【文献】
Yong-Lae Park, 外4名,“Hyperelastic pressure sensing with a liquid-embedded elastomer”,Journal of Micromechanics and Microengineering,英国,IOP Publishing Ltd.,2010年11月29日,Vol. 20, No. 12,125029(6 pages)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、弾性センサと単一方向の歪みに応答する弾性センサとを製造する方法に関する。これは、例えばシリコーンゴムシート(EcoFlex 0030, SmoothOn, Easton, Pa; PDMS, Dow Corning)などの弾性材料に、一組の細長いマイクロチャネルを形成することによって達成することができる。各マイクロチャネルは、歪み軸に実質的に平行に延在するように形成されることができ、マイクロチャネルは、それらの端部においてループ部によって相互接続されて、電気抵抗を測定する連続したチャネルを形成することができる。連続したチャネルは、導電性液体、例えば無毒性共晶ガリウム-インジウム(eGaIn, BASF)などの導電材料で満たすことができる。本発明のいくつかの態様によれば、ループ部は歪み軸を横切る方向に十分な断面積を有することができ、歪み軸を横切る方向の歪みは結果としてセンサの電気抵抗において著しい変化をもたらさず、単方向の検知が可能になる。これらの態様では、弾性センサは一方向の歪みを測定するように配置することができ、本発明による複数の弾性センサは、2次元またはそれ以上の次元における歪みを測定するように、異なる方向に組み合わせることができる。
【0017】
図1および
図2は、本発明の一態様による弾性歪みセンサ100を示す。歪みセンサ100は、細長いマイクロチャネル110およびループ部120を形成するために、モールディングまたはエッチングによって可撓性の弾性基板材料102から形成することができる。マイクロチャネル110およびループ部120は、導電性液体130で満たすことができる。弾性材料および伝導性液体が引っ張られると、導電性液体130の電気抵抗における変化からセンサ
100上の歪みを決定することができる。ループ部120は、蛇行するチャネルを形成するための細長いマイクロチャネル110の隣接する端部を接続しており、該細長いマイクロチャネル110は第1の接続貯蔵部132から第2の接続貯蔵部134まで延在する。第1の接続貯蔵部132および第2の接続貯蔵部134は、導電性液体130がマイクロチャネル110の各々の中を流れて、結合されたマイクロチャネル110およびループ部120の全領域の電気抵抗を測定する制御システムに接続するためのワイヤを受け取ることができるように、導電性液体130を注入するために用いることができる。
【0018】
図2は、歪みセンサ100のループ部120の拡大図を示す。ループ部120は、横方向のマイクロチャネル110より実質的に大きくてもよく、そのため、歪み軸104を横切る方向に印加された歪みは結果として電気抵抗の測定可能な増加をもたらさない。このようにして、弾性歪みセンサ100は、歪み軸104に沿って印加された歪みに対して、または歪み軸104に沿って延在する成分を有する歪みに対して高感度であり得るが、歪み軸104に対して横方向の歪みには鈍感であり得る。
【0019】
マイクロチャネル110の各々は、一様な断面を伴って形成され、例えばBASF, Florham Park, NJから入手可能な共晶ガリウム-インジウム(eGaln)などの伝導性液体で満たすことができる。マイクロチャネル110の各々は実質的に直線、ジグザグ、またはS字型であってもよい。一態様によれば、伝導性液体130で満たされた単一の連続したチャネルを形成できるように、マイクロチャネル110はループ部120によって端部と端部とが接続され得る。本態様では、各マイクロチャネルは歪み軸に平行に延在し、弾性材料が歪みを受けた場合には、そこに担持された導電性液体130と共に、マイクロチャネルの各々は電気抵抗を増加させつつ引き伸ばされ得る。本発明の1つの利点は、各マイクロチャネルが引き伸ばされて、伝導性液体のチャネルの全長がマイクロチャネルの数の一部分ごとに引き伸ばされるという点である。歪みセンサの感度を増加させるために、マイクロチャネルを追加することを用いることができる。いくつかの態様では、センサは36個またはそれ以上のマイクロチャネル110を備えることができ、かつ、各マイクロチャネル110は幅250μm×高さ250μmとすることができ、ループ部は幅1.0mm×高さ250μmとすることができる。
【0020】
マイクロチャネル110の各々は、表面上を蛇行する連続したチャネルを形成するループ部120によって接続されることができる。本発明のいくつかの態様によれば、歪み軸104に対して横方向の歪みが電気抵抗において著しい変化を生じさせないように、ループ部120は、歪みのないマイクロチャネル110よりも断面積が実質的に大きくてもよい。本態様では、弾性歪みセンサ100は、歪み軸104に沿って単方向性を有する。
【0021】
弾性歪みセンサ100は、シリコーンおよびゴム材料(例えば、EcoFlex0030およびEcoFlex0050, SmoothOn, Easton, Pa; PDMS, Dow Corning, Midland, MI; P-20 および GI-1120, Innovative Polymers, Saint Johns, MI; Tap Platinum Silicone System, Tap Plastics, CA)および柔軟なポリウレタン材料(例えば Dragon Skin, SmoothOn, Easton, PA; IE-35A, Innovative Polymers, Saint Johns, MI)を含む任意の弾性材料から形成することもできる。一態様によれば、EcoFlexの低粘性(3000cps)混合物は、モールドの微細な特徴を複製するために用いることができる。
【0022】
