。入力軸231は、一端231aが隔壁部211の一方の側に突出し、他端231bが隔壁部211の他方の側に突出するよう設けられている。入力軸231の一端231aには、前記ロータ222が設けられている。これにより、モータ部220の駆動により、入力軸231は、ロータ222とともに、その中心軸CL回りに回転駆動される。
【0038】
第一内歯歯車232は、円環形状で、第二ハウジング213に内嵌されている。第一内歯歯車232の内周面に沿って、複数の内歯(図示無し)が形成されている。
【0039】
回転部材233は、入力軸231の中間部に形成された偏心軸部231hに、ベアリングB2、B2を介して回転自在に設けられている。偏心軸部231hは、入力軸231の中心軸CLに対し、所定寸法のオフセット寸法だけ離れて平行に位置する偏心軸心ELを有している。これにより、回転部材233は、入力軸231が回転すると、上記オフセット寸法を半径とした円弧回りに公転する。
【0040】
回転部材233の外周部には、円盤状の第一外歯歯車234が一体に形成されている。この第一外歯歯車234は、第一内歯歯車232の内周側に配置されている。第一外歯歯車234は、その外周部に沿って、第一内歯歯車232の内歯(図示無し)に噛み合う複数の外歯(図示無し)が形成されている。この第一外歯歯車234は、外歯(図示無し)のピッチ円半径が、第一内歯歯車232の内歯(図示無し)のピッチ円半径よりも大きく設定されている。
このような第一外歯歯車234は、入力軸231の回転により、回転部材233と一体に公転しつつ、第一内歯歯車232との噛み合いにより自転する。
【0041】
第一外歯歯車234には、周方向に間隔を空けて複数の開口部235が形成されている。これら複数の開口部235は、回転部材233の中心軸、つまり偏心軸部231hの偏心軸心ELを中心とした同心円上に等間隔で形成されている。
これら複数の開口部235は、第一外歯歯車234と一体に公転しつつ自転し、いわゆる遊星動作する。
【0042】
出力部材237は、略円盤形状で、その外周部が、第二ハウジング213の内周部に、ベアリングB3を介し、入力軸231の中心軸CLと同軸回りに回転自在に保持されている。出力部材237は、隔壁部211に対向する側に設けられたベアリングB4を介して、入力軸231の他端231bを中心軸CL回りに回転自在に支持している。
【0043】
この出力部材237には、第一外歯歯車234側に向かって突出するピン236が、周方向に間隔を空けて複数本設けられている。これら複数のピン236は、入力軸231の中心軸CLを中心とした同心円上に等間隔で設けられている。
これら複数のピン236は、その先端部236sが、第一外歯歯車234に形成された複数の開口部235のそれぞれに挿入されている。ここで、ピン236は、外形が、開口部235の内径よりも小さく設定されている。
【0044】
これらのピン236を有した出力部材237は、入力軸231の回転によって遊星動作する複数の開口部235の内周面に沿って摺接しつつ、入力軸231の中心軸CL回りに回転する。このようにして、出力部材237は、ピン236および開口部235を介して、第一外歯歯車234に連係される。
【0045】
このとき、モータ部220の作動による入力軸231への回転入力により、第一外歯歯車234は入力軸231の回転数にて公転運動するとともに、公転運動に対し所定の比率にて減速された回転数にて自転運動を行う。複数の開口部235は、第一外歯歯車234に一体的に設けられていることにより、第一外歯歯車234と同一の回転数にて公転および自転運動を行う。
さらに、出力部材237は、出力部材237と一体に設けられた複数のピン236の自転運動により所定の比率にて減速(増速)された回転数の回転出力により回転する。
【0046】
図2に示すように、出力部材237には、駆動プレート240が取り付けられている。
駆動プレート240は、円盤状をなし、周方向に間隔を空けて配置された複数のボルト243によって、出力部材237に固定されている。
この駆動プレート240は、モータ部220の作動によって、出力部材237と一体に回転駆動される。
【0047】
また、出力部材237と駆動プレート240との間には、後述するホイールベアリング(ベアリング)250を抑える円環状のリングプレート238と、シムプレート239と、が挟み込まれている。これらリングプレート238と、シムプレート239は、第二ハウジング213にボルト290によって締結固定されている。
【0048】
減速機付モータ21は、ケース210内に収容されたモータ部220が車輪13rの一方の側の脚部フレーム11c側に配され、駆動プレート240が車輪13rの他方の側に配される。
【0049】
