(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光学素子(1)とインジケーション部材(2)とを含む薬物送達デバイス(200)用の装置(100)であって、インジケーション部材(2)は複数の印字(3a、3b、3c、3d、7)を含み、
光学素子(1)は側壁(26)を有するイメージングセクション(4)および光透過性の非イメージングセクション(5)を含み、
インジケーション部材(2)は、印字(3a、3b、3c、3d、7)が光学素子(1)に対して表示位置へと連続的に動かされ得るように光学素子(1)に対して可動であり、
イメージングセクション(4)は、第1の印字(3a)が表示位置に配置されるとき、第1の印字(3a)をイメージング立体角(9)内にイメージングセクション(4)によって映し出すように構成され、
非イメージングセクション(5)は、第1の印字(3a)が表示位置に配置されるとき、第2の印字(3b、3c、3d、7)を光学素子(1)の観視側(13)のイメージング立体角(9)内で使用者が識別することができなくなるように、第2の印字(3b、3c、3d、7)を画成する光を非イメージングセクション(5)によって偏向させるように構成され、イメージングセクション(4)は、非イメージングセクション(5)に比べて隆起され、ここで隆起の量はイメージングセクション(4)の側壁(26)によって画成され、そして、非イメージングセクション(5)は、装置(100)の光軸(11)に対して斜めに向けられる平面または平らな部分を有する透境界面(10)を含む、透明な屈折セクションである、
前記装置。
非イメージングセクション(5)は、第1の印字(3a)が表示位置に配置されるとき、第2の印字(3b、3c、3d、7)の上に少なくとも部分的に延びる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置(100)。
本体(6)は光学素子(1)を含み、装置(100)は、窓(8)を画成するカバーリング(19)を含み、窓(8)は、該窓(8)を通して光学素子(1)が観視可能になるように配置され構成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置(100)。
印字(3a、3b、3c、3d、7)は、数字(3a、3b、3c、3d)および/または数字でない文字を含み、該数字でない文字は、好ましくは、隣り合った数字(3a、3b、3c、3d)を隔てる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置(100)。
境界面(10)は、第1の印字(3a)が表示位置に配置されるとき、光学素子(1)の観視側(13)のイメージング立体角(9)の外に、構造化面(17)によって第2の印字(3b、3c、3d、7)が映し出される第1の立体角があるように構成される該構造化面(17)を含み、第2の印字は、イメージング立体角の外に配置され第1の立体角とは異なる観視側の第2の立体角内で使用者に識別されない、請求項1に記載の装置(100)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、薬物送達デバイスの印字(indicia)を識別しやすくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項の主題によって達成される。有利な実施形態および改良点は、従属請求項に示される。
【0006】
本開示の一態様は、注射器タイプのデバイスのような薬物送達デバイス用の装置に関する。薬物送達デバイス用の装置は、光学素子とインジケーション部材とを含む。インジケーション部材は、複数の印字を含む。光学素子は、イメージングセクション(imaging section)と非イメージングセクションとを含む。インジケーション部材は、印字が光学素子に対して表示位置へと連続的に動かされるように光学素子に対して可動である。
【0007】
一実施形態では、イメージングセクションは、第1の印字が表示位置に配置されるとき、第1の印字をイメージング立体角内にイメージングセクションによって映し出す(image)ように構成される。
【0008】
光学素子の観視側とは、光学素子の、インジケーション部材から逸れた側であってよい。したがって、インジケーション部材は、光学素子の観視側とは反対の側に配置される。
【0009】
一実施形態では、非イメージングセクションは、第2の印字が光学素子の観視側のイメージング立体角内で使用者が識別することができなくなるように、たとえばインジケーション部材から反射された光である、第2の印字を画成する光を非イメージングセクションによって偏向させるように構成される。イメージングセクションは透明であることが好都合である。
