(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヘッドカバーは、前記ハンドピースに取り付けられた状態において、前記ヘッドとの隙間を保つ隙間保持体を有することを特徴とする請求項1に記載のヘッドカバー。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、発明の実施の形態1を図面を参照して説明する。
図1は、実施の形態1に係るハンドピースを示す図であって、(a)ハンドピースの上面図、(b)ハンドピースの側面図、(c)ハンドピースの下面図である。
図2(a)は、
図1(a)に示すX−X位置の断面図であり、接続されるモータユニットを模式的に示している。
図2(b)は、
図2(a)の部分拡大図である。
図3は、
図1(a)に示すX−X位置におけるヘッドカバーのみの断面図である。
図4は、(a)ヘッドカバーの上面図、(b)ヘッドカバーの側面図である。
尚、本発明のハンドピースHにおいて、ヘッド70を備える側を「前」、モータユニットMが連結される側を「後」とする。
【0013】
図1及び
図2を参照すると、歯科用ハンドピースHは、ヘッド70とグリップ10を備える。ヘッド70とグリップ10は、外殻がチタニウム合金やアルミニウム合金などの金属により形成されている。ヘッド70は、ハンドピースHの先端部分を構成し、治療工具Tが着脱可能に取り付けられる。また、ヘッド70は、後述するヘッドカバー100に覆われている。
【0014】
グリップ10は、筒状のケーシング20をから構成される。ケーシング20の後端には、駆動源であるモータユニットMが接続する。ケーシング20は、前部ケーシング21と後部ケーシング22とから構成される。
本実施の形態では、前部ケーシング21と後部ケーシング22は、所定の傾斜角をなして接続されている。つまり、ハンドピースHは、前部ケーシング21と後部ケーシング22が接続した位置から曲がった形状である所謂コントラアングルのハンドピースである。
【0015】
尚、ケーシング20は、前部ケーシング21と後部ケーシング22が直線的に接続するストレートハンドピースでもよい。また、ケーシング2は、前部ケーシング21と後部ケーシング22が一体のケーシングで構成してもよい。
そして、この様に筒状のケーシング20の外面により構成されたグリップ10は、使用者が握る部位を形成する。
【0016】
図2を参照すると、後部ケーシング22内には、軸受40が固定されている。この軸受40には、第1回転軸30が回転可能に支持されている。第1回転軸30の後端には、モータユニットMがケーシング20の後端に接続した状態において、モータの出力軸Jに係合する連結部31が設けられている。
一方、第1回転軸3の前端には、第1歯車32が設けられている。第1歯車32は、モータの出力軸Jの回転が連結部31を介して伝達されて回転する。
【0017】
前部ケーシング21内には、ジャケット80が固定されて設けられている。ジャケット80は、ヘッド70から第1歯車32に向けて延設されている。また、ジャケット80は、中空円筒状の部材であり、第2回転軸90が貫通する軸貫通孔81と、軸受収容部82、83を備えている。
ジャケット80は、前部ケーシング2Fの内壁に押し付けられることにより固定される。つまり、ジャケット80は、前部ケーシング2Fの内部に圧入されている。尚、ジャケット80は、第2回転軸90が装着された状態で、前部ケーシング21の後端から挿入される。
【0018】
次に、第2回転軸90は、ジャケット80を介して、前部ケーシング21内に回転可能に支持されている。第2回転軸90は、ジャケット80の内部において、軸収容部82,83に設けられた軸受50に回転自在に支持されている。また、第2回転軸90は、ジャケット80を貫通している。
第2回転軸90において、ジャケット80の後端側から突出する部分には第2歯車91が形成され、前端側から突出する部分には第3歯車92が形成されている。
【0019】
第2回転軸90の第2歯車91が第1歯車32と噛合うことで、第1回転軸30の回転を第2回転軸90に伝達する。
本実施の形態の場合、この第1歯車32と第2歯車91とからなる歯車列(第1歯車列)は、第1歯車32に第2歯車91が内接している。つまり、第1歯車32より第2歯車91は歯数が少なく構成されている。
このように、第1歯車32と、第1歯車32より歯数が少ない第2歯車91が噛み合うことで、第2回転軸9は第1回転軸3よりも増速される。つまり、第1回転軸3より第2回転軸9は、回転数が増加し、回転速度が速くなる。
