特許第6541579号(P6541579)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6541579薬物送達デバイスのピストンロッドのための支承部部品、支承部部品を含むピストンロッド、および薬物送達デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6541579
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】薬物送達デバイスのピストンロッドのための支承部部品、支承部部品を含むピストンロッド、および薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20190628BHJP
【FI】
   A61M5/315 514
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-562055(P2015-562055)
(86)(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公表番号】特表2016-513506(P2016-513506A)
(43)【公表日】2016年5月16日
(86)【国際出願番号】EP2014054525
(87)【国際公開番号】WO2014139913
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年2月22日
(31)【優先権主張番号】13158513.5
(32)【優先日】2013年3月11日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】397056695
【氏名又は名称】サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】デーヴィッド・オーブリー・プランプトリ
【審査官】 田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/121867(WO,A1)
【文献】 特開2012−045173(JP,A)
【文献】 特表2008−538719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主ねじと支承部部品(1)を含むピストンロッド(7)であって、
該支承部部品(1)は、栓の対応する表面に押し当てられるように設けられる接触面(2)と、中心部(4)を取り囲む周辺部(3)と、接触面(2)に垂直な主ねじと回転可能に係合するように、周辺部(3)内部に配置される連結機能(5)とを含み、
該連結機能(5)は、周辺部(3)から中心部(4)に向かって延びる可撓性機能(8)を含み、
該可撓性機能(8)は、接触面(2)に向かう第1の方向に可撓性機能(8)にかかる力によって周辺部(3)に向かって撓み、第1の方向と反対の第2の方向で可撓性機能(8)にかかる力によって中心部(4)に向かって撓むように配置され、
該主ねじは、少なくとも支承部部品(1)の周辺部(3)に隣接する接触領域(13)において、支承部部品(1)と接触する、
前記ピストンロッド。
【請求項2】
可撓性機能(8)は、接触面(2)に対して傾斜する傾斜表面(9)を有し、該傾斜表面(9)は中心部(4)に向かうにつれて接触面(2)に近づく、請求項1に記載のピストンロッド(7)。
【請求項3】
可撓性機能(8)は支承部部品(1)の一体部品である、請求項1または2に記載のピストンロッド(7)。
【請求項4】
可撓性機能(8)は、少なくとも1つの可撓性アーム、フック、プロング、歯、または突出部要素により形成される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のピストンロッド(7)。
【請求項5】
中心部(4)は開口部(10)を含み、可撓性機能(8)は開口部(10)を制限する、請求項1〜4のいずれか1項に記載のピストンロッド(7)。
【請求項6】
可撓性機能(8)が周辺部(3)に向かって撓むときに開口部(10)は広がる、請求
項1に記載のピストンロッド(7)。
【請求項7】
可撓性機能(8)は、支承部部品(1)が中心部(4)周りの180°回転に関して対称であるように配置される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のピストンロッド(7)。
【請求項8】
主ねじは、張出しフランジ(12)を有する連結器(11)を含み、支承部部品(1)は、フランジ(12)を抑える可撓性機能(8)によって連結器(11)に係合する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のピストンロッド(7)。
【請求項9】
接触領域(13)は、ピストンロッド(7)の軸に向かって傾斜する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のピストンロッド(7)。
【請求項10】
接触領域(13)は、主ねじの対応する接触面形状に適合される、請求項1〜9のいずれか1項に記載のピストンロッド(7)。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のピストンロッド(7)を含む薬物送達デバイス。
【請求項12】
支承部部品(1)は主ねじに取り付けられる、請求項11に記載の薬物送達デバイス。