ケース210の第二ハウジング213には、駆動プレート240側に突出するボス部213bが形成されている。ボス部213bは、車輪13rのホイール13wの中央部に形成された貫通孔13hの内側に、脚部フレーム11c側から挿入され、出力部材237が車輪13rの他方の側に向くよう配置されている。貫通孔13hの内周面とボス部213bの外周面との間には、ホイールベアリング250が設けられ、これによって、減速機付モータ21のケース210に、車輪13rが回転自在に支持されている。
車輪13rの他方の側に配された駆動プレート240と出力部材237との間に挟み込まれた前述のリングプレート238の外周部238aが、ホイールベアリング250の内輪251に突き当たることで、ホイールベアリング250を固定している。
【0050】
(クラッチ機構)
図4は、車体のフレームに取り付けた駆動ユニットを示す斜視図である。
図5は、駆動ユニットに備えたクラッチ機構を示す斜視図である。
図4、
図5に示すように、クラッチ機構300は、駆動プレート240と、車輪13rとを係脱することで、減速機付モータ21の駆動力の車輪13rへの伝達を断続する。
クラッチ機構300は、車輪13r側に設けられたクラッチ部材301と、駆動プレート240の外周面240fに形成された係合穴302と、を備えている。
【0051】
図5に示すように、クラッチ部材301は、サポートプレート(ホルダ)310と、係合シャフト320と、付勢部材330と、を有する。
【0052】
サポートプレート310は、ホイール13wに固定され、駆動プレート240の外周側で駆動プレート240と同一面内に位置するよう設けられている。サポートプレート310は、ベース部311と、サポート部312と、を一体に備えている。
【0053】
ベース部311は、駆動プレート240の外周側で、駆動プレート240の外周面240fに対してホイール13wの径方向に間隔を隔てて配置されている。ベース部311は、ホイール13wの周方向に沿って延びるよう円弧状に形成されている。このベース部311は、周方向に間隔を空けて配置された複数本のボルト311bによって、ホイール13wに締結固定されている。
【0054】
ここで、
図3に示すように、ベース部311には、ベース部311の径方向内側に沿って周方向に連続し、ホイール13wに対向する側に突出するリブ311aが一体に形成されている。リブ311aは、ホイール13wの貫通孔13hの内周側に入り込み、サポートプレート310をホイール13wの径方向に位置決めするとともに、貫通孔13h内のホイールベアリング250の外輪252に突き当たり、ホイールベアリング250を固定している。
【0055】
サポート部312は、ベース部311の周方向中央部から径方向外方に向かって延びるよう形成されている。
【0056】
図6は、駆動ユニットのクラッチ機構およびブレーキ機構を示す拡大断面図である。
図5、
図6に示すように、サポートプレート310には、係合シャフト320をホイール13wの径方向にスライド可能に保持するピン保持溝313が形成されている。ピン保持溝313は、ベース部311およびサポート部312に、径方向に連続して延びるよう形成されている。ピン保持溝313の一端313aは、ベース部311で、駆動プレート240の外周面240fに対向する内周面311g(
図5参照)に開口した開放端とされ、他端313bは、サポート部312の所定位置で閉塞した閉塞端とされている。
【0057】
図5に示すように、サポートプレート310においてホイール13wに対向する側とは反対側の外表面310sには、ピン保持溝313に連通し、径方向に沿って連続するスリット313sが一体に形成されている。
ピン保持溝313には、他端313bに、サポートプレート310の外表面310sからホイール13wの周方向一方の側の側面310tに跨がって連続するガイドスリット313gが一体に形成されている。
【0058】
係合シャフト320は、円柱状のシャフト本体(係合部材)321と、シャフト本体321の外周面からシャフト本体321の径方向外方に向かって突出する棒状の操作ピン(操作部)322と、を一体に備えている。このような係合シャフト320は、ピン保持溝313内に収容され、ピン保持溝313に沿ってホイール13wの径方向にスライド可能となっている。係合シャフト320の操作ピン322は、スリット313sを通して外方に突出した状態で、スリット313sに沿って移動する。これにより、係合シャフト320は、サポートプレート310の内周側に向かって出没する。
【0059】
また、係合シャフト320をホイール13wの径方向外方にスライドさせた状態で、操作ピン322をシャフト本体321の軸回りに操作すると、シャフト本体321が軸回りに回動して、操作ピン322がスリット313sからガイドスリット313gに入り込む。この状態で、係合シャフト320は、ホイール13wの径方向内方への変位が規制される。
【0060】
