特許第6541677号(P6541677)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6541677
(24)【登録日】2019年6月21日
(45)【発行日】2019年7月10日
(54)【発明の名称】アンテナ及びアンテナ製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 7/06 20060101AFI20190628BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20190628BHJP
【FI】
   H01Q7/06
   H01Q21/24
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-554243(P2016-554243)
(86)(22)【出願日】2015年2月24日
(65)【公表番号】特表2017-508388(P2017-508388A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】ES2015000025
(87)【国際公開番号】WO2015128518
(87)【国際公開日】20150903
【審査請求日】2018年2月5日
(31)【優先権主張番号】14380009.2
(32)【優先日】2014年2月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516044978
【氏名又は名称】プレモ・エセ・ア
【氏名又は名称原語表記】PREMO,S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】コボス・レイエス,セルジオ
(72)【発明者】
【氏名】ナバロ・ペレス,フランシスコ・エセキエル
(72)【発明者】
【氏名】ロハス・クエバス,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ビラルビア・ガルシア,マリア・ダル・マール
(72)【発明者】
【氏名】カニェテ・カベサ,クラウディオ
【審査官】 新田 亮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−092509(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0152427(US,A1)
【文献】 特開2005−333516(JP,A)
【文献】 特開2011−135560(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0128204(US,A1)
【文献】 特開2007−005393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 7/06
H01Q 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−少なくとも1つの磁気コア(1)と、
−前記磁気コア(1)に巻回される少なくとも1つの巻線(2、3)と、
−前記巻線(2、3)を備える前記磁気コア(1)が配置される電気絶縁基台であり、前記巻線(2、3)への接続を図る導電要素(20)を一体化し、かつ互いに向かい合い、前記磁気コア(1)に取り付けられる底座を提供する少なくとも2つの物理的に分離された部品を含む電気絶縁基台と、を含むアンテナであって、
前記2つの部品(5、6)の各々が支持部分を提供し、支持部分が外周に外部巻線(4)が巻回される支持体を共に構成し、
−前記2つの部品(5、6)の各々が、2つの末端部分(5a、5b、6a、6b)に隆起を有し、隆起の各々がコーナ(9、10、11、12)を形成し前記支持部分を構成する2つの壁を含み、その結果、前記2つの部品(5、6)が、4つのコーナ(9、10、11、12)、各部分の前記末端部分間に存在する1つの空隙、及び両方の分離された部品間に存在する別の空隙を提供する
ことを特徴とするアンテナ。
【請求項2】
前記4つのコーナは、四角形の周辺部の頂点に位置し、内面で互いに向かい合い、内部に前記磁気コア(1)のためのハウジング(7)の境界を定め、4つのコーナの外面が、前記外部巻線(4)が巻回される前記外周を画定することを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項3】