一般に、センサを製造するための工程は、金型を製作し、層を成型し、層を互いに接着し、伝導性液体を注入することを含むことができる。本発明の一態様によれば、弾性歪みセンサ100は、1つまたは複数の3Dプリントしたモールド(例えば、Connex 500, Objet Geometries Ltd.)の中にシリコーン材料を流し込むことによって生成することができる。本態様では、1つの層は、パターニングされて、マイクロチャネル110、ループ部120および接続貯蔵部132、134を形成することができ、かつ、他の層は、パターニングされずに、パターニングされた層に接着されている基本的に平坦な層を提供する。約4時間の周囲条件下での硬化の後、エラストマー層を、モールドから取り除いて、エラストマー材料(例えば、EcoFlex)の薄い未硬化の層と互いに接着することができる。
【0023】
露出したマイクロチャネルを満たすことを回避するために、パターニングされていないエラストマーモールドは、最初にエラストマーの薄い未硬化の層でスピンコーティングし(例えば、1100rpmで45秒間)、それから、例えば対流式オーブンにおいて60℃で30秒間処理して、部分的に硬化することができる。それから、パターニングされたエラストマーモールドは、パターニングされていない表面に徐々に接着されることができる。2つのエラストマー層(パターニングされていない滑らかなシート、および露出したマイクロチャネルを含むパターニングされたシート)は、数時間の周囲条件で互いに硬化することができる。シートが互いに十分に接着された後、各チャネルをeGaInで満たすためにシリンジを用いることができる。最後に、チャネルの端部を、未硬化のエラストマー材料の最終コーティングにより封止することができる。
【0024】
本発明の別の態様によれば、マスクレスのソフトリソグラフィによってパターニングされたSU-8モールドにエラストマー材料(例えばPDMS)を流し込むことによって、20〜300マイクロメートルの範囲のマイクロチャネルを有するセンサを製造することができる。フォトレジスト(SU-8 2050)を、清浄なシリコンウエハ上にスピンさせることができる。例えば、500rpmで10秒間(スプレッド)の後に、4000rpmで30秒間(スピン)行うことができる。それから、ウエハは、65℃で3分間および95℃で6分間ホットプレート上に置くことができる。次に、コーティングされたウエハは、ダイオードポンプソリッドステート(DPSS)355nmのレーザーマイクロマシニングシステムを用いた直接書き込みレーザー露光[25、26]によりパターニングすることができる。そのシステムは、幅が25〜1000μmおよび間隔が50μm以上の範囲でチャネルを生成するために、厚さ20μmのSU-8コーティングを露光するように較正することができる。ウエハは、例えば65℃で1分間および95℃で6分間ホットプレート上でポストベークすることができ、その結果、SU-8現像液で5分間現像することができる。次のモールディング工程においてより容易な除去を可能にするために、疎水性の単分子層を蒸着によって導入することができる。数滴のトリクロロ(1H,1H,2H,2H-ペルフルオロオクチル)シラン(Aldrich)を含む開放容器を有する排気されたチャンバー(20mTorr)に、パターニングされたウエハを3時間置くことができる。次に、PDMS(Sylgard 184; Dow Corning, Midland, MI)は、シリコンウエハに対して液体状態(例えば、硬化剤に対するエラストマー基材の質量比が10:1)で流し込むことができる。それから、PDMSは、60℃で30〜40分間オーブン硬化させることによって、モールドで部分的に架橋させることができる。酸素プラズマ処理(Technics Plasma Stripper/Cleaner; 60Wで30秒間)により、パターニングされたPDMSをパターニングされていないPDMSに接着することによって、マイクロチャネルを形成することができる。封止したマイクロチャネルは、例えば終夜60℃で完全に硬化することができる。最後に、通常のチューブおよびシリンジ分配を用いて、マイクロチャネルをeGaInで満たすことができる。
【0025】
パターニングされていない裏面を用いてパターニングされた層をモールドすることによって、パターニングされたエラストマー(例えばPDMS)を有するさらなる層を形成することができる。パターニングされていない裏面は、さらなるパターニングされた層に同様に接着されることができる。いくつかの態様では、各層のマイクロチャネルは、共通軸に整列配置することができて、層間の相互接続を提供するパターニングされた層の穴部または開口部によって接続することができる。いくつかの態様では、各層のマイクロチャネルは、複数のセンサを提供するように分離することができる。いくつかの態様では、各層のマイクロチャネルは、複数の方向の歪み検知を可能にするように、交差する複数の軸に沿って延在することができる。
【0026】
本発明の一態様によれば、36本のチャネルを有する歪みセンサが形成され、各チャネルは幅250μm×高さ250μmで、ループ部は幅1.0mm×高さ250μmであった。このデバイスは、5.8オームの静止時公称抵抗値を有した。歪みゲージのゲージ率は、以下の通りに決定することができる。
式中、ΔRは抵抗値の変化であり、R
0は静止時の抵抗であり、εは歪みであり、αは温度係数であり、θは温度変化である。温度効果がない場合には、ゲージ率は経験的に3.04に決定された。
図3は、抵抗値の変化および歪みのプロットが、温度効果を考慮せずに実質的に線形であることを示す。
【0027】
図4は、本発明の一態様による圧力センサ400を示す。本態様では、圧力センサ400は、螺旋状ループにまたは同心円状ループの組に形成された円形のマイクロチャネル410を備えるように、可撓性の弾性基板材料402からモールディングまたはエッチングによって形成することができる。円形のマイクロチャネル410は、導電性液体430で満たすことができ、センサ400に対する圧力は、弾性材料および導電性液体が圧縮されることによる導電性液体430の抵抗値における変化から決定することができる。
【0028】
本発明の一態様によれば、eGaIn材料で満たされた直線状のマイクロチャネルを、印加された圧力および電気抵抗を同時に測定するために用いることができる。eGaInで満たされたチャネルの端部は、精密なマルチメータ(Fluke 8845A)に接続することができる。幅がaで長さがLである堅いガラスの長方形を、デジタル高さゲージ(Swiss Precision Instruments, Inc.)を有するセンサ内に押し込むことができる。圧力をより均一に分配し、触覚または弾性的接触をより良好にシミュレートするために、ガラスの長方形と同じ面積を有する厚さ5mmのエラストマーのシートをガラスとセンサ表面との間に挿入することができる。センサは、表面に作用する全体の力Fを測定する電子スケール(6000 g OHAUS Scout Pro)によって支持することができる。接触領域にわたって作用する平均的圧力は、p=F/aLとして算出することができる。