【請求項13】
薬物送達デバイスは注射デバイスである、請求項11または12に記載の薬物送達デバイス。
【請求項14】
薬物送達デバイスはペン型デバイスである、請求項11〜13のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
薬物送達デバイスのピストンロッドのための支承部部品(bearing component)、支承部部品を含むピストンロッド、および薬物送達デバイス。
【背景技術】
【0002】
薬物送達デバイス、特にペン型注射デバイスは栓(bung)を含み、この栓は薬物カートリッジ等の容器から薬物の用量を排出するように機能し、また薬物カートリッジの一部として提供される。栓はピストンロッドによって駆動され、ピストンロッドは用量を設定し、設定された用量を送達するためにピストンロッドを進めるための機構を備える。ペン型注射デバイスによっては、ピストンロッドは主ねじ(lead screw)を含み、これは用量を投薬する間に進むとき回転する。栓の回転が回避されることが好ましいので、投薬中、栓に対してピストンロッドが相対回転することになる。この場合、ピストンロッドと栓との直接の接点により、大きな摩擦損失がもたらされ、またやや強い駆動力が要求される場合がある。この不都合は好適な支承部によって回避できる。さらに、接触面積または接点が小さいと投薬中に栓の変形が発生しやすいため、用量の正確さが低下することから、栓とピストンロッドの間の接点はできるだけ大きい面積を有することが望ましい。したがって、支承部部品は好ましくはピストンロッドと栓との間に配置される。支承部部品は、支承部部品に対する、主ねじのようなピストンロッドの部品の相対的回転を容易にするために、栓の大きな表面積と係合し、かつピストンロッドの小さな表面積のみと接触するように形成できる。支承部部品は、比較的小さな組立て力で、かつ部品を損傷する危険性なしに主ねじに組み付け可能でなければならない。支承部部品は、組立て後、またはデバイス寿命中に主ねじから外れてはならないが、これは用量の誤りをもたらし得るためである。支承部機能は、自動組立ておよびバルク包装の過酷さに耐えるのに十分頑丈でなければならない。
【0003】
特許文献1は、ピストンロッドとピストンロッドを取り囲む略円筒駆動スリーブとを含む薬物送達デバイスにおける使用に好適な駆動機構について開示している。ピストンロッドのねじ山は、駆動スリーブの内部表面に沿って延びるらせん状溝内での作業に適用される。ピストンロッドのさらなるねじ山は、インサートのねじ付開口部を通って延びる。駆動スリーブの長手方向の軸方向運動により、ピストンロッドはインサートのねじ山に従って回転するため、ピストンロッドが進み、したがってピストンをカートリッジ内で駆動する。支承部は押さえによってピストンロッドに設けられ、押さえはカートリッジピストンに当接する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国出願公開第2007/0093761号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、回転するピストンロッドと薬物送達デバイスにおいて使用するための栓との間の摩擦損失を低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は請求項1に記載の支承部部品、請求項8に記載の支承部部品を含むピストンロッド、および請求項12に記載の薬物送達デバイスにより達成される。さらなる実施形態は従属請求項由来のものである。
【0007】
一態様では、本発明は、薬物送達デバイスのピストンロッドのための支承部部品に関する。支承部部品は、接触面と、中心部を取り囲む周辺部と、接触面に垂直なピストンロッドの部品と回転可能に係合するように、周辺部内部に配置される連結機能(coupling feature)とを含む。連結機能は、周辺部から中心部に向かって延びる可撓性機能(flexible feature)を含み、可撓性機能は、接触面に向かう方向に可撓性機能にかかる力によって、周辺部に向かって撓み、反対方向で可撓性機能にかかる力によって中心部に向かって撓むように配置される。1つのみの可撓性要素、2つの可撓性要素、または3つ以上の可撓性要素があってもよい。
【0008】
支承部部品の一実施形態では、可撓性機能は、接触面に対して傾斜する傾斜表面(sloping surface)を有し、傾斜表面は中心部に向かうにつれて接触面に近づく。
【0009】
さらなる実施形態では、可撓性機能は支承部部品の一体部品である。
【0010】
さらなる実施形態では、可撓性機能は、少なくとも1つの可撓性アーム、フック、プロング(prong)、歯、または突出部要素により形成される。
【0011】
さらなる実施形態では、中心部は、開口部を含み、可撓性機能は開口部を制限する。
【0012】
さらなる実施形態では、可撓性機能が周辺部に向かって撓むとき、開口部が広がる。
【0013】
さらなる実施形態では、可撓性機能は、支承部部品が中心部周りの180°回転に関して対称であるように配置される。
【0014】
別の態様では、本発明は、このような支承部部品を含むピストンロッドに関する。
【0015】
ピストンロッドの一実施形態では、可撓性機能によって回転可能に係合するピストンロッドの部品は主ねじである。
【0016】