【0020】
次に、第2回転軸90の第3歯車92は、後述するヘッド70に設けられる第4歯車74と噛合うことで、第2回転軸90の回転をヘッド70の工具保持体73に伝達する。ハンドピースHは、このようにしてモータ(出力軸)の駆動力を第1回転軸30、第2回転軸90を介してヘッド70に伝達し、治療工具Tを回転駆動する。
【0021】
次に、
図2〜
図3を参照して、ヘッド70について説明する。尚、
図3における点線で示した部分は、ヘッド70の内部に設けられている上軸受75と下軸受76の位置を示している。
ヘッド7の外殻は、筒部71とネック部72を有する。筒部71は、下方に向けて窄む形状をなしている。
また、筒部71には、上開口71a、下開口71bが開口する。ネック部72は、筒部71の側面から後方に向けて一体に立ち上がる筒状の部位であり、側面開口72aが形成されている。
【0022】
そして、ヘッド7は、内部に工具保持体73を備える。工具保持体73は、治療工具Tが着脱可能に取り付けられる。
工具保持体73の周囲には、第4歯車74が形成されている。工具保持体73は、ヘッド7の内部において、上側と下側にそれぞれ設けられた上軸受75及び下軸受76により、上下方向を軸に回転自在に支持される。
【0023】
上軸受75及び下軸受76は、内輪及び外輪、そして、この内輪と外輪に挟み込まれたボールベアリングを有し、円環形状をなしている。外輪は、ヘッド70内に固定されている。内輪は外輪に対して、ボールベアリングにより回転自在となっている。そして、工具保持体73は、内輪の開口に保持される。
【0024】
上軸受75は、側面開口72aの上側に位置する。下軸受76は、側面開口72aの下側に位置する。また、上軸受75は、上開口71aの縁からネック部72の立ち上がり部分72bに至る部位で構成される段部72cと、対向した位置関係となる。表現を変えると、工具保持体73の回転軸を基準にみると、上軸受75の軸方向外側に、段部72cが位置する。
【0025】
また、工具保持体73に保持された治療工具Tは、下開口71bから下方向に向けてヘッド70の外部に突出した状態となる。上開口71aには、工具保持体73から治療工具Tを外す為の保持解放ボタン77が設けられる。使用者は、保持解放ボタン77を下方向に押すことで、治療工具Tを工具保持体73から着脱することができる。
ヘッド70は、ネック部72が前部ケーシング21の前側の開口から前部ケーシング21内に入り込み、前部ケーシング21に固定される。この状態において、第2回転軸90は、側面開口72aからヘッド70の内部へ入り込む構成となっている
【0026】
そして、第4歯車74は、ヘッド7の内部に入り込んだ第3歯車92と噛合い、第2歯車列が構成される。これにより、第2回転軸90の回転を工具保持体73に伝達する。
本実施形態では、第3歯車92と第4歯車74とからなる第2歯車列は、第3歯車92より第4歯車74の歯数が少なく設定されている。従って、第4歯車74が形成された工具回転体72は、第2回転軸90よりも増速されて回転する。
以上のように各部を構成することで、治療工具Tが、モータの回転数より高い回転数で回転する(モータの回転速度より速く回転する)増速タイプのハンドピースHが構成される。
【0027】
次に、本発明の要部であるヘッドカバー100を説明する。
図1〜
図4を参照すると、ヘッドカバー100は、ハンドピースの前端側に配置されて、ヘッド70の外側を覆う部材である。このヘッドカバー100は、後方に向く領域が切り欠かれた(切断された)円筒形状の保護部101と、保護部101の端から後方に向けて伸びる左右一対の保持部102を有する。保護部101は上方向から見ると、「C」文字形状をなしている。
また、保護部101を上方から見た場合、保護部101の内径R1は、ヘッドの円筒形状部分の直径R2より大きく構成される(R1>R2)。
【0028】
ヘッドカバー100は、保護部101がバネ性を有する。本実施の形態の場合、左右の保持部102をそれぞれ左右方向に離れるように開き、開く力を加えなければ、元の形状に戻る特性がある。尚、保持部102が保護部101と接続する位置は、本実施の形態の場合、保護部101の端であるが、この端からずれた位置でもよい。
ヘッドカバー100は、保護部101の後方に向く領域が切り欠かれている。そして、この切り欠かれた部分を左右から挟む保持部102を左右方向に離れる方向に広げることが可能である。この広げる力を加えるのを止めた場合、ヘッドカバー100は、保護部101の弾性力で元の形状に戻るものであればよい。