【0029】
埋め込まれ導電性液体で満たされたチャネルの電気抵抗における変化ΔRは、実験設定を用いて、印加された圧力pの関数として経験的に決定することができる。幅w=2mm、高さh=1mmであり、エラストマーの表面から距離z=2mmにおいて存在する上面を有する直線状のチャネルを含むエラストマーについて、実験による測定値(白抜きの丸)および理論的な予測値(実線の曲線)を
図16にプロットする。圧力は、長さL=27mmおよび幅a=25mmの領域にわたって印加される。測定のこのセットのために、接触領域の長軸(長さLを有する)は、チャネルの中心線に合わせることができる。このプロットは、複数のローディングサイクルおよびアンローディングサイクルによるデータ点を含み、著しい再現性および低いヒステリシスを実証する。
【0030】
図16のプロットにおいて示すように、電気抵抗における変化ΔRは、印加された圧力に対して指数関数的に増加する。この曲線は、実線によって表される理論的な予測とぴったりと一致する。データフィッティングを用いていないことに留意することが重要である。理論的な曲線は、圧力を押し込みの深さと比較することで独立に測定された、規定の幾何学的形状、規定の圧力、eGaInの公知の抵抗率ρ=29.4×10-8
Ωm-1[6]、およびゴムの弾性係数E=125kPaから完全に導出される。閉じた形式の理論的解法および導出は、次のセクションで提示される。
【0031】
予想通りに、印加された圧力の中心がチャネルから遠くに移動するほど、ΔRは減少する。
図17は、圧力p=15kPaおよびp=25kPaについて、横変位xに対するΔRのプロットを示す。
図18に示すように、xはチャネルの中心線と接触領域の長軸との間の水平距離として定義される。両方の圧力について、信号ΔRは相対変位の増加と共に著しく減少する。理論的な予測値を15kPaおよび25kPaについて破線および実線の曲線によりそれぞれ示しているが、これらの予測値は、白抜きの四角および丸に対応する実験による測定値と合理的に一致する。表面圧力が近似的に均一である場合には、接触領域の縁の近くに小さい応力集中が存在する。それ故、x=4 mmでチャネルが接触領域の中心と縁との間にある場合には、公称応力はわずかにより大きく、より大きい応答ΔRが測定される。最後に、チャネル深さz(x=0について)に対するΔRのプロットは、図
19で示される。図
18を参照すると、zはエラストマーの表面とチャネルの上面壁との間の距離として定義される。実験結果で実証されるように、チャネルが表面から遠くなるほど、抵抗値の変化ΔRは減少する。この傾向は理論によっても予測されるが、理論は絶対的変化を2倍程度過大評価すると考えられる。
【0032】
マイクロチャネルが埋め込まれたエラストマーの力学は複雑であり、本発明の一態様によれば、近似的な数学的解析によってモデル化することができる。本態様によれば、エラストマーの半空間に埋め込まれた矩形横断面を有する直線状チャネルの2次元的表現を、マイクロチャネルを近似するために用いることができる。
図18に示すように、チャネルは、幅がw、高さがhであり、エラストマーの表面から距離zにおいて存在する上面壁を有する。
【0033】
均一な外圧力pを、幅aの領域にわたってエラストマーの表面に印加することができる。
図18に示すように、チャネルの中心および印加された圧力の領域の中心は、水平に距離xだけオフセットしている。印加された圧力の中心に近いチャネルについては(すなわち|x|<a/2かつz<a)、弾性変形は断面積を減少させ、したがって電気抵抗を増加させる。断面積の減少は、主として応力テンソルの垂直成分σ
z=σ
z(x,z;p,a)の大きさによって支配される。印加された圧力が圧縮性であるため、σ
zは負の符号を有する。線形弾性破壊力学(LEFM)における亀裂成長の場合のように、内部応力σ
zの力線は、マイクロチャネルの端部の周りに集中する[28、29]。これは、チャネルの壁のゼロ牽引の境界条件を満たすためのものである。チャネルが流体で満たされるので、壁は無牽引ではなく、その代わりに静水圧を受ける。しかし、この内部チャネル圧力は、引き起こされた公称応力σ
zと比較して、無視できると考えられるので、ゼロ牽引と仮定される。
【0034】
LEFMによれば、亀裂の近傍に印加された平均垂直応力σ
zは、Δh=2(1-v
2)wσ
z/Eの量だけ亀裂表面間のギャップを増加させる。式中、vはポアソン比であり、Eは弾性係数[28]である。マイクロチャネルがエラストマーの寸法と比較して小さいので、各チャネルのすぐ近くを除いて、応力分布に対するそれらの影響は無視できる。したがって、接触領域の下のチャネル(|x|<a/2かつz<a)については、チャネルの近傍の平均応力はσ
z=-pと近似することができる。これをΔhの式に代入すると、電気抵抗の全変化は近似的に以下となる。
ΔR=ρL/wh{(1/(1-2(1-v2)wp/Eh))-1} (2)
【0035】
一般的には、pはχpに置き換えられるべきであり、χ=χ(x,z)はチャネル中心線の相対位置(x,z)に依存する補正である。補正χ=-σ
z/pは、以下の通りにブシネスク法を用いてσ
zを解くことにより得ることができる[30]。
【0036】
σ
zの閉形式の基本的な式は、Maple 13(Waterloo Maple Incorporated, 2009)を用いて得ることができる。χについて解くことにより次式を得る。
χ=(c
1c
2-c
3)/c
4 (4)
式中、
c
1=tan
-1((a+2x)/2z)+tan
-1((a-2x)/2z)、
c
2=-8x
2a
2+32x
2z
2+8z
2a
2+16x
4+16z
4+a
4、
c
3=-16zax
2+4za
3+16z
3a、
c
4=π(4x
2+4xa+a
2+4z
2)(4x
2-4xa+a
2+4z
2)である。
これを用いてxおよびzの関数として電気抵抗における変化を評価する。
【0037】