ピストンロッドのさらなる実施形態では、可撓性機能によって回転可能に係合するピストンロッドの部品は、張出しフランジを有する連結器を含み、支承部部品は、フランジを抑える可撓性機能によって連結器に係合する。
【0017】
ピストンロッドのさらなる実施形態では、可撓性機能によって回転可能に係合するピストンロッドの部品は、少なくとも支承部部品の周辺部近傍の接触領域において、支承部部品と接触する。
【0018】
別の態様では、本発明は、このような支承部部品を含む薬物送達デバイスに関し、支承部部品はピストンロッドの部品に取り付けることができる。薬物送達は注射デバイス、ペン型デバイス、特にペン型注射デバイスであってよい。
【0019】
本明細書で使用する用語「薬物」は、好ましくは、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0020】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0021】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0022】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0023】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0024】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0025】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0026】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0027】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
【0028】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0029】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0030】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0031】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0032】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0033】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0034】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0035】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0036】
以下は、添付図面に関連する支承部部品、および支承部部品を含むピストンロッドの実施形態の詳細な説明である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】支承部部品の実施形態の平面図である。
図2図1に係る実施形態の断面図である。
図3】組立て中の支承部部品を含むピストンロッドを示す。
図4】組立て後の図3に係るピストンロッドを示す。
図5】分解力を受けた図4に係るピストンロッドを示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は支承部部品の実施形態を平面図で示す。支承部部品1は、特に支承部部品がペン型薬物送達デバイスを対象とした場合に略円形形状を有してよい。少なくとも1つの可撓性機能8は周辺部3から中心部まで延び、ピストンロッドのさらなる部品を締結するのに使用する連結機能5を形成する。図1に係る実施形態では、連結機能5は、2つの可撓性機能8により形成され、これらの可撓性機能8は中心部4周りの180°の回転に関して回転対称であるように配置される。このような支承部1はより低いコストで容易に製造することができる。2つの可撓性機能8はそれぞれ、約120°〜160°、好ましくは約150°の角度を覆っている。各可撓性機能8は組立て中に弾性的に可動であるように十分に可撓性であるが、開口部10周りの可撓性機能8の内縁部はねじれに対する安定性を提供する。覆う角度とともに安定性は増す。この安定性は、ピストンロッド7の軸に対する支承部部品1の傾斜を防止するための一助となる。さらに、このことによって、張出しフランジ12を有する連結器11が通過するのに十分な大きさの開口部10を確実に有する。代わりに、1つだけの可撓性要素8または3つ以上の可撓性要素8があってもよい。しかし、ねじれに対する安定性は可撓性要素の数とともに減少する。連結機能5は支承部部品1の中心部4に開口部10を残してもよい。この場合、開口部10は連結機能5により少なくとも部分的に制限される。
【0039】
図2図1に係る実施形態の断面図である。断面の平面は図1に示す平面図と垂直である。支承部部品1は好ましくは、周辺部3を形成し、支承部部品1の機械的安定性を提供する中実外側リング14を含む。支承部部品1の接触面2は、栓の対応する表面に押し当てられるように設けられる。接触面2は外側リング14の前面にあってもよい。周辺部3には接触領域13があり、接触領域13は部分的に外側リング14、可撓性機能8、または外側リング14および可撓性機能8の両方を覆ってもよい。