【0029】
つまり、ヘッドカバー100の切り欠かれた部分が、完全に離れずに一部が繋がっていてもよく、保護部101の端が接触していても左右に離れる構成となっていればよい。尚、ヘッドカバー100の元の形状の状態では、向かい合う左右の保持部102の距離d1は、ハンドピースの左右方向の幅d2により、小さく構成されている(d2>d1)。
【0030】
また、保護部101の上下方向の大きさは、ヘッド70に設けられた上軸受75の上面から下軸受76の下面に至る高さLと同じか、大きくなるように構成されている。
また、左右の保持部102の向かいあう部分の形状は、それぞれ、ヘッド70に近い前部ケーシング21の左側及び右側の形状に沿った形状に構成されている。
【0031】
このようなヘッドカバー100は、金属より熱伝導率の低い材料により構成される。また、ヘッドカバー100は、使用した患者ごとに使い捨てる形態で用いる場合があるので、例えば、合成樹脂など、比較的容易に成形することが可能で、安価な材料が用いられる。
また、使い捨てをせずに使用する都度、滅菌等をして用いるヘッドカバー100の場合、用いられる合成樹脂は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)やPEI(ポリエーテルイミド樹脂)やPPSU(ポリフェニルスルホン樹脂)などの耐熱性及び耐アルカリ性のものが用いられる。この様な材料により構成することで、滅菌、熱水洗浄、消毒などの再処理に耐えることができるヘッドカバー100を構成することができる。
【0032】
以上のヘッドカバー100は、次に様にハンドピースHに取り付けられる。
ヘッドカバー100の左右の保持部102が開くように力を加え、ハンドピースHに上方向より被せる。この時、ヘッドカバー100の保護部101の内側に、ヘッド70が位置するようにする。そして、左右に開いた保持部102を、ヘッドカバー100の元の形状に戻ろうとする弾性力で閉じさせる。
【0033】
ここで、ヘッドカバー100の元の形状は、向かい合う左右の保持部102の距離d1は、ハンドピースの左右方向の幅d2により、小さく構成される(d2>d1)。これにより、左右の保持部102が、ハンドピースHのネック部72から前部ケーシング21の側面に至る部分を挟み込み、ヘッドカバー100がハンドピースHに取り付けられる。
また、ヘッドカバー100の保護部101を上方から見た場合、保護部101の直径R1は、ヘッド70の直径R2より大きく構成されている(R1>R2)。これにより、保護部101とヘッド70の間に、隙間ΔMが形成される。
【0034】
この様に、ヘッドカバー100をハンドピースHに取り付けると、保護部101がヘッド70の周囲を覆うと共に、保護部101(ヘッドカバー100)とヘッド70の間に、隙間ΔMが形成された状態となる。この隙間Mは、ヘッドカバー100の外部の空間と連通している。
つまり、この隙間ΔMが、ヘッド70内部の熱をヘッドの表面から、放熱可能な空間となる。これにより、ヘッド70を冷却するための空間を確保される。
【0035】
以上のように各部を構成することで、ヘッド70に直接人体が触れることを防止すると共に、ヘッド70の冷却を妨げないヘッドカバー100を構成することができる。
特に、本実施の形態のヘッドカバ100は、ハンドピースHの側面でヘッドカバー100を支持するので、ヘッドカバー100とヘッド70との間に形成された空間に、この空間を流れる空気を遮るものが無い。
【0036】
また、保護部101の上下方向の大きさは、ヘッド70に設けられた上軸受75の上面から下軸受76の下面に至る高さLと同じか、大きくなるように構成されているので、軸受の発熱により高温となるヘッド70をヘッドカバー100で覆うことができる。
以上より、本実施の形態のヘッドカバー100によれば、ヘッド70の高温となる部位が、直接人体に触れることを防止すると共に、ヘッド70が表面から放熱可能な冷却のための空間を確保することができる。
【0037】
尚、本実施の形態において、ヘッド70の上部である保持解放ボタン77は、ヘッドカバー100に覆われていない形態であるが、保持解放ボタン77の上方をヘッドカバー100で覆うように構成してもよい。
このように構成することで、ヘッド70の異常な温度上昇に伴い保持解放ボタン77が熱くなっても、保持解放ボタン77が直接人体に触れることを防止することができる。
【0038】
特に、保持解放ボタン77を覆うヘッドカバー100の部分を、柔軟性がある形態で構成することで、ヘッドカバー100を取り付けた状態でも、保持解放ボタン77を押すことができる。