本発明のいくつかの態様によれば、導出された関係は、圧力pおよび相対位置(x、z)の広い範囲について実験による測定と一致する。
図17および
図19では、理論と実験の間には50%近い相違があると考えられる。これは、理論モデルの単純化した仮定によるものであると考えられる。そのモデルは平面歪み線形弾性に基づいて、グローバルな応力分布に与えるチャネルの影響を無視し、ゼロ面力および一定の幅を有する均一なチャネル崩壊を仮定している。実験結果とより良好に一致するより正確な方程式を決定するために、これらの仮定を緩めることができる。しかし、これらのモデルは、例えば式(5)に示すような代数的閉形式解を生成しない数値計算または有限要素解析を必要とする。
【0038】
エラストマー圧力トランスデューサの主要な力学を取り込むことに加えて、理論は、カスタマイズされた機能性のために利用することができるいくつかの特質を明らかにする。第1の特質は、圧力検知と伸び検知の間の機械的なデカップリングを可能にする。したがって、本発明の態様によるシステムは、マイクロチャネル導電性における変化が圧力によるものかまたは伸びによるものかを区別することが可能であり得る。
【0039】
第2の特質は、センサ帯域幅、すなわちセンサが検出することができる圧力の範囲に関する。圧力および伸びに対するセンサ応答は、適切なマイクロチャネルの深さzおよび経路(例えば直線、蛇行、および螺旋)を選択することによって分離される。
図19で実証されるように、zが接触領域の幅aを超えるにつれて、センサ応答は消滅する。対照的に、チャネルの伸びによる電気抵抗における変化は、マイクロチャネルの深さに対して不変である。その代わりに、伸び応答は単純な公式ΔR/R0=λ
2-1によって支配される。式中、R0=ρL/whは伸びのないチャネルの元の抵抗であり、伸びλ=L
f/Lは伸びの長さL
fの自然長Lに対する比である。これは、エラストマー内に深く埋め込まれたマイクロチャネル(期待値aに対して表面からの距離z>a)は、伸びを測定するが、圧力は測定しないということを意味する。
【0040】
あるいは、エラストマー表面の近くに埋め込まれた螺旋形のマイクロチャネルは、
図1(a)に示すように、一軸性の伸びでなく圧力を検出する。これは、1つの方向において増加した電気抵抗が、垂直方向において減少した抵抗と釣り合うからである。
【0041】
センサ帯域幅は、特性圧力
によって制御され、したがってエラストマーの弾性係数Eおよびマイクロチャネル断面のアスペクト比h/wだけに依存する。R
0=ρL/whがチャネルの自然抵抗であることに留意すると、式(2)より、エラストマーの表面の近くに埋め込まれたチャネルについては、
ということになる。比
に応じて、電気抵抗における相対的な変化は、1パーセントの何分の1から数オーダーまでの範囲に及ぶことができる。例えば、幅w=100μmおよび厚さh=20μmのマイクロチャネルに埋め込まれたEcoFlex(E=125kPa)を考える。1〜10kPaの範囲の典型的なキーストローク圧力に応答して、埋め込まれたマイクロチャネルの電気抵抗は、1%のオーダーで変化すると考えられる。対照的に、歩行中の足と地面との接触のピーク圧力は100kPaのオーダーであり、それは結果として電気抵抗における約50%の変化をもたらす。全ての適用のためには、特性圧力
が予想される圧力pの範囲と同程度になるように、設計パラメータEおよびh/wを選択しなければならない。
【0042】
図5は、本発明の一態様による多層歪みセンサを製造する方法の概略図を示す。本方法は、各層のためのモールドを準備することを含む。本態様では、センサの2つの層が提供され、
図5(a)に示すように、3層エラストマー材料を形成するために3つのモールドを用いることができる。エラストマー材料が硬化した後、キャスト材料をモールドから取り除く。
図5(b)に示すように、層0はパターニングされない層であり、モールドに残ってもよい。また、層1は、エラストマー材料の層間に形成されるマイクロチャネルを接続するための相互接続を含むことができる。
図5(c)に示すように、層0は、2000rpmで50秒間、エラストマー材料でスピンコートすることができ、それから、60℃で1分間、部分的に硬化することができる。
図5(d)に示すように、層1は、光圧を用いたラミネート加工によって、層0に接着されることができる。層2は、層1が層0に接着されたのと同じプロセスにより、層1の上面に接着されることができる。
図5(e)に示すように、層1の上面は、エラストマー材料でスピンコートすることができ、それから部分的に硬化することができる。エラストマー材料のさらなる層を、同じプロセスを用いて接着することができる。
図5(f)に示すように、最後の層が弾性歪みセンサに接着された後、層0をモールドから取り除くことができる。伝導性液体130は、シリンジを用いてチャネル110に注入することができる。本発明の一態様では、複数のシリンジを、注入プロセスで用いることができる。
図5(g)に示すように、少なくとも1つのシリンジは、伝導性液体、例えばeGaInを1つの接続貯蔵部に注入するために用いることができ、一方、少なくとも1つの他のシリンジは、他の接続貯蔵部などから
トラップされた空気を取り除くために用いることができる。
図5(h)に示すように、伝導性液体がチャネル、ループ部および接続貯蔵部を満たした後、ワイヤを接続貯蔵部に挿入することができる。ワイヤは、弾性歪みセンサを、センサ出力を読み込む入力電子回路に電気的に接続するために用いることができる。
【0043】
図1および
図2に示すセンサの他に、
図4に示す圧力センサも、
図5に示すように層を用いて製造することができる。本態様では、圧力センサの円形パターンは、層1に形成されることができ、パターニングされていない層、すなわち本明細書に記載された層0に接着されることができる。
【0044】
図6は、本発明の一態様による組合せまたはマルチモード(歪みおよび圧力/接触)センサの一態様を示す。
図6(a)に示すように、本態様によるセンサは、XおよびY次元の歪みおよびZ次元の圧力を検知するために用いることができる。
図6(b)は、本発明の一態様によるマルチモードセンサの上面図を示す。2つの単方向性の歪みセンサはXおよびY次元の歪み検知を提供するように歪み軸に対して直角に配置され、圧力センサはZ次元の圧力を検知するために最上層に提供される。
図6(c)は、マルチモーダルセンサの個々の層パターンを示す。
【0045】