【0010】
一実施形態では、非イメージングセクションは、光透過性である。
【0011】
本開示のさらなる一態様は、装置を含む薬物送達デバイスに関する。光学素子は、薬物送達デバイスの用量窓を形成するように設計される。用量窓は、たとえば、インジケーション部材のような薬物送達デバイスの内部部材の上に設けられる薬物送達デバイスの用量印字を使用者が見るまたは検査することができるようにするために提供される。インジケーション部材と光学素子との間の距離は、たとえば光学素子の中央領域での約0.2ミリメートルから、たとえば光学素子の外縁領域での0.3ミリメートルの間の範囲であってよい。インジケーション部材は、薬物送達デバイスの表示部材であってよい。薬物送達デバイスは、薬物が薬物送達デバイスからそこを通ってまたはそれを介して投薬される針またはニードルアセンブリを含むことができる。
【0012】
一実施形態では、装置は、薬物送達デバイスの用量設定および/または用量投薬の操作の間、異なる印字が表示位置へと動かされるように構成される。したがって、インジケーション部材は、光学素子に対して動かされる、またはその逆も可能である。
【0013】
具体的には可視光線である印字を画成する光は、前記光が印字の輪郭を画成することを意味することができる。したがって、印字自体および印字を囲繞する領域は、前記輪郭が観視可能になるように光を様々に反射することができる。その結果、光は、印字か印字を囲繞する領域のどちらかから反射される。
【0014】
好ましくは、印字の表示位置とは、この印字に対応する薬物送達デバイスの用量または用量サイズが設定される位置であり、そこにおいて使用者は光学素子によってイメージング立体角内で前記印字をはっきりと識別することができる。
【0015】
イメージング立体角とは、表示位置に配置された印字が使用者によってはっきりと識別される立体角である。したがって、イメージングセクションによって生成される像は、イメージング立体角によって画成または範囲が限定される。ここでは、イメージング立体角は像の上に延びる。前記像は、第1の印字が表示位置に配置されるときの第1の印字に関連付けられる。
【0016】
製造の観点から、単一の構成要素から薬物送達デバイスのハウジングと用量窓を形成することが得策である。これは、ハウジングは、透明であり、不透明なカバーリングを必要とすることを意味する。この目的のため、ハウジングの印刷またはその上にラベルを張るときには、通常、用量窓の周りに隙間を残す。ある容量が薬物送達デバイスによって設定されこの用量に対応する印字が用量窓を通して示されるとき、表示位置に配置されない印、文字または他の印字がこの隙間から見える可能性がある。これによって、用量の設定のときに使用者が混乱する恐れがある。用量窓が拡大レンズとして構成される場合、前記印または印字がずれて見えることがあり、このようにして使用者が非常に混乱することがある。
【0017】
本開示により、第1の印字が表示位置に配置されるとき、第1の印字は使用者に見えるが、第1の印字に近接して配置される第2の印字は使用者に識別され得ないことが達成される。このようにして、第1の印字または任意の他の印に近接して配置される第2の印字を光学素子の観視側のイメージング立体角内で使用者が識別することができないので、使用者の混乱を防ぐ。
【0018】
一実施形態では、印字は、用量数などの数字および/または数字ではない文字を含む。数字でない文字は、隣り合う数字を隔てることが好ましい。数字でない文字は、ダッシュのような記号を含むことができる。
【0019】
好ましくは、第1の印字は、用量数を含み、第1の印字の近くにあることがある第2の印字は、第1の印字と他の印字を隔てるダッシュを含む。あるいは、第1の印字および第2の印字はともに、薬物送達デバイスから投薬予定の薬物の設定用量または分量の順々に続くサイズを示す用量数を示すこともできる。順々に続くサイズは、互いに、たとえば2単位、4単位または1単位の違いがあってもよい。単位は、薬物送達デバイスによって投薬されるように設定される薬物の最低量に関連付けられる。印字は、インジケーション部材の外面上に、たとえば印刷されてよい。
【0020】
一実施形態では、非イメージングセクションは、特に観視側からの平面視で、イメージングセクションを囲繞する。非イメージングセクションは、光学素子の境界領域を画成することができる。有利には、仮に第1の印字が表示位置に配置されているとすると、第1の印字および第2の印字の相互の配置に関係なく、第1の印字がイメージングセクションによって映し出され、その一方で第2の印字を光学素子の観視側のイメージング立体角内で使用者が識別することができないことが、簡単に達成される。