2つの部品(5、6)と前記磁気コア(1)との間の連結が、構造接着剤を使用した、分離した前記部品(5、6)の面(5c、6c)上へのコア(1)の底エリアの取り付けによって行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載のアンテナ。
【請求項4】
基台を形成する前記2つの部品(5、6)が、同一かつ対称で、電気絶縁プラスチック材料製であり、前記導電要素(20)が、前述の部品(5、6)に埋め込まれて、その末端及び/又は側面端部分(5a、5b、6a、6b)から突出する、請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項5】
前記末端部分(5a、5b、6a、6b)が、矩形のプリズム構成を有し、前記壁と直交し、磁気コア(1)の前記底エリアの取り付けのための前述の面(5c、6c)を提供する一片として一定のセクションを有する直線セグメントによって互いに取り付けられる、請求項3に記載のアンテナ。
【請求項6】
それぞれの同一平面上の、直交する軸(X、Y)周辺で前記磁気コア(1)上に巻かれる2つの巻線(2、3)を一体化し、第3の外部巻線(4)が、前の2つの軸に対して垂直な軸(z)に従って前記支持体の前記外周に巻回される、請求項1〜5のうちのいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項7】
前記磁気コア(1)が、モノリシックコアであり、中心部(30)の2つの大きな面から突出するプリズムタレット(31)をその4つのコーナの各々に続いて有する四角形のプレートの形態の中心部(30)を含み、前記プリズムタレット(31)が、中心部(30)の反対側に隣接した、条片(32、33)によって2つずつ連結され、前記条片(32、33)が、ステップ(34)を決定して前記中心部(30)の大きい面から僅かに突出し、前記中心部(30)及び前記条片(32、33)が対応する巻線(2、3)のための支持体を提供し、巻線(2、3)が、互いに離間し、それぞれの同一平面上の、直交した軸に巻回され、電気絶縁シートによって保護される、請求項6に記載のアンテナ。
【請求項8】
前記導電要素(20)が、基台の1つ以上の面から突出する突起の形状を採用し、溶接による対応する巻線(2、3、4)の1つの終端への取り付けのために提供されることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ。
【請求項9】
アンテナの面実装用である大きい外面(40a)上に金属メッキ(121)を一体化した、磁気コア(1)上に配置されるアダプタ(40)を含み、金属メッキ(121)が、電気絶縁基台の部品(5、6)の前記導電要素(20)との接触を行うために側面(40b)に連続する、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項10】
2つの部品(5、6)の前記末端部分(5a、5b、6a、6b)が、面実装による回路への接続のための底エリアに金属メッキを更に含む、請求項3、5、又は6のうちのいずれか1項に記載のアンテナ。
【請求項11】
前記支持部分の壁が、巻線間の浮遊容量及び結合を最小化する他の巻線(単数又は複数)(2、3)からの距離だけ外部巻線(4)を分離させるように設定された厚みを有する、請求項2又は3に記載のアンテナ。
【請求項12】
電気絶縁材料製の少なくとも1つの突起(9a、10a、11a、12a)が、ハウジング(7)とは反対方向に、前記壁の各々の上部自由端の少なくとも一部分から片持ち状に延在することを特徴とする、請求項11に記載のアンテナ。
【請求項13】
−前記導電要素(20)を提供し、前記2つの部品(5、6)を互いに取り付けたままにする、金属片によって構成された中間要素上への成形によって得られた電気絶縁基台の2つの物理的に分離された部品(5、6)の4つのコーナ(9、10、11、12)の内面によって定められるハウジング(7)に磁気コア(1)を導入及び固定するステップと、
−電気絶縁基台の2つの部品(5、6)を互いに取り付けられたままにする前記中間要素を切断又は除去するステップと、
を少なくとも実行し、
さらに、
−多軸巻線機によって、コア上に巻線(単数又は複数)(2、3)を、少なくとも4つのコーナ(9、10、11、12)の外面に外部巻線(4)を順に巻くステップであり、巻線(2、3)が、最初に、互いに直交する軸に従ってコアに巻回され、それらのうちの一方が、両方の部分間に存在する空隙を通過し、他方が、条片として、2つの末端部分ごとに互いを接合するセグメントの下の、各部品の末端部分間に存在する空隙を通過する、ステップと、を含む