また、ヘッドカバー100の上面に、隙間ΔMと連通する開口を適宜設けるとよい。このように構成することにより、この開口を通って、隙間ΔMの内部の空気がヘッドカバー100の外側に排出されやすくなる。
【0039】
(実施の形態2)
次に、
図5〜
図7を参照して、実施の形態2を説明する。
図5は、本実施の形態に係るハンドピースを示す図であり、(a)ハンドピースの上面図、(b)ハンドピースの下面図を示す。
図6は、本実施の形態に係る(a)ヘッドカバーの上面図、(b)ヘッドカバーの側面図を示す。
図7は、
図5(a)に示すY−Y位置におけるヘッドカバーのみの断面図とハンドピースを示す。尚、実施の形態1と同じ構成については、説明を省略する。
【0040】
ヘッドカバー100の保護部101の内面には、保護部101をヘッド70に対して支持する突起103が設けられている。突起103は、保護部101の内側に向かって、突出して形成されている。つまり、保護部101の形状である円筒の中心に向かって突出している。
また、3つの突起103は、互いの間隔が同じになるように、保護部101に設けられている。つまり、突起103は、保護部101の中心を基準に見て、おおよそ120度間隔で均等に配置されている。
【0041】
以上のヘッドカバー100をハンドピースHに取り付けた状態において、突起103は、ヘッド70の外周面にヘッドカバー100を3点で支持するになる。これにより、突起103で、保護部101とヘッド70との間に隙間ΔMを形成する。つまり、突起103は、保護部101とヘッド70の間に隙間を形成し保持する隙間保持体となる。
【0042】
また、突起103は保護部101の中心から120度間隔で均等に配置されており、ヘッド70の表面は円筒状なので、保護部101の中心と、治療工具Tの位置を一致させることができる。
つまり、保護部101をヘッド70の外周面に対して3点で支持することで、両部位の隙間を遮る突起が最小の数の状態で、ヘッドカバーのヘッドを覆う部分の中心と、治療工具Tの位置を一致させやすく構成できる。
【0043】
このように各部を構成することで、使用者が、使用時にヘッド70をいずれの方向から見ても、ヘッドカバー100と治療工具Tの位置関係(距離関係)を、おおよそ同じにすることができる。従って、使用者が目視しながら治療部位に治療工具Tを接触させるとき、いずれの方向からも、ヘッドカバー100と治療工具Tの距離感覚を等しくすることができる。
【0044】
尚、突起103の形状は、所定の長さがあるリブ状でもよい。例えば、上下方向に長く伸びるリブ状に突出した形状でもよい。突起103を帯状に形成することで、ヘッドカバー100の強度を強化することができる。突起103を形成する所定の長さのあるリブは、上下方向に限らず、保護部101の周方向やらせん状に設けてもよい。
突起103は、ヘッド70とヘッドカバー100の間に隙間を形成し、その隙間内部の空気が、隙間の外部に出ることが可能な形態であればよい。
【0045】
(実施の形態3)
次に、
図8〜
図9を参照して、実施の形態3を説明する。
図8は、実施の形態3に係るハンドピースの側面図であり、ヘッドカバーが高温に反応して変色した状態を示す。
図9は、
図8に示すハンドピースの一部断面図である。尚、
図9における断面位置は、ハンドピースの左右中心位置である。また、
図9の点線で示す部位は、ヘッド70内部に位置する上軸受75、下軸受76を示す。尚、実施の形態1と同じ構成については、説明を省略する。
【0046】
図8を参照すると、ヘッドカバー100は、示温材を含む材料により構成されている。示温材とは、ある温度に達すると色が変わる特殊な顔料を含む材料である。本実施の形態の場合、およそ40度で色が変色する特性の示温材を用いている。また、この示温材は、高温状態で変色した後、温度が下がると元の色に戻る可逆性のものである。
【0047】
図9を参照すると、ヘッドカバー100の保護部101の内面には、第1突起104と第2突起105が設けられている。第1突起104は、保護部101の上側に位置する。第2突起105は、保護部101の下側に位置する。
このヘッドカバー100をハンドピースに取り付けると、上軸受75の径方向外側に第1突起104が位置し、ヘッド70の表面に接している。また、下軸受76の径方向外側に第2突起105が位置し、ヘッド70の表面に接している。
第1突起104と第2突起105により、ヘッド70とヘッドカバー100の間に隙間ΔMが形成される。第1突起104と第2突起105は、隙間保持体である。