本発明の1つまたは複数の態様によれば、マルチモーダルセンサは、非常に伸縮性がありかつ柔軟である(弾性係数:69kPa、ショア硬度:00〜30)シリコーンゴム(
図6)で作られた3つの柔軟なセンサ層を備えることができる。層1および層2は、接触圧力だけでなく軸方向歪みに対しても高感度である直線状のマイクロチャネルパターンを含むことができ、かつ、層3は、圧力検知のためであるが軸方向歪みに対しては感度がよくない、円形パターンを含むことができる。層2は、垂直な軸に沿った歪みを検出するように、90度回転して層1の上に配置することができる。3つのセンサからの信号の組合せを用いて、デバイスは、3つの異なる刺激を検出し、識別することができる。すなわち、x軸歪み、y軸歪み、およびz軸圧力である(
図6(a)を参照のこと)。全ての3つのセンサ層は、層間の相互接続(
図7のp2およびp3)によって接続することができ、直列に接続された3つの可変抵抗器に電気的に等価である1つの回路を形成する。
【0046】
図8に示すように、マルチモーダルセンサは、層状モールディングおよびキャスティングプロセスを用いて製造することができる。プロセスは、3つの工程、すなわちキャスティング、ボンディングおよびEGaIn注入に分けることができる。基材は、エラストマー材料、例えばシリコーンゴム(例えばEcoFlex0030, Smooth-On, Inc., Easton, PA)とすることができ、それは、高い伸縮性(破壊時の伸び:900%)と室温でのキャスティングの容易さとの組合せにより選択される。相対的に低い混合粘性(3000cps)は、モールドの特徴を良好に再生するために、さらに考慮すべき点である。第1の工程は、別々のセンサ層をキャストすることである(
図8(a)および
図8(b)を参照のこと)。プラスチックモールドを3Dプリンタ(例えば、Connex500, Objet Geometries Ltd., Billerica, MA)を使用して準備して、液体シリコーンをモールドに注入する。第2の工程は、単一のセンサ構造を作るために層を接着することである(
図8(c)〜
図8(f)を参照のこと)。硬化層は、層間のスピンコーティングした液体シリコーンによって接着されている。スピンコーティングしたシリコーンの部分硬化は、シリコーンがマイクロチャネルを塞ぐことを防止する。また、モールドの位置合わせ用柱は、層間の相互接続を整列配置することを容易にする。最終工程では、EGaInをマイクロチャネルに注入し、電極を挿入することにより、ワイヤ接続を形成する(
図8(g)および
図8(h)を参照のこと)。
図9は、
図8(c)〜
図8(e)で説明したように、各層がどのようにその前の層に位置合わせして接着されているかを示す。各ボンディング工程では、相互接続による層間のチャネル接続を確実にするために、位置合わせが重要である。
【0047】
一態様によれば、マルチモーダルセンサ100は、
図6に示すように、可動構成要素のための皮膚または外部被覆の一部として含まれてもよい。本態様では、チャネル寸法は、歪み検知用(層1および2)では200μm×200μmとすることができ、圧力検知用(層3)では200μm(高さ)×200μm(幅)とすることができる。人工皮膚の全体のサイズは25mm×25mmとすることができ、厚みは約3.5mmとすることができる。
【0048】
図10Aは、3つのセンサ層からの信号を読み込むために用いることができる回路図を示す。直列に3つのセンサを流れる定電流を生成するために、定電流源を用いることができ、それは各センサ層で電圧降下を発生させる。各センサに生じる電圧差は、計測増幅器によって増幅することができる。増幅された信号は、抵抗変化を別々に測定するために、マイクロコントローラの3つのアナログデジタル変換ポートに接続され得る。
【0049】
マルチモーダルセンサは、例えば、材料検査器(例えばInstron 5544A, Instron, Norwood, MA)を用いて、複数の方向の歪みおよび接触圧力を印加することにより、較正することができる。本発明の一態様では、マルチモーダルセンサは、歪み検知(
図10B)のためにx軸およびy軸の両方で100%まで引き伸ばすことができる。また、センサの中心は、圧力検知のために60kPaまで圧縮することができる。
図11に示すように、結果は、歪み検知については線形性を示し、圧力検知については非線形性を示した。
図11(a)はx軸歪みを示し、
図11(b)はy軸歪みを示し、
図11(c)は
z軸圧力を示す。しかし、センサ信号はいずれの場合においても再現性があった。3つのセンサ層からの信号が各実験で異なる応答を示したので、本試作品は歪みおよび圧力の大きさを測定するだけでなく、刺激のタイプを区別することも可能である。
【0050】
本発明の一態様によれば、マルチモーダルセンサの1つまたは複数を、センサを追加せずに感覚応答を提供する人工皮膚に組み込むことができる。これらの人工皮膚は、人型ロボット[31]、ロボット義肢[34]、および柔軟なウェアラブルロボット[32]、[9]のために用いることができる。
【0051】
図12は、ロボットアームの角度運動を測定するために適用される、本発明の一態様による弾性歪みセンサの一例を示す。歪みセンサは、少なくとも1つの自由度(d.o.f.)を有するロボットアームのジョイントに取り付けることができる。センサの2つの端部はロボットアームに固定することができ、中間部分はジョイント上を摩擦なしに摺動することができる。ジョイントがアームを曲げるために回転すると、歪みセンサは弧の角度に比例してジョイントの周りで引き伸ばされ得る。このようにして、本発明の一態様による弾性歪みセンサにより、弧の角度を容易に測定することができる。
【0052】
弧の長さは、Δl=rθとして簡単に算出することができる。次に、式(1)からΔR/R
0=Gεおよびε=Δl/l
0が得られ、式中、ΔRは抵抗値変化であり、R
0は元の抵抗値であり、Gはゲージ率であり、εは歪みである。温度変化がないと仮定すると、角度変化(θ)は以下の通りに決定することができる。
式中、l
0は歪みセンサの元の長さである。センサの歪み応答は、較正実験から経験的に決定することができ、線形であることを示すことができる(
図3)。それは、Gが定数であり、l
0、R
0およびrが全て定数であり、ロボットアームの角度位置がセンサの抵抗値変化に線形に比例し得るということを意味する。
【0053】
本発明の態様によれば、