付勢部材330は、例えばコイルスプリング等であり、ピン保持溝313の他端313bと係合シャフト320との間に圧縮状態で介装されている。これにより、付勢部材330は、係合シャフト320を、ホイール13wの径方向内方に向かって付勢する。
【0061】
図7は、駆動プレートに形成された、クラッチ機構を構成する係合穴を示す斜視図である。
同図に示すように、係合穴302は、駆動プレート240の外周面240fに形成されている。この実施形態では、係合穴302は、駆動プレート240の外周面240fに、周方向に間隔を空けた、例えば2個所に設けられている。
図5に示すように、係合穴302に対し、サポートプレート310のベース部311から径方向に内方に向かって突出させた係合シャフト320が挿入されると、駆動プレート240と車輪13rとが連結される。また、係合シャフト320が径方向外方に移動して係合穴302から離脱すると、駆動プレート240と車輪13rとの連結が解除される。
【0062】
このように、クラッチ機構300においては、クラッチ機構300を「続」状態(アシスト状態)、つまり、駆動プレート240と車輪13rとを連結するには、サポートプレート310のベース部311から径方向に内方に向かって突出させた係合シャフト320を、係合穴302に挿入させる。係合シャフト320は、付勢部材330によってホイール13wの径方向内方に付勢されており、不用意に係合穴302から抜けないようになっている。
【0063】
また、係合シャフト320と係合穴302との位置が合わず、係合シャフト320を、係合穴302に挿入できない場合は、車輪13rを回転させれば、付勢部材330によって付勢された係合シャフト320が、係合穴302と位置が対向したときに、係合穴302に挿入される。これにより、クラッチ機構300を容易かつ確実に「続」状態とすることができる。
さらに、クラッチを「断」状態(フリー状態)、つまり駆動プレート240と車輪13rとを切り離すには、係合シャフト320を径方向外方に移動させて係合穴302から離脱させる。これにより、駆動プレート240と車輪13rとの連結が解除される。
ここで、係合シャフト320の操作は、利用者等が手指で操作ピン322を操作することで容易に行うことができる。
【0064】
このようなクラッチ機構300のクラッチ部材301および係合穴302は、例えば周方向に間隔を空けて複数個所設けることができる。
図4の例では、クラッチ部材301および係合穴302は、駆動プレート240の外周部の周方向の2個所に、駆動プレート240を挟んで対向するよう配置されている。
【0065】
(ブレーキ機構)
図8は、ブレーキ機構の構成を示すため、駆動ユニットを一方の側から見た斜視図である。
同図に示すように、ブレーキ機構400は、フレーム取付ブラケット410と、ブレーキ部420と、を備えている。
【0066】
フレーム取付ブラケット410は、駆動ユニット20Aをフレーム11の脚部フレーム11cに取り付けるためのものである。このフレーム取付ブラケット410は、脚部フレーム11cに沿って延びるブラケット本体411と、ブラケット本体411の上下端部にそれぞれ連結されるホルダ部材412,412と、を備える。
【0067】
ブラケット本体411は、脚部フレーム11cに沿って延びるよう形成され、その上下端部に、幅方向両側方に突出するネジ座部411b、411bを有している。また、ブラケット本体411の上下端部には、それぞれ、車輪13r側に向かって延び、ケース210に連結されて減速機付モータ21を支持するケース連結部411c、411cが形成されている。
【0068】
ホルダ部材412は、ブラケット本体411の上部と下部に対してそれぞれ対向するよう配される。ホルダ部材412は、フレーム11の脚部フレーム11cの外周面に沿うよう形成され、その両端部412a,412aが、ボルト413によってブラケット本体411のネジ座部411b,411bに締結されている。
【0069】
このようなフレーム取付ブラケット410は、ブラケット本体411と各ホルダ部材412との間に脚部フレーム11cを挟み込んだ状態で、脚部フレーム11cに連結固定される。
【0070】
図9は、ブレーキ機構の構成を示す斜視図である。
同図に示すように、ブレーキ機構400のブレーキ部420は、ガイド支柱421と、ガイドブロック422と、ブレーキパッド423と、ストッパ424と、リターンスプリング425と、センサ基板426と、を備えている。
【0071】
図6、
図9に示すように、ガイド支柱421は、ブラケット本体411の上端部411aに基端部421a(
図6参照)が固定されている。ガイド支柱421は、円柱状で、ホイール13wの径方向に向かって沿って延びるよう設けられている。
ガイドブロック422は、挿通孔422h(
図6参照)にガイド支柱421が挿入され、ガイド支柱421に沿ってスライド可能に設けられている。