【0021】
一実施形態では、光学素子は、本体に含まれる。装置は、窓を画成するカバーリングを含む。窓は、光学素子が窓を通して見えるように配置され構成される。好ましくは、カバーリングは、光学素子が位置する領域以外の本体の領域を覆う。光学素子は別として、本体は、不透明、半透明、部分的に不透明または部分的に半透明であってよい。あるいは、本体は透明であってよい。好ましくは、本体は透明である。
【0022】
好ましい一実施形態では、カバーリングは不透明である。特に、本体が透明として具現化される場合、カバーリングが窓を画成することができることが得策である。したがって、使用者は窓または場合によっては光学素子を通して見ることができ、その一方で窓によって覆われない構造は使用者に見えないまたは隠されることが達成される。有利には、使用者の注意が、たとえば、薬物送達デバイスの外から窓および/または光学素子を通して見ることができる、たとえば、印字のような構造または要素に集中される。
【0023】
本開示において、「透明」は、使用者または監視者がそれを通して物体をその輪郭も含めて見るまたは分析することができる構造特性に関することができる。「半透明」は、物体の輪郭が見えないまたは分析できないような、部分的に光透過性の構造特性に関することができる。
【0024】
本体は、薬物送達デバイスの外側ハウジングを構成することができる。使用者は、窓によって覆われていない薬物送達デバイスの任意の特徴を識別することができないことが好ましい。
【0025】
一実施形態では、イメージングセクションは、第1の印字が表示位置に配置されるときの、第1の印字の上に延びる。
【0026】
一実施形態では、非イメージングセクションは、第1の印字が表示位置に配置されるときの、第2の印字の上に少なくとも部分的に延びる。換言すると、インジケーション部材の上のイメージングセクションのプロジェクション(projection)は、第1の印字が表示位置に配置されるときの第1の印字の上に延び、非イメージングセクションのプロジェクションは、第1の印字が表示位置に配置されるときの第2の印字の上に少なくとも部分的に延びる。したがって、インジケーション部材上の光学素子のプロジェクションは、第1の印字の上、さらには第1の印字に近接して配置される第2の印字または任意の他の印字の一部の上にも延びる。
【0027】
一実施形態では、イメージングセクションは、非イメージングセクションに比べて隆起される。有利には、この実施形態によって、イメージングセクションの特定のイメージング要件に従った、イメージングセクションの具現化が有効になる。たとえば、イメージングセクションの隆起によって、拡大要素としてのまたは拡大要素に従った、イメージングセクションの具現化が容易になる。さらに、隆起によりできるイメージングセクションの側壁は、第2の印字を画成する光を反射することができる。したがって、隆起によって、前記光をイメージング立体角内で使用者が識別することができないように光が偏向されることが容易になる。
【0028】
一実施形態では、イメージングセクションは、レンズのような拡大要素に従って形成される。この実施形態の利点としては、特にたとえば高齢者のような視力が弱い人にとって、印字の可読性が向上されることである。さらに、前記実施形態は、しばしば視力の低下に苦しむ糖尿病患者にとっても有利である。
【0029】
イメージングセクションが拡大要素として具現化される場合、使用者は、第1の印字が表示位置にあるとき、観視立体角内で拡大された第1の印字を見ることができる。
【0030】
一実施形態では、非イメージングセクションは、境界面を含む透明な屈折セクションである。境界面は、第1の印字が表示位置に配置されるとき、第2の印字を光学素子の観視側のイメージング立体角内で使用者が識別することができないように配置され構成される。
【0031】
一実施形態では、境界面は、装置の光軸に対して斜めに向けられる平面または平らな部分を含む。
【0032】
本開示において、「斜めの」または「斜めに」は、好ましくは、ある構成要素が他の構成要素に対して垂直に配置されないまたは向けられないことを意味する。
【0033】
光軸は、第1の印字が表示位置に配置されるとき、光学素子および第1の印字が、それに沿って整列される(aligned)軸であってよい。
【0034】