図13に示すように、3D動作(複数の自由度)のロボットアームの角度位置を測定するために、さらに多くのセンサを異なる位置に追加することによって、動作検知を拡張することができる。
図13のロボットジョイントが2つの自由度だけを有すると仮定すると、3D角度位置を測定するために必要なセンサの最小数は2である。ただし、さらに多くのセンサを用いてもよい。歪み変化のセンサ信号が線形の場合には、ジョイント角度を算出するために以下などの単純なマトリクスを構成することができる。
式中、θ
xyおよびθ
yzは、それぞれxzおよびyz平面に投影されたロボットアームの角度であり、s
1およびs
2は、それぞれセンサ1およびセンサ2からのセンサ信号である。Cは較正マトリクス(この例では2×2)であり、実験的に見いだすことができる。
【0054】
本発明の態様によれば、歪みセンサの適用は、ロボットジョイントに限定されない。本発明によるセンサは、人体の関節角度を測定するために用いることができる。本発明によるセンサの非常に柔軟で伸縮性のある特性は、異なる人体の複雑な形状にセンサを容易に適合させる。
図14および
図15は、関節角度情報を得るために歪みセンサを適用する例を示す。これらの態様では、
図12および
図13に示されるより複雑な関節の動きを測定するために、本発明の様々な態様によるマルチモーダルセンサを用いることができる。
【0055】
本明細書に記載された可撓性の歪みおよび圧力センサを用いて、生体力学を評価するシステムに本発明を用いることができる。
【0056】
本発明の一態様によれば、システムは、例えば研究における対象の関節または関節の組などの生体力学システムの歪み、圧力、ずれ、および曲率を検出し、測定するために、可撓性センサを使用する。本明細書に記載されているように、可撓性センサは、
図1、
図2、
図4、
図6、および
図7に示すように導電性液体金属合金で満たされたマイクロチャネルを組み込む。歪みセンサについては、可撓性材料がマイクロチャネルの軸方向の歪みを感じると、全体のチャネル長が増加し、チャネルの断面積が減少して、全体の測定された抵抗値の増加を引き起こす。測定された抵抗値は、肢節の1つについて所与の関節の角度の直接測定を提供するために、このセンサについて関節角度により較正することができる。さらに、環境に印加された外力を測定するために、対象が装着した靴のインソールに、1つまたは複数の圧力センサを提供することができる。
【0057】
本発明の一態様によれば、モジュラーセンサシステムを提供することができ、それによって、各関節(例えば、足首、膝、臀部、手首、肘、肩など)または剛体(例えば、手、前腕、足、脛、大腿)に別々のセンササブシステムまたはモジュールを装着することができる。各センササブシステムは、1つまたは複数の可撓性センサ、1つまたは複数のプロセッサ、および1つまたは複数のエネルギー源(バッテリまたは動作により生成される電力)を有する、可撓性装具を備えることができる。ユーザーは、望ましい適用に応じて、対象の関節または剛性要素の1つまたは複数においてセンサモジュールの1つまたは複数を用いることを選択することができる。
【0058】
本発明の一態様によれば、各関節または剛体にサブシステムまたはモジュールを装着することができる、混成装具システムを提供することができる。各サブシステムは、1つまたは複数の可撓性装具、1つまたは複数の可撓性センサ、1つまたは複数のプロセッサ、および1つまたは複数のバッテリ、ならびに、1つまたは複数の力センサ、屈曲センサ、圧力センサ、トルクセンサ、傾斜センサ、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、および/または光センサを備えることができる。さらなる検知様式を有するこの混成システムは、ある特定の適用に適切であり得る。
【0059】
本発明の一態様によれば、混成靴システムを提供することができる。混成靴システムは、足首角度を取得するための1つまたは複数の可撓性センサを備えることができ、かつ、関連する足首の生体力学に加えて歩幅長および走る速さを推定するために1つまたは複数のさらなるセンサ、例えば力センサ、圧力センサ、トルクセンサ、傾斜センサ、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、および/または光センサなどを備える。
【0060】
本発明のいくつかの態様によれば、純粋な歪みおよび/または混成(例えば、歪みおよび圧力)の態様は、対象の所望の解剖学的構造に対してセンサを適切に配置するのに役立つ、柔軟でしなやかな衣服を含むことができる。これらの衣服は、衣服安定化を支援するために、剛性支持要素または構造を含むことができる。さらに、適用に応じて、支持要素または構造は、対象の可動域に影響を与えてもよいかまたは与えなくてもよい。本発明のいくつかの態様では、衣服は、簡単に洗えるように、センサおよび電子回路と分離可能にすることができる。
【0061】
本発明のいくつかの態様によれば、システムの結線をほどくことができる、例えば、コントローラおよびバッテリは、分離した身体から離れたラップトップ/デスクトップ/プラグイン電源などに接続するためのワイヤを必要とせずに、対象が着用するシステムの一部とすることができる。対象に装着されたコントローラと、離れて位置するコンピュータの間で、データを転送するために、例えばWiFi、Blue Tooth(登録商標)、Zig Beeなどの無線通信を用いることができる。本発明のいくつかの態様では、各センサは個々の電源、プロセッサおよびトランシーバ構成要素を有することができ、かつ、他の態様では、センサは、対象に着用されることになっておりかつ全てのセンサに電源、処理、および無線データ伝送を提供する、単一の電子デバイスにつながれてもよい(例えば、有線または無線による接続)。
【0062】
本発明のいくつかの態様によれば、センサシステムに送られる制御信号およびセンサシステムにより測定された動きデータは、コンピュータ上のソフトウェア制御の下で無線送信し、安全なデータ記憶サイトに送信することができる。
【0063】
他の態様では、生体力学モデル(例えば、ソフトウェアプログラム)を実行するコンピュータ/プロセッサに、1つまたは複数のセンサ出力を入力することができ、かつ、このモデルは肢節の動きおよび方向の評価を生成するために用いることができる。
【0064】