【0040】
本実施形態の可撓性機能8は、傾斜表面9を有し、傾斜表面9は接触面2の平面に対し傾斜している。傾斜表面9は中心部4に向かって接触面2に近づくため、連結機能5は接触面2の平面に向かって狭くなる。可撓性機能8は、可撓性アーム、フック、プロング、歯、または中心部4に向かって周辺部3から延びる任意の他の突出部要素であってよい。可撓性機能8は支承部部品1と一体であることが好ましい。傾斜表面9は、以下の記述から明らかになるように、ピストンロッドの組立てが容易になるという利点を有する。
【0041】
図3は、組立て中の状態で支承部部品1およびさらなる部品6を含むピストンロッド7を示す。支承部部品1は図2に係る断面に示されているが、さらなる部品6は斜視図に示されている。さらなる部品6は、たとえばねじ山17を有する主ねじであってよい。ねじ山17は駆動機構に用いられ、ピストンロッド7を進めることができる。さらなる部品6は、支承部部品1に対して図3の下を指す垂直矢印の方向に移動される。さらなる部品6の支承部部品1を向く端部は、連結器11を含み、連結器11はたとえば、スピゴットまたは軸棒に似ている。連結器11は好ましくは、張出しフランジ12を備える。さらなる部品6が支承部部品1の開口部10に導入されると、連結器11は、図3の斜め矢印に示されるように、可撓性機能8の傾斜表面9に力をかける。したがって、可撓性機能8は半径方向外側に押され、開口部10は連結器11を可撓性機能8の縁部を通過させるように十分に広がる。
【0042】
図4は、組立て後のピストンロッド7を示す。フランジ12は可撓性機能8の縁部を超えてシフトされ、可撓性機能8はその元の位置に戻るように緩み、フランジ12を抑えることによってさらなる部品6を軸方向にロックする。支承部部品1は、薬物カートリッジ16の栓15と接触させることができる。さらなる部品6が回転すると、連結器11は支承部部品1内で容易に回転できるが、支承部部品1および栓15は互いに対して回転しない。接触領域13、したがってピストンロッド7の部品1、6間の摩擦は比較的小さい。さらに栓15に直接ピストンロッド7を進める力がフランジ12によりかかる場合、摩擦をさらに小さくできるため、さらなる部品6による周辺接触領域13への圧力、したがって支承部部品1に印加されるトルクは減少される。その代わり、フランジ12は栓15からある距離を維持してよい。接触面2は、栓15を向く外側リング14の前面にあってもよい。
【0043】
可撓性機能8は好ましくは、支承部部品1の外側リング14内に配置される。外側リング14は、デバイスが衝撃もしくは振動を受けた場合に発生し得るか、または自動組立て中もしくはバルク輸送状況の間に起こりうる部品への直積みによる側面荷重から可撓性機能8を保護する。ピストンロッド7が投薬中に栓15に押し当てられ、支承部部品1が圧縮されているとき、可撓性機能8に一切の荷重が作用しないため、部品1、6はしっかりと連結されたままである。
【0044】
図4に示すように、ピストンロッド7の主要部品6は支承部部品1の外側リング14における接触領域13に押し当てられる。接触領域13は、ピストンロッド7の部品1と6間の摩擦を低水準に、したがって支承部部品1に印加されるトルクを許容限度内に保つのに十分小さい。低減された摩擦は、ピストンロッドが操作中回転する場合に特に有利である。これは、低摩擦ポリマーを用いてさらに低減できる。接触領域13はピストンロッドの軸に向かって傾斜し、主要部品6の対応する接触面形状に適用される。接触領域13は、たとえば組立て中および/または投薬操作中に進められるときに、ピストンロッド7の軸に対する支承部部品1の傾斜を防止する。加えて、傾斜した接触面領域13は、支承部部品1がピストンロッドの軸と一致し、かつ/または維持するようガイドするための一助となる。このことはピストンロッド7を回転させる場合に特に有益である。フランジ12は栓15からある距離で維持され、栓15を向く外側リング14の前面に接触面2を有する。よって、ピストンロッド7を駆動する力は、支承部部品1、特に接触面2を介して栓15に伝達される。このように、ピストンロッド7は回転自在であるが、その押す力は支承部1の接触面2を介して栓15に伝達される。したがって、ピストンロッドが操作中回転される場合に本実施形態は好ましい場合がある。
【0045】
図5は、どのようにピストンロッド7の分解が防止されるかを示す。軸方向力が、支承部部品1に対してさらなる部品6に図5の垂直矢印に示される方向に印加される場合、部品1、6はわずかに分離する。図5は、分離力の作用のためにさらなる部品6によってもはや覆われていない支承部部品1における接触領域13を示し、フランジ12と接触領域2の平面間の距離は増大している。この状態では、可撓性機能8は連結器11のフランジ12に係合している。可撓性機能8が記載されている実施形態のような傾斜形状を有する場合、このフランジ12との係合により、強制的に可撓性機能8が内向きに撓み、連結器11に食い込む。このことにより、著しく大きな力が印加されない限り、ピストンロッド7の部品1、6の分解が防止される。
【符号の説明】
【0046】
1 支承部部品
2 接触面
3 周辺部
4 中心部
5 連結機能
6 ピストンロッドの部品
7 ピストンロッド
8 可撓性機能
9 傾斜表面
10 開口部
11 連結器
12 フランジ
13 接触領域
14 外側リング
15 栓
16 カートリッジ
17 ねじ山
図1
図2
図3
図4
図5