非イメージングセクションの境界面が斜めに向けられることにより、インジケーション部材から放出または反射され光学素子を通過した光は、イメージングセクションに比べて異なるように非イメージングセクションで屈折し、それによって、第2の印字を画成し非イメージングセクションを通過した光は、観視立体角の外の領域へと屈折されるようになる。一実施形態では、境界面は、第1の印字が表示位置に配置されるとき、光学素子の観視側のイメージング立体角の外に、構造化面によって第2の印字が映し出される第1の立体角があるように構成される構造化面を含み、第2の印字は、イメージング立体角の外に配置され第1の立体角とは異なる観視側の第2の立体角内で使用者が識別することができない。
【0035】
好ましくは、非イメージングセクションは、境界面がイメージングセクションを囲繞するように構成される。構造化面は、複数の平面または平らな部分を含むことができ、その面法線は、互いに対しておよび/または光軸に対して傾いている。光学素子の観視側では、それらの部分の1つまたはそれ以上の面法線は、好ましくは、光軸から遠ざかるような方に向いており、それによって、第1の印字が表示位置に配置されている間、インジケーション部材から放出または反射される第2の印字を画成する光は境界面によって偏向され、したがって第2の印字は光学素子の観視側のイメージング立体角内で使用者が識別することができないようになる。換言すると、境界面は、第2の印字を画成する光を観視立体角の外へと偏向させることができる。したがって、第1の印字だけをイメージング立体角内で使用者が識別することができるようになる。
【0036】
平らな部分は、第2の印字に近接して配置されている第1の印字が表示位置にあるとき、たとえば第2の印字を映し出すのに適していることもある。有利には、使用者は、薬物送達デバイスの設定用量または設定用量サイズを観視立体角の外の立体角内で読むまたは検査するときでも、第2の印字、さらに他の印字または印によって混乱させられなくなる。
【0037】
一実施形態では、非イメージングセクションは、半透明の拡散セクションである。この実施形態によれば、有利には、第1の印字が表示位置に配置されるとき、第1の印字がイメージングセクションによってイメージング立体角内に映し出され、第2の印字は映し出されずに非イメージングセクションによって拡散されるので、使用者が識別することができなくなることが達成される。半透明の拡散セクションは、第1の印字が表示位置に配置されるときに第2の印字が映し出されないようにする粗面を含むことができる。前記粗面は、たとえば1マイクロメートル以上1ミリメートルまでのマイクロメートルスケールの寸法を有する特徴を含む表面テクスチャを含むことができ、それによって、インジケーション部材から放出または反射され非イメージングセクションを通過した光が拡散されるようになる。
【0038】
一実施形態では、非イメージングセクションは、光学素子の両側に沿って設けられる。前記両側は、装置の近位端および/または遠位端の方を向くことができる。これは、特に、たとえば2つの用量数を隔てるダッシュが、インジケーション部材上にそれ相応に配置される、すなわち第1の印字が表示位置に配置されるときに第1の印字の装置の近位端および/または遠位端の方を向く側に配置される場合に、得策である。光学素子の残りの側、イメージング立体角内に映し出されてよいのであれば、そこに印字がないであろうインジケーション部材の第1の印字の対応する側には、非イメージングセクションは不要であってもよい。
【0039】
装置の長手方向軸は、装置の遠位端から近位端まで延びることができる。装置の長手方向軸は、薬物送達デバイスの長手方向軸と一致していてよい。装置の遠位端は、薬物送達デバイスの遠位端であるまたは遠位端の方に向いていてよく、装置の近位端は、薬物送達デバイスの近位端であるまたは近位端の方に向いていてよい。
【0040】
薬物送達デバイスの遠位端は、そこにおいて薬物が薬物送達デバイスから投薬されるおよび/または針がそこに配置される端部を示すことができる。
【0041】
薬物送達デバイスの近位端は、薬物が薬物送達デバイスから投薬されるところから最も遠くに配置されるおよび/または針から最も遠くに配置される端部を示すことができる。
【0042】
本明細書において、様々な態様または実施形態と併せて上記および以下に述べられる特徴は、やはりまた、他の態様および実施形態に適用することができる。本開示の主題のさらなる特徴および利点は、図面と併せて以下の例示的な実施形態の説明から明らかになろう。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図面において、同様の要素、同じ種類の要素および同一の働きをする要素は、同じ参照番号を備えることができる。さらに、図面における尺度は正確ではないことがある。むしろ、重要な原理をより良く示すために特定の特徴が誇張されて示されることもある。