【0072】
ブレーキパッド423は、ガイドブロック422と一体に設けられている。ブレーキパッド423は、ガイドブロック422に対し、ホイール13w側に突出するよう形成されている。ブレーキパッド423は、ホイール13wの径方向外方側に膨出する円弧状のパッド面423pと、ホイール13wの径方向内方側に突出したキー部423kと、を一体に有している。
【0073】
このブレーキパッド423は、ガイド支柱421に沿ってホイール13wの径方向外方に移動し、パッド面423pが、ホイール13wのリム部13mに押し当てられることで、車輪13に制動力を付与する。
【0074】
図6、
図8に示すように、ホイール13wの内周部には、周方向に間隔を空けて径方向外方に突出する複数の係合突起13uが形成されている。ブレーキパッド423がガイド支柱421に沿ってホイール13wの径方向内方に移動すると、キー部423kが、周方向で互いに隣接する係合突起13u、13u(
図8参照)の間に入り込む。これにより、キー部423kが、車輪13の一定以上の回転を阻止し、パーキングブレーキとして機能する。
【0075】
図6、
図9に示すように、ストッパ424は、円環状をなしたプレート状で、ガイド支柱421の先端部に、ガイド支柱421から外周側に張り出すように設けられている。
リターンスプリング425は、その内側にガイド支柱421が挿通され、ガイドブロック422とストッパ424との間に圧縮状態で介装されている。このリターンスプリング425により、ガイドブロック422およびブレーキパッド423は、ホイール13wの径方向内方に向かって付勢され、通常状態においては、ブレーキパッド423は、ホイール13wと非接触の状態とされている。
【0076】
センサ基板426は、ガイド支柱421の側方に配置され、ガイドブロック422に固定されている。センサ基板426は、ブレーキパッド423に埋設されたマグネットセンサ(図示無し)の位置を検知することで、ブレーキパッド423の位置情報を検出する。センサ基板426で検出したブレーキパッド423の位置情報は、モータ部220を制御するコントローラ等に転送され、ブレーキパッド423の位置に応じたモータ部220の出力制御等を行うこともできる。
【0077】
このようなブレーキ機構400において、ガイドブロック422には、ブレーキパッド423を操作するための操作ワイヤ120が連結されている。
図1に示すように、操作ワイヤ120は、脚部フレーム11cに固定されたワイヤガイド121を介して上方に向かって延びるよう設けられている。操作ワイヤ120は、フレーム11に設けられた操作レバー123等で操作する。操作ワイヤ120を操作すると、ガイドブロック422とともにブレーキパッド423がガイド支柱421に沿ってホイール13wの径方向にスライド移動する。これによって、ブレーキパッド423により、ホイール13wに走行時の制動機能、または駐車時のパーキングブレーキ機能を発揮させることができる。
【0078】
ここで、
図9に示すように、操作ワイヤ120は、ガイド支柱421と、ブレーキパッド423との間でガイドブロック422に連結されている。これにより、操作ワイヤ120により、ガイドブロック422およびブレーキパッド423が、バランス良く操作され、制動力を発揮することができる。
【0079】
(効果)
このように、上記実施形態では、クラッチ機構300において、シャフト本体321が車輪13rの径方向に移動することで、駆動プレート240と車輪13rとが係脱される。これにより、シャフト本体321を車輪13rの軸方向に移動させるためのスペースを確保する必要が無く、クラッチ機構300、および駆動ユニット20Aの車輪13r軸方向における外形寸法を抑えることができる。したがって、駆動ユニット20Aが障害物等と干渉し、走行に支障を来すのを防ぐことができる。
【0080】
また、サポートプレート310に保持されたシャフト本体321は、車輪13rの径方向に沿って移動し、サポートプレート310に対して内周側に向かって出没する。シャフト本体321がサポートプレート310の内周側に突出した状態で、駆動プレート240の外周面240fに形成された係合穴302に係合すると、駆動プレート240と車輪13rとが連結される。このシャフト本体321は、操作ピン322によって移動動作される。このような構成によって、シャフト本体321を車輪13rの径方向に移動させ、駆動プレート240と車輪13rとを係脱させることができる。
【0081】
また、サポートプレート310の内周部に設けられたリブ311aによって、ホイールベアリング250の外輪を押さえて固定することができる。
【0082】