本発明によれば、これらの態様の各々のための較正は、動作内容および肢節に依存する可能性がある。したがって、センサシステムを用いるいくつかのまたは全ての動作内容について、較正ルーチンが必要となり得る。さらに、適用のためには、例えば、リハビリテーション適用のためには、ゲーム/コンピュータインターフェース適用と比較して、より高い忠実度の較正が用いられ得る。
【0065】
図20Aおよび
図20Bは、生体力学を評価するための様々な先行技術システムを示す。
図20Aは、対象の作業遂行のビデオ録画を制作する際に用いられる受動的または能動的な視覚標識を使用するシステムを示す。臨床医が、ソフトウェアアプリケーションと同様に、対象の生体力学を研究するためのビデオ録画を評価できるように、視覚標識が配置される。
図20Bは、慣性測定デバイスを用いるシステムを示す。これらのデバイスは、同じ目的のために対象に配置される。慣性測定デバイスにより決定された動きデータは、動きを評価するために処理することができる。
図20Cは、本発明によるシステムを示し、可撓性センサは、関節に配置されて、関節が屈曲しかつ伸ばされると、センサによって感じ取られた歪みに基づいて関節の角度を測定する。
【0066】
図21は、関節の力および動きをモニターするための、本発明によるシステムの一例を示す。この例では、システムは、足が感じる力を測定することができる。本態様では、センサ、すなわち、力センサ2および運動力学センサ3を、対象が装着するネオプレンの靴下1に備え付けることができる。ネオプレン靴下1は、容易に取り外すためのジッパー4、および1つもしくは複数の剛性または半剛性の支持要素(図示せず)を含むことができる。センサ2およびセンサ3は、バッテリなどの電源を備えるコントローラ5にワイヤで接続することができる。コントローラ5は、デスクトップまたは携帯型コンピュータ、スマートフォンまたはタブレットコンピュータなどのコンピュータ化されたデバイスに無線で通信することができ、かつ、該デバイスは、センサデータを受け取って例えば検出した動きの評価を提供するために、1つまたは複数のソフトウェアプログラムを実行する。
【0067】
図22A〜
図22Eは、本発明によるセンサシステムを用いるための適用の様々な実施例を示す。
図22Aおよび
図22Bは、リハビリテーション適用を示す。
図22Cおよび
図22Dは、能力を評価する場面でのリハビリテーション適用を示す。
図22Eは、コンピュータゲームインターフェースアプリケーションの一例である。
【0068】
図22Aは、対象が装着する肘リハビリテーションシステムを示す。本システムはデータを対象の携帯電話に発信することができ、携帯電話はケア提供者に運動データを転送することができる。本システムは、定められたルーチンにより対象をガイドするだけでなく、いつリハビリタスクを実行するべきかについても、スマートフォンアプリを介して対象に通知することができる。
図22Bは、必要な動きを実行するためのインターフェースを有する肘リハビリテーションデバイスを示す。本態様では、センサシステムは、コンピュータシステム(例えば、デスクトップ/ラップトップまたはTVに埋め込まれたシステム、スマートフォンまたは他のコンピュータ化されたデバイス)と、物理療法および/または作業療法を施しかつモニターするために通信することができる。これらの態様では、センサシステムは、対象の肘または手首などの関節を覆って機能する装具に埋め込むことができる。センサシステムは、関節角度における変化を測定するために関節に配置された装具において備え付けられた1つまたは複数の可撓性センサを備えることができる。関節角度データは、コントローラに保存することができ、離れたデバイスに伝達することができる。
【0069】
図22Cは、スポーツ活動の最中、個々の関節の能力を測定することができる各関節に装着される一組の装具(または手首から肩まで伸びるスリーブのような単一の装具)で構成された、複数の関節(例えば、肩、肘および手首)のモニター装置を示す。スポーツ活動が終了した後、能力データは検索のためにデバイスにローカルに保存することができる。あるいは、活動の最中のいろいろな時に、能力データをリモートコンピュータに無線で送信することができる。このようにして、フットボール試合またはテニス試合の後、対象および/または介護者は、動きデータを分析して、対象の能力を評価することができる。
【0070】
図22Dは、スポーツ活動の最中、個々の関節の性能を測定することができる各関節に装着される一組の装具(または足首から臀部まで伸びるスリーブのような単一の装具)で構成された、複数の関節(例えば、膝および足首)のモニター装置を示す。スポーツ活動が終了した後、能力データは検索のためにデバイスにローカルに保存することができる。あるいは、活動の最中のいろいろな時に、能力データをリモートコンピュータに無線で送信することができる。このようにして、ランニングまたはサッカー試合の後、対象および/または介護者は、動きデータを分析して、対象の能力を評価することができる。
【0071】
図22Eは、コンピュータゲームインターフェースとして用いるセンサシステムを示す。本態様では、センサ装具またはバンドをユーザーの関節に装着することができ、そのようにして任意のモニターされた関節の動きを検出することができる。特定の関節の動きは、ゲームのいくつかの部分を制御するために、コンピュータゲームコンソールによって解釈することができる。例えば、手首、肘、膝、および足首に装着されたモニター装具は、関節角度をコンピュータゲームシステムに報告するために用いることができる。関節角度入力は、ユーザーの動き、例えば、ゲームの場面におけるダンスまたはランニングを評価するために用いることができる。
【0072】
既に記述したセンサプラットホームは多くの適用のために実装されることができる。それらの適用は、リハビリテーション、臨床運動評価、薬物送達評価、生体力学および動き分析、コンピュータおよびゲームインターフェース、能力改善のためのヒューマンモデリングおよび自己評価を含む。
【0073】