【0045】
図1は、薬物送達デバイス200の概略図である。薬物送達デバイス200は、ペン型注射器のような、注射器タイプのデバイスであってよい。デバイスは、使用者によって、固定用量の薬物、または好ましくは使用者による設定可能な用量サイズである可変用量の薬物が設定され投薬されるように動作可能である。薬物送達デバイス200は、本体6と、窓8を画成するカバーリング19(
図2参照)とを含む。カバーリング19は、不透明である。窓8を通して、実際に設定された用量を使用者が見ることができることが好ましい。本体6は、平面視で矩形様形状を有する光学素子1をさらに含む。光学素子1は、使用者に対してたとえば設定用量サイズのような用量情報を表示する、薬物送達デバイス200の用量窓を形成するように設計される。光学素子1は、窓8内に見える。カバーリング19は、本体6の光学素子1が位置する領域以外の領域を覆うことができる。光学素子1は、イメージングセクション4と、非イメージングセクション5とを含む。イメージングセクション4は、可視光線に対して透明であることが好ましい。非イメージングセクション5は、可視光線に対して透過性であることが好ましい。非イメージングセクション5は、イメージングセクション4を囲繞する。光学素子1は、窓8によって枠取りされる。それによって、装置が本体6に固定されることが好ましい。薬物送達デバイス200は、複数の印字、具体的には用量数3を備えるインジケーション部材2をさらに含む。本体6内に配置されるインジケーション部材2は、薬物送達デバイスの表示部材を形成することができる。説明の状態では、用量数3は、光学素子1に対して表示位置に配置される。この状態において、用量数3は、イメージングセクション4によってイメージング立体角9内に映し出される。イメージング立体角9は、印字3を薬物送達デバイス200の使用者が光学素子1の観視側から簡単かつはっきりと検査または観視することができる立体角を示す。光学素子1の観視側(
図2の13参照)とは、光学素子1の、インジケーション部材2から逸れた側である。観視側13は、薬物送達デバイス200の外側にある。
【0046】
印字3は、たとえば投薬予定の薬物の設定単位の数字である、薬物送達デバイス200の設定用量サイズを示すことができる。インジケーション部材2は、用量数3を含み、薬物送達デバイス200の用量設定および/または用量投薬の操作の間、描かれた用量数3に近接する用量数が表示位置へと動かされるように、光学素子1に対して可動である。上述の動きは、光学素子1の軸方向もしくは螺旋状の運動または薬物送達デバイス200の長手方向軸x周りの回転である。したがって、用量数は、インジケーション部材2の外周周りに軸方向、螺旋状または角度的に配置される(
図3参照)。薬物送達デバイス200の長手方向軸は、薬物送達デバイス200の遠位端と近位端との間に延びることができる。
【0047】
図2は、光学素子1を含む装置100の概略断面図である。薬物送達デバイス200は、装置100を含むことができる。光学素子1は、イメージングセクション4と、非イメージングセクション5とを含む。
図2の断面図により、イメージングセクション4は、非イメージングセクション5の2つの部分の間に配置されているように見える。薬物送達デバイス200の長手方向軸xは、装置100の長手方向軸と一致していてよい。インジケーション部材2は、この実施形態では、第1の用量数3aおよび第2の用量数3b、3cにより代表される複数の印字を備えるが、それに限定されるわけではない。さらなる印字は、本明細書では、用量数3a、3bおよび3cに近接して配置される、ダッシュ7により代表される。用量数3a、3bおよび3cがそれに沿って(水平方向に)整列される方向は、長手方向軸xに対して平行であってよい。第1の印字を表すことができる用量数3aは、光学素子1のイメージングセクション4の方を向いている。
図2に示される状態では、第1の印字3aは、光学素子1に対して表示位置に配置され、したがって、イメージング立体角9内で使用者が識別することができる。光軸11は、
図2に示されており、イメージングセクション4の中央を通ることができる。光軸11は、さらに、長手方向軸xに対して径方向に進むことができる。インジケーション部材2の上のイメージングセクション4またはイメージングセクション4のプロジェクションは、用量数3aに沿って延びる。光学素子1は、用量数3aおよびダッシュ7に沿って延び、さらに用量数3bおよび3cに沿って部分的に延びる。インジケーション部材2と光学素子1との間の距離は、約0.2ミリメートル〜0.3ミリメートルの間の範囲であってよい。