また、駆動ユニット20A、電動アシストシルバーカー10は、フレーム取付ブラケット410によって車体のフレーム11に固定される。ブレーキ機構400は、ブレーキパッド423がガイド支柱421に沿って車輪13rの径方向に移動し、車輪13rの内周または外周に押し当たることで制動力を発揮する。
ここで、ガイド支柱421は、フレーム11とは別体に設けられているため、フレーム取付ブラケット410で固定される車体のフレーム11の形状や構造の影響を受けることがない。したがって、ブレーキ機構400を備えた駆動ユニット20Aの装着の自由度を高めることが可能となる。
【0083】
また、ガイド支柱421は、フレーム取付ブラケット410または減速機付モータ21のケース210に固定することで、フレーム11とは別体に設けることができる。
さらに、ブレーキパッド423の位置を検出するセンサ(図示無し)やセンサ基板426も、フレーム11とは別体に設けられている。
したがって、これらの点においても、ブレーキ機構400を備えた駆動ユニット20Aの装着の自由度を高めることが可能となる。
【0084】
さらに、ブレーキ機構400を構成するガイド支柱421、ブレーキパッド423、およびリターンスプリング425が、フレーム11と車輪13rとの間の空間に収められている。これにより、ブレーキ機構400をコンパクトに構成することができる。
【0085】
(第1変形例)
図10は、上記実施形態の第1変形例としてのクラッチ機構を示す斜視図である。
図11は、上記実施形態の第1変形例のクラッチ機構を、
図10とは異なる角度から見た斜視図である。
図10に示すように、クラッチ機構300のクラッチ部材301Bは、サポートプレート310の外表面310sに隣接する周方向一方の側面310uに、ピン保持溝313に連通し、径方向に沿って連続するスリット313s’が形成されている。
また、
図10、
図11に示すように、ガイドスリット313g’は、スリット313s’の端部から、サポートプレート310の側面310uから、外表面310s、側面310tに跨がって周方向に連続するよう形成されている。
【0086】
このような構成では、
図10に示すように、係合シャフト320をサポートプレート310のベース部311から突出させた状態では、操作ピン322がスリット313s’を通し、ホイール13w(
図5参照)の周方向一方の側に突出する。
また、
図11に示すように、係合シャフト320を径方向外方にスライドさせた状態では、操作ピン322が、ガイドスリット313g’を通し、ホイール13wの周方向他方の側に突出する。
【0087】
したがって、第1変形例によれば、操作ピン322がホイール13wから外方に突出するのを抑えることができる。このため、駆動ユニット20Aが障害物等と干渉し、走行に支障を来すのを防ぐことができる。
また、操作ピン322がホイール13wから外方に突出するのを抑えることができる。
【0088】
(第2変形例)
図12は、上記実施形態の第2変形例としてのクラッチ機構を示す斜視図である。
同図に示すように、クラッチ機構300のクラッチ部材301Cは、サポートプレート310の外表面310sに、ピン保持溝313に連通し、径方向に沿って連続するスリット313sが形成されている。また、ピン保持溝313の他端313bに連続して、サポートプレート310の外表面310sからホイール13wの周方向で隣接する側面310tに跨がって連続するガイドスリット313gが一体に形成されている。
さらに、サポートプレート310のベース部311には、係合シャフト320がサポートプレート310のベース部311から突出した状態のときに、操作ピン322を収容する収容溝315が形成されている。
【0089】
このような構成では、係合シャフト320を径方向外方にスライドさせた状態では、操作ピン322が、ガイドスリット313gを通し、ホイール13wの周方向他方の側に突出する。また、係合シャフト320をサポートプレート310のベース部311から突出させた状態では、操作ピン322が収容溝315に収容される。
このようにして、操作ピン322がホイール13wから外方に突出するのを抑えることができる。したがって、駆動ユニット20Aが障害物等と干渉し、走行に支障を来すのを防ぐことができる。
【0090】
(第3変形例)
図13は、上記実施形態の第3変形例としてのクラッチ機構を示す斜視図である。
同図に示すように、クラッチ機構300のクラッチ部材301’は、ホイール13wに固定されたブラケットプレート340と、ホルダ341と、係合シャフト320’と、付勢部材330’と、を備える。
【0091】
ブラケットプレート340は、駆動プレート240の外周面240fに対してホイール13wの径方向に間隔を隔てて配置されている。
ホルダ341は、ブラケットプレート340の外周部に固定されたベース部341aと、ベース部341aと一体に形成され、係合シャフト320’をスライド自在に支持する筒状のシャフト支持部341bと、を一体に備えている。