請求項1〜12のうちのいずれか1項に記載のアンテナを製造することを含むアンテナを製造する方法。
【請求項14】
接着剤なしで少なくとも4つのコーナ(9、10、11、12)の前記外面に対して外部巻線(4)を配置することを含み、該外部巻線(4)を形成するワイヤが環境に曝されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
アンテナの面実装用である大きい外面上に金属メッキを一体化したアダプタ(40)をアンテナと関連させることを含み、前記金属メッキが、前記導電要素又は端子(20)との接触、及び前記アダプタの前記金属メッキへの前記端子(20)の溶接を行うために、側面に連続することを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
第1の態様では、本発明は、低保磁力磁気コアが配置される2つの部分に分割された電気絶縁基台及び前記コア上に巻かれる2つ以上の巻線を含むアンテナに、特に基台の2つの部分がアンテナの巻線の1つを巻くための電気絶縁支持体を提供するアンテナに関する。
【0002】
本発明の第2の態様は、多軸巻線機によりすべての巻線を連続的に巻くことによって第1の態様のアンテナを製造することを含むアンテナを製造する方法に関する。
【0003】
背景
2つの巻線が互いに直交する2つの軸に従って巻回される一体型磁気コアのためのハウジングを画定する電気絶縁基台によって形成されたアンテナであって、基台自体が、その周辺部において、他の2つの軸と直交する第3の軸に従って第3の外部巻線を巻回するリールを画定するアンテナは、例えば、特許US7755558B2から公知である。
【0004】
他方で、US8451184B2は、背景技術に関する項目(図面の図9参照)において、3つの巻線が巻かれ、特にそれらのうちの2つが、コアの中心部に、2つの直交するX軸及びY軸に従って巻回され、外部巻線が、X及びY巻線の通過エリアによって分離される4つのリール部分で形成されたコアの周辺部に、Z軸に従って巻回される一体型コアによって形成されたアンテナを開示する。
【0005】
US8451184B2は、このように配置された異なる巻線の効果に起因した、並びに異なるコイルの特徴及び巻線間の容量性結合に関する共通コアの寸法的及び幾何学的な要件に起因した課題のために、このような配置を批判する。このような課題に対する解決策として、特許US8451184B2は、2つの巻線が、一方がコアの中心部に、他方が不連続なリールとして走る、その周辺部の溝に、2つの直交するX及びZ軸に従って巻回される第1のコアのためのハウジングを画定する2つの部分に分割された電気絶縁基台によって形成される第1のコイルと、別の巻線が軸に従って配置される第2の磁気コアによって形成され、第1のコイルに隣接して配置される(図6参照)第2のコイルと、によって形成されるアンテナであって、両コイルが樹脂成形によって一体化されたアンテナを提案する。
【0006】
US8451184B2によって提供される解決策は、該発明者によると、従来の3軸アンテナよりも寸法的に小さいか又は薄くなり得るアンテナを構成するが、互いに分離した2つのコアを有することにより、1つのコアだけが使用された場合よりも大きな、コアの分離方向に従った寸法がはっきりと作り出される。特にZ軸に従ったコイルの、感度範囲、及び結合容量、特にZとYコイルの間に形成される結合容量が、確実に改善され得る。
【0007】
特許文献特開2013-165368号公報は、US8451184の背景技術において批判される一体型コアのような、一体型コア、すなわち3つの巻線に共通のコアによって形成されるアンテナを提案し、この場合に、コアのハウジングではなく、単にコア、特に前述の4つのリール部分の基台の支持体を画定する、互いに分離した4つの異なるコーナ部分によって形成される電気絶縁基台上に、3つの巻線を有するコアを配置することを更に提案する。
【0008】
したがって、特開2013-165368号公報は、容量性結合及びコイルの特徴の劣化についての3つの巻線を巻くこのようなコアの使用の欠点に関するUS8451184B2に記載された課題を解決せず、かつ考慮しない。
【0009】
EP1315179Aは、軸が相互に直交し、恒久的な点で交差する3つのコイルの配置を有した三次元巻線配置を明らかにする。立方体のコイル受台は、少なくともコイル厚に対応する隆起コーナの面と立方体面との間の距離を有した隆起コーナを有する。空間が、巻線を供給又は挿入するための隆起端部の間に残される。