【0048】
図2において装置100の両側にある斜めの破線は、イメージング立体角9を示している。光学素子1のイメージングセクション4は、非イメージングセクション5に比べて隆起されている。この隆起の利点としては、イメージングセクション4がイメージングセクション4の湾曲面によって示されるように、たとえば拡大レンズにより構成されることである。したがって、用量数3aは、使用者が用量数3aを読むまたは識別するとき、使用者に対して拡大される。
【0049】
イメージングセクション4は、用量数3aをイメージング立体角9内にイメージングセクション4によって映し出すように構成される。非イメージングセクション5は、用量数3b、3cおよび/またはダッシュ7すなわち表示位置にないインジケーション部材上の要素が光学素子1の観視側13のイメージング立体角9内で使用者が識別することができなくなるように、前記要素を画成する光を非イメージングセクション5によって偏向させるように構成される。装置100は、用量数3aによって示されイメージングセクション4によって映し出される薬物の用量サイズが使用者によって変更されるとき、用量数3aが表示位置から外れるように動かされるようにインジケーション部材2が動かされるように構成される。その結果、用量数3bおよび3cのうちの1つが表示位置へと動かされる。したがって、次に、この印字が、イメージングセクションによってイメージング立体角9内に映し出されることになる。
【0050】
図3は、例示的な用量数3とダッシュ7とを含むインジケーション部材2の簡素化された部分上面図である。用量数3、および印字3を隔てるダッシュ7は、長手方向軸xに対して平行な軸に沿ってそれぞれ整列される。印字3は、螺旋状に配置され、したがって、垂直方向または円周方向に連続した2つの印字は、2つの用量単位の差異を示す。
図3には、可能性のある印字のほんの一部しか概略的に示されていない。
【0051】
図4は、用量数3aが
図2に示される状態に相当する表示位置にある、装置100の概略部分断面図である。イメージングセクション4は、やはりまた、非イメージングセクション5に比べて隆起されている。イメージングセクション4は、拡大レンズにより形成されることが好ましい。イメージングセクションの側壁26は、イメージングセクション4と非イメージングセクション5との間にある。側壁26は、イメージングセクション4と非イメージングセクション5を連結する。側壁26は、イメージングセクション4が非イメージングセクション5より上に隆起される程度によって画成される。用量数3aは、光路19によって示されるように、イメージングセクション4によってイメージング立体角9内に映し出され、したがって、使用者は光学素子1の観視側13のイメージング立体角9内で用量数3aを識別することができる。この実施形態では、非イメージングセクション5は、好ましくは、可視光線に対して透明であり、境界面10を含む。境界面10は、光軸11に対して斜めに向けられる。境界面10は、部分的に平らであってよく、または、光学素子1が矩形の場合、たとえば各光学素子1に平面もしくは部分16を含むことができる。部分16は、平らであってよく、光軸11に対して傾いた面法線14を画成することができる。境界面10が傾いていることにより、用量数3bおよび3cを画成する光は、イメージング立体角9の外へと偏向され、したがって、使用者はイメージング立体角9内で前記用量数を識別することができなくなる。明確に示されないが、部分の断面は平らでなくてもよい。
図4には、用量数3cを画成する、インジケーション部材2から延びる光の例示的な光路20aおよび20bが示されている。光路20aによる光は、非イメージングセクション5を通過する。光は、非イメージングセクション5によって、観視立体角9の外の領域に向かって偏向され、それによって、用量数3cは観視立体角9内で識別不可能になる。したがって、光は、側壁26のところで屈折し、続いて長手方向に反射され、それによって光軸11から遠ざかるように偏向される。さらに、または別法として、光路20bに従って進む光は、非イメージングセクション5を通過した後、光学素子1のイメージングセクションに再び入ることができる。次いで、光は、たとえばイメージングセクション4の面27のところで完全に反射されるように反射され、それによって光学素子1はイメージング立体角9内に残らなくなる。