【0092】
シャフト支持部341bの上面には、径方向両側に一対の係合溝342,342が形成されている。また、シャフト支持部341bには、係合シャフト320’の軸方向に沿って連続するスリット343,343(
図13では一方のみを図示)が、係合溝342,342と直交する方向における径方向両側に形成されている。
【0093】
係合シャフト320’は、その一端部320p側がシャフト支持部340b内に挿通され、他端部320q側は、ベース部340aに対してホルダ341側に突出し、ブラケットプレート340に形成された貫通孔340h内に挿通されている。係合シャフト320’の他端部320qは、一端部320pよりも大径とされている。
【0094】
係合シャフト320’の一端部320pには、径方向両側に突出する操作ピン322’,322’が設けられている。
付勢部材330’は、コイルスプリングであり、ホルダ341と係合シャフト320’の他端部320qとの間に、圧縮状態で設けられている。これにより、係合シャフト320’は、駆動プレート240側に付勢されている。
【0095】
このようなクラッチ部材301’は、操作ピン322’、322’がスリット343,343内にあるときには、係合シャフト320’が軸方向にスライドし、他端部320qがホルダ341から駆動プレート240側に出没可能となっている。係合シャフト320’を、駆動プレート240側に突出させ、係合穴302に係合させることで、ホイール13wと駆動プレート240とが連結される。
【0096】
また、操作ピン322’、322’を手指で操作し、付勢部材330’の付勢力に抗して係合シャフト320’を係合穴302から離脱させると、ホイール13wと駆動プレート240との連結が解除される。この状態で、操作ピン322’,322’を係合溝342,342に収めると、ホイール13wと駆動プレート240との連結が解除された状態が維持される。
【0097】
このような構成においては、操作ピン322’、322’が、常にホイール13wから外方に突出するのを抑えることができる。したがって、駆動ユニット20Aが障害物等と干渉し、走行に支障を来すのを防ぐことができる。
【0098】
(第4変形例)
図14は、上記実施形態の第4変形例としてのブレーキ機構を示す斜視図である。
上記実施形態では、ガイド支柱421の先端部に円環プレート状のストッパ424を設けたが、これに限らない。
図14に示すように、ブレーキ機構400において、ガイド支柱421の先端部に、ダブルナット(調整手段)427A、427Bを螺着させ、ダブルナット427A、427Bとガイドブロック422と間に、リターンスプリング425を圧縮状態で設けるようにしてもよい。
【0099】
このような構成によれば、ダブルナット427A,427Bの位置を調整することで、リターンスプリング425による初期荷重(プリロード)を容易に調整することができる。これにより、ブレーキパッド423の位置や作動性を調整することができる。
【0100】
(第5変形例)
図15は、上記実施形態の第5変形例としてのブレーキ機構を示す斜視図である。
図15に示すように、ブレーキ機構400において、ガイド支柱421の先端部に円環プレート状のストッパ424を設け、リターンスプリング425とストッパ424との間に、シム(ワッシャ)(調整手段)428を挟み込むようにしてもよい。
【0101】
このような構成によれば、挟み込むシム428の枚数を調整することで、リターンスプリング425による付勢荷重を容易に調整することができる。
【0102】
(その他の実施形態)
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0103】
例えば、上記実施形態では、ブレーキ機構400のガイド支柱421を、ブラケット本体411の上端部411aに固定するようにしたが、これに限らない。ガイド支柱421は、減速機付モータ21のケース210に固定してもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、手押し移動体として電動アシストシルバーカー10を例に挙げたが、もちろん、これに限らず、ベビーカーや、ショッピングカート、リハビリテーション用歩行車、台車等にも本発明を同様に適用することができる。
さらに、上記実施形態では、ベース部311に、ベース部311の径方向内側に沿って周方向に連続し、ホイール13wに対向する側に突出するリブ311aが一体に形成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られず、リブ311aを別体で設け、ベース部311に固定するように構成してもよい。
【0105】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。