【0010】
概要
感度、コイル間の低減した容量性結合、製造の容易性などに関して、公知のアンテナよりも性能を発揮する非常に小型のアンテナを提供することによってそこに見出される空隙を覆う背景技術の変形形態を提供する必要性が存在する。
【0011】
このような目的により、第1の態様では、本発明は、
−少なくとも1つの磁気コアと、
−前記磁気コアに巻回される1つ以上の巻線と、
−前記巻線(単数又は複数)を備える前記磁気コアが配置される電気絶縁基台であり、前記巻線(単数又は複数)に接続させるために提供された導電要素を一体化し、かつ平行に配置され、互いに向かい合い、前記磁気コアに連結される2つの部品を含む電気絶縁基台と、を含むアンテナに関する。
【0012】
公知のアンテナとは異なり、本発明の第1の態様によって提案されるアンテナでは、電気絶縁基台の前述の2つの部品の各々は支持部分を提供し、支持部分は外周に外部巻線が巻回される支持体を共に構成する。
【0013】
磁気コアは、通常、実施形態に従って、コバルト、ニッケル−亜鉛合金、マンガン−亜鉛合金、アモルファス構造のコバルト、及びナノ結晶コバルトからなる群から選択される材料を含むフェライトコアである。
【0014】
好ましい実施形態によれば、前記2つの部品の各々は、各々がコーナを形成し前記支持部分を構成する2つの壁を含んだ隆起を2つの末端部分に有し、その結果、前記2つの部品が、内面で互いに向かい合い、前記磁気コアのためのハウジングを内部に定める四角形の周辺部の頂点に位置した、4つのコーナを提供し、4つのコーナの外面が、前記外部巻線が巻回される前記外周を画定する。
【0015】
一実施形態の、前記2つの支持部分の各々は、2つのコーナを含むC型の壁を含み、その結果、2つの壁の内面が、互いに向かい合い、磁気コアのためのハウジングを内部に定め、2つの壁の外面が、前記外部巻線が巻回される前記外周を画定する。
【0016】
2つの部品と磁気コアとの間の前述の連結は、通常、構造接着剤を使用した、分離した前記部分の面上への磁気コアの底エリアの取り付けによって行われる。
【0017】
一実施形態によれば、基台を形成する2つの部品は、同一かつ対称で、電気絶縁プラスチック材料製であり、前述の導電要素は、前述の部分に埋め込まれて、突起又は端子としてその遠位及び/又は側位終端部分から突出する。
【0018】
一実施形態によれば、前述の末端部分は、矩形のプリズム構成を有し、前記壁と直交し、磁気コアの前記底エリアの取り付けのための前述の面を提供する一片として一定のセクションを有する直線セグメントによって、互いに取り付けられる。
【0019】
一実施形態によれば、2つの部品の前記末端部分は、面実装による回路への接続のための底エリアに金属メッキを更に含む。
【0020】
一実施形態の、少なくとも4つのコーナの外面に巻回される外部巻線は、接着剤なしで前記外面に対して配置され、この巻線を形成するワイヤは、環境に曝されたままである。
【0021】
好ましい実施形態によれば、本発明の第1の態様のアンテナは、それぞれの同一平面上の、直交するX、Y軸周辺で磁気コア上に巻かれる2つの巻線を一体化し、第3の外部巻線は、前の2つの軸に対して垂直なZ軸に従って前記支持体の前述の外周に巻回される。
【0022】
一実施形態の、磁気コアは、モノリシックコアであり、中心部の2つの大きな面から突出するプリズムタレットをその4つのコーナの各々に続いて有する四角形のプレートの形態の中心部を含み、前記タレットは、中心部の反対側に隣接した、片によって2つずつ連結され、前記片は、ステップを決定して前記中心部の大きい面から僅かに突出し、前記中心部及び前記片は、(X軸及びY軸周辺の)対応する巻線のための支持体を提供し、巻線は、互いに離間し、それぞれの同一平面上の、直交した軸に巻回され、電気絶縁シートによって覆われる。
【0023】
このようなステップは、ポリエステルテープ、カプトンテープなどの追加的なスペーサ要素を提供する必要なしに軸の間の容量性結合を低減させ、更に混信を低減させることによって動作を改善しかつコストを低減させることを可能にするX軸及びY軸に従った巻線間の分離を提供する。
【0024】
前述の導電要素は、一実施形態によれば、基台の1つ以上の面から突出する突起の形状を採用し、溶接による対応する巻線の1つの終端への取り付けのために提供される。前記突起の各々は、通常、溶接の前に巻線の終端を巻回するためのノッチを有し、前記ノッチの機能はこのような巻線の終端が突起から滑り出るのを防止することである。