【0052】
その一方で、観視側13からの光路21による光は、非イメージングセクション5で屈折し、その中を通過する。次に、光は、非イメージングセクション5から出るときに再び偏向され、したがって用量数3bおよび3cに当たらなくなる。換言すると、光は、境界面10が傾いていることにより、非イメージングセクション5によって偏向され、それによって、光学素子1は用量数3bおよび3cの上にも部分的に延びているが、用量数3aだけが使用者に観視されるようになる。非イメージングセクション5の屈折率は、それ相応に調節される。光学素子1の非イメージングセクション5の境界面10が傾いていることにより、用量数3bおよび3cは、光学素子1の観視側13のイメージング立体角9内で使用者に識別されなくなる。第2の印字を画成する光が境界面10によってそれ相応に偏向されるので、光学素子1の観視側13のイメージング立体角9の外において、少なくともほんのわずかの用量数3bおよび3cを使用者が識別することができる。明確には示されないが、光学素子は、非イメージングセクションが光学素子の外周の一部だけに沿って延びるように構成されてもよい。たとえば、非イメージングセクションは、光学素子の、装置の近位端および/または遠位端の方を向く側だけに沿って延びることができる(
図5参照)。光学素子の残りの側、イメージング立体角内に映し出されてよいのであれば、そこに第2の印字がないであろうインジケーション部材の第1の印字の対応する側には、非イメージングセクションは不要であってもよい。
図4では、用量数を隔てるダッシュ7は省略されている。しかし、用量数3bおよび3cは、ダッシュとして具現化されてもよい。それにもかかわらず、非イメージングセクション5がイメージングセクション4の外周全体の周りに延びることが有利である。
【0053】
図5は、さらなる例示的な一実施形態による装置100の部分斜視図である。
図4に関連して述べたように、イメージングセクション4と非イメージングセクション5とを含む光学素子1は、可視光線に対して透明であることが好ましい。
図5には、光学素子1の、装置100の近位端および/または遠位端の方を向く側18だけに沿って延びる非イメージングセクション5が示されている。したがって、印字(図示せず)は、この実施形態では、やはりまた、長手方向軸xに沿って配置される。明確に示されないが、光学素子1は、やはりまた、非イメージングセクション5がイメージングセクション4を囲繞するように構成されてもよい。非イメージングセクション5は、複数の部分16を含む境界面10を含むことができる。各部分16は、平らすなわち平面であってよい。部分16は、境界面10の構造化面17を形成することができる。この場合、部分16の面法線は、光軸11に対しておよび/または互いに対して傾けられる。明確に示されないが、部分16は、平らでない、すなわち湾曲していてもよい。好ましくは、部分16は、インジケーション部材2から放出または反射され非イメージングセクション5を通過した光が長手方向軸xを横切る方向に偏向されるように構成される。部分17は、第1の印字が表示位置にあるとき、たとえば、観視立体角9の外の第1の立体角(
図6の24参照)内に第2の印字を映し出すことが好ましい。この実施形態の利点としては、イメージング立体角9の外に第2の立体角(
図6の25参照)があり、そこからは第2の印字を使用者が識別することができないので、たとえば設定用量サイズの検査の間、使用者が混乱しなくて済むようになる。
【0054】
図6は、
図5に示される実施形態の装置100の概略横断面図であり、ここでは、用量数3aが表示位置に配置されている。湾曲した装置100が示されている。この湾曲は、薬物送達デバイス200の湾曲によって定められる。
図6には、
図5からの非イメージングセクション5の断面が示されている。非イメージングセクション5は、部分16を画成する3つの等辺カットを含む(
図5の部分16参照)。非イメージングセクション5は部分16によって形成され、したがって、インジケーション部材2から放出または反射された光が非イメージングセクション5を通過するとき、使用者は、第2の印字をそれぞれ表すことができる用量数3b、3cおよび3dを識別することができなくなる。前記用量数は、第1の印字を表す用量数3a(図示せず)に近接して配置されることが好ましい。
図2および