【0048】
以上のようにヘッドカバー100を構成してハンドピースに取り付けることにより、ヘッド70の高温となる部位が、直接人体に触れることを防止すると共に、ヘッド70が表面から放熱可能な冷却のための空間となる隙間を確保することができる。
更に、
図8に示すように、ヘッドカバー100は、示温材を含んだ材料により構成されているので、ヘッド70が高温となると、その熱により変色する(図中、網掛け部分C)。これにより、使用者は、ヘッド70が高温となったことを視覚的に把握することができる。
【0049】
特に、ヘッドカバー100をヘッド70に対して支持する第1突起104と第2突起105を、それぞれ、上軸受75の径方向に位置するヘッド70の表面、下軸受76の径方向に位置するヘッド70の表面に接触させている。
ヘッド70は、内部の軸受75,76に近い部分から高温となる。つまり、軸受の径方向の位置にあるヘッドの部分から高温となる。従って、当該部分に突起104,105を接触させることで、ヘッドカバー100はヘッド70から熱伝導により温度が上がり、変色しやすくなる。
これにより、使用者は、ヘッドカバー100の変色から、ヘッド70が高温状態となったことをとらえやすくなる。
【0050】
同様に、ヘッドカバー100は、上開口71aの縁からネック部72の立ち上がり部分72bに至る部位で構成される段部72cに接する形状にするとよい。段部72c及びこの周囲は、上軸受75の軸方向外側に位置する。
従って、上軸受75が高温になった場合、ヘッドカバー100の上面がこの熱の影響で変色しやすくなる。これにより、使用者は、ヘッド70が高温となったことをとらえやすい。特にこの位置は、ヘッドカバー100の上面なので、使用者が、作業中にヘッドカバー100の変色に気づきやすい位置である。
【0051】
また、本実施の形態のヘッドカバー100を構成する示温材は、高温状態で変色した後、温度が下がると元の色に戻る可逆性のものである。これにより、ヘッドカバー100をオートクレーブ等により高温で滅菌しても、再びヘッド70の温度状態の検知手段として用いることができる。
【0052】
尚、第1突起104及び第2突起105の形状は、保護部101の周方向に長く伸びる幅のある形状としてもよい。そして、突起104,105を軸受75,76の外側を囲むように配置することで、突起104,105とヘッド70の表面との接触面積を増やすことができる。
これにより、ヘッドカバー100とヘッド70が接触する面積が大きくなるので、ヘッドカバー100がヘッド70の温度の影響を受けやすくすることができる。従って、ヘッド70の温度に応じて、ヘッドカバー100の変色させやすくなり、よりヘッド70が高温となったことを視覚的に把握することができる。
【0053】
本実施の形態において、ヘッドカバー100の材料に示温材を用いた形態で説明したが、ヘッドカバー100の材料に示温材を含ませるのではなく、示温材を含む部材をヘッドカバー100の表面に設けてもよい。例えば、示温材を含むテープをヘッドカバー100に張り付けてもよい。
示温材を含むテープをヘッドカバー100に設ける場合、ヘッド70が高温となっ場合に、熱の影響を受けやすい位置に設けるとよい。例えば、ヘッド70と接触する、突起104,105に対向した位置に設けるとよい。
【0054】
以上、各実施の形態で説明した発明は、モータの回転駆動力を、モータの回転速度より増速して治療工具Tに伝達する増速ハンドピースで、特に有効である。これは、回転数が大きいほど、上軸受75又は下軸受76において発熱が生じやすく、ヘッドが高温となる可能性が高いからである。
【0055】
これに加え、接続する歯車の歯数をヘッドに近い歯車ほど大きくして、モータの回転より治療工具の回転数が小さくなる減速ハンドピースでも、上軸受75又は下軸受76において発熱が生じる可能性があり、各実施の形態で説明した発明は効果がある。また、モータの回転と治療工具の回転数が同じである等速ハンドピースでも、同じ理由により効果がある。
【解決手段】課題を解決するには、医療用ハンドピースのヘッドを覆うヘッドカバーであって、ヘッドカバーは、ハンドピースに取り付けられてヘッドを覆う状態において、ヘッドカバーとヘッドの間に、隙間が形成されるようにヘッドカバーを構成する。これにより、ヘッドの高温となる部位が、直接人体に触れることを防止すると共に、ヘッドが表面から放熱可能な冷却のための空間を確保することができヘッドカバーを提供することができる。また、このヘッドカバーをハンドピースに設けることで、安全性の高いハンドピースを提供することができる。