【0025】
一実施形態によれば、本発明の第1の態様によって提案されるアンテナは、電気絶縁基台の部分の前記導電要素との、かつアンテナの面実装用であるその大きい外面の前記金属メッキとの接触を行うために、側面に連続する大きい外面上に金属メッキを一体化した磁気コア上に配置されるアダプタを含む。
【0026】
外部巻線が外周に巻回される支持体を構成する支持部分の壁は、巻線間の浮遊容量及び結合を最小化する他の巻線(単数又は複数)からの所定の距離だけ外部巻線を分離させるように設定された厚みを有し、それにより、混信及びコストが低減される。
【0027】
一実施形態によれば、壁の各々の上部自由端の少なくとも一部分は、ハウジングとは反対方向に、片持ち状に延在し、電気絶縁材料製の少なくとも1つの突起を形成する。
【0028】
本発明の第2の態様は、少なくとも以下のステップを実行することによって本発明の第1の態様によるアンテナを製造することを含むアンテナを製造する方法に関する。
−前述の導電要素を提供し、基台の2つの部品を互いに取り付けたままにする中間要素(連続金属片)上への射出成形によって得られた電気絶縁基台の2つの分離部品の4つのコーナの内面によって定められるハウジングに磁気コアを導入及び固定するステップ。
−切断によって、コアに取り付けられた基台の2つの部品から前記中間要素を分離するステップ。
−多軸巻線機によって、コア上に巻線(単数又は複数)を、基台の2つの部品の4つのコーナの外面に外部巻線を順に巻くステップ。
【0029】
磁気コアがハウジングにおいて固定されるまで、特にコアが接着し、使用された接着剤が硬化するまで電気絶縁基台の2つの部品を互いに取り付けたままにすることは、両方の部品が常に同一平面性を維持して一体化及び平面アセンブリを形成することを意味する。
【0030】
前記導電要素が基台から突出して画定され、完全な基台を有するアンテナと比較して、小さなフィールド遮蔽金属質量を構成して、品質係数(Q)及び感度を改善し、質量(金属質量並びに基台自体の質量)を低減させて、落下試験を改善するように、前述の中間要素は、基台の部品に埋め込まれて最終的に切断される前述の導電要素を提供する金属片の部品によって形成される。
【0031】
本発明の第2の態様によって提案される方法の一実施形態によれば、心出し/位置決め要素を自動的に関連させ、複数の基台の部品における一体化用の前述の導電要素を提供する、同一かつ等距離の基準穴を有する(一般にリードフレームとして公知の)長い金属片が、通常スプールから、提供され、基台の部品の射出成形、その上への接着剤の吐出、基台上へのコアの実装、及びすべての基台のための接着剤の熱硬化プロセスが実行される。すべての基台をこのような金属片を使用して互いに取り付けたままにすることによって、組立ラインへの基台の別個の自動供給、並びにその駆動、搬送、及び心出しに関する課題が解決される。
【0032】
接着剤が硬化した後、金属片は、基台の2つの部品を取り付ける金属片の前述の部分に分割するために切断され、次いで巻線ステップが実行される。
【0033】
製造されるアンテナが、本発明の第2の態様の方法に従って、コアの周りの2つ及び外部巻線の、3つの巻線を含むとき、使用される電気絶縁基台の部品は、2つの部品の各々が、2つの末端部分に、各々がコーナを形成する2つの壁を含んだ隆起を有する先に説明した好ましい実施形態のものである。この場合、巻線は、最初に、互いに直交する軸に従ってコアに巻回され、それらのうちの一方が、両方の部品間に存在する空隙を通過し、他方が、片として、2つの末端部分ごとに互いを接合するセグメントの下の、各部品の末端部分間に存在する空隙を通過する。最後に、外部巻線が、4つのコーナの外面に巻回される。
【0034】
アンテナが、コアの周りの1つ及び外部巻線の、2つの巻線を含むだけのあまり好ましくない場合には、部品の各々によって提供される各支持部分が2つのコーナを含む少なくとも1つのC字形の壁を含むように、上に説明された実施形態の電気絶縁基台の部品が同様に使用され、最初に、壁に平行な、両方の部品間に存在する空隙を通過する方向に、コアに巻線を巻回し、次いで、2つのC字形の壁の外面に外部巻線を巻回する。
【0035】
好ましい実施形態によれば、方法は、接着剤なしで4つのコーナの外面に対して外部巻線を配置することを含み、外部巻線を形成するワイヤは環境に曝されて、その結果、ワイヤが熱接着性ワイヤではないので、従来は熱接着性ワイヤで実行される巻線のものと比較して、直径及び中間曲線の長さの、したがって巻線の寸法及び強度の、低減による品質係数(Q)を改善し、それにより、選択度及び同調が改善される。巻線が小さいので、巻線の分布容量が低減して実際の共振周波数が増加し、それによりアンテナの周波数安定性が改善される。