本発明のいくつかの態様によれば、センサシステムは、テレリハビリテーション適用を含むリハビリテーション適用で用いることができる。本発明によれば、回復過程を追跡するために、患者はリハビリをしている関節にモジュラーユニットを装着することができる。例えば、ACL手術の後、膝のために設計されたモジュラーユニットは、物理療法の最中、および在宅でのリハビリテーション運動の最中に装着される。理学療法士は、運動時間および結果として生じる成果を比較することができる。保険が複数の物理療法セッションをカバーしない場合には、セラピストは、データがアップロードされた安全なデータ記憶サイトにログインすることによって、患者が在宅で実施する際の患者の経過をチェックすることができる。さらに、装具は、患者の回復のためにカスタマイズされたコンピュータまたはスマートフォンのアプリケーションとバンドルされてもよい。そのアプリケーションプログラムは、セルフガイドリハビリテーションプログラムに従うためのリアルタイムビジュアライゼーションを提供し、また、患者が傷ついていない関節を好む場合には、リアルタイムアラートを提供する。
【0074】
本発明のいくつかの態様によれば、センサシステムは、臨床運動評価適用、例えば臨床研究で用いることができる。運動制御に関連する病理学を改良するための電気的および機械的援助の分野で、研究が進行中である。本発明によるシステムは、介助デバイスを用いるおよび介助デバイスを用いない患者の運動制御に関する情報を提供するために用いることができる。このさらなる情報は、新規介助デバイスの有効性についての臨床評価および評価のために用いることができる。
【0075】
本発明のいくつかの態様によれば、センサシステムは、薬物送達評価適用で用いることができる。移植可能な神経学的な刺激装置および移植可能な薬物ポンプは、様々な疾患および病気の治療において明るい展望を示す。治療レベルおよび投薬量の設定は依然として困難である。なぜなら、それが、臨床医による症状の観察に、または数時間、数週間、もしくは数ヶ月かかることがあり得る投薬期間中の震えなどの症状についての患者の自己報告に依存していることが多いからである。本発明によるセンサシステムの態様は、運動パラメータの継続的モニタリングを提供することができ、個体に向けた薬物送達の調整を評価するための情報を提供することができる。
【0076】
本発明のいくつかの態様によれば、センサシステムは、現場(研究室または診療所の外)での適用を含む生体力学適用で用いることができる。動作分析の現行の方法は、研究室環境の外でデータを収集する能力を制限している。本発明によるシステムは、簡素化されたまたはシミュレートされた実験室での運動とは対照的に、現実的な状況の最中に生体力学測定を取得するために用いることができる。例えば、本発明によるモジュラーシステムは、センサを包むしなやかな衣服がゲーム中に一般に装着される支持具に類似するにつれて、スポーツ医学の療法および治療戦略をさらに評価するために用いることができる。戦略に加えて、スポーツ傷害のより完全な理解を進展させることができる。現在、傷害の前または後に生体力学解析を実行することによって、傷害を評価することができる。本明細書で述べた態様を用いて、運動選手は、プレーする間、検知システムを着用することができる。従って、傷害が発生した場合には、傷害時の生体力学に基づいて評価を行うことができる。これは、ランナーの膝、アキレス腱損傷、ACL捻挫および裂傷などのよく理解されていない多くの一般の傷害にとって有益である。スポーツ活動に加えて、例えば音楽、ダンス、または職業疾患などの他の活動の傷害をより深く理解することができる。例えば、ピアノ演奏者の手根管症候群、バイオリン演奏中の筋拘縮、およびダンサーの膝損傷などの傷害は、傷害後のリハビリテーションを最適化するだけでなく、技術を向上させ、傷害を低減させるために研究することができる。
【0077】
本発明のいくつかの態様によれば、センサシステムは、コンピュータおよびゲームインターフェースアプリケーションで用いることができる。多くのゲームシステムは、動きに基づくシステム制御に向かって動いている。モジュラーセンサシステムを用いることにより、ゲームシステムまたはコンピュータに対するインターフェースは、ユーザーの直接測定された動きに基づいてソフトウェアプログラムを制御するように開発することができる。本態様では、ゲーム適用のために必要とされる最少の数のセンサを選択することによって、センサの数を最少にすることができる。さらに、関連出願では、限られた生体力学的機能性を用いて、障害をもつユーザーがコンピュータシステムを制御することを可能にする専門のコンピュータインターフェースを開発することができる。
【0078】
本発明のいくつかの態様によれば、センサシステムはヒューマンモデリングに用いることができる。本発明によるセンサシステムは、他のセンサまたはセンサシステムと組み合わせて身体に関する情報を取得するために用いることができる。例えば、慣性データを関節角度情報と結び付けることにより、身体の質量および慣性の特性に関するより良好な予測に導くことができる。別の例では、歪みセンサを有する生体力学システムに既知の力を印加することによって、関節の堅さの評価を取得することができる。反対に、さらなる既知の堅さを関節に適用することによって、ユーザーの動的な力の生産能力に関する情報を取得することができる。
【0079】
本発明のいくつかの態様によれば、センサシステムは、個人能力システム適用に用いることができる。自己評価のための個人システムは数が増え続けており、それらは1日当たりの歩数または走る速さを評価するための歩数計および加速度計を備えている。本発明によるセンサシステムは、リアルタイムフィードバックを用いた自己訓練および評価のための個人能力情報を個体に提供することができるプラットホームの一部であってもよい。例えば、マラソンのトレーナーは、生体力学が疲労によりどのように変化するかを見ることができる。同様に、身体の姿勢および位置への集中を必要とするスキルの習得(例えば、ダンス、カンフー、太極拳、ヨガ、ゴルフ、バスケットボール、フットボール、サッカーなど)を向上させることができる。
【0080】
他の態様は、本発明の範囲および趣旨の中にある。例えば、ソフトウェアの性質により、上述した機能は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、固定配線、またはこれらのいずれかの組合せを用いて実現することができる。機能を実現する特徴は、様々な位置に物理的に配置されてもよく、それは機能の部分が異なる物理的な位置で実現されるように分散されることを含む。
【0081】
さらに、上記の記載は、本発明に関するものであるが、複数の発明を含んでもよい。
【0082】
以下の参照文献は、本文において引用される。以下の参照文献の各々は、参照により全体として本明細書に組み入れられる。