図4に示される実施形態と比較すると、用量数3b、3cおよび3dは、長手方向ではなく、インジケーション部材2の外周に沿って整列される。図面には、インジケーション部材2から放出または反射された光が観視立体角9の外へと部分16によって偏向されることを示す例示的な光路22および23が示されている。したがって、光路22による光は、たとえば全反射のような反射を受けて、非イメージングセクション5から出る。その一方で、光路23による光は、非イメージングセクション5で単に屈折する。
【0055】
用量数3b、3cおよび3dが配置されているインジケーション部材2の領域には、光が非イメージングセクション5の部分16により前記領域から離れるように偏向されるので、観視側13から非イメージングセクション5を通過した光は当たらなくなる。これらの領域は、概略的に、印字3b、3cおよび3dの隣に、破線28によって画成されている。非イメージングセクション5の屈折率は、それ相応に調節される。構造化面17の構造により、用量数3b、3cおよび3dは、光学素子1の観視側13のイメージング立体角9内で使用者が識別することができなくなる。
【0056】
さらなる例示的な一実施形態では、非イメージングセクション(
図2参照)は、半透明の拡散セクションである。この目的のため、非イメージングセクションは、粗面を含むことができ、それによって、第1の印字が表示位置に配置されるときに第1の印字に近接して配置されている印字が映し出されなくなる。前記粗面は、たとえば1マイクロメートル以上1ミリメートルまでのマイクロメートルスケールの寸法を有する特徴を含む表面テクスチャを含むことができ、それによって、インジケーション部材から放出または反射され非イメージングセクションを通過した光が拡散されるようになる。
【0057】
本明細書で使用する用語「薬物」は、好ましくは、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
【0058】
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0059】
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0060】
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
【0061】
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
【0062】
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和化合物
から選択される。
【0063】
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
【0064】
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
【0065】
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもある。
【0066】
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
【0067】
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
【0068】
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C
H)と可変領域(V
H)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
【0069】
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
【0070】
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(HV)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
【0071】
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
【0072】
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0073】
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
【0074】
保護の範囲は本明細書の上記で与えられている例に限定されるものではない。本発明は各々の新規の特性および各々の特性の組合せにおいて具体化され、この特徴またはこの特徴の組合せが特許請求の範囲中にまたは例の中に明確に記述されていなくても、特許請求の範囲中に記述されているいずれの特徴のすべての組合せを具体的に含む。