【0036】
熱接着性ワイヤが不要なので、ワイヤが溶剤又は熱を使用して接着されるのを待つ必要がなく巻線プロセスが増加し、高速多軸巻線機を使用して、機械で同時に多くのアンテナを製作することが可能となる。
【0037】
前述の及び他の利点及び特性は、例示及び非限定的に解釈されなければならない添付図面を参照して、いくつかの実施形態の以下の詳細な説明からよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】実施形態の本発明の第1の態様によって提案されるアンテナの電気絶縁基台の2つの部品を示した上方斜視図である。
図2】下方斜視図による以外は図1と同じ要素を示す。
図3】本発明の第1の態様によって提案されるアンテナの一実施形態による、図1の基台の2つの部品、及び2つの部品によって画定されたハウジングに嵌め込まれるように提供された磁気コアの分解斜視図である。
図4】磁気コアに2つの巻線が巻回され、基台の2つの部品から突出する壁のコーナに外部巻線が巻回された、基台の2つの部品によって画定されるハウジングに一度嵌め込まれた磁気コアの斜視図である。
図5】巻線の終端が巻線を例示された金属突起に接続する前にどのように編組されるかについて概略的に示すという点で図4とは異なる。
図6】溶接による金属突起の一部への、一度編組された、図5に例示される巻線の終端の一部の接続を詳細に示す。
図7】磁気コア上に配置されるときに、基台の金属突起に接触し、PCB基板上のアンテナの面実装を可能にすることを目的とした、大きい外面上に金属メッキを含んだ、一実施形態に従って本発明の第1の態様によって提案されるアンテナと関連したアダプタの斜視図である。
図8】すべての巻線を覆って、磁気コア上に実装するために、かつ基台に固定するために配置された図7のアダプタの分解上方斜視図である。
図9】磁気コア上に一度実装され、基台に固定されたアダプタの下方斜視図である。
図10】一実施形態として、本発明の第1の態様によって提案されるアンテナの基台の2つの部品のそれぞれの底エリアに固定されたラベルを示すという点で、図9とは異なる。
図11】平行に配置され、(公知のように金属片上に射出成形された)アンテナの複数の基台の電気絶縁部に埋め込まれることを目的とした複数の金属端子を一体化する、2つの金属片又はリードフレームの配置を示し、該図面は、アンテナ、特に一実施形態として、本発明の第1の態様によって提案されるアンテナの、基台の2つの部品のみを例示する。
図12】突起又は周辺フランジがハウジングから出て各々のコーナの上端から片持ち状に延在する実施形態を除けば図1の図と類似した図である。
図13図12の基台の2つの部品、及び提案されるアンテナの一実施形態による、部品によって画定されたハウジングに嵌め込まれた磁気コアの斜視図である。
図14】片持ち状に延在する突起が小さく、各々のコーナの上端の全周辺部から延在しないという点で前記図12とは異なる、図12の実施形態と代わる実施形態を示す。
【0039】
発明の詳細な説明
添付図面は、本発明によって提案されるアンテナのいくつかの実施形態を例示する。
【0040】
特に、図1図2図12、及び図14は、基台を形成する2つの部品5、6が同一及び対称であること、電気絶縁プラスチック材料製であること、前述の部品5、6に埋め込まれ、その末端及び/又は側面端部分5a、5b、6a、6bから突出する突起として、導電要素20を有することが共通する以外は、他の態様とは異なる3つの実施形態のための、本発明のアンテナの基台が分割された2つの部品5、6を例示する。
【0041】
図1図12、及び図14の実施形態の、2つの部品5、6の各々は、各々がコーナ9、10、11、12を形成する2つの壁を含んだ隆起を2つの末端部分5a、5b、6a、6bに有し、その結果、2つの部品5、6が、内面で互いに向かい合い、磁気コア1のためのハウジング7を内部に定める四角形の周辺部の頂点に位置した、4つのコーナ9、10、11、12を提供し、4つのコーナ9、10、11、12の外面が、外部巻線4が巻回される外周を画定する。
【0042】
図12及び図14は、外部巻線4を巻く間のガイドを容易にし、摺動により外部巻線4が出るのを防止するために、各々のコーナ9、10、11、12の上端の一部(図14の場合)又は全体から(図12の場合)ハウジング7の外へ片持ち状に延在する突起9a、10a、11a、12aを有するという点で、図1の実施形態とは異なる各々の実施形態を例示する。
【0043】
図13は、図12と同じ実施形態を例示するが、一度磁気コア1がハウジング7に既に嵌め込まれて、固定されている。
【0044】
図2は、末端部分5a、5b、6a、6bが、どのように矩形のプリズム構成を有するか、前記コーナ9、10、11、12を形成し磁気コア1の底エリアのための取り付け面を提供する壁と直交する一片としての一定のセクションを有した直線セグメント5c、6cによって取り付けられるかの観察を可能にする下面図によって、図1の2つの部品5、6を例示する。
【0045】
図2の実施形態と代わる非例示的な実施形態の、2つの部品5、6の終端部分5a、5b、6a、6bは、面実装による回路への接続のための底エリアに金属メッキを更に含む。
【0046】
図3は、図1と同じ実施形態による、2つの部品5、6によって画定されたハウジング7に嵌め込まれて、固定される前の状況の本発明のアンテナの磁気コア1を示す。磁気コア1が、モノリシックコアであり、中心部30の2つの大きな面から突出するプリズムタレット31をその4つのコーナの各々に続いて有する四角形のプレートの形態の中心部30を含むことが観察され、前記タレット31が、中心部30の反対側に隣接した、条片32、33によって2つずつ連結され、前記条片32、33が、ステップ34を決定して前記中心部30の大きい面から僅かに突出し、前記中心部30及び前記条片32、33が対応する巻線2、3のための支持体を提供し、巻線2、3が、互いに離間し、それぞれの同一平面上の、直交した軸に巻回され、電気絶縁シートによって保護される。
【0047】
図4図5図8、及び図9は、コア1に巻回された前記2つの巻線2及び3、並びに4つのコーナ9、10、11、及び12に巻回された外部巻線4を例示する。
【0048】
図5は、(図示矢印によって示されるように)それぞれの金属突起20又は端子に固定する前に、この場合には外部巻線4の終端4a及び4bである、巻線の終端がどのように編組されなければならないかを例示し、図6は、一度編組され、突起20上に数回巻かれ。突起20から滑り出るのを防止するノッチ21を通過し、溶接点221が突起20に固定するために適用された終端4bを例示する。
【0049】
図7は、基台−コアアセンブリ上に配置されるときに基台の金属突起20に接触する、PCB基板上のアンテナの面実装用である側面40bまで、大きい面40aから延在する金属メッキ121を含んだ、一実施形態に従って本発明の第1の態様によって提案されるアンテナが含むアダプタ40を示す。図8は、アダプタ40を基台−コアアセンブリ上に実装する前の状況を例示し、図9(下面図)は、アダプタが一度実装されて固定され、かつ金属メッキ121の側延在部の自由端が一度突起20の一部に接触した状況を例示する。
【0050】
図10は、図9に例示されたアセンブリの2つの部品5、6の底エリア上に固定される保護ラベルの付加を示す。
【0051】
最後に、図11は、平行に配置され、(条片に射出成形された)複数のアンテナ基台の電気絶縁部に埋め込まれる複数の金属端子Tを一体化する、2つの金属片La、Lb又はリードフレームの配置を例示し、該図面は、アンテナ、特に一実施形態として、本発明の第1の態様によって提案されるアンテナの、基台の2つの部品5、6のみを例示する。
【0052】
このような金属端子Tは、磁気コア1が基台に一度固定されると、金属条片La、Lbから分離して、切断され、その結果、条片La、Lbから分離される部品、すなわち部品5、6の終端からの突起部が、金属突起20を画定する。
【0053】
図11は単一の基台の部品5、6を例示するだけであるが、本発明の第2の態様によって提案される方法は、対応する基台の複数の部品5、6が射出成形されるいくつかの金属条片La、Lbに、基台につき1つ、最終的に固定される複数の磁気コア1に適用され、一度磁気コアがすべて固定されると、形成された異なる基台−コアアセンブリは分離され、アセンブリの一部又はすべてが、有利には3つの巻線2、3、4で、同時に、又は各々が別々に、同一の多軸巻線機において巻かれる。
【0054】
当業者は、添付の特許請求の範囲において定められるような本発明の趣旨を逸脱しない範囲で記載された実施形態の変化及び修正を導入することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14